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2025年4月30日水曜日

malapropism

言葉の誤用をテーマにお送りしております。

3日目の今日取り上げるのは、


malapropism


です。

初日の"eggcorn"、2日目の"mondegreen"、いずれも聞き間違いによる勘違いを原因とする言語現象でしたが、"malapropism"は言い間違いを取り上げたものです。

具体例はウィキペディアやネットに山ほど求めることが出来ますし、最近はAI(人工知能)に聞いてみればいくらでも出てきそうなのでここでは控えます。

"malapropism"は言い間違いと書きましたが、その間違い、勘違いが滑稽な効果を生み出すという点がポイントになるようです。

当ブログの過去の投稿(閑話休題)で、ネット記事のミスを取り上げたことがあります。

英王室に関する記事で、"Prince of Wales"とすべきところ、"Prince of Whales"と書いてあったのですが、その滑稽さといい、"malapropism"の一種と言えるかと思います。

"malapropism"という単語は、アイルランドの作家シェリダンの戯曲に出てくる登場人物Mrs. Malapropに由来していると英和辞書の語源解説にもあります。

このMrs. Malapropは気取り屋として描かれているそうですが、言葉の滑稽な誤用をするので、その名を取って、"malapropism"という語が言い間違いを意味する表現になったそうです。

2025年4月29日火曜日

mondegreen

今週は言葉の誤用という側面にフォーカスを当てて参ります。

2日目の今日取り上げるのは、


mondegreen


というものです。手元にある英和辞書にこの単語を載せているものは無かったですが、American Heritage Dictionary、Merriam-Webster Dictionary(いずれもオンライン版)では定義を確認できます。

昨日の"eggcorn"に同じく、"mondegreen"も聞き間違いによる勘違いのことを指す用語です。

"eggcorn"が単語レベルでの聞き間違いであるのに対して、"mondegreen"はフレーズや歌の歌詞など、ある程度まとまりのある文を間違って聞き取ってしまうことを指しています。

"mondegreen"というのは、とある詩(詳しくはウィキペディアなどをご覧ください)の一節で、


And laid him on the green


とあるのを、


And Lady Mondegreen


と誤って聞き取ったという逸話に基づくものです。

英語の歌詞に限らず、ラジオから流れてくる歌謡曲の歌詞などでも、私は一部何と歌っているのか分からない時があります。多分こう言っているのだろうと頭では歌われている歌詞を文字に置き換えていますが、何となくしっくり来ないところ、後になって、歌詞のテキストを見る機会があると、全く違っていた、ということはよくあることです。

皆さんも経験は無いでしょうか?

"mondegreen"に相当するものとして、昔当ブログで閑話休題として取り上げた「間違いさがし」の投稿もご覧下さい。


2025年4月28日月曜日

eggcorn

皆さん、"eggcorn"という単語をご存知でしょうか?

ジャイアントコーンではありませんよ!?「エッグコーン」("eggcorn")です。

小生、酒のおつまみにジャイアントコーンは好物ですが、"eggcorn"はどんなコーンだろうかと想像してしまいます。

しかし、"eggcorn"なる「コーン」は存在しません。また、"eggcorn"という単語もそもそも存在しないのです。

実は、"eggcorn"とは"acorn"(ドングリ)のことなんですが、"acorn"という単語を耳にした人が"eggcorn"と聞こえた、という話から来ています。つまり、発話した人は"acorn"と言ったのですが、聞いた方は"eggcorn"というスペルの単語に解釈してしまった、ということなんですね。

この逸話に基づき、聞き間違い、勘違いによる言語解釈という現象を"eggcorn"と呼ぶようになりました。

"eggcorn"という単語自体は定着しませんでしたが、言語現象としての"eggcorn"により英単語として定着したものもあります。

いわゆる民間語源と呼ばれる由来となる単語の中には"eggcorn"の類が認められます。

言葉というものは面白いもので、こうした勘違いや聞き間違い、言い間違い、といった性質を常にはらんでおり、そういった間違いがいつしか定着したりもします。

今週は言葉にまつわる「誤用」を取り上げたいと思います。

2025年4月25日金曜日

ordnance

記事の引用からどうぞ。


Even relatively conservative estimates show hundreds of thousands of deaths so far, and the use of cluster munitions makes it highly likely that Ukrainians will continue to be blown up by leftover ordnance for many years after the fighting is over.
(Ben Burgis. Trump’s Russia-Ukraine war negotiation strategy is incredibly unusual — and not in a good way. MSNBC. April 24, 2025.)


引用箇所の中に出てくる、


ordnance


という単語にお気づきでしょうか?

単語のスペルを見て、おや?と思ってしまいました。

"ordnance"とは"ordinance"の間違いなのではないか?と。

勉強不足なのですが、"ordnance"という単語がちゃんと存在するんですね。戦争に使う大砲や爆弾兵器のことを指します。

いわゆる不発弾の意味合いで用いられることが多いようです。以下の用例をご覧ください。


Over the next decade, Americans and Vietnamese worked together to find remains of soldiers missing from the war, clear unexploded ordnance, known as UXO, and clean up some of the Agent Orange left behind.
(PBS News Hour, 2019)


"ordnance"と"ordinance"、スペルは非常に似ています。"ordnance"は"ordinance"のスペルからiの文字が抜け落ちたものだそうです。

また、"ordinance"は法令とか布告の意味で用いられますが、かつては軍需品の意味合いがあったということのようです。(Online Etymology Dictionaryによる。)

"ordnance"にはまた、測量の意味もあります。

2025年4月24日木曜日

third wheel

飛行機で旅に出掛ける夫婦。座席は二人並んで、というのが普通でしょうが、そうでないという人もいるとか。


Sitting next to your soulmate aboard a flight might seem like a no-brainer, but a few oddball couples prefer to be apart — and not just when they’re having a marital spat.

Travel advisor Nadia Henry, who goes by Sparkle professionally, said she likes sitting away from her husband purely out of seat preference.

(中略)

When the couple does sit apart, Sparkle tries to make the in-flight third wheel feel less uncomfortable by keeping conversation with her hubby to a minimum and passing things back and forth as little as possible.
(Ben Cost. Married couples don’t like to sit together on flights — here’s the bizarre reason why. New York Post. April 23, 2025.)


夫婦仲が悪いという訳でもなく、またいわゆる倦怠期というのでもないようです。

単に夫は窓側の席が、妻は通路側が好き、ということで、真ん中を空けて座るのだそうです。

ところで、引用記事に、


tries to make the in-flight third wheel feel less uncomfortable


というくだりがありますが、何を言っているのかよく分かりませんでした。

どうやら"third wheel (feel)"という表現に特別な意味がありそうですが、辞書を引いても見当たらない表現です。

"third wheel"というのは3番目の車輪ということですが、恋人や仲の良い2人がいる時、そこに加えて3番目になる人のことを指すようです。つまり「お邪魔虫」、余計な邪魔者という意味で使われるのですが、これは知りませんでした。

真ん中の席に座った赤の他人は、両脇に座っているのがカップルだと解ると幾分居心地が悪くなるものです。そのことを指して"third wheel (feel)"と言っているのです。

新幹線にも普通車では3人掛けのシートがありますが、席の真ん中しか空いておらず、仕方なく着座したところ、両脇の2人は連れ合いで何となく居心地が悪い、なんてことがあります。

"third wheel"は二輪で間に合っているところに余計な3つ目の車輪が加わるということで、そもそも無くても良いもの、無用な存在、という含意があるようです。

類似の表現に、"fifth wheel"というものもあるようですが、こちらも4輪の自動車に5番目の車輪ということで、不要なものを言うのに用いられるようです。

2025年4月23日水曜日

code red

テスラCEOのイーロン・マスク氏が政府効率化省(DOGE)の仕事を減らし、テスラの経営に注力する意向を表明したようです。

5月にはDOGEの仕事から退くとの報道もあります。

この表明の背景には、トランプ政権で政治への関与を深めるマスク氏への批判がテスラの不買運動などにつながり、同社の経営にも影を落としていることがあります。

同社の第一四半期の利益は前年比で7割も減少したということです。

市場のアナリストからはマスク氏は政府の仕事から手を引き、テスラ社の経営に注力すべきとの意見が出ていました。


Analysts believe Elon Musk is at a crossroads, with his role in government and the direction of his core business in focus as Tesla prepares to report its first-quarter results on Tuesday.

(中略)

In a recent note, Wedbush Securities analyst Dan Ives warned that the Tesla CEO faces a "code red situation" if his position as figurehead of DOGE continues to damage the brand image and sales of the electric vehicle giant.
(Elon Musk Faces 'Code Red Situation' Before Tesla Earnings Call. Newsweek. April 22, 2025.)


アナリストはマスク氏は岐路に立たされているとし、"code red situation"に直面していると発言したようです。"code red situation"とは危機的状況という意味です。

American Heritage Dictionaryで"code red"を引くと、


1. A condition of heightened alertness or preparedness, especially to guard against imminent danger.
2. A warning of or signal indicating imminent danger.


と定義されています。

危険、危機が迫っているということを伝える赤色というのはどの文化にも共通するように思われます。

ところでAmerican Heritageでは、"code red"に並んで、"code blue"という表現も載っており、その定義は、


A medical emergency in which a team of medical personnel work to revive an individual in cardiac arrest.


というものです。主に医療現場で使われるもののようですが、こちらも危険な状況ということになります。

アナリストが用いた"code red situation"は多くのメディアで引用されています。(ちなみに"code blue"を用いたものはありません。)

記事に添えられた写真の中には真っ赤なボディのテスラ社のモデルも見えます。そういえば売上が低迷するテスラを勢いづけようとトランプ大統領が購入し、ホワイトハウスで報道陣に公開したのがが赤いボディカラーのモデルS Plaidでした。

赤は共和党のカラーでもあります。そして、マスク氏ら、トランプ大統領の取り巻きが得意気に被るMAGAの帽子も赤です。

"code red"とは皮肉でしょうか。

2025年4月22日火曜日

dead-on

"dead-on"は形容詞で、非常に正確な、という意味です。インフォーマルな言い回しで、口語表現です。


Clicking the link led to a bogus “support portal” with dead-on duplicates of real Google login pages — designed to trick users into handing over their credentials.
(Marissa Matozzo. Billions of Gmail users’ personal information at grave risk in ‘sophisticated’ phishing attack. New York Post. April 21, 2025.)


上記の用例に見られるように、ここでの"dead-on"(「非常に正確な」)というのは、とてもよく似せて作られている、という意味合いで、本物のように見える、本物と見分けがつかない、というような含意があります。

コーパスで検索してみると、


dead-on copy
dead-on imitation 
dead-on impersonation


といった用例が多く見られます。

"dead-on"の"dead"の基本的な意味は死んでいるという意味ですが、完全な、全く、という強意の意味合いでも使われるます。例えば、"dead broke"は一文無しという意味ですし、"dead drunk"は完全に酔っ払った、という意味ですね。

また、以前取り上げた、


dead spit of 〜(〜の生き写し)
dead ringer(そっくり)


といった表現に見られる"dead"もやはり同様の意味合いです。

Online Etymology Dictionaryによると、"dead-on"という表現は射撃に由来するそうです。百発百中を"dead shot"と言いますが、的に正確無比に命中させることが、模倣にも拡張されたものかと思われます。

2025年4月21日月曜日

urbi et orbi

イースター(復活祭)の祝祭がバチカンで行われました。肺病から生還したローマ教皇フランシスも姿を見せ、集まった民衆から歓迎されたと報じられています。


VATICAN CITY (AP) — Pope Francis emerged from his convalescence on Easter Sunday to bless thousands of people in St. Peter’s Square and treat them to a surprise popemobile romp through the piazza, drawing wild cheers and applause as he continues his recovery from a near-fatal bout of double pneumonia.

(中略)

Easter at the Vatican traditionally involves a Mass and the pope’s Urbi et Orbi blessing (Latin for “to the city and the world”), a papal speech delivered from the loggia which is usually a roundup of global hotspots and human suffering.

In the speech, read by Archbishop Diego Ravelli, master of liturgical ceremonies, Francis appealed for peace in Gaza and Ukraine, as well as Congo and Myanmar and in other hotspots. And he made a special appeal for migrants and those affected by violence.
(Pope Francis emerges from convalescence on Easter, delights crowd with popemobile tour. The Associated Press. April 21, 2025.)


教皇フランシスは生命の危機からは脱したものの衰えは否めず、イースターにあたっての教書は大司教による代読であったようです。

その教書は、


Urbi et Orbi


というものですが、これはラテン語で、記事においても続けて説明があり、英語では"to the city and the world"となります。

ラテン語でurbsは都市、特にローマを指します。orbisとは円とか輪のことですが、これは地球、世界を指します。

つまりローマ帝国において、教皇がローマ都市下、並びに全世界の信徒にあてた演説のことを言ったものです。

"urbi et orbi"は英和辞書にもエントリが認められます。

教書の内容は、戦闘の続くガザ地区、また長引くウクライナとロシアの戦争を憂えるものだったそうです。


※ この投稿は日本時間4月21日午前に作成したものですが、その後、同夕刻にローマ教皇死去のニュースが入ってきました。

2025年4月18日金曜日

down the line

ハリス元副大統領が来年予定されるカリフォルニア州知事選に立候補する可能性があるという記事を先日取り上げましたが、今日もその話題からです。

先日の記事ではハリス氏の立候補には冷ややかな見方がされていて、無関心の有権者が3割に上るというような話でした。つい一昨日の記事でしたが、今日の記事ではハリス氏を支持する層が3割に上り、他の候補者を突き離しているという、全く違う内容です。


Former Vice President Kamala Harris is the runaway front-runner in the California governor’s race – but voters are split on whether the failed 2024 Democratic presidential candidate should even enter the fray. 

Harris has the support of 31% of Californians who plan to vote in the Golden State’s June 2026 gubernatorial primary election, according to an Emerson College Polling/Inside California Politics/The Hill survey released Thursday.
(Victor Nava. Kamala Harris leads California governor’s race — but 50% say the former VP shouldn’t run: poll. New York Post. April 17, 2025.)


同じニューヨークポスト紙ですが、こうも内容が違うと何を信用したら良いのかと訝りたくもなります。

ところで、記事の趣旨はハリス氏の出馬に対する是非が割れている、ということのようです。

記事中、以下のようなくだりがあります。


Voters are split down the line on whether she should enter the race.

Half of likely voters, 50%, say no, while another 50% think that she should, according to the survey of 911 likely voters, conducted between April 12-14. 
(ibid.)


ここで、


Voters are split down the line on whether she should enter the race.


という1文の"down the line"が今日取り上げる表現です。

"down the line"という表現は慣用句の類で、将来的に(in the future)とか、行く行くは、最終的に、というような意味合いで使われます。以下のような用例はお馴染みではないかと思います。


Whether that happens down the line we cannot say.
(Collins CobuildDictionary of Idioms)


このような意味合いの"down the line"と似た表現で、"along the line"というものがあります。


Admittedly every parent makes mistakes along the line.
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms)


これらの"the line"はいずれも時間軸を表す比喩と考えられます。

それでは問題の記事の1文に戻って、ここでの"down the line"は同じように解釈できるかというと、ちょっと無理があるようです。

ここでの"down the line"は、完全に、とか十分に、というような意味合いになるのですが、その意味合いを載せている辞書とそうでない辞書に分かれるようです。

記事のコンテクストからも、ハリス氏が州知事選に出馬すべきか否かについて「真っ二つに割れている」、というのが適訳ででょう。実際、出馬に賛成が50パーセント、反対も50パーセント、だそうです。

時間軸の比喩としての"the line"は道路や鉄道の線路というイメージがあります。

一方、「完全に」という意味合いの"down the line"における"the line"は何なのか、よく分かりません。

以前、"down to the wire"という表現を取り上げたことがありますが、"the wire"は陸上競技でのゴールラインのことでした。"down the line"の"the line"もひょっとすると同じではないかとも思うのですが、ご存知の方にはお教え頂ければ・・・。


2025年4月17日木曜日

お金がかかる - run

大阪で関西万博が開幕しました。取り敢えず開催にこぎつけたようですが、一部の国の展示館はまだ準備が整っていないとの報道も耳にします。関西に住む知人らからはあまり歓迎の声を聞きませんし、ネットなどでも色々批判されているようです。

とりわけ耳にするのが、法外な値段の食事の話題というのが何とも皮肉なものですが、そば一杯が3,850円とか、そんな話を聞くとなんだかなあという気がします。

値段が高いと言えば、空港のレストランも負けていません。どこの空港も座って食事をしようと思ったらある程度の出費を覚悟せねばなりませんが、今日見た記事ではまたレベルの違う費用感です。


Turkey’s primary airport has the nerve to charge voyagers $19.95 for a beer and a banana for almost $7. 

(中略)

Chicken salad? Almost $20. A nice little croissant as a pre-flight snack? That can run you between $17 and $20.
(Fabiana Buontempo. The ‘most expensive airport’ has $20 beers and $7 bananas — and it’s not JFK or LaGuardia. New York Post. April 16, 2025.)


トルコのイスタンブール空港などでは、ビールが20ドル(約3,000円)、バナナ1本が7ドル(千円以上)とは笑うしかありません。

さて、今日の表現です。動詞の"run"に費用がかかる、お金がかかる、という意味があります。

記事の用例では、


run you between $17 and $20


となっており、目的語に人称代名詞を取っています。ここで"run"は動詞の"cost"に置き換えることが出来ます。

また、お金がかかるという意味合いで用いられるパターンでは、費用がいくらに達する、及ぶ、という時に、


run up
run to


といった動詞句のパターンがあります。

"run up"の場合では、


run up a large phone bill


のように用いられることもあります。

「ランニングコスト」と言いますが、動詞の"run"には、


to permit (charges) to accumulate before settling 
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味があることに基づいているのでしょう。

"run"には非常に多くの意味がありますが、その他、このごく基本的な動詞、また名詞"run"の意外な用例については、


需要急増を意味するrun


などもご覧ください。

2025年4月16日水曜日

blasé

昨年のアメリカ大統領選で敗北を喫した民主党のカマラ・ハリス氏ですが、カリフォルニア州知事への立候補が取り沙汰されているそうです。

現職のGavin Newsom氏が任期満了を迎えることからハリス氏の名前が上がっている模様ですが、州の有権者、関係者の見方は冷やかだそうです。


There doesn’t seem to be a lot of California dreamin’ of former Vice President Kamala Harris. 

A plurality of Golden State “policy influencers” indicated a blasé attitude toward the possibility of Harris vying for governor in 2026, when incumbent Democrat Gavin Newsom is barred from running again due to term limits.
(Ryan King. California power brokers shrug at possible Kamala Harris run for governor, more than one-third say they’re ‘indifferent’: poll. New York Post. April 15, 2025.)


記事に出てくる、


blasé


という単語はフランス語ですが、飽き飽きした、無関心な、という意味があります。

フランス語の動詞blaserに飽食するという意味があり、その過去分詞形がblaséとなります。

つまり、食べ過ぎ、飲み過ぎ、ヤリ過ぎ・・・で、もはや飽き飽きしている、興味が無い、食傷気味であるということです。

記事で紹介されている統計によれば、ハリス氏の出馬に対して無関心であると回答した人は3分の1以上に上るようです。

ハリス氏はもはや「オワコン」でしょうか。


2025年4月15日火曜日

hang up one’s gloves

記事の引用からどうぞ。


Actress Courtney Henggeler, who starred as Amanda LaRusso in the hugely popular “The Karate Kid” spinoff “Cobra Kai” on Netflix, is quitting acting after more than two decades in the industry.

“After 20-plus years of fighting the good fight in the acting business, I hung up my gloves on Friday,” Henggeler, 46, announced in a Substack post. “I called my agents and told them I was tapping out. I no longer wanted to be a cog in the wheel of the machine.”
(Connor Surmonte. ‘Cobra Kai’ actor quits acting after 20-plus years: ‘I hung up my gloves’. New York Post. April 14, 2025.)


アメリカの女優さんが引退宣言という内容です。発言が引用されていて、


hung up my gloves 


とあります。"hang up one’s gloves"という表現は手元の英和辞典には見当たらないのですが、引退するとか、リタイアするという意味で使われるようです。

字句通りには、グローブを吊るす、ということですが、ここでの「グローブ」はボクシングのグローブを指しているようです。

戦うために嵌めているグローブを外して吊るす、故に戦いから引く、辞める、ということのようです。

記事の女優さんは、20年間の俳優業という"fighting"から身を引くことを決意した、と発言したようですが、"fight"と表現しているあたり、この慣用句がはまっています。

また、この女優さんは「コブラ会」というドラマへの出演で売れたそうですが、空手がテーマなのだそうです。

そうすると徒手空拳とボクシンググローブはまたちょっと合わないようにも思えますが、表現としてはメタファーなので・・・。

同じく「グローブ」ですが、それを外すことが全く別の意味になる表現で、"drop gloves"というものがありますので、そちらもご覧下さい。


2025年4月14日月曜日

magnanimous

先日の投稿で、トランプ政権の関税政策を巡る、政策顧問のNavarro氏とイーロン・マスク氏の確執を伝える記事を取り上げました。

マスク氏がNavarro氏を無能と言い放ったものですが、言われた方は意外にも冷静で、マスク氏とはとても仲良くやっているよ、と答えたと今日の記事にあります。


Peter Navarro, a top trade adviser to Donald Trump, said he and Elon Musk are “great” after the president’s multi-billionaire business adviser publicly called him “a moron” who was “dumber than a sack of bricks”.

“I’ve been called worse,” Navarro said Sunday on NBC’s Meet the Press in some of his most extensive remarks about the insults Musk directed at him days earlier. Praising Musk’s role in the so-called “department of government efficiency” (Doge), Navarro added: “Everything’s fine with Elon.”

Navarro’s evident attempt to be magnanimous came after Musk criticized Trump’s proposals for global tariffs, which the president has since set at 10% on all countries, with some nations receiving higher trade levies.
(Michael Sainato. Trump adviser Peter Navarro says ‘we’re great’ after Elon Musk calls him ‘moron’. The Guardian. April 13, 2025.)


バカ(moron)と呼ばれていい気分はしないものですが、この寛大さは74歳という年の功でしょうか?

今日の1語は、


magnanimous


です。度量が広い、太っ腹、という意味です。

この単語は、magn(a)-という部分と、-anim(us)とに分解されます。

字面からお分かりのように、大きな(magnus)心、精神(animus)というラテン語から来ています。


2025年4月11日金曜日

on the rocks

オバマ元大統領とミシェル夫人の不仲が報じられています。

発端は今年1月のトランプ大統領の就任式にミシェル夫人が同席せず、オバマ元大統領がひとりで出席したところからですが、離婚が近いのではないかとの憶測が消えていません。

今日見た記事では夫人自ら否定したようですが・・・。


Former first lady Michelle Obama dismissed rumors that her marriage to former President Barack Obama is on the rocks, saying on a podcast that she is merely prioritizing herself.

In an interview on actor Sophia Bush’s podcast released Tuesday, Obama said she was making choices solely for herself these days, a freedom she didn’t afford herself before. The former first lady, whose absences from President Jimmy Carter’s state funeral and President Donald Trump’s inauguration led to wild speculation, also seemed to make a cryptic reference to an event that she decided to pass on in recent months.
(Clarissa-Jan Lim. Michelle Obama addresses divorce rumors after her absence from Trump’s inauguration. MSNBC. April 10, 2025.)


記事では、


on the rocks


という表現が使われています。

ウィスキーの「オンザロック」ではありません。(その「オンザロック」も英語では同じく"on the rocks"と言いますが。)

"on the rocks"のイメージは、船が座礁しているというものですが、そこから危機に瀕している、破綻している、という意味で使われます。

コーパスで"on the rocks"を検索すると、多くの用例が、


marriage is on the rocks
love is on the rocks


など、男女関係の破局を表すものが多数見られます。

日本の週刊誌の見出しではないですが、破局の危機!、みたいなニュアンスでしょうか。

2025年4月10日木曜日

smart

今日の1語は"smart"です。そう、「スマート」。

「スマート」フォンばかりいじっている皆さんに、今日は"smart"という単語を改めて知っていただければと思います。

それでは記事の引用をどうぞ。


Rather than stay silent, the gate agent walked into the terminal and addressed the irritated passengers head-on.

“When you get on that aircraft, let me tell y’all something,” she said. “Don’t get smart with my flight attendants.”

“Be nice to them,” she continued. “They have a hard day just like we do. The same aircraft that’s coming out, the same people that are on that aircraft, it’s the same people that have been waiting as long as you wait, or maybe longer. So, please, y’all, please, I’m asking, do it for me, be nice to them.”
(Marissa Matozzo. Passengers receive epic pep talk delivered by gate agent after brutal flight delay: ‘Don’t get smart with my flight attendants’. New York Post. April 9, 2025.)


途中からの引用なので少し背景の補足が必要かも知れません。

飛行機が遅延したために空港で足留めを食った乗客に空港職員が話し掛けているものです。乗り継ぎ便が8時間も遅れたとなれば、イライラも頂点に達しようかというものです。職員は、


“Don’t get smart with my flight attendants.”


と呼び掛けたとあります。

ここでの"smart"はカタカナの「スマート」が意味するところではありません。賢い、お洒落な、優雅な、という意味ではありません。

"smart"という単語を辞書で引くと実に様々な意味があることに気がつきます。上記の引用における"smart"の意味は、横柄な、生意気な、傲慢な、といった意味です。つまり、イライラしているからと言ってフライトアテンダントに八つ当たりしないでほしい、ということです。

意外に思われるでしょうが、"smart"という単語は元々は動詞で、(傷などが)痛む、ヒリヒリする、疼く、といった意味があります。ゲルマン語系の語源であり、ドイツ語のSchmerz(痛み)とも関連があるようです。

傷が痛むというところから、鋭い、きつい、強烈な、といった意味が加わりました。

さらに、鋭さ(鋭敏)は、機敏さや手際の良さといった意味に発展し、賢い、頭が切れる、つまり現在の「スマート」の意味合いに発展したのです。



2025年4月9日水曜日

Boys will be boys.

トランプ政権、早や内輪揉め、でしょうか。

先週末、トランプ大統領はDOGEを事実上率いるイーロン・マスク氏が近く政権を離れると発言したと報じられました。マスク氏はフェイクニュースと否定したようですが、マスク氏とトランプ氏の間に見解の相違があるのではとの憶測を呼んでいます。

そして今日見た記事では、マスク氏がトランプ政権で貿易関係の顧問を務めるPeter Navarro氏を無能とこき下ろしたとの報道です。


Elon Musk has called President Donald Trump's trade adviser, Peter Navarro, a "moron" over comments he made about his electric vehicle firm, Tesla.

(中略)

It was in response to an interview Navarro gave in which he criticised Musk. "[He's] not a car manufacturer. He's a car assembler, in many cases," Navarro said.

The spat was the most public sign of disagreement yet between Trump's trade team and Musk, the world's richest man who heads the Department of Government Efficiency (Doge) which is tasked with slashing the size and spending of the federal government.
(Musk labels Trump trade adviser 'moron' over Tesla comments. BBC News. April 9, 2025.)


トランプ関税がもたらす米国内のビジネスへの悪影響については、例えば自動車産業に関して言えば、海外から部品などを調達したり、完成車を輸入するメーカーは関税による価格上昇が避けられないと言われています。

Navarro氏はマスク氏がCEOを務めるテスラを指して、自動車メーカーではなく、部品調達を海外に依存する「自動車組み立て業(car assembler)」とコメントし、これにマスク氏が反発した模様です。

そもそもマスク氏は自由貿易主義の立場から、米国が欧州などへ関税を課すことには反対しているらしく、この点をとってもトランプ氏とは相容れない立場とされています。

こういった政権内の軋轢はメディアの格好のネタというところですが、見解を問われたホワイトハウス広報担当のコメントが取り上げられています。


Later on Tuesday, White House spokeswoman Karoline Leavitt was asked about the row between Musk and Navarro. "These are obviously two individuals who have very different views on trade and on tariffs," she told reporters.

"Boys will be boys, and we will let their public sparring continue," Leavitt said.
(ibid.)


そのコメント、


"Boys will be boys"


というもの。

「男の子はいくつになっても男の子」というように訳されますが、男の子というものはやんちゃなもの、というような意味です。いたずらをするとか、けんかが絶えないとか、そんな男の子の性(さが)は仕方がない、だから大目に見てあげたら・・・、というような時に使うフレーズです。

この発言をしたKaroline Leavitt氏は若干27歳という若さでホワイトハウス報道官に抜擢され話題を呼んだものです。1児の母ではあるようですが、マスク氏は53歳、Navarro氏は74歳・・・。

「男の子だから仕方ないわね・・・、好きなようにやらせたら・・・」

言われた当人らはどう思っているのでしょう?

2025年4月8日火曜日

voodoo economics

このところ国内ニュースでもトップに報じられるのはトランプ関税とそれに伴う株安の話ばかりで、少々食傷気味です・・・。

トランプ氏は株価下落を意に介することもなく、政策を変更することは絶対に無いと言い切っています。株安は想定内の反応であり、アメリカ経済が復活するのには必要な過程であるとも主張しているようです。

しかしながら、輸入関税の引き上げは米国内の物価の上昇を招き、その割を食うのは米国民だというのは専門家の間でも一定している見方です。

以下引用する記事ではタイトルにおいて、トランプ氏の政策を"voodoo economics"と批判しています。


The administration argues that tariffs will force foreign companies to invest in America to bypass the added costs, thus creating greater employment and making the U.S. more self-sufficient. Further, tariffs are estimated to raise an additional $600 billion a year, which will make America “rich again.”

Except how America will be “rich again” is impossible to understand, since more expensive products will presumably absorb most of this newfound wealth.

President George H. W. Bush at first rejected Ronald Reagan’s acceptance of “supply side thinking” as voodoo economics.” Trump’s passion for tariffs, one could say, depends on “black magic” to work, and the damage begins at home. 
(Trump needs black magic for his voodoo economics to work. The Hill. April 7, 2025.)


"voodoo economics"とは何でしょうか?

"voodoo"とは、ブードゥー教と呼ばれる、アフリカ西部や南米で信仰されている宗教を指すそうですが、呪術や生け贄などを特徴とするその教義は先進国の目からみれば怪しさ満点というものです。

この"voodoo economics"という言葉は1980年代にレーガン氏と大統領を争ったジョージ・ブッシュ氏が、レーガン氏の経済政策(レーガノミクス)を批判して使ったものだと言われています。日本語では「呪術経済」という訳語が見られます。


Voodoo economics is a derogatory phrase first used during the 1980 presidential primaries by George H.W. Bush, then a candidate, to describe his opponent Ronald Reagan's proposals to reinvigorate the U.S. economy. Reagan won that election, and his economic policies came to be known as "Reaganomics."
(Voodoo Economics: Definition, History, and Validation. Investopedia. July 30, 2023.)


レーガノミクスは減税により経済が潤うといったものでしたが、結果は赤字が積み上がり、大幅な景気後退となりました。

大統領にしろ、首相にしろ、国のリーダーが変わると目新しい政策が語られますが、そうした政策の中身は"voodoo economics"のように効果のほどが甚だ疑問視されるような内容だったりする訳で、いかがわしい経済政策を指す表現として定着しました。

Merriam-Webster Dictionaryで"voodoo"を引くと、


based on highly improbable suppositions : extremely implausible or unrealistic


という定義が見えます。


2025年4月7日月曜日

rout

トランプ政権がアメリカへの輸入品に課す輸入関税措置が先週発効したことを受けて、世界各国の株式市場で大幅な株価の下落となりました。

週明け月曜日の今日、日経平均株価は8パーセントも下げ、3万3千円を割り込んだと報じられいます。


Hong Kong (CNN) — Asian markets plunged on Monday, deepening a global stocks rout triggered by US President Donald Trump’s trade war.

Japan’s benchmark Nikkei fell by more than 8% shortly after opening. The share average, which tracks 225 of the country’s most valuable companies, has fallen below the 33,000 level for the first time since August 2024, according to Reuters. The broader Topix index last traded more than 7.5% lower, recovering from its steepest losses.
(Asian markets plunge as Trump’s global tariff turmoil deepens. CNN. April 6, 2025.)


世界各国の株式市場で株価が下落している模様ですが、記事にありますように、


a global stocks rout 
stock market rout


といった表現が使われています。

"rout"という単語ですが、敗走とか壊滅といった意味が辞書に見えます。ここでは株価の「暴落」という意味合いになるようです。

語源を辿ると破裂する、潰れるという意味のラテン語rumpereに由来するようです。

トランプ氏による「関税砲」に恐れをなした投資家らが一斉に売りに転じた感があります。

余談ですが、"rout"という単語は"route"(ルート)という単語によく似ていますね。

道、道程を意味する"route"という単語もこの"rout"と語源を同じくすると言ったら意外に思われるのではないでしょうか?

実のところ、"rout"も"route"も同じく、ラテン語rumpere(to break)から来ているのです。

"route"という英単語はラテン語の via rupta(ruptaは動詞rumpereの過去分詞形)から来ているとの語源解説は、大きめの辞書に載っているのではないかと思います。

この"via rupta"とはviaが道のことで、ruptaは切り拓いた、というような意味合いなのです。つまり、森や草原など自然を切り拓いて道を通したのでそう言った訳なんですね。(ラテン語でviam rumpereとは道を開拓する、開通させる、の意であると、研究社羅和辞典にもあります。)


2025年4月4日金曜日

measure twice, cut once

今日取り上げる表現、


measure twice, cut once


ですが、英和辞書には載っていないのではないでしょうか?知らないと分からない類いの表現かも知れません。

字句通りには、「2回測って、1回(で)切る」となります。ここで「2回」測るとはものの例えであって、3回かも知れませんし、4回ということもあるかも知れません。要は「切る」(カットする)前に、きちんと測定する、ということであり、慎重に事を行う、念入りに準備等した上で実行する、という意味です。(切ってしまった後で修正はききませんからね。)

それでは用例として記事の引用をどうぞ。


Podcast megastar Joe Rogan spoke out against President DonaldTrump’s mass deportation.

(中略)

“There’s still people coming through, and there’s probably still people coming through that are criminals... But the thing is that you gotta get scared that people who are not criminal are getting, like, lassoed up and deported and sent to like El Salvador prisons,” Rogan said, mentioning an instance where someone got deported without evidence that he had a criminal background.

(中略)

“This is the thing, you know, measure twice, cut once,” Rogan said. “Let’s not... innocent gay hairdressers get lumped up with the gangs. Like, how long before that guy can get out?”
(Kinsey Crowley. 'Measure twice, cut once:' Joe Rogan voices concern over mass deportations to El Salvador. USA TODAY. February 2, 2025.)


トランプ大統領の公約に不法移民の強制送還がありますが、敵性外国人法(Alien Enemies Act)という、1798年に制定され、先の第二次世界大戦で敵対国の在留外国人を強制退去させた法律を発動させ、南米ベネズエラのギャングをエルサルバドルの刑務所送りにしています。

この中にはギャングでも何でもない、一般のベネズエラ人が含まれていたといい、批判が高まっているようです。(当局も誤りを認めているとのことです。)

人の人生を左右するような決定に誤りがあってはならないものですが、こんなことが起きてしまったのは行政の不作為では済まされないと憤るのもむべなるかな。

"measure twice, cut once"という表現は先日の投稿での引用記事にも出てきました。


"They may characterize it as shooting from the hip, but it is anything but that," Musk said, noting the agency's approach to cuts is to "measure twice, if not thrice and cut once."


上記はDOGE(政府効率化省)の歳出削減案はいい加減な、衝動的な取り組みではない、と釈明しているマスク氏の発言中です。

削減(cut)の対象は、(思い付きや衝動で決めているのではなく)"measure twice, if not thrice and cut once"、つまりよくよく考えて、検討しているのだ、と。


2025年4月3日木曜日

gloat

米ウイスコンシン州の最高裁判事の選挙が行われ、トランプ政権が支持する保守派候補者がリベラル派の候補に敗れたと報じられています。

トランプ政権にとっては手痛い敗北となり、野党民主党は一矢報いた、というところでしょうか。

この選挙ではトランプ政権下で政府効率化省(DOGE)のブレーンでもあるマスク氏が選挙資金を注ぎ込むなどして保守派候補に肩入れしていたこともあり、マスク氏の敗北でもあると言われています。


Democrats were tasting unfamiliar triumphalism on Wednesday after the election for a vacant Wisconsin supreme court seat turned into an emphatic repudiation of Elon Musk, Donald Trump’s richest supporter and key ally.

Musk endured a wave of gloating on Twitter/X, his own social media platform, after Brad Schimel, a Trump-endorsed judge that he spent $25m supporting lost by 10 percentage points to Susan Crawford, whose victory sustained a 4-3 liberal majority on the court.
(Robert Tait. ‘Loser’: Musk endures wave of gloating on X after liberal judge wins Wisconsin race. The Guardian. April 2, 2025.)


ここ数ヶ月報道されているように、選挙で選ばれた訳でもないマスク氏が政府の歳出削減の大ナタを振るうことに対して批判が高まっていました。

ウイスコンシン州最高裁判事の選挙は、ある意味マスク氏に対する国民投票のような側面があったとされています。

結果、マスク氏が支持する候補は敗れた訳ですが、これはトランプ政権を、またマスク氏のDOGEにおける活動を支持しないという意思表示とも捉えられるということになります。

記事で、


Musk endured a wave of gloating on Twitter/X


とある部分ですが、ここで使われている"gloat"という単語を知りませんでした。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


to observe or think about something with triumphant and often malicious satisfaction, gratification, or delight
gloat over an enemy's misfortune


定義されています。物事を満足そうに眺める、ということですが、ここでポイントなのは"often malicious satisfaction"(しばしば悪意を持って)という部分です。

例文にも見られるように、人の不幸を嘲笑うごとく、意地悪さが含まれる感情を指します。

マスク氏の活躍を忌々しく思っている人たちが今回の選挙戦の敗北をそれみたことかとほくそ笑んでいるといったところでしょうか。

2025年4月2日水曜日

エイプリルフールとfish

時間が経つのは早いもので、もう4月です。

昨日4月1日、東京は冷たい雨が降りましたが、ニュースは新社会人の入社式や入学式の話題でしたね。

もう一つ、4月1日はエイプリル・フールでもあります。昨日はそんなこと気にもとめなかったのですが、どこやらの企業がSNSでつまらない投稿をしたために炎上しているというような話を翌日のニュースで見て思い出したような次第です。

エイプリル・フールの起源は諸説あるらしいのですが、数百年前に遡るとも言われるそうです。

ところで、海外ではエイプリル・フールと魚(fish)がセットにされるようなのですが、これはどうしてでしょうか?


The jokesters’ custom has been around for hundreds of years, although its exact birth is difficult to pinpoint. These days, depending on your location, it could be marked with a fish secretly pinned to someone’s back or a whoopee cushion or even news reports of flying penguins (yes, that actually happened ).

(中略)

In France, the day is known as poisson d’avril, or “April Fish,” and has long had a fish-themed pranking tradition. In modern times, it’s become more of a day for children to relish in attaching paper fish to their friends’ backs, Atlas Obscura says.
(How April Fools’ Day is celebrated around the world. New York Post. April 1, 2025.)


英語の"fish"には、


騙されやすい人、まぬけ、カモ


という口語の意味があります。

引用した記事で、フランスにおいてエイプリル・フールは"poisson d’avril"と呼ばれ、魚(fish)を描いた紙を人の背中に張り付けるいたずらをするのが慣例になっているとあります。(ちなみにイタリアにおいても、"pesce d’Aprile"という表現があるそうです。)

興味深いことに、キリスト教文化における四旬節(Lent)には魚を贈る習慣があるところ、偽物の魚を贈るいたずらが流行り、これが四旬節の終わりに当たる4月1日と魚を結びつけることになったという記事を見かけました。

このような背景が、騙されやすい人を意味する英単語の"fish"と関連しているのかは資料等無く、判然としません。


2025年4月1日火曜日

end run

ここ数日、トランプ大統領が3期目を画策しているという報道を目にします。

ご存知の通り、トランプ氏は昨年の大統領選でバイデン氏に勝利しました。今年1月からの任期は2期目であり、任期は2029年1月までとなりますが、もう3期目の野望とは気が早いというか・・・。


President Trump has once again floated the idea of testing the Constitution's presidential term limits by seeking a third term, as his administration continues to challenge constitutional provisions and push an expansive view of executive power.
(Hansi Lo Wang. Presidents can be elected twice. Trump could try end runs around that, experts say. NPR. March 31, 2025.)


実のところ、アメリカ合衆国大統領の任期は2期までというルールがあるそうで(合衆国憲法修正第22条)、このルールの下ではトランプ氏の3期目というのは無いことになります。

唯一の例外がルーズベルト大統領で、1933年〜1945年に渡り4期に渡り大統領職にありました。(ルーズベルト大統領は1945年、4期目就任の数ヶ月後に病没。)

その後、1947年に大統領任期を2期までに制限するルールが出来たということです。

従って、トランプ氏が3期目も大統領を務めるためには、ルールを変えるか何かしない限り無理な訳ですが、記事は以下のように続きます。


Changing presidential term limits with a new constitutional amendment would need support from three-fourths of the states.

But some legal experts point to plausible strategies for attempting end runs around the 22nd Amendment under unusual scenarios.
(ibid.)


ルール変更となると憲法改正となり、これには米国の全州の3/4以上の同意が必要となるということで、かなりハードルが高そうです。

そこで考えられるのが、ルール回避という手段なのですが、


attempting end runs around the 22nd Amendment under unusual scenarios


とありますね。

ここで"end run"とは、アメフトのプレー用語エンドランのことで、


ボールを持った選手が防御陣のエンドを回避して駆け抜けるプレー
(ランダムハウス英和辞書)


を言うそうです。

アメフトのことをほとんど知らない私でも、ボールを脇に抱えて疾走し、敵をかわしてトライを決めるプレーのイメージが浮かびます。

そして、"end run"は口語表現として、巧みな身のかわし、回避策という意味合いで使われると辞書にあります。

トランプ氏の3期目の可能性に関しては、様々なトリックが想定されており、例えば2029年1月に大統領任期が切れた後、一旦副大統領に就任して、その後大統領の辞任に伴い、副大統領から大統領に就任するなどのシナリオが挙げられています。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


an evasive trick or maneuver


と定義されています。日本語で、姑息な手段、という表現がありますが、近いものがあるかと。