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2015年6月30日火曜日

OEDに追加された単語 ― cisgender

LGBTに関する議論が喧しいこの頃ですが、先週はアメリカの最高裁で同性婚が合憲と認められるという画期的な事件がありました。

それを受けてか、あるいは全く無関係なのか、英語辞書の大御所であるOxford English Dictionary (OED)に追加された約500の単語のうちの1つに、


cisgender


があったそうです。この単語、どういう意味かご存知でしょうか?


While Friday marked a historic victory for the LGBTQ community, it turns out there’s another advancement to celebrate: Last week, the Oxford English Dictionary released a list of 500 new entries, and among the more notable additions was cisgender. The word—which is defined as “designating a person whose sense of personal identity matches their gender at birth”—is seen as an opposite and complementary term to transgender.

To be considered for the OED, a word must have been in use for several consecutive years. While cisgender has been around since the 1990s, The Cut points out that until recently it was largely used by academics in scholarly circles and was not widely known.
(Anna Diamond. Why the Oxford English Dictionary’s Addition of Cisgender Matters. Slate. June 29, 2015.)


"cisgnder"というのは、自身が認識する性別と生物学的な性とが一致する人のこと、を指すそうです。"transgender"の反対語とされています。(つまり、ノーマル、ということですね。)

ちなみに、この"cisgender"はフェースブックのユーザーアカウント情報の性別欄(!?)で選択可能な56種類の区分のうちの1つになっています。

さて、硬い話になりますが、"cis-"という接頭辞は“同じ側(にある)”という意味で、その反対が"trans-"という接頭辞ということになっています。

自身の性の自覚と生物学的な性が同じ側にある、という意味ですね。("trans-"はその逆ですので、自身の性の自覚と生物学的な性が反対、つまり一致しない、ということになります。)

"cisgender"が辞書に追加されたことは何を意味するのでしょうか?

いわゆるLGBTを支持するコミュニティの人々からは、"cisgender"という単語が一般に広く認識されることによって、人々が性の同一性(アイデンティティ)というものをより深く考えるきっかけになるということで、前向きに捉えているようです。

つまり、LGBTのコミュニティの人々にとっては、"cisgender"がノーマルであり、それ以外はノーマルでない、といった見方に反発しています。(私は上に"cisgender"を「つまり、ノーマル」と書きましたが、こういう物言いこそが差別的だ、ということでしょう。)

言葉の持つ影響力というのは大きいです。


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