この週末にモンテネグロの国政選挙が行われたそうですが、その選挙速報の記事から引用しました。
Polls have closed in Montenegro's tense parliamentary election that is pitting a long-ruling, pro-Western party against an opposition alliance seeking closer ties with Serbia and Russia.
The pro-Western Democratic Party of Socialists (DPS) of President Milo Djukanovic is leading by a hair over the pro-Serb and pro-Russian alliance, a preliminary exit poll showed on Sunday.
DPS is in line for 34.7 percent of the vote, followed by the opposition For the Future of Montenegro alliance with 33.1 percent, according to a poll by election monitor CeMI based on 70 percent of its sample.
(Montenegro ruling party neck and neck with opposition: Exit poll. Aljazeera. August 30, 2020.)
正直に申し上げると、モンテネグロという国が世界のどこに位置しているかすら疎い状況でしたので、改めて地図で場所を確認した次第です。
モンテカルロはバルカン半島の国で、周囲をセルビアやアルバニア、ボスニアヘルツェゴビナに囲まれ、一部はアドリア海に面した国土となっています。1992年のユーゴスラビア政変後、旧ユーゴスラビアが解体され、セルビアと共にユーゴスラビア連邦を創設、その後2006年6月にモンテネグロ共和国として独立。人口は62万人。
選挙速報では、与党DPS(社会主義者民主党)が、対立するFor the Future of Montenegroの連立勢力とほぼ互角の状況ということらしいです。
記事本文によれば、DPSが、
leading by a hair
ということで、これは髪の毛1本分だけリードしている、つまり僅差である、ということを表現しています。
髪の毛一本分とは誇張表現には違いありませんが、日本語だと紙一重などというところでしょうか。
その差はごく僅か、髪の毛1本分の差など、ひっくり返ってもおかしくありません。
2020年8月31日月曜日
2020年8月28日金曜日
skullduggery
今年の11月に予定されているアメリカ大統領選挙ですが、7月くらいまでの世論調査では、支持率で民主党のバイデン氏が現職のトランプ氏に差をつけているという報道がありました。
ところが、最近ではその差が詰まってきているとも報じられており、トランプ氏が徐々に追い上げているようです。
バイデン氏は高齢(77歳)であることに加え、認知症の初期症状の疑いもあるなどと言われています。トランプ陣営はバイデン氏が大統領になったとしても、任期の4年も持たないのではないかと、同氏の「ひ弱さ」を攻撃材料としているフシがあります。
民主党内でもバイデン氏とトランプ大統領の直接対決は避けたい、というのが本音なのでしょうか、民主党下院議長を務めるペロシ氏が、両者のディベートは不要であると公言したことがニュースになっています。
WASHINGTON — President Donald Trump has sunk so low that former Vice President Joe Biden should not even "legitimize" him by debating him in the presidential election, House Speaker Nancy Pelosi said Thursday.
Biden has already agreed to take part in three presidential debates before the November election, but Pelosi told reporters, "I don't think that there should be any debates."
She explained she did not think "the president of the United States has comported himself in a way that anybody should, and has any association with truth, evidence, data, and facts," and as a result, any debate with him would just be an "exercise in skullduggery" by Trump.
"I wouldn't legitimize a conversation with him, nor a debate in terms of the presidency of the United States," she said, though she acknowledged that the Biden campaign had a different view on the debates. Pelosi called Trumps's conduct during his 2016 debates with Democratic nominee Hillary Clinton "disgraceful."
(Nicholas Wu. 2020 Election: Pelosi says there shouldn't be any Trump-Biden debates. USA Today. August 27, 2020.)
ペロシ氏は、2016年の大統領選におけるヒラリー・クリントン氏とのディベートも引き合いに出しながら、トランプ氏の毒舌や攻撃的な性格を示唆し、トランプ大統領は堕落しきっており、もはや対等にディベートするような相手ではない、と主張したかったようです。
ペロシ氏の発言で、
skullduggery
という単語が出てきます。
初めて見る単語でしたし、また頭蓋骨を想起させる"skull~"のスペルからおどろおどろしい意味のように思われます。
多くの辞書で、skulduggeryのスペル("l"が2つではなく、1つ)となっていますが、辞書を引くと、いんちき、詐欺、ぺてん、ごまかし、不正、などと載っています。
"skull~"が頭蓋骨を想起させるのですが、語源的には関係なく、元々のスペルはsculdudderyというものだったようです。
スコットランド方言に由来し、猥褻の意味合いもあるそうですが、はっきりとした語源は分かっていません。
下院議長ともなるとボキャブラリーが豊富(!?)ですね。ランダムハウス英和辞書では「米話」とあるので、アメリカ人は普通に使う表現なのかも知れません。
大統領選挙のディベートが“skullduggery”になってしまう、という主張は、如何にトランプ氏の発言や振る舞いが俗悪かを印象付ける意図があるようです。
ところが、最近ではその差が詰まってきているとも報じられており、トランプ氏が徐々に追い上げているようです。
バイデン氏は高齢(77歳)であることに加え、認知症の初期症状の疑いもあるなどと言われています。トランプ陣営はバイデン氏が大統領になったとしても、任期の4年も持たないのではないかと、同氏の「ひ弱さ」を攻撃材料としているフシがあります。
民主党内でもバイデン氏とトランプ大統領の直接対決は避けたい、というのが本音なのでしょうか、民主党下院議長を務めるペロシ氏が、両者のディベートは不要であると公言したことがニュースになっています。
WASHINGTON — President Donald Trump has sunk so low that former Vice President Joe Biden should not even "legitimize" him by debating him in the presidential election, House Speaker Nancy Pelosi said Thursday.
Biden has already agreed to take part in three presidential debates before the November election, but Pelosi told reporters, "I don't think that there should be any debates."
She explained she did not think "the president of the United States has comported himself in a way that anybody should, and has any association with truth, evidence, data, and facts," and as a result, any debate with him would just be an "exercise in skullduggery" by Trump.
"I wouldn't legitimize a conversation with him, nor a debate in terms of the presidency of the United States," she said, though she acknowledged that the Biden campaign had a different view on the debates. Pelosi called Trumps's conduct during his 2016 debates with Democratic nominee Hillary Clinton "disgraceful."
(Nicholas Wu. 2020 Election: Pelosi says there shouldn't be any Trump-Biden debates. USA Today. August 27, 2020.)
ペロシ氏は、2016年の大統領選におけるヒラリー・クリントン氏とのディベートも引き合いに出しながら、トランプ氏の毒舌や攻撃的な性格を示唆し、トランプ大統領は堕落しきっており、もはや対等にディベートするような相手ではない、と主張したかったようです。
ペロシ氏の発言で、
skullduggery
という単語が出てきます。
初めて見る単語でしたし、また頭蓋骨を想起させる"skull~"のスペルからおどろおどろしい意味のように思われます。
多くの辞書で、skulduggeryのスペル("l"が2つではなく、1つ)となっていますが、辞書を引くと、いんちき、詐欺、ぺてん、ごまかし、不正、などと載っています。
"skull~"が頭蓋骨を想起させるのですが、語源的には関係なく、元々のスペルはsculdudderyというものだったようです。
スコットランド方言に由来し、猥褻の意味合いもあるそうですが、はっきりとした語源は分かっていません。
下院議長ともなるとボキャブラリーが豊富(!?)ですね。ランダムハウス英和辞書では「米話」とあるので、アメリカ人は普通に使う表現なのかも知れません。
大統領選挙のディベートが“skullduggery”になってしまう、という主張は、如何にトランプ氏の発言や振る舞いが俗悪かを印象付ける意図があるようです。
2020年8月27日木曜日
あれを英語で? ― half-masking
新型コロナウィルス感染症の拡大で、マスクは外出時の必需品となりました。
マスク着用がエチケットなのか、義務なのか、については議論があるところで、また、国や地域、またTPOによりますが、感染症の拡大前後でのマスクの位置づけは大きく変わったと言えるでしょう。
ところで、マスクをしていると呼吸がしづらい、メガネが曇る、運動時や夏場は長時間の着用により体に不調が出る、など、マスクをしていない時には経験しない問題があるのも事実です。
私もマスクが苦手な方ですが、外出時、人が集まる場所では着用を心掛けるようにするものの、人が少ないと見ると完全に外したくなるか、もしくは少しずらして口だけを覆う形(つまり、鼻は出してしまう)にしがちです。
周りを見ていると、やはり鼻の部分を覆わず、口だけを覆う格好にしている人もよく見かけます。
その気持ち、よく分かるんですが、本当は正しいマスクの着用方法とは言えないそうです。
さて、鼻を覆わずに口だけを覆うようなマスクの着用方法を、英語ではどう表現するのでしょうか?
So-called "half-masking," or wearing a face mask below the nose, may allow coronavirus the opportunity to enter your body, according to a recent study and health experts. During the coronavirus pandemic, half-masking still leaves you at risk for contracting Sars-CoV-2, the virus that causes COVID-19, physicians told Fox News.
“It’s like wearing your pants with only one leg in," Dr. Frederick Davis, associate chair of emergency medicine at Northwell Health/Long Island Jewish Hospital in New York, told Fox News. “A mask, or other face covering, should cover both your mouth and nose."
(Amy McGory. 'Half-masking' may increase coronavirus risk, study finds. Fox News. August 26, 2020.)
答えは、
half-masking
でした。
University of North Carolinaの専門家らによる研究によれば、コロナウィルスは鼻腔を主要な感染経路とするので、鼻を覆わないマスク着用は、ズボンを履くのに片足を通さないみたいなもの(!?)だそうです。
ところで、強盗が顔を見られないように被る、目の部分だけが開いた覆い(日本語で言う、いわゆる目出し帽)を英語では"half mask"と言います。
MILWAUKEE - A University of Wisconsin-Milwaukee student spoke with FOX6 News after being robbed near the campus late Thursday, Aug. 20. He said he is thankful to be alive.
(中略)
Suspect descriptions
Milwaukee police released the following descriptions for the suspects in this case:
Suspect 1: Male, Black, 18-22 years old, 6'2" tall, slim build, dark complexion, wearing dark shirt, gray half mask, short curly hair, armed with dark handgun.
(Christina Van Zelst. 'Felt like it wasn't real:' UWM student recounts being held at gunpoint, robbed of his car. Fox News. August 21, 2020.)
感染症対策のマスクと目出し帽とでは全く違いますが、口だけ覆って鼻を出してしまう"half-masking"については、"〜masking"と動名詞形になっているのがポイントでしょうか。
マスク着用がエチケットなのか、義務なのか、については議論があるところで、また、国や地域、またTPOによりますが、感染症の拡大前後でのマスクの位置づけは大きく変わったと言えるでしょう。
ところで、マスクをしていると呼吸がしづらい、メガネが曇る、運動時や夏場は長時間の着用により体に不調が出る、など、マスクをしていない時には経験しない問題があるのも事実です。
私もマスクが苦手な方ですが、外出時、人が集まる場所では着用を心掛けるようにするものの、人が少ないと見ると完全に外したくなるか、もしくは少しずらして口だけを覆う形(つまり、鼻は出してしまう)にしがちです。
周りを見ていると、やはり鼻の部分を覆わず、口だけを覆う格好にしている人もよく見かけます。
その気持ち、よく分かるんですが、本当は正しいマスクの着用方法とは言えないそうです。
さて、鼻を覆わずに口だけを覆うようなマスクの着用方法を、英語ではどう表現するのでしょうか?
So-called "half-masking," or wearing a face mask below the nose, may allow coronavirus the opportunity to enter your body, according to a recent study and health experts. During the coronavirus pandemic, half-masking still leaves you at risk for contracting Sars-CoV-2, the virus that causes COVID-19, physicians told Fox News.
“It’s like wearing your pants with only one leg in," Dr. Frederick Davis, associate chair of emergency medicine at Northwell Health/Long Island Jewish Hospital in New York, told Fox News. “A mask, or other face covering, should cover both your mouth and nose."
(Amy McGory. 'Half-masking' may increase coronavirus risk, study finds. Fox News. August 26, 2020.)
答えは、
half-masking
でした。
University of North Carolinaの専門家らによる研究によれば、コロナウィルスは鼻腔を主要な感染経路とするので、鼻を覆わないマスク着用は、ズボンを履くのに片足を通さないみたいなもの(!?)だそうです。
ところで、強盗が顔を見られないように被る、目の部分だけが開いた覆い(日本語で言う、いわゆる目出し帽)を英語では"half mask"と言います。
MILWAUKEE - A University of Wisconsin-Milwaukee student spoke with FOX6 News after being robbed near the campus late Thursday, Aug. 20. He said he is thankful to be alive.
(中略)
Suspect descriptions
Milwaukee police released the following descriptions for the suspects in this case:
Suspect 1: Male, Black, 18-22 years old, 6'2" tall, slim build, dark complexion, wearing dark shirt, gray half mask, short curly hair, armed with dark handgun.
(Christina Van Zelst. 'Felt like it wasn't real:' UWM student recounts being held at gunpoint, robbed of his car. Fox News. August 21, 2020.)
感染症対策のマスクと目出し帽とでは全く違いますが、口だけ覆って鼻を出してしまう"half-masking"については、"〜masking"と動名詞形になっているのがポイントでしょうか。
2020年8月26日水曜日
shove ~ into one’s face
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、飲食店は客が入らず苦境に立たされています。
昨日のことですが、丁度お昼時に前を通りかかったイタリアンレストランのチェーン店はガラガラでした。
ところがこの苦境の中でも、いわゆる「勝ち組」が存在するようです。
アメリカではピザのチェーン店の売上げが伸びており、背景にはデリバリーやテイクアウトの売上げの貢献があるようです。
New York (CNN Business) – America's pandemic-induced love affair with pizza shows no signs of slowing down.
That's a huge relief for Papa John's, helping to speed up its turnaround plans. The pizza chain said Tuesday that its North American sales rose 24% over the past four weeks. Internationally, sales were also strong, jumping 23% for the period.
Pizza has thrived as other restaurants struggle mightily during the coronavirus pandemic. Pizza has been synonymous with delivery for decades, which is crucial when people are afraid or barred from eating inside restaurants. And it's cheap -- helpful during the worst recession since the Great Depression.
(Jordan Valindsky. Americans can't stop shoving pizza into their faces. CNN. August 25, 2020.)
そう言えば先日もピザの宅配がご近所に配達しているのを見かけたのを思い出し、なる程と思いました。
アメリカ人は特にピザが好きですから、レストランの中でなくとも、テイクアウトなどの需要は一定、いやむしろこのご時世で増加しているのでしょう。
さて、引用した記事のタイトルに注目したいと思います。
Americans can't stop shoving pizza into their faces
というものですが、字義通りに読めば、アメリカ人はピザを顔に押し付けるのをやめられない、となります。
何が言いたいのか良く分からないですね。
直径20〜30センチあるピザを顔面にクラッシュさせているイメージが思い浮かびますが、まさかそんなことではないでしょう。
この表現、“shove something into one’s face”に何か特別な意味合いがあるのだろうかと思って調べてみますと、明確に説明したものは見当たらないのですが、いくつか、字義通りではないと思われる用法があるように思われました。
特に、動詞“shove”の目的語となるのが、食べ物である場合です。
一例を挙げると、
Shove a burger into your face! At Krystal Jo’s Diner
(My City Magazine. March 2, 2015.)
これだけでは何のことやら!?と思われるかも知れませんが、いわゆるグルメ紹介記事の類です。
オススメのバーガーレストランの紹介記事であり、“shove ~ into one’s face”は、(評判のバーガーを)「是非食べてみなはれ!」、と言っているようです。
用例としては数的にも乏しいので、冒頭で引用したCNNの記事タイトルの含意するところをもう少し探ってみます。
下記に挙げるもう一つの例は、チョコレートです。
Seriously though, Anna had things right when she was talking about how she wanted to shove some chocolate in her face. Don’t we all want to do that? I mean, when something is so good, it’s hard to act civilized when eating it.
(Anna’s ‘Shove Some Chocolate in My Face’ Chocolate. Magic for Miles. October 3, 2019.)
ここでの“shove ~”はある意味字義通りと言えるかもしれません。口の周り(顔全体と言うべきか)にチョコレートの跡がいっぱいついている幼児の写真があります。
口の周りが汚れるのなんて気にしていられない!
この写真を見てほとんど確信したのですが、“shove ~ into one’s face”の言わんとするところは、大好きな食べ物を前にして、ほとんどそれに顔面を突っ込まんばかりに(英語の語順的には、食べ物を顔面に押し付けんばかりに、ですが)、貪り食べる、というところではないか、と思います。
日本語で、「がっつく」(ガツガツ食べる)という表現をしますが、あれに近いかと。
CNNの記事タイトルに戻りますと、ピザが好物のアメリカ人は、(コロナ禍においても)やっぱりピザには目がない(がっつきたい)のだ、という解釈が出来そうです。
昨日のことですが、丁度お昼時に前を通りかかったイタリアンレストランのチェーン店はガラガラでした。
ところがこの苦境の中でも、いわゆる「勝ち組」が存在するようです。
アメリカではピザのチェーン店の売上げが伸びており、背景にはデリバリーやテイクアウトの売上げの貢献があるようです。
New York (CNN Business) – America's pandemic-induced love affair with pizza shows no signs of slowing down.
That's a huge relief for Papa John's, helping to speed up its turnaround plans. The pizza chain said Tuesday that its North American sales rose 24% over the past four weeks. Internationally, sales were also strong, jumping 23% for the period.
Pizza has thrived as other restaurants struggle mightily during the coronavirus pandemic. Pizza has been synonymous with delivery for decades, which is crucial when people are afraid or barred from eating inside restaurants. And it's cheap -- helpful during the worst recession since the Great Depression.
(Jordan Valindsky. Americans can't stop shoving pizza into their faces. CNN. August 25, 2020.)
そう言えば先日もピザの宅配がご近所に配達しているのを見かけたのを思い出し、なる程と思いました。
アメリカ人は特にピザが好きですから、レストランの中でなくとも、テイクアウトなどの需要は一定、いやむしろこのご時世で増加しているのでしょう。
さて、引用した記事のタイトルに注目したいと思います。
Americans can't stop shoving pizza into their faces
というものですが、字義通りに読めば、アメリカ人はピザを顔に押し付けるのをやめられない、となります。
何が言いたいのか良く分からないですね。
直径20〜30センチあるピザを顔面にクラッシュさせているイメージが思い浮かびますが、まさかそんなことではないでしょう。
この表現、“shove something into one’s face”に何か特別な意味合いがあるのだろうかと思って調べてみますと、明確に説明したものは見当たらないのですが、いくつか、字義通りではないと思われる用法があるように思われました。
特に、動詞“shove”の目的語となるのが、食べ物である場合です。
一例を挙げると、
Shove a burger into your face! At Krystal Jo’s Diner
(My City Magazine. March 2, 2015.)
これだけでは何のことやら!?と思われるかも知れませんが、いわゆるグルメ紹介記事の類です。
オススメのバーガーレストランの紹介記事であり、“shove ~ into one’s face”は、(評判のバーガーを)「是非食べてみなはれ!」、と言っているようです。
用例としては数的にも乏しいので、冒頭で引用したCNNの記事タイトルの含意するところをもう少し探ってみます。
下記に挙げるもう一つの例は、チョコレートです。
Seriously though, Anna had things right when she was talking about how she wanted to shove some chocolate in her face. Don’t we all want to do that? I mean, when something is so good, it’s hard to act civilized when eating it.
(Anna’s ‘Shove Some Chocolate in My Face’ Chocolate. Magic for Miles. October 3, 2019.)
ここでの“shove ~”はある意味字義通りと言えるかもしれません。口の周り(顔全体と言うべきか)にチョコレートの跡がいっぱいついている幼児の写真があります。
口の周りが汚れるのなんて気にしていられない!
この写真を見てほとんど確信したのですが、“shove ~ into one’s face”の言わんとするところは、大好きな食べ物を前にして、ほとんどそれに顔面を突っ込まんばかりに(英語の語順的には、食べ物を顔面に押し付けんばかりに、ですが)、貪り食べる、というところではないか、と思います。
日本語で、「がっつく」(ガツガツ食べる)という表現をしますが、あれに近いかと。
CNNの記事タイトルに戻りますと、ピザが好物のアメリカ人は、(コロナ禍においても)やっぱりピザには目がない(がっつきたい)のだ、という解釈が出来そうです。
2020年8月25日火曜日
in stitches
記事の引用からどうぞ。
They transformed NYC into a real-life Nintendo game.
Internet pranksters had New Yorkers in stitches after zipping around the city dressed as characters from the racing game “Mario Kart,” as seen in a hilarious YouTube clip that’s since gone viral.
“I thought it’d be funny,” filmmaker Caleb Simpson, 28, told The Post, adding that he’d dreamed of performing the stunt ever since he moved to New York from North Carolina five years ago.
In the four-minute clip, Simpson is seen in a red-and-blue Mario costume go-karting past various NYC landmarks alongside a Luigi facsimile — played by his pal, Irving Salazar — as bystanders react to the duo’s antics.
(Ben Cost. ‘Mario and Luigi’ go on wild joy ride through NYC in viral stunt. New York Post. August 24, 2020.)
任天堂の人気ビデオゲームのキャラクター、マリオブラザーズのコスチュームを身に着けて、カートを運転しているのを都内で見かけたことが何度かあります。
街を行く人たちが興味深げに視線を遣り、スマホのカメラで撮影などしていました。
このスタントが日本発なのか知りませんが、同じような目立ちたがり屋さんがニューヨークに出現して話題になっているようです。
Internet pranksters had New Yorkers in stitches
とありますが、"in stitches"というのは、笑いがとまらない、おかしくて腹が捩れること、を意味する成句です。
"stitch"というのは針、またその一刺しのことで、"a stitch in the side"は急に脇腹に起こる「さしこみ」(激痛)ですが、"in stitches"というフレーズで複数形になると、笑い過ぎて腹が捩れるという意味になるのは興味深いところです。
日本の公道でのマリオカート体験を提供している業者が任天堂から知的財産権で訴えられたという話を聞いたことがあるように思うのですが、ニューヨークでは??
They transformed NYC into a real-life Nintendo game.
Internet pranksters had New Yorkers in stitches after zipping around the city dressed as characters from the racing game “Mario Kart,” as seen in a hilarious YouTube clip that’s since gone viral.
“I thought it’d be funny,” filmmaker Caleb Simpson, 28, told The Post, adding that he’d dreamed of performing the stunt ever since he moved to New York from North Carolina five years ago.
In the four-minute clip, Simpson is seen in a red-and-blue Mario costume go-karting past various NYC landmarks alongside a Luigi facsimile — played by his pal, Irving Salazar — as bystanders react to the duo’s antics.
(Ben Cost. ‘Mario and Luigi’ go on wild joy ride through NYC in viral stunt. New York Post. August 24, 2020.)
任天堂の人気ビデオゲームのキャラクター、マリオブラザーズのコスチュームを身に着けて、カートを運転しているのを都内で見かけたことが何度かあります。
街を行く人たちが興味深げに視線を遣り、スマホのカメラで撮影などしていました。
このスタントが日本発なのか知りませんが、同じような目立ちたがり屋さんがニューヨークに出現して話題になっているようです。
Internet pranksters had New Yorkers in stitches
とありますが、"in stitches"というのは、笑いがとまらない、おかしくて腹が捩れること、を意味する成句です。
"stitch"というのは針、またその一刺しのことで、"a stitch in the side"は急に脇腹に起こる「さしこみ」(激痛)ですが、"in stitches"というフレーズで複数形になると、笑い過ぎて腹が捩れるという意味になるのは興味深いところです。
日本の公道でのマリオカート体験を提供している業者が任天堂から知的財産権で訴えられたという話を聞いたことがあるように思うのですが、ニューヨークでは??
2020年8月24日月曜日
plexiglass
いわゆる「新しい日常」などと言われておりますが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大対策のひとつに、飛沫の拡散を防止するカーテンや衝立の設置があり、スーパーマーケットを始めとする店舗等では日常風景となった感があります。
具体的には、店舗の窓口やレジ、飲食店などで、人と人とが対面でやり取りを行う際にお互いに飛沫を受けることを防ぐために、カーテンを設置したりアクリル樹脂製の仕切板を設置しているところがほとんどです。
米フロリダ州の小学校では、各机に前と左右を取り囲むようにしてアクリル樹脂板を設置する取組みがメディアで取り上げられています。
各机にはジープに見えるような飾り付けがしてあり、学童に上がって間もない子ども達が違和感無く受け入れられるような工夫がされています。
(CNN) — Teachers across the United States are preparing to welcome students back to the classroom. But as coronavirus cases rise, many worry that young children's excitement will quickly turn into fear.
That's why two first grade teachers in DeLand, Florida, decided to transform their students' desks into little Jeeps.
Patricia Dovi, 35, and Kim Martin, 51, of St. Barnabas Episcopal School spent a week redesigning the desks, which feature construction paper tires, headlights and license plates. The desks have three-sided plastic dividers that serve as windshields and side windows as well as sneeze guards.
The desks, which are spaced far apart, are the only place where students are permitted to remove their face masks.
Martin said their goal was to create a space for students to feel comfortable while following health and safety guidelines.
"Our school gave us plexiglass tri-folds, which we felt would overwhelm our little ones. So we took the design and turned them into little Jeeps," Martin told CNN.
(Alaa Elassar. Two Florida teachers turned their students' desks into little Jeeps to make social distancing less scary. CNN. August 23, 2020.)
透明なアクリル樹脂製の仕切板のことを、
plexiglass
と表現しています。
実はこの"plexiglass"(プレキシグラス)というのは元々は商標名(Plexiglas)で、ドイツの化学メーカーが開発したものだそうです。
The generic term plexiglass comes from the trademark name Plexiglas, first used in 1933 by a German chemical company for a transparent acrylic that served as a glass substitute; one of the early uses was in airplane windows. Other trademarked names for acrylic glass include Acrylite, Lucite, and Persplex. In addition to its use in aircraft, plexiglass is used for camera lenses, car light covers, and medical devices for illuminating and visually inspecting interior organs.
(Merriam-Websterオンラインより引用)
"plexiglass"のplexi-は、恐らくラテン語のplectere(編む、織る)から来ていると思われ、plexusは撚り合わせたもの、という意味で、故に可塑性がある、曲げたり形を自由に成型できるという特徴があることを指しています。
新型コロナウィルス感染症の拡大の影響で、このプレキシグラスの需要が増大し、ちょっとしたバブルになっているという報道もあります。
A Plexiglass bubble could be the future of dining during the pandemic.
It's called the Plex'Eat, and it's designed to go over patrons' heads as they eat while it hangs from the ceiling. French designer Christophe Gernigon claims it can help protect customers from the coronavirus while they eat indoors.
The chandelier-like shades will cost business owners almost $200 each.
And it's one of the many plastic barriers companies are buying to ensure both customers and employees feel protected from transmission of the coronavirus.
(Restaurant owners hope plexiglass barriers are the future of indoor dining. Business Insider. August 12, 2020.)
記事によりますと、レストランで対面して食事をしている客の頭をすっぽりと覆うようにドーム状のプレキシグラスのカバーが天井から吊るされています。
コストは1つあたり約2万円。う~ん・・・。
具体的には、店舗の窓口やレジ、飲食店などで、人と人とが対面でやり取りを行う際にお互いに飛沫を受けることを防ぐために、カーテンを設置したりアクリル樹脂製の仕切板を設置しているところがほとんどです。
米フロリダ州の小学校では、各机に前と左右を取り囲むようにしてアクリル樹脂板を設置する取組みがメディアで取り上げられています。
各机にはジープに見えるような飾り付けがしてあり、学童に上がって間もない子ども達が違和感無く受け入れられるような工夫がされています。
(CNN) — Teachers across the United States are preparing to welcome students back to the classroom. But as coronavirus cases rise, many worry that young children's excitement will quickly turn into fear.
That's why two first grade teachers in DeLand, Florida, decided to transform their students' desks into little Jeeps.
Patricia Dovi, 35, and Kim Martin, 51, of St. Barnabas Episcopal School spent a week redesigning the desks, which feature construction paper tires, headlights and license plates. The desks have three-sided plastic dividers that serve as windshields and side windows as well as sneeze guards.
The desks, which are spaced far apart, are the only place where students are permitted to remove their face masks.
Martin said their goal was to create a space for students to feel comfortable while following health and safety guidelines.
"Our school gave us plexiglass tri-folds, which we felt would overwhelm our little ones. So we took the design and turned them into little Jeeps," Martin told CNN.
(Alaa Elassar. Two Florida teachers turned their students' desks into little Jeeps to make social distancing less scary. CNN. August 23, 2020.)
透明なアクリル樹脂製の仕切板のことを、
plexiglass
と表現しています。
実はこの"plexiglass"(プレキシグラス)というのは元々は商標名(Plexiglas)で、ドイツの化学メーカーが開発したものだそうです。
The generic term plexiglass comes from the trademark name Plexiglas, first used in 1933 by a German chemical company for a transparent acrylic that served as a glass substitute; one of the early uses was in airplane windows. Other trademarked names for acrylic glass include Acrylite, Lucite, and Persplex. In addition to its use in aircraft, plexiglass is used for camera lenses, car light covers, and medical devices for illuminating and visually inspecting interior organs.
(Merriam-Websterオンラインより引用)
"plexiglass"のplexi-は、恐らくラテン語のplectere(編む、織る)から来ていると思われ、plexusは撚り合わせたもの、という意味で、故に可塑性がある、曲げたり形を自由に成型できるという特徴があることを指しています。
新型コロナウィルス感染症の拡大の影響で、このプレキシグラスの需要が増大し、ちょっとしたバブルになっているという報道もあります。
A Plexiglass bubble could be the future of dining during the pandemic.
It's called the Plex'Eat, and it's designed to go over patrons' heads as they eat while it hangs from the ceiling. French designer Christophe Gernigon claims it can help protect customers from the coronavirus while they eat indoors.
The chandelier-like shades will cost business owners almost $200 each.
And it's one of the many plastic barriers companies are buying to ensure both customers and employees feel protected from transmission of the coronavirus.
(Restaurant owners hope plexiglass barriers are the future of indoor dining. Business Insider. August 12, 2020.)
記事によりますと、レストランで対面して食事をしている客の頭をすっぽりと覆うようにドーム状のプレキシグラスのカバーが天井から吊るされています。
コストは1つあたり約2万円。う~ん・・・。
2020年8月21日金曜日
もうひとつのBLM
今日のヘッドラインを斜め読みしていましたら、トランプ氏がグッドイヤータイヤにご立腹という記事が目に留まりました。
White House Press Secretary Kayleigh McEnany urged Goodyear to “clarify their policy” after President Trump urged Americans not to purchase tires from the company over a reported ban for employees on wearing MAGA hats and politically affiliated slogans, including “Blue Lives Matter.”
(Brooke Singman. White House urges Goodyear to 'clarify their policy,' calls Blue Lives Matter an 'equity issue'. Fox News. August 20, 2020.)
きっかけは、グッドイヤータイヤが従業員に対して、事業所内での政治的な主張に関するガイダンスを出したそうなのですが、その内容がトランプ氏の気に食わないものだったようです。
The back-and-forth began this week, after a Goodyear employee at a plant in Topeka, Kan., shared a slide that he said came from the company's corporate office in Akron, Ohio. The slide, reported by WIBW, showed two categories: Acceptable and Unacceptable.
Under “Acceptable” were Black Lives Matter (BLM) and Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender Pride (LGBT).
Under “Unacceptable” were Blue Lives Matter, All Lives Matter, MAGA and politically affiliated slogans or material.
(ibid.)
ガイダンスの中では、可(Acceptable)と不可(Unnacceptable)が示されていますが、「不可」とされているうち、"Blue Lives Matter"というものがあります。
"Black Lives Matter"は「可」になっており、これと対照される"Blue Lives Matter"とは何ぞや?と思ったところです。
知らなかったのですが、この"Blue Lives Matter"は少し前くらいから使われているようです。
Clashes between protesters and the police were familiar sights in the days after the death of George Floyd under the knee of a police officer. But a new kind of unrest has emerged in recent days: confrontations between New Yorkers who support law enforcement and those who are pressing for an overhaul of the Police Department.
(中略)
But the rallies, often known as “Back the Blue” or “Blue Lives Matter” events, have been met by Black Lives Matter backers — racially diverse groups of protesters who are outraged at gatherings that they see as undermining their own cause.
(‘Blue Lives Matter’ and ‘Defund the Police’ Clash in the Streets. New York Times. July 22, 2020.)
"Blue Lives Matter"なんて知りませんでしたが、"Back the Blue"とも呼ばれるこの運動は、"Black Lives Matter"とは真っ向から対抗して、警官と警察組織を擁護する政治的スローガンとなっているものです。
"Black~"も、"Blue~"も、略してしまうとどちらもBLMになってしまいますが、その主張は正反対で、まさにアメリカを真っ二つに分断する状況をよく表しているようです。
"blue"(青)については、恐らく警官の制服の色から来ているものと思われます。
White House Press Secretary Kayleigh McEnany urged Goodyear to “clarify their policy” after President Trump urged Americans not to purchase tires from the company over a reported ban for employees on wearing MAGA hats and politically affiliated slogans, including “Blue Lives Matter.”
(Brooke Singman. White House urges Goodyear to 'clarify their policy,' calls Blue Lives Matter an 'equity issue'. Fox News. August 20, 2020.)
きっかけは、グッドイヤータイヤが従業員に対して、事業所内での政治的な主張に関するガイダンスを出したそうなのですが、その内容がトランプ氏の気に食わないものだったようです。
The back-and-forth began this week, after a Goodyear employee at a plant in Topeka, Kan., shared a slide that he said came from the company's corporate office in Akron, Ohio. The slide, reported by WIBW, showed two categories: Acceptable and Unacceptable.
Under “Acceptable” were Black Lives Matter (BLM) and Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender Pride (LGBT).
Under “Unacceptable” were Blue Lives Matter, All Lives Matter, MAGA and politically affiliated slogans or material.
(ibid.)
ガイダンスの中では、可(Acceptable)と不可(Unnacceptable)が示されていますが、「不可」とされているうち、"Blue Lives Matter"というものがあります。
"Black Lives Matter"は「可」になっており、これと対照される"Blue Lives Matter"とは何ぞや?と思ったところです。
知らなかったのですが、この"Blue Lives Matter"は少し前くらいから使われているようです。
Clashes between protesters and the police were familiar sights in the days after the death of George Floyd under the knee of a police officer. But a new kind of unrest has emerged in recent days: confrontations between New Yorkers who support law enforcement and those who are pressing for an overhaul of the Police Department.
(中略)
But the rallies, often known as “Back the Blue” or “Blue Lives Matter” events, have been met by Black Lives Matter backers — racially diverse groups of protesters who are outraged at gatherings that they see as undermining their own cause.
(‘Blue Lives Matter’ and ‘Defund the Police’ Clash in the Streets. New York Times. July 22, 2020.)
"Blue Lives Matter"なんて知りませんでしたが、"Back the Blue"とも呼ばれるこの運動は、"Black Lives Matter"とは真っ向から対抗して、警官と警察組織を擁護する政治的スローガンとなっているものです。
"Black~"も、"Blue~"も、略してしまうとどちらもBLMになってしまいますが、その主張は正反対で、まさにアメリカを真っ二つに分断する状況をよく表しているようです。
"blue"(青)については、恐らく警官の制服の色から来ているものと思われます。
2020年8月20日木曜日
coulda shoulda woulda
今年のアメリカ大統領選の民主党候補にバイデン氏が正式に選出されたという記事を昨日取り上げました。
党大会というのは複数日程で開催されるということを知りませんでしたが、昨日はクリントン元大統領、カーター元大統領が寄せた応援スピーチが取り上げられていたところ、今日は前回の大統領選でトランプ氏と争ったヒラリー・クリントン氏が寄せたメッセージが取り上げられています。
Former Secretary of State Hillary Clinton is warning not to let 2020 be a 'coulda shoulda woulda election' and says people still come up to her they wish they had not voted for her 2016 rival Donald Trump.
The 2016 Democratic Party presidential nominee who won the popular vote but lost the election after failing to focus on some key states plans to tell convention viewers people come to her to justify their votes for Trump or express that they didn't cast a ballot.
'For four years, people have said to me, "I didn't realize how dangerous he was." "I wish I could go back and do it over." Or worst, "I should have voted," Clinton says in advance remarks released by the Joe Biden campaign.
'Well, this can't be another woulda coulda shoulda election. If you vote by mail, request your ballot now, and send it back as soon as you can,' she continues. 'If you vote in person, do it early. Bring a friend and wear a mask. Become a poll worker. Most of all, no matter what, vote. Vote like our lives and livelihoods are on the line, because they are.'
(Geoff Earle. Hillary Clinton will endorse Joe Biden at Democratic convention tonight four years after her stunning loss saying Donald Trump 'is who he is' and pleading with people to vote him out saying 'this is not a coulda, woulda, shoulda election'. Daily Mail. August 20, 2020.)
ヒラリー・クリントン氏のメッセージの中で、興味深い表現が使われています。同氏の発言で、
Well, this can't be another woulda coulda shoulda election.
という部分があり、記事引用部分の冒頭、また記事のタイトルで、この
coulda shoulda woulda
という表現がほとんどハイライトされるように取り上げられています。
言うまでも無いかもしれませんが、これらは、
could have...
should have...
would have...
というフレーズを約めて、
coulda
shoulda
woulda
としたもので、口語の表現です。
意味合いとしては、学校文法のおさらいのようですが、仮定法過去というやつですね。つまり、過去の事実の反対を述べるもので、分かりやすく言えば、
coulda (~出来たのに(出来なかった))
shoulda (~すべきだったのに(そうしなかった))
woulda (~したのに(結局そうしなかった))
ということです。
4年前の大統領選でトランプ氏に投票したことを悔いている人が相当数いる(はずだ)、今年の選挙は後になって投票しておけばよかった、とか民主党候補に投票すべきだった、とかいうことにならないようによく考えて投票すべきだ、ということを言っている訳です。(つまり、後になってウダウダ(“woulda”!?)、グダグダ(“coulda”!?)と言うことになるようではいけない、そんな選挙にしてしまってはならない、という警告の意味合いです。)
ちなみに、coulda...は書き言葉ではなく、フォーマルなものではないので辞書には載っていないのですが、Merriam-Webster Onlineによりますと、"could have"を約めて"coulda"のようにつづっているテキストは結構古くから存在するようです。
All three words are colloquialisms, and take their initial verb and add a final A as a shortening of the word have. None of them are what would be described as standard English, but, as is so often the case with such words, they have been around for a lot longer than any of the people who might complain about their use.
(Don't Let Reading This Be Another 'Coulda' 'Shoulda' 'Woulda')
現代では"coulda"、"shoulda"、"woulda"の3つを並べて畳みかけるような表現がほぼ定着しているようです。(引用した記事でもお分かりのように、その順序はまちまちですが。)
党大会というのは複数日程で開催されるということを知りませんでしたが、昨日はクリントン元大統領、カーター元大統領が寄せた応援スピーチが取り上げられていたところ、今日は前回の大統領選でトランプ氏と争ったヒラリー・クリントン氏が寄せたメッセージが取り上げられています。
Former Secretary of State Hillary Clinton is warning not to let 2020 be a 'coulda shoulda woulda election' and says people still come up to her they wish they had not voted for her 2016 rival Donald Trump.
The 2016 Democratic Party presidential nominee who won the popular vote but lost the election after failing to focus on some key states plans to tell convention viewers people come to her to justify their votes for Trump or express that they didn't cast a ballot.
'For four years, people have said to me, "I didn't realize how dangerous he was." "I wish I could go back and do it over." Or worst, "I should have voted," Clinton says in advance remarks released by the Joe Biden campaign.
'Well, this can't be another woulda coulda shoulda election. If you vote by mail, request your ballot now, and send it back as soon as you can,' she continues. 'If you vote in person, do it early. Bring a friend and wear a mask. Become a poll worker. Most of all, no matter what, vote. Vote like our lives and livelihoods are on the line, because they are.'
(Geoff Earle. Hillary Clinton will endorse Joe Biden at Democratic convention tonight four years after her stunning loss saying Donald Trump 'is who he is' and pleading with people to vote him out saying 'this is not a coulda, woulda, shoulda election'. Daily Mail. August 20, 2020.)
ヒラリー・クリントン氏のメッセージの中で、興味深い表現が使われています。同氏の発言で、
Well, this can't be another woulda coulda shoulda election.
という部分があり、記事引用部分の冒頭、また記事のタイトルで、この
coulda shoulda woulda
という表現がほとんどハイライトされるように取り上げられています。
言うまでも無いかもしれませんが、これらは、
could have...
should have...
would have...
というフレーズを約めて、
coulda
shoulda
woulda
としたもので、口語の表現です。
意味合いとしては、学校文法のおさらいのようですが、仮定法過去というやつですね。つまり、過去の事実の反対を述べるもので、分かりやすく言えば、
coulda (~出来たのに(出来なかった))
shoulda (~すべきだったのに(そうしなかった))
woulda (~したのに(結局そうしなかった))
ということです。
4年前の大統領選でトランプ氏に投票したことを悔いている人が相当数いる(はずだ)、今年の選挙は後になって投票しておけばよかった、とか民主党候補に投票すべきだった、とかいうことにならないようによく考えて投票すべきだ、ということを言っている訳です。(つまり、後になってウダウダ(“woulda”!?)、グダグダ(“coulda”!?)と言うことになるようではいけない、そんな選挙にしてしまってはならない、という警告の意味合いです。)
ちなみに、coulda...は書き言葉ではなく、フォーマルなものではないので辞書には載っていないのですが、Merriam-Webster Onlineによりますと、"could have"を約めて"coulda"のようにつづっているテキストは結構古くから存在するようです。
All three words are colloquialisms, and take their initial verb and add a final A as a shortening of the word have. None of them are what would be described as standard English, but, as is so often the case with such words, they have been around for a lot longer than any of the people who might complain about their use.
(Don't Let Reading This Be Another 'Coulda' 'Shoulda' 'Woulda')
現代では"coulda"、"shoulda"、"woulda"の3つを並べて畳みかけるような表現がほぼ定着しているようです。(引用した記事でもお分かりのように、その順序はまちまちですが。)
2020年8月19日水曜日
skewer
11月に予定されているアメリカ大統領選を前に、民主党の党大会が開催され、バイデン氏が正式に民主党候補者として選出されました。(もはや、"presumptive"ではありません。)
新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて、党大会そのものはバーチャル(オンライン)での開催となったようです。
バイデン氏の応援に、クリントン元大統領、カーター元大統領がスピーチを寄せましたが、その内容はトランプ大統領に対する痛烈な批判を含むものでした。
Former President Bill Clinton took aim at President Trump in pointed terms on Tuesday, in his brief address at the Democratic National Convention.
Pointing to Trump, the former president argued that “if you want a president who defines the job as spending hours a day watching TV and zapping people on social media, he’s your man. Denying, distracting, and demeaning works great if you’re trying to entertain and inflame. But in a real crisis, it collapses like a house of cards.”
And criticizing the president’s handling of the coronavirus pandemic, Clinton spotlighted that the U.S. has “just 4 percent of the world’s population, but 25 percent of the world’s COVID cases. Donald Trump says we’re leading the world. Well, we are the only major industrial economy to have its unemployment rate triple.”
“At a time like this, the Oval Office should be a command center. Instead, it’s a storm center. There’s only chaos. Just one thing never changes—his determination to deny responsibility and shift the blame. The buck never stops there,” the former president said.
(Paul Steinhauser. Bill Clinton skewers Trump in convention address: ‘The buck never stops there’. Fox News. August 18, 2020.)
クリントン氏は、トランプ氏の新型コロナウィルス対策が不十分であることを指摘し、また同氏が責任を負わず、周囲の誹謗中傷に終始していると、鋭く批判しました。
そして、バイデン氏については、仕事をちゃんとやる、責任逃れをしない、大統領に相応しい男だと持ち上げています。
記事のタイトルで、
Bill Clinton skewers Trump in convention address
とあります。
"skewer"というのは、肉を焼く時に使う串のことですが、鋭く批判する(To ridicule or criticize harshly)という意味の動詞でもあります。
記事の冒頭部分では、
Former President Bill Clinton took aim at President Trump in pointed terms
とあり、この"take aim at"(ねらいを定める)に相当するところですが、"in pointed terms"(辛辣な言葉で)という意味合いも含めて、"skewer"の1語で表現しています。
新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて、党大会そのものはバーチャル(オンライン)での開催となったようです。
バイデン氏の応援に、クリントン元大統領、カーター元大統領がスピーチを寄せましたが、その内容はトランプ大統領に対する痛烈な批判を含むものでした。
Former President Bill Clinton took aim at President Trump in pointed terms on Tuesday, in his brief address at the Democratic National Convention.
Pointing to Trump, the former president argued that “if you want a president who defines the job as spending hours a day watching TV and zapping people on social media, he’s your man. Denying, distracting, and demeaning works great if you’re trying to entertain and inflame. But in a real crisis, it collapses like a house of cards.”
And criticizing the president’s handling of the coronavirus pandemic, Clinton spotlighted that the U.S. has “just 4 percent of the world’s population, but 25 percent of the world’s COVID cases. Donald Trump says we’re leading the world. Well, we are the only major industrial economy to have its unemployment rate triple.”
“At a time like this, the Oval Office should be a command center. Instead, it’s a storm center. There’s only chaos. Just one thing never changes—his determination to deny responsibility and shift the blame. The buck never stops there,” the former president said.
(Paul Steinhauser. Bill Clinton skewers Trump in convention address: ‘The buck never stops there’. Fox News. August 18, 2020.)
クリントン氏は、トランプ氏の新型コロナウィルス対策が不十分であることを指摘し、また同氏が責任を負わず、周囲の誹謗中傷に終始していると、鋭く批判しました。
そして、バイデン氏については、仕事をちゃんとやる、責任逃れをしない、大統領に相応しい男だと持ち上げています。
記事のタイトルで、
Bill Clinton skewers Trump in convention address
とあります。
"skewer"というのは、肉を焼く時に使う串のことですが、鋭く批判する(To ridicule or criticize harshly)という意味の動詞でもあります。
記事の冒頭部分では、
Former President Bill Clinton took aim at President Trump in pointed terms
とあり、この"take aim at"(ねらいを定める)に相当するところですが、"in pointed terms"(辛辣な言葉で)という意味合いも含めて、"skewer"の1語で表現しています。
2020年8月18日火曜日
酷暑 ― scorcher
日本列島では猛暑が続いています。
昨夕のニュースでは、浜松で最高気温41.1度を記録し、埼玉県熊谷市で2018年7月に観測された最高気温タイを記録したというニュースでした。
猛暑のニュースは日本国内に限らず、海の向こうのアメリカでも大変な暑さに喘いでいるようです。
Parts of the Southern California desert experienced record-breaking heat on Sunday with Death Valley hitting 130 degrees — the hottest temperature the area has recorded since July 1913, according to the National Weather Service.
While other areas didn't experience that drastic of a scorcher, the whole state is still in the midst of a heatwave, and most of Southern California is under an excessive heat warning through 10 p.m. Thursday. Hot and humid conditions are expected for the rest of the week for the Coachella Valley with temperatures hovering between 113 and 117 degrees.
(Colin Atagi. Death Valley hits record 130 on Sunday; Indio, Thermal also set records. Palm Springs Dessert Sun. August 17, 2020.)
カリフォルニア州南部のDeath Valleyは砂漠の広がる、アメリカ国内でも気温が高温となることで知られる国立公園ですが、週末日曜日に華氏130度以上(摂氏では何と54.4度!)を記録したということです。
さて、暑いのを表現するのに、猛暑では足らず、酷暑などとも言いますが、引用した記事では、
scorcher
という表現が使われています。
"scorch"という動詞は見たことがあります。表面を焦がすとか炙るという意味の動詞です。
その"scorch"に名詞を形成する接尾辞-erを付けたものが"scorcher"ですが、ランダムハウス英和辞書では「酷暑の日」とあります。
気象庁の用語では気温35度以上を「猛暑日」と言い、「酷暑日」というのは非公式な表現だそうです。
暑い!を表現するのに、“swelter”、“sizzle”も参考にどうぞ。
昨夕のニュースでは、浜松で最高気温41.1度を記録し、埼玉県熊谷市で2018年7月に観測された最高気温タイを記録したというニュースでした。
猛暑のニュースは日本国内に限らず、海の向こうのアメリカでも大変な暑さに喘いでいるようです。
Parts of the Southern California desert experienced record-breaking heat on Sunday with Death Valley hitting 130 degrees — the hottest temperature the area has recorded since July 1913, according to the National Weather Service.
While other areas didn't experience that drastic of a scorcher, the whole state is still in the midst of a heatwave, and most of Southern California is under an excessive heat warning through 10 p.m. Thursday. Hot and humid conditions are expected for the rest of the week for the Coachella Valley with temperatures hovering between 113 and 117 degrees.
(Colin Atagi. Death Valley hits record 130 on Sunday; Indio, Thermal also set records. Palm Springs Dessert Sun. August 17, 2020.)
カリフォルニア州南部のDeath Valleyは砂漠の広がる、アメリカ国内でも気温が高温となることで知られる国立公園ですが、週末日曜日に華氏130度以上(摂氏では何と54.4度!)を記録したということです。
さて、暑いのを表現するのに、猛暑では足らず、酷暑などとも言いますが、引用した記事では、
scorcher
という表現が使われています。
"scorch"という動詞は見たことがあります。表面を焦がすとか炙るという意味の動詞です。
その"scorch"に名詞を形成する接尾辞-erを付けたものが"scorcher"ですが、ランダムハウス英和辞書では「酷暑の日」とあります。
気象庁の用語では気温35度以上を「猛暑日」と言い、「酷暑日」というのは非公式な表現だそうです。
暑い!を表現するのに、“swelter”、“sizzle”も参考にどうぞ。
2020年8月17日月曜日
twindemic
遅い梅雨明けから、日本列島では最高気温が40度を超す地点が出るなど、酷暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
夏の猛烈な暑さが退くのはいつになるのかと毎年この時期に思いますが、今年は特に厳しいように感じるのは年のせいでしょうか。
暑い暑いと言いながら、涼しくなってくると行く夏を名残惜しいように思うのも分かっているので、まったく身勝手なものです。
今日の話題はインフルエンザなんですが、この暑さの中ではかなり気の早いようではありますが、コロナ禍の今年にあって今冬のインフルエンザ予防は特別な意味があります。
As public health officials look to fall and winter, the specter of a new surge of Covid-19 gives them chills. But there is a scenario they dread even more: a severe flu season, resulting in a “twindemic.”
Even a mild flu season could stagger hospitals already coping with Covid-19 cases. And though officials don’t know yet what degree of severity to anticipate this year, they are worried large numbers of people could forgo flu shots, increasing the risk of widespread outbreaks.
The concern about a twindemic is so great that officials around the world are pushing the flu shot even before it becomes available in clinics and doctors’ offices. Dr. Robert Redfield, director of the U.S. Centers for Disease Control and Prevention has been talking it up, urging corporate leaders to figure out ways to inoculate employees. The C.D.C. usually purchases 500,000 doses for uninsured adults but this year ordered an additional 9.3 million doses.
Dr. Anthony Fauci, director of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases, has been imploring people to get the flu shot, “so that you could at least blunt the effect of one of those two potential respiratory infections.”
(Jan Hoffman. Fearing a ‘Twindemic,’ Health Experts Push Urgently for Flu Shots. New York Times. April 16, 2020.)
ツインデミック("twindemic")なる造語が新たに現れたようです。
説明は不要かも知れませんが、"twin"(対をなす、連結する)とパンデミック("pandemic")という2つの単語から成り立っています。
新型コロナウィルス感染症の拡大に加えて、インフルエンザの流行が深刻になると、医療現場にはダブルパンチになってしまう恐れがあります。
専門家の間では、コロナ禍でインフルエンザ予防接種を控える傾向が予測されるため、積極的、かつ早めの予防接種を呼び掛けているそうです。
夏の猛烈な暑さが退くのはいつになるのかと毎年この時期に思いますが、今年は特に厳しいように感じるのは年のせいでしょうか。
暑い暑いと言いながら、涼しくなってくると行く夏を名残惜しいように思うのも分かっているので、まったく身勝手なものです。
今日の話題はインフルエンザなんですが、この暑さの中ではかなり気の早いようではありますが、コロナ禍の今年にあって今冬のインフルエンザ予防は特別な意味があります。
As public health officials look to fall and winter, the specter of a new surge of Covid-19 gives them chills. But there is a scenario they dread even more: a severe flu season, resulting in a “twindemic.”
Even a mild flu season could stagger hospitals already coping with Covid-19 cases. And though officials don’t know yet what degree of severity to anticipate this year, they are worried large numbers of people could forgo flu shots, increasing the risk of widespread outbreaks.
The concern about a twindemic is so great that officials around the world are pushing the flu shot even before it becomes available in clinics and doctors’ offices. Dr. Robert Redfield, director of the U.S. Centers for Disease Control and Prevention has been talking it up, urging corporate leaders to figure out ways to inoculate employees. The C.D.C. usually purchases 500,000 doses for uninsured adults but this year ordered an additional 9.3 million doses.
Dr. Anthony Fauci, director of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases, has been imploring people to get the flu shot, “so that you could at least blunt the effect of one of those two potential respiratory infections.”
(Jan Hoffman. Fearing a ‘Twindemic,’ Health Experts Push Urgently for Flu Shots. New York Times. April 16, 2020.)
ツインデミック("twindemic")なる造語が新たに現れたようです。
説明は不要かも知れませんが、"twin"(対をなす、連結する)とパンデミック("pandemic")という2つの単語から成り立っています。
新型コロナウィルス感染症の拡大に加えて、インフルエンザの流行が深刻になると、医療現場にはダブルパンチになってしまう恐れがあります。
専門家の間では、コロナ禍でインフルエンザ予防接種を控える傾向が予測されるため、積極的、かつ早めの予防接種を呼び掛けているそうです。
2020年8月14日金曜日
long spoon
スプーンの比喩表現、5日目です。
さて、この表現もお手持ちの辞書には載っているのではないかと思います。少し長いのですが、
It takes a long spoon to sup with the devil.
あるいは、
He who sups with the devil should have a long spoon.
というものです。
直訳すると、悪魔と食事をする際には長いスプーンが要る、ということになりますが、何を言わんとしているのでしょうか。
悪魔が出てくるあたり、いかにも西洋的というか、聖書を想起させられる感じがします。日本人にしてみれば鬼とか妖怪、タヌキやキツネの方が馴染があるところかも知れません。
その悪魔とか鬼とかと一緒に食事をするというのはどういうシチュエーションなのか、これも想像しにくいところですが、悪魔や鬼の方が我々よりも一枚も二枚も上手だろうということは何となく分かりますね。
つまり、騙されないように、相手のペースに乗せられないように、慎重になる必要がある、うんと用心する必要がある、というのがこのフレーズの言わんとするところのようです。
一癖も二癖もある相手とのやり取りには十分用心してかかれ、というような意味で使われるようなので、政治のコンテクストなどではぴったり(!?)です。
Opposition leaders attacked Boris Johnson for his closeness to Donald Trump on the eve of the US president’s visit to the UK for a Nato summit, as politicians clashed in a seven-way television debate.
Labour, the Liberal Democrats, the SNP, the Greens and Plaid Cymru all expressed concern about the prime minister’s relationship with Trump, with Nicola Sturgeon saying he should “sup with a very long spoon” in dealing with him.
(Parties attack Boris Johnson and Nigel Farage over Donald Trump ties. The Guardian. December 1, 2019.)
ニュース記事検索では卑近な話題のものがありましたので、もう一つ引用します。
Yesterday, in the latest tranche of jaw-dropping details, we learned that Meghan, when filming her legal TV drama Suits in Toronto, would ‘occasionally set up a paparazzi photo here and there or let info slip out to the Press’.
So much for jealously guarding one’s privacy! Diana did exactly the same.
She frequently passed stories — often seeking to cast her husband Charles in a bad light — to favoured journalists.
But if you sup with the devil, you need a very long spoon, and there were times when this cosy relationship with the Fourth Estate backfired on her spectacularly — when the Press wrote unflattering things about her.
Diana, like Meghan, delighted in reading her own positive coverage — but found any criticism extremely hard to swallow.
(Penny Junor. I fear Prince Harry and Meghan Markle have learned NOTHING from Diana’s ‘true story’, writes top royal biographer PENNY JUNOR in a stark and sorrowful warning. Daily Mail. July 27, 2020.)
ところで、なぜ“long spoon”、なのかという疑問が沸くと思います。柄の長いスプーンをイメージするのですが、なぜそれが騙されないために必要なのでしょう?
相手と距離を取るために必要な長さであるとか、悪魔がこっそりクスリなどを混入させないようにするためであるとか、諸説あるようですが、明確な由来は無いようです。
さて、この表現もお手持ちの辞書には載っているのではないかと思います。少し長いのですが、
It takes a long spoon to sup with the devil.
あるいは、
He who sups with the devil should have a long spoon.
というものです。
直訳すると、悪魔と食事をする際には長いスプーンが要る、ということになりますが、何を言わんとしているのでしょうか。
悪魔が出てくるあたり、いかにも西洋的というか、聖書を想起させられる感じがします。日本人にしてみれば鬼とか妖怪、タヌキやキツネの方が馴染があるところかも知れません。
その悪魔とか鬼とかと一緒に食事をするというのはどういうシチュエーションなのか、これも想像しにくいところですが、悪魔や鬼の方が我々よりも一枚も二枚も上手だろうということは何となく分かりますね。
つまり、騙されないように、相手のペースに乗せられないように、慎重になる必要がある、うんと用心する必要がある、というのがこのフレーズの言わんとするところのようです。
一癖も二癖もある相手とのやり取りには十分用心してかかれ、というような意味で使われるようなので、政治のコンテクストなどではぴったり(!?)です。
Opposition leaders attacked Boris Johnson for his closeness to Donald Trump on the eve of the US president’s visit to the UK for a Nato summit, as politicians clashed in a seven-way television debate.
Labour, the Liberal Democrats, the SNP, the Greens and Plaid Cymru all expressed concern about the prime minister’s relationship with Trump, with Nicola Sturgeon saying he should “sup with a very long spoon” in dealing with him.
(Parties attack Boris Johnson and Nigel Farage over Donald Trump ties. The Guardian. December 1, 2019.)
ニュース記事検索では卑近な話題のものがありましたので、もう一つ引用します。
Yesterday, in the latest tranche of jaw-dropping details, we learned that Meghan, when filming her legal TV drama Suits in Toronto, would ‘occasionally set up a paparazzi photo here and there or let info slip out to the Press’.
So much for jealously guarding one’s privacy! Diana did exactly the same.
She frequently passed stories — often seeking to cast her husband Charles in a bad light — to favoured journalists.
But if you sup with the devil, you need a very long spoon, and there were times when this cosy relationship with the Fourth Estate backfired on her spectacularly — when the Press wrote unflattering things about her.
Diana, like Meghan, delighted in reading her own positive coverage — but found any criticism extremely hard to swallow.
(Penny Junor. I fear Prince Harry and Meghan Markle have learned NOTHING from Diana’s ‘true story’, writes top royal biographer PENNY JUNOR in a stark and sorrowful warning. Daily Mail. July 27, 2020.)
ところで、なぜ“long spoon”、なのかという疑問が沸くと思います。柄の長いスプーンをイメージするのですが、なぜそれが騙されないために必要なのでしょう?
相手と距離を取るために必要な長さであるとか、悪魔がこっそりクスリなどを混入させないようにするためであるとか、諸説あるようですが、明確な由来は無いようです。
2020年8月13日木曜日
wooden spoon
今週はスプーンの比喩表現を特集していますが、4日目の今日取り上げるのは"wooden spoon"という表現です。
"wooden spoon"とは、負けていることを言います。
それも単に負けているというのではなく、最下位、ビリ、という意味です。
特にスポーツなどの競技のコンテクストで使われることが多いようです。
When asked what were some of the first steps he would take to help turn around the fortunes of the glamour club, which is now a serious wooden spoon contender, Ikin said he would turn his energies to trying to engineer a rebound of the team's fortunes on the field.
(Phil Lutton. Ben Ikin makes official play for Broncos chief executive role. Sydney Morning Herald. August 11, 2020.)
Collins Cobuild Dictionary of Idiomsの解説には以下のようにあります。
If someone is last in a race or competition or is the worst at a particular activity, you can say that they get the wooden spoon.
イギリス英語の表現だということです。
文字通りには、木製のスプーン、ということになりますが、これと対をなすのが"silver spoon"です。
先日、"stick one's spoon in the wall"という表現を取り上げた際、生きる(生きている)ことのメタファーとしてのスプーンに触れましたが、そのスプーンが木製か銀製か、という対比では、銀製のスプーンを生まれた子に与えることに込められた希望や願いを見て取ることができるでしょう。
さて、木製のスプーンについては、英国では最下位に対する賞として"wooden spoon"を贈る文化があるそうで、ラグビーなどのスポーツのみならず、例えばケンブリッジ大学では成績最下位の学生にこの"wooden spoon"を授与する習慣があったそうです。
"wooden spoon"とは、負けていることを言います。
それも単に負けているというのではなく、最下位、ビリ、という意味です。
特にスポーツなどの競技のコンテクストで使われることが多いようです。
When asked what were some of the first steps he would take to help turn around the fortunes of the glamour club, which is now a serious wooden spoon contender, Ikin said he would turn his energies to trying to engineer a rebound of the team's fortunes on the field.
(Phil Lutton. Ben Ikin makes official play for Broncos chief executive role. Sydney Morning Herald. August 11, 2020.)
Collins Cobuild Dictionary of Idiomsの解説には以下のようにあります。
If someone is last in a race or competition or is the worst at a particular activity, you can say that they get the wooden spoon.
イギリス英語の表現だということです。
文字通りには、木製のスプーン、ということになりますが、これと対をなすのが"silver spoon"です。
先日、"stick one's spoon in the wall"という表現を取り上げた際、生きる(生きている)ことのメタファーとしてのスプーンに触れましたが、そのスプーンが木製か銀製か、という対比では、銀製のスプーンを生まれた子に与えることに込められた希望や願いを見て取ることができるでしょう。
さて、木製のスプーンについては、英国では最下位に対する賞として"wooden spoon"を贈る文化があるそうで、ラグビーなどのスポーツのみならず、例えばケンブリッジ大学では成績最下位の学生にこの"wooden spoon"を授与する習慣があったそうです。
2020年8月12日水曜日
make a spoon or spoil a horn
スプーンの比喩表現、3日目です。
この表現は中辞典以上の英和辞書には大抵載っているようです。
make a spoon or spoil a horn
スプーンを作るか、もしくは角を台無しにするか、というのが直訳ですが、日本語では、一か八かやってみる、伸るか反るかやってみる、という意味です。
しかしながら、この表現も実用例としてはお目にかかることはかなり少ないのではないかと思われます。当ブログはAuthenticなソースからの実用例と一緒にお届けすることをモットーにしているところ、その実用例をご紹介できないのは大変申し訳なく思うのですが、この表現の由来について触れることでご容赦頂きたいと思います。
「スプーン」か「角」か、というところがピンと来ないと思うのではないかと思いますが、スプーンの歴史は古く、かつては牛や羊など、動物の角から作っていたんですね。
“Spoons were invented by many cultures around the world,” says Marc Levine, assistant curator of Mesoamerican Archaeology at the Denver Museum of Nature & Science. “People made spoons from natural materials (like) seashells and modified animal horns.
(Tucker Shaw. The disappearing spoon: The once-ubiquitous utensil is being driven from tabletops. Denver Post. January 24, 2011.)
全文はこちら。
牛や羊などの家畜の角を削ってスプーンを作っていたのだと想像されます。一頭分の角からスプーンを何本作れたのか分かりませんが、作りそこなったら材料が台無しです。
故に、失敗するリスクもある、ということになりますが、そこから少し飛躍して、一か八かやってみる、という意味になったのでしょう。
この表現は中辞典以上の英和辞書には大抵載っているようです。
make a spoon or spoil a horn
スプーンを作るか、もしくは角を台無しにするか、というのが直訳ですが、日本語では、一か八かやってみる、伸るか反るかやってみる、という意味です。
しかしながら、この表現も実用例としてはお目にかかることはかなり少ないのではないかと思われます。当ブログはAuthenticなソースからの実用例と一緒にお届けすることをモットーにしているところ、その実用例をご紹介できないのは大変申し訳なく思うのですが、この表現の由来について触れることでご容赦頂きたいと思います。
「スプーン」か「角」か、というところがピンと来ないと思うのではないかと思いますが、スプーンの歴史は古く、かつては牛や羊など、動物の角から作っていたんですね。
“Spoons were invented by many cultures around the world,” says Marc Levine, assistant curator of Mesoamerican Archaeology at the Denver Museum of Nature & Science. “People made spoons from natural materials (like) seashells and modified animal horns.
(Tucker Shaw. The disappearing spoon: The once-ubiquitous utensil is being driven from tabletops. Denver Post. January 24, 2011.)
全文はこちら。
牛や羊などの家畜の角を削ってスプーンを作っていたのだと想像されます。一頭分の角からスプーンを何本作れたのか分かりませんが、作りそこなったら材料が台無しです。
故に、失敗するリスクもある、ということになりますが、そこから少し飛躍して、一か八かやってみる、という意味になったのでしょう。
2020年8月11日火曜日
stick one's spoon in the wall
昨日の投稿からスプーン(spoon)の比喩表現を取り上げています。
きっかけが、昨日取り上げた記事で使われていた、"stick one's spoon in"というフレーズだったのですが、恐らくは"stick one's knife in"というフレーズの"knife"を、記事のテーマに合わせて"spoon"に代えたのではないかと。
ところで、最初は"stick one's spoon in"で一生懸命に辞書を引いたり、検索したり、としていたのですが、辞書には載っていないところ、ネットでは、
stick one's spoon in the wall
という結果が多く表示されたということがあります。
この表現も非常に珍しいものだと思いますが、いくつか拾い読みしてみますと、
Stick your spoon in the wall, to die. Where did this saying originate?
It orginated in the Royal Navy and British Army at least by 1825. Then it meant one would have no need of a spoon at mess, that is they were either dead or such.
(phrases.co.ukのサイトより引用)
という解説から、死ぬという意味のようです。
イギリス英語のスラングらしく、この表現の実例にお目にかかることはまずないように思われます。
When I examined the wonderful collection of glossaries of county dialects I realised just how monastic was the zeal with which the Victorian lexicographers went about their compiling. Just as they collected the rocks, butterflies and ancient antiquities that now fill our museums, so (predominantly between 1850 and 1880) they went around collecting examples of local dialect from every county in England and several in Scotland – and even some specific industrial communities such as the mining villages of Yorkshire and Durham.
I learned much about the British character through the English language.
(中略)
Another predilection is the use of euphemisms, a result of delicacy and manners:
(中略)
The final dying action of the body is also something that people prefer not to confront directly, as the following euphemisms for dying attest: stick one's spoon in the wall (1800s); go west (Cockney); go trumpet-cleaning (late 19th century: the trumpeter being the angel Gabriel); drop one's leaf (c1820) or take the everlasting knock (1889) although perhaps the most poetic is to faint away in this vale of tears (Brompton Cemetery, London 1896).
(What Britain's county dialects can tell us about the national character. The Guardian. April 4, 2014.)
グーグルのニュース記事検索では、このフレーズを取り上げている下記のような記事もヒットしました。
(Arika Okrent. 35 Creative Slang Terms for Death From the Past 600 Years. Mental Floss. October 2, 2015.)
ところで、"stick one's spoon in the wall"がなぜ「死ぬ」という意味になるのでしょう?
上に引用したphrases.co.ukのサイトによると、食べるための道具としての「スプーン」を壁に突き刺す、というのはスプーンを最早使わなくなるということ、つまりもう食べることがない、死ぬ、ということを婉曲的に表現したもの(euphemism)ということのようです。
きっかけが、昨日取り上げた記事で使われていた、"stick one's spoon in"というフレーズだったのですが、恐らくは"stick one's knife in"というフレーズの"knife"を、記事のテーマに合わせて"spoon"に代えたのではないかと。
ところで、最初は"stick one's spoon in"で一生懸命に辞書を引いたり、検索したり、としていたのですが、辞書には載っていないところ、ネットでは、
stick one's spoon in the wall
という結果が多く表示されたということがあります。
この表現も非常に珍しいものだと思いますが、いくつか拾い読みしてみますと、
Stick your spoon in the wall, to die. Where did this saying originate?
It orginated in the Royal Navy and British Army at least by 1825. Then it meant one would have no need of a spoon at mess, that is they were either dead or such.
(phrases.co.ukのサイトより引用)
という解説から、死ぬという意味のようです。
イギリス英語のスラングらしく、この表現の実例にお目にかかることはまずないように思われます。
When I examined the wonderful collection of glossaries of county dialects I realised just how monastic was the zeal with which the Victorian lexicographers went about their compiling. Just as they collected the rocks, butterflies and ancient antiquities that now fill our museums, so (predominantly between 1850 and 1880) they went around collecting examples of local dialect from every county in England and several in Scotland – and even some specific industrial communities such as the mining villages of Yorkshire and Durham.
I learned much about the British character through the English language.
(中略)
Another predilection is the use of euphemisms, a result of delicacy and manners:
(中略)
The final dying action of the body is also something that people prefer not to confront directly, as the following euphemisms for dying attest: stick one's spoon in the wall (1800s); go west (Cockney); go trumpet-cleaning (late 19th century: the trumpeter being the angel Gabriel); drop one's leaf (c1820) or take the everlasting knock (1889) although perhaps the most poetic is to faint away in this vale of tears (Brompton Cemetery, London 1896).
(What Britain's county dialects can tell us about the national character. The Guardian. April 4, 2014.)
グーグルのニュース記事検索では、このフレーズを取り上げている下記のような記事もヒットしました。
(Arika Okrent. 35 Creative Slang Terms for Death From the Past 600 Years. Mental Floss. October 2, 2015.)
ところで、"stick one's spoon in the wall"がなぜ「死ぬ」という意味になるのでしょう?
上に引用したphrases.co.ukのサイトによると、食べるための道具としての「スプーン」を壁に突き刺す、というのはスプーンを最早使わなくなるということ、つまりもう食べることがない、死ぬ、ということを婉曲的に表現したもの(euphemism)ということのようです。
ラベル:
スプーン,
英俗語,
辞書に載っていない表現,
婉曲表現
2020年8月10日月曜日
スプーンの比喩 ー stick spoon in
夏本番、お盆休みはいかがお過ごしでしょうか。
先日ヘッドラインを斜め読みしていましたら、正しいお茶の入れ方、みたいな記事が目に留まりました。
日本の茶道ではありませんけれども、英国式の喫茶にも伝統やマナーみたいなものが厳然としてあるというのは聞いたことがあります。
記事で話題にしているのは、お湯をどのように沸かすか、という問題です。
(CNN) An American woman's TikTok guide to making hot tea that went viral in June had Brits tut-tutting in horror over their morning cuppa -- largely because of the controversial use of a microwave rather than a kettle to heat water.
The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident, with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in and the British military summoned to explain the "correct" technique.
Now scientists have waded into the debate, apparently confirming what many Brits have known instinctively for years -- water heated in a microwave just isn't the same.
(Katie Hunt. The correct way to make tea? Science weighs in on microwaving vs. kettle. CNN. August 4, 2020.)
引用したのは記事の冒頭部分ですが、お湯の話題だけに色々と表現が工夫されており、しゃれが利いていますね。
結論としては、電子レンジでお湯を沸かすのと、やかんをつかうのとではお湯の質が異なる、ということのようで、直感的に確かにそのような気もするのですが、科学的にも説明がつくらしいです。
ところで今日取り上げようと思っている表現は、
with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in
というくだりの、”stick(ing) spoon in”という表現です。
先程、しゃれが利いていると書きましたが、お茶の入れ方を話題にした記事だけに、
議論が「沸騰」(”The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident”)
とか、ある中、“stick one’s spoon in”も同様の意図があってここで使われているのだろうと直感的に想像しましたが、辞書にそのようなフレーズは載っていません。
色々な辞書に当たり、またネットで検索などもしてみましたが、記事のコンテクストに沿うようなフレーズとしては見つけられませんでした。
その代わり、と言いますか、スプーンじゃないのなら、フォークはどうだ、ナイフは?と調べて行くと、
stick one’s knife in
というフレーズがあり、
If someone puts the knife in or stick the knife in, they deliberately do or say things which will upset another person or cause problems for them
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms)
という意味でした。
なるほど、記事のコンテクストにも合うように思われますが、記事のライターは“knife”を敢えて“spoon”に変えてしゃれを利かせたかったのでしょうか。
という顛末で、正しい表現(!?)としては、“stick one’s knife in”ということになるのですが、「スプーン」(spoon)を使った比喩的表現に色々興味深いものがあることが今回の記事をきっかけとして分かったことから、今週はスプーンの表現を取り上げてみたいと思います。
先日ヘッドラインを斜め読みしていましたら、正しいお茶の入れ方、みたいな記事が目に留まりました。
日本の茶道ではありませんけれども、英国式の喫茶にも伝統やマナーみたいなものが厳然としてあるというのは聞いたことがあります。
記事で話題にしているのは、お湯をどのように沸かすか、という問題です。
(CNN) An American woman's TikTok guide to making hot tea that went viral in June had Brits tut-tutting in horror over their morning cuppa -- largely because of the controversial use of a microwave rather than a kettle to heat water.
The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident, with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in and the British military summoned to explain the "correct" technique.
Now scientists have waded into the debate, apparently confirming what many Brits have known instinctively for years -- water heated in a microwave just isn't the same.
(Katie Hunt. The correct way to make tea? Science weighs in on microwaving vs. kettle. CNN. August 4, 2020.)
引用したのは記事の冒頭部分ですが、お湯の話題だけに色々と表現が工夫されており、しゃれが利いていますね。
結論としては、電子レンジでお湯を沸かすのと、やかんをつかうのとではお湯の質が異なる、ということのようで、直感的に確かにそのような気もするのですが、科学的にも説明がつくらしいです。
ところで今日取り上げようと思っている表現は、
with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in
というくだりの、”stick(ing) spoon in”という表現です。
先程、しゃれが利いていると書きましたが、お茶の入れ方を話題にした記事だけに、
議論が「沸騰」(”The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident”)
とか、ある中、“stick one’s spoon in”も同様の意図があってここで使われているのだろうと直感的に想像しましたが、辞書にそのようなフレーズは載っていません。
色々な辞書に当たり、またネットで検索などもしてみましたが、記事のコンテクストに沿うようなフレーズとしては見つけられませんでした。
その代わり、と言いますか、スプーンじゃないのなら、フォークはどうだ、ナイフは?と調べて行くと、
stick one’s knife in
というフレーズがあり、
If someone puts the knife in or stick the knife in, they deliberately do or say things which will upset another person or cause problems for them
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms)
という意味でした。
なるほど、記事のコンテクストにも合うように思われますが、記事のライターは“knife”を敢えて“spoon”に変えてしゃれを利かせたかったのでしょうか。
という顛末で、正しい表現(!?)としては、“stick one’s knife in”ということになるのですが、「スプーン」(spoon)を使った比喩的表現に色々興味深いものがあることが今回の記事をきっかけとして分かったことから、今週はスプーンの表現を取り上げてみたいと思います。
ラベル:
しゃれ,
スプーン,
慣用句,
辞書に載っていない表現,
単語 Ss
2020年8月7日金曜日
convention
昨日くらいから、ニュース記事のヘッドラインを斜め読みしていると、"convention speech"という表現をよく目にします。また、"acceptance speech (at convention)"などという形でも出てきます。
トランプ氏、バイデン氏らの名前と共に出てくるので大統領選の話題であろうと想像はつくのですが、何が問題になっているのか、よく分からないでいました。
The Trump administration is no stranger to violating ethics laws. But while President Donald Trump's desire to deliver his convention speech from the White House lawn may blur the lines of ethics rules, it has some Republicans labeling the idea as "problematic."
"Well, I don't—is that even legal?" Senate Majority Whip John Thune (R-S.D.) said to reporters Wednesday.
Senator Ron Johnson (R-Wis.) said it was "probably not allowed" and that the president "probably shouldn't do it."
(中略)
That idea, said Thune, is not beautiful. In fact, he called the idea "problematic" because of intermingling the official office of the presidency with a re-election campaign.
(Ramsey Touchberry. Trump's Stump Speech on White House Lawn May Be Legal—But Some Republicans Don't Like It. Newsweek. August 5, 2020.)
どうやら問題になっているのは、トランプ氏が"convention speech"をホワイトハウスで行うと表明したことに端を発するようです。
現職大統領が、執務室のあるホワイトハウスからスピーチを行うことの何が問題なのか、これも記事を読むまでよく分からなかったのですが、背景、事情はこうです。
"convention"というのは、議会とか集会という意味ですが、アメリカの政治のコンテクストでは党大会のことを指します。COVID-19の影響で、人がたくさん集まる党大会は今年は見送られ、バーチャルでの(つまりオンラインでの)実施が計画されているところ、トランプ氏がそれでは自分はホワイトハウスから参加すると表明したものです。
これに対し、公私混同であると批難が殺到しています。
次期大統領選は政治活動であり、現職の大統領の執務とは明確に区別しなければならない、ということが理由のようです。
たしかに、同じトランプ氏とは言え、共和党からの大統領選候補者としての政治活動と、現職大統領として遂行する職務は区別されるべきものかもしれません。
トランプ氏がホワイトハウス(また、そこで大統領をサポートするために執務するスタッフを駆り出して)演説を行うのは、自民党総裁が首相官邸を選対本部にするのと同じかもしれません。
ちなみに、"acceptance speech"とは、党大会で正式に大統領候補として選出されたことを受けて行うスピーチのことです。
トランプ氏、バイデン氏らの名前と共に出てくるので大統領選の話題であろうと想像はつくのですが、何が問題になっているのか、よく分からないでいました。
The Trump administration is no stranger to violating ethics laws. But while President Donald Trump's desire to deliver his convention speech from the White House lawn may blur the lines of ethics rules, it has some Republicans labeling the idea as "problematic."
"Well, I don't—is that even legal?" Senate Majority Whip John Thune (R-S.D.) said to reporters Wednesday.
Senator Ron Johnson (R-Wis.) said it was "probably not allowed" and that the president "probably shouldn't do it."
(中略)
That idea, said Thune, is not beautiful. In fact, he called the idea "problematic" because of intermingling the official office of the presidency with a re-election campaign.
(Ramsey Touchberry. Trump's Stump Speech on White House Lawn May Be Legal—But Some Republicans Don't Like It. Newsweek. August 5, 2020.)
どうやら問題になっているのは、トランプ氏が"convention speech"をホワイトハウスで行うと表明したことに端を発するようです。
現職大統領が、執務室のあるホワイトハウスからスピーチを行うことの何が問題なのか、これも記事を読むまでよく分からなかったのですが、背景、事情はこうです。
"convention"というのは、議会とか集会という意味ですが、アメリカの政治のコンテクストでは党大会のことを指します。COVID-19の影響で、人がたくさん集まる党大会は今年は見送られ、バーチャルでの(つまりオンラインでの)実施が計画されているところ、トランプ氏がそれでは自分はホワイトハウスから参加すると表明したものです。
これに対し、公私混同であると批難が殺到しています。
次期大統領選は政治活動であり、現職の大統領の執務とは明確に区別しなければならない、ということが理由のようです。
たしかに、同じトランプ氏とは言え、共和党からの大統領選候補者としての政治活動と、現職大統領として遂行する職務は区別されるべきものかもしれません。
トランプ氏がホワイトハウス(また、そこで大統領をサポートするために執務するスタッフを駆り出して)演説を行うのは、自民党総裁が首相官邸を選対本部にするのと同じかもしれません。
ちなみに、"acceptance speech"とは、党大会で正式に大統領候補として選出されたことを受けて行うスピーチのことです。
2020年8月6日木曜日
hibakusha
今年もあの日が巡ってきました。
8月6日。広島に原子爆弾が投下された日です。
今年は梅雨明けも遅く、新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあって、愚息らの夏休みという感覚にも乏しく、気が付いたら8月になってしまっていた、もう8月6日なのか、というような感じです。
今朝はラジオで平和記念式典の模様を伝える中継を聞きながら新聞を読んでおりました。
あの日から75年、海外メディアの報道も目立ちます。
(HIROSHIMA, Japan) — The dwindling witnesses to the world’s first atomic bombing marked its 75th anniversary Thursday, with Hiroshima’s mayor and others noting as hypocritical the Japanese government’s refusal to sign a nuclear weapons ban treaty.
(中略)
Survivors, their relatives and other participants marked the 8:15 a.m. blast anniversary with a minute of silence.
Thursday’s peace ceremony at the Hiroshima Peace Memorial Park was scaled down because of the coronavirus pandemic. The fewer than 1,000 attendees was one-tenth of those attending in past years.
Some survivors and their relatives prayed at the park’s cenotaph before the ceremony. The registry of the atomic bombing victims is stored at the cenotaph, whose inscription reads “Let all the souls here rest in peace for we shall not repeat the mistake.”
(Mari Yamaguchi. Survivors Mark 75th Anniversary of World's First Atomic Attack. TIME. August 5, 2020.)
ところで、多くのメディアの記事で"hibakusha"という単語が使われています。
An aging group of survivors, known as hibakusha, feel a growing urgency to tell their stories, in hopes of reaching a younger generation.
(ibid.)
"hibakusha"(被爆者)は「生存者」(survivor)と補足説明されていることが多いようです。
While no records reveal the exact number of American hibakusha — Japanese for “atomic bomb survivors” — that country’s government made a lifetime commitment to serve them, dispatching teams of doctors to the United States every other year to track their health.
(Washington Post. Augut 4, 2020.)
TOKYO — The hibakusha, as the survivors of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki are known in Japan, have achieved a powerful feat of alchemy, transforming their nightmarish memories of the blasts and their aftermath into a visceral force for promoting a world free of nuclear arms.
(New York Times. August 5, 2020.)
この"hibakusha"なる英単語は辞書にも入っていて、ランダムハウス英和辞書によれば、英語辞典のエントリとしては1970年から認められるとありました。世界で唯一の被爆国として、日本は後世に何を伝えていくことができるでしょうか。
8月6日。広島に原子爆弾が投下された日です。
今年は梅雨明けも遅く、新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあって、愚息らの夏休みという感覚にも乏しく、気が付いたら8月になってしまっていた、もう8月6日なのか、というような感じです。
今朝はラジオで平和記念式典の模様を伝える中継を聞きながら新聞を読んでおりました。
あの日から75年、海外メディアの報道も目立ちます。
(HIROSHIMA, Japan) — The dwindling witnesses to the world’s first atomic bombing marked its 75th anniversary Thursday, with Hiroshima’s mayor and others noting as hypocritical the Japanese government’s refusal to sign a nuclear weapons ban treaty.
(中略)
Survivors, their relatives and other participants marked the 8:15 a.m. blast anniversary with a minute of silence.
Thursday’s peace ceremony at the Hiroshima Peace Memorial Park was scaled down because of the coronavirus pandemic. The fewer than 1,000 attendees was one-tenth of those attending in past years.
Some survivors and their relatives prayed at the park’s cenotaph before the ceremony. The registry of the atomic bombing victims is stored at the cenotaph, whose inscription reads “Let all the souls here rest in peace for we shall not repeat the mistake.”
(Mari Yamaguchi. Survivors Mark 75th Anniversary of World's First Atomic Attack. TIME. August 5, 2020.)
ところで、多くのメディアの記事で"hibakusha"という単語が使われています。
An aging group of survivors, known as hibakusha, feel a growing urgency to tell their stories, in hopes of reaching a younger generation.
(ibid.)
"hibakusha"(被爆者)は「生存者」(survivor)と補足説明されていることが多いようです。
While no records reveal the exact number of American hibakusha — Japanese for “atomic bomb survivors” — that country’s government made a lifetime commitment to serve them, dispatching teams of doctors to the United States every other year to track their health.
(Washington Post. Augut 4, 2020.)
TOKYO — The hibakusha, as the survivors of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki are known in Japan, have achieved a powerful feat of alchemy, transforming their nightmarish memories of the blasts and their aftermath into a visceral force for promoting a world free of nuclear arms.
(New York Times. August 5, 2020.)
この"hibakusha"なる英単語は辞書にも入っていて、ランダムハウス英和辞書によれば、英語辞典のエントリとしては1970年から認められるとありました。世界で唯一の被爆国として、日本は後世に何を伝えていくことができるでしょうか。
2020年8月5日水曜日
capstone
アメリカ国内の通信事業者に詳しいわけではありませんが、AT&TとかVerizon、T-Mobile、Sprintなどの社名は耳にしたことがあります。
下記に引用した記事はT-Mobile社が競合のSprint社を300億ドルで買収完了したという話題です。
New York (CNN Business) — Sprint was a storied American brand, but it is no longer. T-Mobile, which closed its $30 billion merger with the wireless carrier in April, officially retired the Sprint brand Monday.
"I want to acknowledge the Sprint history and its 120-year legacy that is now part of our legacy as we launch into this new era," said T-Mobile CEO Mike Sievert in a statement, adding, "We did it! Another historic day for new T-Mobile!"
The long-awaited merger means the end of Sprint's long corporate history, but it also puts a capstone on several bruising decades of failed bets and teetering on the brink of bankruptcy.
Though it was the fourth-largest wireless provider in the country, Sprint's missteps put it well behind larger rivals Verizon and AT&T (CNN's parent company) in terms of customer numbers and network performance, and the costly rollout of 5G loomed large. Without T-Mobile, Sprint probably would have struggled to stay afloat and may have ended in bankruptcy court, something even Sprint has begun to hint at.
(Clare Duffy. One of America's most storied brands is no more. CNN. August 3, 2020.)
T-Mobile社によって買収されたことで、Sprintのブランドが消滅することになり、120年という長きに渡る同社の歴史に幕が下ろされます。
記事のくだりで、
it also puts a capstone on several bruising decades of failed bets and teetering on the brink of bankruptcy
とありますが、ここで"capstone"という見慣れない単語が目に留まりました。
辞書には、
1. The top stone of a structure or wall.
2. The crowning achievement or final stroke; the culmination or acme.
(American Heritage Dictionary)
と定義されています。
最初の定義がそもそもの意味だと思われますが、日本語では笠石(かさいし)とか冠石と称されるようです。(この日本語自体、あまり馴染みがありませんね。)
"coping stone"ともいうそうですが、レンガ塀などの一番上に装飾的に置く石のことを言うらしく、また"capstone"は積み上げたれんがのうち、最も頂点にくる部分のれんがを指すようです。
言葉で書いても分かりにくいので、大きめの辞書をお持ちの方は辞書に図版が載っていればそれを参照するのがよいでしょう。(あるいは、グーグル画像検索が手っ取り早いでしょうか。)
この原義から、最後の仕上げという意味合いで使われるようになったのが2番目の定義が意味するところで、ある意味、有終の美というような含意があるようにも思われます。
下記に引用した記事はT-Mobile社が競合のSprint社を300億ドルで買収完了したという話題です。
New York (CNN Business) — Sprint was a storied American brand, but it is no longer. T-Mobile, which closed its $30 billion merger with the wireless carrier in April, officially retired the Sprint brand Monday.
"I want to acknowledge the Sprint history and its 120-year legacy that is now part of our legacy as we launch into this new era," said T-Mobile CEO Mike Sievert in a statement, adding, "We did it! Another historic day for new T-Mobile!"
The long-awaited merger means the end of Sprint's long corporate history, but it also puts a capstone on several bruising decades of failed bets and teetering on the brink of bankruptcy.
Though it was the fourth-largest wireless provider in the country, Sprint's missteps put it well behind larger rivals Verizon and AT&T (CNN's parent company) in terms of customer numbers and network performance, and the costly rollout of 5G loomed large. Without T-Mobile, Sprint probably would have struggled to stay afloat and may have ended in bankruptcy court, something even Sprint has begun to hint at.
(Clare Duffy. One of America's most storied brands is no more. CNN. August 3, 2020.)
T-Mobile社によって買収されたことで、Sprintのブランドが消滅することになり、120年という長きに渡る同社の歴史に幕が下ろされます。
記事のくだりで、
it also puts a capstone on several bruising decades of failed bets and teetering on the brink of bankruptcy
とありますが、ここで"capstone"という見慣れない単語が目に留まりました。
辞書には、
1. The top stone of a structure or wall.
2. The crowning achievement or final stroke; the culmination or acme.
(American Heritage Dictionary)
と定義されています。
最初の定義がそもそもの意味だと思われますが、日本語では笠石(かさいし)とか冠石と称されるようです。(この日本語自体、あまり馴染みがありませんね。)
"coping stone"ともいうそうですが、レンガ塀などの一番上に装飾的に置く石のことを言うらしく、また"capstone"は積み上げたれんがのうち、最も頂点にくる部分のれんがを指すようです。
言葉で書いても分かりにくいので、大きめの辞書をお持ちの方は辞書に図版が載っていればそれを参照するのがよいでしょう。(あるいは、グーグル画像検索が手っ取り早いでしょうか。)
この原義から、最後の仕上げという意味合いで使われるようになったのが2番目の定義が意味するところで、ある意味、有終の美というような含意があるようにも思われます。
2020年8月4日火曜日
smash and grab
最近ニュースのヘッドラインを賑わしている話題にTik Tokがあります。
中国発のいわゆるソーシャルネットワークサービスのようですが、ビデオ映像をシェアしたりするアプリらしく、アメリカでは1億人を超えるユーザーがあるとうい統計があり、若者の間で大変な人気だそうです。
このTik Tokアプリを巡っては、米中の応酬がエスカレートしており、先週末ポンペオ国務長官が米国内でのアプリを使用禁止にするという声明を発表したところ、中国からは米国側の姿勢に対する批判の声明が出されているような状況です。
SHANGHAI (Reuters) - China will not accept the “theft” of a Chinese technology company and is able to respond to Washington’s move to push ByteDance to sell short-video app TikTok’s U.S. operations to Microsoft, the China Daily newspaper said on Tuesday.
The United States’ “bullying” of Chinese tech companies was a consequence of Washington’s zero-sum vision of “American first” and left China no choice but “submission or mortal combat in the tech realm”, the state-backed paper said in an editorial.
China had “plenty of ways to respond if the administration carries out its planned smash and grab”, it added. Microsoft Corp said on Monday it was in talks with ByteDance to buy parts of TikTok after U.S. President Donald Trump reversed course on a plan to ban the app on national security grounds and gave the firms 45 days to strike a deal.
(China will not accept U.S. 'theft' of TikTok: China Daily. Reuters. August 4, 2020.)
アメリカ側の懸念は、アプリ利用ユーザーのプライバシーが侵害されているのではないかという疑い、またその背後に中国政府があるということにあるようです。
人気アプリゆえに収益も相当なものがあるようで、マイクロソフトが同アプリの米国内事業を買収するという話が今週になって浮上、米中の対立に油を注ぐような状況になっています。
引用した記事にありますように、トランプ政権はアプリ開発元の中国企業バイトダンス社に対して、米国市場から撤退するか、同事業を米国企業に売り渡すか、いずれにしても同社には不利と思われる条件を突き付けている訳で、中国側が反発を強めています。
中国メディアは、アメリカによる中国企業いじめ("bullying")と批難し、さらに泥棒呼ばわり("theft")までしています。
記事の後半部に、
China had “plenty of ways to respond if the administration carries out its planned smash and grab”, it added.
という部分がある部分に注目します。
"smash and grab"は一連の表現で("smash-and-grab"とハイフンでつなげられていることが多いです)、"smash"は潰す、壊す、"grab"は奪う、ひったくる、という意味から、ほとんど略奪という行為を意味します。
辞書には、ショーウィンドウ破り、つまりショーウィンドウを破って金目の物を全てかっさらう、という意味で載っています。
なりふり構わぬ行為、といえましょう。
中国発のいわゆるソーシャルネットワークサービスのようですが、ビデオ映像をシェアしたりするアプリらしく、アメリカでは1億人を超えるユーザーがあるとうい統計があり、若者の間で大変な人気だそうです。
このTik Tokアプリを巡っては、米中の応酬がエスカレートしており、先週末ポンペオ国務長官が米国内でのアプリを使用禁止にするという声明を発表したところ、中国からは米国側の姿勢に対する批判の声明が出されているような状況です。
SHANGHAI (Reuters) - China will not accept the “theft” of a Chinese technology company and is able to respond to Washington’s move to push ByteDance to sell short-video app TikTok’s U.S. operations to Microsoft, the China Daily newspaper said on Tuesday.
The United States’ “bullying” of Chinese tech companies was a consequence of Washington’s zero-sum vision of “American first” and left China no choice but “submission or mortal combat in the tech realm”, the state-backed paper said in an editorial.
China had “plenty of ways to respond if the administration carries out its planned smash and grab”, it added. Microsoft Corp said on Monday it was in talks with ByteDance to buy parts of TikTok after U.S. President Donald Trump reversed course on a plan to ban the app on national security grounds and gave the firms 45 days to strike a deal.
(China will not accept U.S. 'theft' of TikTok: China Daily. Reuters. August 4, 2020.)
アメリカ側の懸念は、アプリ利用ユーザーのプライバシーが侵害されているのではないかという疑い、またその背後に中国政府があるということにあるようです。
人気アプリゆえに収益も相当なものがあるようで、マイクロソフトが同アプリの米国内事業を買収するという話が今週になって浮上、米中の対立に油を注ぐような状況になっています。
引用した記事にありますように、トランプ政権はアプリ開発元の中国企業バイトダンス社に対して、米国市場から撤退するか、同事業を米国企業に売り渡すか、いずれにしても同社には不利と思われる条件を突き付けている訳で、中国側が反発を強めています。
中国メディアは、アメリカによる中国企業いじめ("bullying")と批難し、さらに泥棒呼ばわり("theft")までしています。
記事の後半部に、
China had “plenty of ways to respond if the administration carries out its planned smash and grab”, it added.
という部分がある部分に注目します。
"smash and grab"は一連の表現で("smash-and-grab"とハイフンでつなげられていることが多いです)、"smash"は潰す、壊す、"grab"は奪う、ひったくる、という意味から、ほとんど略奪という行為を意味します。
辞書には、ショーウィンドウ破り、つまりショーウィンドウを破って金目の物を全てかっさらう、という意味で載っています。
なりふり構わぬ行為、といえましょう。
2020年8月3日月曜日
tail
11月に予定されているアメリカ大統領選では、トランプ氏劣勢の報道が最近とみに増えています。
今日読んだ記事によりますと、かつての支持者層においても支持者離れが見られると共に、多額の献金をしていた富豪らも今回は献金を見送るなどの傾向が見られるとのことです。
President Trump isn't just lagging in the national polls ahead of the November presidential election — he's tailing in Business Insider's analysis of the three comma club, too.
Not only does Trump have fewer billionaire donors overall than his opponent Joe Biden, he also lost the financial support of a handful of his 2016 donors. Despite having given upwards of six figures to Trump's first presidential bid, at least four of Trump's donors have yet to donate to Trump's reelection bid for varying reasons.
And notably, billionaire Peter Thiel, who was one of Trump's biggest backers in 2016, has not donated so far in 2020. (The Daily Beast reports that, according to Federal Election Commission data, Thiel last gave to Trump's reelection campaign in 2018.)
Not all of Trump's billionaire backers jumped ship after 2016, however. Several of his largest donors — such as Las Vegas Sands CEO Sheldon Adelson, Texas banker Andrew Beal, and hedge-fund manager John Paulson — have made additional gifts.
(Taylo Nicole Rogers. Trump has lost the financial support of some of the billionaires who bankrolled his 2016 campaign — take a look at who's dropping out in 2020. Business Insider. August 2, 2020.)
2016年の初当選時には財界の億万長者からの献金に浴していたところ、再選を目指す2020年はかつての支持者からの献金不足に喘ぐ窮状が想像されます。
記事の冒頭で、
he's tailing in Business Insider's analysis of the three comma club, too
とあります。("he"はトランプ氏。)
"trail"かと見誤ったのですが、"tail"です。直前に"lagging"とあり、またコンテクストから大体想像はつくのですが、
to grow progressively smaller, fainter, or more scattered : abate —usually used with off
(Merriam-Webster Dictionary)
といぅ定義がここではあてはまりそうです。
つまり、(動物の尻尾のように)先細りしている、という意味合いでしょうか。通常は"off"と共に用いられることが多いようです。
ところで、“tail”には、
(列から)落伍する(fall away)
(研究社英和大辞典)
という意味もあるようなので、記事のライターは“trail”とほぼ同じ意味合いで“tail”を使ったのかもしれません。
今日読んだ記事によりますと、かつての支持者層においても支持者離れが見られると共に、多額の献金をしていた富豪らも今回は献金を見送るなどの傾向が見られるとのことです。
President Trump isn't just lagging in the national polls ahead of the November presidential election — he's tailing in Business Insider's analysis of the three comma club, too.
Not only does Trump have fewer billionaire donors overall than his opponent Joe Biden, he also lost the financial support of a handful of his 2016 donors. Despite having given upwards of six figures to Trump's first presidential bid, at least four of Trump's donors have yet to donate to Trump's reelection bid for varying reasons.
And notably, billionaire Peter Thiel, who was one of Trump's biggest backers in 2016, has not donated so far in 2020. (The Daily Beast reports that, according to Federal Election Commission data, Thiel last gave to Trump's reelection campaign in 2018.)
Not all of Trump's billionaire backers jumped ship after 2016, however. Several of his largest donors — such as Las Vegas Sands CEO Sheldon Adelson, Texas banker Andrew Beal, and hedge-fund manager John Paulson — have made additional gifts.
(Taylo Nicole Rogers. Trump has lost the financial support of some of the billionaires who bankrolled his 2016 campaign — take a look at who's dropping out in 2020. Business Insider. August 2, 2020.)
2016年の初当選時には財界の億万長者からの献金に浴していたところ、再選を目指す2020年はかつての支持者からの献金不足に喘ぐ窮状が想像されます。
記事の冒頭で、
he's tailing in Business Insider's analysis of the three comma club, too
とあります。("he"はトランプ氏。)
"trail"かと見誤ったのですが、"tail"です。直前に"lagging"とあり、またコンテクストから大体想像はつくのですが、
to grow progressively smaller, fainter, or more scattered : abate —usually used with off
(Merriam-Webster Dictionary)
といぅ定義がここではあてはまりそうです。
つまり、(動物の尻尾のように)先細りしている、という意味合いでしょうか。通常は"off"と共に用いられることが多いようです。
ところで、“tail”には、
(列から)落伍する(fall away)
(研究社英和大辞典)
という意味もあるようなので、記事のライターは“trail”とほぼ同じ意味合いで“tail”を使ったのかもしれません。
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