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2023年1月13日金曜日

from my cold, dead hands

今週始めでしたか、アメリカでガスストーブの使用を規制することを政府が検討しているという記事を読みました。

ガスの火を使う調理器具が子供の喘息を起こすという統計があるとか無いとか、そんな内容でしたが、そのままスルーしていました。

今日、関連記事が目に留まったのですが、民主党のオカシオ・コルテス議員がガスストーブは脳の発育にも悪影響を及ぼすと、規制に積極的な姿勢を示している一方、共和党議員は反発しているという、もはや政争の具となっているかのような状況を伝えています。


New York Congresswoman and environmentalist Alexandria Ocasio-Cortez took heat on Twitter after she mocked Rep. Ronny Jackson, R-Texas, for tweeting that he would never give up his gas stove on Monday. 

The exchange went viral, with Ocasio-Cortez's post racking up more than 73,000 likes on Twitter. 

(中略)

Jackson vowed that he would rather die than give up his gas stove. "I’ll NEVER give up my gas stove. If the maniacs in the White House come for my stove, they can pry it from my cold dead hands. COME AND TAKE IT!!"
(Jeffrey Clark. Twitter slams AOC after she says gas stoves are linked to brain damage: 'Dems are literally insane'. Fox News. January 11, 2023.)


両議員の応酬はツイッター上で繰り広げられているそうなのですが、共和党議員は、仮にガスストーブが規制されることになっても絶対に手放さないと息巻いています。

そのコメントが以下なのですが、


"I’ll NEVER give up my gas stove. If the maniacs in the White House come for my stove, they can pry it from my cold dead hands. COME AND TAKE IT!!"


"from my cold dead hands"という言い回しに関心を引かれました。

文脈から、仮にホワイトハウス(政府)が規制を押し付けてガスストーブを取り上げようとしたって、絶対に渡さない、(出来るものなら)取ってみやがれ、というような意味合いの発言だと解釈されます。

"from my cold dead hands"は比喩的な言い回しだと思うのですが、cold、dead共に、handsを修飾しています。大切に思う物をしっかりと握っている自身が死んでその手が冷たくならない限り、それを奪うことは出来ない、という強意表現でもあります。

何かに由来する表現かと思いネットを検索してみると、実のところこの言い回しというのは全米ライフル協会(NRA)が自衛手段としての銃火器の保有の権利を主張したステートメントに由来するということを知った次第です。


I'll give you my gun when you pry (or take) it from my cold, dead hands.


ご存知の通り、銃規制は米国を二分する、議論の絶えないイシューですが、銃携帯の権利擁護派は、上記のスローガンを自動車のバンパーにステッカーで貼り付けるなどして主張し、広まったそうです。

いくつかのバリエーションがあるそうですが、それを取り上げることができるのは自分が死んだ時だ、という一種独特の言い回しが定着しているものです。

しかし、ガスストーブが本当に喘息の発症と関連しているのか、脳の発育に影響するのか、科学的根拠があるのか分かりませんけれども、こうしてすぐに政争の具になるというのはいかにもアメリカらしいという気がします・・・。



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