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2018年5月29日火曜日

shimmy? shinny? ― shimmy

Yahoo! Japanのトップニュースにも取り上げられていたので見た人も多いかもしれません。

フランス・パリの住宅街で、マンションのバルコニーからぶら下がっている4歳児の救出劇がありました。

恐らく3階か4階付近と思われる高さから腕だけでぶら下がり、今にも落下しそうなところを若い男性が地上から外壁をよじ登り、ものの見事に救出しました。


Incredible footage shows a fearless man scaling a Paris building to save a 4-year-old boy dangling from a balcony.

The video, filmed in the capital’s 18th Arrondissement, shows him climbing four stories in just seconds to reach the child.

He then shimmies across the ledge and hoists the child to safety in view of shocked onlookers below.

Another man on the adjoining balcony also tried to lift the boy to safety but could not get a decent grip, Le Parisien reported.
(Jay Akbar. Hero climbs building to save toddler dangling from balcony. New York Post. May 27, 2018.)


記事にリンクされているビデオを見るとよく分かりますが、ほとんど数秒で地上から男児のぶら下がるところまでよじ登るその様はスパイダーマンを想起させます。

引用したのはニューヨークポスト紙の記事ですが、"shimmy"という見慣れない単語が使われています。

辞書を引いてみると、"shimmy"というのはダンスの一種を指す名称らしく、動詞としては、体を揺する、というような意味であることが分かりました。

なるほど、救出した男性は建物外壁の出っ張りなどをわずかな足掛かりにして、体を揺らしながら登って行った訳ですから、意味するところは分かります。

ところで、American Heritage Dictionaryを引いてみると、この単語についてはUsage Noteがありました。

一部引用しますと、


Shimmy, possibly an alteration of the word chemise, has no etymological connection to the similar-sounding verb shinny, meaning "to climb by gripping and pulling alternately with the hands and legs."
(American Heritage Dictionary)


とあり、よく似たスペルの単語、"shinny"もあるというのです。

この"shinny"は、「(柱や木に)よじ登る」という意味なんですが、引用した記事のコンテクストだと、"shimmy"よりも"shinny"の方が合いそうにも思われます。

実際、Usage Noteでは、


Recently, however, the verb shimmy has been used to describe the action of shinnying. In addition to their similarity in sound, the motions described by both verbs involve back-and-forth movements of the body. It's understandable, then, how this new sense of shimmy arose, and it has gained marginal acceptance by our Usage Panel.
(ibid.)


とあり、"shimmy"という、元はダンスの動きを意味する単語が、"shinny"の意味(すなわちよじ登るという意味)を獲得していったと説明しています。


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