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2023年9月7日木曜日

potted

仕事柄、海外とのやり取りが日常的にあります。

先日、所属する部署の海外責任者の交代があり、例によって新体制の説明セッションが設けられました。こういった会議は、日本からの参加は大抵深夜となりますが、参加国のタイムゾーンがアジア、ヨーロッパ、アメリカとなるとどうしても割を食うのは仕方ありません。

ところで、新しく就任した責任者が自身の経歴を語るパートがあったのですが、一通り説明し終えたところで、


That was my p*** history of myself 〜


と締め括りました。が、p***という部分が聞き取れず。

この責任者という人が英国生まれの人で、正当なイギリス英語の発音をされる方なのですが、小生はアメリカ英語の方がどちらかと言うと慣れており、イギリス英語は少し聞き取りにくい部分があるという、そんなレベルであります。

オンライン会議は都合で参加できない関係者のために録画されるため、翌日改めて該当部分を聴き直してみたところ、何度か繰り返して聴いた結果、どうやら、


potted history


と言っているようだと分かりました。

「ようだ」と書くのはこの表現を知らなかった、ということになるのですが、実際、辞書を確認して初めて知った次第です。

"potted"とはポット(鉢や瓶)に入れた、という意味の形容詞なんですが、


簡略化した、要約した


という意味で用いられるんですね。

つまり、"potted history"とは要約した歴史、ということで、自分の経歴をかいつまんで説明しました、というのが発言の趣旨なのでした。

因みに、このような"potted"の意味合いはイギリス英語の口語表現だということです。

また、この"potted"という表現は、単に要約したというよりも、表面的に、上っ面だけを掬った、というような、少しネガティブな含意があるようです。

自身の経歴を語って、それを"potted history"と締め括るのは、多少の謙遜の含みもあるのでしょう。

その経歴はかなり中身の濃いものではあったのですが。

2023年9月6日水曜日

quash

北朝鮮の金正恩氏がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する予定があるようだと報道されています。

西側諸国にしてみればキケンな2人のリーダーの接触は不気味な動きと映るのですが、両国の接近にはどういう背景や思惑があるのでしょうか?

記事によれば、北朝鮮とロシアが現時点で会談するのには、両国にとってウィンウィンだといいます。

長期化するウクライナ戦争で武器の供与を必要とするロシア、経済事情が乏しく、物資支援を必要とする北朝鮮、という両国の思惑が一致するといいます。

ところで、記事に以下のくだりがあります。


It’s also unclear how far Kim and Putin’s military cooperation could go, but any sign of warming relations will worry rivals like the US and South Korea.

Russia seeks to quash a Ukrainian counteroffensive and prolong the war, while North Korea is extending a record pace of missile tests to protest US moves to reinforce its military alliances with South Korea and Japan.
(Why would North Korea’s Kim and Russia’s Putin want to meet? Aljazeera. September 5, 2023.)


ここで取り上げたいのが、"quash"という単語です。

あまり見かけることのない単語ですが、辞書を引くと、2つの"quash"のエントリがあります。

ひとつが、取り消す、無効にするという法律用語の"quash"で、もうひとつが、押さえる、鎮める、鎮圧する、という意味の"quash"です。

2つの"quash"は同一語と説明されていますが、語源が異なるようです。

Merriam-Websterによれば、法律用語の"quash"はラテン語cassus("empty"、"void")から来ていますが、もう一方の"quash"はまた別のラテン語quatere("to shake")から来ているそうです。

これは当ブログでも幾つか取り上げている二重語とは異なり、語源が異なるもののスペルが同じというパターンです。(二重語は語源が同じで、英単語としてはスペルが異なるものです。)


2023年9月5日火曜日

work up

アップルのアイフォーン新機種、iPhone 15では充電ケーブルのポートにUSB Type Cを採用することが決まったそうです。

変更の背景にはEUの規制が変更されたことがあるようです。従来型のLightening cableからの変更となりますが、アイフォーンのユーザーからは困惑の声も上がっている模様です。


Apple is switching the iPhone from its proprietary Lightning port to USB-C, and people are going to be really, really angry.

Thanks to the EU, Apple has been forced to adopt the USB-C standard for charging and data transfer for the iPhone 15, replacing the Lightning connector that has been around since 2012. And in those 11 years, people have collected a lot of Lightning cables.
(Charlie Sorrel. Why People Are Getting Worked Up Over the iPhone 15 USB-C Port. Yahoo! News. September 5, 2023.)


今日は、"work up"という表現を取り上げました。

先に「ユーザーが困惑」と書きましたが、記事のタイトルでは、


(people are) getting worked up over…


であり、また本文は、


people are going to be really, really angree


とあります。

"work up"という動詞句の意味ですが、


To arouse the emotion of; excite
(American Heritage Dictionary)


ということであり、意味合いとしては"agitate"に近いように思います。

現在使われているLightening cableは2012年に導入されたものですが、10年以上、アイフォーンではこのケーブルが必需品としてほぼ定着していると言えます。

電子機器類の標準やメーカー独自の規格というものにユーザーは振り回されてきた歴史があると思いますが、今回も同じ構図であり、ユーザーのフラストレーションはそこにあると言って良いでしょう。

小生も自宅にも、被覆が摩耗して使わなくなったものも含めると4〜5本あります。新機種を購入する予定はありませんが。

2023年9月4日月曜日

crestfallen

結婚指輪を無くしてしまうというのはショッキングなことに違いありません。


Masako Iso, 76, was crestfallen when she lost her 40-year-old gold Tiffany wedding band while picking up a few items at Trader Joe’s in Union Square with her husband Shoji on Aug. 7.

As they were getting ready to check out, Masako realized the ring wasn’t on her finger.
(Couple who lost Tiffany wedding ring in meat aisle get it back thanks to eagle-eyed employee. New York Post. September 2, 2023.)


N.Y.のスーパーで結婚指輪を無くしたという夫婦(日本人です)の話です。何かの拍子で指輪が指から抜けてしまったのでしょうか。

"crestfallen"という単語を初めて見るように思います。少なくとも見慣れた単語ではありませんが、意気消沈した、がっかり(しょんぼり)した、という意味です。

"crest"には山の頂という意味の他、鶏の鶏冠(とさか)、馬のたてがみの意味があります。

その"crest"が立っているのではなくて、倒れている、垂れてしまっている、ということで、こういう意味になるのだそうです。

ピンと立った鶏冠やたてがみは勢いを感じさせますが、垂れてしまった様子は勢いがなくてうなだれているような状態ということです。

無くなったとあきらめかけていた指輪は無事見つかったそうです。

小生も随分と長いこと外したままにしている指輪があるのですが、ちゃんとあるか確認しないと・・・。



2023年9月1日金曜日

czar

バイデン大統領が先週、健康に影響が無い適度なアルコール摂取の目安として、1週間にビール2杯程度が適切と述べ、ちょっとした騒ぎになっています。

お酒好きの人からは悲鳴が、あるいは怒号が上がる内容ではないでしょうか?!


Fox News' Peter Doocy asked White House press secretary Karine Jean-Pierre about the recent reports that President Biden's alcohol czar may recommend Americans to have no more than two beers a week.

Doocy asked Jean-Pierre if Biden wants "to limit Americans to two beers a week," which the press secretary did not answer.
(Houston Keene. Biden White House dodges on recommendation Americans stop at two beers a week. Fox News. August 28, 2023.)


週にビール2杯だけなんて、とても耐えられない?!

そんな声が聞こえるようですが、このような推奨の背景には当然科学的な根拠があるのが常ではあります。

そういった科学的根拠には眉唾モノの内容もあるのですが、それはさておき、興味深いのは、この推奨事項は、


alcohol czar


によるものである、というくだりです。

"czar"(tsar、もしくはtzarとも)とは皇帝という意味で、特に帝政時代のロシア皇帝を指す言葉というのはご存知かと思います。

ここで、"alcohol czar"というのは、具体的にはNIAAA (National Institute of Alcohol Abuse and Alcoholism) という、アメリカ国立衛生研究所の下にある組織の所長を指しており、つまりは組織長、権威者、権力者を指して一般名詞化しているものです。

"czar"という単語がこのような用いられ方をするとは知りませんでしたが、専門家や特定分野の権威者を指すのに普通に用いられるようで、"economy czar"とか、"safety czar"、など、およそ専門分野のあるところ、それぞれに"czar"と呼ばれる人が存在します。

ちなみに、"czar"の語源はローマ将軍にして皇帝であったJulius Caesarから来ており、ドイツ語のKaiserも同じだそうです。