最近30日間のアクセス数トップ3記事

2024年2月7日水曜日

cry uncle

インフレ、物価高は今に始まったことではありませんが、モノの値段が上がったなぁと思うシーンとして、外食する時が挙げられます。

最近聞いた話では、ラーメンには1,000円の壁というものがあるのだとか。ラーメン1杯の値段が1,000円を超えると客足に響くため、おいそれと値上げに踏み切ることが出来ない、という店舗側のジレンマを言うようです。もちろん、客側としても、1杯が1,000円を超えるラーメンに躊躇するというのもあるかと思います。小生は余程でない限り、パスします。

アメリカ国内の物価高については、昨年3月に旅行した際にも肌で感じたのですが、ここ数日話題になっているのがマクドナルドの値段。

ビッグマックのセットメニューが20ドルに迫る店もあるらしく、顧客の反発を買い、売上げ、さらには同社の株も下落しているようです。


Corporate America may be bumping up against the limit of its power to keep raising prices as consumers in some markets cry uncle.

At McDonald’s, which has repeatedly boasted about its ability to raise menu prices without denting sales, executives are finally acknowledging that customers need a break.

On Monday, as the burger chain reported weaker-than-expected sales at its US stores, CEO Chris Kempczinski addressed McDonald’s “affordability” problem, and indicated the chain would cut prices on some menu items.
(Allison Morrow. McDonald’s pushed customers to the brink on price. They’re starting to push back. CNN. February 6, 2024.)


このような反発を受けてか、マクドナルド社CEOはより値頃感のある価格維持に努めると表明した模様です。

値上げは消費者には如何ともし難く、店舗やメーカーが「苦渋の判断」とか「心苦しいところやむなく・・・」と踏み切る価格上昇を受け入れざるを得ないのが実情です。

さて、引用した記事に、


consumers in some markets cry uncle


というくだりがあるのですが、ここで使われている"cry uncle"という表現を知りませんでした。

この表現は、


降参する


という意味で、アメリカ英語の口語表現とされています。

類似の言い回しに、


say uncle


というものがあり、こちらは命令文になっています。

いじめっ子がいじめている相手に"say uncle"と言うのですが、降参しろ、という意味になるとか。

"uncle"はおじ(叔父、伯父)さんですが、おじさんのヘルプを求める、という解釈のようです。

ところで、何故「おじさん」なのかについては諸説あるようです。

一説には、この表現がイタリア語(ラテン語?)のフレーズに由来するというもの。

また別の説では、"uncle"というのはアイルランド語のanacalが訛った(変化した)というもの。ちなみに、アイルランド語anacalは助けや慈悲という意味の名詞で、"uncle"とは関係がありません。


2024年2月6日火曜日

piggy bank

宮城県の小学生が能登半島地震の被災地に義援金を送ったというニュースを聞きました。正月に貰ったお年玉を募金にしたということで、心温まる話です。

下記に引用のニュースもまた、貯金を崩してハイチ地震の犠牲者に募金したという18歳の女の子の話です。この女の子は募金の直後、高額の宝くじに当選するという思ってもみなかった幸運に恵まれたということです。


A surprised 18-year-old who emptied her piggy bank as a child to send cash to victims of the terrifying Haitian earthquake has experienced karma in action and won a Canadian $48million ($36m and £27m) lottery jackpot.

(中略)

The Algoma University student believes this win could have been the result of good karma. She and her sister, Sophie, showed the pure generosity of children after they emptied their piggy banks as children to send money to victims of the Haitian earthquake in 2010.
(Imy Brighty-Potts. Teen who emptied piggy bank as kid for earthquake victims wins £27million on lottery. The Mirror. February 4, 2024.)


善行の見返りでしょうか。

さて、


piggy bank


という表現が使われています。そう、ブタの貯金箱です。

ブタの貯金箱というのはよく見かけますが、英語文化圏においても"piggy bank"という表現で定着しているということに今さらながら関心が沸きました。

何ゆえに、コブタ(piggy)?

"piggy bank"の由来には諸説あるらしく、決定的な由来は明らかではないそうですが、ブタという動物と豊穣、幸運や富を関連付ける考え方というのは東アジアでは中国やインドネシアにあるようです。

BBC Newsの記事によれば、英語の"piggy bank"もこの影響を受けているとか。


But, no – the pig remains synonymous with luck and wealth. With February 5 marking the beginning of the Year of the Pig on the Chinese calendar, it’s worth considering how the humble porcine became a symbol of good fortune.

The modern concept of the “piggy bank”, first popularised in the United States in the early 20th century, has a lot to do with this reputation.
(Twisted tale: The great piggy bank mystery. BBC News.)


ところで、諸説ある"piggy bank"の由来のひとつでは、この表現がブタ(pig)とは関係ないとするものもあります。


During The Middle Ages, metal was expensive and seldom used for household wares. Instead, dishes and pots were made of an economical orange-colored clay called pygg. Whenever folks could save an extra coin or two, they dropped it into one of their clay jars — a pygg pot." 

Over time, "pygg" evolved with the English alphabet, turning into "pigge" and, finally, "pig."
(Mandi Woodruff. REVEALED: The True Origins Of The Piggy Bank. Business Insider. June 7, 2012.)


上記の引用はBusiness Insiderの記事からですが、ブタの貯金箱は陶器製の容器が典型であるところ、その材料となる粘土が"pygg"と呼ばれていたことから、"pygg pot"となり、英語に取り入れられる過程で"pig"になった、というものです。

この他、ブタを富の象徴として大切にする文化はドイツにもあるそうですが、"piggy bank"の確定的な由来については謎に包まれているということです。

2024年2月5日月曜日

米で増加する自動車強奪 ー DMV

ワシントンD.C.で自動車強奪事件が発生、かつてトランプ政権の中枢メンバーでもあった人物が犠牲になったと報じられています。


WASHINGTON - Mike Gill, a married father of three who was also a member of former President Donald Trump's administration, has died. He was shot during a deadly carjacking rampage in Washington, D.C. last Monday night.
(Shomari Stone. Mike Gill, former Trump official, dies days after being shot in DMV carjacking spree. Fox 5 DC. February 3, 2024.)


日本では高級車の自動車盗難が後を断ちませんが、米国で増加しているのは自動車の強奪事件(carjacking)で、これは突然ドライバーに銃口を向けて運転席から引きずり下ろし、クルマを奪うというものです。

さて、記事のタイトルに、


DMV carjacking spree


と出てくるのですが、"DMV"が何の略語なのか分からず、暫し難儀しました。

Vとは恐らく"vehicle"の略だろうとあたりをつけたのですが、Department of Motor Vehicleとかかな、などと思ったものの、それだといまいちピンと来ません。

記事中"DMV"を説明したものはなく、他メディアの記事では"DMV"という言葉自体出てこないものもあります。安易にグーグル検索してみましたが、上位に出てくる検索結果は、Dual Mode Vehicleというもので、これまたピンと来ません。

ニュースでは、"DMV" carjackingが連続して発生しているという昨年くらいからあることが分かりました。"DMV"は強奪のターゲットになっている車種を指すのではとも思われましたが、そうでもなさそうです。

あれこれ調べていると、以下のような見出しの記事にあたりました。


DC traffic: Pro-Palestine protest causing lane closures and morning delays across DMV
(Fox 5 DC. February 1, 2024.)


道路交通情報の類ですが、ここでは"across DMV"ですから、"DMV"とは場所や地域といった概念と思われましたところ、実はそうだったということが分かりました。

実に、"DMV"とは、(ワシントン)D.C.、メリーランド(Maryland)、バージニア(Virginia)の頭文字を取った略称で、それら地域一帯を示すものなのです。日本で言えば、京阪神とか東京を中心とした一都三県のような概念に相当するものです。

つまりはアメリカでは、この"DMV"一帯で自動車強奪事件が増加の一途を辿っており、有名な官僚までもが犠牲になった、というニュースでした。

"DMV"という略語は恐らくはオフィシャルな言葉ではありませんが、米国東海岸や"DMV"地域の人々の間やローカルメディアではごく普通に用いられているものと思われます。

検索している中で、Urban Dictionaryの以下のような定義が目を引きました。


a term referring to the geographical area of DC, Maryland and Virginia, used by people who are from Maryland or Virginia and wish they were from DC.
(Urban Dictionary)


D.C.エリアは高嶺の花、住みたくても住めない人はメリーランドやバージニアから通勤すると聞いたことがあります。

2024年2月2日金曜日

beholden

電気自動車メーカーのテスラ社CEOであるイーロン・マスク氏の報酬560億ドル(!)に物言いがつきました。

前代未聞の巨額な報酬に対し、デラウェア州の裁判所は無効を命じる判決を下したとあります。


Tesla CEO Elon Musk's $55.8 billion pay package was unfair to the electric carmaker's shareholders and must be rescinded, Delaware Court of Chancery Judge Kathaleen McCormick ruled yesterday. Most of the board members were beholden to Musk or had compromising conflicts, she wrote.

"Swept up by the rhetoric of 'all upside,' or perhaps starry-eyed by Musk's superstar appeal, the board never asked the $55.8 billion question: Was the plan even necessary for Tesla to retain Musk and achieve its goals?" McCormick's ruling said.

(中略)

McCormick criticized the Tesla board, writing that Tesla Chair Robyn Denholm had a "lackadaisical approach to her oversight obligations." Although Musk and his brother Kimbal recused themselves from the pay-plan vote, "five of the six directors who voted on the Grant were beholden to Musk or had compromising conflicts." This "allow[ed] Musk to dictate the timing of the process and the terms of the Grant," McCormick.
(Jon Brodkin. Elon Musk’s $56 billion pay plan voided as shareholders beat Tesla in court. Ars Technica. February 1, 2024.)


会社は株主のものであって、社長(CEO)のものではありません。裁判長はマスク氏の報酬は株主意向を無視した不公平な額であるとして無効を命じたもののようです。

記事のくだりに、


Most of the board members were beholden to Musk or had compromising conflicts


という部分があります。これはマスク氏の報酬を決議した取締役会に言及しているものですが、不公平な報酬に異を唱えるどころか同調していることに対する批判となっています。

"beholden (to)"という表現が目に留まったのですが、これは(to以下に対して)


恩義を受けている、お陰を被っている、義理があって


という意味です。

"behold"という動詞は、見る、眺める、注視する、といった意味合いですが、"beholden (to)"についてはまた異なった意味合いで用いられています。

"behold"にしろ、"beholden (to)"にしろ、元の意味は"to hold or retain"、すなわち掴む、保持するというもの(Merriam-Webster Dictionary)だそうですが、2つの単語は異なる意味合いに発展したもののようです。



2024年2月1日木曜日

objectification

アメリカの人気歌手、テイラー・スイフトさんの画像をAIで加工したと思われる猥褻な画像がSNSで多数拡散され、AI利用の問題点が改めて浮き彫りにされました。

ところで、似たような問題はオーストラリアでも起きており、下記によれば、ニュースメディアが「加工編集」した女性議員の画像を記事に用い、謝罪に追い込まれたということです。


A national news service in Australia has been criticized for using AI to sexualize an image of Victoria state parliament member Georgie Purcell.

The photo, published by Nine News earlier this month, was torn apart by Purcell on social media, who called the channel out for the "constant sexualization and objectification" that female politicians in Australia are subjected to.

The doctored image appears to emphasize the politician's breasts and mysteriously exposes her midriff, despite the original image showing her wearing a one-piece dress.
(Victor Tangermann. Scandal Mounts as TV Network Used AI to Sexualize Image of Politician. Yahoo! News. February 1, 2024.)


オーストラリアのニュースメディアであるNine Newsは女性議員の写真をアドビ社の画像編集ソフトウェアで加工編集したということですが、オリジナルの画像と並べて比較すると、胸元が強調され、さらにワンピースにもかかわらず上半身の着衣は丈が短くなってウエスト部分を露出したものになっています。

女性議員はこれに反発、男性だったならばこんなことは起きないのではないかと疑問を投げかけています。

さて、今日の1語は、"objectification"です。

動詞"objectify"が名詞化したものですが、"objectify"を英和辞典で引くと、客観化する、客体化する、といった漠然とした和訳で、ここではしっくりきませんね。

記事では、オーストラリアの女性議員は


constant sexualization and objectification


にさらされている、とあります。

これは女性を性的な対象と見做し(sexualization)、また「モノ」のように扱う、さらに言えば商品化している、ということの批判が込められているものと思われます。

Merriam-Webster Dictionaryの定義もやや漠然としたものですが、以下のようにあり、


to treat as an object or cause to have objective reality


また添えられた例文、


They believe that beauty pageants objectify women.


は女性をモノ扱いすることに触れていると思われます。

この騒動に関する記事を他にもいくつか読みましたが、Nine News側は謝罪はしながらも、意図的な加工編集はしておらず、悪意も無かったと弁明し、画像編集ソフトの機能により問題の写真が生成されたとも主張しています。

当該のソフトウェアにはAIによる自動編集機能があるのは確かなようですが、これに対しアドビ社は加工編集の結果は人間の目を通して確認してから使うべきであった、とのコメントを出しています。

恐らくは今後も同様の問題が多方面で発生し、議論沸騰することだろうと思われます。