最近30日間のアクセス数トップ3記事

2022年7月29日金曜日

recidivism

都会で犯罪が多いのは論を待たないかと思いますが、ニューヨークでは近年再犯率が増加傾向にあるそうです。

強盗犯や窃盗犯の5人にひとり、つまり約2割が60日経たずして再犯で検挙されるという統計があるようです。

再犯率が増加している背景には、検挙された犯罪者の勾留、保釈に関する法律を改定したこと(いわゆる、bail reform)があるようです。


Roughly one in every five crooks busted for burglary or theft in New York last year got re-arrested on a felony charge within 60 days after being put back on the streets, NYPD figures obtained by The Post show.

The alarming statistics reveal increases in alleged recidivism as high as three times what they were in 2017 — before New York’s controversial bail-reform law took effect in 2020.
(Recidivism rates for NYC’s burglars and thieves soar amid bail reform: NYPD data. New York Post. July 28, 2022.)


「再犯」を表す英語に、


recidivism


という単語があるとは、不勉強にして知りませんでした。

常習的犯行、また病気に関して再発(性)を意味する単語です。再犯者は、"recidivist"となります。

この単語はラテン語のrecidereという動詞からきていると語源欄にあります。ラテン語動詞の意味は、逆戻りする、(ある状態に)再び陥る、というもので、再犯の意味につながっていることが分かります。

接頭辞のre-には「再び、再度」の意味があることはご存知の通りです。一方、cidereという部分はcado (cadere)という動詞から来ており、これは落ちる、死ぬという意味で、英単語でいうと、"cadence"や"accident"などの単語に見られるものです。


2022年7月28日木曜日

fiefdom

唐突ですが、"fiefdom"という単語をご存知でしょうか?

ちょっと変わったスペルの単語、一見造語かと思いましたが、私は初めて見ました。きっかけは以下の記事です。


Whitefish, Montana, is known for fly fishing and hiking trails studded with yellow aspen trees. But after Silicon Valley billionaire Michael Goguen took up residence in the Rocky Mountain town several years ago, he transformed it into his private fiefdom: a dark banana republic where he allegedly controls local law enforcement — and a “harem” of young women.

The bombshell allegations, which also include claims of Goguen ordering his security chief to kill detractors, are contained in a lengthy civil complaint recently filed in United States District Court for the District of Montana.
(Isabel Vincent. Tech billionaire allegedly kept spreadsheet of 5,000 women he had sex with. New York Post. November 20, 2021.)


記事の内容は置くとして、"fiefdom"というのは領地という意味だそうです。辞書を引くと、"fief"という単語に同じとありますが、封建時代における封土を指し、君主が臣下に支配権を行使する権利を与えた場所のことを言うもののようです。

ところで、語源欄を見ると、"fiefdom"、"fief"は、"fee"という単語と関連しているとの記載があります。

"fee"というのは現代では料金とか手数料の意味で用いられますが、遡るとウシなどの家畜(livestock)を意味する古英語feohから来ているのだそうです。

封建時代の領土においては、家畜を飼育し、独自の支配権を確立していた訳で、領有、また領地の所有権という意味が"fee"に残っています。一方で、"fief"という単語にもなったという訳です。

"fee"という単語が料金や報酬といったお金の意味になるのは、家畜が財産と見做されていたことと関係があります。金銭の、という意味の形容詞"pecuniary"がラテン語で家畜を意味するpecusから来ているのと同じです。



2022年7月27日水曜日

お祭り騒ぎ ー field day

記事の引用からどうぞ。


An event with Vice President Kamala Harris on Tuesday featured her and guests at the table introducing themselves with their names, pronouns, and descriptions of their clothing, drawing both mockery and defense from media members online.

Harris led a roundtable about the overturning of Roe v. Wade and its effects on disabled people. 

"Good afternoon. I want to welcome these leaders for coming in to have this very important discussion about some of the most pressing issues of our time. I am Kamala Harris, my pronouns are she and her. I am a woman sitting at the table wearing a blue suit," a masked Harris said while introducing herself.

(中略)

Conservatives who often mock liberals for embracing the idea of sharing their gender pronouns had a field day with the clip. It's common on Twitter to see progressives share their pronouns in their bios.
(David Rutz. Twitter blows up over Kamala Harris introducing herself with 'she/her' pronouns, description of her clothing. Fox News. July 26, 2022.)


少し長くなってしまいましたが、LGBTQ+の人達をサポートする民主党のトップたるもの、カマラ・ハリス副大統領はホワイトハウスでの一般国民との会合において模範を示したのでしょう。

自己紹介にあたり、名前に加えて自身の代名詞を添えたそうです。代名詞とはご存知の通り、"she/her"、"he/him"といったものですが、性自認が生物学的な性と一致しないトランスジェンダーの人にとっては、代名詞により性自認を明確化するということが当たり前のようになっており、それに倣ったものです。(以前取り上げた、"misgender"、"they"もご覧下さい。)

これに対して眉を顰めたくなるのは保守派です。ツイッター上ではハリス氏を揶揄する投稿でやんやのお祭り騒ぎのようです。

この「お祭り騒ぎ」に相当する英語表現として、"had a field day"という表現に着目してみましょう。

"field day"というのは直訳すると野外活動の日、あるいは運動会の日、という意味です。それは例えば小学生の子供にとっては、楽しい日です。

そこから、"field day"は(特定の人にとって)興奮する機会、胸躍らせるような時間、というような意味で使われるようになりました。

つまり、ハリス氏の一件は保守派がここぞとばかりに批判を展開する機会に、またその格好のネタになった、ということを言っているものです。


2022年7月26日火曜日

point-blank

今日の邦紙朝刊によると、コロナ禍によるリモートワークについて、国内では感染が拡大し第7波到来とされている中、企業での実施率は調査開始以来最低となったと報じていました。

今後、リモートワークは定着するのでしょうか、それとも・・・。

米国の話になりますが、企業人事などの専門家6名による見解を取り上げた記事を読みました。


Whether you’re a remote work booster or a skeptic, there are lots of unanswered questions about what happens next for remote work, especially as Covid-19 restrictions continue to fade and as fears of a recession loom.

How many people are going to work remotely in the future, and will that change in an economic downturn? Will remote work affect their chances of promotion? What does it mean for where people live and the offices they used to work in? Does this have any effect on the majority of people who don’t get to work remotely? If employees don’t have to work in person to be effective, couldn’t their jobs be outsourced?
(Rani Molla. The future of remote work, according to 6 experts. Vox. July 24, 2022.)


記事によりますと、今後(米国内では)リモートワーカー率は3割程度で定着するという見方があるようです。非雇用者にとってリモートワークがもたらすフレキシビリティは歓迎するところですが、気になってくるのは昇給、昇進に影響はないのか、ということではないでしょうか。

私も記事の前半部分はすっ飛ばして、下記のパラグラフに目を留めた次第です。


Will remote workers find it harder to advance than their in-person colleagues?

Taylor: Yes, point-blank. More than two-thirds of supervisors (67 percent) consider remote workers more easily replaceable than onsite workers, and 62 percent believe fully remote work is detrimental to employees’ career objectives. Managers acknowledged that when they are looking to give an assignment, they oftentimes forget the remote worker. Proximity matters.
(ibid.)


リモートワーカーは昇進面で不利か?という質問に対しての専門家(Taylor氏)の回答は、


Yes, point-blank.


というものです。この"point-blank"というのは、単刀直入に言って、という意味で、副詞として辞書に載っています。

"point-blank"の"blank"というのは的の中心(ど真ん中)を指します。

このことから、"point-blank"は(的の中心を狙って)直射する(直射の)、至近距離で狙った、という意味もあるようです。話題になっていること、問われていることの核心(的の中心)にダイレクトに(答える、言及する)、ということですね。

さて、人事の専門家は、リモートワーカーは昇進面で不利か、という質問に対して、「単刀直入に言って、イエス(不利である)」と言ってのけた訳です。

これは聞き捨てなりませんね!?

キャリアアップのために上司の目に触れようと思えば、オフィスにいる方が有利、リモートワークではその機会が失われる、という理由のようですが、上司がオフィスワーカー志向であればさもありなん、という気もします。


2022年7月25日月曜日

バイデン大統領が新型コロナ感染 ー read

先週のニュースになりますが、バイデン大統領が新型コロナウィルスに感染したと報じられました。

症状が見られるものの軽症で、執務には問題はないということです。

以下の引用はオピニオン記事からのものです。


However high Biden’s viral load goes, we can count on two things to happen. The press corps, the political class and the public will demand to be read in on his medical prospect — not because we want anybody to abuse his HIPAA rights — but because as president he owes us a transparent view. A president’s illness is not his private business, especially if he is 79 years old.

But don’t expect medical candor from the Biden White House, even though his press secretary has promised a daily update on his status. Eager to maintain the image of being large and in control, presidents from both parties have traditionally masked their medical conditions from the public, confiding only after the fact the gravity of their conditions. Biden would be breaking against the historical flow if he leveled with us. Being president means you need never be totally open about your health.
(Jack Shafer Opinion | Get Well, Mr. President! And Don’t Lie About Your Health. Politico. July 21, 2022.)


大統領の健康状態というものはトップシークレットであると共に(もしくはそうであるが故に)、国民の最大の関心事です。特にバイデン大統領は高齢で、これまでにも様々な健康不安説が取り沙汰されてきたことから、今回の新型コロナ感染は関係者の注目を集める訳です。

ところで引用記事に、


The press corps, the political class and the public will demand to be read in on his medical prospect


というくだりがあります。まさしく、新型コロナ感染後した大統領の予後については、国民を始めとして関係者にも知る権利がある、ということを言っているものです。

ここで、"to be read"という言い回しですが、「読む」という意味の動詞"read"が受動態で使われていますね。

"read"という動詞を受動態で使うのはあまり馴染みがないのではないでしょうか。

例えば、


The passage may be read several ways.
The book has been read by millions of people.


のような文は、動詞"read"の目的語が主語になる形で受動文を構成していますが、記事の用例では受動文の主語は人であり、"somebody… be read"というパターンはちょっと変わっているというか、お目にかかったことがありません。

このような"read"は、過去分詞形がほぼ形容詞的に用いられるように、


〜に通じている


という意味で用いられると考えられ、辞書においても形容詞のエントリに入っています。

American Heritage Dictionaryでは、


informed by reading


とあるのですが、(書籍など)書かれたものを読むことで知る、という前提のようですね。




2022年7月22日金曜日

digital presenteeism

リモートワークは実のところ効率が悪い働き方である −− そんな見方があるようです。

パンデミックを契機に多くの企業などでリモートワークの効用が実証されたとされる一方、グーグルやアップル、ウォールストリートの大企業などはオフィス回帰を主導し、テスラCEOのマスク氏に至っては出社しなければクビにするとまで公言しました。

引用する記事によれば、リモートワーカーは仕事をしているように見せるために無駄な作業を行なっているという調査結果があるそうです。

何が起きているかというと、サボっていないように見せるために不必要なオンライン会議に出たり、重要でもないチャットやオンラインでの作業を行ったりする時間が平均して1時間以上に及ぶという統計があるそうなのです。

これを"digital presenteeism"と呼んでいます。


New data from Qatalag and GitLab puts a number on it: Knowledge workers waste an extra 67 minutes online each day doing menial tasks for the express purpose of proving to their managers and colleagues that they’re available and working.

It’s taking a strain. The survey polled 2,000 knowledge workers and found that more than half of them (54%) reported feeling pressure to show their online status by replying to emails and Slack messages, adding comments to Google Docs, or updating project management tools.

(中略)

The report calls this “digital presenteeism.” It’s the remote version of traditional presenteeism, when workers stay at their desk for no reason other than to prove to their bosses they’re working.

Digital presenteeism hinges on that same visibility—whether that means “responding to notifications, or sitting in Zoom meetings you don’t need to attend,” the report says. And, like office presenteeism, it doesn’t correlate to any better work output.
(Jane Thier. Elon Musk says remote workers are just pretending to work. Turns out he’s (sort of) right. Fortune. July 20, 2022.)


"presenteeism"という表現を10年以上前に取り上げました。風邪をひいても休まず出社したり、必要もないのに遅くまでオフィスに残ったり、とりあえず働いていますよ、とアピールすることです。効率は度外視、とにかく仕事場に居る(being present)、ということを重視するような態度のことです。

それから10年後、果たして、"digital presenteeism"という表現を取り上げることになるだろうとは想像もしませんでした。

環境は変われど、人間の行動というのは変わらない、ということなのかも知れません。

昨日、マイクロソフト社のチームズというアプリケーションで大規模な障害が発生したそうですが、チームズを採用している多くの企業では"presenteeism"が発揮できず困った(!?)のではないでしょうか?



2022年7月21日木曜日

pilfer

記事の引用からどうぞ。


An off-duty NYPD cop working security at a Midtown Duane Reade was slashed by a homeless shoplifter whom he tried to stop early Wednesday, cops and police sources said.

The 52-year-old cop — who was working a side job at the store — caught Domonique Lax, 33, in the act as she pilfered unspecified items at the drugstore on Eighth Avenue near 44th Street just after midnight, cops said. 
(Off-duty NYPD cop slashed while trying to stop Duane Reade shoplifter. New York Post. July 20, 2022.)


今日は"pilfer"という単語を取り上げたいと思います。ご存知のように、"pilfer"は盗む(to steal)という意味ですが、少量のものを、繰り返して盗む、という含意があります。

大体、盗むという行為は人に見つからないように、わからないように、コッソリとやるものですが、"pilfer"は少量のものを取るので、盗まれたことがよりわかりにくい、と言えます。

記事のコンテクストのように、お店に陳列されている多数のストックから少量をちょろまかすというような状況は、"pilfer"がぴったりではないかと思われます。

以下の用例も同様ですね。


He also marked all the milk bottles in the refrigerator with a red pen, to keep the household staff from pilfering.
(Forbes, 1995)


語源欄をチェックしてみると、古フランス語で戦利品、略奪品を意味するpelfreから来ているとあります。

略奪を意味する単語に、"pillage"がありますが、似たようなスペルでありながら語源は異なり、また意味合いも大分違います。


2022年7月20日水曜日

at one’s behest

英王室のハリー元王子とメーガン元妃のカップルは王室離脱して以降、何かとタブロイド紙などでネタにされてしまっているという印象があります。今日見た記事では、またしてもバッシングを受けているようです。

きっかけは国連でのスピーチで米国の中絶問題に触れたことでした。


Conservative Twitter users tore Prince Harry apart after the British royal gave a condescending speech trashing the Supreme Court's reversal of Roe v. Wade during a U.N. summit on International Nelson Mandela Day.

During the Monday speech, Harry seemed to take aim at conservative policies. He claimed that "the rolling back of Constitutional rights in the United States," in addition to Russia’s invasion of Ukraine, represent a "global assault on democracy and freedom."

(中略)

British Journalist and former Margaret Thatcher aide, Nile Gardiner, accused Harry of promoting propaganda at his wife’s behest. He wrote, "Prince Harry is increasingly just a mouthpiece for Meghan Markle's far Left political activism. A sad decline for a once hugely popular figure. He is actively undermining the British Monarchy by engaging in political attacks, and damaging the image of the Royal Family in America."
(Gabriel Hays. Twitter tars and feathers Prince Harry for condescending UN speech against America: ‘Go home, little boy’. Fox News. July 19, 2022.)


ハリー元王子は、女性の中絶の権利を認める、いわゆるロー判決が覆されようとしていることについて、民主主義と自由に対する攻撃であると批判したようですが、米国内の問題に対して元王室の英国人が批判することに、保守派がアレルギー反応を起こした模様です。

また、批判の声の中には、


accused Harry of promoting propaganda at his wife’s behest


ともあります。

ここで、"behest"というのは、命令とか指示という意味だそうですが、多くの場合、"at one’s behest"(もしくは、"at the behest of somebody")というフレーズで現れ、誰々の命令、指示により、という意味で用いられるそうです。

ハリー元王子の発言にはメーガン元妃の(左派的)意向が反映されているということで、こちらも反感を買いやすい状況になってしまっているのでしょう。


2022年7月19日火曜日

neutralize

 銃乱射の悲劇が絶えない米国ですが、銃乱射する犯人を一般人が射殺して被害を食い止めるということが起きるのも、銃社会である米国ならではとの思いがします。


Police on Monday provided more details about the shooting at a mall in Indiana on Sunday that left three victims dead — including the name of the "Good Samaritan" who is believed to have killed the shooter and stopped the attack. Officials called the actions of the armed civilian "nothing short of heroic," noting that the gunman likely would have killed many more people had he not intervened. 

(中略)

In a press conference Monday, Mayor Mark M. Meyers called Dicken a "Greenwood Good Samaritan" and thanked him for his quick actions in stopping the shooter. Greenwood Police Chief James Ison said that "Many more people would have died last night if not for a responsible armed citizen who took action within the first two minutes of this shooting."

Ison also commended Dicken for his skills neutralizing the shooter, saying he engaged the gunman from "quite a distance" and that his actions were "very tactically sound." He said he does not believe Dicken had any law enforcement or military background. 
(Zoe Christen Jones. Police identify "Good Samaritan" who stopped Indiana mall shooting. CBS News. July 18, 2022.)


拳銃を扱う警察や軍隊のバックグラウンドも無い民間人男性が、銃乱射の犯人を仕留めたその手腕に称賛が送られています。

ところで、記事の中で、"neutraliz(ing)"という表現が使われています。

ここでの"neutralize"が意味するところは、


無力化する、(敵を)制圧する


というような意味だそうですが、知りませんでした。日本語としては、骨抜きにする、という表現もあります。

なお、俗語、もしくは婉曲表現として、殺す、抹殺する、という意味でも使われるそうです。

「ニュートラル」と聞くと、中立的(立場)、といった意味が思い浮かびます。

確かに、"neutralize"には中立の、という意味、また、中間の、中性の、という意味があり、男女(雌雄)とか陰陽、右左といった対立軸を想定した場合、いずれかの側に属さない、中間の立場や性質を指します。

無力化するという意味がどのように生まれたのかよく分かりませんが、ある対象に作用しようとする力に対しての反作用、と考えると腑に落ちるような気はします。

どうでも良いようなことですが、「ニュートラル」というカタカナを見ると私は三島由紀夫の書いた有名な一節を思い出します。


無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう


この「ニュートラル」は、続く「中間色の」とほぼ同義、もしくは右でも左でもない、といった意味だろうと思いますが、今日知った"neutralize"の意味で考えると意味深な感じがしないでもありません。


2022年7月18日月曜日

sidetrack

中東歴訪から帰国の途についたバイデン大統領。大統領職2期目はあるのか、このところ取り沙汰されています。


First lady Jill Biden told donors her husband’s political agenda has been sidetracked by unexpected crises at home and overseas.

(中略)

Her comments came after pollsters recently found most Democrats don’t want the president to seek a second term. His approval rating was a dismal 33%, and only 13% of Americans thought the country was headed in the right direction, according to a New York Times/Siena College poll released Monday.

“[The President] had so many hopes and plans for things he wanted to do, but every time you turned around, he had to address the problems of the moment,” the First Lady reportedly told about two dozen people at a private home.
(Jesse O’Neill. Jill Biden tells donors Joe’s presidency hamstrung by crises both home and abroad. New York Post. July 16, 2022.)


このところ支持率も低迷しているバイデン大統領ですが、ファーストレディとしてのジル夫人のコメント、


her husband’s political agenda has been sidetracked by unexpected crises at home and overseas


は内助の功というところでしょうか。

"sidetrack"というのは、鉄道の側線、また待避線を指します。ご存知のように、後からやって来る速い車輌を先に通すために、先にやってきた車輌をわきに置くための路線のことです。

取り組むべき課題がたくさんあるところ、予期しなかった問題が次々と発生し、それらの問題に優先的に対処しなければならない状況ということのようです。

予期しなかった問題とは、ロシア問題や銃乱射事件、中絶をめぐる最高裁判決が覆されようとしている状況、などのことを言っているようです。

それらこそが米国大統領取り組むべき問題では、という気がしないでもありません。

2022年7月15日金曜日

back-to-back

記事の引用からどうぞ。


A Florida county commissioner with a lead foot dropped his title twice in back-to-back speeding incidents — declaring “I run the county” in one of the traffic stops, footage of the cases show.

In the latest encounter, Flagler County Commissioner Joe Mullins was in his red Ferrari when he was pulled over by a Florida Highway Patrol trooper on June 19, according to reports.
(David Propper. Florida official caught on video dropping title after pulled over for speeding. New York Post. July 15, 2022.)


今日取り上げたいのは、


back-to-back


という表現です。

引用した記事で、


back-to-back speeding incidents


とありますが、これは連続してスピード違反を犯した(1回に留まらず、立て続けに)、という意味です。

つまり、"back-to-back"というのは、連続した、立て続けの、という意味で用いられる慣用表現です。

"back-to-back"が用いられるのはスポーツのコンテクストで多く、例えば下記の例にありますように、"back-to-back home runs"(連続ホームラン)とか"back-to-back games"といった形でよく見られます。


The Orioles broke a 1-1 tie in the fourth when Jones and Mancini hit back-to-back home runs leading off the inning.
(Washington Times, 2017)


また、スポーツに限らず、以下のような用例もあります。


Paul Graham, founder of startup accelerator program Y Combinator, talks about how most bosses are on "manager schedules," with their days broken up constantly by back-to-back meetings.
(Business Insider, 2019)


"back-to-back"には、背中合わせ、という意味もあります。こちらの意味の方がイメージ的にはすんなり入ってくるのではないでしょうか。

"back-to-back"が何故、立て続けの、連続した、という意味になるのは今ひとつピンと来ませんね。

ところが、"back-to-back"にはもうひとつ別の意味があって、英国で"back-to-back house"(また、"back-to-backs")と呼ばれる、いわゆる集合住宅に似た建物の意味があるそうです。

この建物は、日本語で「背割り長屋」と称されるそうですが、構造的には背面(back)、また側面が一体のものとして連続しているところ、前面部は個別の住宅として隔てられるものだそうです。

つまり、複数の居住スペースが「連続」しているのです。

"back-to-back"がなぜ「連続」というような意味になるのか説明している辞書は見当たりませんが、この背割り長屋のイメージから発展したという説は尤もらしく思われます。(参考:The Word Detective


2022年7月14日木曜日

deck

記事の引用からどうぞ。


Representative Alexandria Ocasio-Cortez (D-NY) said she wanted “to deck” a heckler who called her his “favorite big booty Latina” while filming her walk up the Capitol steps on Wednesday.

Right-wing instigator Alex Stein approached the 32-year-old New York representative and proceeded to sexually harass the congresswoman by calling her “sexy” and repeatedly commenting on her backside.

(中略)

“I was actually walking over to deck him because if no one will protect us then I’ll do it myself but I needed to catch a vote more than a case today,” she said with an attachment of the video.
(Patrick Reilly. AOC about ‘to deck’ heckler who harassed her on Capitol steps. New York Post. July 13, 2022.)


米民主党の下院議員、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏はニュース記事タイトルではAOCと略されて何かと話題になる女性議員ですが、ワシントンD.C.にある議事堂の外で写真撮影をしていたところ、見ず知らずの男性に卑猥な言葉を掛けられて立腹しました。

当然ながら、相手へ抗議するというのは想像がつくところですが、


“to deck”


という表現が使われており、引用符付きであることから特別な意味がありそうです。

手元の英和辞書を引いてみたところ、アメリカ英語の俗語表現で、


打ち倒す


という意味だそうです。

「デッキ」(“deck”)というのはご存知のように船の甲板のことです。相手を殴って甲板の上に倒す、というイメージから来ています。

これは、動詞の“floor”が相手を地面に這わせる、すなわち負かすという意味や、モノを床に押し付ける、という意味を持つのと同じです。

オカシオ・コルテス議員の腕力のほどは知りませんが、SPに留められてその場は収まったそうです。


2022年7月13日水曜日

hard landing

CNN Businessによると、通貨ユーロの価格が下落し、1ユーロがほぼ1ドルというレートになったということです。


For the first time in 20 years, the exchange rate between the euro (EUU) and the US dollar has reached parity -- meaning the two currencies are worth the same.

The euro hit $1 on Tuesday, down about 12% since the start of the year. Fears of recession on the continent abound, stoked by high inflation and energy supply uncertainty caused by Russia's invasion of Ukraine.

(中略)

The energy crisis comes alongside an economic slowdown, which has cast doubts over whether the European Central Bank can adequately tighten policy to bring down inflation. The ECB announced that it will hike interest rates this month for the first time since 2011, as the eurozone inflation rate sits at 8.6%.

But some say the ECB is far behind the curve, and that a hard landing is all but inevitable. Germany recorded its first trade deficit in goods since 1991 last week as fuel prices and general supply chain chaos significantly increased the price of imports.
(Nicole Goodkind. The euro and the US dollar are at parity for the first time in 20 years. CNN  Business. July 12, 2022.)


このニュースについては国内でもユーロが対ドルで「パリティ」となった、「パリティ割れ」などと報じられています。実はこの「パリティ」(parity)を今日の1語にしようと思ったのですが、以前に取り上げていました。

為替レートというものは異なる通貨の交換レートを定めるものだと理解していましたので、等価と言われてもいまいちピンと来なかったのですが、考えてみれば1ユーロが1ドルということになれば、ユーロとドルという2つの通貨の価値が全く同じということで、2つが存在する意味合いが無いとも言えるとなると、ある意味では珍事と言えます。この20年で初めてのことだそうです。

世界経済はウクライナへのロシア侵攻、NATO諸国とロシアとの対立、それに伴う原油価格の高騰、さらにインフレ、と景気減退のフェーズに入っていると言われます。

先進国ではインフレにどのように対処するのかが喫緊の課題となっており、ユーロ圏においても例外ではありません。

ヨーロッパ中央銀行(ECB)は利上げに踏み切ると見られていますが、"hard landing"はもはや不可避とも見られているようです。

この"hard landing"という用語ですが、経済の用語で、景気良好の状態が続いた後に経済が停滞、景気悪化へと至ることを指すそうです。


A hard landing refers to a marked economic slowdown or downturn following a period of rapid growth. The term "hard landing" comes from aviation, where it refers to the kind of high-speed landing that—while not an actual crash—is a source of stress as well as potential damage and injury. The metaphor is used for high-flying economies that run into a sudden, sharp check on their growth, such as a monetary policy intervention meant to curb inflation. Economies that experience a hard landing often slip into a stagnant period or even recession.
(Inevestopedia)


日本語では字句通りの訳で「硬着陸」というそうですが、飛行機がトラブルにより、墜落とまでは行かなくとも、地面に激突するような形で着陸することを指します。

つまり、痛み(損害)は避けられないということで、インフレが続くと日本経済もこの先どうなってしまうのやら・・・。

2022年7月12日火曜日

firehose

ツイッター社の買収提案をしていたテスラCEOのイーロン・マスク氏ですが、先日、買収を取り止めると発表してニュースになっています。

買収の契約を破棄する形となり、ツイッター社は契約義務違反であると非難しています。一方のマスク氏は、契約にあったスパムアカウント等の数に関する情報提供が履行されていないということを買収からの撤退の理由にしているそうです。


Elon Musk wants to cancel his deal to buy Twitter, but the social media company is having none of it.

On Friday, Musk moved to terminate the $44-billion acquisition agreement, alleging that Twitter breached the deal by failing to hand over data he says he needs to evaluate the number of bots and spam accounts on the platform.

(中略)

Musk has for weeks expressed concerns, without any apparent evidence, that there are a greater number of bots and spam accounts on the platform than Twitter has said publicly. In his Friday letter, his lawyer alleged that Twitter has "not complied with its contractual obligations" to provide Musk with sufficient data to evaluate the issue, despite having handed over its "firehose" of tweets on the platform.
(Clare Duffy. Twitter's legal team calls Elon Musk's attempt to exit acquisition deal 'invalid and wrongful'. CNN Business. July 11, 2022.)


引用した記事中、


"firehose"


という単語が出てきます。スパムアカウント数等に関するデータを要求していたマスク氏に対し、ツイッター社は"firehose (of tweets)"を提供した、というコンテクストですが、ここでの"firehose"はどういう意味なのでしょうか?

消火ホースという字義通りの意味でないことは明白ですが、記事にはこの単語にリンクが設定されておりましたので、リンク先の記事を参照しますと、以下のようなくだりがあります。


Now, Twitter apparently plans to provide Musk with its "firehose" of data about tweets on the platform, according to recent reports from the Washington Post and the New York Times. The Twitter firehose is the real-time stream of the millions of public tweets posted on the platform daily and information on the accounts behind them, although it does not contain private information such as the IP address from which the tweet was posted.
(Clare Duffy. Elon Musk pressured Twitter to give him access to a 'firehose' of data to evaluate bots. Now what? CNN Business. June 17, 2022.)


ここでは、"firehose of data"、また"Twitter firehose"とありますが、記事の説明によれば、ツイッターというサービスのプラットフォームを流れる全てのツイートに関するデータ、のことを指すようです。

このような"firehose"の意味合いはコンピュータサイエンスの用語としては定着しつつあるらしく、ネット上の辞書サイトでは一部ですが、この意味合いを掲載しているものがあります。


Computing 
An unfiltered, real-time stream of data produced by a social media website or other online service.


なるほど、これは消火ホースが一度に大量の水を放出するのに似て、ネット空間を流れる大量のデータを指すもののようです。


2022年7月11日月曜日

assassin

安倍元首相が参院選の応援演説中に狙撃され死亡した事件は日本国内のみならず、海外においてもトップニュースで報じられました。

死去を受けて2日後の選挙投開票の結果は、与党自民党の圧勝となりました。


Japan's right-wing Liberal Democratic Party dominated the country's parliamentary election just two days after  former Prime Minister Shinzo Abe was assasinated

On July 8, Abe was killed in the Western city of Nara during a campaign speech by a man who used a homemade gun.

During Sunday's House of Councillors election, Kyodo News reported the LDP and its coalition partner Komeito secured more than 75 seats, giving the parties a majority in the 248-member upper chamber of parliament.
(Isabella Zavarise. Japan's right-wing Liberal Democratic Party dominates parliamentary election following the assassination of Shinzo Abe, who led the party for 8 consecutive years. Business Insider. July 10, 2022.)


安倍元首相が殺害された事件について、国内メディアでは、「撃たれ死亡」、「死亡(演説中銃撃)」、などという見出しがほとんどですが、海外では「暗殺」(assassination)という言葉が見られます。"assassination"は日本語で「暗殺」ですが、国内メディアでは海外報道でのこの単語を意識してか、括弧書きで用いています。(産経新聞7月9日朝刊)

"assassin"という単語について改めて見てみましょう。

フランス語から借用されたこの単語はアラビア語起源で、語源はhashishというインド大麻を指す単語だということです。

12〜13世紀頃、敵対する相手のリーダーなどを殺害した狂信的なイスラム教徒らは「アサシン派」と呼ばれ、暗殺実行前にはhashishを服用していると言われていたそうです。そこから、hashishの常用者という意味のアラビア語hashshashinが暗殺を意味する"assassin"になった、と言われ、


a person who commits murder, and especially one who murders a politically important person for money or ideology
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味が定着しました。


2022年7月8日金曜日

英ジョンソン首相が辞任表明 ー yesterday’s news

イギリスのジョンソン首相が遂に辞任を表明しました。


The U.K.'s next prime minister is likely polishing their campaign pitch after Prime Minister Boris Johnson announced — belatedly, when all other options had evaporated — that he would be stepping down.

Driving the news: Two candidates to replace Johnson as Conservative Party leader and thus prime minister have already thrown their hats into the ring, with many more expected to follow. The man who led the campaign to take Britain out of the EU and appeared electorally untouchable after a landslide victory in 2019 will soon be yesterday's news.
(Dave Lawler. How it all fell apart for Boris Johnson. Axios. July 8, 2022.)


変人と言われながらも2019年の選挙で圧倒的な勝利を収めて首相に就任したジョンソン氏ですが、そのジョンソン氏が、


will soon be yesterday's news


とはどういう意味でしょうか。

"yesterday’s news"をそのまま訳すと、昨日のニュース、ということになりますが、このフレーズの意味するところは、


something or someone that was popular once, but is not popular now
(Merriam-Webster Dictionary)


というもので、かつてはもてはやされたけれども、もはやその人気を失ってしまった人、ということです。

つまり、人気が凋落して今や「過去の人」、というような意味ですね。

なお、類似の表現に"yesterday’s man"というものがあります。


It's a government peppered with big ministerial holes, with a leader who may hang around for a while despite being yesterday's man.
(Boris Johnson resignation: Election needed for fresh start, says Sadiq Khan. BBC News. July 7, 2022.)


最近の若者言葉では廃れて人気が無くなってしまったものを「オワコン」とか言うそうですが、人についても言うのかしらん。

2022年7月7日木曜日

odds are shorten

今日の海外ニュースでは、イギリス政府で閣僚の辞任が相次いでいることを伝えています。正午のNHKニュースでもトップで報じていました。

いよいよジョンソン政権も終焉かと言われているところです。

ブルームバーグのオピニオン記事では後継首相と目される政治家を取り上げています。


It’s been a tumultuous 24 hours in British politics. As resignations pile up, the odds that Prime Minister Boris Johnson will be forced to resign shorten. But who would take over?
(Bobby Ghosh. Who Would Replace Boris Johnson? Here Are His Likely Successors. Bloomberg. July 7, 2022.)


取り上げたのはそのオピニオン記事の冒頭部分です。

ここで、


the odds that Prime Minister Boris Johnson will be forced to resign shorten


という部分を見てみましょう。

ジョンソン首相が辞任に追い込まれる公算が高くなった、ということを言っている訳ですが、それを、


the odds… shorten


と表現しているものです。

"odds"(日本語においてもカタカナでオッズ、統計学の用語でオッズ比とも)とは、ある事象の発生する確率のことを指します。その確率が高まった状況を、"shorten"という動詞で表現するというのは分かりにくい、というか直感的にはその反対、つまり確率が低くなった、というようなイメージを抱いてしまうのではないでしょうか。実際には、確率が高まったことを意味します。

逆に、"odds"が"long"という時、それはある事象の発生する確率が低くなったこと(つまり、あり得そうもない、ということ)を意味します。これについては、以前取り上げた"long odds"もご覧下さい。

 オッズ(比)という概念については、統計学を学んだ人以外には馴染みの薄いものではないかと思います。

かく言う私も専門家などでは決してないのですが、間違った説明をしてしまうリスクをも顧みず、"odds"の"long"と"short"がどうしてそのような意味になるのか、説明を試みてみたいと思います。(専門家の方には小生の理解に間違いがありましたらご指摘下さい。)

オッズというのはある事象の発生する確率のことである、と上に書きました。

通常、確率というと10パーセントとか、80パーセントとか言ったりしますが、オッズでは、例えば五分五分の確率は、1:1というような表し方をします。(ある事象が発生する確率:発生しない確率、という書き方。)

従って、10パーセントの確率は、1:9、80パーセントだと、8:2(つまり、4:1)、となどと書きます。(オッズ比の表記方法はこの書き方以外にも様々あるようです。)

ここからは私の想像(勝手な解釈)であることをお断りしておきますが、1:9(確率10パーセント)という数字を見た時、1という数字と9という数字の開きは大きく(つまり、"long")、4:1ではその開きは小さくなった("short"、また"shorten")、という感覚ではないでしょうか。

つまり、確率が上がるとオッズ表記での数字の開きは短く("short")なり、確率が下がると(あり得そうもない状況では)数字の間隔が広がる("long")、というイメージです。



2022年7月6日水曜日

tight ship

組織で部下を管理する立場の人には重要な示唆を含んでいると思われるお話です。


Managers looking to run a tight ship should be wary about keeping an overbearing eye on their employees.

A study by Harvard Business Review found that employees given a series of tasks were more likely to cheat despite being told they would be working under electronic surveillance than those who were not told they would be monitored.

The study, which looked at the behavior of 200 U.S.-based employees, noted that employees are either motivated by external factors such as the threat of punishment or the promise of reward, or by their internal moral compass.

After conducting the study, the authors concluded that when workers are monitored, they shift the responsibility of their actions onto the authority figure overseeing their surveillance rather than onto themselves and were more likely to act in a way that runs counter to their own moral standards.
(Sophie Mellor. Thinking about monitoring employees at work? Study shows they’re more likely to slack off, disregard your instructions and even steal office supplies. Fortune. July 4, 2022.)


部下という立場からすれば、管理されていると思うと反発したくなるものです。

つまり、行動を監視され、パフォーマンスを厳しく管理されると、自らを律して頑張ろうという気持ちが失せ、成果が上がらないのを管理のせいにする傾向が出てくるそうです。

"run a tight ship"という表現に注目しましょう。

慣用句として、


to control something such as an organization or institution in a very strict and effective way
(Macmillan Dictionary)


という意味で、これは厳しい管理を旨とする組織運営のことで、放任主義とは対局にあるもののようです。

"tight ship"の"tight"は、"loose"の対義語です。緩い、弛んでいる、という語に対して、締まっている、というのが"tight"の概念です。

チームを締めて行くのがリーダーの役割ですが、締め過ぎれば離反を招く、ということでしょう。



2022年7月5日火曜日

dues-paying

アメリカの大手ホテルチェーンでは接客にロボットを活用する動きが加速しているようです。

利用した経験はありませんが、レストランや店舗などで客の注文や用件を受けるロボットが導入されている事例というのを聞くのも珍しいことではなくなりました。

引用する記事での事例では、タオルやシャンプーなど、客室の備品のリクエストなどを受け付け、提供するロボットサービスということですが、これまでは人手を介していたものがロボットに取って代わられるということでは、いよいよ人間の仕事が奪われてしまうということで、由々しき事態なのです。


A handful of hotels across the US – from the Mandarin Oriental in Boston to a Holiday Inn Express in Redwood City, Calif. – have begun turning to robots to provide guest services usually performed by human employees.

Need an extra towel? Forget your shampoo? Order takeout from Uber Eats? A robot with a name like Alfred, Jeffrey, Alina or Mobi will deliver — not with a knock on your door upon arrival, but typically with a ping to your phone.

(中略)

Labor unions don’t find the idea of robots working at a hotel funny, much less robot jokes. Organizers fear the budding army of automatons, which currently numbers at least 200 nationwide, is threatening to grow and replace dues-paying members. The issue is bubbling up in the hospitality industry even as it has lately sparked division in other sectors amid a nationwide labor shortage.
(Lisa Fickenscher. Short-staffed hotels are hiring robots — and labor unions are pushing back. New York Post. July 3, 2022.)


コンピュータやネット、人工知能、ロボットなど科学技術の発達に伴い、これまで人間が担ってきた仕事や役割が、これらの技術に取って代わられようとしている現実があります。

引用部分後半で、


is threatening to grow and replace dues-paying members


とありますが、"dues-paying"とは修練を必要とする、という意味です。つまり、ホテル側がロボットにやらせようとしているサービスは、これまでスタッフが長年修練することでホスピタリティとして提供してきたもの、簡単にロボットに置き換えられるものではない、というわけです。

"dues-paying"の"due(s)"とは税金とか料金という意味がありますが、あるものに対して当然払われるべきもの、もしくは受くべきもの、という意味が基になっています。

そして、この"due(s)"を目的語にとる"pay one’s dues"という慣用句は、お金を払うという意味ではなく、苦労をして(仕事や地位などを)得る、つまり「下積み」をする、という意味で用いられます。


Work hard, study hard, pay your dues and someday, maybe you can have that life too.
(Fox News, 2017)





2022年7月4日月曜日

owe

先日、新型コロナに係る特別給付金の誤支給がニュースになりましたが、同じような事件が海外でも起きたようです。

こちらは給与の誤支給で、なんと330か月分に相当する給与を一度に振り込んでしまったというものです。

支給を受けた従業員は上司に報告、一旦は返金を約束したものの、その後退職願を一方的に送付し、行方知れずということのようです。


An unnamed Chilean worker resigned and became uncontactable after he was paid approximately 330 times his salary due to a payroll blunder, according to a report.

The dispatch assistant received 165,398,851 Chilean pesos ($180,418) in his monthly paycheck from the cold meats manufacturer CIAL Alimentos on May 30, the Santiago-based financial newspaper Diario Financiero reported.

He was only owed about 500,000 Chilean pesos ($545), the newspaper said.

The worker approached the deputy manager of his distribution center, notifying them that he had received 330 times his owed salary, Diario Financiero reported.
(Joshua Zitser. Worker who was accidentally paid 330 times his salary offers resignation and vanishes without a trace, report says. The Insider. July 2, 2022.)


さて、引用した記事の文中で目に留まったのが、"owe"という動詞の使い方です。

おさらいですが、"owe"という動詞は、借りがある、返済義務がある、という意味です。

つまり、


You owe me $5.


という文は、君は私に5ドルの借りがある、という意味です。

ところが、記事中、"owe"という動詞は受動態で使われています。つまり、主客(主語、目的語)が逆転しているので、日本語で言えば、借りがある、の逆で、貸しがある、という意味合いになりますが、"owe"という動詞をこのように受身で用いる事例を知りませんでしたので興味深く思いました。

手元の英和辞書にはこのような受身の用法に触れていないのですが、コーパスで検索してみると多くの用例を確認することが出来、実のところ普通に用いられるようです。


When someone dies with a lot of debts, all those people who are owed money are going to be fighting over who gets paid first.
(NBC News, 2009)


If they are owed money by a firm that files for bankruptcy, they could lose millions of dollars.
(Washington Post, 1996)


主客が逆転すると書きましたが、上記2番目の事例に見られるように、受動態ですので前置詞byにより動作主(主語)を示すことができます。

つまり、

You owe me $5.

は、

I was owed by you $5.

と書き換えることが出来、ちゃんとした意味を成すということですが、知ってしまえば何ということもないようですが、新鮮に感じました。




2022年7月1日金曜日

weeb

記事の引用からどうぞ。


A former Facebook employee has claimed that Meta CEO Mark Zuckerberg once wielded a katana sword at the office after getting frustrated with his employees’ code.

AppSumo CEO Noah Kagan uploaded a 13-second video on TikTok on June 19 listing “weird things” that happened while he worked at Facebook.

(中略)

The video, which has been viewed over 50,000 times, had some commenters calling Zuckerberg a “weeb,” a term that pokes fun at a non-Japanese person who has an obsession with Japanese culture.
(Ryan General. Former Facebook employee says CEO Mark Zuckerberg waved around a katana sword at the office. Yahoo! News. July 1, 2022.)


フェースブックCEOのザッカーバーグ氏が刀を振り回したとか、そんなことはどうでも良いのですが、"weeb"という単語に興味があります。

本文中にも解説がありますが、


a term that pokes fun at a non-Japanese person who has an obsession with Japanese culture


とあり、"weeb"とは日本文化が好きで仕方がない人のことを言うようです。

いわゆる「日本びいき」とでも言うべきなのでしょうが、"weeb"という単語にはどちらかというと日本文化への傾倒を軽蔑するニュアンスがあるそうです。

辞書には載っていないこの単語の由来はネット検索に頼ることになります。

スラングの類に分類される"weeb"とは、"weeaboo"を短縮したものだということですが、この"weeaboo"というのは、"Wapanese"から来ているそうで、"Wapanese"とは、


white Japanese(白人でありながら日本に傾倒する人)、もしくは、
Wannabe Japanese(日本人になりたくてしょうがない人)


を指すのだそうです。

あなたの周りの外国人に"Wapanese"はいるでしょうか。"weeb"は侮蔑的な表現だそうですので、そのような相手に向かって使うのは避けた方が良さそうです。