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2024年5月24日金曜日

loophole

日本語で「法の抜け穴」という言葉がありますね。

規制や法律による罰則や制限などを回避する方法とか手段という意味ですが、金持ちや政治家など、社会的な地位や特権のある人が自らの利益になるように用いる狡賢いやり方、というイメージがあります。

英語では(ご存知の方も多いでしょうが)、


loophole


と言います。

ところで、何故"loophole"と言うのでしょうか?

知ってるつもりが、急に気になってしまったような次第です。

"loophole"と聞いて私が思い浮かべるイメージは紐で作った輪っかなのですが、それが規制や法の抜け穴という意味になるというのもよく分からない話だと思いました。

で、"loophole"を辞書で引くと、元の意味は城や要塞の壁に作られる銃眼と呼ばれる構造のことなんですね。この銃眼から鉄砲や弓矢を放つのですが、銃眼から狙う側からは敵がちゃんと見える一方、敵は銃眼の背後にいる相手はよく見えず、また攻撃もしにくいというものです。(ここ、大事です。)

「穴」というよりも「隙間」に近いと思うのですが、いずれにしろその穴や隙間から出入りする(抜ける)というのは難しく思われます。

何が言いたいかといいますと、「抜け穴」という日本語や"loop"(輪っか)とはちょっと違うようだということです。

もちろん、"loop"には輪っかの意味がありますが、"loophole"の"loop"は換気のための小窓という意味の別の単語で、語源を辿るとオランダ語lupen(to watch, peer)に行き着くそうです。

つまり、"loophole"とはその隙間、小穴からこっそり抜け出るものではなく、覗いたり、観察したりするものだと考えるのが(語源的には)妥当のようです。

そして、それが「法の抜け穴」のような意味になるのは、上述したように、城壁の内側から"loophole"を覗いて敵を攻撃する兵隊のような立場、つまり敵よりもアドバンテージを取ることができるシチュエーション、という意味合いからだろうと思われます。

つまり、"loophole"とは穴にあらず、こっそりと覗くという行為にある、ということです。

参考にしたウェブ上のリファレンスは以下の2つです。


The Vocabularist: Loopholes were just for looking through. BBC News. March 22, 2016.



最後になりましたが、今日の1語のきっかけになったニュース記事です。


Trying to spot the drug mules on your flight? Start with the flight crew, experts say.

The shocking warning comes weeks after four flight attendants were busted at JFK for brazenly moving $8 million in narcotics between the US and the Dominican Republic over a period of 10 years.

Now, those in the know are flagging one huge loophole that airline employees have been able to exploit, in order to move a dizzying amount of drugs right under the nose of security officials.
(Alex Mitchell. Flight crew are exploiting a major airport security loophole to smuggle drugs, experts warn. New York Post. May 23, 2024.)


引用した記事は、麻薬密輸に航空会社のフライトアテンダントが関わっているというものです。

フライトアテンダントに対するセキュリティチェックは一般の旅行客に対するそれよりも緩和されることが多く、そこに目を付けて密輸に手を染めるということです。一般人には知る由もない、銃眼の背後にいる関係者だけが知っている"loophole"・・・ですね。


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