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2019年2月28日木曜日

Helvetia

今週はスイスに因んで単語を取り上げています。4日目の今日は、


Helvetia


なんですが、これがスイス国名のラテン語名ということをご存知でしょうか?

ご存知の方には釈迦に説法というものですが、スイス国内のウェブサイトは .ch となっています。

CHは、


Confoederatio Helvetica


の略です。

スイスではドイツ語、イタリア語、フランス語、それにロマンシュ語の4か国語が公用語となっています。国内は地域によって優勢となる(!?)言語が違っており、例えば現在私が滞在しているバーゼルという都市はドイツ語が主に使われており、公共交通機関やレストラン、スーパーマーケット等での表示はドイツ語がメインとなっています。

ところが、例えばレマン湖で有名なジュネーヴに行くとフランス語が、ルガノ地方ではイタリア語が優勢となります。

スイスの鉄道は、SBB - CFF - FFS、と車体に記載されていますが、これは「スイス連邦鉄道」を意味する略称の3か国語(それぞれ、ドイツ語、フランス語、イタリア語)バージョンなんですね。


2019年2月27日水曜日

ルッツ ― Lutz

フィギュアスケートのファンの方ならば、「ルッツ」という技をご存知だと思います。

スケーターが華麗な音楽に合わせて次々と繰り出すジャンプや技の解説で、「アクセル」や「ループ」などに混じって、「ルッツ」という用語が使われるのを、テレビ放映で耳にしたことがある人は多いでしょう。

その「ルッツ」ですが、人の名前に因むものだとは知りませんでした。

「ルッツ」のスペルは、"Lutz"で、ランダムハウス英和によると、「スイスのフィギュアスケーターGustave Lussi」の名前に因む、とあります。

American Heritage Dictionaryでは、


A jump in figure skating in which the skater takes off from the back outer edge of one skate and makes one full rotation before landing on the back outer edge of the other skate.
(American Heritage Dictionary)


と定義されており、語源欄には、


After Alois Lutz (1898-1918), Austrian figure skater


となっています。

人の名前に因むという点では同じなのですが、その「人」が違っています。

また、Merriam-Websterも見てみますと、(こちらはランダムハウス英和と一致していて)


probably irregular from Gustave Lussi †1993 American (Swiss-born) figure-skating coach


となっていました。

どの語源解説もフィギュアスケーターに因むという点では同じですが・・・。

どちらが正しいのか判然としませんが、スケーターのジャンプを観てもそれがルッツなのか、はたまた違う技なのかよく分からない素人の我々にはもはや正確なところはどちらでもよいのかもしれません・・・。


2019年2月26日火曜日

yodel

スイス特集、2日目の今日は、ヨーデル(yodel)という単語です。

ヨーデルはファルセット(falsetto)と呼ばれる裏声が特徴的な歌唱です。


To sing so that the voice fluctuates rapidly between the normal chest voice and a falsetto.
(American Heritage Dictionary)


今回は仕事での訪問ということで、残念ながら観光ではありませんので、スイスアルプスなどの雄大な自然を満喫するという訳には行かないのですが、もう20年以上前になる新婚旅行はスイス旅行だったので、観光名所ではアルプホルンの演奏やヨーデルが披露されるのを楽しんだ記憶があります。

ヨーデル(yodel)の語源ですが、ドイツ語のjodelnとされています。

嬉しいときの発声でjoというドイツ語方言から来ているということらしく、擬声語の一種と見られています。


2019年2月25日月曜日

スイス! ― muesli

今週は商用でスイスに来ております。ほとんど10年ぶりの海外出張です。

記憶が正しければ、2007年の11月くらいに1か月間滞在し(クリスマスマーケットを楽しんだ記憶があるので12月にかかっていたかもしれません)、その後は2009年の春に1週間くらいの出張で訪れたのが最後ではなかったかと思います。

ということで、今週はスイスに因む単語や表現を取り上げたいと思います。

初日の今日は、


muesli


です。

ミューズリーをご存知でしょうか?

「ミューズリー」に馴染みがない人も、「グラノーラ」は食べたことがあるのでは?(この数年、小生の朝食は某メーカーのフルーツグラノーラと決まっています。)

さて、その「ミューズリー」ですが、Merriam-Webster Dictionaryの定義では、


a breakfast cereal of Swiss origin consisting of rolled oats, nuts, and fruit


とあります。

スイスドイツ語に由来する単語で、やわらかい食べ物、を意味するMuesから来ているそうです。

日本で売られている輸入品のミューズリーを一度買って食べたことがありますが、見た目は鳥のエサか何かみたいで、素朴な味わいだった記憶があります。


Dates are also ascending to savior status. High in carbs and natural sugar, they're also the perfect sweetener for homemade muesli - tops on my breakfast list.
(San Francisco Chronicle, 2010)


2019年2月22日金曜日

変容するコミュニケーション ― K

コミュニケーションテクノロジーの発展は目覚ましいものがあります。

10年前はスマホは今ほど浸透していなかったと思います。さらに10年前(つまり、20年前)、インターネットや電子メールはコンピュータを趣味とする人たちが使うものという考え方が強く、詳しい人にセットアップや使い方の教えを受けるという雰囲気がありました。

今日現在、ネットはほとんどコモディティ化し、誰に教えを乞うこともなく、誰もが自由にネットの恩恵を享受する時代です。

ネット上のコミュニケーションも随分と変容してきており、昨日までの常識は今日の非常識(!?)かもしれません。


Connecting with people has become so much easier with advancing technology. Tasks that once required an operator, postage stamp or carrier pigeon are now as simple as tapping a name or even a face on your screen, and, voila, you're connected.

But also easier is unwittingly getting caught up in a major disconnect by violating a tangle of new rules for communicating. A big one for some: Don't call until you've texted to confirm it's OK to call. But that's just the beginning.

"I'm usually pretty chill and not much bothers me," said Mark Angiello, a 29-year-old office manager from White Plains, New York. But the one thing that really gets under his skin, that he "hates more than anything else in life" is the horrendous one-word message — "K."
(Dalvin Brown. 'Don't call me before you text': The new rules of communicating in the digital era. USA Today. February 22, 2019.)


同僚や友人にメッセージを送ったら帰ってきた返信が、


K


という1文字だった、という話です。

想像がつきますが、"K"は、"OK"の略なんですね。

そもそも"OK"自体が簡略化した表現であるところ、"K"はさらに省略しており、究極の省略形と言えるかもしれません。

この究極の省略形が気に障るという人も多いのですが、"OK"と2文字タイプするのすら面倒なのか!と言いたいところでしょう。


2019年2月21日木曜日

incommunicado

ニューヨークタイムズ紙の記者がエジプトへの入国を拒否されたというニュース記事から引用します。

記者は以前同紙のカイロ支局長を務めていました。今回の入国拒否は、体制に批判的な記事を書いていたことが原因だと推測されています。


Egyptian authorities denied entry to a veteran New York Times reporter without explanation, the latest move in the country's crackdown on free speech and the media.

David Kirkpatrick, a citizen of the United States, arrived at Cairo International Airport on Monday, but was barred from entering Egypt, the newspaper reported.
(NYT journalist David Kirkpatrick barred from entering Egypt. Aljazeera. February 19, 2019.)


記者はカイロ空港で7時間に渡って拘束されましたが、その間、水も食べ物も与えられないという苛酷な取り扱いを受けたようです。


Security officials held the former Cairo bureau chief for seven hours without food or water after confiscating his mobile phone, before sending him back on an EgyptAir flight to London on Tuesday, the newspaper said.

"We are deeply disturbed that the government of Egypt detained our correspondent, kept him incommunicado, denied him food or water, and refused to allow him into the country," Michael Slackman, international editor of The New York Times, said in a statement.
(ibid.)

ニューヨークタイムズ紙側のコメントが引用されていますが、その中で、


kept him incommunicado


とある部分に注目しましょう。

この”incommunicado”という単語は見慣れないものでしたが、意味の想像がつきそうではありませんか。

スペルからしてラテン語だろうと思ったのですが、果たして辞書を引くと「スペイン語から」との説明でした。

意味合いはご想像どおりで、外部とのコミュニケーションを断たれて、という意味の副詞、もしくは形容詞です。


without means of communication : in a situation or state not allowing communication
(Merriam-Webster Dictionary)


スペイン語からではありますが、さらに遡ればラテン語の動詞communicareに否定の接頭辞in-が付いたものです。


2019年2月20日水曜日

ballistic vest

機動隊や治安部隊が着用する防護具の機能の開発に、ロブスターが参考にされているという興味深い記事を目にしました。

防護具は弾丸やナイフなどの凶器から身体を保護する一方で、動きやすさが求められるということなのですが、ロブスターなどの甲殻類の外皮に見られる、伸縮性とタフさを兼ね備えた組織が研究者の注目を集めているというものです。


Imagine a highly sophisticated body armor that is a tough as it is flexible, a shield that consists largely of water, but remains strong enough to prevent mechanical penetration.

Now imagine that this armor is not only strong, but also soft and stretchy, so much so that the wearer is able to move their body parts with ease, whether they’re swimming in water, walking across the ground or rushing to escape danger.

(中略)

Researchers at the Massachusetts Institute of Technology and Harvard believe the soft membrane covering the animal’s joints and abdomen —— a material that is as tough as the industrial rubber used to make car tires and garden hoses —— could guide the development of a new type of flexible body armor for humans, one designed to cover joints like knees and elbows.
(Peter Holley. MIT scientists are using lobsters to develop a new form of flexible body armor. The Washington Post. February 19, 2019.)


こうした防護具はボディーアーマー(body armor)という名称で知られますが、専門的には、


ballistic vest


と言うそうです。


Ballistic vests —— commonly referred to as “Body armor” —— are widely used by law enforcement officers and have been credited with saving thousands of officers from handgun and rifle ammunition, according to the National Institute of Justice.
(Ibid.)


ここで、”ballistic”は辞書では、「弾道学の」などといった、あまり馴染みの無い表現で載っていますが、バリスタ(ballista)というラテン語に由来しています。(念の為、コーヒー職人の「バリスタ」(barista)ではありません。)

バリスタ(ballista)は古代の兵器で、これまた馴染みの無い、「弩砲」(どほう)という和訳が当てられています。(研究社 羅和辞典)

専門的な説明は回避させていただきますが、古くはカタパルトのような投石機を始め、敵地や敵を攻撃するために石などを長い距離で飛ばすことのできる兵器がありました。

現代の弾道ミサイル(ballistic missile)はそれらの発展形であると言えます。

Merriam-Webster Dictionaryでは、以下のような定義が入っており、”ballistic vests”の”ballistic”の意味を取り込んでいます。


of a material : capable of resisting or stopping bullets or other projectiles


2019年2月19日火曜日

chip away

今日は”chip away”というフレーズを取り上げたいと思います。

このフレーズの意味、ご存知ですか?

きっかけとなった引用は以下です。


The Thesaurus Linguae Latinae was one of many big, scholarly projects taken on by the German government in the late 19th century.

Through two World Wars and German reunification, generations of Latin scholars have been chipping away at the same goal: documenting every use of every Latin word from the earliest Latin inscriptions in the 6th century BC up until around 200 AD, when it was in decline as a spoken language. Befitting the comprehensive nature of the project, the scholars will also include some words up to the 6th century AD.
(Byrd Pinkerton. The Ultimate Latin Dictionary: After 122 Years, Still At Work On The Letter 'N.' NPR. May 14, 2016.)


“chip away”を辞書で引くと、


こつこつ削る(刻む)、慣習・決意などをなし崩しにしていく、(仕事・問題などを)少しずつ片付けていく
(ランダムハウス英和辞書)


と載っています。

引用記事の用例は、


...chipping away at the same goal...


となっていますので、ゴール(目標)に向かって、少しずつ努力していく、という意味合い、またイメージだと思われました。

一方で、「なし崩しにしていく」という意味合いは、全く逆の意味の様に思われます。

ランダムハウス英和の例文に下記の様なものがあります。


Repeated defeats chipped away at the team’s morale.


American Heritage Dictionaryで”chip”のエントリを見てみると、”chip away”というフレーズの定義には、


To reduce or make progress on something incrementally


とあって、”reduce”と”make progress”では意味合いがかなり違ってくると思われるのですが、1つになっているのが興味深く思われました。また、例文には


We chipped away until the problem was solved.


というものがあり、これは冒頭に引用した記事での用例と同じケースでしょう。

もう1つ引用します。


Renewable energies chip away at coal power, stats show

Renewable energies continued to pick up last year to reach 32.3% of total power generation in the EU, up two percentage points from the previous year, according to the report, published today (30 January).

Total coal power generation fell by 6% across the EU in 2018 and is now 30% below 2012 levels, the analysis found, confirming the rapid decline of coal in electricity generation across most European countries.
(EURACTV. January 31, 2019.)


こちらは、”reduce (incrementally)”の方の意味合いです。
“chip”は小さな破片であり、動詞としては、少しずつ削り取る、というような意味です。その削り取る対象が何かによって、目標達成なのか、あるいは損なわれてしまう類のものなのかが決まってくるということになるでしょうか。

ところで、興味深いことに、手元にある研究社の大英和(第五版)には”chip away”の説明が全くありませんでした。


2019年2月18日月曜日

コウノトリ ー stork

プエルトリコ発、フロリダ行きのジェットブルー航空機の中で赤ちゃんを出産するという珍事があったようです。


A JetBlue flight from San Juan, Puerto Rico, to Fort Lauderdale landed with an extra passenger after an expectant mother gave birth to a baby thousands of feet in the air.

Spokeswoman Jen Dang told USA TODAY that Flight 1954's crew and medical personnel on board helped deliver JetBlue's "youngest customer to date" during the 2 hour and 50 minute journey Friday.

"We’d like to thank the crew and medical professionals on board for their quick action under pressure, and wish the new mother and son all the best," Dang added.

Coincidentally, the airplane was named "Born To Be Blue" and the newborn was a boy. However, the aircraft's name will likely be updated to reflect its newest traveler.
(Cydney Henderson. Woman gives birth mid-flight to baby boy on JetBlue plane named 'Born To Be Blue.' USA Today. February 17, 2019.)


高度1万メートル(!?)なのかは分かりませんが、飛行中に産気づいたらしく、揺れる機体の中で男の子が生まれたようです。

ジェットブルー航空は公式ツイッターで、


Giving storks a day off. With mom’s okay, we’d like to rename “Born To Be Blue” after our newest baby blue and our youngest customer ever. More baby shower gifts to come! #AirBorn


と投稿しました。

“Stork”とはコウノトリのことですが、赤ちゃんを運んでくる幸運の鳥の象徴としてのコウノトリは万国共通とは知りませんでした。(日本だけかと思っていました。)

なぜコウノトリが赤ちゃんを運んでくるというイメージを持つに至ったのかについて興味深い記事があります。


Newborn babies are often depicted with a rather incongruous creature: a long-legged, sharp-beaked bird known as a stork. The image of this bird — usually with a cloth bundle dangling from its beak — has become so intertwined with infants that we barely question the stork's ubiquitous presence on well-wishers' cards, baby clothes and blankets.
(What's Behind the Myth That Storks Deliver Babies? Live Scient. June 13, 2018.)


詳しくは記事をお読みいただければと思いますが、諸説あるものの起源ははっきりしないということのようです。


2019年2月15日金曜日

boil down to

最近アメリカの同僚とやり取りしたメールの中で、


it boils down to...


という表現が使われていたので、今日取り上げることにしました。

これは決まったフレーズで、


(議論などが)結局(・・・ということになる)
(ランダムハウス英和辞書)


という意味で使われます。

言うまでもなく、"boil"は沸騰する(させる)という意味の動詞です。つまり、とあるテーマに対してああでもない、こうでもない、というように議論百出、議論が”沸騰”したところが、結局のところはある1つの結論、帰結に至る、というようなニュアンスです。

日本語でも、「議論が煮詰まる」などと言いますが、英語もほぼ同じような概念でしょうか。

コーパスで用例を検索しました。


But whether the food-labeling system is user-friendly and trustworthy depends on understanding the assumptions and "language" behind the label, and sometimes reading between the lines. "Despite its detractors," says Elizabeth Ward, a dietitian from Stoneham, Mass., "labeling does a good job. The percent of daily values is confusing to people, but it boils down to this: You should know what you need to eat and gauge the food against that."
(Christian Science Monitor, 2000)


But the long-range future of having a major-league team in Houston boils down to one simple question: Will they come?
(Houston, 1995)


"boil down to"に続くパターンとしては、コロン(:)が来るというのが結構あります。


2019年2月14日木曜日

moonshine

インドで安価な密造酒を飲んだことによる死者が80人にも上る惨事があり、密造業者が摘発されました。


New Delhi, India (CNN) Indian police have launched a crackdown on illegal bootleggers after 80 people were killed drinking toxic moonshine in the country's north, police said.

India has long grappled with the problem of fake or illegal alcohol, which is affordable and readily available for many impoverished people.

Police believe the deaths occurred when victims across two neighboring states drank from the same batch of illegal homemade brew, which was produced by a criminal group operating between Uttar Pradesh and Uttarakhand.
(Crackdown on illegal bootleggers after 80 die from toxic hooch in India. CNN. February 13, 2019.)


密造酒に当たる単語として、


moonshine


という単語が使われています。これは初めて見ました。

記事では、”fake or illegal alcohol”、”illegal homemade brew”などの表現も見られます。また、記事のタイトルに出てくる、


hooch


も密造酒の意味らしいです。

“moonshine”については、興味深い語源があります。ランダムハウス英和によると、密造酒を作るのに夜陰、つまり月の明りの下でこっそり行なったことから、という説明があります。

同じく、”moonlight”という単語にも密造酒の意味があるということで、納得です。



2019年2月13日水曜日

crib

人工知能(AI)がいよいよ人間を凌駕する時が来る!?のでしょうか。

IBMが開発したディベート(討論)のAIシステムが人間と討論対決したそうです。

結果は人間の勝ち(!)だったそうですが、AIも善戦したらしく、ディベートのような複雑な論理構成が必要とされる分野でも人工知能の利用可能性が示唆されました。


People are great at arguing. But a project from IBM shows that computers are getting quite good at it, too.

On Monday, Harish Natarajan, a grand finalist in 2016's World Debating Championships, faced off against IBM's Project Debater — a computer touted by the company as the first artificial-intelligence system built to meaningfully debate humans. Natarajan won, but the computer demonstrated the increasingly complex arguments that AI is starting to make.

Project Debater, which has been in the works since 2012, is designed to come up with coherent, convincing speeches of its own, while taking in the arguments of a human opponent and creating its own rebuttal. It even formulates its own closing argument. To generate its arguments and rebuttals, Project Debater uses newspaper and magazine articles from its own database, and also takes in the nuances of the human opponent's arguments. It is not connected to the internet and cannot crib arguments from sites like Wikipedia.
(Rachel Metz. IBM's fast-talking AI machine just lost to a human champion in a live debate. CNN. February 12, 2019.)


人工知能の具体的な仕組みにはあまり詳しくありませんが、膨大な量のデータを蓄積することで、その中から最適な組み合わせや解決方法等を提示することができるというイメージがあります。

ディベートのAIシステムも、与えられた討論テーマに関する膨大な情報を解析しているのだろうと思われるのですが、今回のシステムはインターネットとは接続しないものだったとの記事の解説があります。


It is not connected to the internet and cannot crib arguments from sites like Wikipedia.


この部分で使われている、"crib"という単語ですが、スラングの意味で、盗む(steal)、剽窃する(plagiarize)という意味があります。

"crib"の基本的な意味はベビーベッドや飼い葉桶といったものですが、それが盗むというスラングの意味に発展したのはどのような背景があるのでしょうか?

いろいろな辞書を当たりましたがそれらしい説明は特になく、ネットでの情報も確固としたものはないようです。

興味深いのは、ベビーベッドを意味するようになったのはかなり後になってからのようだということです。そもそも"crib"とは囲いのされた家畜小屋を意味するものだったようですが、ベビーベッドの意味は、その転落防止の柵が家畜小屋の囲いを連想させるからだったとか。

さらに"crib"は狭い場所や部屋、家、といった意味も持つに至ります。

そして、モノを入れて置いたり、貯めておく入れ物(a basket)の意味もあるのですが、どうやらこれが盗んだものを隠しておくバスケットとも解釈されるようになり、さらに盗む(steal)という意味を持つに至った、という説が有力のようです。

かなり昔の話になりますが、"crib sheet"という表現を取り上げたことがあります。

"crib sheet"はカンニングペーパーの意味なのですが、現代ではカンニングペーパーという言葉は死語かも知れません。

その昔、ラテン語の習得に苦労した学生達は、試験に備えてラテン語の逐語訳を準備していたそうですが、それがカンニングペーパー(crib sheet)のはしりとも言われます。

「カンニング」とは言え、単なる翻訳でした。

「剽窃」、「盗用」は現代では著作物やネットの情報をコピペする行為に代表されますが、"crib"の意味するところも変化してきていると言えるかもしれません。


2019年2月12日火曜日

vamp

つい先日も取り上げたばかりですが、また”blackface”にまつわる話題です。

今回は有名ブランドが謝罪に追い込まれました。


First it was Prada. Then Gucci. Now, Katy Perry is being called out for creating fashion that evokes blackface.

The singer's namesake brand faces criticism over two styles of shoes that some say feature racist imagery.

CNN has reached out to Perry for comment. Perry debuted her line of whimsical shoes in 2017. They are available on her website and through retailers around the world including Dillard's and Walmart in the United States.

The Ora Face Block Heel and Rue Face Slip-On Loafers come in black and beige. The vamps in both styles include the same protruding eyes, nose and full red lips.
(Emanuella Grinberg. Katy Perry faces criticism over shoe design resembling blackface. CNN. February 11, 2019.)


何が問題なのかですが、百聞は一見に如かず、記事の写真を見ていただくと分かります。

サンダルとかローファーとかの部類に入るそうですが、アッパーの部分、つまり一番目につきやすい部分は明らかに黒人女性を模したようなデザインになっています。

今、アッパーと書きましたが、記事では、”vamps”となっています。

この”vamps”という単語を知りませんでしたが、成り立ちが興味深いので取り上げました。

“vamp”もアッパー(upper)も靴の特定箇所(装甲部分というらしいです)を示すという意味では同じです。

“vamp”を辞書で引くと、フランス語に由来しているとあり、フランス語のavant pieから来ているとの説明があります。

フランス語をご存知の方はすぐお分かりになると思いますが、avantは”before”、また”in front of”の意味で、pieは”foot”の意味です。

つまり、足の前面部ということを表現したフランス語のavant-pieがつづまってできた単語ということになります。


2019年2月11日月曜日

frightful five

最近マスコミを賑わしている言葉に、ガーファ(GAFA)というものがあります。

現代人で知らない人はいないと思われますが、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、という4大ネット企業の頭文字を取ったものです。

これらの企業はプラットフォーマーなどとも呼ばれているようです。インターネットが我々の生活の隅々まで浸透してきている中で、各社の占めるシェアやサービスの重要性がこれまでになく増してきており、もはやこれらの企業に依存しないでは生活を送ることが難しくなりつつあります。

大袈裟な、と思われるでしょう。

今日読んだ記事では、アマゾンを遮断した生活を試みた話というのがありました。

これが実際、そう簡単ではないのです。


Kashmir Hill wanted Amazon out of her life, completely.

It was the first week of a six-week experiment in living without tech giants. She had a virtual private network, or VPN, that would keep her devices walled off from any Amazon product. She would avoid Whole Foods and power down her Kindles.
(Lulu Garcia-Navarro. Why We Can't Break Up With Big Tech. NPR. February 10, 2019.)


記事はGizmodo紙のライターによる試みを紹介したものです。同じライターによる別の試みでは、どの企業のネットサービスが果たして最もやめにくいか、という実験をしています。


This is a story of how, over six weeks, I cut them out of my own life and tried to prevent them from knowing about me or monetizing me in any way ー not just by putting my iPhone in a drawer for a week or only buying local, but by really, truly blocking these companies from accessing me and vice versa. I wanted to find out how hard it would be—or if I could even do it—given that these tech giants dominate the internet in so many invisible ways that it’s hard to even know them all.
(Kashmir Hill. Life Without Tech Giants. Gizmodo. January 22, 2019.)


ところで、ガーファ(GAFA)以前に、こうした巨大ネット企業を指すのに、“frightful five”なる表現があったようです。


People have done thought experiments before about which of the “frightful five” it would be hardest to live without, but I thought it would be more illuminating, if painful, to do an actual experiment: I would try to block a tech giant each week, to tell the tale of life without it. At the end of those five weeks, I’d try to block all of them at once. God help me.
(ibid.)


この“frightful five”を知りませんでしたが、いわゆるガーファ(GAFA)にマイクロソフト社を加えての5社を指すようです。


This is the most glaring and underappreciated fact of internet-age capitalism: We are, all of us, in inescapable thrall to one of the handful of American technology companies that now dominate much of the global economy. I speak, of course, of my old friends the Frightful Five: Amazon, Apple, Facebook, Microsoft and Alphabet, the parent company of Google.
(Farhad Manjoo. Tech’s Frightful Five: They’ve Got Us. New York Times. May 10, 2017.)


引用は2017年のニューヨークタイムズ紙からで、ガーファ(GAFA)が取り沙汰される前のように思われます。


2019年2月8日金曜日

kick the tires

トランプ米大統領は、2月5日に行った一般教書演説の中でエイズ対策について触れました。

その内容についての記事から引用します。


Scientists kick the tyres on Trump’s plan to tackle HIV

In his State of the Union address on 5 February, President Donald Trump committed to eliminating the HIV epidemic in the United States by 2030. Many researchers applaud the sentiment but are sceptical that the administration can effectively reach out to communities that it has helped to marginalize through its actions.
(Amy Maxmen. Scientists kick the tyres on Trump’s plan to tackle HIV. Nature. February 6, 2019.)


大統領は2030年までに米国内でエイズを撲滅する目標を掲げましたが、その具体的な方策に果たして実効性があるのかという疑問が専門家などから上がっている模様です。

記事のタイトルで、


kick the tyres


という表現が使われています。

"tyre"は"tire"(タイヤ)と同じで、英式のスペルですが、「タイヤを蹴る」という意味になります。

このフレーズを手元にある辞書で調べましたが載っていませんでした。ネットを検索すると、点検する、調べる、チェックする、などの意味があるらしく、なるほどと思いました。

自動車(あるいは自転車?バイク?)に乗る前に、ちゃんと乗れるのか、パンクしていないか、タイヤをちょっと蹴ってみてチェックする、ということなのでしょう。

辞書に載っていないのはどうしてなのかよく分かりませんが、このフレーズは結構日常的に用いられるようです。

コーパスでの検索でも多くの用例がヒットしました。1つ引用します。


From Washington, Obama came under criticism from a presidential rival, 26-year veteran Sen. Christopher Dodd of Connecticut, for his lack of experience. "I think experience matters to people. The stakes are very, very high right now," Dodd said on "Face the Nation" on CBS. "This is not a time for on-the-job training." At the house party in Iowa Falls, Obama said, "I'm going to have to be run through the paces, people are going to have to lift up the hood, kick the tires and be clear that I have a grasp of the issues that are of utmost importance in people's lives."
(Associated Press, 2007)


少し引用が長いですが、オバマ元大統領が、まだ大統領になる前の話です。

オバマ氏のコメント、


I'm going to have to be run through the paces, people are going to have to lift up the hood, kick the tires...


という部分は、明らかに自身をクルマに喩えています。


2019年2月7日木曜日

minstrel

ここのところグーグルニュースのヘッドラインを見ていますと、"blackface"という言葉を頻繁に目にします。

政治家らが過去に、顔を黒塗りにしていた「おちゃらけ」が批難を浴びている模様です。


WASHINGTON (AP) — A racist photo from a 1984 yearbook threatens to end Virginia Gov. Ralph Northam’s political career. The photo shows two people: one in blackface and one wearing a Ku Klux Klan hood and robe. The image generated intense pressure for Northam to resign. Virginia Attorney General Mark Herring also has admitted that he, too, once wore blackface in the 1980s, offering the latest example of a prominent white person facing harsh criticism for wearing blackface.
(Jesse J. Holland. Blackface, explained: Why Ralph Northam, Mark Herring and others darkening their faces is such a big deal. USA Today. February 6, 2019.)


顔を黒く塗るということは、黒人に扮するということだと分かりますが、何故それが批判の対象になるのか、については分かりやすく説明してくれるものがなかったところ、ここに引用するUSA Today紙の記事で解説がありました。


Here’s a look at the practice and history of blackface:

Blackface minstrelsy is considered by some to be the first uniquely American form of entertainment.

White men would darken their faces to create caricatures of black people, including large mouths, lips and eyes, woolly hair and coal-black skin. The performances would stereotype black men and women as ignorant, hypersexual, superstitious, lazy people who were prone to thievery and cowardice.
(ibid.)


"minstrel"という単語は、辞書を引くと最初に吟遊詩人、吟遊楽士という訳語が出てきますが、これは中世という時代における話であり、今般問題になっているのは、


minstrel show


のことです。

"minstrel show"は、


A comic variety show of the 1800s and early 1900s, usually featuring white actors in blackface
(American Heritage Dictionary)


と定義されており、アメリカにおいて白人が黒人に扮して上演される喜劇ショーのことです。

引用した記事の解説にもあるように、その多くが黒人の身体的特徴などを誇張して演出しており、その蔑視的な内容は昔から批判されてきたものです。


2019年2月6日水曜日

optics

記事の引用からどうぞ。


LOS ANGELES – A black man suffering from mental health problems, naked and unarmed, runs out into traffic where he is struck by a vehicle. He writhes on the pavement, then gets up and charges angrily toward a police officer. Taser hits fail to stop him.

It's exactly the kind of scenario that haunts police agencies looking to avoid racially charged shootings like the one that rocked Ferguson, Missouri, in August 2014. There, Michael Brown, an 18-year-old black man, was killed by a white police officer, sparking national protests that helped bring attention to the Black Lives Matter social justice movement and its demand for police reforms.
(Chris Woodyard. Police are looking for alternatives to guns. How effective are they? USA Today. February 1, 2019.)


凶悪犯などに対する、警官による正当な拳銃の使用、というようなことが日本でもよく話題になりますが、銃社会と呼ばれるアメリカにあっても、近年は拳銃の使用に慎重なようです。

背景には、"racially charged shootings"というものがあるようです。白人警官による黒人への発砲は、それが果たして正当なものだったのか、人種に対する偏見が背景になかったか、といった議論が起きることが度々ありました。

こういう背景から、拳銃以外の有効な手段、特に致死的ではない手段が議論されているようです。

例えば、テーザー銃(Tasers)はその1つだそうですが、容疑者が分厚い服を着ている場合など、状況によっては効かず、抑止力に欠けてしまうという欠点があると記事では解説されています。

その他、催涙スプレーや警棒、容疑者相手に発砲すると網になって四肢を絡め取る飛び道具、などが手段として考えられるということですが、結局のところ、警察当局にとって悩ましいのは、どんな手段であれ、白人警官対有色人種の容疑者という対立構造で捉えられてしまうことのようです。


One element officers fear, however, is how the use of non-lethel force will be interpreted in video of incidents.

Officers, for instance, are sparing in their use of batons because the "optics" can look bad, said Sgt. Spencer Fomby of Berkeley, California. As a training officer, Fomby said he wants officers to know how to use physical skills. It's one more tool, they say, the kind that can prevent an incident resulting in a fatality.
(ibid.)


上記の引用部分で、


optics


という単語が使われています。

"optics"は光学を意味する名詞ですが、ここでは引用符付きになっているように、特別な意味合いで使われています。

American Heritage Dictionaryでは、インフォーマルな表現ということで、


The way a situation or action appears to the general public


と定義されています。

"optics"にこんな意味もあったの?と思いましたね。

これはつまり、一般の目に状況がどう映るか、という意味合いです。

ランダムハウス英和にはこのような意味は載っていませんでした。どのような経緯で"optics"がこのような意味を持つに至ったのか興味深いところです。

New York Timesの記事で、"optics"という単語について考察したものがありました。


How did optics achieve buzzword status in American politics? In his final On Language column last September, William Safire noted the trend: “ ‘Optics’ is hot, rivaling content.” When politicians fret about the public perception of a decision more than the substance of the decision itself, we’re living in a world of optics. Of course, elected officials have worried about outward appearances since time immemorial, but optics puts a new spin on things, giving a scientific-sounding gloss to P.R. and image-making.
(Ben Zimmer. On Language: Optics. New York Times. March 4, 2010.)


一般大衆の目を気にするのはやはり政治家ですね。


2019年2月5日火曜日

FOMO

10代のお子さんを持つ親御さんには共通して抱える悩みがあろうかと思います。

ズバリ、スマホです。

わたしにも3人の子供がいますが、スマホを持たせていないと言うと同僚などからは驚かれます。(尤も、WiFiで使えるタブレット端末が家にはありますが。)

スマホというものは余程中毒性があるのでしょうか、あんな小さな画面の先に何の面白いことがあるのかと訝りたくもなるのですが、大人も子供も手離せない人が多いようです。

10代の成長期にある子供にあっては、スマホへの過度な熱中が睡眠時間や運動の時間を奪ってしまっているという現実があります。


If you have teenagers, you probably won't be surprised to hear that a study published Monday in the journal JAMA Pediatrics found that only 5% of them are getting enough sleep or exercise, or are limiting their screen time to what's recommended by experts.

The researchers analyzed data from the US Centers for Disease Control and Prevention's Youth Risk Behavior Surveillance Survey. Of the almost 60,000 teens who completed the survey between 2011 and 2017, only 5% followed the recommendations for sleep, exercise and screen time, according to the study.
(Edith Brancho-Sanchez. Your teen probably isn't sleeping or exercising enough; here's what you can do to help. CNN. February 4, 2019.)


米国の著名な医学誌による調査では、成長期に必要な睡眠時間や運動時間に満たない10代の割合は95%にも及ぶそうです。

screen time”を如何にコントロールするかは喫緊の課題です。

ところで、引用した記事では以下のようなくだりがあります。


Know that FOMO is real

"We see so many of our high school students spending over four, five, six hours per day on non-educational screen time," Breuner said.

They are making sure they don't miss the most recent Instagram post or Snapchat video due to fear of waking up in the morning and realizing the world suddenly changed while they were sleeping, she said.

In addition to the fear of missing out, teens may lie awake long after they've powered off their devices, thinking about whatever conversation just took place or the homework that they didn't finish, she explained -- not to mention that the light from the screens has been shown to interfere with the secretion of melatonin, the hormone that tells the body it's nighttime.
(ibid.)


唐突に、“FOMO”という略語が出てきます。

私はこの略語を知らなかったので、一体何のことか分からなかったのですが、本文中では後段に、


the fear of missing out


と出ており、“FOMO”とは“fear of missing out”の頭文字を取ったもの、ということになりますね。(一読しただけではそうだと分かりませんでしたが。)

つまり、10代の子供達は友人や仲間たちからおいてけぼりにされる恐怖心から、常に最新の情報をスマホでチェックしないではいられないのだということです。

ほとんど強迫症に近いものがありますね。

ところでこの“FOMO”という略語は今日ではかなり浸透しているようで、検索してみると多くの記事がヒットします。

スマホに限りませんが、情報過多の現代において、機会やチャンスを逸したくない、いい話があれば乗り遅れたくない、他人に劣後したくない、という感情が勝ってしまう、という状況を指して、“FOMO”なのだろうと思います。

この“FOMO”の対局にあるのが、“JOMO”で、こちらは“joy of missing out”、むしろ機会損失を楽しむという心の余裕を持つ態度のようです。


The answer is that we need to celebrate the joy of missing out; FOMO must give way to JOMO. Joy comes with the realization that the quest for more-more-more is futile and is bound to end in despair. A truly happy life will almost always involve moderation.
(Svend Brinkmann. Quit indulging your FOMO, and embrace the joy of missing out. NBC News. February 3, 2019.)


2019年2月4日月曜日

play hooky

この週末、アメリカではスーパーボウルの試合があったそうです。

アメフトの話題にはあまり詳しくありませんが、10年以上前に3ヶ月ほど滞在した折、週末のアメフトの試合の中継番組を、家族や友人で集まって観るのがアメリカ人の余暇の過ごし方のようでした。

大抵昼間からビールを開け、タコスやらポテトチップスなどの軽食を準備していました。


The Super Bowl is the biggest day of the year for football fans, and the Monday after is a big day for people to miss work.

An estimated 17.2 million adults employed in the U.S. are expected to miss work the day after the Super Bowl, according to a survey from The Workforce Institute at Kronos Incorporated.

It's the biggest day of Super Bowl-related absenteeism since Kronos started tracking in 2005.

(中略)

"Both employees and their bosses continue to play hooky the day after The Big Game," said Joyce Maroney, executive director at The Workforce Institute, in a statement.
(Brett Molina. If you call in sick Monday after the Super Bowl, you aren't alone. 'Super Bowl fever' is a thing. USA Today. January 31, 2019.)


そのスーパーボウルの試合があった翌日の月曜日というのはズル休みする人が多いという統計があるというのが、引用した記事の趣旨なんですが、週末の一大イベントで盛り上がりすぎて、現実逃避したくなる人が多いのでしょうか!?

さて、ズル休みを表現するのに、


play hooky


という表現が使われていますが、これはアメリカ英語特有の表現らしく、”hook it”(逃げる、とんずらする)というフレーズがつづまったものという解説が辞書に見えます。


2019年2月1日金曜日

garden leave

仕事柄、海外事務所の同僚からメールを受け取ることが多いのですが、その内容が退職を知らせるものであることも珍しくありません。

昨晩受け取ったメールもそうだったのですが、文中に、


garden leave


という見慣れない表現が使われていました。大体以下のような文面です。


Today is my last day in the office before garden leave.


この表現を知りませんでしたので調べてみたところ、辞書には載っておらず、ネット検索でいくつか参考になる情報を得るのみでしたが、要は会社を辞めることが決まっているのだけれども、正式な退職日というのが少し先で、それまでの間は休暇の扱いである、という状況を指して“garden leave”というようです。

転職経験のある方には、それだったら退職に合わせて有休消化するのとほとんど同じ意味では、と思われるでしょう。

たしかにそれとほとんど変わらないようにも思われますが、“garden leave”は比較的高位の役職にある人に適用されるものというような印象もあります。


Andrea Orcel, the former top dealmaker at UBS, will have to wait until April to take on his new role as CEO at Banco Santander SA after the bank decided to enforce his entire six-month garden leave, people familiar with the matter said.

Bloomberg News reports that Orcel was expected to make the move early in the first quarter, the people said, asking not to be identified because the matter is private. In the Spanish bank’s September announcement it said he’d join in “early 2019,” and a related regulatory filing said his start date would be no earlier than January 1st.
(Bloomberg)


上記の引用では、CEOの職にある人の話ですが、“garden leave”は本人の選択ではなく、組織から要求されているものです。

恐らくは退職後に競合他社へ移るというもので、“garden leave”は社外秘情報などを競合先に持ち出させないようにするという目的もあるようです。

なぜ“garden leave”と呼ばれるのかについてははっきりとした説明は見当たりませんが、当該休暇期間はあくまで社員の身分としてあるため、新しい職場で働くことも出来ず、自宅で庭いじりをするくらいしかないから、というようなことらしいです。