最近30日間のアクセス数トップ3記事

2013年9月19日木曜日

何と訳す? ― fine line

日本でも人気のコーヒーチェーンであるスターバックスが客による店舗内への銃の持ち込みをご遠慮いただきたいというメッセージを明確に打ち出すという話がニュースです。

銃!?

勿論、アメリカでの話です。


Starbucks says guns are no longer welcome in its cafes, though it is stopping short of an outright ban on firearms.

The fine line that the retailer is walking to address the concerns of both gun rights and gun control advocates reflects how heated the issue has become, particularly in light of recent mass shootings.

Most states allow people to openly carry licensed guns in some way and many companies do not have policies banning firearms in their stores. But Starbucks has become a target for gun control advocates, in part because of its liberal-leaning corporate image. In turn, gun rights advocates have been galvanized by the company’s decision to defer to local laws.
(Starbucks: ‘Leave the gun at home.’ New York Post. September 18, 2013.)


さて、今日取り上げる表現は上記に引用した記事中の中ほどに出てくる、"fine line"ですが、これを何と訳したものでしょうか?

まず辞書を引いてみますが、"fine line"のエントリはなく、"line"のエントリも見てみますが、"fine line"の"line"とは果たして“線”のことなのか、“列や行列”なのか、“境界線や限界”のことなのか、判然としません。

引用部分を少し詳しく見てみると、"fine line"を目的語に取っているのは"walk(ing)"という動詞であり、主語は"the retailer"(つまり、スターバックス)です。

スターバックスが"fine line"を歩いている、という解釈になりますが、何故にかと言うとそれは


to address the concerns of...


という、続く長いフレーズが説明しているという構造になります。

ここで、アメリカの銃規制に関するこれまでの経緯や現在置かれている状況などに関する詳細な知識までは必要ないかもしれませんが、銃の所持を権利として擁護する立場の人たちと、昨今の悲劇的な事件の発生を背景として銃所持を厳しく規制すべきだと考えている人たち、この双方が存在する、というくらいの知識は必要かもしれません。

つまり、"fine line"とはそのような対立する考え方や立場のいずれか一方にだけ与するのではなく、微妙なバランスを取る(ある意味双方を尊重する立場をとるような)“線”、“境界線”のことであると解釈することができます。

"fine line"を使った表現に、"tread a fine line between..."というフレーズが、"tread"のエントリに載っているのを見つけましたが、


・・・の間の危ない橋を渡る


という日本語訳になっていました。(ランダムハウス英和辞書)

"walk"も"tread"の同義語だと考えるならば、上記引用での"fine line"も恐らく同じような意味合いであると思われます。実際にスターバックスはカスタマーが銃を持ち込むことは遠慮してもらいたいというメッセージを発しつつも、銃所持規制論者と権利擁護者の双方へ配慮しなければならない苦しい立場に置かれているというコンテクストに照らして考えるならば、"fine line"とはやはり(二者のうちの)どちらかに偏ってしまうと好ましくない帰結に陥りかねない、そのような"line"、つまり“危ない橋”であると解釈することができます。

従って、"fine line"の"fine"とは、微妙な、とか、細かい、繊細な、といった意味であると考えることができます。

もう少しいくつかの用例を見てみましょう。


Clinical trials are also a complicated pact, emotionally and ethically, between desperate patients and doctors who must balance their ambition as researchers against their duty as clinicians, and must walk a fine line between offering too much hope and not enough.
(New York Times. 2009.)


Allred said she has been bombarded with questions from men who want to know whether their workplace behavior is innocent or whether they'll be slapped with a lawsuit for flirting. She acknowledged that there is a fine line between flirting and harassment, and that men must proceed at their own risk.
(San Francisco Chronicle. 1991.)


2番目の用例が分かりやすいでしょうか。身に覚えがある!?

この用例を読んで思い浮かんだのは、“紙一重”という表現です。今回引用した記事はそれぞれ微妙にコンテクストが違うため、それぞれの"fine line"の日本語訳も全く同じものにはならないかもしれません。

"fine line"とは要するに“危険な橋”だったり、微妙な“紙一重の差”となるようなものだったりすることを言うようです。

と、ここまで書いてきたところで、Collins Cobuild Dictionary of Idiomsを引いてみることを思いつきました。すると、ありました。


If you say that there is a fine line between two different activities or situations, you mean that there is, in fact, a point at which it is difficult to distinguish between them. You often say this when one activity or situation is acceptable, and the other is not.


この定義を読むと、“過ぎたるは及ばざるが如し”という日本語も浮かんできました。

"fine line"は、"thin line"、"narrow line"とも表現されるそうです。


0 件のコメント:

コメントを投稿