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2011年11月28日月曜日

“超”がつくほどの・・・ ― uber

言わずと知れた高級車のメーカーであるメルセデスベンツが販売する車種の中でも、“超”のつく高級車のブランドであるマイバッハが姿を消すというニュース記事が目に留まりました。


Maybach gets the axe Mercedes-Benz is set to kill off its top-end brand, report claims.


中古で買った国産の小型エコノミーカー(エコカーではありません。念のため・・・)を10年近く乗り回している筆者には、これまた“超”がつくほど縁のない話であります(笑)が、記事で使われている、ある単語が気になって今日取り上げます。

その単語とは、"uber"。


Mercedes-Benz will kill off its underperforming uber-luxury Maybach brand in 2013, a report claims. The article, published by US news site Autoweek, quotes a “high ranking Mercedes-Benz source” as saying that the brand thinks it better to “cut our losses with Maybach than to continue into an uncertain future with a brand that has failed to live up to original sales expectations”.
(Matt Campbell. Maybach gets the ax. The Sydney Morning Herald. November 28, 2011.)


専門の方はもちろん、大学の第2外国語などでドイツ語を少しでも齧ったことのある人ならお分かりかと思いますが、"uber"はドイツ語です。(ドイツ語における正しいスペルは、"u"の文字の上にウムラウトが付いています。)

ドイツ語の"über"は、前置詞あるいは副詞として、英語で言えば"over"や"beyond"の意味に相当するものです。

上記の引用例では、"uber-luxury"となっており、ハイフンで結合した形で用いられていますが、英単語の"luxury"を修飾する接頭辞のように用いられています。

日本語にしてみれば、“超”がつく、といったところでしょうか。

"super-luxury"と言ってしまえばよいものを、わざわざ"uber-luxury"としているのは、題材がベンツのマイバッハ(Maybach)ということでドイツ車であることに合わせようとしたライターのセンスでしょうか。

英語の多様性は様々な言語から単語や表現を取り入れているところにあると言われますが、"uber"もそれを示しているものの1つだと言えるでしょう。

ところで手元の辞書を参照してみましたが、"uber"をエントリとして載せている辞書がありません。参照した中では唯一、Merriam-Websterのオンライン辞書で下記のような定義を掲載しています。(スペルは、ドイツ語に忠実なためか、ウムラウトつきです。)


Definition of ÜBER-
1: being a superlative example of its kind or class : super- <übernerd> 
2: to an extreme or excessive degree : super- <übercool> 


このコンテクストでは、"super"の意味に相当する接頭辞というのがぴったりきますね。

一説によりますと、"uber"が使われ始めたのは、ドイツの哲学者であるFriedrich Nietzscheが著書の中で用いた、"Übermensch"(邦訳では超人とされています)という単語をGeorge Bernard Shawが劇作のなかで用いたのに端を発するそうです。ランダムハウス英和辞書では、この"Übermensch"のエントリは見えます。

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