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2011年11月2日水曜日

ジョブズ氏がん治療の是非: 下衆の後知恵 ― 20/20 hindsight

先日も故スティーブ・ジョブズ氏の新しく出版される伝記について触れましたが、その中で氏が晩年に見つかったすい臓がんの外科手術を拒み、食事療法やヨガなどに精を出した結果、手遅れになったという逸話がありました。本人も多少の後悔があったようですが、周りの人間にとってみればなぜ医者から勧められた時点で決断しなかったのか、という思いもあるでしょう。

しかしながら、後悔先に立たず、と言います。また、俗に”下衆の後知恵”とも言います。物事が起きてしまってから、その原因をあれやこれやというのは誰でもできることなのかもしれません。

今日はそんな内容の記事を引用しました。


Was Steve Jobs a smart guy who made a stupid decision when it came to his health?

It might seem so, from the broad outlines of what he did in 2003 when a CT scan and other tests found a cancerous tumor in his pancreas. Doctors urged him to have an operation to remove the tumor, but Mr. Jobs put it off and instead tried a vegan diet, juices, herbs, acupuncture and other alternative remedies.

Nine months later, the tumor had grown. Only then did he agree to surgery, during which his doctors found that the cancer had spread to his liver, according to the new biography by Walter Isaacson. Cancer eventually killed him.

The sequence of events has given rise to news articles and blogs based on 20/20 hindsight, speculating that if only Mr. Jobs had had the surgery right away, doctors could have caught the cancer early, before it spread, and saved him.

But there is no way in this life to know what might have been — not in politics, baseball, romance or the stock market, and certainly not in sickness and health. Mr. Jobs’s wish to avoid or delay surgery was not unusual. And given the type of tumor he had and the way it was found, his decision to wait may not have been as ill considered as it seems at first blush.
(Denise Grady. A Tumor Is No Clearer in Hindsight. The New York Times. October 31, 2011.)


引用記事の中ほどに出てくる、"20/20 hindsight"という表現に注目して下さい。見慣れない表現ですね?

"hindsight"とは、"foresight"の反対語と考えることができます。つまり、"fore-"(前の)、"sight"(見識、洞察)で、先見の明、という意味に対して、"hind-"(後ろの、後からの)、"sight"(見識、洞察)で、”物事が起こってからの洞察”、ということになります。

では、"20/20"とは一体何でしょうか?

これは欧米の視力測定で使われる指標なのだそうです。日本では、1.5とか1.0とかで視力を表しますが、欧米では、"20/20"とか"6/6"といった表し方が使われ、分数視力と呼ばれます。例えば、"20/20"は20フィート離れたところから、20番目の視力検査表のマークを確認できる視力がある、ということを示すのだそうです。そして、"20/20"はいわゆる視力1.0(つまり正常)に相当するということがポイントです。

以上のことから、"20/20 hindsight"を解釈するとどうなるでしょうか?

実は手元の辞書を色々あたったのですが、解説が見当たらなかったので以下は私の個人的な解釈です。

人は誰しも、決断を下す前にはあれこれ考え悩むものです。先見の明がある人は好ましい結果に至るような決断を下すことができるかもしれません。その力、能力を視力に例えるならば”正常以上の視力”ということになるでしょう。逆に判断をミスってしまった場合は、”正常以下の視力”という判断を下さざるを得ないかもしれません。

"20/20 hindsight"という表現は、一種の皮肉だと思います。つまり、後から振り返って色々評するのは誰でもできる、結果が分かっていることについては視力1.0も当たり前、ということではないでしょうか?

日本語では”下衆の後知恵”という表現がぴったりくるように思われますが、どの辞書を見てもそのような表現が無いのが不思議です。

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