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2011年6月1日水曜日

ボクシングの世界から(3) ― clinch

今週のテーマ、“ボクシングで使われる用語”の3日目は、"clinch"です。

あまりボクシングに詳しくありませんが、“クリンチ”というカタカナ語は聞いたことがあります。イメージは対戦者同士が打ち合っているというよりも組み合っていて、レフェリーが分けて対戦者同士を離すしぐさをする、あの時のイメージです。(間違っていてはいけませんので念のため調べましたが、大体こんなイメージで間違いなさそうです。ウィキペディアの解説によると、“格闘技の立ち技状態において、相手の体に抱きついたり体の一部を掴んで相手の動きや攻撃を止める技術”、とあります。)

さて、"clinch"はボクシングのニュースで用いられるのは勿論ですが、“(問題や争いの)決着をつける”という意味でも用いられます。


Indonesia, Malaysia clinch maid deal: minister JAKARTA — Indonesian domestic helpers will enjoy better working conditions in Malaysia under a new agreement between Jakarta and Kuala Lumpur designed to end abuse and torture, a minister said Tuesday. Indonesian Manpower and Transmigration Minister Muhaimin Iskandar said the agreement signed in Bandung late Monday meant the lifting of a two-year freeze on Indonesian maids working in Malaysia.

"After going through a long negotiation process, we have eventually reached an agreement that is a 'win-win solution', with a number of improvements for the Indonesian worker," he said in a statement.
(AFP. May 31, 2011.)


ボクシングの試合のイメージからすると、“膠着状態”のような感じもするのですが、そのイメージが最初に来ると、“けりをつける、決着する”という意味であるのは少し意外な気もします。

そんなことを考えながら英和辞書を眺めていたのですが、これは想像ですが、"clinch"には、“(ねじや釘を)叩きつけて潰す、打ち曲げることで留める”という意味があり、この意味から“決着する”という意味に発展したのではないかと思います。

ボクシングで言う“クリンチ”は、対戦者両者が組み合ってぴったりと止まったようになることから、ねじや釘を折り曲げて留めるという意味の"clinch"が比喩的に用いられたのではないかと思います。

以上は想像ですが、こう解釈すると何となく腑に落ちませんか?

なお、似た単語に、"clench"というものがあり、"clinch"は"clench"の異形であるということになっています。"clench"は、“こぶしを握る”、“歯をくいしばる”という意味で用いられます。


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