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2022年9月8日木曜日

temporal thermometer

久しぶりに、「あれを英語で?」のコーナーです。

コロナ禍のせいで、施設などの利用に際して、入口で体温を測定されるということがほとんど常識になってしまいました。職員の方がやって来て、額にかざす体温計で測定する、あれです。

日本語では、非接触型体温計とか言うそうですが、英語では何というかご存知でしょうか?


(CNN) A new study finds that temporal thermometers -- used to measure body temperature on the forehead -- may be less accurate than oral thermometers at detecting fevers among hospitalized Black patients.

Undetected fevers could lead to delays in medical care, according to the study, published Tuesday in the medical journal JAMA.

Temporal thermometers grew in popularity during the pandemic, and this isn't the first time that a medical tool important for evaluating Covid-19 patients has been found to not work as well as it should in Black patients.
(Jacqueline Howard. Forehead thermometers may be less accurate at detecting fevers in Black people, study finds. CNN. September 07, 2022.)


答えは、


temporal thermometer、もしくは
forehead thermometer


でした。

この非接触式体温計、"temporal thermometer"について、黒人では正確な体温が得られないという最近の研究があるそうです。

さて、非接触式体温計を指す英語についてですが、"forehead thermometer"は説明の必要もないと思います。

一方、"temporal thermometer"についてはどうでしょう?

"temporal thermometer"の"temporal"は、こめかみ、側頭部を意味する"temple"の形容詞形とでも言うべき単語です。

ところで、"temporal"には、時間に関しての意味合い、一時的な、という意味もあり、解剖学用語の方より、まずこちらを思い浮かべるのではないでしょうか?多くの辞書では、これらの意味は別の見出し語として取り扱われています。

時間に関する意味合いはもちろん、ラテン語で時を意味するtempusに由来しており、カタカナのテンポ(tempo; イタリア語)もここから来ています。

ややこしいのですが、解剖学用語の"temple"も同じラテン語tempusから来ているんですね。

こめかみ(temple)と時間(tempus)に一体何の関係が?と思うでしょう。

ラテン語からさらに印欧祖語にまで遡ると、*temp-という語根は、引き伸ばす、また引き伸ばした(もの)(stretch, extend)という意味だそうです。

これが、一方では時間という概念になり、一方では頭蓋骨周りの頭皮(頭蓋に密着して張り付いている部分)、つまり側頭部を意味するようになった、と言われています。

興味深いですね。

ちなみに、眼鏡のツルの部分をテンプルと言いますが、これもこめかみに沿っている部品にということで、"temple"という名称になっているものです。

最後に、今回の件で知ったのですが、非接触型体温計は額(forehead)で測るものと、こめかみ(temporal)で測るものとに分かれるそうですので、"forehead thermometer"と"temporal thermometer"は厳密には別物ということになります。




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