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2021年12月29日水曜日

off-line

言葉というものは面白いもので、特定の仲間内だけで通用するような言葉や表現というものがあります。

符牒とか隠語という日本語がありますが、いわゆる"business jargon"というのが身近かも知れません。

得意になって使っているつもりが時代遅れ・・・。面白い記事を見つけました。


As 2021 comes to an end, it's the perfect time for reflection. And let's be frank: Many of us wish the people in our lives would reflect on their communication skills. These days, there are some embarrassingly outdated buzzwords and clichés that make everyone want to scream.

Recently, we interviewed managers, recruiters and employees about the words and phrases they think should be retired in 2022 — or at least go on a long vacation. Here's that list, dashed with a healthy amount of our opinions as grammar experts:
(Want to sound more intelligent? Avoid these 15 words and phrases that are 'embarrassingly outdated,' say grammar experts. CNBC. December 26, 2021.)


記事では、もはや時代遅れの烙印を押された15の表現が取り上げられています。ある意味、今年の1語(Word of the Year)の逆を行く面白い企画と思いました。

一つひとつ見ていくと成る程と思うのですが、最も共感したのは以下に引用する"off-line"(オフライン)という表現です。


11. 'Take it offline'

"If one more person tells me they want to take it offline, I'll scream."

That's what one irritated manager told us, and we hear her pain. It seems like everyone wants to take things offline instead of talking about it later, like they used to say in the old days. Maybe we should all take "offline" offline.
(ibid.)


仕事で会議していると、「その件はまたオフラインで話しましょう」、などと聞くことがあるのですが、常々、この「オフライン」とはどういう意味合いで言っているのだろうか、また何処から来ているのだろうか、と疑問に思っていました。

コンテクストとしては、会議での議論の最中に、やや詳細に至る内容に入り込んでしまった場合や、あるいは出席者の全員には関係しない、ある特定の関係者のみに関わる様な事項に議論が及んだ場合に、そのような事項についての議論はまた別の機会に、あるいは後で(関係者だけで)議論しましょう、という意図で発せられるもののようであると理解しています。

日本語でも使われるこの表現は恐らく英語での"Let’s take it to off-line."から来ているのだと思います。

ところで、「オフライン」の逆は「オンライン」で、オンライン(で)とは昨今ではネットワークシステムに接続した状態を指すというのが一般的な理解でしょう。

Merriam-Webster Dictionaryによりますと、"off-line"という単語の初出は1919年だそうです。

当時はインターネットはまだ存在していませんが、その後、時代の変遷、情報技術の発展に伴って、人と人とのコミュニケーションにおいてシステムを介することは普通になってきたと思われます。従って、「オンライン」でなく、「オフライン」で、というのは、ネットワークやシステムを介してのコミュニケーションではなく、別途対面で、という意味合いがあったかも知れません。

一方、記事にもありますように、そのコミュニケーションが起きているその場ではなく、その後で、また別の機会に、という意味合いで用いられるのが通常の解釈のようでもあります。

皮肉なことには、パンデミック下、対面でのコミュニケーションの機会が制限され、オンラインでのコミュニケーションが主流となる中、"Let’s take it to off-line."と言いながら、その後、改めて別のオンライン会議で、あるいは電子メールやチャットでその話題の議論を継続せざるを得ないという状況があります。

もはや「オフライン」では成立し得ないビジネスコミュニケーションの時代と言うべきでしょうか。そうしたことからも、やはり、"Let’s take it to off-line."は時代遅れ?


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