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2013年11月29日金曜日

アイソン彗星、見えましたか? ― whimper

私は天文ファンではありませんが、早朝にジョギングするので特に冬の早朝はまだ暗く、瞬く星空を見上げて感激することがしばしばです。昔は理科の授業で星座や天体の話にはちっとも興味がありませんでしたが、人間やはり実体験が大事で、きれいな星や月を眺めると自然と興味が湧いてくるものです。

最近の天文の話題といえば、アイソン彗星です。世紀の彗星(the Comet of the Century)と呼ばれているようですが、昨晩からニュースなどでは、今日29日の明け方に太陽に最接近するということでした。

アイソン彗星を観測された方はいらっしゃいますでしょうか?


Telescopes saw the giant ball of ice and dust disappear behind the star, but only a dull streamer re-emerge.

Astronomers continued to search for the object, but it eventually became clear that the much vaunted "Comet of the Century" had gone out with a whimper.

Despite its great size, Ison was probably torn apart in the immense heat and tidal forces so close to the Sun.
(Jonathan Amos. Comet Ison destroyed in Sun passage. BBC News. November 28, 2013.)


残念ながら、この記事によりますと、アイソン彗星は太陽の強大なパワーによって消滅してしまった(!?)ようであるとのことです。

それでは今日の表現です。


"Comet of the Centry" had gone out with a whimper


とあるところの、"whimper"ですが、辞書を引くと、


めそめそした泣き声


という意味が載っています。赤ん坊や犬猫などが弱々しく発する声を指すようですが、アイソン彗星が泣いた(!?)訳ではないでしょう。


gone out with a whimper


とありますから、"with a whimper"が"gone out"(消滅)の様を形容する表現であると考えられます。つまり実際に泣いたり音を出したのではなく、比喩的な意味合いということです。

コーパスを調べてみると、"whimper"の用例としては、"with a whimper"が最も多いという結果が示されました。

また、典型的な表現としては、


end with a whimper
die with a whimper


などが見られ、華々しかったものが萎んで消えていく、というような意味合いで使われています。


start with a bang and end with a whimper


という表現もあるようです。


with a bang


はアメリカ口語で、“うまく; 華々しく; 成功して”という意味で使われ、"with a bang"と"with a whimper"は言ってみれば対比的に用いられることが多いようです。


2013年11月28日木曜日

Thanksgivukkah

"Thanksgivukkah"という、甚だ不思議なスペルの単語を目にしました。

今日11月28日は11月の第4木曜日で、感謝祭(Thanksgiving)の日に当たりますが、はてさて、"Thanksgivikkah"とは一体何のことでしょうか?


For 30 years, Stuart Kahan has resisted customers’ entreaties to shake up the Hanukkah selection at his Teaneck, New Jersey, delicatessen. Now he has a reason to move beyond potato pancakes: Thanksgivukkah, a mashup of the American and Jewish celebrations.

Owing to an overlap in the Gregorian and Jewish calendars, Hanukkah and Thanksgiving have collided for the first time since at least early last century. Merchants as varied as Amazon.com Inc., Martha Stewart and Teaneck’s Smokey Joe’s kosher barbecue are rising to the occasion with Thanksgivukkah menus, tchotchkes and merchandise.
(Lauren Coleman-Lochner. Thanksgivukkah Spawning Menurkeys in Mashup Celebration. Bloomberg. November 27, 2013.)


どうやら"Thanksgivukkah"とは、"Thanksgiving"と"Hanukkah"の合成語のようです。

今年は、グレゴリオ暦における"Thanksgiving"の日と、ユダヤ暦における"Hanukkah"の日が重なる、非常に類まれな年なのだそうです。


For the first time since 1888, the first day of Chanukah falls on Thanksgiving, an event so rare it will not happen again for approximately another 80,000 years.
(MaryAlice Parks. It’s Thanksgivukkah – The National Menorah Is Lit. ABC News. November 27, 2013.)


前回は1888年で、次は約8万年後(!?)のことだとか。


2013年11月27日水曜日

Boreas

我々日本人にはあまり関係ありませんが、アメリカでは感謝祭(Thanksgiving holidays)を迎える週とあって、週前半からお祭りムードであります。

11月の第4木曜日は明日になりますが、ホリデーを家族と過ごすために水曜日くらいから“大移動”が始まるようです。

ところが生憎なことに、天気が荒れ模様になるという予報があり、ニューヨークやワシントンなどの北東部では旅行客の移動を直撃するのではというような報道がされています。


Northeast braces for Boreas; Massive travel delays expected

No airport turkey for these people!

Leo Corteledzi and his family joined a legion of savvy travelers Tuesday, getting a jump on the Thanksgiving getaway just ahead of a winter nor’easter that was set to slam New York Wednesday.
(New York Post. November 26, 2013.)


上記の引用はその1つなのですが、"Boreas"という見慣れない単語が使われています。

"Boreas"とはギリシャ神話に出てくる北風の神、つまり感謝祭あたりに荒天を起こす原因と目される北東風(nor'easter)のことを指しています。


2013年11月26日火曜日

good Samaritan

スポーツファンというのは熱心な人ほど恐ろしいもので、日本でも野球やサッカーのファンが暴徒化したりというニュースを聞くことがあります。

アメリカンフットボールは日本人には馴染みが薄いですが、ファン心理というのは種目に限らず共通というところでしょうか。ある女性が、応援するチームが試合で負けそうになったところで自殺行為(!?)に及ぶという事件があったようです。


OAKLAND, Calif. — Police praised a football fan for saving the life of a woman who jumped from the third-level deck of the Oakland Raiders' home stadium by breaking her fall.

The woman, who was not identified, was critically injured Sunday after plunging about 45 feet at O.co Coliseum. She jumped shortly after the Raiders' 23-19 loss to the Tennessee Titans and as fans were filing out of the stadium.

A good Samaritan who tried to break her fall was seriously injured in the process, but was conscious and is expected to survive, police said.

"He saved her life quite honestly, at his own expense," Alameda County Sheriff's Sgt. J.D. Nelson told the Oakland Tribune. "This guy 100 percent saved her life. She'd be dead now."
(Raiders fan saves life of woman who jumped from upper deck. New York Post. November 25, 2013.)


何とフットボールのスタジアムの客席から飛び降りたそうなのですが、別の男性の観客が女性の異常な行動に気がつき、飛び降りてきたところを自分の身を挺して救ったということのようです。

飛び降りてきた女性を受け止めようとしたのだと思われます。女性は助かりましたが、男性も大怪我を負ったということです。

さて、今日取り上げる表現、"a good Samaritan"は、“よきサマリア人”という意味で、聖書のルカ伝に由来し、辞書にもエントリとして載っている表現です。

聖書の中でのストーリーを詳しくは知りませんが、サマリア人は追いはぎにあったユダヤ人を、自らの利益、不利益を省みず助け、自己を犠牲にしてまでも他人を援助し同情を寄せる人、として描かれています。

ちなみに、"Good Samaritan law"なる法律専門用語がありますが、これは善良な意図を持って他人を援助しようとした行為による過失責任を問われない、という概念を表現するもので、アメリカやカナダで取り入れられているものです。


2013年11月25日月曜日

refusenik

11月も今週でお終い、来週からは師走のスタートです。時間が過ぎ去るのは早いものです。

今週木曜日は11月の第4木曜日にあたり、アメリカでは感謝祭(Thanksgiving holidays)です。ニュースのヘッドラインもThanksgiving関連のものが目立ち始めました。


LOUISVILLE, Ky. -- Carol Larkin will not shop on Thanksgiving. Even though she lives directly behind the a Kroger supermarket, she won't even stop for a last-minute item on the way to her family feast Thursday at a sister's house.

"I want to spend the day with my family," said Larkin, 59.

But while Thanksgiving shopping refuseniks like Larkin are vocal in their complaints about the increasing encroachment into the holiday's sanctity, they may be fighting a losing battle, as retailers open early to lure shoppers on tight budgets.
(Jere Downs. Thanksgiving shopping a sacrilege for some. USA Today. November 24, 2013.)


当ブログでも過去に何度かThanksgivingに関連する話題を取り上げたことがありますが、アメリカ人にとって最も重要なこのホリデーの終了は、同時に年末のクリスマスという一大イベントへのカウントダウンのスタートであり、小売販売業(retailers)にとっては、年末商戦の書き入れ時でもあるのです。

Black FridayCyber Mondayなどの新語(もはや新語ではなく定着しているようですが)はそれらの風潮を現しています。去年くらいからは、Black Fridayに先駆けて、前日の木曜日から商戦がスタートするなど、加熱ぶりが加速しています。

一方で、Thanksgivingは家族と触れ合うための大事な時間であり、伝統的な祝日が商業主義のイベントに取って代わられつつあることを嘆く人達も多くいます。

上記の引用で出てくる、


Thanksgiving shopping refuseniks


とはそうした人達のことです。

"refusenik(s)"は、"refuse"(拒否する)+"-nik"、という形になっています。"-nik"とは、~な人、~に関心の強い人、というような意味を作る接尾辞で、他にbeatnik(ビート族)やnukenik(原発反対運動家)などの単語があります。


2013年11月22日金曜日

万引き大国アメリカ!? ― shrinkage

JCPennyという、日本のそごうとかタカシマヤに相当するようなデパートがアメリカにありますが、以前から業績が思わしくなく、従業員を解雇したりということがメディアに取り上げられていました。

追い討ちをかけるように、今年の第三四半期の損失が5億ドル近くにも達するというニュースが下記です。


Memo to JCPenney: firing workers breeds five-finger discounts.

The flailing retailer, logging a $489 million quarterly loss, admitted Wednesday its margins have been hit by shoplifting — but some insiders disagreed with the department store's official excuse for the problem.

Chief Executive Mike Ullman, in a conference call with analysts, blamed the noticeable uptick in what retail insiders call "shrinkage" — and what the rest of America calls shoplifted goods — on a move by former CEO Ron Johnson to eliminate anti-theft sensor tags.
(James Covert. JCPenney sees increase in shoplifting after firing workers. New York Post. November 21, 2013.)


人員整理で従業員を解雇した結果、万引きが増加したことがその背景にあるそうです。店内でスタッフ(店員)がまばらになってしまったから万引きがやりやすくなったということでしょうか。アメリカは万引き大国!?

さて、引用記事に"shrinkage"という単語が引用符付きで出てきます。

"shrinkage"と聞くと縮小、減少という意味が思い浮かびますが、引用部分の


uptick in (what retail insiders call) "shrinkage"


は、“縮小”の増加、という、ちょっと良く分からない、矛盾するような表現に戸惑いました。

が、続く文脈では、


what the rest of America calls shoplifted goods


とあり、"shrinkage"とはすなわち"shoplifted goods"であると分かります。

辞書を引きましたが、"shrinkage"には、


(抜き荷・万引きなどによる)商品逸失


という意味があることが分かりました。商業用語のようです。

2013年11月21日木曜日

shake down

スマホの盗難が増えているそうです。日本でもつい先日スマホばかりを狙った路上強盗について報じられていたように記憶しますが、アメリカでもスマホ盗難は増加の一途を辿っているらしく、以前より盗難対策が叫ばれていました。

解決策の1つが、スマホに"kill switch"を導入するというもので、これは盗まれたスマホを遠隔操作により使用不可能にすることができる機能だそうですが、この"kill switch"の導入をスマホ業界側(つまり携帯電話のメーカー)が却下したということがニュースになっています。


A "kill switch" which would help prevent a smartphone being stolen has been rejected by mobile phone carriers in the United States, with government officials accusing companies of "shaking down" customers for billions of dollars in insurance costs.
(Daniel Johnson. 'Kill switch' to prevent phone theft rejected in US. The Telegraph. November 20, 2013.)


この却下については、スマホの盗難保険の保険料を確保したい業界側の思惑が透けて見えるという批判が起きています。

ところで、上記の引用で、


"shaking down" customers for billions of dollars in insurance costs


という下りに着目したいと思います。

"shake down"には、金品を巻き上げる、という意味があります。

ゆすり取る、脅し取る、というような意味もあるらしく、かなり強い表現です。(ランダムハウス英和では、“米話”とされています。)

Merriam Webster Dictionaryにおいても、


to obtain money from in a deceitful, contemptible, or illegal manner


という定義が見えますが、業界への批判はかなり厳しいですね。

業界側は、"kill switch"がハッカーに悪用される恐れがあるという理由を表向きに上げているようですが、スマホメーカーにしてみれば、"kill switch"の導入によって盗難が激減すれば、盗難保険の加入者も減り、保険料収入が減るので困るということでしょうか。

まあ、業界関係者でもなく、スマホも持っていない私には関係のない話ですが・・・。


2013年11月20日水曜日

執行停止 ― stay of execution

"stay"という単語は、滞在するという意味の動詞、あるいはカタカナでも“ステイ先”などというように名詞としても機能しますが、


停止、中断


という意味でも使われることをご存知でしたか?


(CNN) -- A federal court has granted a stay of execution for white supremacist serial killer Joseph Paul Franklin, hours before he was scheduled to die by lethal injection in Missouri.

Franklin is on death row for the 1977 murder of Gerald Gordon outside a synagogue in St. Louis. He's been blamed for a total of 22 killings between 1977 and 1980 in a bid to start a race war.
(Matt Smith. Judge grants stay of execution for serial killer Joseph Paul Franklin. CNN. November 20, 2013.)


アメリカで連続殺人犯の死刑執行が停止されたというのが上記の引用です。

コーパスを検索すると、


stay of execution


すなわち執行の停止(死刑に限りませんが)という意味での用例がトップです。次に多いのが、


stay of implementation


というもので、これは導入、あるいは実施の中断、あるいは延期、というようなものに相当すると思われます。


2013年11月19日火曜日

cough up

グーグルがプライバシー関連の訴訟で手痛い和解金(賠償金?)を支払うことになったそうです。


Google coughs up $17m to kill off Safari STALKER COOKIE squabble

Google has settled its US legal woes over allowing third-party tracking of Safari users without their knowledge and consent for the relatively paltry amount of $17m, to be shared among 37 states and the District of Columbia – aka Washington DC.

The settlement states that between June 1, 2011, and February 15, 2012 Google managed to subvert Safari's code using JavaScript to allow the installation of DoubleClick cookies, and neglected to tell users about it.
(The Register. November 19, 2013.)


インターネットブラウザのプライバシー設定にユーザーの訪問したページなどをトラッキングする機能を持つクッキーを有効にするか否かというものがありますが、アップル社のSafariというブラウザを使っている場合に、ユーザーがクッキーを無効にしているにも関わらずこっそりとトラッキング情報を収集していたそうです。

このようなやり方が明るみになり、アメリカのワシントンD.C.や37の州からプライバシー侵害の訴訟を起こされていたそうです。

さて、今日の表現です。

記事のタイトルに出てくる、"cough up"は、


しぶしぶ支払う


という意味があります。

もう1つ引用します。


If you're driving, don't forget where you're going. Riders tell of one driver who had a lot of things on her mind and forgot to get in the carpool lane. She and her livid passengers inched through traffic and finally reached the toll booth, where she discovered she didn't have any cash. The riders had to cough up the $ 1 toll.
(The San Francisco Chronicle. 1996.)


"cough"自体は咳払いをするというほどの意味で、"cough up"も(元々は)咳をして(痰などを)吐き出すという意味です。出来れば出したくないものをしぶしぶ出す、という意味合いということでは、“痰”も“お金”も一緒!?でしょうか。

"cough up"には“しぶしぶ支払う”という意味以外にも、自白する、(競技において)相手のリードを許す、ボールを取られる、というような意味でも用いられるようです。これらの用例についてはまた改めて取り上げたいと思います。


2013年11月18日月曜日

こんな意味もあったの? ― stiff

"stiff"という単語は形容詞として暗記している人が多いのではないかと思います。

堅くなった、硬直した、というような意味があり、stiff neck(肩凝り)などの表現で覚えている人がほとんどではないでしょうか?

形容詞の"stiff"には上記以外にも、頑強な、難しい、厄介な、など様々な意味があるのですが、形容詞以外に動詞の意味もあることを知っている人は意外と少ないかもしれません。

かく言う私自身も下記の記事で初めて知った次第です。


BRIDGEWATER, N.J. -- A family who stiffed a waitress out of a tip on a $100 bill because they didn't approve of her "lifestyle" may not be welcome back at Gallop Asian Bistro here.

A couple dining with their two middle-school-age children Wednesday made their judgment of Dayna Morales, a Marine veteran, simply by looking at her. They let her know what they thought with a scribbled message on their $93.55 check.

"I'm sorry but I cannot tip because I do not agree with your lifestyle and how you live your life," the note reads.
(Sergio Bichao. Family leaves waitress 'lifestyle' tip instead of cash. USA Today. November 15, 2013.)


上記の引用の冒頭に出てくる"stiff"は明らかに動詞ですが、ここでは、"stiff ... out of~"という形になっており


欺く、だます;(人から)(物を)だまして巻き上げる


という意味で使われています。

記事内容は、レストランのウェイトレスが同性愛者だったという理由でチップを払わなかった、ということが取り上げられているものです。

アメリカのようなチップを払う文化では、ウェイトレスなどの職業はチップがもらえるか否かは死活問題であり、私も昔N.Y.のコリアンタウンで食事した際、チップが少なすぎるとクレームを付けられた記憶があります。

"stiff"には、チップを出し惜しみする(あるいはチップをやらない)という意味もあり、Merriam Websterでは、


to not give as much money as you should give to (someone)


という定義が確認できます。

このような動詞の表現はランダムハウス英和辞書では米俗語となっています。American Heritage Dictionaryでも"slang"(スラング)とされており、形容詞の意味合いから考えてもこの動詞の意味はやや特殊な感じがします。

また、初出は1950年(Merriam Webster)などとされており、形容詞の"stiff"(12世紀以前)と比べて非常に新しい意味であることが分かります。

Online Etymology Dictionaryによりますと、動詞の"stiff"の意味は、"stiff"が死体(corpse)を意味するスラングとして用いられたことから生まれた意味であると推測されるとしています。何でも、“死体”はチップを払わない(くれない)ということの連想からだそうですが・・・。


2013年11月15日金曜日

ガマの油? ― snake oil

"snake oil"という表現をご存知でしょうか?直訳すると“蛇の油”ということになりますが、ガマの油を想起させられます。

用例を見てみましょう。


In any given year, about one in six Australians seeks help from a chiropractor at least once. They collectively spend nearly $1 billion a year on chiropractic treatment.

But increasingly, the profession is copping criticism over the lack of scientific evidence underpinning its techniques.

Critics argue many chiropractors are snake oil salesman, offering dangerous treatments for conditions like autism, asthma and bed-wetting. And they're particularly concerned about the use of these techniques on children.
(Chiropractor care quantified in new research study. ABC News. November 11, 2013.)


"snake oil"を辞書で引くと、


(特に行商人の売り歩く,万病に効くという)怪しげな水薬(ランダムハウス英和辞書)


という意味が載っています。上記の引用記事では、カイロプラクティックがとかく医学的、科学的な根拠付けに乏しい、怪しげな医療行為と目されがちであることを言うのに、"snake oil (salesman)"という表現を使っています。

さて、なぜ"snake oil"という表現が生まれたかについては諸説あるようです。

その1つ、最もよく知られているものとしては、関節痛などの痛みを和らげるのに蛇から抽出した成分を薬として使ったことからその名称が広まったというものです。

もう1つの説は、米国東部で切り傷や擦り傷に塗る油のことを"Seneca oil"と呼んでいたそうなのですが、その"Seneca"が"snake"に訛り、"snake oil"となった、という説です。

いずれにしてもやはりガマの油を想起させるのですが、日本語と英語の奇妙な一致というように感じられてなりません。


2013年11月14日木曜日

sextortion

"sextortion"という単語をご存知でしょうか?恐らくどの辞書を引いても載っていません。

下記の記事をご覧下さい。


Calif. youth admits Miss Teen USA 'sextortion' plot

A 19-year-old Southern California computer student is facing federal prison for hacking the webcams of Miss Teen USA Cassidy Wolf and a dozen other young women worldwide and trying to blackmail them by going public with naked photos he secretly took.
(USA Today. November 12, 2013.)


記事のタイトルに引用符付きで使われているものです。記事の導入部分を読めばすぐに分かりますが、ミスコンテストに出場した女性のヌード写真を盗撮してそれをネタに脅していた卑劣な男子学生が逮捕されたという事件です。"sextortion"とは、"sex"と"extortion"の2つの単語を結合して作った造語であると推測されます。

別記事では下記のような用例もありました。


The attorney for a 19-year-old man who pleaded guilty Tuesday to "sextorting" photos via hacked personal computers of at least dozen women including Miss Teen USA, said his client has autism, but that it was no excuse for the behavior.
(Richard Winton. Man admits 'sextortion' of Miss Teen USA; lawyer says he's autistic. Los Angeles Times. November 12, 2013.)


"sextorting"という活用形から、"sextort"という動詞の表現も存在することが分かります。実際、


Teenage hacker who tried to sextort Miss Teen USA with naked pictures he got from logging onto her webcam pleads guilty
(James Nye. The Daily Mail. November 12, 2013.)


という用例も確認できます。

それにしても、露骨というか、嫌らしい感じのする表現ではないでしょうか。


2013年11月13日水曜日

こんな意味もあったの? ― pick up

フィリピンを襲った台風30号は1万人を超える犠牲者など甚大な被害をもたらしました。

国際社会が救助隊を派遣したり、食料や薬、日用品などの支援物資を提供するなどしています。被災地では支援活動がなかなか効率的に進まない、物資が行き渡らない状況があるようですが、下記は状況が次第に改善されつつあるというものです。


Relief operations in this typhoon-devastated region of the Philippines picked up pace Wednesday, but still only minimal amounts of water, food and medical supplies were making it to the hardest-hit areas.

Aviation authorities said two more airports in the region had reopened, allowing for more aid flights.

International agencies and militaries were also speeding up operations to get staff, supplies and equipment in place for what will be a major humanitarian mission.

The damaged airport on Tacloban, a coastal city of 220,000 almost completely destroyed by Friday's typhoon and coastal surge, has become the major hub for relief work.
(Aid operations pick up pace in Philippines. CBS News. )


さて、今日取り上げたいのは引用記事で使われている、


pick up


という表現です。

カタカナでも“ピックアップ”と言いますが、ここでの用法はそれとは異なる意味で使われていることが明らかです。

英和辞書を引くと、


回復する;上向きになる;よくなる


というような意味で用いられるということが分かります。

ところで上記の引用では、"pick up pace"であり、"pace"という目的語を取る他動詞として使われています。

Merriam Websterでは、


revive
increase
to resume after a break


という定義があり、上記の引用での用例はこれらに当たるかと思われました。

さらにAmerican Heritage Dictionaryを参照しますと、Informalとした上で、


To improve in condition or activity: Sales picked up last fall.


という説明がありました。

日本語のカタカナでいう“ピックアップ”に囚われていると頭にすんなりと入ってこない表現ではないでしょうか。


2013年11月12日火曜日

Tシャツ100周年 ― A-listers

今年、2013年はTシャツ誕生から100年となる記念の年だそうです。New York Post紙の記事で知りました。


In 1913, the T-shirt made its American debut when the US Navy issued crew necks to seamen for chest protection under their sailor suits. 100 years later, A-listers are putting their tees front and center — paired with glam accessories such as a Chanel bag, of course.
(Timothy Mitchell. A look back at the t-shirt’s most iconic moments. New York Post. November 10, 2013.)


記事によると、元々はアメリカ海軍において船乗りの胸の保護を目的が目的の下着として導入したそうですが、今やファッションアイテムの1つとして揺るぎない地位を築いていると言えます。

ところで引用記事に、


A-listers


という表現があるのですが、これは何を指しているのでしょうか?

手持ちの英和辞書にはエントリが見られませんでしたが、Merriam WebsterやAmerican Heritage Dictionaryでは、


A-list


というエントリがちゃんとありました。


a list or group of individuals of the highest level of society, excellence, or eminence
(Merriam-Webster Dictionary)

A list or group of the most admired or desirable people, as for a job or social gathering
(American Heritage Dictionary)


いわゆる“セレブ”と呼ばれる人達のことを指すようです。下記の用例でも、連ねられた名前を見ると明らかです。


Kentucky Secretary of State Alison Lundergan Grimes (D) has racked up donations from at least 66 Hollywood celebrities in her race for U.S. Senate, in the wake of mogul Jeffrey Katzenberg's rallying call to defeat Minority Leader Mitch McConnell (R-Ky.).

(中略)


A-listers Leonardo DiCaprio, Danny DeVito, Jack Black, Cameron Diaz, Ben Affleck, Jennifer Garner, Mike Myers, James Cameron, J.J. Abrams, Steven Spielberg, Jon Hamm and Nicolas Cage have all contributed the maximum $5,200 to the Grimes campaign. Other donors included Ben Stiller, Leonard Nimoy and Woody Allen.
(Alison Lundergan Grimes Receives $250,00 From Hollywood A-Listers. The Huffington Post. October 29, 2013.)


元々はハリウッドの世界でスター(俳優)の格付けをしたThe Hot Listなるものに由来するそうですが(ちなみにA-listが最高ランクで、B-list、C-list、と続き、D-listが最下位のランクのものだそうです)、この表現は映画業界に限らず、一般に成功している人を指すのに使われるようになったようです。


2013年11月11日月曜日

bedlam

フィリピンを襲った猛烈に強い台風により、1万人以上の死者が出るなど、相当の被害がもたらされたようです。


Typhoon Haiyan: Philippines destruction 'absolute bedlam'

The head of the Red Cross in the Philippines has described the devastation caused by Typhoon Haiyan as "absolute bedlam".

Up to 10,000 people are believed to have died in Tacloban city and hundreds elsewhere. Hundreds of thousands of people are displaced.

The typhoon flattened homes, schools and an airport.

It has since made landfall in northern Vietnam, near the Chinese border, where it has weakened to a tropical storm.
(BBC News. November 11, 2013.)



台風一過の状況を、


absolute bedlam


と表現しています。"bedlam"とは混乱状態、とんでもない騒ぎになっている状況を意味する単語です。

この単語の語源を辿るといわゆる"toponym"、すなわち地名に由来する単語であることが分かります。

地名というと語弊があるかもしれませんが、イギリス・ロンドンにあった、Hospital St. Mary of Bethlehemという精神病院の名前に由来するそうです。

現在も王立ベスレム病院(Bethlem Royal Hospital)という名前で残る病院ですが、当時は精神病者を収容する、現代的な観点からするとかなり問題のある施設だったらしく、その“混乱ぶり”が"bedlam"という単語の意味につながったようです。


2013年11月8日金曜日

barrel

"barrel"とは“ビヤ樽”のことですが、動詞の意味もあることを知りました。


Thousands of people have been evacuated from across the central Philippines today with what is expected to be the year's strongest typhoon set to strike the region in the early hours of tomorrow morning.

Typhoon Haiyan has intensified and accelerated as it moves closer to the country with sustained winds of 225kph (140 mph) and ferocious gusts of 260 kph (162 mph).

(中略)

Haiyan is forecast to barrel through the country's central region Friday and Saturday before blowing toward the South China Sea over the weekend, heading toward Vietnam.
(Thousands flee from villages across the Philippines as terrifying super typhoon hurtles toward land. The Daily Mail. November 7, 2013.)


引用した記事は最大級の台風がフィリピンに接近しているというニュースですが、引用の最後の段落で"barrel"が動詞として使われています。

辞書を引くと、


(自動車が)高速で走る;(車を)ぶっ飛ばす


というような意味があることが分かりました。台風が勢力を維持しながら同国を高速で縦断することを表現したものです。

“樽”がなぜ高速の移動を意味するようになったのかですが、恐らく転がる樽のイメージから生まれたものではないかということです。

ドンキーコングのゲームを思い出しました(笑)

さて、"barrel"するものにはどんなものがあるかと思って調べるとやはり台風やハリケーンの類が多いようです。


Hurricane Earl gains strength: Forecasters say Earl has strengthened into a Category 2 hurricane as it barrels toward several islands in the eastern Caribbean.
(The Washington Post. 2010.)


As Rita barreled toward Texas's northern Gulf Coast, the Category 3 hurricane brought the region's economy to a standstill by shuttering seaports, airports, refineries, chemical plants, offices and restaurants -- turning major cities into ghost towns.
(The Washington Post. 2005.)


2013年11月7日木曜日

エフ("F")爆弾!? ― f-bomb

"F-bomb"という単語をご存知でしょうか?

そのまま訳せば、エフ("F")爆弾、ということになりますが!?


Surprise – New Yorkers and other East Coast residents appear to drop F-bombs on Twitter more than their fellow twits in other countries, a new, real-time interactive map suggests.

Www.fbomb.co, created by brainy Carleton University junior Martin Gingras, can tell you where in the world F-bombs are being dropped – and what users are tweeting about.

Wednesday about 9:25 a.m., for example, the map shows a heavy concentration of F-bomb-loaded tweets emanating from the East Coast, marked on the map by cartoon images of tiny explosions and signs with a falling bomb on them.
(Bob Frederiks. Follow real-time F-bomb tweets from around the world. New York Post. November 6, 2013.)


Merriam Webster Dictionaryによりますと、


the word fuck ― used metaphorically as a euphemism


とあり、初出は1988年ということですから、随分前からある単語のようです。

"Fuck"という単語は使うのが憚られる単語で、four-letter wordとも言われますが、"f---"というように省略されて使われることもしばしばです。

"F-bomb"は省略形としても適しているのでしょう。

American Heritage Dictionaryによりますと、語源欄には、


On the model of A-BOMB, H-BOMB, etc.


という説明があります。

"A-bomb"は"atomic bomb"(原子爆弾)、"h-bomb"は"hydrogen bomb"(水素爆弾)のことです。


2013年11月6日水曜日

Heaven help you.

昨日の記事を書くに当たり、"help"を辞書で引いていて長年の疑問が氷解しました。

どういう疑問かと言うと、


Heaven (will) help you.


というフレーズの解釈です。

10年以上前のことで明確に記憶しているのではないのですが、アメリカ人がプレゼンの中で使っていました。そのコンテクストをここに書くことは控えますが、何となく脅しのような気配があったのを記憶しています。

Oxford Advanced Learner's Dictionaryには、


God/Heaven help somebody


というフレーズがエントリにあります。その定義は、


used when expressing fears for somebody's safety


とあります。例文に、


God help you (ie You will be in trouble) if the teacher finds out!


とありました。

まさしく、警告のフレーズであり、私の当時の感覚は間違っていなかったことになります。

神様(God/Heaven)以外に誰も助けてくれませんよ、ということを反語的に表現したフレーズではないでしょうか?


2013年11月5日火曜日

グーグルの新サービス ― help out

検索大手のグーグルが新サービスの提供を開始するそうです。その名も、“Helpout”というもので、困った人に対して専門家のアドバイスを提供するのだそうです。

困ったことや分からないことがあれば“ググる”というのが当たり前のようになりましたが、“Helpout”のサービスはビデオチャットの技術を用いた対面式のサービスらしく、質問者のニーズに答えるテーラーメードのサービスのようです。


A new video service from Google that aims to connect people with teachers, personal trainers, doctors and other experts is expected to launch Monday evening, according to a recent planning email.

The new service, called "Helpouts," has been in quiet testing for months. There are few restrictions on who can sign up to offer services, though Google has been reaching out to professional organizations such as the language-learning company Rosetta Stone to fill in the ranks of experts.
(Rolfe Winkler. Google to Launch 'Helpouts' on Monday. The Wall Street Journal. November 4, 2013.)


さて、このグーグルの新サービスの名称は、“Help”ではなく、“Helpout”です。

多くの日本人にとって、"help"という動詞には馴染みがあり今更辞書を引くものでもないような単語ではないでしょうか?

私もそうでしたが、この記事を読んで辞書で"help out"を改めて引きました。

"help out"には、


help somebody especially in a difficult situation or a crisis
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


という意味があることを再確認した次第です。例文には下記が挙げられていました。


He's always wiling to help (us) out when we're short of staff.


受験の英語の空欄穴埋めにでも出てきそうな問題ですが、グーグルサービスの名称を覚えていれば迷うことなく解答できる!?


2013年11月4日月曜日

hammered

三連休、いかがお過ごしだったでしょうか?

久しぶりにGoogle newsで海外ニュースをチェックしていますと、トロント市長のスキャンダルについて報じられている記事が目に留まりました。


TORONTO — Mayor Rob Ford of Toronto apologized Sunday for being “hammered” in public and acknowledged the need to curb his drinking, but he did not address allegations of drug use and said he would remain in his job despite growing pressure to resign.
(Apologizing, Toronto Mayor Vows to Stay. The New York Times. November 3, 2013.)


どうやら酔っぱらっていろいろと恥ずかしいことをしでかしたそうなのですが、具体的にどんなことをやったのかどうも判然としません。

"hammered"とは、


酔っぱらった


という意味の俗語です。

酔って醜態を晒すのは、まあ誰にでもあるような話ですが、市長にはコカインを吸ったとの疑惑もあるようです。

Oxford Dictionary of Euphemismsを引くと、


Your head sometimes feels like it, especially after poor red wine.


とありました。

"(being) hammered"とは安い酒を飲んであたかもハンマーで頭を殴られたように朦朧となることを言っているのでしょうか?


2013年11月1日金曜日

miss a beat

昨日取り上げた、ローマ法王スピーチの最中に突然ステージに割って入ってきた男の子の話ですが、別記事で下記のように報じられています。


Little boy steals the show at Vatican

A 7-year-old provided comic relief for the Pope as he ran on stage, sat in the Pope’s seat – and eventually gave the Pope a hug. The entire time, Pope Francis never missed a beat while delivering a speech about family in St. Peter’s Square. NBC’s Anne Thompson reports.
(Little boy steals the show at Vatican. NBC News. October 30, 2013.)


昨日、私はローマ法王もちょっと困惑気味の様子、と書いたのですが、上記の記事によると、


Pope Francis never missed a beat while delivering a speech


ということです。ところで、ここで使われている、


miss a beat


という成句ですが、


一瞬躊躇する


という意味がランダムハウス英和に載っていました。

ご存知の通り、"beat"とはビート、音楽の拍子のことであり、また心臓の鼓動や脈拍のことです。"beat"には一定間隔で規則的に刻まれるテンポ、といったイメージがあります。

従って、"beat"を"miss"するということは、予定外、想定外の事態が発生して、通常粛々と進む物事のテンポ感が乱される、そんなイメージがしっくりくるように思います。あるいは、逆に言えば、想定外の事態にテンポが乱れる、びっくりして心臓の鼓動が一瞬止まる、乱れる、というイメージでしょうか。

引用した記事に関して言えば、突然の闖入者にも関わらずローマ法王はスピーチを淀みなく終えた、というくらいの意味になるかと思います。