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2023年3月13日月曜日

英語にもある!音便のはなし — passenger

唐突ですが、「音便」という言葉を聞いたことがありますね?

中学校の国語で習うのでしたでしょうか?もしくは、古文の授業で出てくるのを思い出す人が多いかもしれません。

「音便」を広辞苑で引くと、


発音上の便宜から、もとの音とは違った音に代わる現象


とあります。

専門的な説明は(当方にはできないので)置くとして、綴り字を実際に口に出して言うにあたって、発音上都合の良いように変えられること、それが発音上、また綴り字において現れることであると理解して良いかと思います。

日本語における音便には4つあり、イ音便、ウ音便、撥音便、促音便です。

イ音便では「書きて」が「書いて」に、ウ音便では「早く」が「早う」、撥音便では「飛びて」が「飛んで」、促音便では「取りて」が「取って」、のように変わるというのが代表例です。

この「音便」と呼ばれる現象は日本語に限られるものではなく、英語(またその他の言語)にもあるということをご存知でしたか?

冒頭にも書きましたように、「音便」と聞くと国語や古文をまず思い浮かべますが、英語では、


euphonic change


と言います。

では、英語での音便の具体例を見てみましょう。

"passenger"という単語のスペルをよく見て下さい。

"passenger"とは電車やバス、飛行機などの乗客、旅客のことですが、通過や移動、運搬、輸送を意味する"passage"に、~する人という意味の接尾辞-erが付いたものです。

そうすると、*passager となるはずが・・・、ん!?

綴り字の a は、en と変化しています。

英単語テストで*passagerと書けば減点で、"passenger"が正しいスペルであるということになっています。

「ということになっている」というのは、論理的には*passager が正しくとも、発音の便宜上、"passenger"となったということなのです。

ちなみに、フランス語の動詞にpassager がありますが、乗客という意味の名詞は passager(女性形 passagere)で、こちらは英語のような音便による変化は無いのですが。

"passenger"に同じく、"messenger"も同じく音便の影響を受けてこのような綴りとなっています。

つまり、messageに接尾辞-erを付けて、*messager となるところ、"messenger"と変化したということです。

なお、フランス語ではやはり、messager(女性形messagere)です。

今週は英語に見られる音便の現象をいくつか取り上げたいと思います。

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