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2012年11月5日月曜日

wreck? wrack? ― wrack

ここ数日ハリケーンSandyによる被害のニュースが各紙・各メディアのサイトのトップニュースを飾っていますが、ハリケーン通過後の週末に予定されていたニューヨークシティマラソンの開催の是非が話題となりました。

ハリケーンによる死者は100名を超え、ニューヨーク市内では多くの世帯で停電が続く中、マラソンを実施するための設備への電力供給が取り上げられ、被災者からの批判の的となったようです。


Hundreds of thousands of New Yorkers huddle in the dark each night after the most devastating storm in city history — while two massive generators chug away in Central Park and a third sits idle waiting to power a media center during Sunday’s NYC Marathon.

Like hell.

Those generators could power 400 homes on Staten Island or the Rockaways or any storm-wracked neighborhood in the city certain to be suffering the after-effects of Hurricane Sandy on Sunday morning.

Shouldn’t they come first? Shouldn’t the race just be canceled?
(Marathon is power mad! New York Post. November 2, 2012.)


上記の引用記事は先週金曜日の時点のものなので今現在となっては少し古く、この後結局、ブルームバーグ市長は週末のマラソンの中止を決定します。

さて、今日取り上げたい表現は、"wrack"という動詞です。記事の後半に、


any storm-wracked neighborhood


という部分が出てきます。”ハリケーン被害を受けた世帯”、というように解釈できると思います。

大変ややこしいのですが、似たような単語に、


wreck
wreak


があります。"wreak"については、"wreak havoc"(壊滅的な打撃をもたらす)という表現を以前取り上げました。その記事の中でも触れていますが、"wreak"と"wreck"は別の単語であり、"wreck havoc"は誤用とされています。

今日取り上げたのは"wrack"ですが、これは"wreck"とスペルも意味も非常に似通っています。別単語なのでしょうか?それとも、スペルのVariantというだけで、同語源なのでしょうか?

いくつかの辞書の語源欄を見て分かることは、"wrack"は"wreak"と同根、一方、"wrack"と"wreck"は別語源の単語のようである、ということです。

”~ようである”というのは歯切れが悪いですが、辞書にも2つの単語に差異に関する詳しい解説がないので何とも言えないのが正直なところです。しかも、辞書によって語源解説が微妙に違うのです。

Bill BrysonのTroublesome Wordsという本の解説によると、


Wrack is an archaic variant of wreck and now almost never appears except in the expression 'wrack and ruin'.
(Bill Bryson. Troublesome Words, revised edition. 2001.)


とあります。ということは、"wrack"と"wreck"はスペルがちょっと違うだけの、同根の単語ということに解釈できますが・・・。

同根と考えようと別単語と考えようと、繰り返しますように意味は非常に似通っており、また使われるコンテクストも今回のように自然災害による被害などに言及する場合に多いため、混乱は尽きません。

例えば、"storm-wrecked"という表現が正しいのかどうか、筆者には判断できませんが、コーパスを見る限り、そのような使用例も存在します。

さらにややこしいようですが、"wrought"という単語が、


the devastation wrought by super-storm Sandy
(Los Angeles Times. November 3, 2012.)


のような使われ方で、やはり自然災害による被害に言及するときに使われます。

この"wrought"は、皆さんも良くご存知のごく基本的な動詞の"work"の過去分詞形で、"wreak"、"wrack"、"wreck"のいずれとも異なるものです。

英語ってややこしいですね・・・。


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