驚異的な記憶力を持っている人というのがたまにいます。トランプのカードの配列や、何十人、何百人という人の顔と名前、長い文章など、短い時間に大量の情報を記憶する能力に長けた人たちです。
特殊な能力のように思われがちですが、研究によれば、普通の人と特に脳の構造が違っているとかいうことはないそうです。
There is such a thing as a memory athlete. These are people who can memorize a truly insane amount of information really quickly, like the order of playing cards in a deck in under 20 seconds, or 200 new names and faces in a matter of minutes.
Neuroscientists writing Wednesday in the journal Neuron found these champs of memorization aren't that different from the rest of us.
"We were interested in what differentiates memory champions from normal people, like you and me," says Martin Dresler, a cognitive neuroscientist at the Donders Institute for Brain, Cognition and Behavior at Radboud University in the Netherlands.
(Maybe You, Too, Could Become A Super Memorizer. NPR. March 8, 2017.)
MRIを使った脳スキャンにおいて、驚異的な記憶力を持つ人と普通の人との差は見られなかったそうです。ただ1点、記憶力に長けた人がその記憶力を発揮するまさにそのときの脳の働きは、普通の人と異なり、脳の複数個所が協同して機能するという特徴がみられたということです。
話の続きは記事で読んでいただくとして、今日取り上げたいのは"athlete"という単語です。
記事中、
a memory athlete
という表現が使われています。
私はこの表現を面白いと思ったのですが、それは"athlete"という単語の使い方にあります。
アスリート、と聞いて何を連想しますか?
運動選手、ではないでしょうか。
絶大な記憶力を誇る人は「アスリート」、すなわち運動選手、でしょうか?
ちょっと疑問ですね。Merriam-Webster Dictionaryの定義では、
a person who is trained or skilled in exercises, sports, or games requiring physical strength, agility, or stamina
となっているのですが、スポーツ、運動のコンテクストでの定義となっています。
尤も、記憶力がずば抜けている人は脳の機能に特別なものを備えていると考えれば、それは"physical"な話かもしれません。
しかしながら、記憶(力)と運動はちょっと結びつかないかなという印象があります。
このような、"athlete"の用法が他にもあったような気がして調べてみました。
"corporate athlete"という単語をお聞きになったことのある方がいると思います。
Q: What do you look for when hiring managers?
A: I look for a corporate athlete, somebody who has a lot of desire and will do what it takes to succeed. They could be from a sports background or some other background showing they worked well on a team. During an interview, if someone talks about what he or she did, I would be less impressed than if the person talks about what " we " did. How did other people help this person be successful and how did this person help others be successful?
(Atlanta Journal Constitution, 2015)
ここで、"corporate athlete"とは会社勤めをしながらスポーツに勤しむ人、趣味でスポーツをするとか、あるいは実業団選手のようなスポーツ選手を指している訳ではありません。
企業での勤務をスポーツになぞらえて、スポーツ選手が自身の競技においてパフォーマンスを発揮するのと同じ様に、ビジネスでのパフォーマンスを発揮することを言ったものです。
"memory athlete"の「アスリート」はこれと同じような意味合いと思われます。
つまり、記憶力(memory)という分野におけるパフォーマンスに鎬を削る人達のことを指しているのではないでしょうか。
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