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2012年5月31日木曜日

男は不潔 ― slovenly

男というのは不潔な生き物だ、と決めつけられてしまうと、ちょっと待てと言いたくなる方もいるでしょう。最近では身だしなみに気を使う男性も増えていますから。

が、男の方が不潔であることを示す科学的なデータが提示されました。


Men's offices are dirtier than women's and contain significantly higher numbers of bacteria, a study has found.

Much of the reason is probably down to hygiene, say the US researchers - who point out that men are "commonly perceived to have a more slovenly nature".

Scientists took 450 swab samples from 90 offices occupied by men and women in New York, San Francisco and Tucson, Arizona. In total they identified more than 500 types of bacteria, most of which originated from human skin, noses, ears, and "intestinal cavities".

Chairs and telephones had some of the highest concentrations of bugs, with lower numbers on desktops, keyboards, and computer mice.
(The dirty truth about men's offices. The Press Association. May 31, 2012.)


男性が多いオフィスと女性が多いオフィスで比較すると、男性が多いオフィスの方が細菌の量が多かった、という研究結果が出たのです。

調査が行われたのはアメリカのニューヨークやサンフランシスコなどにある90の会社オフィスです。アメリカだけの話じゃないのとつっこみを入れたくなる、日本人男性の私です(笑)

さて、今日取り上げる単語、"slovenly"は、汚らしい、不潔な、という意味の形容詞です。語尾の"-ly"は副詞を連想させますが、形容詞として用いられます。("slovenly"には副詞の意味もありますが。)

これは以前に取り上げた、"kindly"という単語と共通する性質です。

さて、この記事をあらかた書いてからトイレに行きました。手を洗ったかって?勿論洗いましたよ!



2012年5月30日水曜日

集中砲火 ― flak

新聞記事などでよく見る表現だと思いますが、国会議員など影響力のある人が、言ってはいけないことなどをうっかり口走ってしまい、”集中砲火を浴びた”と言われることがあります。例えば最近の例ですと、


○×防衛大臣、国会答弁で野党から集中砲火

(○×はご想像におまかせします・・・)


といった具合です。


この”集中砲火”を英語でどう表現するのか、実例を偶々目にしました。


NEWARK, N.J. — Newark Mayor Cory Booker's communications director has resigned.

Anne Torres is stepping down a little more than a week after the mayor drew flak from fellow Democrats for criticizing President Barack Obama's campaign.

(中略)

Booker was considered one of Obama's biggest supporters. In a May 20 appearance on NBC's "Meet the Press" he described as "nauseating" attack ads against Bain Capital, the private equity firm once run by Republican presidential candidate Mitt Romney.
(Newark mayor's spokeswoman resigns week after flap. The Associated Press. May 29, 2012.)


"flak"という単語がそうなのですが、辞書を引くと第一義的には、”(戦闘機隊が受ける)対空砲火”(ランダムハウス英和辞書)という意味が載っています。続いて、口語として、批難、批判、集中攻撃、といった意味が載っています。

興味深いことに、語源欄を見ると"flak"はドイツ語に由来していることが分かります。


Fleiger(飛行機)
abwehr(防衛)
Kanone(大砲)


の頭文字(Fl-、a-、k-)をとって、"flak"なのだそうです。道理で英単語としては少し変わったスペルだと思いました。

"flak"は名詞なので、”集中砲火を浴びる”という場合には動詞が必要です。上記の引用例では、"draw"が使われており、"drew flak"となっていますが、その他に"catch"、"get"も使われます。

余談ですが、防弾チョッキのことは"a flak jacket"と言うそうです。元々集中砲火を浴びることを想定した上着と言う意味でしょうか。


2012年5月29日火曜日

ジャグジー ― Jacuzzi

アメリカの大金持ち会社経営者がニューヨークに隣接するHobokenに所有する不動産を売りに出したという、日本の小市民である私にとっては甚だどうでもよいようなニュースに何故かアクセスしてしまいました(笑)

Hobokenという地名がちょっと懐かしかったというのもありますが、その会社経営者のことを知っているでも無し、不動産に興味があった訳でもありません。


Former MF Global CEO Jon Corzine has finally unloaded roughly $3 million worth of assets — a two-bedroom penthouse apartment in Hoboken that went on sale in January and was sold to an unknown buyer earlier this month, according to a report.

(中略)


The apartment is located in Toll Brothers’ Maxwell Place complex and features floor-to-ceiling windows with views of the Hudson River and the Manhattan skyline as well as Viking kitchen appliances and a Jacuzzi in the master bathroom.
(Hilary Lewis. Jon Corzine sells Hoboken penthouse: report. The New York Post. May 27, 2012.)


後段、その建物の豪華さが説明されています。"Jacuzzi"という単語に注目です。お風呂は1つではなく、たくさんあるのでしょう、"in the master bathroom"の"Jacuzzi"ということですから、これはいわゆる”ジャグジー”のことだと分かりましたが、私としては初めて見る単語でした。

"Jacuzzi"をどう発音したら、”ジャグジー”になるのでしょう?

さらに、"Jacuzzi"は大文字で始まっていることに注意する必要があります。そうです、"Jacuzzi"は商標名(固有名詞)でした。

”ジャグジー”というものを知っているつもりでしたが、商標名だとは知りませんでした。多くの辞書で"Jacuzzi"のエントリが確認できます。ランダムハウス英和辞書では、


ジャクージ、泡風呂


とあります。”ジャグジー”ではなく、”ジャクージ”です。

色々調べてみると、"Jacuzzi"というのは、今日我が国でもよく知られている”ジャグジー”を開発した会社の名前が由来でした。さらにその会社名というのは、ヨーロッパからアメリカに来て最初に会社を興した、"Jacuzzi brothers"という一家の名前に由来しているということも分かりました。

当初は飛行機の開発などを行っていたということですが、その後ポンプシステムの開発などに方向転換し、”ジャグジー”が誕生するのは1960年代になってからのようです。Jacuzzi社の歴史についてはこちらのウェブサイトに詳しく書かれています。

しかし、なぜ"Jacuzzi"が”ジャグジー”ということになったのでしょうか?一説によると、蛇口(じゃぐち)という日本語との連想から訛ったということらしいですが、真偽の程は!?


2012年5月28日月曜日

無断欠席で拘置所に!? ― truancy law

アメリカはテキサス州での話です。

かつては優等生としても称賛された17歳の女子生徒が、無断欠席が続くとして拘置されたという、なんだかびっくりさせられるニュースです。冗談や誇張の類かと思いきや、事実のようです。


A 17-year-old high school student working two jobs to support her siblings, while juggling college-level classes, spent 24 hours in jail this week for missing too much school, KHOU 11 News reported.

Diane Tran, an 11th-grader at Willis High School in Willis, Texas said she was often too exhausted to get to school in time.

Judge Lanny Moriarty said he warned the student last month not to miss any more classes or she would be violating truancy law, KHOU 11 News reported. When she missed school again, he had her thrown in jail.
(Texas honor student thrown in jail for missing school. New York Daily News. May 26, 2012.)


"truancy law"というタームが出てきますが、"truancy"とは無断欠席、無断欠勤、要はずる休みを意味する単語です。”登校拒否”(最近では登校拒否よりも不登校という表現が使われるようですが)という訳語があてられることもあります。

アメリカでは無断欠席が続くと拘置所に入れられるのでしょうか?本当だとしたら、単なる怠惰な不良学生には十分な脅しになりますね(笑)

気になる"truancy law"をインターネットで調べてみました。色々なサイトがヒットしますが、Center for Children's Advocacyというサイトの、"What's going to happen if I keep missing school?"という説明(PDF文書)が分かりやすく、ここで引き合いに出させていただきます。

これを読んでいくと、無断欠席への対応としては何もアメリカが過激というわけではなく、日本のそれと似たようなものであることが分かります。つまり、無断欠席(登校拒否)児童や学生に対して、第一義的には親(保護者)が責任を負い、まずは学校側に呼び出されるということになります。

説明文書では続いて、学校側の呼び出しに応じなかったらどうなるか、といったことについて説明があるのですが、"truancy"のケースがエスカレートしていくと、最終的には裁判所マターとなり、裁判官の判断次第では、


order you to be locked up if you disobey the judge's orders


とあり、つまり拘置される可能性があると警告しています。また文書の最後には、


Can I get arrested or locked up for truancy?


という想定質問があるのですが、それに対する回答が、


Not at the beginning. But, if you are under 16 and you do not follow the judge's orders, you can be
taken into custody and charged with the crime of violating a court order. If you are found guilty, you
could be locked up in juvenile detention.


であり、まさに拘置所行きということなのです。(日本でここまでの規程はあるのでしょうか?そもそもここまでのレベルの想定がないように思うのですが・・・。)

件の女子生徒については当初優等生だったようですが、両親が突然離婚して以来、2人の妹に加え大学に通う兄(!)を援助するため、クリーニング店等でフルタイムで働き始めたため、とても自分の勉学まで回らなくなってしまったそうです。

記事はこちら


2012年5月25日金曜日

大騒ぎした割には・・・ ― ballyhoo

またまたフェースブックに関する話題で恐縮ですが、株式店頭公開を果たした同社の株価が芳しくなく、投資家を怒らせているようです。

必死の思いでフェースブック株を取り扱う権利(?)を得たNASDAQも、株式店頭公開日のNASDAQ側のシステム上の問題が投資家の批難を呼び、たじたじだとか。個人投資家に至ってはどうやって損を取り戻すかがもっぱらの関心事でしょうか。


John Hoag thought he had dodged the botched initial public offering of Facebook stock when he canceled his order last week for 100 of the company’s shares. This week, Mr. Hoag, 63, a property manager in Tennessee, learned from his Scottrade broker that he was being charged $3,805 for the shares anyway, plus a commission fee.

When he made a complaint, he was told by e-mail that he would have to go through the compliance office, which typically takes seven to 10 days to respond. These are the days of the runaround for thousands of ordinary investors who were snagged when the much ballyhooed initial offering had problems on Friday.
(Nathaniel Popper. Small Investors Seek Answers to the Confusion of Facebook Trading. The New York Times. May 24, 2012.)


フェースブック社の株式公開については早くから話題になり、メディアが挙って取り上げました。今からしてみれば、”過熱”以外の何物でもなかったのではないでしょうか。

さて、引用記事に、"ballyhoo"という見慣れない単語が出てきます。私は初めて見る単語でした。辞書を引くと、”やかましい宣伝、派手な宣伝”という意味と、”やかましく宣伝する”という動詞の意味が確認できます。

"ballyhoo"の語源については、ほとんどの辞書で語源不詳とされています。魚の”サヨリ”という意味もあるそうですが、なぜ”派手な宣伝”という意味を持つに至ったかは不明なのです。(私が調べた範囲では)唯一、American Heritage Dictionaryによると、推測の範囲(the subject of much speculation)であるとしながらも、興味深い説明を展開しています。その部分を抜粋します。


There may, however, be a tie between ballyhoo and the creature called a ballyhoo bird. According to a July 1880 article in Harper's, the bird had four wings and two heads and could whistle through one bill while singing through the other. Anyone who has ever been on a snipe hunt will know what hunting ballyhoo birds was like.
(American Heritage Dictionary)


"ballyhoo bird"は羽根が4つ、頭が2つある鳥ということですが、伝説上の鳥、想像上の鳥でしょうか。1つの頭(嘴)でさえずりながら、もう1つの頭(嘴)では違うさえずりをすることができるということですから、なるほど”やかましく宣伝する”という"ballyhoo"の意味に沿っていると思われます。あるいは、そんな奇怪で珍しい鳥を探すとなると、”無暗な大騒ぎ”に発展するという連想から発展した表現でしょうか。

ちなみに研究社の大英和もチェックしたところ、アイルランドのBallyhooleyという地名に関連しているというような説明がありますが、何故アイルランドの地名が”派手な宣伝”の意味に発展したのかについては不明です。

記事はこちら


2012年5月24日木曜日

アップルのデザイン担当にナイト授与 ― knight

アップル社のデザイン担当Vice Presidentである、Jonathan Ive氏がナイトの称号を授与されたというニュースです。

通常ナイト爵は軍功に対して授与されるものだそうですが、iMacやiPadなどの斬新なデザインの製品を生み出してきた同氏の業績を評価しての授与に至ったもののようです。


Jonathan Ive - the British designer responsible for Apple's iMac, iPod, iPhone and iPad - has been knighted at Buckingham Palace.

The 45-year-old said the investiture in front of the Princess Royal was "really thrilling and particularly humbling".

Now based in the US, Apple's senior vice-president of industrial design flew in to the UK with his wife and eight-year-old twin sons for the event.
(Apple design chief Jonathan Ive is knighted. BBC News. May 23, 2012.)


説明するまでもなく、"ナイト爵”は"knight"ですが、ここでは動詞として使われています。辞書にもちゃんと他動詞として、”ナイト爵を授ける”という意味が載っています。

記事に、授与式の様子を撮影した動画があるのを興味深く見ました。

授与式でJonathan Ive氏がアン王女の前に進み、恭しく跪くと、王女が剣で同氏の右肩、次に左肩を軽く叩きます。これはナイト爵の授与における典型的なやり方のようです。

英単語に"dub"という動詞があり、”剣で軽く叩くことによりナイトの位を授ける”という意味で使われます。


Ive was dubbed a knight for his services to design and enterprise.
(Anna Leach. Apple design chief Jony Ive knighted - but not by the Queen. The Register. May 23, 2012.)


ナイト爵は名誉なものに違いありませんが、よく言われる”公侯伯子男”の序列の順で行くと、その下にさらに准男爵(baronet)という位階があり、その下に位置するようです。

興味深いのですが、"knight"は動詞として”ナイト爵を授ける”という意味がありますが、その他の位階を表現する単語にはそのような動詞の用法がありません。世襲される位階とそうでない位階との違いによるものでしょうか。


2012年5月23日水曜日

つつましく ― didn't break the bank

フェースブック社の株式上場ということで一躍時の人となったMark Zuckerberg氏ですが、プライベートでも充実ぶりを見せています。上場の翌日に、Harvard大で同級生だった女性との結婚を果たしました。

さて、その結婚式はあたかもサプライズパーティーのように、Zuckerberg氏の自宅の裏庭で行われ、招待された友人らをびっくりさせたそうですが、結婚相手の女性が着たウェディングドレスが話題になっています。


Priscilla Chan may have married a billionaire when she said “I do” to Facebook’s Mark Zuckerberg on Saturday, but she didn’t break the bank buying her wedding gown. Chan reportedly chose a reasonably priced $4,700 frock by LA designer Claire Pettibone to wear down the aisle. The “Sky Between the Branches” gown features “matte sequins and ivory cut-out embroidery” with a “sheer back,” according to Pettibone’s Web site.
(Sensibly priced. The New York Post. May 22, 2012.)


現代の億万長者とも言われるZuckerberg氏との結婚式のドレスがたったの$4,700ということが取り上げられているようです。”たったの”といっても金額的には高価な買い物だと思いますが、住む世界が違う方々の話ということで・・・。

今日取り上げたいのは、"she didn't break the bank buying her wedding gown"という下りにある、"break the bank"という表現です。

文字通り、”銀行を潰す”という解釈をすれば、(今回のウェディングドレスが)銀行を潰してしまうような高価な買い物ではなかった、という理解ができますが、辞書を引くと、"break the bank"という成句としてちゃんと載っています。

この成句は口語の表現ですが、主に否定文で用いられ、”金額的に大した額ではない”ことを表現するのに使われます。

もう1つ用例を見てみましょう。


In putting this report together, PC World worked with Wilhelm Imaging Research (www. wilhelm-research.com), an Iowa company whose founder, Henry Wilhelm, has been researching photo print longevity for more than 30 years and is considered a leading expert on the subject. The Wilhelm study included test data on recent photo ink jet printers from four major vendors-Canon, Epson, Hewlett-Packard, and Lexmark. Our conclusions: You don't have to break the bank to keep your photos vivid. But you do need to choose your printer -- and its paper-carefully.
(Anush Yegyazarian. Fight photo fade-out. PC World. 2001.)


形容詞的に用いられている用例もあります。


The companies have not disclosed how much the layoffs will cost, but Wayman said it will not be a "break the bank," number.
(Michael Davis. Melding cultures high on to-do list; Compaq, HP forge a common ground. Houston Chronicle. 2002.)


金額を表現するのに、銀行を潰すレベルかどうかという話はかなり誇張した表現ですが、英語の成句の表現にはこのような誇張が多いと思います。

ちょっと振り返ってみますと、以前にも取り上げた、"pigs might fly"(へそが茶を沸かす)という表現は極端な誇張が逆にあり得ないことを表現するために使われています。また、"snowball's chance in hell"や、"split hairs"などの表現も誇張が含まれていると思います。



2012年5月22日火曜日

ピチピチ? ― buxom

勤務先のランジェリーショップをセクシー過ぎるという理由で解雇されたという女性が訴訟を起こしたという記事をNew York Post紙で見つけました。


She was ”too hot” -- to work in a lingerie shop!

A buxom 29-year-old New Jersey woman claims managers at an intimate apparel outfit told her to tape down her breasts, before firing her because she was too sexy for the office.

“It was very shocking, very humiliating,” said Lauren Odes, who filed a complaint against Native Intimates to the Equal Employment Opportunity Commission.

”It was a crazy experience, unlike anything I’ve ever been through.”

Odes and her lawyer, Gloria Allred, said she spent one humiliating week at the Fifth Avenue garment business in April.
(Rebecca Rosenberg. Gal claims she was 'too hot' to work in lingerie shop, forced to wear robe before getting boot: suit. The New York Post. May 21, 2012.)


何がセクシー過ぎるのかと言うと、答えは冒頭にある、"buxom"です。"buxom"という単語をご存知でしょうか?

辞書を引くと、


(女性が)肉付きの良い、胸が豊かな


といった訳語が確認できると思います。余談ですが、使っているケータイにジーニアスモバイル英和がインストールされているのですが、"buxom"を引くと上記のような訳語に加えて、


ピチピチした


という訳語があり、笑ってしまいました。ピチピチギャル、という表現はもはや死語ではないでしょうか?”ぴちぴちした”という訳語はプログレッシブ英和辞典(小学館)にも見られます。

さらに笑ってしまうのですが、研究社の大英和を引くと、”ボインの”(!?)とあります。これまた、死語ではないかと思うのですが、英和辞典の訳語というのは時々びっくりするようなものにめぐり合うことがあります。

記事の話題に戻りますと、解雇された女性は言いようのない屈辱を受けたと主張しており、記事を読む限りは酷い扱いではないかと思われます。タブロイド紙とされるNew York Post紙ですが、この話題に関しては事実ベースで冷静に伝えているように思えます。

そういう意味では、"buxom"という単語に着目すると、


healthily plump and ample figure (American Heritage Dictionary)


という定義であることからも、女性の容姿を形容するのには極めて中立的な表現であると思われます。”ピチピチした”という表現とはちょっと違うのではないかと思う次第です。ましてや、”ボインの”というのは・・・?


2012年5月21日月曜日

金環食、観察しましたか? ― annular eclipse

先週後半くらいからマスコミでもこの話題でもちきりでしたが、今朝7時30分前後くらいから金環日食が日本列島の太平洋側で観測されました。みなさん観察されましたか?


Millions of Asians watched as a rare "ring of fire" eclipse crossed their skies early Monday.

The annular eclipse, in which the moon passes in front of the sun leaving only a golden ring around its edges, was visible to wide areas across the continent. It will move across the Pacific and also be seen in parts of the western United States.

In Japan, "eclipse tours" were arranged at schools and parks, on pleasure boats and even private airplanes. Similar events were held in China and Taiwan as well.
(Elic Talmadge. Millions look skyward as rare eclipse crosses Asia. The Associated Press. May 20, 2012.)


金環食のことを英語で何と言うのかと思っていたら、"annular eclipse"であると分かりました。"annular"を"annual"と読み違えそうになりました。スペルが似通っているのは語源も近い証拠!?と思いきや、実は違います。

"annular"は、”環状の、輪状の”を意味する形容詞で、ラテン語で”輪”を意味する"annulus"("anus")に由来しています。(ちなみに、肛門を意味する"anus"という英単語も同語源です。)

一方、"annual"の方ですが、”一年”を意味するラテン語の"annus"(Nが1つ多い!)に由来しています。

金環日食は、国内では25年ぶり(時事通信)、これほどの広範囲で観測されるのは平安時代以来の932年ぶり(読売新聞)、などと報道されていますが、なるほど、"annual"(毎年)見られるものではありませんね。

私も今朝は、小学生の娘が学校から貸しだされた日食グラスを使って、雲の切れ目から環状の太陽を観察することができました。(書店では付録に日食グラスのついた雑誌は売り切れということでした。)

ひょっとしたら一生に一度の体験だったのかも知れませんが、観察できてよかったと思いました。


2012年5月18日金曜日

ビートルズ ― Beatle

ビートルズファンの方には申し訳ない話ですが、ビートルズのバンド名である、"The Beatles"についてちゃんと考えたのは今日が初めてです。

"beatles"は、カブトムシを意味していると思っていましたが、カブトムシは"beetle(s)"であり、"beatle(s)"というスペルの単語は元々はなかったんですね。

"beatle(s)"という単語は、"The Beatles"という固有名詞を除いては、存在しないということになります。

どうしてこんなことを確認するに至ったかと言いますと、ビートルズのメンバーであったジョン・レノンを殺害した容疑者が別の刑務所に移送されたという記事に出くわしたからなのです。


BUFFALO — John Lennon's killer has been transferred to another maximum-security state prison in western New York after spending more than 30 years in Attica Correctional Facility.

The Buffalo News reports that 57-year-old Mark David Chapman was transferred Tuesday from Attica to the nearby Wende Correctional Facility in Alden, 20 miles east of Buffalo.

(中略)

Chapman fatally shot Lennon in December 1980 outside the Manhattan apartment building where the former Beatle lived. Chapman pleaded guilty to second-degree murder and was sentenced in 1981 to 20 years to life in prison.
(John Lennon's killer Mark David Chapman transferred to another NY prison. New York Post. May 16, 2012.)


この記事で、ジョン・レノンのことを、


the former Beatle


と表現しています。"Beatles"ではなく、"Beatle"であることに注目です。複数形ではなく、敢えて単数形で表記しているのです。

ビートルズのメンバーは4人でした。ランダムハウス英和辞書では"Beatles"のエントリがありますが、それが4名からなる英国のロックグループであるということを説明したうえで、


その一人は a Beatle


という補足をしています。これはある意味発見でした。American Heritageでも、Merriam Websterでもそのような補足説明はありませんでしたので。(5月14日の記事、"getting hoed into"に引き続き、ランダムハウスの情報量に今更ながら感心しています。)

元々は、"Silver Beetles"と名乗っていたのが、その後"The Beatles"になったようですが、"beet-"から"beat-"へのスペルの変遷には、カブトムシの"beetles"と、音楽のビートである"beat"の両方の意味をかけたもの、ということのようです。これもファンの方には常識かもしれませんが、知りませんでしたねぇ。


2012年5月17日木曜日

フリスク? ― frisk

卑近な話題から。”フリスク”というお菓子がありますが、会社での会議でうたた寝してしまわないよう眠気覚ましに使った経験のある方もいると思います。

”フリスク”は、"FRISK"とスペルされているかと思いますがこれが英単語の"frisk"なのかどうか知りませんが(調べても分かりませんでした)、今日はこの"frisk"という単語を取り上げます。


A lawsuit alleging racial bias in the New York Police Department's so-called stop-and-frisk tactics will proceed under class-action status, clearing the way for thousands of plaintiffs to be added to the legal challenge and potentially widening the scope of court-ordered changes if the lawsuit is successful.
(Judge Clears Stop-Frisk Class Action. The Wall Street Journal. May 16, 2012.)


"stop-and-frisk tactics"という表現の中で、"frisk"が出てきます。一体何のことでしょうか?

記事のタイトルと内容から、人種差別に関する話であることが分かります。ニューヨーク市警の人種差別的な "(stop-and-frisk) tactics" が集団訴訟を招いた、と読めます。

"frisk"をランダムハウス英和辞書で引くと、


(はしゃいで)飛び跳ねる、飛び回る;ふざける、じゃれる


という動詞の意味がまず出てきます。この意味では、"stop-and-frisk tactics"が解釈できません。続く説明を見ると、


(武器などの有無を調べるために衣服の上から触って)身体検査する、ボディーチェックする


という意味があることが分かり、なるほど警察の話としてはこの意味だと何となく理解できます。記事の続きを読むと、もう1か所、"frisk"が使われている個所に出くわします。


Her (=Judge Shira Scheindlin) ruling could dramatically expand a 2008 lawsuit filed by four individuals who claimed their constitutional rights were trampled by the city's effort to combat crime through stopping, questioning and sometimes frisking those suspected of street crimes.
(ibid.)


ここを読んで"frisk"が意味するところはやはり警察官が行うボディーチェックの意味であることはほぼ確信できるでしょう。さらに、"stop-and-frisk tactics"とは、恐らく警察官が通行人を止めて職務質問し、さらにボディーチェックを行うこと、そのことを指しているのだろうと思われます。そのやり方が人種差別的だったために、訴訟に至ったというところでしょうか。

冒頭の話題に戻ると、清涼菓子の”フリスク”につながるような意味ではありませんでした。"FRISK"の原産国はベルギー(現在はオランダ)ということですから、英単語ではないのかもしれません。いずれにしてもこの清涼菓子のブランド名の由来は分かりません。

ちなみに、"frisky"という形容詞がありますが、これは”よく跳ねまわる、よくじゃれる”という意味で、ランダムハウスでは、”Friskiesは米国Carnation社製のキャットフード”という説明があり、面白いというか興味深いというか・・・。(日本では”フリスキーズ”ではなく、”フリスキー”というブランド名なのですが・・・。)


2012年5月16日水曜日

成人の3割に夢遊病の症状 ― somnambulism

米国の成人の約3割に、眠っている間に歩き回る、夢中歩行の経験があるという調査結果がニュースになっています。これは驚くほど多い統計ではないでしょうか?


About 30% of adults in the USA have experienced nighttime wanderings, and those with sleep apnea or psychiatric disorders such as depression or obsessive-compulsive disorder are at higher risk, finds the study of 19,136 Americans ages 18 and older. Antidepressants, sleeping pills and certain other medications can increase the risk, but they appear to bring on events in people with a history of sleepwalking.

"I would like to correct the impression that sleepwalking is rare," says study author Maurice Ohayon, professor of psychiatry and behavioral sciences at the Stanford Sleep Epidemiology Research Center. "This is a huge number of people."

Participants were asked in phone surveys about their sleep habits, general health, medications and mental disorders. People who wandered at night at least once during the year were more likely to have a family history of sleepwalking — and often tread on quality sleep for household members. Ohayon says that's how most know of their somnambulism. "Their partners will wake up in the morning and tell them about it. It can be very disruptive to others, while the person walking at night can be quite unaware."
(Janice Lloyd. 30% of U.S. adults have sleepwalked, study finds. May 14, 2012.)


”夢中歩行”と書きましたが、これは記事のタイトルにある、"sleepwalk"の訳語です。(ランダムハウス英和辞書)

夢遊病、あるいは夢遊症と訳されることもあるようです。"sleep"と"walk"を結合したもので、知らなくても意味が分かる、分かりやすい単語です。

一方、記事にはもう1つ、"somnambulism"という単語も出てきます。こちらは学術的な響きがしますが、成り立ちは"sleepwalk"と同じで、


睡眠、眠りを意味する"somno-"(ラテン語somnusより)という接頭辞に、歩くという意味のラテン語"ambulare"


が結合したものです。

調査結果は18歳以上の米国人、約1万9千人に対して行われ、過去1年において睡眠中に歩いたという経験が1度以上あると回答した人が約3割に上ったということです。うつ病などの精神疾患を患っている場合には、症状が現れるリスクが特に高いという統計もあるそうです。調査を実施した、Stanford Sleep Epidemiology Research CenterのMaurice Ohayon教授によると、この数字は(予想よりも)非常に大きい数字であり、もっと夢中歩行という症状に関心が向けられるべきとコメントしているそうです。

これを読んでいるあなたも、今晩あたり眠りながら歩いているかも?

記事はこちら

2012年5月15日火曜日

ウィルスで発電!? ― piezoelectricity

”ウィルスを使って発電”、という見出しにびっくりです。


BERKELEY, Calif. (KGO) -- It's not often you hear something good about a virus. They can make you sick, or wreak havoc on your computer. But a special virus being studied at the Lawrence Berkeley National Laboratory could one day add years to your life.

A little science experiment could be heralding big things to come. By pressing down on a thin rubbery film, Professor Seung-Wuk Lee is generating electricity -- enough to power a small digital circuit.
(Jonathan Bloom. Researchers generate electricity with viruses. ABC7News. May 15, 2012.)


一体どういう仕組みなのでしょうか?ABCの記事ではビデオを見ることができますが、別の記事で分かりやすく説明しているのを見つけました。


LONDON: Imagine generating electricity in your footsteps. Sounds utopian. But, this could soon be a reality, say scientists who have developed a paper-thin generator that harnesses the mechanical energy of one's steps. An international team says these "living generators" use viruses to convert the soles of one's shoes into electricity.
(Now, generate power from your footsteps. The Times of India. May 15, 2012.)


まだ実験室レベルの技術ではあるそうですが、ほんの薄紙くらいの厚さに仕込まれたウィルスに圧力を加えることにより、微弱な電力を得られるということで、靴に摘要すれば歩くという日常動作により電気を得られるということにもつながるそうです。


The viruses convert the force of the tap into an electric charge. This generator is the first to produce electricity by harnessing the piezoelectric properties of a biological material. Piezoelectricity is the accumulation of a charge in a solid in response to mechanical stress. The milestone could lead to tiny devices that harvest electrical energy from the vibrations of everyday tasks such as shutting a door or climbing stairs, the 'Nature Nanotechnology' reported.
(ibid.)


これは、ウィルスが圧力を受けた時に発電する反応を示す”圧電効果”を利用したものであると解説されています。”圧電効果”により得られる電力を圧電気(piezoelectricity)と表現しています。

"piezo-"は、”圧力、圧”を意味する接頭辞で、ギリシャ語のpiezein(押す)に由来しています。

ジョギングシューズに適用して、携帯電話や携帯音楽プレーヤーの電源に、などという日が来るのでしょうか?

2012年5月14日月曜日

食われた? ― getting hoed into

先日妻が庭の片隅でハチの巣を見つけました。植木の周囲に作りかけていたもののようで、まだ小さかったので除去して空き地の茂みへ放っておきました。このような処置が正しい処置だったのかよく分かりませんが、ハチはやっかいです。

オーストラリアのクイーンズランド州(Queensland)にあるTownsville郊外で、10代の男の子がハチに襲われたという一件の記事から引用します。


A TEENAGE boy was stung more than 100 times in a freak bee attack at Pallarenda, a surburb north of Townsville, on Sunday.

Royce Abraham, 15, was bushwalking with his father, brother and two others at Bald Rock when he was attacked by the swarm of bees, the Townsville Bulletin reports.

It is believed the teen disturbed the hive as he walked past, with the European honey bees stinging him largely on his face, neck and ears.

Royce's father Gary Abraham said he picked out at least 100 stingers from his son.

"They swarmed him and he cried out and tried to get away," he said.

"He was in a lot of pain. He rated it as eight or nine on the scale.

"It wasn't very good watching him getting hoed into."

Fortunately, the Pimlico State High School student didn't have any allergic reactions to the stings, and was taken in a conscious state to Townsville Hospital for treatment.
(Emma Channon. Teenage boy survives 'more than 100' stings in bee attack near Townsville. The Courier Mail. May 14, 2012.)


父親らとハイキングを楽しんでいたところ、誤ってハチの巣をつついてしまったのか、100か所以上を(100回以上)刺されてしまいました。幸い大事には至らなかったようですが、引用記事の最後から2段目の、


It wasn't very good watching him getting hoed into.


という父親のコメントで使われている、"hoed"という単語が最初理解できませんでした。構文からすると、"hoed"は動詞であることは分かりましたが、原形が"ho"なのか、"hoe"なのかをまずチェックしたところ、恐らく"hoe"という動詞であろうということになりましたが、今度はその意味するところが分かりません。

"hoe"は名詞で”鍬”、動詞では”鍬を入れる、鍬で掘る、除草する”という意味ですが、さて、"getting hoed into"という表現がこのコンテクストで意味するところはよく分かりません。

手持ちの色々な辞書を見ましたが、ランダムハウス英和辞書のみで、


(豪・NZ 話)・・・を盛んに食べる(in, into...)


という説明があり、これがヒントになりました。

確信はありませんが、コンテクストからして、ハチに刺されたことを、"getting hoed into"と表現しているのではないかと思われました。よく蚊に刺されることを、”蚊に食われる”と表現したりしますが、それと同じなのではないかと。

"hoe into"が”盛んに食べる”という意味である、という説明を載せているのはランダムハウスくらいで、研究社の大英和もAmerican HeritageもMerriam Websterも、そのような説明は全く見当たりません。

”豪・NZ 話”とあるように、恐らくはオーストラリア、ニュージーランド英語の表現なのだろうと思います。ちなみに、"hoed into"というフレーズでググってみますと、”食べる”という意味での用例をいくつか確認することが出来ました。ブログの投稿での用例でしたのでここに引用しませんが、やはりオーストラリア人のブログでした。

ただ食べるのではなく、”盛んに”食べる、ということですから、ハチの大群が一斉に襲いかかる様を表現しているとも言えます。

2012年5月11日金曜日

force one's hand

アメリカで同性婚の問題が議論を巻き起こしていますが、オバマ大統領が同性婚を認める歴史的な発言を行いました。わたしはこの同性婚の問題にあまり詳しくありませんが、CNNの記事によりますと過去の世論調査(アンケート)では、同性婚に賛成が27%なのに対して、反対は68%と、反対派が圧倒的に上回っていましたが(1996年)、近年では53%が賛成、45%が反対と逆転(2011年)しているそうです。

オバマ大統領が同性婚を認める発言に至ったのは、こうした世論の変化を反映したもの、また大統領選への影響を懸念したものとも言われていますが、ニューヨークタイムズ紙の記事によると、大統領より先に副大統領であるバイデン氏が”先走って”しまったことがある、ということです。


WASHINGTON — A few hours before President Obama offered his historic endorsement of same-sex marriage on Wednesday, Vice President Joseph R. Biden Jr. apologized to the president in the Oval Office for forcing Mr. Obama’s hand by airing his own views three days earlier, several people briefed on the exchange said on Thursday.

Mr. Biden declared in an interview on Sunday that he was “absolutely comfortable” with same-sex marriage, a position that went considerably further than the president’s “evolving” views on the matter and scrambled the White House’s carefully laid plans for confronting one of the most sensitive social issues in the election.

Mr. Obama, in an interview with ABC News, said the vice president had gotten “a little bit over his skis” but had done so “out of generosity of spirit.” The president bore Mr. Biden no lingering ill will, according to several officials, though the episode enraged Mr. Obama’s senior advisers in the White House and on the campaign.
(Biden Said to Apologize to Obama Over Gay Marriage Issue. The New York Times. May 10, 2012.)


大統領選で争点にもなる、もっともSensitiveな問題の1つでもあるこの同性婚の問題について、バイデン氏が大統領にさきがけて肯定的な発言をしてしまったことで、ホワイトハウス側を混乱させてしまったそうですが、これは個人的な見解のつもりが政府の公式発言と取られてしまい、いわゆる”先走ってしまった”発言ということになります。

さて、"force Obama's hand"という表現に注目します。これは、"force one's hand"という成句ですが、


(人に)行動を強いる、真意(意図)を明かさせる


という意味で用いられます。先走った発言が事実上政府見解とならざるを得ない状況になってしまった、ということです。

この成句はトランプゲームに由来しています。"hand"とはトランプゲームでの手持ち札のことを指しており、手持ち札を強制的に明かさせる、ということから手の内(真意)を明かさせる、さらに行動を強いる、という意味に発展したものです。

2012年5月10日木曜日

訃報: Vidal Sassoon氏 ― snipper

今朝、Google Newsにアクセスしたら日本(Japan)版のトップニュースで世界的ヘアスタイリストである、ビダル・サスーンさんの訃報を伝えていました。リードでは、”世界的に活躍したヘアスタイリスト”(毎日新聞)という表現がされていました。日本でもシャンプーなどのブランドでおなじみだと思いますが、この手の話題に程遠い、男の私も昔にコマーシャルで幾度となく見たので名前を覚えているくらいです。

早速、(Google Newsの)US版にアクセスしてみました。やはりトップニュースの扱いでしたが、最初に目についたのが下記のUSA Today紙の記事でした。


Vidal Sassoon — arguably the world's first celebrity snipper, whose name became synonymous with cutting-edge cuts and, later, slapped on shampoo bottles, a staple of a suburban woman's grooming regimen — died Wednesday of natural causes at his home in Los Angeles. He was 84.
(Olivia Baker. Vidal Sassoon merged style, business savvy. USA Today. May 9, 2012.)


まず目に留まったのは、"snipper"という表現です。聞きなれない表現です。手持ちの辞書に"snipper"というエントリはなく、"snip"という単語を参照しますと、


(動詞)チョキチョキ切る
(名詞)チョキンと切ること;チョキチョキ切る音


と出ています。"snip"のこれらの意味から、"snipper"が髪切り、あるいは髪切りを生業とする人のことを指すのだろうということは想像がつきますが、なぜかそのような意味(つまり床屋とか理容師、美容師といった訳語)は載っていないのです。

他のメディアの報道も見てみますと、主なところでは下記のようなヘッドラインです。


Vidal Sassoon, hair-care pioneer, has died (msnbc.com)

Hairstyling pioneer Vidal Sassonn dies at 84 in LA (Business Week)

Celebrity hairstylist Vidal Sassoon dies at home in LA (telegraph.co.uk)

Vidal Sassoon, Hair Styling Icon, Dies (Fox News)


"pioneer"、"celebrity stylist"、"hair styling icon"といった表現が目立つ中、"(celebrity) snipper"という表現を敢えて使ったUSA Today紙の記者の意図に関心があります。

"pioneer"や"icon"といった表現がほとんど最大級の賛辞であるのに対して、"snipper"はどちらかと言えば少し貶したような言い方、よく見積もっても当該の職業を表わすのに相応の表現でしかないように響きます。亡くなったSassoon氏ほどの有名人であればこそ、このような表現が逆に氏の偉大さを浮き彫りのするのかも知れません。それが"snipper"という表現を使った記者の意図かどうかは分かりませんが、英語において時々このような言い回しが見られるように思います。

ご冥福をお祈りします。


2012年5月9日水曜日

jailbird

大統領選の話題です。下記の記事引用をご覧ください。


Against Obama, even a jailbird gets some votes

CHARLESTON, W.Va. — Just how unpopular is President Barack Obama in some parts of the country? Enough that a man in prison in Texas is getting 4 out of 10 votes in West Virginia's Democratic presidential primary.
(Lawlence Messina. Against Obama, even a jailbird gets some votes. The Associated Press. May 9, 2012.)


記事タイトルに出てくる、"jailbird"とは何のことでしょうか?

ランダムハウス英和辞書によると、


囚人、前科者、常習犯


と出ていました。なるほど、"jailbird" の "jail" は監獄を意味する "jail" です。後半の "bird" という語尾に興味が出てきました。”鳥”を意味する "bird" なのでしょうか?

"bird" には、鳥を意味する他に、俗語的に人のことを指す意味でも用いられます。この場合は、”~なやつ(奴)”、”~な野郎”、といった日本語の表現に近く、ある種の蔑みを持って使う呼称であることが多いようです。例えば、


early bird = 早起きの人


という表現は聞いたことがあると思います。必ずしも蔑みの表現ではないとは思いますが、他の例として "clever bird"(かしこい奴)、"odd bird"(変わった奴)、などの表現もあります。これらの表現は、形容詞プラス、"bird" という、2語の形式を取っています。形容詞を変えればいくつもの表現が作れそうです。

一方、"jailbird"は1語であり、"jail"は形容詞ではなく名詞であることにも注目してみましょう。このような形の表現は他にあるのでしょうか。電子辞書は便利なもので、後方一致検索により、似たような単語を検索することができました。


homebird(出不精の人)
yardbird(jailbirdに同じ)
railbird(競馬好きの人; 競馬の走路の柵 (rail)にしがみついているイメージから生まれたそうです)


ところで今日の単語のきっかけになった記事のタイトル、”囚人さえも(大統領選で)得票”とは一体どういう事態なのか気になります。

記事のつづきを読むと分かりますが、囚人さえも大統領選に直接絡む存在になりえるとは、自由と平等の国アメリカのシステムというのは或る意味すごいものだと思わずにいられません。



2012年5月8日火曜日

自動運転自動車は実現するか? ― keep tabs on

グーグルが自動運転自動車(self-driving car)の開発に取り組んでいるとは知りませんでした。


LAS VEGAS -- Nevada drivers could soon be sharing the road with vehicles that don't need them.

Department of Motor Vehicles officials said Monday they've issued Google (GOOG) the nation's first license to test self-driving cars on public streets, after conducting demonstrations on the Las Vegas Strip and in Carson City that show the car is as safe -- or perhaps safer -- than a human.

"It gets honked at more often because it's being safe," said Nevada DMV Director Bruce Breslow.
(Michelle Rindels. Google receives nation's first license to test self-driving car on public streets. The Associated Press. May 7, 2012.)


米国・ネバダ州で、無人運転自動車を公道で試験運転するライセンスを取得した、というのが上記の引用記事です。”有人”運転自動車と同等、あるいはそれ以上の安全性だといいます。本当でしょうか?"It gets honked at more often because it's being safe"というコメントにはなるほど、というか皮肉にも聞こえます。無人運転自動車の仕組みの一端は記事でも解説されていますが、レーダー技術などを用いることにより障害物や人などを検知し、距離を計算して自動的に減速したり、ブレーキをかけたりするというものです。安全のためのバッファゾーン(a virtual buffer zone)が設定されているようです。無人運転自動車の方が有人によりも”安全”とは、それだけバッファが十分であるということであり、逆に言えば有人の場合はバッファが少なすぎる、という皮肉とも取れます。

自動(無人)運転自動車の実現可能性を期待させる記事ですが、現実には緊急対応のために2人の要員が同乗することが求められています。


While some envision the robotic car dropping off its operator at the front of the mall and hunting for a parking spot on its own, Breslow said not so fast.

Nevada's regulations require two people in the test cars at all times. One person is behind the wheel, while the other person monitors a computer screen that shows the car's planned route and keeps tabs on roadway hazards and traffic lights.

If there's a glitch, the human driver can override the autonomous auto with a tap on the brake or a hand on the steering wheel.
(ibid.)


2段落目にある、"keep tabs on"という成句に注目します。この成句は、


注意する、監視する、・・・から目を離さない


という意味で用いられます。"keep a tab on"という形もあります。ここで"tab"とは何を指しているのでしょうか?

"tab"には色々な意味がありますが、レストランの勘定書きのことを指しています。以前に、"pick up the tab"という成句を取り上げましたが、その"tab"と同じ"tab"です。

勘定書きの"tab"がなぜ監視の意味につながってくるのかということですが、私はレストランや食堂で追加注文をした時のことを思い出してしまいます。最初に注文すると多くの店ではウェイター、もしくはウェイトレスが注文を取り、その内容を紙に記入、あるいは手持ちの端末に入力します。端末に入力されたところで結局は紙に印刷されたものが料理と共に運ばれてきてテーブルに置かれるのですが、それらの"tab"は支払い金額の証拠になっているわけですが、追加注文をするとその"tab"に次々と追記されていきます。店員も客もその"tab"の存在を”常に気にしている”訳で、"tab"とはそのような存在なのではないでしょうか?というのが私の勝手なこじつけですが・・・。


2012年5月7日月曜日

誘拐事件: Amber Alertって何? ― Amber Alert

まずは下記の引用記事をご覧ください。


Two bodies were found today in Mississippi in the search for a missing Tennessee mother and her three daughters, which investigators said led them to issue an Amber Alert for the missing family.

When they announced the Amber Alert, Mississippi police said only that new details led them believe Jo Ann Bain, 31, and her three daughters, Adrienne, 14; Alexandria, 12; and Kyliyah, 8; were abducted and could be in extreme danger.

An FBI spokesman said this evening that the two bodies had been found, but said they had not yet been identified.
(Two Bodies Found in Search for Missing Tennessee Mom, Three Daughters. ABC News. May 5, 2012.)


この記事に出てくる、"Amber Alert"が何を指すのか分かりませんでした。"alert"ということから何かの警告、警報の類であることは何となく分かりますが、こういうのは知っていないと何のことか分からないものです。

手元の辞書を参照しましたがエントリはありません。

"Amber Alert"というスペルから、つまり語頭が大文字であることから固有名詞であることが分かります。ネット検索した結果、"Amber Alert"とは、誘拐事件発生時の緊急警報システムのことであることが分かりました。この警報システムは米国司法省の管轄下にあるようで、検索結果にはオフィシャルウェブサイトもリストアップされました。

具体的にどのような警報システムかというと、誘拐事件が発生が疑われ、事態がいくつかの基準を満たす場合に、テレビやラジオなどのマスコミ、またハイウェイの情報表示板、加えて近年ではインターネットや電子メール等のインフラを通じて事件の発生が知らされるものです。

"Amber Alert"という表現の由来についてですが、"Amber"はこの警報システム設置の発端となった誘拐事件の被害者である子供の名前(ファーストネーム)に由来するようです。また、"America's Missing: Broadcasting Emergency Response"の頭文字をとったものでもあるということです。(以上、Wikipediaによる。)略語ということで、スペリングも"Amber Alert"ではなく、"AMBER Alert"と敢えてしているものも見られます。私は、黄色信号を意味する"amber"(=yellow)のことかと思いましたがそうではないようです。

日本だと誘拐事件発生時には被害者へ危害が及ぼされることを危惧して報道管制が敷かれると思いますが、アメリカという国は全く逆にこのようなアラートを出すというのは対照的というか、興味深いシステムのように思われます。

2012年5月4日金曜日

エリザベス女王がケーキに ― Diamond Jubilee

エリザベス女王の在位60年の祝賀に関するニュースがイギリスのメディアで話題です。英語では、"the Diamond Jubilee"と呼ばれています。


One of the more unusual tributes being planned for the Diamond Jubilee is a new portrait of the Queen - but one being made out of cakes.

The idea of German-born chef Gerhard Jenne from Konditor & Cook, the image will be made up of 3,120 individual cakes - one for every week of her reign - iced to create a pixellated composite portrait.

The final cake portrait, which will be displayed in London's Battersea Park, will take three to four days to create - and once unveiled, the public will be invited to buy a piece of it, in exchange for a charity donation.
(The Queen - in cake form. BBC News. May 3, 2012.)


エリザベス女王のポートレートを、何とケーキで再現するという試みが記事で取り上げられています。

在位60年ということで、60年間の週、つまり52週x60=3,120個のケーキが女王の顔を構成しているそうです。そのメイキングについては記事のビデオ映像からうかがうことができます。

さて、"the Diamond Jubilee"についてですが、何故”ダイヤモンド”(Diamond)なのか、という素朴な疑問が出てきました。

”ダイヤモンド婚”などとも言われますが、これは結婚60周年(あるいは75周年)を祝うものです。他には金婚式(50周年)、銀婚式(25周年)などがよく知られています。

ダイヤモンドが60(あるいは75)という数字にリンクしている理由は定かではありません。結婚記念日を祝うのに年数が浅いうちはより脆く、安っぽいものから始まり(例えば1周年の紙婚式や10周年のアルミ婚式など)、年数を重ねるに連れて徐々に硬く、高価なものへとシンボルがグレードアップしており、その最高峰がダイヤモンドというだけのことなのかも知れません。

"jubilee"というのは50周年を記念する記念祭、祝賀行事を指していますが、これに"silver"や"golden"などがつくことで年数が変わります。

25年を銀(silver)、50年を金(golden)としているのは結婚記念日も"jubilee"(記念祭、祝賀行事)も同じですが、ダイヤモンドについては、60だったり、75だったりするようです。

元々イギリスにおいては"the Diamond Jubilee"は75周年の祝賀だったようですが、ヴィクトリア女王の在位60年を1897年に祝賀して以来、60周年の祝賀という意味がほぼ定着したもののようです。

下衆の勘繰りですが、50周年(golden jubilee)の次が75周年(diamond jubilee)というのは少し間が開き過ぎでハードルが高いので自然と60周年に落ち着いたのではないかと思うのですが・・・。勿論典拠などありません(笑)

2012年5月3日木曜日

シェア奪回なるか ― claw back

おはようございます。ゴールデンウィーク後半戦、関東では昨晩から土砂降りの雨が降っています。

さて、ブラックベリーという携帯端末を小生はあまり詳しく知りませんが、会社の同僚や上司で使っている人を知っているのでどんなものかくらいは知っています。

手のひらサイズの小さな端末にキーボードよろしく小さなボタンがびっしりと並んでいるのを見るとあまり欲しいとも思わないのですが(特にそれが会社のメールシステムとシンクロしていてメールが入るたびにお知らせしてくれるとあっては)、最近はユーザーが減ってきている傾向にあるらしいことがよく報道されているのを見かけます。iPhoneやiPadやら、アップル社の新製品に圧されているということなのですが、そりゃあそうでしょう、という感じもするのですが。


BlackBerry maker Research in Motion has shown off advanced new features that will be available on new BlackBerry 10 smartphones - and a new prototype - but analysts are already questioning whether it's "too late" to claw back market share lost to giants like Apple and Google.

The sneak peak of its yet-to-be-launched operating system at the BlackBerry World conference in Orlando, Florida, brings the ailing smartphone and tablet maker a step closer to what some have described as the most crucial launch in the company's history.
(Ben Grubb. New BlackBerry teased but critics say it's almost 'too late' for RIM. The Sydney Morning Herald. May 3, 2012.)


この記事において、"claw back"という表現に目が留まりました。

"claw"とは爪のことですが、"nail"がどちらかというと手や足の爪そのものを指す(fingernailやtoenail)のと違って、特に獣が持つ鉤爪とその周囲全体を含めた構造を指しているように思われます。(尤も、"nail"の定義には、"a claw"が含まれており、厳密な差異が存在するということでもなさそうですが。)

"claw back"の意味ですが、


(物を)(苦労して、努力して)取り戻す


とあります。(ランダムハウス英和辞書)

この記事の話題で言えば、アップル製品へと離れて行ったユーザーや市場シェアを取り戻す、ということです。鉤爪を意味する"claw"という単語の響きもあって、甚だ野性的な表現のように思われますが、コーパスで使用例を検索してみると、ヒット数だけで見るとどちらかと言えばアメリカ英語よりもイギリス英語でよく使われる表現のようです。(Corpus of Contemporary American EnglishとBritish National Corpusでの比較)

2012年5月2日水曜日

現代的“ネット上を飛び交う” ― ping around

ゴールデンウィーク真っ只中、あいにく関東地方の天気は昨日から良くなく、今日は昼くらいから大雨ということですが、今日も元気にお送りしてまいります。

まずは米国流には"weird news"(変なニュース)と呼ばれる、三面記事的なお話ですが、下記の引用をご覧ください。



Bad idea: Florida couple use SUV to tow grandkid in toy car


It's only May 1, but a Florida couple arrested this week are sure to make any "worst-grandparents of the year" list if law enforcement claims are true.

A Sarasota County sheriff's deputy arrested the pair on suspicion of using dog leashes to hitch their 6-year-old granddaughter's toy car to their SUV, dragging it (and their granddaughter) up and down the street for a day of fun in the sun.
(Rene Lynch. Bad idea: Florida couple use SUV to tow grandkid in toy car. Los Angels Times. May 1, 2012.)


フロリダ発、孫が乗ったおもちゃの車を自家用車のSUVで引っ張った祖父母を逮捕、といったところでしょうか。

馬鹿げたことをするのは日本もアメリカも変わらないんですね。

さて、その記事の続き。


The scene was enough to make the sheriff's deputy stop in his tracks during his Sunday afternoon patrol: "The small car was attached to the [SUV] with two dog leashes tied together then tied to the trailer hitch. The child was wearing a swimsuit only and had no protective gear on whatsoever. I estimated the vehicle speed to be 5 to 10 miles per hour," according to police records posted on The Smoking Gun.

(中略)

When the deputy stopped grandparents Paul and Belinda Berloni, he said, he found that they had both been drinking.

The grandmother suggested the deputy was just being a party pooper, according to the report.
(ibid.)


全く偶然ですが、昨日取り上げたばかりの"party pooper"が出てきましたね。

現場を目撃した警官に対し祖父母が食ってかかったようですが、祖父母は酒に酔っていたようです。


"[She] stated that she understood that it was dangerous to drag a child behind the vehicle but stated they were just having fun and had been doing this all day," according to the report.

The deputy called the girl's father who arrived on the scene and began yelling at his mother, saying ... well, we can't repeat what he said. But you can read the salty language for yourself in the police report.

Thankfully, the deputy said, the little girl was unharmed. That almost makes the story kind of funny, which might explain why it was pinging around the Internet on Tuesday.
(ibid.)


行為そのものが危険と分かっていながら楽しくてやった、とは酔っ払いに違いありませんが、幸いにして孫娘に怪我はなかったとのことです。最終段落、”故にこのニュースはバカ話ということで落着で”、"pinging around the Internet"した、とあります。

今日はこの、"pinging around"を取り上げました。

意味的には、(このバカ話のようなニュースが)ネット上を飛び交った、ということだろうと思います。それで、辞書で"ping"というエントリをチェックするのですが、そのような意味は載っていません。見つかるのは、”鋭い金属音、ピシッという音”という意味です。

PCやインターネットに詳しい方はご存知かと思いますが、ネットワークの疎通を確認するために"ping"と呼ばれるプログラムを実行することがあります。これは操作するコンピュータから信号を発して、目標とするシステムやサーバーから反応が戻ってくるかどうかを確認するものなのですが、潜水艦が対象物との距離を測定するために用いるソナー(sonar)の技術にヒントを得たものであるということです。(Wikipediaによる)

もうひとつ、"ping-pong"(ピンポン)という単語も思い出すのですが、こちらは商標名であり、"ping"との直接的な関係はなさそうです。

"ping around"に話を戻しますと、ニュース記事が話題になってあちこちの掲示板やSNSで話題になり、1つところからまた別のところへと次々と”転載”されていることを表現していると思われます。

コーパスで"ping around"の用例を調べてみますと、あまり多くの実例は見られません。


I reclipped the Nextel at my waist. I fought to not only clear my lungs, but to clear my thoughts as well -- a Herculean task as hundreds of questions pinged around inside my head.
(Doborah Coonts. Wanna get lucky? 2010.)


I am still unreachable by fax, and beyond the omnipresence of e-mail and the Internet-neither form of communication is possible for me given our phone system. Nor do I have a television. This is one place where the world's lines of communication don't intersect; I'm left loose, like some kind of free radical, pinging around in my own small space.
(Atlantic Monthly. 2000.)


バリエーションとしては、"ping across"、"ping over"というものもあります。

Diamond-headed snakes break the water and submerge again. Belly and I wade in, up to our waists. My skirt balloons out, then starts to sink by degrees as the water soaks in. Something long and cold brushes my bare ankle. I wish I had stolen a pair of militiamen's boots before we left, but it's too late now. We near the cave-dark vestibule of the low building across the street. " Do you think it's still up there? " I ask Belly. My voice pings across the hollow room.
(Alexandra Duncan. Swamp City Lament. 2010.)


I put the phone against my shoulder. Downstairs I hear music. The piano. A brassy tune marches up the stairs, twirls and descends again. "I want to know something, " Marti says. A high C pings over and over like a knife tapping crystal. A music lesson?"
(Steven Schwartz. Ploughshares. 1990.)


この2つの用例を見ると、音が反響する、響き渡る、という意味で用いられていると考えられます。"ping around"もこのような、音が反響する性質から発展した意味、つまり世の中の反響がある、という意味で用いられているとも考えられます。


2012年5月1日火曜日

NYCのハッピーアワーに危機 ― party-pooper

ゴールデンウィーク真っ只中(本日は一応平日ですが・・・)、豪華に海外旅行という方もいらっしゃると思います。昨年は震災直後ということもあって自粛ムード漂う中旅行客や消費の落ち込みがありましたが、今年は回復し、成田空港などからの海外出国組が週末にピークを迎えたというニュースも見ました。

さて私は海外旅行はおろか、国内旅行の予定もありませんので、自宅でのんびりとしております。海外に触れるのはニュース記事ばかり、という次第です(笑)

それで本日の話題。アメリカ・ニューヨークで、ハッピーアワーを禁止する動きが出ているそうです。


Happy hour in the city could end if Department of Health policy party-poopers go ahead with a proposal to outlaw beer and booze specials at bars and restaurants, sources told The Post.

(中略)

Sources said the happy-hour ban is being pushed by the agency’s marathon-running boss, Commissioner Thomas Farley, and is serious enough for one source to say the alcohol lobby had better find itself a good lawyer.

Agency spokesman Sam Miller denied existing “plans to pursue any policy around discount-alcohol sale.”

But sources said the anti-booze sentiment at the agency has reached a fever pitch, with officials recently asking state officials about the “legality of liquor in ice cream,” referring to potent products infused with bourbon, rum and tequila.
(Gary Buiso. Party poopers eye unhappy hour. New York Post. April 29, 2012.)


会社帰りにちょっと一杯ひっかける、というのを最近あまりやっておりませんが、個人的には17時半くらいから18時、遅くとも19時くらいの早い時間に安い居酒屋で軽く飲むのが好きです。というのも大体この時間はいわゆるハッピーアワーの時間帯で少しだけ安く飲めるからです。

そんな庶民の楽しみを奪うがごときの暴挙(などと記事には書いてありませんが)、がこの記事で取り沙汰されているのです。

今日取り上げた単語、"party-pooper"は俗語で、


(パーティーで)座を白けさせる人、興ざめな人


という訳語が一般的です。以前に、"wet blanket"という表現を取り上げましたが、ほぼ同じ意味です。

"wet blanket"と比較して、"party-pooper"はかなり俗語の香りが強い表現です。"poop"という単語を引くと様々な意味がありますが、この単語自体俗語表現です。特に、"party-pooper"については、"nincompoop"という単語に遡るということですが、"nincompoop"に至っては、”ばか、うすのろ、まぬけ”といった相手を軽蔑する表現のオンパレードであり、"party-pooper"という表現についても使う際にはそれなりの心構え(?)が必要でしょう。

この記事において、"party-pooper"とはハッピーアワーを禁止しようとするお役人など関係者全般を指していると思われますが、この表現を記事に用いた記者は当然それに反対の立場であることが見てとれるように思われます。

そもそもNYCではハッピーアワーを禁止しなくてはならないほどアルコール問題が深刻なのでしょうか。