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2012年9月20日木曜日

”メッセージ”の意味 ― on message

昨日は尖閣問題で暴徒化する中国人に関する記事を引用しましたが、今日も同じ記事を引用しますこと、お赦し下さい。

引用は記事の最後の部分なのですが、結局中国政府・当局は反日デモを半ば放置し、民衆の不満の矛先が政府・当局に及ばないようにすることを意図している、という見方でした。


Moving along the sidewalks with the protesters and onlookers and police, I was struck most of all by how hard the Chinese government was working to keep its people happy, to show them that it is doing what they want. Nationalism is a volatile force, and it would be easy for protests to expand into criticism of the state. Chinese authorities have no choice but to let their people blow off steam over Japan, but they are determined to keep them on message.
(Evan Osnos. Letter from China: How China Protests. The New Yorker. September 18, 2012.)


上記の引用の最後の部分に、


China authorities determined to keep them on message.


とあるのですが、ここの意味がよく掴めないでいました。特に、"keep them on message"という表現を日本語にどう訳せばよいのかが分からなかったのです。

この部分を解釈するのに”メッセージ”というカタカナ語が邪魔になります。英和辞書を見ても適当な訳語が見当たりません。"on message"については、”go on a message"というフレーズで”お使いに行く”とありますが、記事のコンテクストでは”お使い”でもないでしょう。

しばらく悩んだ後、American Heritage Dictionaryを参照するとヒントがありました。"message"のエントリに、Idiomsとして下記のようにあります。


on message
Following a planned set of remarks or positions.


これを見てもやもやが晴れたのです。

"message"とはあらかじめ予定された(決められた)発言内容や立場(路線)のことであり、我々が日常において日本語で使う、カタカナの”メッセージ”には無い意味ではないでしょうか。

"keep them on message"の"them"は当然反日デモに参加する中国人のことであり、ここでいう"message"とは、領土問題とそれに端を発する反日抗議デモ(つまり日本が中国の領土を侵したことに対して抗議するのであるという論拠)、ということであり、民衆がその”路線”から外れないこと(矛先が政府・当局に向かわないようにすること)が、まさしく"keep on message"ということなのです。

恐らく同様に派生した表現と思いますが、"on-message"という表現もあることを知りました。


A politician who is on-message says things that are in agreement with the ideas and policies of the political party they belong to.
(Financial Times Lexiconから引用)


これは政治家についてのコンテクストですが、”(既定)路線”という表現がぴったりくるのではないでしょうか。

また、"keep"に代わって、"stay"などの動詞が来ることもあります。


In countless interviews, he has tried to stay on message, stressing the Pfizer line that Viagra is a serious drug for a serious medical condition that affects millions of men and their partners.
(The Washington Post. 1999.)


”メッセージ”というカタカナ語に引っ張られてかなり遠回りしてしまったような感もあります。といのも、”メッセージ”というのは基本的に前もって考えられ、あるいは書かれるものですから、それが"a planned set of remarks or positions"という解釈になると思えば、"keep on message"が意味するところも当然と言えば当然のような感じもしてきたからなのですが、みなさんは冒頭に引用した中国のデモに関する記事を読んだ時に"(keep them) on message"に違和感はなかったでしょうか。


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