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2014年3月12日水曜日

上手出し投げ!? ― get the upper hand

今日の表現は、"get(ting) the upper hand"です。"gain the upper hand"とも言います。(動詞の部分は、"get"や"gain"以外に"have"、"take"なども使われるようです。)


SAN FRANCISCO -- A massive fire at a condominium construction site near AT&T Park was nearly 60% contained by 7 p.m. Tuesday and firefighters were "getting the upper hand," San Francisco Fire Chief Joanne Hayes-White said.

Hayes-White said 140 firefighters were spraying nearby buildings to prevent the blaze from burning other structures. She said there were no injuries.
(Maura Doran. San Francisco fire: Crews 'getting the upper hand,' chief says. Los Angeles Times. March 11, 2014.)


相手より優勢になる、相手をコントロールできる立場に立つ、という意味の成句です。上記の引用は大火事のニュースですが、消防士(firefighters)による消火活動が功を奏して鎮火の見通しが立ってきた模様です。

ところで、"the upper hand"とは何を意味しているのだろうかという疑問が沸いてきました。人の手のことなのでしょうか?でも"upper"とは?

"the upper hand"を字面通りに“上手(うわて)”と訳してしまうことができますが、相撲の決まり手“上手出し投げ”を想起してしまいます。意味的には近いのですが・・・。

多くの成句がそうであるように、"get the upper hand"の語源も興味深い説がいくつかあります。その1つは野球で先攻後攻を決めるやり方に由来するというものです。(参考:phrases.co.uk

両チームのキャプテンがバットを使って先攻後攻を選ぶのですが、まず片方のチームの代表がバットの元を手で握ります。次にもう片方のチームの代表が握っているところに接する形で握り、次にまた最初のチームの代表が同じように握り・・・、ということを繰り返し、最終的にバットの先端に達したところで握っている方(つまり"the upper hand")が先攻か後攻か好きな方を選ぶというやり方があり、それに因むというものです。

もう1つの説は、男女が並んで手を握って歩くようなシーンを想像したものです。手の握り方から、どちらかの手がもう一方の手を引っ張る、つまり水平にすると手の位置が相手の上に覆いかぶさるようになる形(つまり、"the upper hand")となります。パートナーに対して優位に立つ方が、そのような握り方になるということからこの表現が生じたという説です。

尤も、これらのいずれも確証があるものではないらしく、"the upper hand"の"hand"は特に人の体である手を意味するものではなく、単に概念的な意味合いでしかないという考え方もああります。

“上手出し投げ”は"the upper hand"の語源ではありませんが、概念はかなり近いものがあり、面白いですね。


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