最近30日間のアクセス数トップ3記事

2022年12月9日金曜日

lackadaisical

“The UK increasingly looks like a lackadaisical global outlier that is determined to interfere in business and drive away investment.”
(Alana Calvert. James Dyson condemns government plan to extend work-from-home rights. The Independent. December 8, 2022.)


いきなり引用から入りましたが、発言は日本でも有名な掃除機のメーカーダイソンの創業者、James Dyson氏の言葉です。

同氏の発言は、12月5日付けで、イギリス政府が、被雇用者が雇用者に対して、リモートワークを含む、フレキシブルな働き方を要求する権利を認めるとの方針を示したことに対してのものです。


Billionaire businessman Sir James Dyson has condemned government plans to extend employees’ rights to work from home as “economically illiterate and staggeringly self-defeating”.

The founder and chief engineer of Singapore-based multinational technology company Dyson said the move would “hamper employers’ ability to organise their workforce”.
(ibid.)


パンデミックのために多くの企業でリモートワークへの移行が進み、副業やフレキシブルな働き方への意識が高まりました。が、ポスト・コロナが視野に入ってきた中、大手企業ではリモートワークを廃止し、オフィス回帰を決定するリーダーの声が多く聞かれます。

Dyson氏もそのひとりということになりますが、政府が企業の組織運営のあり方に口を出すということへの危機感が同氏の発言のポイントのようです。

デザインエンジニアでもあるDyson氏にしてみれば、新しいアイデアを生み出し、イノベーションを促進するためにはリモートワークではダメだ、ということですが、分かるような気もします。

さて、冒頭の発言に戻ります。

こんなこと、つまり政府が企業のイノベーションの芽を摘んでしまうようなことをやっていては、イギリスはますます"a lackadaisical global outlier"になってしまう、ということですが、"lackadaisical"という形容詞にはあまり馴染みがないのではないでしょうか。

辞書を引くと、


気力のない、活力のない、気抜けした


という訳語が見えます。どうやら、"lackadaisical"のlackは欠如の意味のlackと捉えてよさそうです。

実のところ、"lackadaisical"は、「すぐにlackadayと言う人のような」というのが原義だそうです。

で、"lackaday"とは何を指すのかというと、これは"alackaday"(=alack =ah lack) の頭のa-が脱落したもので、いわゆる頭音消失、意味は、ああ、悲しいかな、と悲嘆に暮れる人が呟く表現なのだそうです。

リモートワークみたいなことを続けていては企業の競争力は下がり、国力も落ち目になるのは見えている、という見方が次第に優勢になりつつあるようにも思われます。

一方で、リモートワークを今後も認める立場の企業もありますが、"lackaday"の嘆息を漏らすことになるのはどちらでしょうか。



0 件のコメント:

コメントを投稿