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2022年3月14日月曜日

decal

「デカール」って何のことかご存知でしょうか?

プラモデル世代、などというものがあるのか知りませんが、子供の時、ガンダムのプラモデルが流行った私には懐かしい響きがあります。

デカールというのは、エンブレムやロゴなどのデザインが印刷されたシートなんですが、これをプラモデルの本体の指定位置に綺麗に貼り付けるのは子供には難しい作業でした。

シールみたいなものですが、デカールの場合は転写する仕組みになっています。

さて、ガソリン価格高騰に喘ぐアメリカで、バイデン大統領を揶揄する「デカール」が給油所に貼り付けられるケースが相次いでいるそうです。


Outraged motorists are sticking it to Joe Biden at the gas pumps.

Decals of a finger-pointing President Biden, with the words "I did that!" in big, bold print, have been appearing on fuel pumps across the country — including New York City — as gasoline prices skyrocket.
(Stickers blast Biden at gas pumps — Outraged motorists are sticking it to Joe Biden at the gas pumps. Fox News. March 12, 2022.)


スタンドの価格表示部分に貼り付けられたデカールには、ガソリン価格高騰はバイデン政権のせい、という嫌味が込められています。(ロシア問題と原油調達、ガソリン価格の高騰問題は政争の具と化しており、バイデン大統領に直接の責任があるか否かは難しいところです。先日の記事もご覧下さい。)

さて、「デカール」の英語は"decal"というスペルです。

実のところ、"decal"は、"decalcomania"という長い単語のスペルが短縮されたものです。

この単語はフランス語に由来しており、複写するという意味の動詞decalquerから来ています。ラテン語calcareは踏む、踏みつけるという意味の動詞で、踵を意味するcalxという名詞とも関連があります。(少し話が逸れるようですが、英語のinculcateやrecalcitrantといった単語もこれらラテン語のcalcare、calxに由来しています。)

では、後半部の接尾辞、-maniaとは?

日本語でもマニアと言えば何かに熱狂的に取り憑かれた状態を言いますが、デカールもそうした流行りがあったそうです。

デカールを発明したのはフランス人だそうですが、イギリスでその技術を確立、後にアメリカにも広まってかなりの人気を博したようです。

バイデン氏批判のデカールはアマゾンで注文できるそうですが、1日に80セットの注文が入ることもある、結構な人気商品(!?)だとか。



2022年3月11日金曜日

bat an eye

"bat an eye"という表現をご存知でしょうか?

ここでの"bat"は、目、まぶたを瞬かせる、という意味の動詞です。

"bat an eyelid"、"bat an eyelash"と表現されることもありますが、否定文で用いられ、眉ひとつ動かさないで、驚きもせず、動じず、という意味合いで用いられます。ある意味、強意表現といえます。


A man was spotted Tuesday night urinating on an F train passing through Brooklyn – while several straphangers didn’t even bat an eye.

The man was caught on camera relieving himself on a car in plain view of about 10 people while lying horizontally on a bench seat in between the Jay Street-MetroTech and York Street subway stations at about 6:15 p.m., according to a witness.

About three commuters across from the man darted out of the line of fire during the disgusting act, but multiple strangers in a row of adjacent benches didn’t seem fazed and remained seated.
(Kenneth Garger. Passenger caught urinating on NYC subway as commuters seem unfazed? New York Post. March 8, 2022.)


ニューヨークの地下鉄というと駅や車内環境が悪いというイメージがありますが、やはり東京の地下鉄などとは比べ物にならないくらい劣悪なようです。

またそれがほとんど常識になっているからか、浮浪者が車内で小便をしようと、乗客は気にも留めないというのには驚愕します。



2022年3月10日木曜日

under one’s belt

夫婦喧嘩は犬も喰わぬ、と言いますが、30年間連れ添って口論ひとつしたことがないという非常に珍しいカップルを取り上げた記事を目にしました。

夫婦間のコミュニケーションを良好にする7つの秘訣が明かされています。

小生はなるほどとは思うものの、とても実行できそうにありません。


With more than 30 years of marriage under their belt, one Virginia couple — Hannah Keeley, a master life coach, and her husband, Blair Keeley, a marketing professional — claim they’ve never had a single argument. 

They also say they’ve never even raised their voices at each other, including while parenting their seven children, who are all now grown.
(Cortney Moore. Virginia couple married for 30 years claim they’ve never argued. Fox News. March 7, 2022.)


その秘訣については記事をお読み頂くとして、今日取り上げる表現に入りますと、記事の出だしにある、


With more than 30 years of marriage under their belt


という箇所です。

"under one’s belt"という慣用句を知らなかったのですが、Merriam-Webster Dictionaryによると、


in one's possession; as part of one's experience


とあります。30年という長い結婚生活を経験として、自らのものにしている、ということでしょう。

ところでこの慣用句には、


(飲食物などが)胃袋の中に入って(収まって)
(ランダムハウス英和辞書)


という意味でも用いられます。この意味合いは腹部を締め付けるベルトをイメージするとすんなり頭に入りますね。経験して、所有して、という意味合いよりも分かりやすく思います。

恐らくは胃袋に収まるという意味が先にあって、経験して、所有して、という意味合いは後から発展したのではないかと想像します。

食べて胃袋に収まったものはやがては消化されるもの。"under one’s belt"の所有する、経験する、という意味合いも単に所持している、持っているとか、体験した、というよりは、それらが糧になっている、十分に身についている、というようなところまでを含意しています。

記事のカップルの話に戻ると、ただただ結婚してから30年の歳月が過ぎたということではなく、お互いをよく理解し、その関係を唯一無二のものとしている、自分達の糧にしている、ということでしょう。

かく言う小生は今日もつまらないことで妻と口論したのでした。



2022年3月9日水曜日

David vs. Goliath

ロシアがウクライナに軍事侵攻して明日でちょうど2週間となりますが、プーチン大統領への批判は高まる一方、ゼレンスキー大統領は危機のリーダーとして評価を高めています。

メディアでは、両者をダビデ(David)とゴリアテ(Goliath)の対立になぞらえた論評がいくつか見られます。


A vast invading army under the command of an autocrat … a much smaller country under siege, its leader refusing to flee. The world is focused on Ukrainian President Volodymyr Zelensky, who is leading a defiant nation in this David vs. Goliath battle against Russia's Vladimir Putin.

Correspondent Mo Rocca asked Steve Leder, senior rabbi of Wilshire Boulevard Temple in Los Angeles, "When it was clear that Zelensky was staying, what did you think?"

"I thought he's a leader," he replied. "He's a David, and Putin is a coward.

"We have elderly Ukrainian women making Molotov cocktails in their basement. If that's not a David & Goliath story, I don't know what is."
(Ukraine vs. Russia: A modern-day David vs. Goliath story. CBS News. March 6, 2022.)


ダビデとゴリアテの話は旧約聖書のサムエル記上に出てきます。

ペリシテ人のゴリアテは巨人で、その威容にイスラエルの民は恐れおののくばかりでしたが、そこに現れたダビデは体躯が劣るにも関わらず、石投げ紐とたった一つの石でゴリアテを倒します。

圧倒的な軍事力でキエフを攻めて立てるプーチン大統領をゴリアテに、軍事力で劣りながらウクライナ国民に勇気を与え、抵抗するゼレンスキー大統領をダビデになぞらえるのは妥当かもしれません。

ダビデとゴリアテの話を聞いたせいもあるでしょうが、プーチン氏の強面はゴリアテに、元俳優でまだ44歳と若いゼレンスキー氏は優しく、姿の美しい少年であると描かれるダビデに重なって見えます。

ゼレンスキー氏は攻め入るロシア軍にも怯まず、逃げも隠れもしないと、首都キエフに留まっています。

ロシアはこの戦争の勝利者たり得ないとの記事も見かけますが、ウクライナ国民の命がこれ以上犠牲にならないことを祈るばかりです。


In the Biblical story of David and Goliath, the Israelites are outmatched by the Philistines and the giant Goliath. Only a shepherd boy named David, armed with a sling and five smooth stones, is willing to challenge Goliath.

With a single shot he fells the giant, and the Philistines flee.

Leder said, "Every one of us at one point or another has faced frightening odds. There are many stories like this where a powerful narcissist – a bully, frankly – ends up being crushed under the weight of his own demagoguery and his own narcissism."
(ibid.)



2022年3月8日火曜日

drag one’s feet

ウクライナに軍事侵攻したロシアに対して、各国の制裁が日増しに厳しいものになっています。

一方、先日のブログ記事でも取り上げましたが、米国は原油等の禁輸措置には二の足を踏んでいるようです。


President Biden kept mulling a possible ban on Russian oil imports Monday as a bipartisan alliance in Congress moved to force his hand — while the White House argued the Keystone XL pipeline wasn’t needed to offset the effects of Russia’s invasion of Ukraine.

“No decision has been made at this point by the president about an import — a ban on importing oil from Russia,” White House press secretary Jen Psaki said during a briefing. “Those discussions are ongoing internally and also with our counterparts and partners in Europe and around the world.”
(Steven Nelson. Biden drags feet on Russian oil ban as WH says Keystone XL pipeline is irrelevant? New York Post. March 7, 2022.)


引用した記事のタイトルに着目したいと思いますが、


Biden drags feet on Russian oil ban


という部分の"drag (one’s) feet"とは、辞書を引くと、


(わざと)ぐずぐずする、のろのろやる;非協力的である;頑強に反抗する
(研究社新英和大辞典)


とありました。

文字通りには、足を引き摺る、という意味ですが、前進することに消極的、もしくは拒む、ということだと解釈されます。

冒頭では「二の足を踏んで」と書きました。この日本語表現にも消極さがほのめかされていますが、"drag (one’s) feet"の場合には「わざと」(故意に)という意味合いがあるようで、ニュアンスが違ってくるものと思われました。

手元にあるCollins Cobuild Dictionary of Idiomsによると、


If you say that someone is dragging their feet or dragging their heels on something, you are criticizing them for deliberately delaying making a decision about something that is important to you.


と解説されており、"deliberately"(意図的に)という含意がやはりあるようです。

ちなみに「二の足を踏む」の「二の足」とは、一歩目につづく第二歩目のことで、何かに取り組もうとして一歩は進んだものの、続く二歩目が続かないということで、足を引き摺るイメージにも重なる部分があるようには思えますが、それが故意であるかというと、どちらかと言えば、心理的な葛藤などを原因として、踏み出したくとも踏み出せない、そんなイメージではないでしょうか。

そうすると、バイデン大統領は原油の禁輸措置に二の足を踏んでいるというよりも、やはりそのような措置を取ることに頑なに抵抗している、という解釈がふさわしく思われます。

では、何故バイデン大統領は頑なに禁輸措置を取ることを拒んでいるのでしょうか?

記事にもありますが、その背景にはカナダと米国を繋ぐKeystone XLと呼ばれるパイプラインの建設を巡る是非があるようです。

このパイプラインを巡っては、環境活動家が反対運動を展開し、バイデン氏は建設をストップすることを大統領選の公約とした背景があります。

ロシアからの原油の禁輸措置は米国内のガソリン価格高騰に繋がる懸念がありますが、バイデン大統領はそれがパイプライン建設問題に飛び火することを恐れているものと思われます。ガソリン価格を安定させるためにパイプラインを認めることになれば、公約違反との突き上げを喰らうことは目に見えています。

ウクライナ問題が、全く次元の異なる米国内の環境問題(あるいは、野党共和党との政争の具と言っても良いでしょう)と絡み合っていると言えます。