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2024年7月25日木曜日

hand-wringing

バイデン大統領の大統領選の撤退を受け、カマラ・ハリス副大統領が民主党の指名候補となりました。これを受け、ヒラリー・クリントン氏が談話をニューヨークタイムズ紙に寄稿したそうです。

ヒラリー・クリントン氏と言えば、2016年の大統領選で女性初の大統領候補として民主党から立候補したものの、トランプ氏と争い敗れた人物ですが、同じく女性として、再びトランプ氏に対峙することになるハリス氏に対する支持を表明しています。

寄稿ではバイデン氏が撤退に至った経緯にも触れ、その決断を賞賛しています。

以下、引用します。


"Mr. Biden has done a hard and rare thing. Serving as president was a lifelong dream. And when he finally got there, he was exceptionally good at it. To give that up, to accept that finishing the job meant passing the baton, took real moral clarity. The country mattered more. As one who shared that dream and has had to make peace with letting it go, I know this wasn’t easy. But it was the right thing to do," Clinton wrote.

She concluded the piece by writing, "The time for hand-wringing is over. Now it’s time to organize, mobilize and win."
(Lindsay Kornick. Hillary Clinton pushes Kamala Harris for president in NY Times: 'The time for hand-wringing is over'. Fox News. July 24, 2024.)


締めくくりの段で、


The time for hand-wringing is over.


という箇所があります。

ここで使われている、


hand-wringing


とはどういった意味合いなのでしょうか?

"wring"という動詞は、絞る、ひねる、固く握る、握り締めるといった動作を表し、また苦しめる、悩ます、といった意味もあります。そして、"wring hands"は手を揉み合わせる、というような動作を指します。

つまり、"hand-wringing"は手を揉み合わせるような〜、というような修飾語ということになります。

手を揉み合せるジェスチャーは一般的に不安な時、悲しい時、ストレスに晒されて苛立ちにある時、など、幅はありますが少なくとも心地の良い気分ではないことは確かです。

そのような時が終わった、と言っている訳ですが、続けて、


Now it’s time to organize, mobilize and win.


と書いているのは、バイデン氏からハリス氏にバトンが渡った今、民主党一丸となって選挙戦を戦い、打倒トランプに邁進しなければならない、というクリントン氏の思いを現したものだと思われます。

ところで、"hand-wringing"という表現をエントリとして載せて解説している辞書も多いのですが、手元にあるCollins-Cobuild Dictionary of Idiomsでは"wring your hands"という慣用句を下記のように説明しています。


If you say that someone is wringing their hands, you mean that they are expressing sadness or regret about a bad situation, but are not taking any action to deal with it. You usually use this expression to show your disapproval of them for behaving like this.


ここでも"hand-wringing"は、苦境や不遇を嘆く、という意味合い(のジェスチャー)であると分かりますが、この表現のポイントは上記の解説にもありますように、嘆くだけで何も行動しないことへの批判が込められているという点にあるようです。


寄稿では、クリントン氏はバイデン氏の選挙戦撤退を嘆きつつ、新しいリーダーの登場への期待を滲ませる内容となっています。バイデン氏が撤退を決めたことは残念で悲しいが、感傷に浸っている(hand-wringing)場合ではない、というように読むべきでしょう。

または、これまで常に付き纏ってきたバイデン氏の高齢不安は、バイデン氏自身の撤退表明により、選挙戦のイシューではなくなった、新しいハリス候補の当選を目指して頑張ろう、といったところでしょうか。

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