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2024年7月8日月曜日

toast

先月イギリスを訪問した天皇皇后両陛下のニュース記事を読んだという娘が、乾杯を"toast"というのは何故か?と質問してきました。

BBC Newsの記事を読んだ、と言っていましたので恐らくは以下に引用するものかと思います。


King Charles greeted his guests in Japanese as the emperor and empress of Japan were given the full splendour of a Buckingham Palace state banquet.

He toasted the Emperor Naruhito and Empress Masako with a message that translated as “Welcome back to Britain”.
(Sean Coughlan. What was on the banquet menu for Japan's emperor? BBC News. June 25, 2024.)


"toast"はここで動詞として使われており、祝杯をあげる、という意味です。

中辞典以上の英和辞書には載っていると思いますが、風味を増すために祝杯に焼きパンの一片を入れる、ということから生じた表現であるという説明が見られます。(研究社新英和大辞典)

娘は食パンの「トースト」と祝杯が結びつかなかったようです。語源解説を読んでなるほどとは思うものの、お酒に焼いたパンの一片を入れるというのは奇妙な感じもします。そもそも、トーストを浸したような飲み物を飲んだこともありません。

Merriam-Websterの解説によると、"toast"と料理のタパス(tapas)には関連があるといいます。

タパスというのはスペイン料理のオードブルを指す名称ですが、スペイン語tapaはフタ(lid)を意味するそうで、これは料理と共に供されるドリンクのグラスに載せられたパンのスライスを指すということです。飲み物にホコリや虫が混入しないように添えられるものだそうですが、そういえば昔、小洒落たレストランでそんな饗応を受けたような記憶があります。

"toast"の話に戻りますが、お酒にトーストを浸すのはそれによりお酒の苦味やエグ味、濁りなどを取って飲み易くするという効果もあるそうで、浸した後のトーストは食べずにそのまま捨てるというものだとか。風味をつけるというのとは逆のように思えますが、こちらの方がありそうな話にも思えます。

Merriam-Websterによる語源解説は興味深いのですが、もう一つ、"toast"の意味として、祝杯の対象となるものや人、特に「評判の美人」という意味にまつわるものがあります。

その説というのは、誰もが憧れるような美人が入った風呂の湯をグラスに掬って飲んだことに因む、というもので、かなりグロテスクな話ではあります。恐らく俗説でしょう。

最後に、酒は百薬の長とは呑兵衛の言い訳ですが、適量であってもアルコールというものはやはり身体に良くないという記事を見つけてしまいました。小生も気をつけたいと思います。


The debate around alcohol consumption is neverending as there are advocates of a complete ban, while several reports continue to suggest health benefits of moderate drinking. Amid the age-old debate over consuming alcoholic beverages, one must think before raising the second glass of wine or whisky for a toast.
(Do alcoholic beverages have health benefits if consumed moderately? All you need to know. CNBC. July 6, 2024.)


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