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2018年10月31日水曜日

騙されて ― had

数年前にランニングを始めてからというもの、食べるものに気を遣うようになりました。

摂取カロリーというのもありますが、食べるものがランニングのパフォーマンスにどう影響するかといったことも気にし始めるようになったのです。

少しでも健康に良いものを食べようとするのは人の性みたいなものかもしれませんが、生活習慣病が大きくクローズアップされる今日、巷には色々なマーケティングが溢れており、近年はほとんどあらゆる食品、飲料品が何らかの効能を謳っていると思われます。

消費者である我々はそのようなマーケティングに踊らされているのだということをそろそろ気づいてしかるべきかも知れません。


If you’re buying avocados because they’re a superfood, nibbling on dark chocolate because of its antioxidant properties and sipping a soda now and then because you can just work it off at the gym, you’ve been had.

In her new book, “Unsavory Truth: How Food Companies Skew the Science of What We Eat,” Marion Nestle, an NYU professor in nutrition, food studies and public health, delivers unsettling news. A vast amount of nutritional research is funded and influenced by the food industry, who use “science” as a marketing tool, making unhealthy foods seem OK and turning wholesome foods into incredible cure-alls — often against the interest of public health and defying common sense.
(Hailey Ebar. How the food industry fooled us into eating junk. New York Post. October 27, 2018.)


ワインにコーヒー、バナナ、納豆、ヨーグルト、等々、枚挙に暇がありませんが、健康への実際の効果を得ようと思えば現実的にはあり得ないくらいの量を摂取しなければならないということは明確にはされず、ただキャッチコピーのみが前面に出てきます。

引用した記事ですが、


you’ve been had


という部分に注目しましょう。

ここでの動詞"have"の意味を改めて辞書で確認することになったのですが、ランダムハウス英和辞書では数多くある意味のうち、一番最後に、


(人を)だます、欺く


と載っていました。

通常受身形で用いられるものですが、この用法を実際に目にするのは初めてのような気がします。

辞書の定義でも一番最後に出てくることからも、非常に珍しい用法なのではないかと思われました。

コーパスを用いてこの用例を検索するのは少しコツが要ります。


In public opinion, the bank never seemed to recover from its early portrayal of itself as victim. It didn't take long for rival bankers and pundits to question how such an august institution could be had by a single second-tier trader.
(Christian Science Monitor, 2008)


動詞"have"が受身形で用いられること自体が少ないと思いがちですが、意外と多くあるものです。騙すという意味での用法はあまり多くを見つけることはできなかったのですが、"had"に続いて前置詞byで騙すという行為者を示していることが多いようです。


2018年10月30日火曜日

chomper

渋谷でのハロウィーン狂騒は先週末で一区切りしたようですが、毎年のように相も変わらず若者や外国人がどんちゃん騒ぎを繰り広げ、翌朝に残るのはゴミの山という報道に呆れます。

十数年前にアメリカに短期滞在した際、現地のハロウィーンに触れる機会がありましたが、郊外の住宅地に住む同僚に招かれてのハロウィーンディナーはそれは静かなものだったことを思い出します。子供たちがお菓子をもらいに近所をねり歩くというのはありますが、日本のそれが商業イベントと化しているのと比べると雰囲気はかなり違います。

そうは言っても年に一度のイベントは羽目を外したくなるものなのでしょう。

以下に引用する記事は、とてもお高くついてしまった仮装の代償の話です。


An Alabama woman’s $3 finishing touch to her zombie Halloween costume landed her a terrifying trip to the dentist after her fake vampire fangs wouldn’t detach from her actual chompers. Anna Tew, of Mobile County, claims she used the temporary glue that came with the store-purchased fake teeth.

She said her efforts to remove the teeth, which had grown uncomfortably tight in her mouth, went on until around 2 a.m.
(Alexandria Hein. Alabama woman’s zombie Halloween costume turns into medical nightmare after $3 fake teeth get stuck. Fox News. October 30, 2018.)


吸血鬼よろしく、仮装用の牙をつけたところが外れなくなってしまい、病院に駆け込んだという話です。

牙は"fang"というのは分かりましたが、初めて見たのが"chompers"という単語なんですが、これは歯を意味するそうです。

不思議なことにこの"chomper(s)"という単語をいくつかの辞書を当たってみたのですが載っていません。

"chomper(s)"が"chomp"という動詞から来ているのは明らかですが、"chomp"(もしくは、champ)は「むしゃむしゃ」、あるいは「がりがり」と食べるという意味があります。

俗語の類という訳でもなさそうなのですが、単に「歯」(teeth)というところを少しユーモラスに表現する場合に使われるのだろうと想像します。


How many viewers are exercising along with them, one wonders, and how many are just happily enjoying the show with a nice yummy snack in their laps? The only muscles that get a workout are the eyeballs and the chompers. And maybe the finger on the remote control.
(USA Today, 1996)


2018年10月29日月曜日

box office

映画の興行収入を表現するのに、”box office sales”などという表現が使われるのはよくご存知だと思います。

例えば以下のような使われ方です。


NEW YORK – Michael Myers – or is it Jamie Lee Curtis? – can't be stopped. "Halloween" dominated the North American box office for the second straight weekend, carving up an estimated $32 million in ticket sales.
(Jake Coyle. 'Halloween' can't be killed: It's already the biggest film in the franchise's history. USA Today. October 29, 2018.)


ご存知のように、”box office”というのは映画のチケットを購入する券売所のことを指しているのですが、何故”box office”というのでしょうか?

私は漠然と、こういったイベントのチケット販売ブースが小さな仮設小屋のような建物になっているので、それを”box”と見立ててのことかと思っていました。

しかしながら、どうやら勘違いであったようです。

American Heritage Dictionaryの説明によると、


So named because it was originally an office for the booking of boxes in a theater.


ということで、”box”とは劇場などで少人数がまとまって座る区画、いわゆるマス席のようなものを指しています。

一方、”box”というのは来場者から入場料を徴収するために使われた「箱」のことを指していたという説もあるらしいのですが、こちらはいわゆるfolk etymology(民間語源)とされ、信憑性には欠けるようです。


2018年10月26日金曜日

planned obsolescence

やっぱりそんなことがあるんだ・・・、と思いましたね。

スマホメーカーのアップルとサムスンが旧式の機種のパフォーマンスを低下させるようなソフトウェアアップデートを配信したということで、イタリアの当局から罰金を科されたようです。


Apple and Samsung are being fined €10m and €5m respectively in Italy for the “planned obsolescence” of their smartphones.

An investigation launched in January by the nation’s competition authority found that certain smartphone software updates had a negative effect on the performance of the devices.

Believed to be the first ruling of its kind against smartphone manufacturers, the investigation followed accusations operating system updates for older phones slowed them down, thereby encouraging the purchase of new phones.
(Apple and Samsung fined for deliberately slowing down phones. The Guardian. October 24, 2018.)


スマホのOSアップデートにより、古い機種においては極端なパフォーマンス低下が発生し、ユーザーの買い替えを促進する意図があったと疑われています。

引用した記事の冒頭で、


planned obsolescence


という表現が使われていますが、この表現を聞いたことはないでしょうか?

昔から言われていることですが、電化製品などは長期間に渡って使えるとあってはメーカーが儲からないので、あらかじめ壊れるべくタイマーが仕掛けられている、というまことしやかな噂(都市伝説?)がありました。

"planned obsolescence"は、"built-in obsolescnce"と表現されることもあるようですが、メーカーが新製品を出すことによって既存の製品が陳腐化、旧式となってしまい、使えなくなったり、サポートや修理が受けられなくなってしまうことを意味する表現です。


2018年10月25日木曜日

come out

日本でもLGBTの話題が公然と取り沙汰される今日になりましたが、「カミングアウト」というカタカナ語もほとんどの人が知る表現となりました。

ご存知ない方のために説明すると、「カミングアウト」(coming out)とは自分自身の性的な志向性(sexual orientation)を包み隠すことなく公表することであるとされています。

アップル社の元CEOであるTim Cook氏は、時価総額1兆円を超える大企業のトップがカミングアウトしたことで話題になりました。


Four years ago, Tim Cook became the first CEO of a major company to come out as gay. He says he's happy about that distinction — and his decision.

"I'm very proud of it," the Apple (AAPL) CEO told Christiane Amanpour on Wednesday in an exclusive interview for her program on CNN International and PBS. Being gay is "God's greatest gift to me," he said.

Cook came out on October 30, 2014. His sexual orientation had been widely rumored beforehand though he had not confirmed it publicly.
(David Goldman. Tim Cook: Being gay is God's greatest gift to me. CNN. October 24, 2018.)


引用したのはCNNによるCook氏への独占インタビューなのですが、同氏はゲイであることを当初は隠していたものの、自分がカミングアウトすることで性的マイノリティの人々を勇気づけることができるということから公表することを決意したようです。

ところで、"come out"という表現の由来は、"come out of closet"であるとされています。

"closet"はクローゼット、衣裳部屋のことなのですが、意味合いとしては私室、つまりプライベートな空間という含みがあります。

つまり"come out of closet"というのはプライベートな空間から出てくるということであり、一般に「隠していた信条・政治的立場などを公にする」(ランダムハウス英和辞書)という意味でしたが、今日ではLGBTのコンテクストで使われることがもっぱらです。

ところで、"come out"からさらに、"out"という形容だけで使われることもあることを初めて知りました。


Cook said he was shocked that he was the first out CEO of a Fortune 500 company. He said he is glad other CEOs have come out since, although that wasn't his goal.
(ibid.)

2018年10月24日水曜日

bash

そういえば昔、子供の頃、誕生日会に仲の良いお友達を読んでパーティーをするみたいなことが流行っていたなあ、などと思い出しました。

何故か私は招待されたこともなければ、自身の誕生日パーティーに家族以外の誰かを招待するということもありませんでしたが。


Even free pizza couldn’t attract any pint-size partygoers for a 6-year-old’s birthday.

An Arizona mom says none of her son’s kindergarten friends showed up to his birthday party — after she sent 32 invitations to his classmates.

The boy, Teddy, held a birthday bash on Sunday at Peter Piper Pizza in Tucson, where he and his mother, Sil Mazzini, had been expecting dozens of little girls and boys — as well as the children’s parents — to join them at the restaurant. Mazzini said a few people told her in advance that they couldn’t make it, but she wasn’t prepared for everyone to be no-shows.
(Joshua Rhett Miller. Kindergartner parties alone after no one shows up to birthday bash. New York Post. October 23, 2018.)


記事のおはなしは、32人のお友達を招待して、近所のピザレストランの予約までしていたのに誰も来なかった、という当の本人には大変悲しい出来事です。

記事のタイトルにも出てくるのですが、


birthday bash


という表現は、つまり"birthday party"です。

"bash"には、


a festive social gathering; party
(Merriam-Webster Dictionary)


の意味があります。

10月も半ばとなり、これからホリデーシーズンが続きます。

巷ではハロウィーン商戦が既に喧しいですが、渋谷のどんちゃん騒ぎは"Halloween bash"とでも表現できるでしょう。

11月に入ると感謝祭、それが終われば"Christmas bash"に向かって狂騒が始まります。

とどめは、"New Year's Eve bash"です。

ちなみに、金曜夜の飲み会は"Friday night bash"と表現したりもするようです。


2018年10月23日火曜日

under the hammer

今年始めに亡くなった著名な物理学者Stephen Hawking博士ゆかりの品々がロンドンで競売にかけられることになったそうです。

出品される物の中には、博士の論文のコピーなどの他、使っていた特別仕様の車椅子も含まれているそうです。


Some of the most prized and significant possessions of the brilliant British physicist Stephen Hawking are to go under the hammer at Christie's in London later this month, including a copy of his PhD thesis, a script for the TV series "The Simpsons" and his earliest surviving wheelchair.

Hawking, who was also a cosmologist, astronomer, mathematician and a prolific author, died last March at age 76 having survived a debilitating disease that doctors said would kill him in his 20s. His landmark book a "A Brief History of Time," sold more than 10 million copies.
(Stephen Hawking's most prized possessions go under the hammer. CNN. October 22, 2018.)


競売を伝える各社の記事のタイトルが、”auction”という単語を使っているのに対して、引用したCNNの記事では、


go under the hammer


という表現を使っているのが目に留まりました。

ここでの”hammer”とは落札の際に「ドン!」と叩くあのハンマーのことですが、実は“gavel”という別の単語も存在します。

“under the hammer”は換喩的表現と言えるでしょう。


2018年10月22日月曜日

cudgel

中米のホンデュラスからメキシコ国境へ亡命を求めて大量の人々が押し寄せており、大変なことになっているようです。

いくつか記事を拾い読みした中の写真では国境に向かう道路が人で埋め尽くされています。

米国へのメキシコからの移民問題について、強硬政策を取るトランプ大統領に対して、家族が離ればなれになってしまうことへの人道的な問題が取り沙汰されてきましたが、批判が再燃しそうな情勢です。


REPUBLICANS INSIST that, on the immigration debate, Democrats want an issue, not a solution. That seems a better way of characterizing President Trump’s own immigration approach, which he has publicly urged GOP candidates to weaponize in the midterm elections. In response to a caravan of migrants heading northward from Honduras, Mr. Trump threatened to deploy the military, close the southern border, tear up a just-concluded trade deal with Mexico and Canada, and sever aid to impoverished Central American countries.

Even for a president to whom no issue is immune to overreaction, this latest temper-tantrum was an overreach; the last such migrant caravan from Honduras, in April, mostly dissolved before it reached the U.S. border. Still, Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel. “Great Midterm issue for Republicans!” he tweeted Wednesday.
(Trump’s latest anti-immigrant gambit: Family separation 2.0. The Washington Post. October 19, 2018.)


引用した記事の終わりの方に、


Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel.


という部分がありますが、"cudgel"という単語の意味を知りませんでしたので辞書を引きますと、


こん棒


という意味であることが分かりました。

つまりは敵を攻撃するための武器ということなのですが、移民問題の再燃を中間選挙を控えたトランプ氏自身にとっての好機と捉えているという文脈です。

アメリカファーストを看板政策とする同氏にとって、移民問題は敵対する民主党との差別化をする格好のテーマなのでしょう。


2018年10月19日金曜日

tough cookie

クッキー(cookie)は食べ物、お菓子の1種ですね。

その”cookie”は人を指すのに用いられることがあります。女性ならば、恋しい人に対する愛情を込めた呼び掛けとして、男性に対しては、これも親しみを込めて、奴(やつ)といった具合です。


President Trump hosted his third wide-ranging rally of the midterm season in Montana on Thursday night, where he urged voters to "never forget Benghazi" and praised Republican Rep. Greg Gianforte, who pleaded guilty to body slamming a reporter last year, as a "tough cookie."
(Trump praises 'tough cookie' Montana rep who 'body slammed' reporter last year, urges voters to 'never forget Benghazi.’ Fox News. October 19, 2018.)


引用した記事に使われている、


tough cookie


とは、タフな奴、タフガイ、頑張り屋さん、といったくらいの意味になるようです。

ちなみに、”smart cookie”という言い回しもあります。


Even as he talks tough on North Korea, Trump called Kim Jong Un a "smart cookie" and wondered why he won't be his friend.
(USA Today, 2017)


“smart cookie”は賢い奴、くらいになるでしょうか。

“bad cookie”というのもあります。


They didn't like what he did to the kids so they padded up the charges. We're going to file multiple charges. We get him on one of them. That's what happens. I mean, this guy is a bad guy. He's a bad cookie.
(2013)

2018年10月18日木曜日

hold one's feet to the fire

トルコのサウジアラビア領事館で、反体制派のジャーナリストが行方不明になっている事件がここのところトップニュースです。

領事館内で殺害されたとの見方があり、国際社会から非難を浴びています。


It is now clear the Trump administration will not be holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist Jamal Khashoggi. Instead, it’s looking to give them an off-ramp, a route to escape responsibility.

Having waffled between promising “severe punishment” for any official Saudi involvement and speculating about “rogue killers,” President Trump finally revealed his own mind on Tuesday: he compared the international pressure on Riyadh to the allegations of sexual assault against Judge Brett Kavanaugh ahead of his confirmation to the Supreme Court.
(Bobby Ghosh. Who Will Hold Saudi Feet to the Fire? Bloomberg. October 18, 2018.)


非難している筆頭には当然アメリカ大統領がいるのですが、サウジ政府に対して果たしてどの程度詰め寄ることができるのか、という懐疑的な見方もあるようです。

引用した記事のタイトルでは、


Who Will Hold Saudi Feet to the Fire?


とあり、本文でも、


holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist


と出てくるのですが、この"hold one's feet to the fire"という成句をご存知でしょうか?

辞書を引くと、「圧力をかける」(ランダムハウス英和辞書)という意味で載っていました。

この成句の成り立ちに興味が沸いてきますが、これといった確実な説明は見当たらず、足に火を近づける拷問としての意味合いから生まれたという説が有力のようです。

一方、この成句が使われるコンテクストとしては、義務や責任を負う立場の人間に対して、それら義務や責任を自覚させるべく圧力をかける、つまり忘れないように言い続ける、ということのようです。


2018年10月17日水曜日

posthumous

稀代の物理学者として知られるStephen Hawking博士が今年初め亡くなりましたが、博士の死後に出版された著書の内容が話題になっています。

私は石原新太郎前東京都知事が某新聞のコラムでHawking博士の予言についてたびたび言及していたのが印象に残っているのですが、それは地球と人類がいずれ滅んでしまうというものでした。

下記に引用する記事によりますと、話題の著書の内容というのは人工知能(AI)が人類の運命を左右することについても触れているとあり、興味深く思われます。


Stephen Hawking has a final message for humanity: If robots don’t get us, climate change will.

Hawking, who died at age 76 of a degenerative neurological disease earlier this year, offers his parting thoughts in a posthumously published book called Brief Answers To The Big Questions, which comes out Tuesday. It’s a message worth heeding from a man who is probably the most renowned scientist since Einstein, best known for his discovery of how black holes function. Hawking’s book A Brief History of Time sold more than 10 million copies and tackled questions as big as “How did the universe begin?” and “What will happen when it ends?” in language simple enough for the average reader.
(Abigail Higgins. Stephen Hawking’s final warning for humanity: AI is coming for us. VOX. October 16, 2018.)


さて、今日の一語ですが、「死後の~」を意味する単語、


posthumous(ly)


を取り上げたいと思います。

この単語が「死後の~、死後に起きる~」という意味であることを暗記している人は多いでしょう。接頭辞のpost-は、「後の~」を意味しますから意味も推測しやすいかもしれません。

では、後半部分のhumousという部分ですが、私は勘違いしていたのですが、そのスペルから"human"と関連しているのかな、などと漠然と思っていましたがこれが間違いでした。

この"posthumous"という単語はいわゆる勘違い、語源学の用語では民間語源(folk etymology)によって生まれた単語で、元々は単に「後~」を意味するラテン語の形容詞posterusの最上級postumusだったのですが、humousの部分はラテン語で埋葬を意味するhumareという動詞との連想からそのようなスペルになったものだそうです。

私の推測が勝手な勘違いというのと言ってみればおんなじかも知れません。


2018年10月16日火曜日

nigh

アメリカの大手小売業のSearsがいよいよ破産申請しそうだというニュース記事から引用します。


It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.

On Tuesday, The Wall Street Journal reported that the company has hired advisors to help it prepare for a possible bankruptcy filing as early as this week.
(Mary Hanbury. Sears, once the largest retailer in the world, is closing hundreds of stores and reportedly planning to file for bankruptcy. Here’s how it got there. Business Insider. October 13, 2018.)


大分前、もう10年以上前ですが、アメリカに短期滞在した折、Searsの店舗をよく見かけました。

雰囲気的にはダイエーとかイトーヨーカ堂みたいな感じだったのですが、スーパーマーケットというよりは、値ごろ感のある服飾や、キッチン用品とか日用品などの雑貨などの品揃えがあるチェーン店であるというイメージを持っています。

元々はカタログショッピングで市場を席巻し、当時は今日で言うところのアマゾンくらいのインパクトと勢いがあったようですが、その後は市場の変化に対応できず、見る影もない凋落ぶりが記事に写真と共に紹介されています。

さて、引用した部分の冒頭に、


It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.


とありますが、"nigh"という単語はあまり馴染みがないのではないかと思います。

発音すると「ナイ」となりますが、意味は「無い」ではなく、「ある」、という冗談みたいな単語です。

手元のランダムハウス英和を引いてみると、古語とか詩語という分類になっており、あまりお目にかからないのもそのためかもしれません。

意味的には、"near"とか"almost"に近く、差し迫っている、という訳語などが適当に思われます。

いくつか用例を見てみたいと思います。


The Great American Eclipse is nigh! Millions are expected to pack the so-called path of totality, or the swath of the United States that will be able to experience the complete solar eclipse.
(Washington Post, 2017)


The local halibut sportfishing season is nigh and may seem tempting, under the circumstances. But those who seek to catch halibut, according to Seattle Times outdoors reporter Mark Yuasa, sometimes call them "barn doors," because it's like trying to reel one of those up from the ocean floor.
(Seattle Times, 2016)


2018年10月15日月曜日

disenfranchise

アメリカ・ジョージア州知事選がきな臭いことになっているようです。

記事の引用を読んでみましょう。


As a crisis of potential voter suppression in Georgia deepened, the Democratic candidate for governor accused her opponent of seeking to disenfranchise people of color and women by creating a “miasma of fear” around voting.

Stacey Abrams, who if elected would become the first African American woman governor of any state, is running against Georgia’s Republican secretary of state, Brian Kemp.

A lawsuit filed by civil rights groups on Thursday accused Kemp of seeking to disenfranchise more than 50,000 voters, up to 80% of them minority voters, by suspending voters from registration rolls if records held by various state agencies show any slight discrepancy in how a voter’s name is hyphenated, spelled or spaced.
(Stacey Abrams: GOP opponent creating 'miasma of fear' over voting in Georgia. The Guardian. October 14, 2018.)


選出されれば米史上初のアフリカ系女性知事となるStacey Abrams氏に対し、共和党候補のBrian Kemp氏は同州書記官の立場を利用して奇策に出たとされます。

その奇策とは、


seeking to disenfranchise more than 50,000 voters


ということなのですが、ここで"disenfranchise"とは辞書を引くと「選挙権の剥奪」と載っています。

今回の選挙は人種的マイノリティの動向が注目される中、Kemp氏の手による"exact match law"は氏名の不一致等、有権者の登録名簿の不備がある有権者は特別な手続きを必要とするもので、Abrams氏の支持者を実質的に投票できないようにすることを目論んでいると批判されているものです。

フランチャイズ(franchise)というカタカナ語は日本語でも馴染みがありますね。よく聞く「フランチャイズ」とはほとんどの場合、商業店舗などの「チェーン店」とほぼ同義です。

語源を紐解くと、"franchise"とは元々"make, put in free"(自由にする)という意味でした。これは奴隷の身分から解放するというような話でした。

その後、市民権を与える、さらに特権付与、さらには選挙権の付与、というように意味が拡大してきました。

我々がよく知っているカタカナの「フランチャイズ」の意味、つまり"authorization by a company to sell its products or services"というのは20世紀になってから生まれた意味合いです。


2018年10月12日金曜日

Downing Street

下記に引用する記事は、先月も取り上げましたが、ロシアの元スパイだった男性とその娘がイギリスで毒殺されかけた事件に関連するものです。

その後容疑者と思しきロシア人がイギリス政府により公表されましたが、その続報です。


Inside a packed, heavily guarded room in the House of Commons, reporters gathered for an update on Tuesday about the suspects involved in the poisoning of a former Russian spy in Britain this year.

If the subject matter was unusual, so were the people doing the briefing.

They were not prosecutors or counterintelligence officers or even spokesmen from Downing Street. Rather, they were researchers from Bellingcat, an investigative group founded by Eliot Higgins, 39, a blogger who began by posting on a laptop from his apartment while babysitting his infant daughter.
(Armchair Investigators at Front of British Inquiry Into Spy Poisoning. The New York Times. October 9, 2018.)


記者会見があったもようです。会見を開いたのは、スパイ活動等についての研究をインターネット上で行っているグループの構成員だっということなのですが、警察当局でも、政府関係者でもなく、また、


spokesmen from Downing Street


でもなかった、というくだりがあります。

この"Downing Street"はロンドンのダウニング街のことであり、地名には違いありませんが、英国外務省がある場所であり、つまりは英国外務省やその関係者を指す表現として使われています。

これまでもいくつか取り上げてきました、メトニミーの一種です。

"Number 10"もご覧ください。


2018年10月11日木曜日

plow

アメリカ・ニューヨーク郊外で悲惨な交通死亡事故が発生したという記事からの引用です。

誕生日パーティーの会場に向かっていたリムジンバスが停車中のSUVに突っ込み、歩行者2名を巻き添えにして、乗客17名と運転手も死亡、死者20名という大惨事です。


The chauffeur in the deadly crash in upstate New York was a "great driver" and longtime employee of Prestige Limousine Chauffeur Service, the company's attorney said Tuesday.

(中略)

For reasons still unknown, the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV, causing the deadliest US transportation accident in almost a decade. Federal, state and local investigators have flooded Schoharie to try to understand what happened.
(The driver in the deadly limo crash was a 'reliable employee,' company says. CNN. October 10, 2018.)


記事の現場周辺地図によるとちょうどT字路のようになっている交差点が事故現場のようですが、


the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV


と表現されており、一時停止標識を無視したのかは分かりませんが、交差点の先にある停車中のSUVにそのまま突っ込んだようです。

ここで使われている動詞"plow (through)"なのですが、"plow"は鋤のことで、農耕の道具です。

雪かきをするという意味で使われることもありますが、交通事故記事でのこの"plow"には、


to move forcefully into or through something
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味があり、障害物に突っ込んで行くというような意味があります。

さらに、Oxford Dictionaryのオンライン版では、


(especially of a vehicle) move in a fast and uncontrolled manner


という意味が記載されており、そもそも農耕具としての鋤は土をかき分けるためのものですが、まさしく今回の事故のイメージを彷彿とさせます。


2018年10月10日水曜日

chug

先日も取り上げた、セクハラ疑惑に揺れる米国最高裁判事の指名騒動ですが、まだまだ収まる気配がありません。

これを書いている今日現在では既にKavanaugh氏が最高裁判事へ任命されてしまいましたが、指名の是非を決める採決前には共和党関係者の自宅前などでデモが行われました。


A group of protesters brought beer to Senate Majority Leader Mitch McConnell’s (R-Ky.) house in Washington hours before a vote to advance the nomination of Supreme Court nominee Brett Kavanaugh to the Senate floor on Friday.

Footage of the demonstration showed protesters waving beer cans and red cups as they marched towards the Kentucky Republican’s home, chanting and yelling phrases like, “chug, chug, chug” and "What do we do with a drunken justice?"
(Aris Folley. Kavanaugh protesters bring beer, chant ‘chug’ outside McConnell’s home. The Hill. October 5, 2018.)


記事中のビデオクリップでデモの様子が分かるのですが、本文中にもあるように、抗議する人たちがビールの缶を片手に持って、


chug


という言葉を連発しながら、抗議の行進をしています。

この"chug"という単語を知りませんでしたが、辞書を引くと、ごくごくと飲む、一気飲みする、という俗語表現だそうです。

"chug-a-lug"という表現(こちらも一気飲みの意)から来ているそうですが、どちらも擬声語ということで、大量の飲料を飲む際の音の認識は日本語の「ごくり」や「ごくごく」、また「ぐびぐび」とは大分違う印象ですね。

学生時代に大酒飲みで羽目を外して女性へセクハラを行ったという誹りで資質が問われている同氏への当て付けであることは言うまでもありません。


2018年10月9日火曜日

lemon on the wounds

破産が取りざたされる大手玩具チェーンのトイザラスに関するニュース記事からの引用です。

全米で数百の店舗を閉鎖し、数千人規模のリストラが行われているところ、同社のマスコットキャラクターの「復職」が大きく取り上げられました。


Thousands of former Toys R Us employees face an uncertain future after hundreds of stores were closed. But Geoffrey the Giraffe is back to work.

The mascot made a surprise appearance last week at one of the largest wholesale events in the toy industry. That was just days after court filings showed that the owners of Toys R Us might be pursuing a comeback, with the hedge fund that owns the company opting to hold onto the Toys R Us and Babies R Us brand names, Web domains and other assets — including Geoffrey.

(中略)

To thousands of workers waiting for severance pay and even the chance to get their jobs back, Geoffrey’s fun-filled return felt more like “lemon on the wounds,” said Carrie Gleason, campaign manager for the worker advocacy group Rise Up Retail. Gleason called Geoffrey’s reemergence a “PR stunt” meant to boost the tarnished brand name should Toys R Us try to reopen stores as the holiday season gets underway.
(Geoffrey’s return infuriates laid off Toys R Us workers. The Mercury News. October 8, 2018.)


一方では容赦無いリストラ、他方ではブランドイメージ復活のためのキャラクター戦略、という同社のやり方に、従業員は無神経さを感じているようです。

記事中に関係者のコメントが引用されており、


lemon on the wounds


という表現が出てきます。初めて見る表現です。

傷口に酸っぱいレモンを当てたらとても痛いのではないかと思います。(やったことはありませんが。)

日本語だと傷口に塩を擦り込むと言います。既に痛い思いをしているところに更に追い討ちをかけて苦痛を感じさせるというような意味で用いられる成句ですが、英語では果たして「傷にレモンを当てる(!?)」なのでしょうか。

ご存知の方には釈迦に説法となりますが、英語でも”rub salt into wounds”であり、”lemon~”という表現は色々な辞書を見てみましたが確認出来ていません。



2018年10月8日月曜日

down payment

2回目の米朝首脳会談が取り沙汰される中、米国務長官が訪朝し、金委員長と会談したニュースが邦紙でも大きく取り上げられています。

非核化の具体的な進展が見られないとの批判に対して、見返り無くして先に動くことはないと牽制する北朝鮮ですが、膠着状態から脱却できるのでしょうか。


SEOUL, South Korea — Secretary of State Mike Pompeo said that in his meeting with Kim Jong-un on Sunday, the leader of North Korea had agreed to allow inspectors into a key nuclear testing site that the North has claimed it blew up, a down payment on the country’s commitment to denuclearize the country.

Mr. Pompeo, whose planned trip to the North in August was canceled by President Trump because of a lack of progress, described his few hours on the ground in Pyongyang, the capital, as a “good trip.”
(North Korea Agrees to Allow Inspectors Into Nuclear Testing Site, Pompeo Says. The New York Times. October 7, 2018.)


ニューヨークタイムズ紙の記事から引用しました。

ポンペオ国務長官と金氏の会談の成果は、北朝鮮が核査察を受け入れることになった、ということのようです。

ところで、引用した記事で、”down payment”という表現が使われています。

“down payment”というのは「頭金」、つまり何か大きな買い物をする時に、購入の意思表示として総額の一部を先に支払うことですが、


the first step in a process
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味合いでも使われます。

北朝鮮は核兵器廃絶と引き換えに自国の体制保障を求めているわけですが、その大きな取引にあたって支払う対価がつまり核兵器等の製造設備の廃絶であると解釈できます。

その第一歩(a down payment)としての核査察受入なのだと理解しました。

ところが、記事では続いて以下のようなくだりがあるのです。


On Sunday, Mr. Pompeo said nothing about making significant breakthroughs, except for the North’s agreement to allow inspectors into Punggye Ri, a network of underground tunnels where the North has conducted all of its nuclear tests, including one last November that it claimed was a successful test of a hydrogen bomb.

Missing from Mr. Pompeo’s account of his two-hour meeting with Mr. Kim, which was followed by a 90-minute lunch, was any mention of the first step toward denuclearization: an inventory from the North of all its nuclear weapons, its production and storage sites, its missiles and missile launchers.
(ibid.)


ここで、”the first step (toward the denuclearization)”と出てきます。ここでは、核兵器や弾道ミサイル等、またそれら製造設備の一覧、を指しているのですが、それらについては会談で取り上げられなかった模様です。

つまり、米側が求めている”the first step”は得られていない訳で、記事冒頭の”down payment”と矛盾するように思われました。

そうなりますと、”down payment”が指す内容については「核査察の受入」ではなくて、北朝鮮が核実験場のトンネル入り口を爆破したこと、であると解釈するのが適当であると思われます。

まさに「第一歩」の解釈が問題になる訳で、日朝両国でどちらが先に譲ることになるのか、2回目の首脳会談の行方が注目されます。


2018年10月5日金曜日

あれを英語で? ー bouncy castle

久し振りに、「あれを英語で?」のコーナーです。

誰しもが子供の頃に一度は「あれ」で遊んだ記憶があるのではないでしょうか?

「あれ」というのは、遊園地やイベント会場に設置される巨大なオブジェクトで、中に入って飛び跳ねて遊ぶ「あれ」です。私の記憶ではゾウやゴリラなどの動物をかたどったものが多かったように思います。

きっかけはNew York Post紙の記事


The world's most serious toddler keeps things professional in a bouncy castle


でした。

「あれ」のことは、英語で”bouncy castle”と言うそうです。

“bouncy castle”で画像検索をしてみると、なるほど子供が飛び跳ねるような大きな遊具で様々な形状のものがあるようです。“Castle”なのはお城の形状をしているからで、お城以外では家の形をしたものが多いようです。故に、英語としては”bouncing house”のバリエーションも見られます。

日本に見られるようなゾウやゴリラをかたどった、かつ閉鎖空間になっていてそこに入って飛び跳ねるタイプのものは不思議と見られません。日米の文化的な違いでしょうか。

そもそも日本語では「あれ」のことを何と言うのかという疑問も出てきました。正式名称かどうかは確信がないのですが、「ドーム」(ゾウの場合なら、「ゾウドーム」)というらしいです。(ちなみにレンタルサービスもあるらしく、1日8万円〜、とか。)


The delight of the bouncy castles

What delights children most about this particular toy is that they can jump around to their heart’s ecstasy and stay entertained. While playing the children get to learn about various balancing acts in the floppy surface, planning and also strategy at an earlier age. These mental capacities get kindled at subtle layers and help a kid to tap into his mind power gradually.
(Why Bouncy Castles Are Becoming a Popular Choice in Inflatable Toys for Children. Times Square Chronicles. September 23, 2018.)


子供にとって身体を動かす遊びというものは心身の発達に重要な役割を果たします。

この手のドーム型遊具を最近あまり見かけなくなったように思います。最近の子供は遊べているのだろうかと余計な心配をしてしまいました。


2018年10月4日木曜日

rhapsodize

歴史的な米朝会談があった6月から、北朝鮮の非核化は現実にはほとんど進んでいないと言われる中、再度の首脳会談が模索されています。米国務長官が今週末にも訪朝するというニュースを今日の朝刊で読みましたが、先週はトランプ大統領が金委員長から書簡を受け取り、「我々は恋に落ちた」という発言が注目されました。

果たしてトランプ氏と金氏の関係は本当の意味で良好なのか?

トランプ氏は単に北朝鮮から持ち上げられているだけなのでは?

ワシントンポスト紙の記事から引用します。


North Korea’s authoritarian leader may have found the key to President Trump’s heart: a flowery letter full of flattery.

In May, when Trump threatened to cancel his upcoming summit with Kim Jong Un because of the “open hostility” being expressed by the North Korean leader, Kim got out his stationery.

Trump liked what he read, and the summit was back on for June 12.

(中略)

Love again was in the air, or at least nestled in Trump’s coat pocket, last week at the United Nations.

Trump carried the latest missive from Kim with him to meetings with world leaders, at one point pulling it, still folded, from his suit jacket and fingering it as he spoke to reporters while seated next to Japanese Prime Minister Shinzo Abe.

(中略)

“We are doing great,” Trump told supporters at a rally in Wheeling, W.Va., on Saturday night, rhapsodizing about his relationship with Kim.
(Anne Gearan. Trump and North Korea’s Kim: Caught in a bad romance? The Washington Post. October 2, 2018.)


金委員長からの書簡の内容は当然のことながら公開されていませんが、トランプ氏は国連での各国首脳との会合でその書簡をひけらかしたそうです。そして両者の関係が良好であることをアピールしたようですが、記事では、


rhapsodizing about his relationship with Kim


と表現されており、この"rhapsodize"という動詞があるんだと初めて知りました。

ラプソディー(rhapsody)は音楽好きの人ならそれが曲種の1つであることをご存知でしょう。日本語では「狂詩曲」、あるいは「狂想曲」と訳されますが、この"rhapsody"から派生した"rhapsodize"は、


(~を)熱狂的に語る、書く
(ランダムハウス英和辞書)


という意味だそうです。

トランプ氏がかなり前のめりになっているという含意が読み取れますね。

そもそも"rhapsody"とは、縫い合わせてつなげるという意味のギリシャ語rhapteinと詩歌を意味するoideが結合したものだそうです。

音楽におけるラプソディーは、ほとばしる感情を多彩に変化する曲想で表現したもので、よく知られたリストの狂詩曲などが思い出されます。


2018年10月3日水曜日

session high

日本でもある程度定着してきた感のある電子タバコ。アメリカでは、Juulというブランドの電子タバコが若者を中心に流行っているそうですが、厚生当局は喫煙の低年齢化を懸念し、電子タバコメーカーに対する抜き打ち査察に踏み切りました。


The Food and Drug Administration seized "thousands of pages of documents" in a surprise inspection of e-cigarette maker Juul's San Francisco headquarters last week, the agency said Tuesday.

The FDA is looking into the company's marketing practices as Commissioner Scott Gottlieb calls teen use of nicotine vaping devices an "epidemic."

(中略)

Shares of three Big Tobacco companies — British American Tobacco, Philip Morris International and Altria — all moved to session highs on the news.
(Angelica LaVito. FDA seizes 'more than a thousand pages' of documents in surprise inspection of e-cigarette maker Juul. CNBC. October 3, 2018.)


いずれ電子タバコが紙巻きタバコを販売数や売上で凌ぐ時代が来るのでしょう。

引用した記事によると、抜き打ち査察のニュースを受けて、米国のタバコ会社のビッグスリーの株価が上昇したそうです。恐らくは、抜き打ち査察のニュースに、新興勢力の電子タバコに対する風向きが強くなったとの懸念が高まり、従来の紙巻きたばこ製造会社への投資が誘引された、というようなところでしょうか。

さて、記事文中で、


session high(s)


という表現が使われています。これまでお目にかかったことがなかったので取り上げたのですが、記事のコンテクストから言わんとするところはつまり株価が高値を付けた、ということだと思われます。

そもそも"session"というのは株式市場の取引が行われる時間帯のことを指しており、"morning session"は前場、"afternoon session"は後場、と訳されます。

"session high"について、Cambridgeのオンライン辞書では、


the highest price reached during a particular day of buying and selling on a stock market


と定義されており、特定の取引時間帯における最高値のことを言っているものと思われますが、日本語の適訳はいろいろ調べてみましたがよく分かっておりません。単に「高値」というだけかもしれません。

株式や証券に関する用語は日本語でも独特なものがあります。英語に関してはこれまでも経済用語というタグで取り上げたものがいくつかありますので参考にご覧ください。

2018年10月2日火曜日

selficide

自撮り(selfie)については当ブログでも取り上げる機会の多いテーマになっていますが、今日はまた新しい造語を発見しました。


Scientists are calling for “no-selfie zones” after the incredible number of “selficides” was revealed in a new study.

Between 2011 and 2017, 259 people have been accidentally killed in all kinds of different ways while taking selfies all over the world.

The most common ways that people die while taking selfies is by drowning, being hit by traffic or falling.

And it happens overwhelmingly to men, with nearly three-quarters of the victims being male (153).
(So many narcissists have died of ‘selficides’ that even scientists are getting worried. New York Post. October 1, 2018.)


“selficide”というのがそれなんですが、一見してお分かりの通り、自撮りを意味する”selfie”に、殺害を意味する接尾辞-cideが付いたものです。(”suicide”や”genocide”、”homicide”などありますね。)

記事の文中では”selficide”について敢えて説明されていませんが、自撮りが原因で事故死してしまうケースのことを指しています。

統計によると”selficide”は男性の方が女性よりも多く、国別ではインドがトップ、次いでロシア、アメリカ、パキスタン、だそうです。

以前取り上げた”killfie”も参考にどうぞ。


2018年10月1日月曜日

gag

米自動車会社のテスラのCEOであるマスク氏が、同社の上場を廃止してPrivate companyになる意向をツイッターでつぶやいたというニュースが少し前にありました。

このつぶやきがきっかけで同社の株価が高騰し、米証券委員会(SEC)が調査に入ったそうです。

マスク氏は自社株の価格操作をしたと見做され、20億円近い罰金を払わされることになったそうです。


What’s worse than paying millions in fines to the feds? For Elon Musk, it may be the fact that he’s lost his Twitter privileges.

After slapping Tesla and its billionaire boss with a $20 million fine each over Musk’s misleading Aug. 7 tweet about taking the company private, federal regulators this weekend gagged Musk from tweeting any more Tesla news without a company lawyer’s OK.
(Carleton English. The SEC just yanked Elon Musk’s Twitter privileges. New York Post. September 30, 2018.)


政治家にしろ、会社経営者にしろ、SNSを使った発信が活発ですが、発言内容には慎重にならなければならないのは言うまでもありません。

今回の一件でマスク氏はこれまでのように自由奔放なツイッター上でのつぶやきはできなくなる見込みなのですが、そのことを表現しているくだり、


federal regulators this weekend gagged Musk from tweeting any more Tesla news without a company lawyer’s OK


という部分での"gag"という動詞に着目してみました。

"gag"とはご存知のように猿轡(さるぐつわ)のことです。つまり自由にものが言えないようにするものであり、動詞の意味合いとしてはMerriam-Webster Dictionaryでは、


to prevent from exercising freedom of speech or expression


と定義されています。

興味深いことに、"gag"の語源は中期英語gaggenに遡るという説明がありますが、このgaggenというのは擬声語だというのです。

つまり、首を絞められたり、息を詰まらされたりしたときに発する喘ぎ声ということなのですが、たしかに言われてみればなるほどという感じもしないではありませんね。