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2022年3月8日火曜日

drag one’s feet

ウクライナに軍事侵攻したロシアに対して、各国の制裁が日増しに厳しいものになっています。

一方、先日のブログ記事でも取り上げましたが、米国は原油等の禁輸措置には二の足を踏んでいるようです。


President Biden kept mulling a possible ban on Russian oil imports Monday as a bipartisan alliance in Congress moved to force his hand — while the White House argued the Keystone XL pipeline wasn’t needed to offset the effects of Russia’s invasion of Ukraine.

“No decision has been made at this point by the president about an import — a ban on importing oil from Russia,” White House press secretary Jen Psaki said during a briefing. “Those discussions are ongoing internally and also with our counterparts and partners in Europe and around the world.”
(Steven Nelson. Biden drags feet on Russian oil ban as WH says Keystone XL pipeline is irrelevant? New York Post. March 7, 2022.)


引用した記事のタイトルに着目したいと思いますが、


Biden drags feet on Russian oil ban


という部分の"drag (one’s) feet"とは、辞書を引くと、


(わざと)ぐずぐずする、のろのろやる;非協力的である;頑強に反抗する
(研究社新英和大辞典)


とありました。

文字通りには、足を引き摺る、という意味ですが、前進することに消極的、もしくは拒む、ということだと解釈されます。

冒頭では「二の足を踏んで」と書きました。この日本語表現にも消極さがほのめかされていますが、"drag (one’s) feet"の場合には「わざと」(故意に)という意味合いがあるようで、ニュアンスが違ってくるものと思われました。

手元にあるCollins Cobuild Dictionary of Idiomsによると、


If you say that someone is dragging their feet or dragging their heels on something, you are criticizing them for deliberately delaying making a decision about something that is important to you.


と解説されており、"deliberately"(意図的に)という含意がやはりあるようです。

ちなみに「二の足を踏む」の「二の足」とは、一歩目につづく第二歩目のことで、何かに取り組もうとして一歩は進んだものの、続く二歩目が続かないということで、足を引き摺るイメージにも重なる部分があるようには思えますが、それが故意であるかというと、どちらかと言えば、心理的な葛藤などを原因として、踏み出したくとも踏み出せない、そんなイメージではないでしょうか。

そうすると、バイデン大統領は原油の禁輸措置に二の足を踏んでいるというよりも、やはりそのような措置を取ることに頑なに抵抗している、という解釈がふさわしく思われます。

では、何故バイデン大統領は頑なに禁輸措置を取ることを拒んでいるのでしょうか?

記事にもありますが、その背景にはカナダと米国を繋ぐKeystone XLと呼ばれるパイプラインの建設を巡る是非があるようです。

このパイプラインを巡っては、環境活動家が反対運動を展開し、バイデン氏は建設をストップすることを大統領選の公約とした背景があります。

ロシアからの原油の禁輸措置は米国内のガソリン価格高騰に繋がる懸念がありますが、バイデン大統領はそれがパイプライン建設問題に飛び火することを恐れているものと思われます。ガソリン価格を安定させるためにパイプラインを認めることになれば、公約違反との突き上げを喰らうことは目に見えています。

ウクライナ問題が、全く次元の異なる米国内の環境問題(あるいは、野党共和党との政争の具と言っても良いでしょう)と絡み合っていると言えます。



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