いよいよ大晦日を迎え、2018年も終わろうとしています。
この1ヶ月は「平成最後の〜」という枕詞が随所に見られました。確かに「平成最後」となるイベントもありますが、実際のところ来年は平成三十一年であり、まだもう少し平成なんですけどね。
さて、下記は英紙テレグラフの記事からの引用です。
Sung while standing in a circle and holding crossed hands with your nearest and dearest, it has been sung on New Year's Eve for generations.
But now Auld Lang Syne is at risk of dying out, streaming figures show, as Millennials are shunning the traditional way of ringing in the New Year.
For the next generation are willing to let old anthems be forgotten, according to new research which show the Scottish ballad is not a hit with younger listeners. The song, based on a poem by Robert Burns, is sung to ring in the New Year as people cross arms to hold hands in a circle throughout the song.
It was the most-played track between 11.55pm on New Year's Eve 2017 and 12.05am on January 1 this year, according to streaming service Deezer. However it is predicted to attract fewer plays when the clock strikes midnight tonight.
(Katie Morley. Will Auld Lang Syne be forgot this New Year's Eve? The Telegraph. December 31, 2018.)
“Auld Lang Syne”は日本では「蛍の光」という曲名で知られるあの有名な曲です。
年末には行く年を惜しんで、テレビやラジオでも耳にすることがあると思います。(確か、年末の風物詩とも言えるNHKの紅白歌合戦では番組の終わりは「蛍の光」で締めていたように思います。)
ご存知の方も多いと思いますが、原曲である”Auld Lang Syne”はスコットランド民謡です。
テレグラフ紙によれば、英国では大晦日から新年にかけて、このスコットランド民謡が歌われるそうですが、親しまれてきたこの民謡もミレニアル世代には忘れられつつあるようです。
“Auld Lang Syne”はスコットランド語なので、英語に直訳すると、Old Long Sinceとなりますが、意訳すれば古き良き日々、というくらいの意味です。
今年もえいご1日1語をご愛読ありがとうございました。
来年2019年はいよいよ10年を迎えます。2019年もよろしくお願いします。
2018年12月31日月曜日
2018年12月28日金曜日
macroglossia
舌を出して愛嬌を振りまいているようにも見える赤ちゃんの写真ですが、その舌は少し大き過ぎるようにも見えます。
A 16-month-old toddler in Jenks, Oklahoma, who was born with a rare condition that causes his tongue to be abnormally large will require surgery to reduce its size, his mother said.
Baker Roth was has a condition known as Beckwith-Wiedemann Syndrome or BWS. The genetic disorder is “commonly characterized by overgrowth,” according to the Children’s Hospital of Philadelphia. And it’s rare -- typically occurring with just one in 11,000 births.
(中略)
Baker’s BWS diagnosis came as a surprise. Though ultrasound images appeared to show the boy’s tongue sticking out of his mouth, neither Roth nor her doctors ever considered it to be a sign of the rare condition.
“I always thought it was cute that he had his tongue sticking out in ultrasound scans, but realistically it was macroglossia [enlarged tongue] caused by BWS,” Roth told The Daily Mail. “Not a lot of doctors are familiar with the syndrome and we just thought it was adorable, I even posted about how cute it was.”
(Madeline Farber. Oklahoma toddler who survived cancer requires surgery for abnormally sized tongue, mom says. Fox News. December 28, 2018.)
1歳4ヶ月の赤ちゃんが患っているのはベックウィズーヴィーデマン症候群(Beckwith-Wiedemann Syndrome (BWS))という、1万人以上に1人という確率でしか発症しないと言われる、遺伝子の異常によって引き起こされる病気だということです。
BWSの症状の1つに、
macroglossia
があり、これは記事中にも括弧書きで補足されていますが、大舌症、巨舌症、などと呼ばれるもので、異常に大きくなった舌のことです。
記事に出てくる赤ちゃんの例では胎児の超音波画像において既に口腔から舌が出ているのが認められていたようです。
この”macroglossia”のスペルを見て、-glossの部分に思い当たるところはないでしょうか?
そうです、我々がよく知っている、
glossary
も同じで、ギリシャ語で舌を意味するglottaから派生した単語です。
また、解剖学用語の声門(glottal)も同様です。
A 16-month-old toddler in Jenks, Oklahoma, who was born with a rare condition that causes his tongue to be abnormally large will require surgery to reduce its size, his mother said.
Baker Roth was has a condition known as Beckwith-Wiedemann Syndrome or BWS. The genetic disorder is “commonly characterized by overgrowth,” according to the Children’s Hospital of Philadelphia. And it’s rare -- typically occurring with just one in 11,000 births.
(中略)
Baker’s BWS diagnosis came as a surprise. Though ultrasound images appeared to show the boy’s tongue sticking out of his mouth, neither Roth nor her doctors ever considered it to be a sign of the rare condition.
“I always thought it was cute that he had his tongue sticking out in ultrasound scans, but realistically it was macroglossia [enlarged tongue] caused by BWS,” Roth told The Daily Mail. “Not a lot of doctors are familiar with the syndrome and we just thought it was adorable, I even posted about how cute it was.”
(Madeline Farber. Oklahoma toddler who survived cancer requires surgery for abnormally sized tongue, mom says. Fox News. December 28, 2018.)
1歳4ヶ月の赤ちゃんが患っているのはベックウィズーヴィーデマン症候群(Beckwith-Wiedemann Syndrome (BWS))という、1万人以上に1人という確率でしか発症しないと言われる、遺伝子の異常によって引き起こされる病気だということです。
BWSの症状の1つに、
macroglossia
があり、これは記事中にも括弧書きで補足されていますが、大舌症、巨舌症、などと呼ばれるもので、異常に大きくなった舌のことです。
記事に出てくる赤ちゃんの例では胎児の超音波画像において既に口腔から舌が出ているのが認められていたようです。
この”macroglossia”のスペルを見て、-glossの部分に思い当たるところはないでしょうか?
そうです、我々がよく知っている、
glossary
も同じで、ギリシャ語で舌を意味するglottaから派生した単語です。
また、解剖学用語の声門(glottal)も同様です。
2018年12月27日木曜日
sleep-texting
スマホが片時も手離せないでいる人達が増加し、深夜遅くまでベッドの中でスマホ画面を見続けることの弊害が指摘されて久しいです。
子供らが学校から持ち帰る便りの中には冬休みの過ごし方について、特にスマホ依存やSNSの危険性について注意喚起したものが最近は多くなっています。
ところが!です。
今や世の中には寝ながらにしてスマホを操作する程のツワモノがいるということですから、スマホ依存を通り越しているといっても過言ではないかもしれません。
その名も、”sleep-texting”です。
Andrew Watson, 26, was so good at coordinating international business deals that he did it in his sleep.
“I’d fall asleep with my work phone next to my head, [then send emails] and have no memory of doing it,” Watson, who worked for a cloud computing company, tells The Post. “It was really bad” — so bad that the San Francisco resident once woke up to discover he had signed off on a million-dollar deal.
According to a new report out of Villanova University, sleep-texting is a growing issue among young men and women. Scientists surveyed 372 students and found that nearly a quarter of them reported texting in their sleep — and 72 percent of those sleep-texters didn’t remember their midnight missives in the light of day.
(Hannah Frishberg. People are texting exes and buying stuff in their sleep. New York Post. December 26, 2018.)
睡眠の浅いレベルでスマホを操作して、無意識のうちにメールを送信(texting)してしまう人が増加しているとのことです。
メール送信に限らず、オンラインショッピングで買い物をするというような行為も見られるそうです。この話を聞いて心当たりがある人は要注意です。
ただ、テクノロジーが今日ほど浸透した状況ではこうした”sleep-texting”のような行為は特に驚くべきことでもないのかもしれません。
個人的な体験ですが、眠りが浅い状況で夢ともうつつとも判然としない中、英語をしゃべっていたり、(目覚めて振り返ってみると)不可思議なことを考えていたりする経験をしたことがあります。
そこで枕元に紙と鉛筆を置いて就寝し、そのような体験の際に書き留めるということを試みました。つまり、寝ながらにして、半うつつの状態で筆記をするということを試みたのです。
一度だけ成功しましたが、起床してから見るメモは意味不明な文字の羅列でした。
今日取り上げた”sleep-texting”は恐らくは”sleep-walking”(夢遊病)に倣った造語だと思われます。
子供らが学校から持ち帰る便りの中には冬休みの過ごし方について、特にスマホ依存やSNSの危険性について注意喚起したものが最近は多くなっています。
ところが!です。
今や世の中には寝ながらにしてスマホを操作する程のツワモノがいるということですから、スマホ依存を通り越しているといっても過言ではないかもしれません。
その名も、”sleep-texting”です。
Andrew Watson, 26, was so good at coordinating international business deals that he did it in his sleep.
“I’d fall asleep with my work phone next to my head, [then send emails] and have no memory of doing it,” Watson, who worked for a cloud computing company, tells The Post. “It was really bad” — so bad that the San Francisco resident once woke up to discover he had signed off on a million-dollar deal.
According to a new report out of Villanova University, sleep-texting is a growing issue among young men and women. Scientists surveyed 372 students and found that nearly a quarter of them reported texting in their sleep — and 72 percent of those sleep-texters didn’t remember their midnight missives in the light of day.
(Hannah Frishberg. People are texting exes and buying stuff in their sleep. New York Post. December 26, 2018.)
睡眠の浅いレベルでスマホを操作して、無意識のうちにメールを送信(texting)してしまう人が増加しているとのことです。
メール送信に限らず、オンラインショッピングで買い物をするというような行為も見られるそうです。この話を聞いて心当たりがある人は要注意です。
ただ、テクノロジーが今日ほど浸透した状況ではこうした”sleep-texting”のような行為は特に驚くべきことでもないのかもしれません。
個人的な体験ですが、眠りが浅い状況で夢ともうつつとも判然としない中、英語をしゃべっていたり、(目覚めて振り返ってみると)不可思議なことを考えていたりする経験をしたことがあります。
そこで枕元に紙と鉛筆を置いて就寝し、そのような体験の際に書き留めるということを試みました。つまり、寝ながらにして、半うつつの状態で筆記をするということを試みたのです。
一度だけ成功しましたが、起床してから見るメモは意味不明な文字の羅列でした。
今日取り上げた”sleep-texting”は恐らくは”sleep-walking”(夢遊病)に倣った造語だと思われます。
2018年12月26日水曜日
少数派? ー marginal
今年のクリスマスも終わってしまいましたが、いかがお過ごしだったでしょうか。
小生も子供が幼かった頃はクリスマスプレゼントの調達に奔走していましたが、大きくなった愚息らに対しては最早クリスマスプレゼントを準備する煩わしさみたいなものからは遠ざかりました。
そもそも子供ら自身がサンタクロースの存在を信じていません。
WASHINGTON – President Donald Trump questioned a 7-year-old’s belief in Santa Claus, telling the child it was “marginal” at that age to still think Father Christmas is real.
"Are you still a believer in Santa?" Trump said to a child calling in to the federal government's official "Santa Tracker," run by the North American Aerospace Defense Command. "Because at 7, it's marginal, right?" Trump said.
(Deidre Shesgreen. President Trump tells 7-year-old child it's 'marginal' to still believe in Santa Claus. USA Today. December 25, 2018.)
英語文化圏では“Father Christmas”とも呼ばれますが、サンタクロースがプレゼントを持って街にやって来るというのは何歳位までの子供が信じているものでしょうか?
ホワイトハウスのトランプ大統領と電話で繋がった7歳の少女は、大統領からサンタがいると信じているかと尋ねられ、信じている、と答えたそうです。
そも回答に対する大統領のコメントが、
Because at 7, it's marginal, right?
というものだったらしいのですが、ここで“marginal”をどう訳したものでしょうか。
辞書を引くと様々な意味が載っており、ここでのコンテクストにしっくりくるような、そのものずばりの意味は見当たりません。
“marginal”とは“margin”(余白)に関係するということになります。つまり、メインの部分、主要部分からは外れている、というのがその概念だと言えます。
トランプ氏のコメントの意図は恐らく、7歳にもなってまだサンタを信じているというのは珍しい、ということだったのだろうと思われます。
つまりそのくらいの年齢になれば大多数はサンタなどいないと知っているはずで、少女のようにサンタが存在すると信じているのは少数派、ということでしょう。
別記事では、“marginal”と言われてしまった少女は“marginal”の意味するところが実はよく分からなかったということを報じています。
小生も子供が幼かった頃はクリスマスプレゼントの調達に奔走していましたが、大きくなった愚息らに対しては最早クリスマスプレゼントを準備する煩わしさみたいなものからは遠ざかりました。
そもそも子供ら自身がサンタクロースの存在を信じていません。
WASHINGTON – President Donald Trump questioned a 7-year-old’s belief in Santa Claus, telling the child it was “marginal” at that age to still think Father Christmas is real.
"Are you still a believer in Santa?" Trump said to a child calling in to the federal government's official "Santa Tracker," run by the North American Aerospace Defense Command. "Because at 7, it's marginal, right?" Trump said.
(Deidre Shesgreen. President Trump tells 7-year-old child it's 'marginal' to still believe in Santa Claus. USA Today. December 25, 2018.)
英語文化圏では“Father Christmas”とも呼ばれますが、サンタクロースがプレゼントを持って街にやって来るというのは何歳位までの子供が信じているものでしょうか?
ホワイトハウスのトランプ大統領と電話で繋がった7歳の少女は、大統領からサンタがいると信じているかと尋ねられ、信じている、と答えたそうです。
そも回答に対する大統領のコメントが、
Because at 7, it's marginal, right?
というものだったらしいのですが、ここで“marginal”をどう訳したものでしょうか。
辞書を引くと様々な意味が載っており、ここでのコンテクストにしっくりくるような、そのものずばりの意味は見当たりません。
“marginal”とは“margin”(余白)に関係するということになります。つまり、メインの部分、主要部分からは外れている、というのがその概念だと言えます。
トランプ氏のコメントの意図は恐らく、7歳にもなってまだサンタを信じているというのは珍しい、ということだったのだろうと思われます。
つまりそのくらいの年齢になれば大多数はサンタなどいないと知っているはずで、少女のようにサンタが存在すると信じているのは少数派、ということでしょう。
別記事では、“marginal”と言われてしまった少女は“marginal”の意味するところが実はよく分からなかったということを報じています。
2018年12月25日火曜日
take the helm
かねてよりトランプ大統領との不仲が噂されてきたマティス国防長官が辞任することが公表され、日本でも大きく報道されています。
そのマティス氏の後任に、副長官のPatrick Shanahan氏が就任することが決まったようです。
It's official - deputy defense secretary Patrick Shanahan will be taking the helm at the Pentagon as acting secretary of defense.
James Mattis, who resigned from the position over US President Donald Trump's decision to pull troops out of Syria, will be forced out of the role before 2019. In his resignation letter, Mattis had offered to stay on for two months in order to facilitate a smooth transition.
Instead, Trump announced his new pick in a tweet on Sunday. He praised Shanahan, writing: "Patrick has a long list of accomplishments while serving as Deputy, & previously Boeing. He will be great!"
(Aine Cain. Meet Patrick Shanahan, the former Boeing executive nicknamed 'Mr. Fix-It' who's replacing General James Mattis as Defense secretary. Business Insider. December 23, 2018.)
Shanahan氏は航空機で有名なボーイング社の出身だそうですが、“Mr. Fix-It”とも渾名されるほどの腕利きだそうです。
さて、組織におけるリーダーを表現するのに、日本語でも「舵取り」という表現を用いますが、英語でも、
take the helm
という言い回しが使われます。
ここで”helm”とは船を操舵する舵のことです。
そのマティス氏の後任に、副長官のPatrick Shanahan氏が就任することが決まったようです。
It's official - deputy defense secretary Patrick Shanahan will be taking the helm at the Pentagon as acting secretary of defense.
James Mattis, who resigned from the position over US President Donald Trump's decision to pull troops out of Syria, will be forced out of the role before 2019. In his resignation letter, Mattis had offered to stay on for two months in order to facilitate a smooth transition.
Instead, Trump announced his new pick in a tweet on Sunday. He praised Shanahan, writing: "Patrick has a long list of accomplishments while serving as Deputy, & previously Boeing. He will be great!"
(Aine Cain. Meet Patrick Shanahan, the former Boeing executive nicknamed 'Mr. Fix-It' who's replacing General James Mattis as Defense secretary. Business Insider. December 23, 2018.)
Shanahan氏は航空機で有名なボーイング社の出身だそうですが、“Mr. Fix-It”とも渾名されるほどの腕利きだそうです。
さて、組織におけるリーダーを表現するのに、日本語でも「舵取り」という表現を用いますが、英語でも、
take the helm
という言い回しが使われます。
ここで”helm”とは船を操舵する舵のことです。
2018年12月24日月曜日
payroll
日産自動車のカルロス・ゴーン前CEOの逮捕は間違いなく今年のトップ10に入るニュースだと思いますが、この三連休を目前にした12月21日に特別背任の容疑で再逮捕され、改めて衝撃が走りました。
ゴーン氏は保釈される見通しだったようですが、この再逮捕を受けてクリスマスも新年も拘置所の中で過ごすことになるらしく、当然の報いと言えばそうかもしれませんが、可哀相だといえば可哀相です。
Former Nissan chief Carlos Ghosn, detained for the past five weeks on charges he underreported his income, will spend Christmas and New Year's Eve in a Tokyo jail cell.
The Tokyo District Court ruled Sunday that Ghosn can be held for a further 10 days without bail. The decision follows his rearrest on Friday on additional allegations of breach of trust. Japanese prosecutors petitioned the court to extend the executive's detention and restrict bail.
(中略)
Since his arrest on November 19, Ghosn has been fired as chairman by both Nissan and Mitsubishi Motors.
Renault has appointed interim management but kept Ghosn on the payroll.
(Andrew Grainer. Carlos Ghosn will spend Christmas in a Tokyo jail cell. CNN. December 23, 2018.)
ところで、ゴーン氏は既に日産と三菱自動車における役職は解かれていますが、ルノーにおいては会長兼CEOの職にまだあるとされています。
引用した記事の後半部分で、
(Renault) kept Ghosn on the payroll
とあります。
ここで、“payroll”という単語を改めて辞書を引いてみました。
給与(pay)支払いのリスト(roll)なので、“payroll”ですが、Merrim-Websterによると初出は1740年とあり、それなりに古い単語です。今時、給与支払リストを紙で管理している企業などないでしょうが・・・。
興味深いのは、ゴーン氏が未だ役職にあることを言うのに、“keep on the payroll”というような表現をしているということなのですが、ここで“payroll”は一種のメトニミーであると言うことができると思います。
ゴーン氏は現時点でルノーの役職に留まっていますが、解任(クビ)されれば“payroll”から削除される、ということになります。
Merriam-Websterのエントリの例文には以下のような用例が出ています。
They cut him from their payroll.
ゴーン氏は拘置所の独居房で除夜の鐘を聞くのでしょうか。
ゴーン氏は保釈される見通しだったようですが、この再逮捕を受けてクリスマスも新年も拘置所の中で過ごすことになるらしく、当然の報いと言えばそうかもしれませんが、可哀相だといえば可哀相です。
Former Nissan chief Carlos Ghosn, detained for the past five weeks on charges he underreported his income, will spend Christmas and New Year's Eve in a Tokyo jail cell.
The Tokyo District Court ruled Sunday that Ghosn can be held for a further 10 days without bail. The decision follows his rearrest on Friday on additional allegations of breach of trust. Japanese prosecutors petitioned the court to extend the executive's detention and restrict bail.
(中略)
Since his arrest on November 19, Ghosn has been fired as chairman by both Nissan and Mitsubishi Motors.
Renault has appointed interim management but kept Ghosn on the payroll.
(Andrew Grainer. Carlos Ghosn will spend Christmas in a Tokyo jail cell. CNN. December 23, 2018.)
ところで、ゴーン氏は既に日産と三菱自動車における役職は解かれていますが、ルノーにおいては会長兼CEOの職にまだあるとされています。
引用した記事の後半部分で、
(Renault) kept Ghosn on the payroll
とあります。
ここで、“payroll”という単語を改めて辞書を引いてみました。
給与(pay)支払いのリスト(roll)なので、“payroll”ですが、Merrim-Websterによると初出は1740年とあり、それなりに古い単語です。今時、給与支払リストを紙で管理している企業などないでしょうが・・・。
興味深いのは、ゴーン氏が未だ役職にあることを言うのに、“keep on the payroll”というような表現をしているということなのですが、ここで“payroll”は一種のメトニミーであると言うことができると思います。
ゴーン氏は現時点でルノーの役職に留まっていますが、解任(クビ)されれば“payroll”から削除される、ということになります。
Merriam-Websterのエントリの例文には以下のような用例が出ています。
They cut him from their payroll.
ゴーン氏は拘置所の独居房で除夜の鐘を聞くのでしょうか。
2018年12月21日金曜日
babushka
大きななニワトリの卵を割ったら、もう1つの卵が出てきた!というびっくりするような話です。
The babushka egg was laid by a free-range chicken at the Stockman's Eggs on the Atherton Tablelands, west of Cairns, in far north Queensland.
Farmer Scott Stockman said one of the staff found the egg and he was there soon after.
Mr Stockman said the egg weighed 176 grams, more than three times the size of an average egg.
And as for how the chicken is faring, Mr Stockman said "she would have had a pain in the bum".
When it was cracked, they discovered a second smaller egg sitting inside.
"It's just incredible actually — to have two perfectly formed eggs together," Mr Stockman said.
(Massive 'babushka' egg laid on far north Queensland farm never seen before by expert. ABC News. March 6, 2018.)
記事の写真を見ると、たしかに巨大な卵を割った中に普通サイズと思しき卵が入っていたようです。
記事ではこの不思議な卵のことを、
babushka egg
と呼んでいるようですが、学術的な用語かと思ったらそうではなく、"babushka egg"というのは我々もよく知っている、入れ子式になった民芸品であるマトリョーシカ(matryoshka)のことを言うようです。
ロシア語の"babushka"はおばあさん、老婦人、また女性が頭に被る三角巾(スカーフ)を指すそうです。
漠然とですが、太った、スカーフを被った大きなおばあさんのイメージがあります。入れ子になっているマトリョーシカはスカーフを被った少女だと思っていましたが、実のところは太ったおばあさんなのでしょうか!?
The babushka egg was laid by a free-range chicken at the Stockman's Eggs on the Atherton Tablelands, west of Cairns, in far north Queensland.
Farmer Scott Stockman said one of the staff found the egg and he was there soon after.
Mr Stockman said the egg weighed 176 grams, more than three times the size of an average egg.
And as for how the chicken is faring, Mr Stockman said "she would have had a pain in the bum".
When it was cracked, they discovered a second smaller egg sitting inside.
"It's just incredible actually — to have two perfectly formed eggs together," Mr Stockman said.
(Massive 'babushka' egg laid on far north Queensland farm never seen before by expert. ABC News. March 6, 2018.)
記事の写真を見ると、たしかに巨大な卵を割った中に普通サイズと思しき卵が入っていたようです。
記事ではこの不思議な卵のことを、
babushka egg
と呼んでいるようですが、学術的な用語かと思ったらそうではなく、"babushka egg"というのは我々もよく知っている、入れ子式になった民芸品であるマトリョーシカ(matryoshka)のことを言うようです。
ロシア語の"babushka"はおばあさん、老婦人、また女性が頭に被る三角巾(スカーフ)を指すそうです。
漠然とですが、太った、スカーフを被った大きなおばあさんのイメージがあります。入れ子になっているマトリョーシカはスカーフを被った少女だと思っていましたが、実のところは太ったおばあさんなのでしょうか!?
2018年12月20日木曜日
finger wave
郊外に突如として現れた、巨大な彫像が話題になっています。
彫像は人の手の形をしているのですが、中指だけ立てたものになっており、記事のビデオではモザイクがかけられています。
A Vermont man, involved in a long-running spat with local officials, erected a giant sculpture of the middle finger saluting city council with the one-finger wave.
Ted Pelkey had the sculpture erected next to a highway in the town of Westford earlier this month.
“It’s intended for the people who run the town of Westford,” Pelkey told WCAX-TV.
According to the news station, Pelkey has been in a long-running dispute with the town over red tape that’s preventing him from developing on his property. The man wants to move his recycling business and a truck repair shop from another town to his property to cut down on expenses. Pelkey claims city staff have a personal grudge against him and are creating red tape.
(Adam Frisk. Vermont man erects giant middle-finger sculpture, flipping off local government. Global News. December 12, 2018.)
ご存知のように中指を立てるゼスチャーは相手を侮辱する時に使われるものです。
巨大な彫像を立てた張本人は所有する土地の開発を巡って自治体関係者と揉めており、関係者に対する苛立ちを中指を立てた手の彫像という形で表現したかったようです。
中指を立てるゼスチャーのことを、
one-finger wave
と表現しています。
よく知られているのは、"flip off"や"flip (someone) the bird"というものですが、"finger wave"という言い方もするようです。
彫像は人の手の形をしているのですが、中指だけ立てたものになっており、記事のビデオではモザイクがかけられています。
A Vermont man, involved in a long-running spat with local officials, erected a giant sculpture of the middle finger saluting city council with the one-finger wave.
Ted Pelkey had the sculpture erected next to a highway in the town of Westford earlier this month.
“It’s intended for the people who run the town of Westford,” Pelkey told WCAX-TV.
According to the news station, Pelkey has been in a long-running dispute with the town over red tape that’s preventing him from developing on his property. The man wants to move his recycling business and a truck repair shop from another town to his property to cut down on expenses. Pelkey claims city staff have a personal grudge against him and are creating red tape.
(Adam Frisk. Vermont man erects giant middle-finger sculpture, flipping off local government. Global News. December 12, 2018.)
ご存知のように中指を立てるゼスチャーは相手を侮辱する時に使われるものです。
巨大な彫像を立てた張本人は所有する土地の開発を巡って自治体関係者と揉めており、関係者に対する苛立ちを中指を立てた手の彫像という形で表現したかったようです。
中指を立てるゼスチャーのことを、
one-finger wave
と表現しています。
よく知られているのは、"flip off"や"flip (someone) the bird"というものですが、"finger wave"という言い方もするようです。
2018年12月19日水曜日
米で急増する電子タバコ ー precipitous
アメリカではVapingと呼ばれる、いわゆる電子タバコの愛用者が急増しているそうです。
それも高校生など十代の若者の間で浸透しているということで、専門家らはニコチン中毒者の急増に危機感を募らせているようです。
A steep rise in nicotine vaping over the past year, accompanied by widespread minimizing of its potential harm, dominated the findings of a closely watched annual survey of American teenagers, released Monday.
The vaping increase was so precipitous, researchers said, that it was the largest annual jump in the use of any substance, including marijuana, they had seen in the project’s 44-year history.
In all, the researchers found, the rise amounted to 1.3 million more high school vapers in 2018 than in 2017.
(Jan Hoffman. Study Shows Big Rise in Teen Vaping This Year. New York Times. December 17, 2018.)
増加ぶりはこの種の調査が始まって以来最も急激なもので、高校1年生の10人に1人、高校3年生になると4割近くが電子タバコを吸ったことがあると回答し、昨年と比較すると高校生の電子タバコ利用者が130万人も増加しているという統計があるそうです。
さて、記事の本文中、この増加のトレンドを表現するのに、
The vaping increase was so precipitous
と出てくるのですが、”precipitous”という形容詞に引っかかりました。
これまでの経験上、”precipitous”には下落、つまりdownwardのイメージがあったので、上昇(upward)のトレンドについて用いられていることに違和感があったのです。
たしかに、”precipitous”は下降や下落の表現と共に用いられることが多く、コーパスで検索してみるとトップ3は、
precipitous decline
precipitous drop
precipitous fall
となりました。
ところが、一方では、
precipitous rise
precipitous increase
なる用法も少ないながらもあり、上昇のトレンドについて用いるのも誤用ではないようです。
Merriam-Webster Dictionaryでは、
very steep, perpendicular, or overhanging in rise or fall
と定義しており、上昇、下降いずれにおいても急激な変化を意味する形容詞となっています。
それも高校生など十代の若者の間で浸透しているということで、専門家らはニコチン中毒者の急増に危機感を募らせているようです。
A steep rise in nicotine vaping over the past year, accompanied by widespread minimizing of its potential harm, dominated the findings of a closely watched annual survey of American teenagers, released Monday.
The vaping increase was so precipitous, researchers said, that it was the largest annual jump in the use of any substance, including marijuana, they had seen in the project’s 44-year history.
In all, the researchers found, the rise amounted to 1.3 million more high school vapers in 2018 than in 2017.
(Jan Hoffman. Study Shows Big Rise in Teen Vaping This Year. New York Times. December 17, 2018.)
増加ぶりはこの種の調査が始まって以来最も急激なもので、高校1年生の10人に1人、高校3年生になると4割近くが電子タバコを吸ったことがあると回答し、昨年と比較すると高校生の電子タバコ利用者が130万人も増加しているという統計があるそうです。
さて、記事の本文中、この増加のトレンドを表現するのに、
The vaping increase was so precipitous
と出てくるのですが、”precipitous”という形容詞に引っかかりました。
これまでの経験上、”precipitous”には下落、つまりdownwardのイメージがあったので、上昇(upward)のトレンドについて用いられていることに違和感があったのです。
たしかに、”precipitous”は下降や下落の表現と共に用いられることが多く、コーパスで検索してみるとトップ3は、
precipitous decline
precipitous drop
precipitous fall
となりました。
ところが、一方では、
precipitous rise
precipitous increase
なる用法も少ないながらもあり、上昇のトレンドについて用いるのも誤用ではないようです。
Merriam-Webster Dictionaryでは、
very steep, perpendicular, or overhanging in rise or fall
と定義しており、上昇、下降いずれにおいても急激な変化を意味する形容詞となっています。
2018年12月18日火曜日
lead-footed
記事の引用からお読み下さい。
An Ohio police officer told a teenager "you're welcome" in an open letter on Facebook Sunday after issuing the 18-year-old a speeding ticket on State Route 10. And the cop hopes other lead-footed drivers will take note.
When the officer — who was not identified in the post — with the North Ridgeville Police Department pulled the teenager over for speeding, the driver claimed to not realize how fast he or she was going. But the officer immediately knew that wasn't true. In fact, the official said it should be pretty obvious you're speeding when you hit 100 miles per hour in a 65 mile-per-hour zone.
(Jennifer Earl. Ohio police officer pens emotional plea to speeders after ticketing teen for driving 100 mph. Fox News. December 17, 2018.)
法定速度時速65マイルの道路を時速100マイルで通行した18歳にスピード違反キップを切られました。
アメリカのいわゆる「ハイウェー」を懐かしく思い出します。郊外の一般道でもそれは日本の高速道路のような感じで、インターチェンジのような下道から流入する構造になっており、法定速度も高めに設定されていたように記憶します。時速65マイルはおよそ時速104キロに相当しますが、日本だと高速道路並みと言えます。
そこを時速160キロで走ったのですから60キロオーバーで、流石に警察のご厄介になるのは仕方ありません。
そしてこれもアメリカ人らしいですが、検挙した警察官が一件をフェースブックに投稿し、スピード違反の無謀な若者をたしなめるメッセージを送ったところが話題になり、記事で取り上げられているということです。
前置きが長くなりました。
記事の中で、
lead-footed drivers
という表現が使われています。
この”lead-footed”の”lead”は鉛を意味する”lead”です。
つまり、鉛の(ような)足、ということになるのですが、記事のコンテクストではどういう解釈になるでしょうか。
手元にあるランダムハウス英和辞書を引いてみると、
(常習的な)スピード狂、飛ばし屋
という意味が載っています。また、同時に
のろまな、愚鈍な
という、これは正反対のようにも思える意味も載っています。
後者の意味、つまり動きが鈍いということと、鉛は関連に納得感がありますね。日本語でも「鉛のように重たい足」などと表現することがあります。
一方の、スピード狂、飛ばし屋、については、どのように生じたのか興味深く思われます。
Online Etymology Dictionaryの解説によると、
opposite sense of "fast" emerged 1940s in trucker's jargon, from notion of a foot heavy on the gas pedal
とありました。
つまり、アクセルペダルに載せる足に荷重がかかるとスピードが上がる、という訳です。
An Ohio police officer told a teenager "you're welcome" in an open letter on Facebook Sunday after issuing the 18-year-old a speeding ticket on State Route 10. And the cop hopes other lead-footed drivers will take note.
When the officer — who was not identified in the post — with the North Ridgeville Police Department pulled the teenager over for speeding, the driver claimed to not realize how fast he or she was going. But the officer immediately knew that wasn't true. In fact, the official said it should be pretty obvious you're speeding when you hit 100 miles per hour in a 65 mile-per-hour zone.
(Jennifer Earl. Ohio police officer pens emotional plea to speeders after ticketing teen for driving 100 mph. Fox News. December 17, 2018.)
法定速度時速65マイルの道路を時速100マイルで通行した18歳にスピード違反キップを切られました。
アメリカのいわゆる「ハイウェー」を懐かしく思い出します。郊外の一般道でもそれは日本の高速道路のような感じで、インターチェンジのような下道から流入する構造になっており、法定速度も高めに設定されていたように記憶します。時速65マイルはおよそ時速104キロに相当しますが、日本だと高速道路並みと言えます。
そこを時速160キロで走ったのですから60キロオーバーで、流石に警察のご厄介になるのは仕方ありません。
そしてこれもアメリカ人らしいですが、検挙した警察官が一件をフェースブックに投稿し、スピード違反の無謀な若者をたしなめるメッセージを送ったところが話題になり、記事で取り上げられているということです。
前置きが長くなりました。
記事の中で、
lead-footed drivers
という表現が使われています。
この”lead-footed”の”lead”は鉛を意味する”lead”です。
つまり、鉛の(ような)足、ということになるのですが、記事のコンテクストではどういう解釈になるでしょうか。
手元にあるランダムハウス英和辞書を引いてみると、
(常習的な)スピード狂、飛ばし屋
という意味が載っています。また、同時に
のろまな、愚鈍な
という、これは正反対のようにも思える意味も載っています。
後者の意味、つまり動きが鈍いということと、鉛は関連に納得感がありますね。日本語でも「鉛のように重たい足」などと表現することがあります。
一方の、スピード狂、飛ばし屋、については、どのように生じたのか興味深く思われます。
Online Etymology Dictionaryの解説によると、
opposite sense of "fast" emerged 1940s in trucker's jargon, from notion of a foot heavy on the gas pedal
とありました。
つまり、アクセルペダルに載せる足に荷重がかかるとスピードが上がる、という訳です。
2021/12/24追記:
Additionally, you can drive more gently, which can make your car's engine operate more efficiently, De Haan said. In other words, don't do things like speed or race from light to light.
"But it's hard to convince motorists to back off their lead foot," he said.
(Sarah O'Brien. For holiday travelers going by car, there are ways to cut how much you spend on gas. CNBC. December 23, 2021.)
2018年12月17日月曜日
get under one’s skin
ラップに苛立つ大統領、そんなところでしょうか。
Vladimir Putin is declaring war on rap music
Vlad’s got 99 problems — and rap is one.
Russian autocrat Vladimir Putin, facing poverty, protests and allegations of attacking U.S. elections, declared war on hip-hop on Saturday, railing that “rap is based on three pillars: sex, drugs and protest,” which will lead to “ the degradation of the nation.”
Putin’s comments follow a spate of concert cancellations by venue owners and local authorities across Russia, and the arrest of popular rapper Husky, whose songs have gotten under his skin.
“If it is impossible to stop, then we must lead it and direct it,” Putin said.
(Vladimir Putin is declaring war on rap music. New York Post. December 15, 2018.)
かつてはTVに出演してラッパーに賞を贈呈していたというプーチン大統領ですが、方針を180度転換したかのように、ラップ音楽を腐敗と堕落の象徴と切って捨てているそうです。
ラップにはセックスや麻薬、そして体制への反抗などをテーマにしたものが多いというのがその理由のようですが、独裁者には特に反体制的なものが目障りなのかも知れません。
その音楽は、
Have gotten under his skin
ということなのですが、"get under one’s skin"は人を苛立たせる、という意味です。
Vladimir Putin is declaring war on rap music
Vlad’s got 99 problems — and rap is one.
Russian autocrat Vladimir Putin, facing poverty, protests and allegations of attacking U.S. elections, declared war on hip-hop on Saturday, railing that “rap is based on three pillars: sex, drugs and protest,” which will lead to “ the degradation of the nation.”
Putin’s comments follow a spate of concert cancellations by venue owners and local authorities across Russia, and the arrest of popular rapper Husky, whose songs have gotten under his skin.
“If it is impossible to stop, then we must lead it and direct it,” Putin said.
(Vladimir Putin is declaring war on rap music. New York Post. December 15, 2018.)
かつてはTVに出演してラッパーに賞を贈呈していたというプーチン大統領ですが、方針を180度転換したかのように、ラップ音楽を腐敗と堕落の象徴と切って捨てているそうです。
ラップにはセックスや麻薬、そして体制への反抗などをテーマにしたものが多いというのがその理由のようですが、独裁者には特に反体制的なものが目障りなのかも知れません。
その音楽は、
Have gotten under his skin
ということなのですが、"get under one’s skin"は人を苛立たせる、という意味です。
2018年12月14日金曜日
creamed
記事の引用からお読み下さい。
Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms
It’s been a month since the midterms, and the grad scale of the calamity that has befallen the Republican Party grows clearer by the day. And yet Republicans in Washington seem intent on denying it.
In his wild meeting Tuesday with Democratic congressional leaders Nancy Pelosi and Charles Schumer, President Trump emphasized the fact that the GOP expanded its majority in the Senate by two seats.
(John Pdhoretz. Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms. New York Post. December 12, 2018.)
11月に行われた米中間選挙では民主党が躍進し、共和党には厳しい結果となりましたが、下院では議席を減らした一方、上院では2議席を新たに獲得したというのは事実ではあります。
ということで、トランプ氏率いる共和党の言い分としては敗北ではないということらしいのですが・・・。
記事のタイトルに注目しましょう。
Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms
とあるのですが、ここで”cream(ed)”というのは、あの「クリーム」と同じ”cream”なのですが、
To defeat overwhelmingly; to damage severely; destroy
(American Heritage Dictionary)
という意味で使われています。
“Cream”にこんな意味があるとは知りませんでした。
スラング(俗語)としての用法になるようです。
Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms
It’s been a month since the midterms, and the grad scale of the calamity that has befallen the Republican Party grows clearer by the day. And yet Republicans in Washington seem intent on denying it.
In his wild meeting Tuesday with Democratic congressional leaders Nancy Pelosi and Charles Schumer, President Trump emphasized the fact that the GOP expanded its majority in the Senate by two seats.
(John Pdhoretz. Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms. New York Post. December 12, 2018.)
11月に行われた米中間選挙では民主党が躍進し、共和党には厳しい結果となりましたが、下院では議席を減らした一方、上院では2議席を新たに獲得したというのは事実ではあります。
ということで、トランプ氏率いる共和党の言い分としては敗北ではないということらしいのですが・・・。
記事のタイトルに注目しましょう。
Republicans refuse to admit they got creamed in the midterms
とあるのですが、ここで”cream(ed)”というのは、あの「クリーム」と同じ”cream”なのですが、
To defeat overwhelmingly; to damage severely; destroy
(American Heritage Dictionary)
という意味で使われています。
“Cream”にこんな意味があるとは知りませんでした。
スラング(俗語)としての用法になるようです。
2018年12月13日木曜日
swill
ジェームズ・ボンドにアルコール中毒の疑い!?
真面目な研究に基づくレポートのようです。
James Bond is a "severe" alcoholic and should have been provided with professional help by MI6, according to an academic study.
Public health researchers at the University of Otago in New Zealand analysed 24 Bond films and concluded that the martini-swilling secret agent suffered from "chronic" alcohol use disorder.
They wrote: "There is strong and consistent evidence that James Bond has a chronic alcohol consumption problem at the 'severe' end of the spectrum."
The analysis, published in the Medical Journal of Australia, found Bond sipped a drink 109 times, or an average of 4.5 times in each film.
(Nick Allen. 'Licence to swill' - James Bond declared 'severe' alcoholic by public health academics. The Telegraph. December 10, 2018.)
研究では映画の中でジェームズ・ボンドが頻回に渡ってマティーニを飲むことが取り上げられたようです。主人公がマティーニを注文するのは映画「007」でのおきまりのシーンですが、観る人に与える影響が良くないとでもいうことでしょうか。
同研究では主人公はあまりにストレスの高い状況に置かれているとして、雇用者であるMI6はストレス軽減措置を取るべきといった、提言もしているそうですが、フィクションに対して滑稽な内容にも思えてきます。
ところで、見慣れない動詞なのですが、"swill"という単語が使われています。
辞書を引いてみたら、
がぶ飲みする
という意味でした。
確かに見慣れない単語なのですが、語源的には"swallow"とも通じるらしく、そう考えると何となく身近に思われます。
記事のタイトルでは、
'Licence to swill'
となっていますが、これは映画「007」のサブタイトル"License to Kill"にあてつけた洒落です。
真面目な研究に基づくレポートのようです。
James Bond is a "severe" alcoholic and should have been provided with professional help by MI6, according to an academic study.
Public health researchers at the University of Otago in New Zealand analysed 24 Bond films and concluded that the martini-swilling secret agent suffered from "chronic" alcohol use disorder.
They wrote: "There is strong and consistent evidence that James Bond has a chronic alcohol consumption problem at the 'severe' end of the spectrum."
The analysis, published in the Medical Journal of Australia, found Bond sipped a drink 109 times, or an average of 4.5 times in each film.
(Nick Allen. 'Licence to swill' - James Bond declared 'severe' alcoholic by public health academics. The Telegraph. December 10, 2018.)
研究では映画の中でジェームズ・ボンドが頻回に渡ってマティーニを飲むことが取り上げられたようです。主人公がマティーニを注文するのは映画「007」でのおきまりのシーンですが、観る人に与える影響が良くないとでもいうことでしょうか。
同研究では主人公はあまりにストレスの高い状況に置かれているとして、雇用者であるMI6はストレス軽減措置を取るべきといった、提言もしているそうですが、フィクションに対して滑稽な内容にも思えてきます。
ところで、見慣れない動詞なのですが、"swill"という単語が使われています。
辞書を引いてみたら、
がぶ飲みする
という意味でした。
確かに見慣れない単語なのですが、語源的には"swallow"とも通じるらしく、そう考えると何となく身近に思われます。
記事のタイトルでは、
'Licence to swill'
となっていますが、これは映画「007」のサブタイトル"License to Kill"にあてつけた洒落です。
2018年12月12日水曜日
galore
あっという間に12月も半ばとなりました。
クリスマスシーズンです。
Christmas events galore this weekend in Houston. Take a look.
Houston will play host to several Christmas-oriented events this weekend. From plays and musical performances to an afternoon Christmas parade and visit from Santa Claus, it's a full weekend of opportunities.
(Christmas events galore this weekend in Houston. Take a look. Houston Herald. December 7, 2018.)
あちこちでクリスマスのイベントが盛りだくさんです。クリスマスツリーも、よほど不景気でないお店以外は必ずと言っていいほど飾っています。
引用した記事のタイトルに、
Christmas events galore this weekend
とありますが、この"galore"という表現に目が留まりました。
この単語を知らなかった私は、これは名詞なのか、はたまた動詞なのか?と思ったわけです。
答えは、形容詞、です。たくさん、豊富な、という意味で、大抵の場合名詞の後ろに置かれることが多いようです。
スペルがちょっと変わっていますが、興味深いことに由来はアイルランド語で十分に(sufficiently, enough)という意味のgo leorから来ているのだそうです。
この"galore"という単語はヘッドラインによく使われるみたいです。
Fitbit deals galore in Amazon 12 days of Christmas sale
It took a while but Fitbit smartwatches and fitness trackers have got a big sale over at Amazon, as part of the 12 Days of Christmas sale.
(James Stables. Fitbit deals galore in Amazon 12 days of Christmas sale. Wearable. December 11, 2018.)
クリスマスシーズンです。
Christmas events galore this weekend in Houston. Take a look.
Houston will play host to several Christmas-oriented events this weekend. From plays and musical performances to an afternoon Christmas parade and visit from Santa Claus, it's a full weekend of opportunities.
(Christmas events galore this weekend in Houston. Take a look. Houston Herald. December 7, 2018.)
あちこちでクリスマスのイベントが盛りだくさんです。クリスマスツリーも、よほど不景気でないお店以外は必ずと言っていいほど飾っています。
引用した記事のタイトルに、
Christmas events galore this weekend
とありますが、この"galore"という表現に目が留まりました。
この単語を知らなかった私は、これは名詞なのか、はたまた動詞なのか?と思ったわけです。
答えは、形容詞、です。たくさん、豊富な、という意味で、大抵の場合名詞の後ろに置かれることが多いようです。
スペルがちょっと変わっていますが、興味深いことに由来はアイルランド語で十分に(sufficiently, enough)という意味のgo leorから来ているのだそうです。
この"galore"という単語はヘッドラインによく使われるみたいです。
Fitbit deals galore in Amazon 12 days of Christmas sale
It took a while but Fitbit smartwatches and fitness trackers have got a big sale over at Amazon, as part of the 12 Days of Christmas sale.
(James Stables. Fitbit deals galore in Amazon 12 days of Christmas sale. Wearable. December 11, 2018.)
2018年12月11日火曜日
neti pot
Brain-eating amoebaというおっかない病原体のことを何年か前にニュースで知ったのですが、汚染されている水を飲んだりすることで脳内に致死的な症状を引き起こすらしいです。
引用する記事は高齢の女性がこのアメーバに侵されてしまったというものなのですが、”neti pot”なるものが原因ということで、この”neti pot”とは何ぞやというのが今日のテーマです。
A Seattle woman has died after contracting a a rare brain-eating amoeba from using tap water in a neti pot - which turned her brain into 'bloody mush'.
Doctors had prescribed the woman, 69, to use the pot to flush out her nasal cavity after she'd been suffering from a persistent sinus infection.
But she used Brita-filtered water instead of sterile water and soon developed a strange rash on the bridge of her nose.
Unbeknownst to her, over the course of the next year, an amoeba was gnawing away at the woman's brain tissue.
(Natalie Rahhal. Woman killed by a rare brain-eating amoeba which 'turned her brain into a bloody mush' after she used a NETI POT to treat her sinus infection. The Daily Mail. December 8, 2018.)
記事のタイトルでも使われているのですが、本文を読んでみてそれが、
The pot to flush out her nasal cavity
ということが分かり、これはつまり鼻洗浄のための器具であると分かります。
この”neti”という名称については固有名詞の類が一般名詞化したのかと最初想像したのですが、そうではありませんでした。
鼻洗浄という考えは古代インドに通じるらしく、ウィキペディアによりますと、サンスクリット語でJala-netiとは水で鼻を洗浄することを指すそうです。
つまり、”neti”とはサンスクリット語で鼻(nose)を指すのでした。
何だかとても博識になったような気分です。
引用する記事は高齢の女性がこのアメーバに侵されてしまったというものなのですが、”neti pot”なるものが原因ということで、この”neti pot”とは何ぞやというのが今日のテーマです。
A Seattle woman has died after contracting a a rare brain-eating amoeba from using tap water in a neti pot - which turned her brain into 'bloody mush'.
Doctors had prescribed the woman, 69, to use the pot to flush out her nasal cavity after she'd been suffering from a persistent sinus infection.
But she used Brita-filtered water instead of sterile water and soon developed a strange rash on the bridge of her nose.
Unbeknownst to her, over the course of the next year, an amoeba was gnawing away at the woman's brain tissue.
(Natalie Rahhal. Woman killed by a rare brain-eating amoeba which 'turned her brain into a bloody mush' after she used a NETI POT to treat her sinus infection. The Daily Mail. December 8, 2018.)
記事のタイトルでも使われているのですが、本文を読んでみてそれが、
The pot to flush out her nasal cavity
ということが分かり、これはつまり鼻洗浄のための器具であると分かります。
この”neti”という名称については固有名詞の類が一般名詞化したのかと最初想像したのですが、そうではありませんでした。
鼻洗浄という考えは古代インドに通じるらしく、ウィキペディアによりますと、サンスクリット語でJala-netiとは水で鼻を洗浄することを指すそうです。
つまり、”neti”とはサンスクリット語で鼻(nose)を指すのでした。
何だかとても博識になったような気分です。
2018年12月10日月曜日
otherworldly
アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機インサイトが先日から火星でのミッションを開始したところですが、火星上での風の音を史上初めて録音することに成功したそうです。
一体どんな風の音なんでしょうか?
CAPE CANAVERAL, Fla. (AP) — NASA’s new Mars lander has captured the first sounds of the “really unworldly” Martian wind.
The Jet Propulsion Laboratory released audio clips of the alien wind Friday. The low-frequency rumblings were collected by the InSight lander during its first week of operations at Mars.
The wind is estimated to be blowing 10 mph to 15 mph (16 kph to 24 kph). These are the first sounds from Mars that are detectable by human ears, according to the researchers.
(NASA Records Sound Of Mars’ ‘Really Unworldly’ Wind For The First Time. Huffington Post. December 8, 2018.)
人間に聴こえるものとしては初めての録音だそうです。その音について、
Really unworldly
と表現しています。
“Unworldly”とはこの世のものとは思えない、というような意味です。
Scientists involved in the project agree the sound has an otherworldly quality to it. Thomas Pike of Imperial College London said the rumbling is “rather different to anything that we’ve experienced on Earth, and I think it just gives us another way of thinking about how far away we are getting these signals.”
The noise is of the wind blowing against InSight’s solar panels and the resulting vibration of the entire spacecraft. The sounds were recorded by an air pressure sensor inside the lander that’s part of a weather station, as well as the seismometer on the deck of the spacecraft.
(ibid.)
一方、同じ記事の後段では、
Otherworldly quality
との表現が使われています。
私はこの”otherworldly”という表現を知らなかったのですが、”unworldly”に同じく、この世のものとは思えない、というような意味が辞書には載っています。
2つの単語、”unworldly”と”otherworldly”に違いがあるとすると、”otherworldly”にはこの世(現生)に対して「あの世」(other world)という対比が込められているという点でしょうか。対して、”unwordly”には奇抜さや現実世界から遊離したといった含意があります。
火星で録音された風の音はネットで聴くことができます。
ごく普通の風の音と言ってしまえばそれまでですが、屋外でビデオ撮影などをした際にマイクが風の音を拾ってしまう時のあの音くらいにしか聞こえなかったというのが正直なところです。
尤も、茫漠とした火星の表面上で録音されたと聞くと、この世のものとは思えないものに感じられるというのも分かるような気がしてきました。
一体どんな風の音なんでしょうか?
CAPE CANAVERAL, Fla. (AP) — NASA’s new Mars lander has captured the first sounds of the “really unworldly” Martian wind.
The Jet Propulsion Laboratory released audio clips of the alien wind Friday. The low-frequency rumblings were collected by the InSight lander during its first week of operations at Mars.
The wind is estimated to be blowing 10 mph to 15 mph (16 kph to 24 kph). These are the first sounds from Mars that are detectable by human ears, according to the researchers.
(NASA Records Sound Of Mars’ ‘Really Unworldly’ Wind For The First Time. Huffington Post. December 8, 2018.)
人間に聴こえるものとしては初めての録音だそうです。その音について、
Really unworldly
と表現しています。
“Unworldly”とはこの世のものとは思えない、というような意味です。
Scientists involved in the project agree the sound has an otherworldly quality to it. Thomas Pike of Imperial College London said the rumbling is “rather different to anything that we’ve experienced on Earth, and I think it just gives us another way of thinking about how far away we are getting these signals.”
The noise is of the wind blowing against InSight’s solar panels and the resulting vibration of the entire spacecraft. The sounds were recorded by an air pressure sensor inside the lander that’s part of a weather station, as well as the seismometer on the deck of the spacecraft.
(ibid.)
一方、同じ記事の後段では、
Otherworldly quality
との表現が使われています。
私はこの”otherworldly”という表現を知らなかったのですが、”unworldly”に同じく、この世のものとは思えない、というような意味が辞書には載っています。
2つの単語、”unworldly”と”otherworldly”に違いがあるとすると、”otherworldly”にはこの世(現生)に対して「あの世」(other world)という対比が込められているという点でしょうか。対して、”unwordly”には奇抜さや現実世界から遊離したといった含意があります。
火星で録音された風の音はネットで聴くことができます。
ごく普通の風の音と言ってしまえばそれまでですが、屋外でビデオ撮影などをした際にマイクが風の音を拾ってしまう時のあの音くらいにしか聞こえなかったというのが正直なところです。
尤も、茫漠とした火星の表面上で録音されたと聞くと、この世のものとは思えないものに感じられるというのも分かるような気がしてきました。
2018年12月7日金曜日
分かりにくい「世代」 ― Generation Z
以前、"millennial"という単語を取り上げましたが、最近"Generation Z"という表現を目にしました。
"millennial"については、別名"Generation Y"とも呼ばれるということで、"Generation Z"についても、「Y世代」に次ぐ世代のことだろうくらいは想像がつきましたが、いざ頭の中で整理して解釈しようとすると、これが実はよく分からないのです。
Much has been said about millennials and their wants and needs in the housing market, but Generation Z (ages 18-24) appears to already be planning for homeownership more than other generations. A realtor.com survey found this upcoming generation is twice more likely than previous generations to be saving or plan to save for a home by age 25. In fact, two of five aim to become homeowners by that age.
The online listing website of the National Association of Realtors surveyed 3,372 Americans across Generation X (ages 35-50), millennials/Generation Y (ages 25-34) and Generation Zers to better understand the generational differences in relation to homeownership and aspirations.
(Rose Meily. Real deal: Gen Z saving early, aspires for homeownership by age 25. Mercury News. November 30, 2018.)
上記の引用では、
Generation Xは、年齢にして35~50歳(つまり生まれは、1968年~1983年)
Generation Yは、年齢にして25~34歳(つまり生まれは、1984年~1993年)
Generation Zは、年齢にして18~24歳(つまり生まれは、1994年~2000年)
ということになります。
一方、"millennial"は、
A member of the generation born from the early 1980s to late 1990s, especially in the United States and Canada; a member of Generation Y.
(American Heritage Dictionary, 5th edition.)
と定義されており、1980年台前半から1990年台後半に生まれた世代ということで、上記のY世代とZ世代にかぶります。すなわち、"millennial"イコール"Generation Y"とはならないのです。
また、Z世代の定義についても、(同じForbes紙でありながら)揺れが見られます。
Generation Z is about to change the face of the workforce.
(中略)
The older members of this substantial group — more than 61 million individuals in the U.S. alone, often defined as the generation born between 1996 and 2010 — are now breaking into the labor force and should make up one-fifth of it by 2021.
(William Arruda. How To Make Your Workplace Ready For Gen Z. Forbes. November 13, 2018.)
上記の引用では、1996年〜2010年生まれの世代とされています。一方、下記では、
Raised in the era of technology and economic upheaval, Generation Z – born in 1995 and onward – are marked by their work ethic, practical approach to education, and embrace of technology.
(Jason Wingard. Training Generation Z. Forbes. November 21, 2018.)
1995年以降に生まれた世代です。
Z世代の定義に1〜2年の揺れがあるのはまあ良いとして、"millennial"(Y世代)について辞書(American Heritage Dictionary)の定義が、今日の"Generation Z"と矛盾することが問題かと思われました。
"millennial"については、別名"Generation Y"とも呼ばれるということで、"Generation Z"についても、「Y世代」に次ぐ世代のことだろうくらいは想像がつきましたが、いざ頭の中で整理して解釈しようとすると、これが実はよく分からないのです。
Much has been said about millennials and their wants and needs in the housing market, but Generation Z (ages 18-24) appears to already be planning for homeownership more than other generations. A realtor.com survey found this upcoming generation is twice more likely than previous generations to be saving or plan to save for a home by age 25. In fact, two of five aim to become homeowners by that age.
The online listing website of the National Association of Realtors surveyed 3,372 Americans across Generation X (ages 35-50), millennials/Generation Y (ages 25-34) and Generation Zers to better understand the generational differences in relation to homeownership and aspirations.
(Rose Meily. Real deal: Gen Z saving early, aspires for homeownership by age 25. Mercury News. November 30, 2018.)
上記の引用では、
Generation Xは、年齢にして35~50歳(つまり生まれは、1968年~1983年)
Generation Yは、年齢にして25~34歳(つまり生まれは、1984年~1993年)
Generation Zは、年齢にして18~24歳(つまり生まれは、1994年~2000年)
ということになります。
一方、"millennial"は、
A member of the generation born from the early 1980s to late 1990s, especially in the United States and Canada; a member of Generation Y.
(American Heritage Dictionary, 5th edition.)
と定義されており、1980年台前半から1990年台後半に生まれた世代ということで、上記のY世代とZ世代にかぶります。すなわち、"millennial"イコール"Generation Y"とはならないのです。
また、Z世代の定義についても、(同じForbes紙でありながら)揺れが見られます。
Generation Z is about to change the face of the workforce.
(中略)
The older members of this substantial group — more than 61 million individuals in the U.S. alone, often defined as the generation born between 1996 and 2010 — are now breaking into the labor force and should make up one-fifth of it by 2021.
(William Arruda. How To Make Your Workplace Ready For Gen Z. Forbes. November 13, 2018.)
上記の引用では、1996年〜2010年生まれの世代とされています。一方、下記では、
Raised in the era of technology and economic upheaval, Generation Z – born in 1995 and onward – are marked by their work ethic, practical approach to education, and embrace of technology.
(Jason Wingard. Training Generation Z. Forbes. November 21, 2018.)
1995年以降に生まれた世代です。
Z世代の定義に1〜2年の揺れがあるのはまあ良いとして、"millennial"(Y世代)について辞書(American Heritage Dictionary)の定義が、今日の"Generation Z"と矛盾することが問題かと思われました。
2018年12月6日木曜日
(続)今年の単語 ― gaslighting
昨日はOxfordが選出した今年の単語"toxic"を取り上げましたが、その続編ということで今日もOxfordのWord of the Year候補になった単語を取り上げたいと思います。
候補となった10余り単語のshortlistの中に、
gaslighting
という単語があります。
"gaslight"はガス灯の意味ですが、ここでは~ing形となっており、動詞で用いられる訳ですがどういう意味なのでしょうか?
Shortlisted for the Oxford English Dictionary’s 2018 word of the year, “gaslighting” has well and truly found its way into contemporary thought and vernacular.
The term has recently been employed to explain the behaviour of contestants on The Bachelor Australia, Monica Lewinksy’s experiences with the media post-Bill Clinton, and the words of US President Donald Trump.
But what, exactly, does it mean? Where did it come from? And why is it experiencing a resurgence today?
(Explainer: what does ‘gaslighting’ mean? The Conversation. December 6, 2018.)
記事の解説によると、"gaslighting"の語源は1944年に作製されたアメリカ映画"Gaslight"に因むそうです。
映画「ガス灯」はサスペンス映画だそうですが、その中でイングリッド・バーグマンが演じる妻は、夫の巧みな心理的操作により自らの精神状態が分からなくなってしまうというプロットが中心になっているそうです。
Although it can cover various behaviours, the central tenet of gaslighting is the psychological manipulation of a person in order to erode their sense of self and sanity.
The behaviour itself is not always deliberate, in that the perpetrator may not have consciously set out to distort another person’s experience of reality. But gaslighting is often used as a method of power and control.
(ibid.)
つまり、"gaslighting"の意味するところは、自らの主義や主張を通すために、相手の心理を欺く心理的なテクニックのことであると解釈されます。
この単語がWord of the Yearの候補に挙げられた背景として、またしてもトランプ米大統領が引き合いに出されています。
メディア報道の多くをフェイクニュースと攻撃して憚らないトランプ氏ですが、氏の発言を聞いているとひょっとしたら自分はフェイクニュースに踊らされているのかも知れないと思いはじめる人もいるかもしれません。
まさに"gaslighting"の狙うところだという訳です。
候補となった10余り単語のshortlistの中に、
gaslighting
という単語があります。
"gaslight"はガス灯の意味ですが、ここでは~ing形となっており、動詞で用いられる訳ですがどういう意味なのでしょうか?
Shortlisted for the Oxford English Dictionary’s 2018 word of the year, “gaslighting” has well and truly found its way into contemporary thought and vernacular.
The term has recently been employed to explain the behaviour of contestants on The Bachelor Australia, Monica Lewinksy’s experiences with the media post-Bill Clinton, and the words of US President Donald Trump.
But what, exactly, does it mean? Where did it come from? And why is it experiencing a resurgence today?
(Explainer: what does ‘gaslighting’ mean? The Conversation. December 6, 2018.)
記事の解説によると、"gaslighting"の語源は1944年に作製されたアメリカ映画"Gaslight"に因むそうです。
映画「ガス灯」はサスペンス映画だそうですが、その中でイングリッド・バーグマンが演じる妻は、夫の巧みな心理的操作により自らの精神状態が分からなくなってしまうというプロットが中心になっているそうです。
Although it can cover various behaviours, the central tenet of gaslighting is the psychological manipulation of a person in order to erode their sense of self and sanity.
The behaviour itself is not always deliberate, in that the perpetrator may not have consciously set out to distort another person’s experience of reality. But gaslighting is often used as a method of power and control.
(ibid.)
つまり、"gaslighting"の意味するところは、自らの主義や主張を通すために、相手の心理を欺く心理的なテクニックのことであると解釈されます。
この単語がWord of the Yearの候補に挙げられた背景として、またしてもトランプ米大統領が引き合いに出されています。
メディア報道の多くをフェイクニュースと攻撃して憚らないトランプ氏ですが、氏の発言を聞いているとひょっとしたら自分はフェイクニュースに踊らされているのかも知れないと思いはじめる人もいるかもしれません。
まさに"gaslighting"の狙うところだという訳です。
2018年12月5日水曜日
今年の単語 ― toxic
昨日新聞を読んでいたら、何某企業主催の新語大賞の発表について報じた記事が目に留まりました。
大賞に選ばれたのは「そだねー」ということでした。どうでもいいような気もしますが、果たしてこれが新語なのだろうかとも突っ込みたくなるところです。尤も、流行語という側面もあるようなのですが。
それで思い出したのですが、師走となり、英語の世界でもWord of the Yearが発表されているはず、とチェックしてみたら、先月のことでした。
Oxfordによる2018年のWord of the Yearは、
toxic
だそうです。
そうです、毒のある、という意味の"toxic"です。
It’s official: 2018 is toxic.
Well, lexicographically speaking, at least. Oxford Dictionaries has chosen “toxic” as its international word of the year, selecting it from a shortlist that included such politically inflected contenders as “gaslighting,” “incel” and “techlash.”
Katherine Connor Martin, the company’s head of U.S. dictionaries, said there had been a marked uptick of interest in the word on its website over the past year. But the word was chosen less for statistical reasons, she said, than for the sheer variety of contexts in which it has proliferated, from conversations about environmental poisons to laments about today’s poisonous political discourse to the #MeToo movement, with its calling out of “toxic masculinity.”
(Jennifer Schuessler. ‘Toxic’ Is Oxford’s Word of the Year. No, We’re Not Gaslighting You. New York Times. November 14, 2018.)
既に定着している"toxic"という単語が今年の1語とは意外な感がありますが、OxfordのWord of the Yearの選出過程は統計に基づいており、「そだねー」を選出した何某企業の方法については詳しく知りませんが、より学術的な雰囲気がします。
上記に引用した部分でも解説されていますが、Oxfordが提供する辞書検索サイトでの統計のみならず、2018年は"toxic"という単語が様々なコンテクストで使われるようになったということが背景にあるようです。
具体例として、"toxic masculinity"という表現が取り上げられています。
訳すならば「毒のある男らしさ」みたいになりますが、別の言い方をすると女性蔑視でしょうか。トランプ米大統領に見られる言動から、#MeTooで過熱する報道などが引き合いに出されています。
ところで、"toxic"という単語の語源を改めて確認してみると、意外な事実に驚きます。
記事でも以下のように解説されています。
“Toxic” derives from the Greek “toxikon pharmakon,” meaning “poison for arrows.” (The part of the phrase meaning arrows, rather than poison, became the basis for the word.) The current entry in the online Oxford English Dictionary dates its earliest known printed occurrence to 1664, in a book about forests.
(ibid.)
つまり、"toxic"はギリシャ語のフレーズtoxikon pharmakon(意味は"poinson for arrows"、つまり「矢の毒」)から来ているのですが、肝心のtoxiconは「矢」を意味するもので、「毒」を意味するのはpharmakonということなのです。
これは知りませんでしたねぇ。
大賞に選ばれたのは「そだねー」ということでした。どうでもいいような気もしますが、果たしてこれが新語なのだろうかとも突っ込みたくなるところです。尤も、流行語という側面もあるようなのですが。
それで思い出したのですが、師走となり、英語の世界でもWord of the Yearが発表されているはず、とチェックしてみたら、先月のことでした。
Oxfordによる2018年のWord of the Yearは、
toxic
だそうです。
そうです、毒のある、という意味の"toxic"です。
It’s official: 2018 is toxic.
Well, lexicographically speaking, at least. Oxford Dictionaries has chosen “toxic” as its international word of the year, selecting it from a shortlist that included such politically inflected contenders as “gaslighting,” “incel” and “techlash.”
Katherine Connor Martin, the company’s head of U.S. dictionaries, said there had been a marked uptick of interest in the word on its website over the past year. But the word was chosen less for statistical reasons, she said, than for the sheer variety of contexts in which it has proliferated, from conversations about environmental poisons to laments about today’s poisonous political discourse to the #MeToo movement, with its calling out of “toxic masculinity.”
(Jennifer Schuessler. ‘Toxic’ Is Oxford’s Word of the Year. No, We’re Not Gaslighting You. New York Times. November 14, 2018.)
既に定着している"toxic"という単語が今年の1語とは意外な感がありますが、OxfordのWord of the Yearの選出過程は統計に基づいており、「そだねー」を選出した何某企業の方法については詳しく知りませんが、より学術的な雰囲気がします。
上記に引用した部分でも解説されていますが、Oxfordが提供する辞書検索サイトでの統計のみならず、2018年は"toxic"という単語が様々なコンテクストで使われるようになったということが背景にあるようです。
具体例として、"toxic masculinity"という表現が取り上げられています。
訳すならば「毒のある男らしさ」みたいになりますが、別の言い方をすると女性蔑視でしょうか。トランプ米大統領に見られる言動から、#MeTooで過熱する報道などが引き合いに出されています。
ところで、"toxic"という単語の語源を改めて確認してみると、意外な事実に驚きます。
記事でも以下のように解説されています。
“Toxic” derives from the Greek “toxikon pharmakon,” meaning “poison for arrows.” (The part of the phrase meaning arrows, rather than poison, became the basis for the word.) The current entry in the online Oxford English Dictionary dates its earliest known printed occurrence to 1664, in a book about forests.
(ibid.)
つまり、"toxic"はギリシャ語のフレーズtoxikon pharmakon(意味は"poinson for arrows"、つまり「矢の毒」)から来ているのですが、肝心のtoxiconは「矢」を意味するもので、「毒」を意味するのはpharmakonということなのです。
これは知りませんでしたねぇ。
2018年12月4日火曜日
pallbearer
先週金曜日に94歳で亡くなった第41代大統領のGeorge H.W. Bush氏の亡骸がテキサス州ヒューストンの自宅から、公開安置されるワシントンDCのCapitol Hillへと特別機で運ばれました。
A military guard carried George H.W. Bush’s coffin into the U.S. Capitol on Monday as the sun set in Washington, beginning several days of ceremonies and tributes to the 41st president.
(中略)
Arriving from Houston in Special Air Mission 41, a presidential aircraft that was temporarily renamed to honor the 41st president, Bush’s coffin was greeted at Joint Base Andrews in Maryland by “Hail to the Chief” and a 21-gun salute. Two of the late president’s sons, George W. and Neil, flew on the presidential jet from Houston. His other children, Jeb, Marvin and Dorothy, met the plan when it landed.
(中略)
With an American flag draped over it, the coffin departed Houston at noon Eastern Time. Members of the late president’s Secret Service Bush Protective Division served as honorary pallbearers in Texas.
(Rebecca Morin. George H.W. Bush makes final landing in Washington. Politico. December 3, 2018.)
写真入りの記事では、アメリカ国旗で覆われた棺が、多くの人達に見守られながらワシントンの議会場の階段を運ばれていく様子が窺えます。
棺を運ぶというのは故人に親しかった人に任されることが多いですが、故ブッシュ氏の警護を担当したシークレットサービスのメンバーが今回は担ったようです。
記事では、
Pallbearer
という単語が使われているのですが、この単語を初めて目にしました。
“Pall”というのは元々は棺を覆う布のことを指していたようです。ラテン語で袖なしの外套を意味するpalliumに由来するそうです。
A military guard carried George H.W. Bush’s coffin into the U.S. Capitol on Monday as the sun set in Washington, beginning several days of ceremonies and tributes to the 41st president.
(中略)
Arriving from Houston in Special Air Mission 41, a presidential aircraft that was temporarily renamed to honor the 41st president, Bush’s coffin was greeted at Joint Base Andrews in Maryland by “Hail to the Chief” and a 21-gun salute. Two of the late president’s sons, George W. and Neil, flew on the presidential jet from Houston. His other children, Jeb, Marvin and Dorothy, met the plan when it landed.
(中略)
With an American flag draped over it, the coffin departed Houston at noon Eastern Time. Members of the late president’s Secret Service Bush Protective Division served as honorary pallbearers in Texas.
(Rebecca Morin. George H.W. Bush makes final landing in Washington. Politico. December 3, 2018.)
写真入りの記事では、アメリカ国旗で覆われた棺が、多くの人達に見守られながらワシントンの議会場の階段を運ばれていく様子が窺えます。
棺を運ぶというのは故人に親しかった人に任されることが多いですが、故ブッシュ氏の警護を担当したシークレットサービスのメンバーが今回は担ったようです。
記事では、
Pallbearer
という単語が使われているのですが、この単語を初めて目にしました。
“Pall”というのは元々は棺を覆う布のことを指していたようです。ラテン語で袖なしの外套を意味するpalliumに由来するそうです。
2018年12月3日月曜日
yardstick
アメリカ第41代大統領のジョージ・H・W・ブッシュ前大統領が死去しました。94歳でした。
邦紙では旧ソ連のゴルバチョフ元大統領ら、各国首脳からの弔意が伝えられているのを目にしました。
米国内でも勿論、クリントン元大統領やオバマ元大統領らが、故ブッシュ氏の生前の偉業を讃え、その死を悼むコメントを寄せています。
ワシントンポスト紙の記事から引用です。
‘Honorable, gracious and decent’: In death, Bush becomes a yardstick for President Trump
The tributes to former president George H.W. Bush poured in this weekend, each in their own way exposing the pitfalls ahead this week for the Oval Office’s current resident.
The 41st president was remembered by Barack Obama, the 44th, as “a humble servant.” “Honorable, gracious and decent” were the words Bill Clinton used in praise of his immediate predecessor. House Speaker Paul D. Ryan’s encomium described Bush as “great in his character, leading with decency and integrity.”
(中略)
In death, presidents are measured not only by their accomplishments but by what their tenure says about sitting presidents — and in this case, the contrast appears stark.
(Gregg Jaffe. ‘Honorable, gracious and decent’: In death, Bush becomes a yardstick for President Trump. The Washington Post. December 2, 2018.)
記事のタイトルで使われている"yardstick"は物差しのことです。ネットで画像検索すると、日本で言う物差し、定規(定木)の画像が出てきます。
その意味で、"yardstick"とは物事や人物を評価する際の基準、尺度、といった意味で使われます。
"yardstick"の実物を見たことはありませんが、"yard"は0.9144センチメートルなので、結構長い代物ではないかと思われます。
ブッシュファミリーとは仲が良くなかったにも関わらず、トランプ氏も故人の死を悼むコメントを発表しましたが、偉大な元大統領と比較される居心地の悪さもあるのでしょう。
邦紙では旧ソ連のゴルバチョフ元大統領ら、各国首脳からの弔意が伝えられているのを目にしました。
米国内でも勿論、クリントン元大統領やオバマ元大統領らが、故ブッシュ氏の生前の偉業を讃え、その死を悼むコメントを寄せています。
ワシントンポスト紙の記事から引用です。
‘Honorable, gracious and decent’: In death, Bush becomes a yardstick for President Trump
The tributes to former president George H.W. Bush poured in this weekend, each in their own way exposing the pitfalls ahead this week for the Oval Office’s current resident.
The 41st president was remembered by Barack Obama, the 44th, as “a humble servant.” “Honorable, gracious and decent” were the words Bill Clinton used in praise of his immediate predecessor. House Speaker Paul D. Ryan’s encomium described Bush as “great in his character, leading with decency and integrity.”
(中略)
In death, presidents are measured not only by their accomplishments but by what their tenure says about sitting presidents — and in this case, the contrast appears stark.
(Gregg Jaffe. ‘Honorable, gracious and decent’: In death, Bush becomes a yardstick for President Trump. The Washington Post. December 2, 2018.)
記事のタイトルで使われている"yardstick"は物差しのことです。ネットで画像検索すると、日本で言う物差し、定規(定木)の画像が出てきます。
その意味で、"yardstick"とは物事や人物を評価する際の基準、尺度、といった意味で使われます。
"yardstick"の実物を見たことはありませんが、"yard"は0.9144センチメートルなので、結構長い代物ではないかと思われます。
ブッシュファミリーとは仲が良くなかったにも関わらず、トランプ氏も故人の死を悼むコメントを発表しましたが、偉大な元大統領と比較される居心地の悪さもあるのでしょう。
2018年11月30日金曜日
knifepoint
記事の引用からどうぞ。
A man who allegedly raped a woman at knifepoint after attacking her has been arrested, police said.
Nickolos Samaroo, 21, of Queens, was allegedly inside an apartment on 101st Avenue in Jamaica around 3 a.m. on Nov. 9 when he punched and kicked a 39-year-old woman until he knocked her out, the NYPD said.
(NY Man Accused of Raping Woman at Knifepoint Arrested: Police. NBC New York. November 28, 2018.)
ナイフを突きつけて脅して女性に暴行を働いた21歳の男を逮捕、というニュース記事です。
拳銃を突きつけて脅す場合に、
at gunpoint
ということは知っていましたが、同様にナイフで脅す場合に"at knifepoint"という表現があるとは知りませんでした。
興味があったので少し調べてみると、同様に、
at swordpoint
at spearpoint
at riflepoint
などの表現も存在することが分かりました。
Historians believe those settlers were descended from fewer than 100 families who fled Mexico in the 1600s after they escaped the Spanish Inquisition. They were Jews who converted to Catholicism at swordpoint.
(Denver Post, 2003)
Guards drove them at spearpoint down the steps into the lower bailey.
(Rod Garcia y Robertson. Strongbow. 1999.)
It was that of a 24-year-old sharecropper, wife and mother, who was kidnapped at riflepoint by seven men, driven deep into the woods and attacked.
(Atlanta Journal Constitution, 2010.)
つまり、凶器となるものの後に-pointを付けることで作ることができる訳で、ここで-pointはほとんど接尾辞と同じ役割を果たしていることになります。
A man who allegedly raped a woman at knifepoint after attacking her has been arrested, police said.
Nickolos Samaroo, 21, of Queens, was allegedly inside an apartment on 101st Avenue in Jamaica around 3 a.m. on Nov. 9 when he punched and kicked a 39-year-old woman until he knocked her out, the NYPD said.
(NY Man Accused of Raping Woman at Knifepoint Arrested: Police. NBC New York. November 28, 2018.)
ナイフを突きつけて脅して女性に暴行を働いた21歳の男を逮捕、というニュース記事です。
拳銃を突きつけて脅す場合に、
at gunpoint
ということは知っていましたが、同様にナイフで脅す場合に"at knifepoint"という表現があるとは知りませんでした。
興味があったので少し調べてみると、同様に、
at swordpoint
at spearpoint
at riflepoint
などの表現も存在することが分かりました。
Historians believe those settlers were descended from fewer than 100 families who fled Mexico in the 1600s after they escaped the Spanish Inquisition. They were Jews who converted to Catholicism at swordpoint.
(Denver Post, 2003)
Guards drove them at spearpoint down the steps into the lower bailey.
(Rod Garcia y Robertson. Strongbow. 1999.)
It was that of a 24-year-old sharecropper, wife and mother, who was kidnapped at riflepoint by seven men, driven deep into the woods and attacked.
(Atlanta Journal Constitution, 2010.)
つまり、凶器となるものの後に-pointを付けることで作ることができる訳で、ここで-pointはほとんど接尾辞と同じ役割を果たしていることになります。
2018年11月29日木曜日
うまくやってる? ― check in on
アメリカの小学校で、生徒のランチタイムに保護者が同席することが認められないことになり、母親などから反発が起きている、というニュース記事を目にしました。
After struggling with growing numbers of parents in school cafeterias, the Darien school system said parents and guardians would no longer be welcome to visit with their children during lunch at the town’s elementary schools.
The decision has stirred strong emotions in Darien, a wealthy shoreline community that prides itself on its high-performing public schools. While some parents said it was time to stop a disruptive practice, others have protested at town meetings and in online forums that the change has deprived them of cherished time to check in on their children and model good social behavior.
(Michael Melia. A Connecticut town banned parents from its school lunchrooms — and many are not happy. Associated Press. November 28, 2018.)
小生の一番下の娘も今年小学校を卒業してしまいましたが、授業参観日などの特定の機会を除いては学校にいる子供の様子を見に行くということはまずありませんでした。
尤も、学校のルールとしては保護者が学校へ子供の様子を見に行くこと自体は禁止されておらず、簡単な手続きをすればいつでも学校の校舎内や教室に入ることはできるということになっています。ただ、そこまでする親御というのは現実にはあまりいなかったと思われます。
記事になっている小学校のケースでは世帯の平均年収(記事ではMedian、中央値とありますが)が年間20万ドルを越える地域にある学校らしく、かなり裕福な家族が住むところのようです。
ランチタイムに親がひっきりなしに子供につきまとっているという様子からは、"helicopter parents"の雰囲気がしなくもありません。
さて、反発の起きている理由として、
the change has deprived them of cherished time to check in on their children
とありますが、ここで"check in (on)"という表現に着目したいと思います。
意味するところは大体想像がつきますが、"check in"(チェックイン)と聞くとどうしてもホテルや空港での「チェックイン」をまず思い浮かべてしまいます。
手元の辞書を改めてチェックしてみたのですが、引用した記事で使われている"check in"の意味にぴったりくるような定義は見当たりません。
そこで思い出したのが、小生の勤務先で使われる"check-in"という表現でした。
縁あってアメリカ人の上司にレポートしておりますが、2~3か月に1回くらい、仕事の進捗やらを共有する目的で、上司と一対一の電話会議が設定されており、その会議のことを"check-in"と彼らは呼んでいます。
仕事の進捗を確認するのが目的ですが、要は「ちゃんとやってるかい?」というような意味合いなのだと思います。
記事の話に戻ると、母親としては子供が学校でいじめられていないか、ちゃんと勉強しているか、ランチを残さず食べているか、等々、心配がつきないのでしょう。
この”check in on”という表現が辞書に載っていないのは不思議です。特殊なビジネス用語でもスラングでもありません。
Rodriguez was a good daughter to her mother and father, calling regularly to check in on them, Rached said. She was one of five siblings.
(Boston Globe, 2017)
田舎の両親が元気に過ごしているのかを気にかけるのも、”check in on”なのです。
よろしくやってますか?お元気ですか?
と、そういうことですね。
After struggling with growing numbers of parents in school cafeterias, the Darien school system said parents and guardians would no longer be welcome to visit with their children during lunch at the town’s elementary schools.
The decision has stirred strong emotions in Darien, a wealthy shoreline community that prides itself on its high-performing public schools. While some parents said it was time to stop a disruptive practice, others have protested at town meetings and in online forums that the change has deprived them of cherished time to check in on their children and model good social behavior.
(Michael Melia. A Connecticut town banned parents from its school lunchrooms — and many are not happy. Associated Press. November 28, 2018.)
小生の一番下の娘も今年小学校を卒業してしまいましたが、授業参観日などの特定の機会を除いては学校にいる子供の様子を見に行くということはまずありませんでした。
尤も、学校のルールとしては保護者が学校へ子供の様子を見に行くこと自体は禁止されておらず、簡単な手続きをすればいつでも学校の校舎内や教室に入ることはできるということになっています。ただ、そこまでする親御というのは現実にはあまりいなかったと思われます。
記事になっている小学校のケースでは世帯の平均年収(記事ではMedian、中央値とありますが)が年間20万ドルを越える地域にある学校らしく、かなり裕福な家族が住むところのようです。
ランチタイムに親がひっきりなしに子供につきまとっているという様子からは、"helicopter parents"の雰囲気がしなくもありません。
さて、反発の起きている理由として、
the change has deprived them of cherished time to check in on their children
とありますが、ここで"check in (on)"という表現に着目したいと思います。
意味するところは大体想像がつきますが、"check in"(チェックイン)と聞くとどうしてもホテルや空港での「チェックイン」をまず思い浮かべてしまいます。
手元の辞書を改めてチェックしてみたのですが、引用した記事で使われている"check in"の意味にぴったりくるような定義は見当たりません。
そこで思い出したのが、小生の勤務先で使われる"check-in"という表現でした。
縁あってアメリカ人の上司にレポートしておりますが、2~3か月に1回くらい、仕事の進捗やらを共有する目的で、上司と一対一の電話会議が設定されており、その会議のことを"check-in"と彼らは呼んでいます。
仕事の進捗を確認するのが目的ですが、要は「ちゃんとやってるかい?」というような意味合いなのだと思います。
記事の話に戻ると、母親としては子供が学校でいじめられていないか、ちゃんと勉強しているか、ランチを残さず食べているか、等々、心配がつきないのでしょう。
この”check in on”という表現が辞書に載っていないのは不思議です。特殊なビジネス用語でもスラングでもありません。
Rodriguez was a good daughter to her mother and father, calling regularly to check in on them, Rached said. She was one of five siblings.
(Boston Globe, 2017)
田舎の両親が元気に過ごしているのかを気にかけるのも、”check in on”なのです。
よろしくやってますか?お元気ですか?
と、そういうことですね。
2018年11月28日水曜日
schlub
レストランでいい席を予約するコツ、というものがあるそうですが、New York Post紙の記事を引用します。
What’s the point of nabbing a reservation at a hot New York restaurant during the holiday season if you get stuck at the bathroom-adjacent table, sniffing eau de urine and bleach all night long?
(中略)
Although the top seat in every house varies, in general, the most coveted seats are the “display tables” — those immediately visible to people just walking in, but far away enough from the front door that there’s no draft.
(Melissa Malamut. How to score the best table in a restaurant every time. New York Post. November 27, 2018.)
レストランでも条件のいいテーブルとそうでないテーブルというものがありますよね。予約すれば良いのでしょうが、ふらりと入ったレストランだとトイレに近い席とか、入り口に近い席でひっきりなしに人が出入りして落ち着かない席とか、条件の悪い席に通されることも起こりえます。
記事では早めに予約するというベーシックなやり方から、常連客としてウェイターと仲良くなるとか、はたまた袖の下を渡してネゴするなどのテクニックが紹介されています。
が、結局のところ、一見さんは見た目が大事ということに尽きるようです。
“Regardless of how you made the reservation, I’m still not putting you at a prominent table unless you are dressed well or extravagantly and look the part,” Woody says.
The same goes at Delmonico’s: You don’t necessarily need a jacket and tie at the buttoned-up spot, but you aren’t getting prioritized if you look like a schlub. Majstrovic suggests checking a restaurant’s website for the dress code, or, if you aren’t very internet-savvy, calling the restaurant in advance to ask.
(ibid.)
ここで、"schlub"という単語が出てきます。"schlub"に見えるようではいい席には通してもらえないということなのですが、"schlub"とは、
A person regarded as clumsy, stupid, or unattractive
(American Heritage Dictionary)
と定義されており、要は見た目が良くない、貧相に見える人、ということになります。
イディッシュ語から入ってきた単語で、zhlob、あるいはzhlubというスペルでも見られるようですが、原義は田舎者、だそうです。
What’s the point of nabbing a reservation at a hot New York restaurant during the holiday season if you get stuck at the bathroom-adjacent table, sniffing eau de urine and bleach all night long?
(中略)
Although the top seat in every house varies, in general, the most coveted seats are the “display tables” — those immediately visible to people just walking in, but far away enough from the front door that there’s no draft.
(Melissa Malamut. How to score the best table in a restaurant every time. New York Post. November 27, 2018.)
レストランでも条件のいいテーブルとそうでないテーブルというものがありますよね。予約すれば良いのでしょうが、ふらりと入ったレストランだとトイレに近い席とか、入り口に近い席でひっきりなしに人が出入りして落ち着かない席とか、条件の悪い席に通されることも起こりえます。
記事では早めに予約するというベーシックなやり方から、常連客としてウェイターと仲良くなるとか、はたまた袖の下を渡してネゴするなどのテクニックが紹介されています。
が、結局のところ、一見さんは見た目が大事ということに尽きるようです。
“Regardless of how you made the reservation, I’m still not putting you at a prominent table unless you are dressed well or extravagantly and look the part,” Woody says.
The same goes at Delmonico’s: You don’t necessarily need a jacket and tie at the buttoned-up spot, but you aren’t getting prioritized if you look like a schlub. Majstrovic suggests checking a restaurant’s website for the dress code, or, if you aren’t very internet-savvy, calling the restaurant in advance to ask.
(ibid.)
ここで、"schlub"という単語が出てきます。"schlub"に見えるようではいい席には通してもらえないということなのですが、"schlub"とは、
A person regarded as clumsy, stupid, or unattractive
(American Heritage Dictionary)
と定義されており、要は見た目が良くない、貧相に見える人、ということになります。
イディッシュ語から入ってきた単語で、zhlob、あるいはzhlubというスペルでも見られるようですが、原義は田舎者、だそうです。
2018年11月27日火曜日
guffaw
笑うのは人間だけですが、笑いにも色々な笑い方があって、その表現も多様です。
日本語のみならず、英語でも”smile”や”laugh”以外に”chuckle”や”giggle”など、様々な動詞がありますね。
“guffaw”という動詞は今日初めてお目にかかりました。
Sen. Cindy Hyde-Smith (R-Miss.) laughingly repeated sexist jokes as the keynote speaker at a 2011 Mississippi Farm Bureau convention as the audience guffawed in a recently unearthed video.
It’s the latest controversy to hit the candidate on the eve of a special election as President Donald Trump stumped for her in Mississippi on Monday evening.
(Mary Papenfuss. GOP Candidate Cindy Hyde-Smith Repeated Sexist Jokes At 2011 Convention, Video Shows. Huffington Post. November 26, 2018.)
“guffaw”は笑いの中でも、どっと、突然に生じる馬鹿笑いのことです。
a loud or boisterous burst of laughter
(Merriam-Webster Dictionary)
名詞としても、また動詞としても用いられます。
一体どんな語源かと思ったら、擬声語ということです。
日本語のみならず、英語でも”smile”や”laugh”以外に”chuckle”や”giggle”など、様々な動詞がありますね。
“guffaw”という動詞は今日初めてお目にかかりました。
Sen. Cindy Hyde-Smith (R-Miss.) laughingly repeated sexist jokes as the keynote speaker at a 2011 Mississippi Farm Bureau convention as the audience guffawed in a recently unearthed video.
It’s the latest controversy to hit the candidate on the eve of a special election as President Donald Trump stumped for her in Mississippi on Monday evening.
(Mary Papenfuss. GOP Candidate Cindy Hyde-Smith Repeated Sexist Jokes At 2011 Convention, Video Shows. Huffington Post. November 26, 2018.)
“guffaw”は笑いの中でも、どっと、突然に生じる馬鹿笑いのことです。
a loud or boisterous burst of laughter
(Merriam-Webster Dictionary)
名詞としても、また動詞としても用いられます。
一体どんな語源かと思ったら、擬声語ということです。
2018年11月26日月曜日
high street
先週金曜日の勤労感謝の日から週末三連休という方も多かったのではないかと思いますが、いかがお過ごしだったでしょうか。
小生はとある地方で開催されたマラソンに参加してきました。天候に恵まれ、晩秋の空気を吸い込んでリフレッシュしてまいりました。
さて、欧米でもこの時期は同様にThanksgiving holidaysのバケーションを家族と過ごしますが、この時期の風物詩として、Black FridayにCyber Mondayなる、ショッピングの狂騒は最近は日本でも見られるようになりました。
今日はちょうどそのCyber Mondayに当たります。
Shoppers in Britain were poised to carry on splashing the cash into Cyber Monday, with some forecasts suggesting they planned to spend more than £7bn across Black Friday and the online shopping day.
Millions of bargain hunters are expected to go online on Monday to take advantage of generous bargains, dealing a further blow to the struggling high street as the Christmas shopping bonanza takes off.
(Rebecca Smithers. Cyber Monday to take UK's weekend sales splurge over £7bn. The Guardian. November 26, 2018.)
引用した記事は英紙ガーディアンからで、イギリスにおいてもCyber Mondayの売上が非常に伸びてきていることを報じています。
オンラインショッピングが益々優勢となってきていますが、対比されるのは”high street”ということになっています。
“High street”というのは商業店舗が軒を連ねる繁華街といった意味で、主にイギリス英語に見られる表現です。
“high”という形容には高級感がありますが、特に高級ブランドに限定されるということでもなく、多くの人が買い物をしに出かける街中というくらいの意味合いです。
ここではオンラインショッピングと、いわゆるリアル店舗の対比と見ることができるでしょう。
小生はとある地方で開催されたマラソンに参加してきました。天候に恵まれ、晩秋の空気を吸い込んでリフレッシュしてまいりました。
さて、欧米でもこの時期は同様にThanksgiving holidaysのバケーションを家族と過ごしますが、この時期の風物詩として、Black FridayにCyber Mondayなる、ショッピングの狂騒は最近は日本でも見られるようになりました。
今日はちょうどそのCyber Mondayに当たります。
Shoppers in Britain were poised to carry on splashing the cash into Cyber Monday, with some forecasts suggesting they planned to spend more than £7bn across Black Friday and the online shopping day.
Millions of bargain hunters are expected to go online on Monday to take advantage of generous bargains, dealing a further blow to the struggling high street as the Christmas shopping bonanza takes off.
(Rebecca Smithers. Cyber Monday to take UK's weekend sales splurge over £7bn. The Guardian. November 26, 2018.)
引用した記事は英紙ガーディアンからで、イギリスにおいてもCyber Mondayの売上が非常に伸びてきていることを報じています。
オンラインショッピングが益々優勢となってきていますが、対比されるのは”high street”ということになっています。
“High street”というのは商業店舗が軒を連ねる繁華街といった意味で、主にイギリス英語に見られる表現です。
“high”という形容には高級感がありますが、特に高級ブランドに限定されるということでもなく、多くの人が買い物をしに出かける街中というくらいの意味合いです。
ここではオンラインショッピングと、いわゆるリアル店舗の対比と見ることができるでしょう。
2018年11月23日金曜日
stalemate
今月の中間選挙で民主党が下院を制し、来年からはねじれ議会となることから、トランプ大統領が掲げるメキシコとの国境に壁を建設する計画が頓挫する可能性が出てきています。
壁建設に50億ドルもの拠出を要求する大統領に対し、民主党は議会での審議拒否による政府機能の停止もちらつかせながら対抗しているというのが現状のようです。
Stalemate on Trump’s wall amid threat of shutdown
Congress just can't help itself: With a partial government shutdown potentially two weeks away, Democrats and Republicans are dug in, each side upping its demands and vowing not to buckle to the other.
President Donald Trump is pressuring Republicans to obtain at least $5 billion for his border wall, far more than what Senate Democrats are prepared to give. Democrats in turn are considering pushes for legislation to protect special counsel Robert Mueller and the elimination of a citizenship question from the next census, according to people familiar with the negotiations.
(Burgess Everett. Stalemate on Trump’s wall amid threat of shutdown. Politico. November 21, 2018.)
記事では、”stalemate”という単語が使われています。
「ステールメイト」はチェスの用語で、いわゆる「詰んだ」状態ではないのですが、有効な駒の動きを取ることが不可能な状態で、それ以上プレーを続行できない状態のことを言い、ルール上は引き分けとされるものだそうです。
従って、”checkmate”とは異なりますが、”stalemate”の-mateは”checkmate”に見られる-mateに同じく、「死」を意味するmatから来ています。
壁建設に50億ドルもの拠出を要求する大統領に対し、民主党は議会での審議拒否による政府機能の停止もちらつかせながら対抗しているというのが現状のようです。
Stalemate on Trump’s wall amid threat of shutdown
Congress just can't help itself: With a partial government shutdown potentially two weeks away, Democrats and Republicans are dug in, each side upping its demands and vowing not to buckle to the other.
President Donald Trump is pressuring Republicans to obtain at least $5 billion for his border wall, far more than what Senate Democrats are prepared to give. Democrats in turn are considering pushes for legislation to protect special counsel Robert Mueller and the elimination of a citizenship question from the next census, according to people familiar with the negotiations.
(Burgess Everett. Stalemate on Trump’s wall amid threat of shutdown. Politico. November 21, 2018.)
記事では、”stalemate”という単語が使われています。
「ステールメイト」はチェスの用語で、いわゆる「詰んだ」状態ではないのですが、有効な駒の動きを取ることが不可能な状態で、それ以上プレーを続行できない状態のことを言い、ルール上は引き分けとされるものだそうです。
従って、”checkmate”とは異なりますが、”stalemate”の-mateは”checkmate”に見られる-mateに同じく、「死」を意味するmatから来ています。
2018年11月22日木曜日
日産ゴーン会長逮捕の衝撃 ― comeuppance
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が、証券報告書に自身の報酬を虚偽記載した容疑で東京地検特捜部に逮捕されたというニュースに衝撃が走りました。
私はラジオのニュース速報で知りましたが、一瞬耳を疑いました。
少しして、辣腕経営で名を馳せたゴーン氏の顔が思い浮かびましたが、今回の逮捕は内部通報によるものという報道に、同氏のアグレッシブさが逆に離反を招いた結果かもしれないとも思い始めました。
On Monday, Mr. Ghosn was arrested in Tokyo after a company investigation alleged that he had deceived Japanese financial authorities about his pay package.
According to Tokyo prosecutors, Mr. Ghosn and Greg Kelly, a onetime Nissan human resources manager and current board member, underreported Mr. Ghosn’s compensation between 2011 and 2015 by more than 5 billion yen ($44.5 million). The prosecutors say they declared pay of just under ¥5 billion ($44.3 million), which was half the nearly ¥10 billion ($88.8 million) he actually earned.
(中略)
Nissan’s board will meet Thursday to consider their removal.
For an executive long lionized in business circles and celebrated by employees, the arrest was a shocking comeuppance. Mr. Ghosn, 64, is credited with turning around two carmakers, Renault and Nissan, and engineering an alliance — with those two companies and then Mitsubishi — that pioneered sharing technologies and cost savings.
(Carlos Ghosn Felt Stars Deserved Big Pay. His Accusers Say He Took That Too Far. New York Times. November 20, 2018.)
今回の逮捕について、記事では、
the arrest was a shocking comeuppance
と表現していますが、この"comeuppance"という単語はあまり馴染みがありません。
意味合いは、当然の報い、と辞書にありますが、報いにも良いもの(報償)とそうでないもの(罰)とがありますが、"comeuppance"の意味するのは後者の方です。
単語を分解しますと、
come
up
-ance
となります。"come up"には(訴追を受けた)被告が法廷に出廷する、という意味があります。接尾辞の-anceは"brilliance"や"tolerance"などの単語に見られるように、動詞や形容詞を名詞化するものです。
私はラジオのニュース速報で知りましたが、一瞬耳を疑いました。
少しして、辣腕経営で名を馳せたゴーン氏の顔が思い浮かびましたが、今回の逮捕は内部通報によるものという報道に、同氏のアグレッシブさが逆に離反を招いた結果かもしれないとも思い始めました。
On Monday, Mr. Ghosn was arrested in Tokyo after a company investigation alleged that he had deceived Japanese financial authorities about his pay package.
According to Tokyo prosecutors, Mr. Ghosn and Greg Kelly, a onetime Nissan human resources manager and current board member, underreported Mr. Ghosn’s compensation between 2011 and 2015 by more than 5 billion yen ($44.5 million). The prosecutors say they declared pay of just under ¥5 billion ($44.3 million), which was half the nearly ¥10 billion ($88.8 million) he actually earned.
(中略)
Nissan’s board will meet Thursday to consider their removal.
For an executive long lionized in business circles and celebrated by employees, the arrest was a shocking comeuppance. Mr. Ghosn, 64, is credited with turning around two carmakers, Renault and Nissan, and engineering an alliance — with those two companies and then Mitsubishi — that pioneered sharing technologies and cost savings.
(Carlos Ghosn Felt Stars Deserved Big Pay. His Accusers Say He Took That Too Far. New York Times. November 20, 2018.)
今回の逮捕について、記事では、
the arrest was a shocking comeuppance
と表現していますが、この"comeuppance"という単語はあまり馴染みがありません。
意味合いは、当然の報い、と辞書にありますが、報いにも良いもの(報償)とそうでないもの(罰)とがありますが、"comeuppance"の意味するのは後者の方です。
単語を分解しますと、
come
up
-ance
となります。"come up"には(訴追を受けた)被告が法廷に出廷する、という意味があります。接尾辞の-anceは"brilliance"や"tolerance"などの単語に見られるように、動詞や形容詞を名詞化するものです。
2018年11月21日水曜日
mealy-mouthed
亡命していたサウジアラビアのジャーナリストカショギ氏がトルコの大使館で殺害された一件は、サウジアラビアの皇太子がその殺害を直接指示した疑いが強まっています。
一方、トランプ大統領は皇太子の関与については、様々な政治的な思惑があってのことか、明言を避けている模様です。
Trump's mealy-mouthed statement on the Jamal Khashoggi murder is actually prudent
President Trump was right to make a deliberately blurry finding on Saudi Crown Prince Mohammed bin Salman's culpability for the Oct. 2 murder of Saudi dissident, Jamal Khashoggi at the Saudi consulate in Istanbul, Turkey.
"It could very well be that the crown prince had knowledge of this tragic event," Trump declared Tuesday, "maybe he did and maybe he didn’t."
(Tom Rogan. Trump's mealy-mouthed statement on the Jamal Khashoggi murder is actually prudent. Washington Examiner. November 20, 2018.)
記事のタイトルで使われている、"mealy-mouthed"とは、あることについて遠回しに言う、はっきりと物を言わない、という意味で用いられる表現なのですが、変わった表現ですね。
American Heritage Dictionaryを引いてみますと、
Akin to the German expression Mehl im Maule behalten, to be indirect in speech (literally, to have meal in the mouth).
という解説がありました。
つまり、ドイツ語のフレーズ"Mehl im Maule behalten"に因むということなのですが、意味合いとしては"have meal in the mouth"ということで、口の中に食べ物を含んで、という意味かと思いました。
改めてドイツ語の辞書も引きましたが、ドイツ語Mehlは"powder"とあり、粉のことです。英語でも"meal"は食事、食べ物という意味の他、粗挽き粉という意味がありますのでそちらを指していることになります。
たしかに、口の中に粉を含んでいるといかにもしゃべりにくそうです。
日本語では「奥歯に物が挟まったような物言い」などと言いますが、それに近いでしょう。
一方、トランプ大統領は皇太子の関与については、様々な政治的な思惑があってのことか、明言を避けている模様です。
Trump's mealy-mouthed statement on the Jamal Khashoggi murder is actually prudent
President Trump was right to make a deliberately blurry finding on Saudi Crown Prince Mohammed bin Salman's culpability for the Oct. 2 murder of Saudi dissident, Jamal Khashoggi at the Saudi consulate in Istanbul, Turkey.
"It could very well be that the crown prince had knowledge of this tragic event," Trump declared Tuesday, "maybe he did and maybe he didn’t."
(Tom Rogan. Trump's mealy-mouthed statement on the Jamal Khashoggi murder is actually prudent. Washington Examiner. November 20, 2018.)
記事のタイトルで使われている、"mealy-mouthed"とは、あることについて遠回しに言う、はっきりと物を言わない、という意味で用いられる表現なのですが、変わった表現ですね。
American Heritage Dictionaryを引いてみますと、
Akin to the German expression Mehl im Maule behalten, to be indirect in speech (literally, to have meal in the mouth).
という解説がありました。
つまり、ドイツ語のフレーズ"Mehl im Maule behalten"に因むということなのですが、意味合いとしては"have meal in the mouth"ということで、口の中に食べ物を含んで、という意味かと思いました。
改めてドイツ語の辞書も引きましたが、ドイツ語Mehlは"powder"とあり、粉のことです。英語でも"meal"は食事、食べ物という意味の他、粗挽き粉という意味がありますのでそちらを指していることになります。
たしかに、口の中に粉を含んでいるといかにもしゃべりにくそうです。
日本語では「奥歯に物が挟まったような物言い」などと言いますが、それに近いでしょう。
2018年11月20日火曜日
tarred and feathered
昨日は20年近く前に前代未聞のスキャンダルとなった不倫事件の記事を取り上げましたが、今日もその当事者となり一躍時の人となってしまったMonica Lewinskyさんに関する話題です。
当時まだ大学を卒業したばかりの女性が、大統領の不倫疑惑という不名誉な騒動で世間から注目されることになったことによる心労は想像を絶するものがあります。
Twenty years ago, Monica Lewinsky was a punchline. Now, in the era of #MeToo and Time’s Up, she leaves people speechless.
“She is a hero to young millennial women,” said a source close to Lewinsky. “I have one woman who works in my office who, when she met Monica, was practically in tears.”
(中略)
Having been publicly tarred and feathered and slut-shamed for years has turned Lewinsky into one of the world’s most popular activists against such behavior.
(Dana Schuster. Monica Lewinsky has finally turned the tables on the Clintons. New York Post. November 17, 2018.)
当時はまだインターネットも今ほど浸透はしていませんでしたし、掲示板やSNSもなかったと思いますが、それでも世間からのバッシングは、"publicly tarred and feathered"と表現するのに相応しいほどだったのでしょう。
この"tarred and feathered"は成句なのですが、人を裸にして体の表面にタールを塗り、さらに鳥の羽根で覆う、という罰のことです。
かなり昔(封建時代のヨーロッパ)からある私刑の形なのだそうですが、見せしめ、辱めのために行われてきたもので、現代的に言うと晒し者にするといったところでしょうか。
当時まだ大学を卒業したばかりの女性が、大統領の不倫疑惑という不名誉な騒動で世間から注目されることになったことによる心労は想像を絶するものがあります。
Twenty years ago, Monica Lewinsky was a punchline. Now, in the era of #MeToo and Time’s Up, she leaves people speechless.
“She is a hero to young millennial women,” said a source close to Lewinsky. “I have one woman who works in my office who, when she met Monica, was practically in tears.”
(中略)
Having been publicly tarred and feathered and slut-shamed for years has turned Lewinsky into one of the world’s most popular activists against such behavior.
(Dana Schuster. Monica Lewinsky has finally turned the tables on the Clintons. New York Post. November 17, 2018.)
当時はまだインターネットも今ほど浸透はしていませんでしたし、掲示板やSNSもなかったと思いますが、それでも世間からのバッシングは、"publicly tarred and feathered"と表現するのに相応しいほどだったのでしょう。
この"tarred and feathered"は成句なのですが、人を裸にして体の表面にタールを塗り、さらに鳥の羽根で覆う、という罰のことです。
かなり昔(封建時代のヨーロッパ)からある私刑の形なのだそうですが、見せしめ、辱めのために行われてきたもので、現代的に言うと晒し者にするといったところでしょうか。
2018年11月19日月曜日
こんな意味もあったの? ― attention
何故か今頃になって注目を浴びている、クリントン前大統領の不倫疑惑です。(前大統領は不適切な関係を認めていますので、もはや「疑惑」ではありませんが。)
遡ること1990年代後半なのですが、大統領の弾劾まで提起される前代未聞の事態が起きていました。"impeachment"という単語を初めて覚えたのもこの事件がきっかけでした。
It’s the most infamous stained dress in presidential history, but Monica Lewinsky says when she wore it after her widely chronicled hookup with President Bill Clinton, no one noticed.
“I went to dinner that night. None of these people said to me, ‘Hey, you’ve got to go to the bathroom, you’ve got stuff all over your dress,’” Lewinsky said in “The Clinton Affair,” a new A&E series.
(Nikki Schwab. How Monica Lewinsky finally noticed that stain on her dress. New York Post. November 13, 2018.)
前大統領は当時まだ20代半ばの実習生、Monica Lewinskyさんと不倫関係にあったとされます。恐らくはホワイトハウスの大統領執務室での行為中に大統領の精液がついてしまったドレスが取り沙汰されました。
引用記事は当時の回顧インタビューを取り上げたもののようですが、Lewinskyさん自身の発言に下記のようなくだりがあります。
“And so we moved to the bathroom and were more intimate. There was some attention paid on me and then I was reciprocating, where up until that point he had always stopped before completion on his part,” Lewinsky said, delicately trying to explain their encounter.
(ibid.)
Lewinskyさんにプレゼントがあるとホワイトハウスに呼び出した後、例のドレスの件に至るまでの詳細な説明がありますが、上記の引用は直接的な表現は避けつつも、かなり生々しいものがあります。
ここで用いられている"attention"には特別な意味合いがあります。
何故か、Merriam-WebsterやAmerican Heritageには見当たらないのですが、ランダムハウス英和では、
婚外交渉、不倫
という意味が載っていました。
American Heritageでは、
Acts of consideration or courtesy, especially in an effort to win someone's affection or gain sexual favors
とあるので、近いと思われますが、単に女性に対する慇懃な振る舞いと生々しい行為はかなり差があるように思います。
遡ること1990年代後半なのですが、大統領の弾劾まで提起される前代未聞の事態が起きていました。"impeachment"という単語を初めて覚えたのもこの事件がきっかけでした。
It’s the most infamous stained dress in presidential history, but Monica Lewinsky says when she wore it after her widely chronicled hookup with President Bill Clinton, no one noticed.
“I went to dinner that night. None of these people said to me, ‘Hey, you’ve got to go to the bathroom, you’ve got stuff all over your dress,’” Lewinsky said in “The Clinton Affair,” a new A&E series.
(Nikki Schwab. How Monica Lewinsky finally noticed that stain on her dress. New York Post. November 13, 2018.)
前大統領は当時まだ20代半ばの実習生、Monica Lewinskyさんと不倫関係にあったとされます。恐らくはホワイトハウスの大統領執務室での行為中に大統領の精液がついてしまったドレスが取り沙汰されました。
引用記事は当時の回顧インタビューを取り上げたもののようですが、Lewinskyさん自身の発言に下記のようなくだりがあります。
“And so we moved to the bathroom and were more intimate. There was some attention paid on me and then I was reciprocating, where up until that point he had always stopped before completion on his part,” Lewinsky said, delicately trying to explain their encounter.
(ibid.)
Lewinskyさんにプレゼントがあるとホワイトハウスに呼び出した後、例のドレスの件に至るまでの詳細な説明がありますが、上記の引用は直接的な表現は避けつつも、かなり生々しいものがあります。
ここで用いられている"attention"には特別な意味合いがあります。
何故か、Merriam-WebsterやAmerican Heritageには見当たらないのですが、ランダムハウス英和では、
婚外交渉、不倫
という意味が載っていました。
American Heritageでは、
Acts of consideration or courtesy, especially in an effort to win someone's affection or gain sexual favors
とあるので、近いと思われますが、単に女性に対する慇懃な振る舞いと生々しい行為はかなり差があるように思います。
2018年11月16日金曜日
neophyte
先日の中間選挙の結果、米議会史上最年少となる女性議員が誕生したと話題です。
Ocasio-Cortez議員は現職の民主党議員を破って、弱冠29歳という若さで当選しましたが、ワシントンの議会場ではインターン(実習生)に間違われ、議会の建物への立ち入りを止められたり、着ている服装が批判されたりと、政治とは全く関係のないところで話題になっているようです。
At 29 years old, U.S. Representative-elect Alexandria Ocasio-Cortez will be the youngest woman ever in Congress, but her first few days as an elected official have come with challenges — some of which have nothing to do with politics. As Capitol Hill holds orientation meetings this week, the incoming congresswoman said on Twitter that people keep mistaking her for an intern or someone's spouse.
Ocasio-Cortez, who will represent parts of Queens and the Bronx, rose to political stardom after challenging 10-time incumbent Rep. Joseph Crowley and defeating him in the Democratic primary earlier this year.
(中略)
Ocasio-Cortez has had an eventful week after winning last week's midterm elections. She revealed she can't afford an apartment in D.C. until her congressional salary kicks in. The congressional neophyte has led a charge to push for a climate plan and even joined a protest outside the office of Minority Leader Nancy Pelosi, who is vying to be the next Speaker of the House.
(Christopher Brito. Alexandria Ocasio-Cortez says people on Capitol Hill keep mistaking her for an intern. CBS News. November 15, 2018.)
記事中、Ocasio-Cortez氏のことを、
The congressional neophyte
と表現しています。この"neophyte"を今日は取り上げます。
辞書を引くと、「新参者」という訳語がここでは当てはまりますが、元々は宗旨変えして新しく信者になった「新改宗者」とか「新帰依者」という意味であったようです。
接頭辞のneo-は説明するまでもありませんが、接尾辞の-phyteはギリシャ語で植物を意味するphytosから来ています。
接尾辞-phyteを持つ単語には実際、植物に関する専門用語が多いです。
比較的馴染みがあるものとして、"hydrophyte"は水生植物、"xerophyte"は乾性植物(例えば、サボテン)のことです。
逆に言うと、接尾辞-phyteを持つ単語で植物に関係しない意味の単語としては、この"neophyte"くらいというのも興味深い点です。
Ocasio-Cortez議員は現職の民主党議員を破って、弱冠29歳という若さで当選しましたが、ワシントンの議会場ではインターン(実習生)に間違われ、議会の建物への立ち入りを止められたり、着ている服装が批判されたりと、政治とは全く関係のないところで話題になっているようです。
At 29 years old, U.S. Representative-elect Alexandria Ocasio-Cortez will be the youngest woman ever in Congress, but her first few days as an elected official have come with challenges — some of which have nothing to do with politics. As Capitol Hill holds orientation meetings this week, the incoming congresswoman said on Twitter that people keep mistaking her for an intern or someone's spouse.
Ocasio-Cortez, who will represent parts of Queens and the Bronx, rose to political stardom after challenging 10-time incumbent Rep. Joseph Crowley and defeating him in the Democratic primary earlier this year.
(中略)
Ocasio-Cortez has had an eventful week after winning last week's midterm elections. She revealed she can't afford an apartment in D.C. until her congressional salary kicks in. The congressional neophyte has led a charge to push for a climate plan and even joined a protest outside the office of Minority Leader Nancy Pelosi, who is vying to be the next Speaker of the House.
(Christopher Brito. Alexandria Ocasio-Cortez says people on Capitol Hill keep mistaking her for an intern. CBS News. November 15, 2018.)
記事中、Ocasio-Cortez氏のことを、
The congressional neophyte
と表現しています。この"neophyte"を今日は取り上げます。
辞書を引くと、「新参者」という訳語がここでは当てはまりますが、元々は宗旨変えして新しく信者になった「新改宗者」とか「新帰依者」という意味であったようです。
接頭辞のneo-は説明するまでもありませんが、接尾辞の-phyteはギリシャ語で植物を意味するphytosから来ています。
接尾辞-phyteを持つ単語には実際、植物に関する専門用語が多いです。
比較的馴染みがあるものとして、"hydrophyte"は水生植物、"xerophyte"は乾性植物(例えば、サボテン)のことです。
逆に言うと、接尾辞-phyteを持つ単語で植物に関係しない意味の単語としては、この"neophyte"くらいというのも興味深い点です。
2018年11月15日木曜日
勘違いしていました ― bailout
恥をさらすようですが、また勘違いしていました。
"bailout"という単語があります。財政的な援助を行うことを指すのですが、例えば政府による大企業への緊急財政援助といったお堅いコンテクストで使われることもあれば、以下のように身内の間で単に金銭的援助をするというようなコンテクストでも使われます。
Despite making more than $52,000 annually, 30-year-old British digital marketer Sian Teasdale cannot seem to pay her own way in life.
Sure, she banks well over the average UK salary of £27,271 (about $35,452 in US dollars), but Teasdale almost always has “no choice” but to beg for a $130-$650 bailout from mom and dad at the end of every month, she says in a TMI chat with Grazia UK that’s inciting outrage online.
(Hannah Fishberg. Why do millennials expect mom and dad to bail them out? New York Post. November 14, 2018.)
この"bailout"ですが、"bail out"という動詞のフレーズとしても同じような意味合いです。"bail"については比較的馴染みがある「保釈」、もしくは「保釈金」という意味の単語が思い浮かびますが、その"bail"に同じもの、あるいはそれから来ているのかと漠然と思っていましたが、それは勘違いでした。
"bail"という単語についてはいくつかの意味があり、それぞれ語源を異にする別の単語なのですが、"bailout"の"bail"は、
船から水を汲み出す
という意味なのでした。
語源を辿ると手桶、つまり水を汲み出すのに使う道具を指す中期フランス語のbailleから来ているそうです。
船から水を汲み出すのは船が沈んでしまわないようにする訳で、そこから「窮地を脱する」の意味が生まれたようです。"bailout"には、飛行機などからパラシュートで緊急脱出するという意味もあります。
ところで、"bail"という動詞の意味については、辞書によって扱い方が様々なようです。つまり、エントリの内容が一定ではないのです。
Merriam-Webster(オンライン版)では、「保釈金によって保釈する」(to procure the release of by giving bail)という意味と、「窮状を救う」(to help from a predicament)という意味が"bail"の1つのエントリ下で列挙されています。
ランダムハウス英和辞書では、「保釈」の意味の"bail"と、「(特に経済的危機にある人・会社などを)救う」という意味の"bail"は別エントリになっていました。
American Heritage DictionaryではMerriam-Websterに同じく、これら2つの意味は1つのエントリで列挙されています。
そしてさらにややこしいのですが、"bail"には「(責任回避などのため)手を引く;(窮境から)逃げ出す」(ランダムハウス英和)という意味もあり、この点についてはAmerican Heritageも"To abandon a project or enterprise"という意味を載せており一致しているのですが、Merriam-Websterでは定義そのものが見当たりません。
研究社大英和はどうかというと、「保釈」の意味と「窮地を救う」という意味は同じ"bail"のエントリにあり、American HeritageやMerriam-Websterなどと同じ扱いです。「手を引く」の意味は、American Heritageに同じく、「水を汲み出す」の意味がある"bail"のエントリにあります。
援助するのと手を引くのとでは全く正反対の意味になってしまいますが、面白いですね。
"bailout"という単語があります。財政的な援助を行うことを指すのですが、例えば政府による大企業への緊急財政援助といったお堅いコンテクストで使われることもあれば、以下のように身内の間で単に金銭的援助をするというようなコンテクストでも使われます。
Despite making more than $52,000 annually, 30-year-old British digital marketer Sian Teasdale cannot seem to pay her own way in life.
Sure, she banks well over the average UK salary of £27,271 (about $35,452 in US dollars), but Teasdale almost always has “no choice” but to beg for a $130-$650 bailout from mom and dad at the end of every month, she says in a TMI chat with Grazia UK that’s inciting outrage online.
(Hannah Fishberg. Why do millennials expect mom and dad to bail them out? New York Post. November 14, 2018.)
この"bailout"ですが、"bail out"という動詞のフレーズとしても同じような意味合いです。"bail"については比較的馴染みがある「保釈」、もしくは「保釈金」という意味の単語が思い浮かびますが、その"bail"に同じもの、あるいはそれから来ているのかと漠然と思っていましたが、それは勘違いでした。
"bail"という単語についてはいくつかの意味があり、それぞれ語源を異にする別の単語なのですが、"bailout"の"bail"は、
船から水を汲み出す
という意味なのでした。
語源を辿ると手桶、つまり水を汲み出すのに使う道具を指す中期フランス語のbailleから来ているそうです。
船から水を汲み出すのは船が沈んでしまわないようにする訳で、そこから「窮地を脱する」の意味が生まれたようです。"bailout"には、飛行機などからパラシュートで緊急脱出するという意味もあります。
ところで、"bail"という動詞の意味については、辞書によって扱い方が様々なようです。つまり、エントリの内容が一定ではないのです。
Merriam-Webster(オンライン版)では、「保釈金によって保釈する」(to procure the release of by giving bail)という意味と、「窮状を救う」(to help from a predicament)という意味が"bail"の1つのエントリ下で列挙されています。
ランダムハウス英和辞書では、「保釈」の意味の"bail"と、「(特に経済的危機にある人・会社などを)救う」という意味の"bail"は別エントリになっていました。
American Heritage DictionaryではMerriam-Websterに同じく、これら2つの意味は1つのエントリで列挙されています。
そしてさらにややこしいのですが、"bail"には「(責任回避などのため)手を引く;(窮境から)逃げ出す」(ランダムハウス英和)という意味もあり、この点についてはAmerican Heritageも"To abandon a project or enterprise"という意味を載せており一致しているのですが、Merriam-Websterでは定義そのものが見当たりません。
研究社大英和はどうかというと、「保釈」の意味と「窮地を救う」という意味は同じ"bail"のエントリにあり、American HeritageやMerriam-Websterなどと同じ扱いです。「手を引く」の意味は、American Heritageに同じく、「水を汲み出す」の意味がある"bail"のエントリにあります。
援助するのと手を引くのとでは全く正反対の意味になってしまいますが、面白いですね。
2018年11月14日水曜日
sicario
メキシコの麻薬王、El Chapo、ことJoaquin Guzmanの裁判がアメリカ国内で開廷するようですが、陪審員に選出された女性が役目を拒否しているというのでニュースになっています。
NEW YORK – Opening statements in Joaquin "El Chapo" Guzman's trial began Tuesday afternoon, following a delay brought on by a juror who was reportedly "too anxious and too upset" to serve on the jury.
The New York Post reports Juror No. 1 showed up with a doctor's note to back up her claims. This is the same woman who sobbed last week after she was chosen to serve on the jury.
The juror said she feared for her safety because Guzman, the most notorious drug trafficker in the world, is known for hiring sicarios, or hitmen, to kill potential witnesses and anyone helping the prosecution against him.
Federal Judge Brian Cogan recognized these fears and ordered the jurors identities to remain anonymous and to be partially sequestered.
(Brian Llenas. ‘Anxious’ juror in El Chapo trial delays opening statements after she demands to be taken off case. Fox News. November 12, 2018.)
Guzman氏は麻薬取引などを含む17件の罪で起訴されているものですが、3年前にはメキシコ国内の刑務所からトンネルを掘って脱走したということで随分有名になりました。
そんな悪名高い犯罪者の裁判で陪審員に選ばれるというのは名誉なことでも、嬉しいことでもないでしょう。日本にも裁判員制度がありますが、凶悪犯罪の裁判員を務めなければならない人の中には精神的に病んでしまう人もいると聞きます。
陪審員に選ばれてしまった女性が恐れているのは報復のようです。
ところで、
sicario(s)
という見慣れない単語が出てきます。すぐ後に、"or hitmen"とあるので意味するところはすぐに分かりますが、"sicario"とはスペイン語で殺し屋を意味する名詞です。
American Heritageにも、Merriam-Websterにもエントリはありませんでした。英単語としてはあまり定着していないと思われます。
NEW YORK – Opening statements in Joaquin "El Chapo" Guzman's trial began Tuesday afternoon, following a delay brought on by a juror who was reportedly "too anxious and too upset" to serve on the jury.
The New York Post reports Juror No. 1 showed up with a doctor's note to back up her claims. This is the same woman who sobbed last week after she was chosen to serve on the jury.
The juror said she feared for her safety because Guzman, the most notorious drug trafficker in the world, is known for hiring sicarios, or hitmen, to kill potential witnesses and anyone helping the prosecution against him.
Federal Judge Brian Cogan recognized these fears and ordered the jurors identities to remain anonymous and to be partially sequestered.
(Brian Llenas. ‘Anxious’ juror in El Chapo trial delays opening statements after she demands to be taken off case. Fox News. November 12, 2018.)
Guzman氏は麻薬取引などを含む17件の罪で起訴されているものですが、3年前にはメキシコ国内の刑務所からトンネルを掘って脱走したということで随分有名になりました。
そんな悪名高い犯罪者の裁判で陪審員に選ばれるというのは名誉なことでも、嬉しいことでもないでしょう。日本にも裁判員制度がありますが、凶悪犯罪の裁判員を務めなければならない人の中には精神的に病んでしまう人もいると聞きます。
陪審員に選ばれてしまった女性が恐れているのは報復のようです。
ところで、
sicario(s)
という見慣れない単語が出てきます。すぐ後に、"or hitmen"とあるので意味するところはすぐに分かりますが、"sicario"とはスペイン語で殺し屋を意味する名詞です。
American Heritageにも、Merriam-Websterにもエントリはありませんでした。英単語としてはあまり定着していないと思われます。
2018年11月13日火曜日
browbeat
昨日取り上げた、トランプ氏によるメディア各社への批判的な言動を民主党が証人喚問で取り上げる可能性について検討しているという話の続きです。
民主党が主に検討しているのはCNNとワシントンポスト紙、そしてアマゾンに対する大統領の言動ということになっています。
このうちアマゾンについては、非常に成長している会社ですが、かねてよりトランプ氏の攻撃対象となっていました。
The first was Trump’s reported efforts to raise mailing prices for Amazon, whose CEO Jeff Bezos owns the Washington Post. Trump often highlights the connection by calling it the “Amazon Washington Post.”
Schiff told Axios that Trump was “secretly meeting with the postmaster [general] in an effort to browbeat the postmaster into raising postal rates on Amazon.”
“This appears to be an effort by the president to use the instruments of state power to punish Jeff Bezos and the Washington Post,” he said.
Schiff appeared to be referencing a report from the Washington Post that cited three sources who said Trump had personally attempted to pressure Postmaster General Megan Brennan to double the shipping rates applied to Amazon deliveries.
(Benjamin Goggin. Democrats are reportedly gearing up to investigate Trump’s actions against CNN and the Washington Post. Business Insider. November 11, 2018.)
アマゾンCEOによるワシントンポスト買収もあって、ワシントンポスト紙もアマゾンもトランプ氏の格好の攻撃対象になっている感があります。
大企業が儲け過ぎという批判の一環なのかもしれませんが、トランプ氏はアマゾンが米国の郵便ネットワークに乗じて利益を上げていることを批判しており、ツイッターでもアマゾンにもっと課金すべきとの主張を展開していました。
そして、民主党がここで注目するのが、トランプ氏が郵政長官にアマゾンに対する課金を上げるよう迫ったのではないかという疑惑です。
民主党関係者の発言として引用されている部分では、
browbeat
という動詞が使われています。初めてお目にかかりました。
"browbeat"を辞書で引くと、"intimidate"と同義語であるという説明があり、脅して~させる、という意味が載っています。
なるほど、"brow"というのは眉毛のことですが、怖い顔をして相手を脅迫するということであり、生々しい表現ではありませんか。
民主党が主に検討しているのはCNNとワシントンポスト紙、そしてアマゾンに対する大統領の言動ということになっています。
このうちアマゾンについては、非常に成長している会社ですが、かねてよりトランプ氏の攻撃対象となっていました。
The first was Trump’s reported efforts to raise mailing prices for Amazon, whose CEO Jeff Bezos owns the Washington Post. Trump often highlights the connection by calling it the “Amazon Washington Post.”
Schiff told Axios that Trump was “secretly meeting with the postmaster [general] in an effort to browbeat the postmaster into raising postal rates on Amazon.”
“This appears to be an effort by the president to use the instruments of state power to punish Jeff Bezos and the Washington Post,” he said.
Schiff appeared to be referencing a report from the Washington Post that cited three sources who said Trump had personally attempted to pressure Postmaster General Megan Brennan to double the shipping rates applied to Amazon deliveries.
(Benjamin Goggin. Democrats are reportedly gearing up to investigate Trump’s actions against CNN and the Washington Post. Business Insider. November 11, 2018.)
アマゾンCEOによるワシントンポスト買収もあって、ワシントンポスト紙もアマゾンもトランプ氏の格好の攻撃対象になっている感があります。
大企業が儲け過ぎという批判の一環なのかもしれませんが、トランプ氏はアマゾンが米国の郵便ネットワークに乗じて利益を上げていることを批判しており、ツイッターでもアマゾンにもっと課金すべきとの主張を展開していました。
そして、民主党がここで注目するのが、トランプ氏が郵政長官にアマゾンに対する課金を上げるよう迫ったのではないかという疑惑です。
民主党関係者の発言として引用されている部分では、
browbeat
という動詞が使われています。初めてお目にかかりました。
"browbeat"を辞書で引くと、"intimidate"と同義語であるという説明があり、脅して~させる、という意味が載っています。
なるほど、"brow"というのは眉毛のことですが、怖い顔をして相手を脅迫するということであり、生々しい表現ではありませんか。
2018年11月12日月曜日
何と訳す? ― triple-threaded inquiry
米中間選挙は下院で民主党が躍進して過半数を取ったため、来年1月以降はトランプ政権はいわゆる「ねじれ議会」下での政権運営を迫られることになりました。
民主党側は既にトランプ政権を追い込むべく、その準備を着々と進めているようです。
The incoming chairman of the House Intelligence Committee this week said that when the new Congress is seated in January, Democrats plan to scrutinize whether President Trump abused his authority by taking adverse action against retail giant Amazon and two of his bitter left-leaning media rivals: CNN and The Washington Post.
Rep. Adam Schiff, D-Calif., said in an interview with "Axios on HBO" that he and his colleagues will employ committee subpoena powers -- which are backed by the legal threat of contempt of Congress -- to conduct the triple-threaded inquiry into Trump's possible use of the "instruments of state power to punish the press."
(Gregg Re. Dems to probe Trump's treatment of CNN, Amazon, Washington Post in triple-threaded abuse-of-power inquiries. Fox News. November 12, 2018.)
民主党がトランプ氏に対する証人喚問を検討しているとされますが、引用した記事の中で、
to conduct the triple-threaded inquiry
という表現が使われているのですが、この"triple-threaded"を何と訳したものでしょうか?
民主党は、トランプ氏がCNNやワシントンポスト紙などに対して非常に高圧的な態度で接していることを問題視しているようです。CNNについては何度もトランプ氏と衝突しており、直近ではCNN記者と会見で言い合いになった末、記者に対するホワイトハウスの出入りの許可証を取り消す処分を下しました。
大統領に対して批判的とされるCNN等のメディアに対するトランプ氏のこうした言動は職権濫用ではないか、というものです。
"triple-threaded"という表現ですが、字義通りに解釈すれば、三重の、あるいは3部からなる(triple)、スレッド(thread)ということになります。ここで、"thread"の解釈はどうなるでしょうか。
"triple thread"をネット検索すると出てきたのが、ネジの画像でした。ここでスレッドは、ネジに掘ってある溝のことを指し、"triple thread"とはその溝が通常の3倍になっているもので、三条ネジと呼ばれるそうです。少し専門的な話題となりますが、通常の"single thread"と比較して"triple thread”は特殊な目的で用いられ、性能の面でも勝るというのがポイントです。
つまり、"triple-threaded inquiry"とはトランプ氏を追い詰めるための「特別仕様」の喚問内容であり、より強力なものであるという含意でしょうか。
しかし、工業製品に使われるネジの比喩が一般に浸透するというのもあまり考えられません。
別の見方をすると、インターネット時代の今日、「スレッド」はネット掲示板等において、あるテーマについて繰り広げられる一連のやり取りを指す用語としても用いられます。また話の脈絡とか筋道、流れといった意味もありますが、それが三重である、というのは、トランプ氏に対する証人喚問のテーマとして、CNN、ワシントンポスト紙、そしてアマゾン、という3つが候補になっている、ということなのかなと思う次第です。
つまり、3つをひとまとめにするのではなくて、個別案件として喚問の材料にしようということだと思われます。
召喚されるトランプ氏にとっては自身に対する批判が「三連発」となる痛手かもしれません。
ちなみにGoogle検索やコーパスで調べてみたのですが、このようなコンテクストでの"thread"の用例は見当たらず、ご存知の方には情報を共有いただけると幸いです。
民主党側は既にトランプ政権を追い込むべく、その準備を着々と進めているようです。
The incoming chairman of the House Intelligence Committee this week said that when the new Congress is seated in January, Democrats plan to scrutinize whether President Trump abused his authority by taking adverse action against retail giant Amazon and two of his bitter left-leaning media rivals: CNN and The Washington Post.
Rep. Adam Schiff, D-Calif., said in an interview with "Axios on HBO" that he and his colleagues will employ committee subpoena powers -- which are backed by the legal threat of contempt of Congress -- to conduct the triple-threaded inquiry into Trump's possible use of the "instruments of state power to punish the press."
(Gregg Re. Dems to probe Trump's treatment of CNN, Amazon, Washington Post in triple-threaded abuse-of-power inquiries. Fox News. November 12, 2018.)
民主党がトランプ氏に対する証人喚問を検討しているとされますが、引用した記事の中で、
to conduct the triple-threaded inquiry
という表現が使われているのですが、この"triple-threaded"を何と訳したものでしょうか?
民主党は、トランプ氏がCNNやワシントンポスト紙などに対して非常に高圧的な態度で接していることを問題視しているようです。CNNについては何度もトランプ氏と衝突しており、直近ではCNN記者と会見で言い合いになった末、記者に対するホワイトハウスの出入りの許可証を取り消す処分を下しました。
大統領に対して批判的とされるCNN等のメディアに対するトランプ氏のこうした言動は職権濫用ではないか、というものです。
"triple-threaded"という表現ですが、字義通りに解釈すれば、三重の、あるいは3部からなる(triple)、スレッド(thread)ということになります。ここで、"thread"の解釈はどうなるでしょうか。
"triple thread"をネット検索すると出てきたのが、ネジの画像でした。ここでスレッドは、ネジに掘ってある溝のことを指し、"triple thread"とはその溝が通常の3倍になっているもので、三条ネジと呼ばれるそうです。少し専門的な話題となりますが、通常の"single thread"と比較して"triple thread”は特殊な目的で用いられ、性能の面でも勝るというのがポイントです。
つまり、"triple-threaded inquiry"とはトランプ氏を追い詰めるための「特別仕様」の喚問内容であり、より強力なものであるという含意でしょうか。
しかし、工業製品に使われるネジの比喩が一般に浸透するというのもあまり考えられません。
別の見方をすると、インターネット時代の今日、「スレッド」はネット掲示板等において、あるテーマについて繰り広げられる一連のやり取りを指す用語としても用いられます。また話の脈絡とか筋道、流れといった意味もありますが、それが三重である、というのは、トランプ氏に対する証人喚問のテーマとして、CNN、ワシントンポスト紙、そしてアマゾン、という3つが候補になっている、ということなのかなと思う次第です。
つまり、3つをひとまとめにするのではなくて、個別案件として喚問の材料にしようということだと思われます。
召喚されるトランプ氏にとっては自身に対する批判が「三連発」となる痛手かもしれません。
ちなみにGoogle検索やコーパスで調べてみたのですが、このようなコンテクストでの"thread"の用例は見当たらず、ご存知の方には情報を共有いただけると幸いです。
2018年11月9日金曜日
egghead
英語では、いわゆるインテリを指すのに、"egghead"という表現を使うそうです。
多少の蔑みが含まれる表現です。Merriam-Websterによると、"informal, often disparaging"との注釈があり、
a person with intellectual interests or pretensions : a brainy person
と定義されています。
それにしても、卵(egg)の形をした頭(head)というように読めますが、それがどうして「インテリ」なんでしょうか。
そもそも、"egghead"は禿げ頭を指していたようです。卵の殻がつるつるだからですね。従って、卵の形状からの連想ではありません。
頭の良い人というのは(頭を使い過ぎるせいでしょうか)、禿げていることが多いからかもしれません。
But many Washington neighborhoods are becoming more economically homogenous as longtime homeowners move out and increasing housing prices prevent the less affluent from moving in. The eventual result, in many cases, is a Super Zip. And because the contiguous Super Zips are surrounded by areas that are almost as well-off, it's possible to live in a Super Zip and rarely encounter others without college degrees or professional jobs. " It's a megalopolis of eggheads, " said William H. Frey, a demographer with the Brookings Institution.
(Washington Post, 2013)
多少の蔑みが含まれる表現です。Merriam-Websterによると、"informal, often disparaging"との注釈があり、
a person with intellectual interests or pretensions : a brainy person
と定義されています。
それにしても、卵(egg)の形をした頭(head)というように読めますが、それがどうして「インテリ」なんでしょうか。
そもそも、"egghead"は禿げ頭を指していたようです。卵の殻がつるつるだからですね。従って、卵の形状からの連想ではありません。
頭の良い人というのは(頭を使い過ぎるせいでしょうか)、禿げていることが多いからかもしれません。
But many Washington neighborhoods are becoming more economically homogenous as longtime homeowners move out and increasing housing prices prevent the less affluent from moving in. The eventual result, in many cases, is a Super Zip. And because the contiguous Super Zips are surrounded by areas that are almost as well-off, it's possible to live in a Super Zip and rarely encounter others without college degrees or professional jobs. " It's a megalopolis of eggheads, " said William H. Frey, a demographer with the Brookings Institution.
(Washington Post, 2013)
2018年11月8日木曜日
dog-whistle
米中間選挙は下院で民主党が躍進し、トランプ政権には痛手となりました。共和党は上院では過半数を獲得したものの、今後は「ねじれ」下での運営を余儀なくされます。
さて、以下の記事は投票前のものなのですが、お読みください。
Donald Trump and the Republicans have released what has been described as one of the most racist political adverts in recent years and an attempt to rally the president’s base by portraying Central American migrants as police killers set to overrun the country.
The advert, which Mr Trump tweeted with the message “it is outrageous what the Democrats are doing to our country. Vote Republican now”, focusses on Luis Bracamontes, an illegal immigrant twice previously deported, who in 2014 shot and killed two California police officers, and injured a third. The advert shows Bracamontes, who has been sentenced to death, laughing in court and vowing to kill more officers.
Words across the screen read: “Democrats let him into our country. Democrats let him stay.” It then shows migrants pulling on what appears to be a border fence.
The advert, which many have likened to the notorious “Willie Horton” attack advert that was used by Republicans to undermine and derail the 1988 presidential run of Democrat Michael Dukakis, has been widely denounced as racist, seeking as it does, to compare all migrants to a police killer.
Tom Perez, chairman of the Democratic National Committee, called it the “dog-whistle of all dog-whistles”.
(Midterms 2018: Outrage as Trump releases ‘racist dog-whistle’ advert featuring Luis Bracamonte. The Independent. November 2, 2018.)
共和党が中間選挙のキャンペーン用に作製した動画について取り上げたものです。
ここで、"dog-whistle"(犬笛)という表現が出てくるのですが、その意味するところをご存知でしょうか?
犬笛というものは、通常人間には聞こえないけれどもイヌだけには聞こえる高周波の音を発するとされ、その音を聞くと1マイルも離れたところにいるイヌでさえ、戻ってくるのだそうです。
ここから、特定の人やグループにのみに理解されるようなメッセージを含めた、特に政治的な意味でのステートメントを"dog-whisle"、またそのような手法による政治的な駆け引きのことを、"dog-whisle politics"と呼ぶようになったそうです。
記事で問題にされている動画の例では、かつて2014年にメキシコから不法入国し、警官2名を殺害した凶悪犯罪者をまず取り上げ、同時に、圧政を逃れて中米からアメリカへと北上し逃れてくる移民を取り上げています。移民の中に犯罪者が紛れているかもしれないとはトランプ氏のお決まりのレトリックですが、動画の内容はほとんど一般の移民と凶悪犯罪者を同列にするような扱いだと批判されています。
つまり、米国に押し寄せる移民に反感を持つ人達に対しては特別なメッセージを持つ訳です。
もう1つ、例を取り上げてみます。
On Saturday, Don Jr. tweeted an attack against independent Maine Sen. Angus King that could have come straight from the white supremacist Iowa Republican congressman Steve King. It had the standard fearmongering of the “other,” in this case, Syrian and “Somalian” refugees; it criticized Democratic Sen. Chuck Schumer, who is Jewish; and for good measure, it included the dog whistle term “88,” which neo-Nazis use as code for “Heil Hitler.”
(David Boddiger. Donald Trump Jr. Tweets Out a Neo-Nazi Dog Whistle. Splinter News. November 3, 2018.)
こちらはトランプ・ジュニア氏によるツイートが"dog-whistle"であると批判されているものです。
メーン州における対立候補(無所属)を貶めるべく、実は民主党寄りだという主張の裏付けに”88%”という統計を持ち出したのですが、この「88」という数字が問題になっているものです。
知りませんでしたが、数字の8はアルファベットの8番目の文字Hと符合することから、「88」は「HH」、つまり"Heil Hitler"(ヒトラー礼賛)を意味するという、これまた、分かる人にしか分からないメッセージだと思うのですが、ほとんど符牒とでも言うべきもののようにも思われます。
さて、以下の記事は投票前のものなのですが、お読みください。
Donald Trump and the Republicans have released what has been described as one of the most racist political adverts in recent years and an attempt to rally the president’s base by portraying Central American migrants as police killers set to overrun the country.
The advert, which Mr Trump tweeted with the message “it is outrageous what the Democrats are doing to our country. Vote Republican now”, focusses on Luis Bracamontes, an illegal immigrant twice previously deported, who in 2014 shot and killed two California police officers, and injured a third. The advert shows Bracamontes, who has been sentenced to death, laughing in court and vowing to kill more officers.
Words across the screen read: “Democrats let him into our country. Democrats let him stay.” It then shows migrants pulling on what appears to be a border fence.
The advert, which many have likened to the notorious “Willie Horton” attack advert that was used by Republicans to undermine and derail the 1988 presidential run of Democrat Michael Dukakis, has been widely denounced as racist, seeking as it does, to compare all migrants to a police killer.
Tom Perez, chairman of the Democratic National Committee, called it the “dog-whistle of all dog-whistles”.
(Midterms 2018: Outrage as Trump releases ‘racist dog-whistle’ advert featuring Luis Bracamonte. The Independent. November 2, 2018.)
共和党が中間選挙のキャンペーン用に作製した動画について取り上げたものです。
ここで、"dog-whistle"(犬笛)という表現が出てくるのですが、その意味するところをご存知でしょうか?
犬笛というものは、通常人間には聞こえないけれどもイヌだけには聞こえる高周波の音を発するとされ、その音を聞くと1マイルも離れたところにいるイヌでさえ、戻ってくるのだそうです。
ここから、特定の人やグループにのみに理解されるようなメッセージを含めた、特に政治的な意味でのステートメントを"dog-whisle"、またそのような手法による政治的な駆け引きのことを、"dog-whisle politics"と呼ぶようになったそうです。
記事で問題にされている動画の例では、かつて2014年にメキシコから不法入国し、警官2名を殺害した凶悪犯罪者をまず取り上げ、同時に、圧政を逃れて中米からアメリカへと北上し逃れてくる移民を取り上げています。移民の中に犯罪者が紛れているかもしれないとはトランプ氏のお決まりのレトリックですが、動画の内容はほとんど一般の移民と凶悪犯罪者を同列にするような扱いだと批判されています。
つまり、米国に押し寄せる移民に反感を持つ人達に対しては特別なメッセージを持つ訳です。
もう1つ、例を取り上げてみます。
On Saturday, Don Jr. tweeted an attack against independent Maine Sen. Angus King that could have come straight from the white supremacist Iowa Republican congressman Steve King. It had the standard fearmongering of the “other,” in this case, Syrian and “Somalian” refugees; it criticized Democratic Sen. Chuck Schumer, who is Jewish; and for good measure, it included the dog whistle term “88,” which neo-Nazis use as code for “Heil Hitler.”
(David Boddiger. Donald Trump Jr. Tweets Out a Neo-Nazi Dog Whistle. Splinter News. November 3, 2018.)
こちらはトランプ・ジュニア氏によるツイートが"dog-whistle"であると批判されているものです。
メーン州における対立候補(無所属)を貶めるべく、実は民主党寄りだという主張の裏付けに”88%”という統計を持ち出したのですが、この「88」という数字が問題になっているものです。
知りませんでしたが、数字の8はアルファベットの8番目の文字Hと符合することから、「88」は「HH」、つまり"Heil Hitler"(ヒトラー礼賛)を意味するという、これまた、分かる人にしか分からないメッセージだと思うのですが、ほとんど符牒とでも言うべきもののようにも思われます。
2018年11月7日水曜日
walkout
今日も何億人という人がグーグル検索をしていると思うのですが、当のグーグル社では世界規模でストライキが起きています。
セクハラ疑惑の渦中で退職した幹部に巨額(90億円!)の退職金が支払われたということが発覚し、2万人を超える従業員の怒りを買っているのです。
More than 20,000 Google employees and contractors participated in the mass global walkout yesterday to protest the company’s handling of sexual harassment allegations against top executives, according to organizers of the protest who published a Medium post this evening. As of September 30th, 2018, Google had 94,372 full-time and contract employees worldwide, meaning more than 20 percent of the entire company participated in the walkout. The event was sparked by an investigation from The New York Times that revealed how Android co-founder Andy Rubin was paid $90 million upon his exit from the company after it learned of a sexual assault allegation against him.
(Nick Statt. Over 20,000 Google employees participated in yesterday’s mass walkout. The Verge. November 2, 2018.)
グーグルほどの先進的な企業が、と思いますが、セクハラにパワハラ、差別といった事象はどこの会社でもそんなものなのでしょう。
さて、ストライキですが、ここでは"strike"とは出てこず、
walkout
という表現が使われています。
動詞の表現として"walk out"は、非同意、つまり反対や抗議の意を示してその場から立ち去ること、退場を意味しています。
ストライキを表現するのに"strike"も間違いではありませんが、"walkout"も覚えておくと役に立つと思います。
セクハラ疑惑の渦中で退職した幹部に巨額(90億円!)の退職金が支払われたということが発覚し、2万人を超える従業員の怒りを買っているのです。
More than 20,000 Google employees and contractors participated in the mass global walkout yesterday to protest the company’s handling of sexual harassment allegations against top executives, according to organizers of the protest who published a Medium post this evening. As of September 30th, 2018, Google had 94,372 full-time and contract employees worldwide, meaning more than 20 percent of the entire company participated in the walkout. The event was sparked by an investigation from The New York Times that revealed how Android co-founder Andy Rubin was paid $90 million upon his exit from the company after it learned of a sexual assault allegation against him.
(Nick Statt. Over 20,000 Google employees participated in yesterday’s mass walkout. The Verge. November 2, 2018.)
グーグルほどの先進的な企業が、と思いますが、セクハラにパワハラ、差別といった事象はどこの会社でもそんなものなのでしょう。
さて、ストライキですが、ここでは"strike"とは出てこず、
walkout
という表現が使われています。
動詞の表現として"walk out"は、非同意、つまり反対や抗議の意を示してその場から立ち去ること、退場を意味しています。
ストライキを表現するのに"strike"も間違いではありませんが、"walkout"も覚えておくと役に立つと思います。
2018年11月6日火曜日
browning of America
今日も米中間選挙に関する論説記事からの引用です。
共和党に対し数ポイント差でリードする民主党を牽制するトランプ大統領が持ち出すのは移民問題です。同氏の支持層である白人高齢男性を焚き付ける問題として移民ほど効果的なものはないからです。
(CNN) — "It's the economy, stupid." That famous phrase, coined by James Carville, one of Bill Clinton's strategists, was Clinton's guiding principle in his 1992 campaign to unseat President George H.W. Bush. This slogan reminded Clinton that the best way to win that election was to talk about the economy, since that issue moved voters. And it worked.
Flash forward to the 2018 midterm election and Donald Trump's guiding principle can be best summed up as, "It's the racism, stupid." Trump is playing on his supporters' worst fears of brown immigrants to scare them to the polls.
(中略)
How can Trump try to energize voters by telling them the economy is great when they don't have more money to spend? Trump gets that, so he's reverting back to playing on white anxieties regarding the browning of America -- which I like to refer to as racism. Or, for those who prefer the more academic term, fear of losing status.
(Dean Obeidallah. Trump is trying to whip up fear about the browning of America. CNN. November 4, 2018.)
キーワードとなるのが、
browning of America
です。
"brown"は茶色、褐色というカラーのことですが、"browning of America"は「褐色化するアメリカ」などと訳されることが多いようです。
つまり、アメリカ国内において、黒人やヒスパニック系の有色人種が占める割合が多くなってきているということを指しています。
移民問題をテコに票を獲得しようとしているというのはほとんど真実のようです。
共和党に対し数ポイント差でリードする民主党を牽制するトランプ大統領が持ち出すのは移民問題です。同氏の支持層である白人高齢男性を焚き付ける問題として移民ほど効果的なものはないからです。
(CNN) — "It's the economy, stupid." That famous phrase, coined by James Carville, one of Bill Clinton's strategists, was Clinton's guiding principle in his 1992 campaign to unseat President George H.W. Bush. This slogan reminded Clinton that the best way to win that election was to talk about the economy, since that issue moved voters. And it worked.
Flash forward to the 2018 midterm election and Donald Trump's guiding principle can be best summed up as, "It's the racism, stupid." Trump is playing on his supporters' worst fears of brown immigrants to scare them to the polls.
(中略)
How can Trump try to energize voters by telling them the economy is great when they don't have more money to spend? Trump gets that, so he's reverting back to playing on white anxieties regarding the browning of America -- which I like to refer to as racism. Or, for those who prefer the more academic term, fear of losing status.
(Dean Obeidallah. Trump is trying to whip up fear about the browning of America. CNN. November 4, 2018.)
キーワードとなるのが、
browning of America
です。
"brown"は茶色、褐色というカラーのことですが、"browning of America"は「褐色化するアメリカ」などと訳されることが多いようです。
つまり、アメリカ国内において、黒人やヒスパニック系の有色人種が占める割合が多くなってきているということを指しています。
移民問題をテコに票を獲得しようとしているというのはほとんど真実のようです。
2018年11月5日月曜日
wrecking ball
トランプ政権の信任が問われる、アメリカの中間選挙が明日6日に迫っていますが、最新の情勢では民主党が7ポイント優位という報道があります。尤も、最後まで何があるか分からない訳で、メディア各社の報道も過熱しているようです。
USA Today紙から引用しました。
Donald Trump is campaigning for a Republican Congress like his presidency is at stake – and it may well be.
If the "radical resistance" takes power, "they will move immediately to reverse American progress and to eradicate all of the gains that we have made," Trump said during an airport rally Sunday in Macon, Georgia, the first of two southern stops just two days before congressional elections.
(中略)
The election will decide "whether we let the radical Democrats take control of Congress and take a giant wrecking ball to our economy," Trump said to a packed basketball arena at the University of Tennessee at Chattanooga.
(President Trump: Democrats will take 'a wrecking ball' to American progress if they win control in Congress. USA Today. November 4, 2018.)
トランプ氏は民主党の躍進の可能性に神経を尖らせているようで、もし仮に民主党が勝利し、議会で優勢になろうものならば、大変なことになると脅しに入っているようです。
同氏の発言で、
(Democrats)... take a giant wrecking ball to our economy
という部分があるのですが、"a giant wrecking ball"という表現が目に留まりました。
この"wrecking ball"というのは家屋などを解体する際に使われる巨大な鋼球のことなんですが、その破壊力は実際に目にしたことのある人はまれではないかと思うのですが、イメージとしてはとてつもない破壊力がありそうです。(浅間山荘事件で使われた、あの巨大な鋼球を思い出します。)
トランプ政権になってからアメリカ国内経済はある程度上向きになったようですが、同氏の警告は民主党が躍進するならば、経済に壊滅的な打撃を与えることになる、というもののようです。
USA Today紙から引用しました。
Donald Trump is campaigning for a Republican Congress like his presidency is at stake – and it may well be.
If the "radical resistance" takes power, "they will move immediately to reverse American progress and to eradicate all of the gains that we have made," Trump said during an airport rally Sunday in Macon, Georgia, the first of two southern stops just two days before congressional elections.
(中略)
The election will decide "whether we let the radical Democrats take control of Congress and take a giant wrecking ball to our economy," Trump said to a packed basketball arena at the University of Tennessee at Chattanooga.
(President Trump: Democrats will take 'a wrecking ball' to American progress if they win control in Congress. USA Today. November 4, 2018.)
トランプ氏は民主党の躍進の可能性に神経を尖らせているようで、もし仮に民主党が勝利し、議会で優勢になろうものならば、大変なことになると脅しに入っているようです。
同氏の発言で、
(Democrats)... take a giant wrecking ball to our economy
という部分があるのですが、"a giant wrecking ball"という表現が目に留まりました。
この"wrecking ball"というのは家屋などを解体する際に使われる巨大な鋼球のことなんですが、その破壊力は実際に目にしたことのある人はまれではないかと思うのですが、イメージとしてはとてつもない破壊力がありそうです。(浅間山荘事件で使われた、あの巨大な鋼球を思い出します。)
トランプ政権になってからアメリカ国内経済はある程度上向きになったようですが、同氏の警告は民主党が躍進するならば、経済に壊滅的な打撃を与えることになる、というもののようです。
2018年11月2日金曜日
bozo
最近駅前近くや公園などで沢山の人達が集まっているのを目にすることがあります。その誰もが熱心にスマホを覗きこんでいる様子なのですが、何をやっているのかよく分かりません。
スマホに没頭しているそれぞれの人は周りは見えないようです。多くの人が集まっているのにお互いの存在には無関心で手元の画面だけに熱心になっているという様は、側から見ると異様な光景にも見えます。
歩きスマホが社会問題となって久しいですが、これ程までに人間の集中力を引きつけるあの画面の中には何があるのでしょうか?
A bozo is so engrossed in his phone, he doesn’t notice a robbery
Bizarre footage has surfaced from Nova Serrana, Brazil, that shows an armed robbery at a bar. Amazingly, one of the patrons doesn’t notice what’s happening because he’s too focused on his phone. It isn’t until the incident ends that he looks up and notices that something is wrong.
動画付きの記事から引用しました。
ブラジルでバーに強盗が押し入ったそうですが、銃器を手にする強盗を見てほとんどの客が床に伏す中、スマホ操作に余念のない一人の男性は強盗の存在に全く気付きません。
この男性を指して、”bozo”と表現しているのですが、この”bozo”という単語は初めて見ました。
辞書には、間抜け、と載っています。
語源不詳とされていますが、Online Etymology Dictionaryによると、スペイン語のbozal(下手なスペイン語を喋る人、の意)に由来するとありました。
また、American Heritage Dictionaryでは、Bozo the Clownという、1940年代に出たピエロのキャラクターの影響もあって定着した、ともあります。
スマホに没頭しているそれぞれの人は周りは見えないようです。多くの人が集まっているのにお互いの存在には無関心で手元の画面だけに熱心になっているという様は、側から見ると異様な光景にも見えます。
歩きスマホが社会問題となって久しいですが、これ程までに人間の集中力を引きつけるあの画面の中には何があるのでしょうか?
A bozo is so engrossed in his phone, he doesn’t notice a robbery
Bizarre footage has surfaced from Nova Serrana, Brazil, that shows an armed robbery at a bar. Amazingly, one of the patrons doesn’t notice what’s happening because he’s too focused on his phone. It isn’t until the incident ends that he looks up and notices that something is wrong.
動画付きの記事から引用しました。
ブラジルでバーに強盗が押し入ったそうですが、銃器を手にする強盗を見てほとんどの客が床に伏す中、スマホ操作に余念のない一人の男性は強盗の存在に全く気付きません。
この男性を指して、”bozo”と表現しているのですが、この”bozo”という単語は初めて見ました。
辞書には、間抜け、と載っています。
語源不詳とされていますが、Online Etymology Dictionaryによると、スペイン語のbozal(下手なスペイン語を喋る人、の意)に由来するとありました。
また、American Heritage Dictionaryでは、Bozo the Clownという、1940年代に出たピエロのキャラクターの影響もあって定着した、ともあります。
2018年11月1日木曜日
appendix
アルツハイマー病と虫垂の意外な関係が明らかになりました。
ご存知のようにアルツハイマー病については有効な治療方法が確立されておらず、新薬開発もその多くが失敗に終わっています。
スウェーデンに住む100万人を対象とした調査では、虫垂を切除した人はアルツハイマー病を発症する確率が約2割低いという結果が出たそうです。
(CNN) — It may be painful, but there could be an unusual upside to appendicitis: Those who have had their appendix removed are 20% less likely to develop Parkinson's disease, according to a new analysis of more than 1 million people in Sweden.
The tiny organ, which is attached to and opens into the lower end of the large intestine, may contribute to this brain disorder that affects nearly a million Americans, the researchers say. Their study was published Wednesday in the journal Science Translational Medicine.
(Susan Scutti. Had your appendix removed? Your Parkinson's risk may be 20% lower. CNN. November 1, 2018.)
普段見ることの多い"appendix"は付録、本の末尾の補遺のことが多いためか、"appendix"と読んですぐに「虫垂」が出てきませんでしたが、医学の用語として"appendix"とは虫垂を指します。
正式名称は"vermiform appendix"だそうですが、"vermiform"のvermi-は虫を意味する接頭辞です。
虫垂炎は、"appendicitis"、虫垂切除術は"appendectomy"となります。
虫垂とアルツハイマーの意外な関係について、詳しくは記事をお読みいただければと思いますが、アルファシヌクレイン(Alpha-synuclein)と呼ばれる、アルツハイマー病発症のカギとなるタンパク質が虫垂に存在することが分かっており、これが脳に移行しているのではないかと見られているようです。
尤も、アルツハイマーを予防する目的で虫垂切除が有効と即断できる訳ではなく、虫垂を切除した人においてアルツハイマー病の発症率が低い背景との関連はさらに研究が必要なようです。
ご存知のようにアルツハイマー病については有効な治療方法が確立されておらず、新薬開発もその多くが失敗に終わっています。
スウェーデンに住む100万人を対象とした調査では、虫垂を切除した人はアルツハイマー病を発症する確率が約2割低いという結果が出たそうです。
(CNN) — It may be painful, but there could be an unusual upside to appendicitis: Those who have had their appendix removed are 20% less likely to develop Parkinson's disease, according to a new analysis of more than 1 million people in Sweden.
The tiny organ, which is attached to and opens into the lower end of the large intestine, may contribute to this brain disorder that affects nearly a million Americans, the researchers say. Their study was published Wednesday in the journal Science Translational Medicine.
(Susan Scutti. Had your appendix removed? Your Parkinson's risk may be 20% lower. CNN. November 1, 2018.)
普段見ることの多い"appendix"は付録、本の末尾の補遺のことが多いためか、"appendix"と読んですぐに「虫垂」が出てきませんでしたが、医学の用語として"appendix"とは虫垂を指します。
正式名称は"vermiform appendix"だそうですが、"vermiform"のvermi-は虫を意味する接頭辞です。
虫垂炎は、"appendicitis"、虫垂切除術は"appendectomy"となります。
虫垂とアルツハイマーの意外な関係について、詳しくは記事をお読みいただければと思いますが、アルファシヌクレイン(Alpha-synuclein)と呼ばれる、アルツハイマー病発症のカギとなるタンパク質が虫垂に存在することが分かっており、これが脳に移行しているのではないかと見られているようです。
尤も、アルツハイマーを予防する目的で虫垂切除が有効と即断できる訳ではなく、虫垂を切除した人においてアルツハイマー病の発症率が低い背景との関連はさらに研究が必要なようです。
2018年10月31日水曜日
騙されて ― had
数年前にランニングを始めてからというもの、食べるものに気を遣うようになりました。
摂取カロリーというのもありますが、食べるものがランニングのパフォーマンスにどう影響するかといったことも気にし始めるようになったのです。
少しでも健康に良いものを食べようとするのは人の性みたいなものかもしれませんが、生活習慣病が大きくクローズアップされる今日、巷には色々なマーケティングが溢れており、近年はほとんどあらゆる食品、飲料品が何らかの効能を謳っていると思われます。
消費者である我々はそのようなマーケティングに踊らされているのだということをそろそろ気づいてしかるべきかも知れません。
If you’re buying avocados because they’re a superfood, nibbling on dark chocolate because of its antioxidant properties and sipping a soda now and then because you can just work it off at the gym, you’ve been had.
In her new book, “Unsavory Truth: How Food Companies Skew the Science of What We Eat,” Marion Nestle, an NYU professor in nutrition, food studies and public health, delivers unsettling news. A vast amount of nutritional research is funded and influenced by the food industry, who use “science” as a marketing tool, making unhealthy foods seem OK and turning wholesome foods into incredible cure-alls — often against the interest of public health and defying common sense.
(Hailey Ebar. How the food industry fooled us into eating junk. New York Post. October 27, 2018.)
ワインにコーヒー、バナナ、納豆、ヨーグルト、等々、枚挙に暇がありませんが、健康への実際の効果を得ようと思えば現実的にはあり得ないくらいの量を摂取しなければならないということは明確にはされず、ただキャッチコピーのみが前面に出てきます。
引用した記事ですが、
you’ve been had
という部分に注目しましょう。
ここでの動詞"have"の意味を改めて辞書で確認することになったのですが、ランダムハウス英和辞書では数多くある意味のうち、一番最後に、
(人を)だます、欺く
と載っていました。
通常受身形で用いられるものですが、この用法を実際に目にするのは初めてのような気がします。
辞書の定義でも一番最後に出てくることからも、非常に珍しい用法なのではないかと思われました。
コーパスを用いてこの用例を検索するのは少しコツが要ります。
In public opinion, the bank never seemed to recover from its early portrayal of itself as victim. It didn't take long for rival bankers and pundits to question how such an august institution could be had by a single second-tier trader.
(Christian Science Monitor, 2008)
動詞"have"が受身形で用いられること自体が少ないと思いがちですが、意外と多くあるものです。騙すという意味での用法はあまり多くを見つけることはできなかったのですが、"had"に続いて前置詞byで騙すという行為者を示していることが多いようです。
摂取カロリーというのもありますが、食べるものがランニングのパフォーマンスにどう影響するかといったことも気にし始めるようになったのです。
少しでも健康に良いものを食べようとするのは人の性みたいなものかもしれませんが、生活習慣病が大きくクローズアップされる今日、巷には色々なマーケティングが溢れており、近年はほとんどあらゆる食品、飲料品が何らかの効能を謳っていると思われます。
消費者である我々はそのようなマーケティングに踊らされているのだということをそろそろ気づいてしかるべきかも知れません。
If you’re buying avocados because they’re a superfood, nibbling on dark chocolate because of its antioxidant properties and sipping a soda now and then because you can just work it off at the gym, you’ve been had.
In her new book, “Unsavory Truth: How Food Companies Skew the Science of What We Eat,” Marion Nestle, an NYU professor in nutrition, food studies and public health, delivers unsettling news. A vast amount of nutritional research is funded and influenced by the food industry, who use “science” as a marketing tool, making unhealthy foods seem OK and turning wholesome foods into incredible cure-alls — often against the interest of public health and defying common sense.
(Hailey Ebar. How the food industry fooled us into eating junk. New York Post. October 27, 2018.)
ワインにコーヒー、バナナ、納豆、ヨーグルト、等々、枚挙に暇がありませんが、健康への実際の効果を得ようと思えば現実的にはあり得ないくらいの量を摂取しなければならないということは明確にはされず、ただキャッチコピーのみが前面に出てきます。
引用した記事ですが、
you’ve been had
という部分に注目しましょう。
ここでの動詞"have"の意味を改めて辞書で確認することになったのですが、ランダムハウス英和辞書では数多くある意味のうち、一番最後に、
(人を)だます、欺く
と載っていました。
通常受身形で用いられるものですが、この用法を実際に目にするのは初めてのような気がします。
辞書の定義でも一番最後に出てくることからも、非常に珍しい用法なのではないかと思われました。
コーパスを用いてこの用例を検索するのは少しコツが要ります。
In public opinion, the bank never seemed to recover from its early portrayal of itself as victim. It didn't take long for rival bankers and pundits to question how such an august institution could be had by a single second-tier trader.
(Christian Science Monitor, 2008)
動詞"have"が受身形で用いられること自体が少ないと思いがちですが、意外と多くあるものです。騙すという意味での用法はあまり多くを見つけることはできなかったのですが、"had"に続いて前置詞byで騙すという行為者を示していることが多いようです。
2018年10月30日火曜日
chomper
渋谷でのハロウィーン狂騒は先週末で一区切りしたようですが、毎年のように相も変わらず若者や外国人がどんちゃん騒ぎを繰り広げ、翌朝に残るのはゴミの山という報道に呆れます。
十数年前にアメリカに短期滞在した際、現地のハロウィーンに触れる機会がありましたが、郊外の住宅地に住む同僚に招かれてのハロウィーンディナーはそれは静かなものだったことを思い出します。子供たちがお菓子をもらいに近所をねり歩くというのはありますが、日本のそれが商業イベントと化しているのと比べると雰囲気はかなり違います。
そうは言っても年に一度のイベントは羽目を外したくなるものなのでしょう。
以下に引用する記事は、とてもお高くついてしまった仮装の代償の話です。
An Alabama woman’s $3 finishing touch to her zombie Halloween costume landed her a terrifying trip to the dentist after her fake vampire fangs wouldn’t detach from her actual chompers. Anna Tew, of Mobile County, claims she used the temporary glue that came with the store-purchased fake teeth.
She said her efforts to remove the teeth, which had grown uncomfortably tight in her mouth, went on until around 2 a.m.
(Alexandria Hein. Alabama woman’s zombie Halloween costume turns into medical nightmare after $3 fake teeth get stuck. Fox News. October 30, 2018.)
吸血鬼よろしく、仮装用の牙をつけたところが外れなくなってしまい、病院に駆け込んだという話です。
牙は"fang"というのは分かりましたが、初めて見たのが"chompers"という単語なんですが、これは歯を意味するそうです。
不思議なことにこの"chomper(s)"という単語をいくつかの辞書を当たってみたのですが載っていません。
"chomper(s)"が"chomp"という動詞から来ているのは明らかですが、"chomp"(もしくは、champ)は「むしゃむしゃ」、あるいは「がりがり」と食べるという意味があります。
俗語の類という訳でもなさそうなのですが、単に「歯」(teeth)というところを少しユーモラスに表現する場合に使われるのだろうと想像します。
How many viewers are exercising along with them, one wonders, and how many are just happily enjoying the show with a nice yummy snack in their laps? The only muscles that get a workout are the eyeballs and the chompers. And maybe the finger on the remote control.
(USA Today, 1996)
十数年前にアメリカに短期滞在した際、現地のハロウィーンに触れる機会がありましたが、郊外の住宅地に住む同僚に招かれてのハロウィーンディナーはそれは静かなものだったことを思い出します。子供たちがお菓子をもらいに近所をねり歩くというのはありますが、日本のそれが商業イベントと化しているのと比べると雰囲気はかなり違います。
そうは言っても年に一度のイベントは羽目を外したくなるものなのでしょう。
以下に引用する記事は、とてもお高くついてしまった仮装の代償の話です。
An Alabama woman’s $3 finishing touch to her zombie Halloween costume landed her a terrifying trip to the dentist after her fake vampire fangs wouldn’t detach from her actual chompers. Anna Tew, of Mobile County, claims she used the temporary glue that came with the store-purchased fake teeth.
She said her efforts to remove the teeth, which had grown uncomfortably tight in her mouth, went on until around 2 a.m.
(Alexandria Hein. Alabama woman’s zombie Halloween costume turns into medical nightmare after $3 fake teeth get stuck. Fox News. October 30, 2018.)
吸血鬼よろしく、仮装用の牙をつけたところが外れなくなってしまい、病院に駆け込んだという話です。
牙は"fang"というのは分かりましたが、初めて見たのが"chompers"という単語なんですが、これは歯を意味するそうです。
不思議なことにこの"chomper(s)"という単語をいくつかの辞書を当たってみたのですが載っていません。
"chomper(s)"が"chomp"という動詞から来ているのは明らかですが、"chomp"(もしくは、champ)は「むしゃむしゃ」、あるいは「がりがり」と食べるという意味があります。
俗語の類という訳でもなさそうなのですが、単に「歯」(teeth)というところを少しユーモラスに表現する場合に使われるのだろうと想像します。
How many viewers are exercising along with them, one wonders, and how many are just happily enjoying the show with a nice yummy snack in their laps? The only muscles that get a workout are the eyeballs and the chompers. And maybe the finger on the remote control.
(USA Today, 1996)
2018年10月29日月曜日
box office
映画の興行収入を表現するのに、”box office sales”などという表現が使われるのはよくご存知だと思います。
例えば以下のような使われ方です。
NEW YORK – Michael Myers – or is it Jamie Lee Curtis? – can't be stopped. "Halloween" dominated the North American box office for the second straight weekend, carving up an estimated $32 million in ticket sales.
(Jake Coyle. 'Halloween' can't be killed: It's already the biggest film in the franchise's history. USA Today. October 29, 2018.)
ご存知のように、”box office”というのは映画のチケットを購入する券売所のことを指しているのですが、何故”box office”というのでしょうか?
私は漠然と、こういったイベントのチケット販売ブースが小さな仮設小屋のような建物になっているので、それを”box”と見立ててのことかと思っていました。
しかしながら、どうやら勘違いであったようです。
American Heritage Dictionaryの説明によると、
So named because it was originally an office for the booking of boxes in a theater.
ということで、”box”とは劇場などで少人数がまとまって座る区画、いわゆるマス席のようなものを指しています。
一方、”box”というのは来場者から入場料を徴収するために使われた「箱」のことを指していたという説もあるらしいのですが、こちらはいわゆるfolk etymology(民間語源)とされ、信憑性には欠けるようです。
例えば以下のような使われ方です。
NEW YORK – Michael Myers – or is it Jamie Lee Curtis? – can't be stopped. "Halloween" dominated the North American box office for the second straight weekend, carving up an estimated $32 million in ticket sales.
(Jake Coyle. 'Halloween' can't be killed: It's already the biggest film in the franchise's history. USA Today. October 29, 2018.)
ご存知のように、”box office”というのは映画のチケットを購入する券売所のことを指しているのですが、何故”box office”というのでしょうか?
私は漠然と、こういったイベントのチケット販売ブースが小さな仮設小屋のような建物になっているので、それを”box”と見立ててのことかと思っていました。
しかしながら、どうやら勘違いであったようです。
American Heritage Dictionaryの説明によると、
So named because it was originally an office for the booking of boxes in a theater.
ということで、”box”とは劇場などで少人数がまとまって座る区画、いわゆるマス席のようなものを指しています。
一方、”box”というのは来場者から入場料を徴収するために使われた「箱」のことを指していたという説もあるらしいのですが、こちらはいわゆるfolk etymology(民間語源)とされ、信憑性には欠けるようです。
2018年10月26日金曜日
planned obsolescence
やっぱりそんなことがあるんだ・・・、と思いましたね。
スマホメーカーのアップルとサムスンが旧式の機種のパフォーマンスを低下させるようなソフトウェアアップデートを配信したということで、イタリアの当局から罰金を科されたようです。
Apple and Samsung are being fined €10m and €5m respectively in Italy for the “planned obsolescence” of their smartphones.
An investigation launched in January by the nation’s competition authority found that certain smartphone software updates had a negative effect on the performance of the devices.
Believed to be the first ruling of its kind against smartphone manufacturers, the investigation followed accusations operating system updates for older phones slowed them down, thereby encouraging the purchase of new phones.
(Apple and Samsung fined for deliberately slowing down phones. The Guardian. October 24, 2018.)
スマホのOSアップデートにより、古い機種においては極端なパフォーマンス低下が発生し、ユーザーの買い替えを促進する意図があったと疑われています。
引用した記事の冒頭で、
planned obsolescence
という表現が使われていますが、この表現を聞いたことはないでしょうか?
昔から言われていることですが、電化製品などは長期間に渡って使えるとあってはメーカーが儲からないので、あらかじめ壊れるべくタイマーが仕掛けられている、というまことしやかな噂(都市伝説?)がありました。
"planned obsolescence"は、"built-in obsolescnce"と表現されることもあるようですが、メーカーが新製品を出すことによって既存の製品が陳腐化、旧式となってしまい、使えなくなったり、サポートや修理が受けられなくなってしまうことを意味する表現です。
スマホメーカーのアップルとサムスンが旧式の機種のパフォーマンスを低下させるようなソフトウェアアップデートを配信したということで、イタリアの当局から罰金を科されたようです。
Apple and Samsung are being fined €10m and €5m respectively in Italy for the “planned obsolescence” of their smartphones.
An investigation launched in January by the nation’s competition authority found that certain smartphone software updates had a negative effect on the performance of the devices.
Believed to be the first ruling of its kind against smartphone manufacturers, the investigation followed accusations operating system updates for older phones slowed them down, thereby encouraging the purchase of new phones.
(Apple and Samsung fined for deliberately slowing down phones. The Guardian. October 24, 2018.)
スマホのOSアップデートにより、古い機種においては極端なパフォーマンス低下が発生し、ユーザーの買い替えを促進する意図があったと疑われています。
引用した記事の冒頭で、
planned obsolescence
という表現が使われていますが、この表現を聞いたことはないでしょうか?
昔から言われていることですが、電化製品などは長期間に渡って使えるとあってはメーカーが儲からないので、あらかじめ壊れるべくタイマーが仕掛けられている、というまことしやかな噂(都市伝説?)がありました。
"planned obsolescence"は、"built-in obsolescnce"と表現されることもあるようですが、メーカーが新製品を出すことによって既存の製品が陳腐化、旧式となってしまい、使えなくなったり、サポートや修理が受けられなくなってしまうことを意味する表現です。
2018年10月25日木曜日
come out
日本でもLGBTの話題が公然と取り沙汰される今日になりましたが、「カミングアウト」というカタカナ語もほとんどの人が知る表現となりました。
ご存知ない方のために説明すると、「カミングアウト」(coming out)とは自分自身の性的な志向性(sexual orientation)を包み隠すことなく公表することであるとされています。
アップル社の元CEOであるTim Cook氏は、時価総額1兆円を超える大企業のトップがカミングアウトしたことで話題になりました。
Four years ago, Tim Cook became the first CEO of a major company to come out as gay. He says he's happy about that distinction — and his decision.
"I'm very proud of it," the Apple (AAPL) CEO told Christiane Amanpour on Wednesday in an exclusive interview for her program on CNN International and PBS. Being gay is "God's greatest gift to me," he said.
Cook came out on October 30, 2014. His sexual orientation had been widely rumored beforehand though he had not confirmed it publicly.
(David Goldman. Tim Cook: Being gay is God's greatest gift to me. CNN. October 24, 2018.)
引用したのはCNNによるCook氏への独占インタビューなのですが、同氏はゲイであることを当初は隠していたものの、自分がカミングアウトすることで性的マイノリティの人々を勇気づけることができるということから公表することを決意したようです。
ところで、"come out"という表現の由来は、"come out of closet"であるとされています。
"closet"はクローゼット、衣裳部屋のことなのですが、意味合いとしては私室、つまりプライベートな空間という含みがあります。
つまり"come out of closet"というのはプライベートな空間から出てくるということであり、一般に「隠していた信条・政治的立場などを公にする」(ランダムハウス英和辞書)という意味でしたが、今日ではLGBTのコンテクストで使われることがもっぱらです。
ところで、"come out"からさらに、"out"という形容だけで使われることもあることを初めて知りました。
Cook said he was shocked that he was the first out CEO of a Fortune 500 company. He said he is glad other CEOs have come out since, although that wasn't his goal.
(ibid.)
ご存知ない方のために説明すると、「カミングアウト」(coming out)とは自分自身の性的な志向性(sexual orientation)を包み隠すことなく公表することであるとされています。
アップル社の元CEOであるTim Cook氏は、時価総額1兆円を超える大企業のトップがカミングアウトしたことで話題になりました。
Four years ago, Tim Cook became the first CEO of a major company to come out as gay. He says he's happy about that distinction — and his decision.
"I'm very proud of it," the Apple (AAPL) CEO told Christiane Amanpour on Wednesday in an exclusive interview for her program on CNN International and PBS. Being gay is "God's greatest gift to me," he said.
Cook came out on October 30, 2014. His sexual orientation had been widely rumored beforehand though he had not confirmed it publicly.
(David Goldman. Tim Cook: Being gay is God's greatest gift to me. CNN. October 24, 2018.)
引用したのはCNNによるCook氏への独占インタビューなのですが、同氏はゲイであることを当初は隠していたものの、自分がカミングアウトすることで性的マイノリティの人々を勇気づけることができるということから公表することを決意したようです。
ところで、"come out"という表現の由来は、"come out of closet"であるとされています。
"closet"はクローゼット、衣裳部屋のことなのですが、意味合いとしては私室、つまりプライベートな空間という含みがあります。
つまり"come out of closet"というのはプライベートな空間から出てくるということであり、一般に「隠していた信条・政治的立場などを公にする」(ランダムハウス英和辞書)という意味でしたが、今日ではLGBTのコンテクストで使われることがもっぱらです。
ところで、"come out"からさらに、"out"という形容だけで使われることもあることを初めて知りました。
Cook said he was shocked that he was the first out CEO of a Fortune 500 company. He said he is glad other CEOs have come out since, although that wasn't his goal.
(ibid.)
2018年10月24日水曜日
bash
そういえば昔、子供の頃、誕生日会に仲の良いお友達を読んでパーティーをするみたいなことが流行っていたなあ、などと思い出しました。
何故か私は招待されたこともなければ、自身の誕生日パーティーに家族以外の誰かを招待するということもありませんでしたが。
Even free pizza couldn’t attract any pint-size partygoers for a 6-year-old’s birthday.
An Arizona mom says none of her son’s kindergarten friends showed up to his birthday party — after she sent 32 invitations to his classmates.
The boy, Teddy, held a birthday bash on Sunday at Peter Piper Pizza in Tucson, where he and his mother, Sil Mazzini, had been expecting dozens of little girls and boys — as well as the children’s parents — to join them at the restaurant. Mazzini said a few people told her in advance that they couldn’t make it, but she wasn’t prepared for everyone to be no-shows.
(Joshua Rhett Miller. Kindergartner parties alone after no one shows up to birthday bash. New York Post. October 23, 2018.)
記事のおはなしは、32人のお友達を招待して、近所のピザレストランの予約までしていたのに誰も来なかった、という当の本人には大変悲しい出来事です。
記事のタイトルにも出てくるのですが、
birthday bash
という表現は、つまり"birthday party"です。
"bash"には、
a festive social gathering; party
(Merriam-Webster Dictionary)
の意味があります。
10月も半ばとなり、これからホリデーシーズンが続きます。
巷ではハロウィーン商戦が既に喧しいですが、渋谷のどんちゃん騒ぎは"Halloween bash"とでも表現できるでしょう。
11月に入ると感謝祭、それが終われば"Christmas bash"に向かって狂騒が始まります。
とどめは、"New Year's Eve bash"です。
ちなみに、金曜夜の飲み会は"Friday night bash"と表現したりもするようです。
何故か私は招待されたこともなければ、自身の誕生日パーティーに家族以外の誰かを招待するということもありませんでしたが。
Even free pizza couldn’t attract any pint-size partygoers for a 6-year-old’s birthday.
An Arizona mom says none of her son’s kindergarten friends showed up to his birthday party — after she sent 32 invitations to his classmates.
The boy, Teddy, held a birthday bash on Sunday at Peter Piper Pizza in Tucson, where he and his mother, Sil Mazzini, had been expecting dozens of little girls and boys — as well as the children’s parents — to join them at the restaurant. Mazzini said a few people told her in advance that they couldn’t make it, but she wasn’t prepared for everyone to be no-shows.
(Joshua Rhett Miller. Kindergartner parties alone after no one shows up to birthday bash. New York Post. October 23, 2018.)
記事のおはなしは、32人のお友達を招待して、近所のピザレストランの予約までしていたのに誰も来なかった、という当の本人には大変悲しい出来事です。
記事のタイトルにも出てくるのですが、
birthday bash
という表現は、つまり"birthday party"です。
"bash"には、
a festive social gathering; party
(Merriam-Webster Dictionary)
の意味があります。
10月も半ばとなり、これからホリデーシーズンが続きます。
巷ではハロウィーン商戦が既に喧しいですが、渋谷のどんちゃん騒ぎは"Halloween bash"とでも表現できるでしょう。
11月に入ると感謝祭、それが終われば"Christmas bash"に向かって狂騒が始まります。
とどめは、"New Year's Eve bash"です。
ちなみに、金曜夜の飲み会は"Friday night bash"と表現したりもするようです。
2018年10月23日火曜日
under the hammer
今年始めに亡くなった著名な物理学者Stephen Hawking博士ゆかりの品々がロンドンで競売にかけられることになったそうです。
出品される物の中には、博士の論文のコピーなどの他、使っていた特別仕様の車椅子も含まれているそうです。
Some of the most prized and significant possessions of the brilliant British physicist Stephen Hawking are to go under the hammer at Christie's in London later this month, including a copy of his PhD thesis, a script for the TV series "The Simpsons" and his earliest surviving wheelchair.
Hawking, who was also a cosmologist, astronomer, mathematician and a prolific author, died last March at age 76 having survived a debilitating disease that doctors said would kill him in his 20s. His landmark book a "A Brief History of Time," sold more than 10 million copies.
(Stephen Hawking's most prized possessions go under the hammer. CNN. October 22, 2018.)
競売を伝える各社の記事のタイトルが、”auction”という単語を使っているのに対して、引用したCNNの記事では、
go under the hammer
という表現を使っているのが目に留まりました。
ここでの”hammer”とは落札の際に「ドン!」と叩くあのハンマーのことですが、実は“gavel”という別の単語も存在します。
“under the hammer”は換喩的表現と言えるでしょう。
出品される物の中には、博士の論文のコピーなどの他、使っていた特別仕様の車椅子も含まれているそうです。
Some of the most prized and significant possessions of the brilliant British physicist Stephen Hawking are to go under the hammer at Christie's in London later this month, including a copy of his PhD thesis, a script for the TV series "The Simpsons" and his earliest surviving wheelchair.
Hawking, who was also a cosmologist, astronomer, mathematician and a prolific author, died last March at age 76 having survived a debilitating disease that doctors said would kill him in his 20s. His landmark book a "A Brief History of Time," sold more than 10 million copies.
(Stephen Hawking's most prized possessions go under the hammer. CNN. October 22, 2018.)
競売を伝える各社の記事のタイトルが、”auction”という単語を使っているのに対して、引用したCNNの記事では、
go under the hammer
という表現を使っているのが目に留まりました。
ここでの”hammer”とは落札の際に「ドン!」と叩くあのハンマーのことですが、実は“gavel”という別の単語も存在します。
“under the hammer”は換喩的表現と言えるでしょう。
2018年10月22日月曜日
cudgel
中米のホンデュラスからメキシコ国境へ亡命を求めて大量の人々が押し寄せており、大変なことになっているようです。
いくつか記事を拾い読みした中の写真では国境に向かう道路が人で埋め尽くされています。
米国へのメキシコからの移民問題について、強硬政策を取るトランプ大統領に対して、家族が離ればなれになってしまうことへの人道的な問題が取り沙汰されてきましたが、批判が再燃しそうな情勢です。
REPUBLICANS INSIST that, on the immigration debate, Democrats want an issue, not a solution. That seems a better way of characterizing President Trump’s own immigration approach, which he has publicly urged GOP candidates to weaponize in the midterm elections. In response to a caravan of migrants heading northward from Honduras, Mr. Trump threatened to deploy the military, close the southern border, tear up a just-concluded trade deal with Mexico and Canada, and sever aid to impoverished Central American countries.
Even for a president to whom no issue is immune to overreaction, this latest temper-tantrum was an overreach; the last such migrant caravan from Honduras, in April, mostly dissolved before it reached the U.S. border. Still, Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel. “Great Midterm issue for Republicans!” he tweeted Wednesday.
(Trump’s latest anti-immigrant gambit: Family separation 2.0. The Washington Post. October 19, 2018.)
引用した記事の終わりの方に、
Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel.
という部分がありますが、"cudgel"という単語の意味を知りませんでしたので辞書を引きますと、
こん棒
という意味であることが分かりました。
つまりは敵を攻撃するための武器ということなのですが、移民問題の再燃を中間選挙を控えたトランプ氏自身にとっての好機と捉えているという文脈です。
アメリカファーストを看板政策とする同氏にとって、移民問題は敵対する民主党との差別化をする格好のテーマなのでしょう。
いくつか記事を拾い読みした中の写真では国境に向かう道路が人で埋め尽くされています。
米国へのメキシコからの移民問題について、強硬政策を取るトランプ大統領に対して、家族が離ればなれになってしまうことへの人道的な問題が取り沙汰されてきましたが、批判が再燃しそうな情勢です。
REPUBLICANS INSIST that, on the immigration debate, Democrats want an issue, not a solution. That seems a better way of characterizing President Trump’s own immigration approach, which he has publicly urged GOP candidates to weaponize in the midterm elections. In response to a caravan of migrants heading northward from Honduras, Mr. Trump threatened to deploy the military, close the southern border, tear up a just-concluded trade deal with Mexico and Canada, and sever aid to impoverished Central American countries.
Even for a president to whom no issue is immune to overreaction, this latest temper-tantrum was an overreach; the last such migrant caravan from Honduras, in April, mostly dissolved before it reached the U.S. border. Still, Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel. “Great Midterm issue for Republicans!” he tweeted Wednesday.
(Trump’s latest anti-immigrant gambit: Family separation 2.0. The Washington Post. October 19, 2018.)
引用した記事の終わりの方に、
Mr. Trump is delighted at the chance of deploying this latest migration as a cudgel.
という部分がありますが、"cudgel"という単語の意味を知りませんでしたので辞書を引きますと、
こん棒
という意味であることが分かりました。
つまりは敵を攻撃するための武器ということなのですが、移民問題の再燃を中間選挙を控えたトランプ氏自身にとっての好機と捉えているという文脈です。
アメリカファーストを看板政策とする同氏にとって、移民問題は敵対する民主党との差別化をする格好のテーマなのでしょう。
2018年10月19日金曜日
tough cookie
クッキー(cookie)は食べ物、お菓子の1種ですね。
その”cookie”は人を指すのに用いられることがあります。女性ならば、恋しい人に対する愛情を込めた呼び掛けとして、男性に対しては、これも親しみを込めて、奴(やつ)といった具合です。
President Trump hosted his third wide-ranging rally of the midterm season in Montana on Thursday night, where he urged voters to "never forget Benghazi" and praised Republican Rep. Greg Gianforte, who pleaded guilty to body slamming a reporter last year, as a "tough cookie."
(Trump praises 'tough cookie' Montana rep who 'body slammed' reporter last year, urges voters to 'never forget Benghazi.’ Fox News. October 19, 2018.)
引用した記事に使われている、
tough cookie
とは、タフな奴、タフガイ、頑張り屋さん、といったくらいの意味になるようです。
ちなみに、”smart cookie”という言い回しもあります。
Even as he talks tough on North Korea, Trump called Kim Jong Un a "smart cookie" and wondered why he won't be his friend.
(USA Today, 2017)
“smart cookie”は賢い奴、くらいになるでしょうか。
“bad cookie”というのもあります。
They didn't like what he did to the kids so they padded up the charges. We're going to file multiple charges. We get him on one of them. That's what happens. I mean, this guy is a bad guy. He's a bad cookie.
(2013)
その”cookie”は人を指すのに用いられることがあります。女性ならば、恋しい人に対する愛情を込めた呼び掛けとして、男性に対しては、これも親しみを込めて、奴(やつ)といった具合です。
President Trump hosted his third wide-ranging rally of the midterm season in Montana on Thursday night, where he urged voters to "never forget Benghazi" and praised Republican Rep. Greg Gianforte, who pleaded guilty to body slamming a reporter last year, as a "tough cookie."
(Trump praises 'tough cookie' Montana rep who 'body slammed' reporter last year, urges voters to 'never forget Benghazi.’ Fox News. October 19, 2018.)
引用した記事に使われている、
tough cookie
とは、タフな奴、タフガイ、頑張り屋さん、といったくらいの意味になるようです。
ちなみに、”smart cookie”という言い回しもあります。
Even as he talks tough on North Korea, Trump called Kim Jong Un a "smart cookie" and wondered why he won't be his friend.
(USA Today, 2017)
“smart cookie”は賢い奴、くらいになるでしょうか。
“bad cookie”というのもあります。
They didn't like what he did to the kids so they padded up the charges. We're going to file multiple charges. We get him on one of them. That's what happens. I mean, this guy is a bad guy. He's a bad cookie.
(2013)
2018年10月18日木曜日
hold one's feet to the fire
トルコのサウジアラビア領事館で、反体制派のジャーナリストが行方不明になっている事件がここのところトップニュースです。
領事館内で殺害されたとの見方があり、国際社会から非難を浴びています。
It is now clear the Trump administration will not be holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist Jamal Khashoggi. Instead, it’s looking to give them an off-ramp, a route to escape responsibility.
Having waffled between promising “severe punishment” for any official Saudi involvement and speculating about “rogue killers,” President Trump finally revealed his own mind on Tuesday: he compared the international pressure on Riyadh to the allegations of sexual assault against Judge Brett Kavanaugh ahead of his confirmation to the Supreme Court.
(Bobby Ghosh. Who Will Hold Saudi Feet to the Fire? Bloomberg. October 18, 2018.)
非難している筆頭には当然アメリカ大統領がいるのですが、サウジ政府に対して果たしてどの程度詰め寄ることができるのか、という懐疑的な見方もあるようです。
引用した記事のタイトルでは、
Who Will Hold Saudi Feet to the Fire?
とあり、本文でも、
holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist
と出てくるのですが、この"hold one's feet to the fire"という成句をご存知でしょうか?
辞書を引くと、「圧力をかける」(ランダムハウス英和辞書)という意味で載っていました。
この成句の成り立ちに興味が沸いてきますが、これといった確実な説明は見当たらず、足に火を近づける拷問としての意味合いから生まれたという説が有力のようです。
一方、この成句が使われるコンテクストとしては、義務や責任を負う立場の人間に対して、それら義務や責任を自覚させるべく圧力をかける、つまり忘れないように言い続ける、ということのようです。
領事館内で殺害されたとの見方があり、国際社会から非難を浴びています。
It is now clear the Trump administration will not be holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist Jamal Khashoggi. Instead, it’s looking to give them an off-ramp, a route to escape responsibility.
Having waffled between promising “severe punishment” for any official Saudi involvement and speculating about “rogue killers,” President Trump finally revealed his own mind on Tuesday: he compared the international pressure on Riyadh to the allegations of sexual assault against Judge Brett Kavanaugh ahead of his confirmation to the Supreme Court.
(Bobby Ghosh. Who Will Hold Saudi Feet to the Fire? Bloomberg. October 18, 2018.)
非難している筆頭には当然アメリカ大統領がいるのですが、サウジ政府に対して果たしてどの程度詰め寄ることができるのか、という懐疑的な見方もあるようです。
引用した記事のタイトルでは、
Who Will Hold Saudi Feet to the Fire?
とあり、本文でも、
holding Saudi feet to the fire over the disappearance of the journalist
と出てくるのですが、この"hold one's feet to the fire"という成句をご存知でしょうか?
辞書を引くと、「圧力をかける」(ランダムハウス英和辞書)という意味で載っていました。
この成句の成り立ちに興味が沸いてきますが、これといった確実な説明は見当たらず、足に火を近づける拷問としての意味合いから生まれたという説が有力のようです。
一方、この成句が使われるコンテクストとしては、義務や責任を負う立場の人間に対して、それら義務や責任を自覚させるべく圧力をかける、つまり忘れないように言い続ける、ということのようです。
2018年10月17日水曜日
posthumous
稀代の物理学者として知られるStephen Hawking博士が今年初め亡くなりましたが、博士の死後に出版された著書の内容が話題になっています。
私は石原新太郎前東京都知事が某新聞のコラムでHawking博士の予言についてたびたび言及していたのが印象に残っているのですが、それは地球と人類がいずれ滅んでしまうというものでした。
下記に引用する記事によりますと、話題の著書の内容というのは人工知能(AI)が人類の運命を左右することについても触れているとあり、興味深く思われます。
Stephen Hawking has a final message for humanity: If robots don’t get us, climate change will.
Hawking, who died at age 76 of a degenerative neurological disease earlier this year, offers his parting thoughts in a posthumously published book called Brief Answers To The Big Questions, which comes out Tuesday. It’s a message worth heeding from a man who is probably the most renowned scientist since Einstein, best known for his discovery of how black holes function. Hawking’s book A Brief History of Time sold more than 10 million copies and tackled questions as big as “How did the universe begin?” and “What will happen when it ends?” in language simple enough for the average reader.
(Abigail Higgins. Stephen Hawking’s final warning for humanity: AI is coming for us. VOX. October 16, 2018.)
さて、今日の一語ですが、「死後の~」を意味する単語、
posthumous(ly)
を取り上げたいと思います。
この単語が「死後の~、死後に起きる~」という意味であることを暗記している人は多いでしょう。接頭辞のpost-は、「後の~」を意味しますから意味も推測しやすいかもしれません。
では、後半部分のhumousという部分ですが、私は勘違いしていたのですが、そのスペルから"human"と関連しているのかな、などと漠然と思っていましたがこれが間違いでした。
この"posthumous"という単語はいわゆる勘違い、語源学の用語では民間語源(folk etymology)によって生まれた単語で、元々は単に「後~」を意味するラテン語の形容詞posterusの最上級postumusだったのですが、humousの部分はラテン語で埋葬を意味するhumareという動詞との連想からそのようなスペルになったものだそうです。
私の推測が勝手な勘違いというのと言ってみればおんなじかも知れません。
私は石原新太郎前東京都知事が某新聞のコラムでHawking博士の予言についてたびたび言及していたのが印象に残っているのですが、それは地球と人類がいずれ滅んでしまうというものでした。
下記に引用する記事によりますと、話題の著書の内容というのは人工知能(AI)が人類の運命を左右することについても触れているとあり、興味深く思われます。
Stephen Hawking has a final message for humanity: If robots don’t get us, climate change will.
Hawking, who died at age 76 of a degenerative neurological disease earlier this year, offers his parting thoughts in a posthumously published book called Brief Answers To The Big Questions, which comes out Tuesday. It’s a message worth heeding from a man who is probably the most renowned scientist since Einstein, best known for his discovery of how black holes function. Hawking’s book A Brief History of Time sold more than 10 million copies and tackled questions as big as “How did the universe begin?” and “What will happen when it ends?” in language simple enough for the average reader.
(Abigail Higgins. Stephen Hawking’s final warning for humanity: AI is coming for us. VOX. October 16, 2018.)
さて、今日の一語ですが、「死後の~」を意味する単語、
posthumous(ly)
を取り上げたいと思います。
この単語が「死後の~、死後に起きる~」という意味であることを暗記している人は多いでしょう。接頭辞のpost-は、「後の~」を意味しますから意味も推測しやすいかもしれません。
では、後半部分のhumousという部分ですが、私は勘違いしていたのですが、そのスペルから"human"と関連しているのかな、などと漠然と思っていましたがこれが間違いでした。
この"posthumous"という単語はいわゆる勘違い、語源学の用語では民間語源(folk etymology)によって生まれた単語で、元々は単に「後~」を意味するラテン語の形容詞posterusの最上級postumusだったのですが、humousの部分はラテン語で埋葬を意味するhumareという動詞との連想からそのようなスペルになったものだそうです。
私の推測が勝手な勘違いというのと言ってみればおんなじかも知れません。
2018年10月16日火曜日
nigh
アメリカの大手小売業のSearsがいよいよ破産申請しそうだというニュース記事から引用します。
It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.
On Tuesday, The Wall Street Journal reported that the company has hired advisors to help it prepare for a possible bankruptcy filing as early as this week.
(Mary Hanbury. Sears, once the largest retailer in the world, is closing hundreds of stores and reportedly planning to file for bankruptcy. Here’s how it got there. Business Insider. October 13, 2018.)
大分前、もう10年以上前ですが、アメリカに短期滞在した折、Searsの店舗をよく見かけました。
雰囲気的にはダイエーとかイトーヨーカ堂みたいな感じだったのですが、スーパーマーケットというよりは、値ごろ感のある服飾や、キッチン用品とか日用品などの雑貨などの品揃えがあるチェーン店であるというイメージを持っています。
元々はカタログショッピングで市場を席巻し、当時は今日で言うところのアマゾンくらいのインパクトと勢いがあったようですが、その後は市場の変化に対応できず、見る影もない凋落ぶりが記事に写真と共に紹介されています。
さて、引用した部分の冒頭に、
It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.
とありますが、"nigh"という単語はあまり馴染みがないのではないかと思います。
発音すると「ナイ」となりますが、意味は「無い」ではなく、「ある」、という冗談みたいな単語です。
手元のランダムハウス英和を引いてみると、古語とか詩語という分類になっており、あまりお目にかからないのもそのためかもしれません。
意味的には、"near"とか"almost"に近く、差し迫っている、という訳語などが適当に思われます。
いくつか用例を見てみたいと思います。
The Great American Eclipse is nigh! Millions are expected to pack the so-called path of totality, or the swath of the United States that will be able to experience the complete solar eclipse.
(Washington Post, 2017)
The local halibut sportfishing season is nigh and may seem tempting, under the circumstances. But those who seek to catch halibut, according to Seattle Times outdoors reporter Mark Yuasa, sometimes call them "barn doors," because it's like trying to reel one of those up from the ocean floor.
(Seattle Times, 2016)
It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.
On Tuesday, The Wall Street Journal reported that the company has hired advisors to help it prepare for a possible bankruptcy filing as early as this week.
(Mary Hanbury. Sears, once the largest retailer in the world, is closing hundreds of stores and reportedly planning to file for bankruptcy. Here’s how it got there. Business Insider. October 13, 2018.)
大分前、もう10年以上前ですが、アメリカに短期滞在した折、Searsの店舗をよく見かけました。
雰囲気的にはダイエーとかイトーヨーカ堂みたいな感じだったのですが、スーパーマーケットというよりは、値ごろ感のある服飾や、キッチン用品とか日用品などの雑貨などの品揃えがあるチェーン店であるというイメージを持っています。
元々はカタログショッピングで市場を席巻し、当時は今日で言うところのアマゾンくらいのインパクトと勢いがあったようですが、その後は市場の変化に対応できず、見る影もない凋落ぶりが記事に写真と共に紹介されています。
さて、引用した部分の冒頭に、
It appears that the end is nigh for embattled retailer Sears.
とありますが、"nigh"という単語はあまり馴染みがないのではないかと思います。
発音すると「ナイ」となりますが、意味は「無い」ではなく、「ある」、という冗談みたいな単語です。
手元のランダムハウス英和を引いてみると、古語とか詩語という分類になっており、あまりお目にかからないのもそのためかもしれません。
意味的には、"near"とか"almost"に近く、差し迫っている、という訳語などが適当に思われます。
いくつか用例を見てみたいと思います。
The Great American Eclipse is nigh! Millions are expected to pack the so-called path of totality, or the swath of the United States that will be able to experience the complete solar eclipse.
(Washington Post, 2017)
The local halibut sportfishing season is nigh and may seem tempting, under the circumstances. But those who seek to catch halibut, according to Seattle Times outdoors reporter Mark Yuasa, sometimes call them "barn doors," because it's like trying to reel one of those up from the ocean floor.
(Seattle Times, 2016)
2018年10月15日月曜日
disenfranchise
アメリカ・ジョージア州知事選がきな臭いことになっているようです。
記事の引用を読んでみましょう。
As a crisis of potential voter suppression in Georgia deepened, the Democratic candidate for governor accused her opponent of seeking to disenfranchise people of color and women by creating a “miasma of fear” around voting.
Stacey Abrams, who if elected would become the first African American woman governor of any state, is running against Georgia’s Republican secretary of state, Brian Kemp.
A lawsuit filed by civil rights groups on Thursday accused Kemp of seeking to disenfranchise more than 50,000 voters, up to 80% of them minority voters, by suspending voters from registration rolls if records held by various state agencies show any slight discrepancy in how a voter’s name is hyphenated, spelled or spaced.
(Stacey Abrams: GOP opponent creating 'miasma of fear' over voting in Georgia. The Guardian. October 14, 2018.)
選出されれば米史上初のアフリカ系女性知事となるStacey Abrams氏に対し、共和党候補のBrian Kemp氏は同州書記官の立場を利用して奇策に出たとされます。
その奇策とは、
seeking to disenfranchise more than 50,000 voters
ということなのですが、ここで"disenfranchise"とは辞書を引くと「選挙権の剥奪」と載っています。
今回の選挙は人種的マイノリティの動向が注目される中、Kemp氏の手による"exact match law"は氏名の不一致等、有権者の登録名簿の不備がある有権者は特別な手続きを必要とするもので、Abrams氏の支持者を実質的に投票できないようにすることを目論んでいると批判されているものです。
フランチャイズ(franchise)というカタカナ語は日本語でも馴染みがありますね。よく聞く「フランチャイズ」とはほとんどの場合、商業店舗などの「チェーン店」とほぼ同義です。
語源を紐解くと、"franchise"とは元々"make, put in free"(自由にする)という意味でした。これは奴隷の身分から解放するというような話でした。
その後、市民権を与える、さらに特権付与、さらには選挙権の付与、というように意味が拡大してきました。
我々がよく知っているカタカナの「フランチャイズ」の意味、つまり"authorization by a company to sell its products or services"というのは20世紀になってから生まれた意味合いです。
記事の引用を読んでみましょう。
As a crisis of potential voter suppression in Georgia deepened, the Democratic candidate for governor accused her opponent of seeking to disenfranchise people of color and women by creating a “miasma of fear” around voting.
Stacey Abrams, who if elected would become the first African American woman governor of any state, is running against Georgia’s Republican secretary of state, Brian Kemp.
A lawsuit filed by civil rights groups on Thursday accused Kemp of seeking to disenfranchise more than 50,000 voters, up to 80% of them minority voters, by suspending voters from registration rolls if records held by various state agencies show any slight discrepancy in how a voter’s name is hyphenated, spelled or spaced.
(Stacey Abrams: GOP opponent creating 'miasma of fear' over voting in Georgia. The Guardian. October 14, 2018.)
選出されれば米史上初のアフリカ系女性知事となるStacey Abrams氏に対し、共和党候補のBrian Kemp氏は同州書記官の立場を利用して奇策に出たとされます。
その奇策とは、
seeking to disenfranchise more than 50,000 voters
ということなのですが、ここで"disenfranchise"とは辞書を引くと「選挙権の剥奪」と載っています。
今回の選挙は人種的マイノリティの動向が注目される中、Kemp氏の手による"exact match law"は氏名の不一致等、有権者の登録名簿の不備がある有権者は特別な手続きを必要とするもので、Abrams氏の支持者を実質的に投票できないようにすることを目論んでいると批判されているものです。
フランチャイズ(franchise)というカタカナ語は日本語でも馴染みがありますね。よく聞く「フランチャイズ」とはほとんどの場合、商業店舗などの「チェーン店」とほぼ同義です。
語源を紐解くと、"franchise"とは元々"make, put in free"(自由にする)という意味でした。これは奴隷の身分から解放するというような話でした。
その後、市民権を与える、さらに特権付与、さらには選挙権の付与、というように意味が拡大してきました。
我々がよく知っているカタカナの「フランチャイズ」の意味、つまり"authorization by a company to sell its products or services"というのは20世紀になってから生まれた意味合いです。
2018年10月12日金曜日
Downing Street
下記に引用する記事は、先月も取り上げましたが、ロシアの元スパイだった男性とその娘がイギリスで毒殺されかけた事件に関連するものです。
その後容疑者と思しきロシア人がイギリス政府により公表されましたが、その続報です。
Inside a packed, heavily guarded room in the House of Commons, reporters gathered for an update on Tuesday about the suspects involved in the poisoning of a former Russian spy in Britain this year.
If the subject matter was unusual, so were the people doing the briefing.
They were not prosecutors or counterintelligence officers or even spokesmen from Downing Street. Rather, they were researchers from Bellingcat, an investigative group founded by Eliot Higgins, 39, a blogger who began by posting on a laptop from his apartment while babysitting his infant daughter.
(Armchair Investigators at Front of British Inquiry Into Spy Poisoning. The New York Times. October 9, 2018.)
記者会見があったもようです。会見を開いたのは、スパイ活動等についての研究をインターネット上で行っているグループの構成員だっということなのですが、警察当局でも、政府関係者でもなく、また、
spokesmen from Downing Street
でもなかった、というくだりがあります。
この"Downing Street"はロンドンのダウニング街のことであり、地名には違いありませんが、英国外務省がある場所であり、つまりは英国外務省やその関係者を指す表現として使われています。
これまでもいくつか取り上げてきました、メトニミーの一種です。
"Number 10"もご覧ください。
その後容疑者と思しきロシア人がイギリス政府により公表されましたが、その続報です。
Inside a packed, heavily guarded room in the House of Commons, reporters gathered for an update on Tuesday about the suspects involved in the poisoning of a former Russian spy in Britain this year.
If the subject matter was unusual, so were the people doing the briefing.
They were not prosecutors or counterintelligence officers or even spokesmen from Downing Street. Rather, they were researchers from Bellingcat, an investigative group founded by Eliot Higgins, 39, a blogger who began by posting on a laptop from his apartment while babysitting his infant daughter.
(Armchair Investigators at Front of British Inquiry Into Spy Poisoning. The New York Times. October 9, 2018.)
記者会見があったもようです。会見を開いたのは、スパイ活動等についての研究をインターネット上で行っているグループの構成員だっということなのですが、警察当局でも、政府関係者でもなく、また、
spokesmen from Downing Street
でもなかった、というくだりがあります。
この"Downing Street"はロンドンのダウニング街のことであり、地名には違いありませんが、英国外務省がある場所であり、つまりは英国外務省やその関係者を指す表現として使われています。
これまでもいくつか取り上げてきました、メトニミーの一種です。
"Number 10"もご覧ください。
2018年10月11日木曜日
plow
アメリカ・ニューヨーク郊外で悲惨な交通死亡事故が発生したという記事からの引用です。
誕生日パーティーの会場に向かっていたリムジンバスが停車中のSUVに突っ込み、歩行者2名を巻き添えにして、乗客17名と運転手も死亡、死者20名という大惨事です。
The chauffeur in the deadly crash in upstate New York was a "great driver" and longtime employee of Prestige Limousine Chauffeur Service, the company's attorney said Tuesday.
(中略)
For reasons still unknown, the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV, causing the deadliest US transportation accident in almost a decade. Federal, state and local investigators have flooded Schoharie to try to understand what happened.
(The driver in the deadly limo crash was a 'reliable employee,' company says. CNN. October 10, 2018.)
記事の現場周辺地図によるとちょうどT字路のようになっている交差点が事故現場のようですが、
the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV
と表現されており、一時停止標識を無視したのかは分かりませんが、交差点の先にある停車中のSUVにそのまま突っ込んだようです。
ここで使われている動詞"plow (through)"なのですが、"plow"は鋤のことで、農耕の道具です。
雪かきをするという意味で使われることもありますが、交通事故記事でのこの"plow"には、
to move forcefully into or through something
(Merriam-Webster Dictionary)
という意味があり、障害物に突っ込んで行くというような意味があります。
さらに、Oxford Dictionaryのオンライン版では、
(especially of a vehicle) move in a fast and uncontrolled manner
という意味が記載されており、そもそも農耕具としての鋤は土をかき分けるためのものですが、まさしく今回の事故のイメージを彷彿とさせます。
誕生日パーティーの会場に向かっていたリムジンバスが停車中のSUVに突っ込み、歩行者2名を巻き添えにして、乗客17名と運転手も死亡、死者20名という大惨事です。
The chauffeur in the deadly crash in upstate New York was a "great driver" and longtime employee of Prestige Limousine Chauffeur Service, the company's attorney said Tuesday.
(中略)
For reasons still unknown, the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV, causing the deadliest US transportation accident in almost a decade. Federal, state and local investigators have flooded Schoharie to try to understand what happened.
(The driver in the deadly limo crash was a 'reliable employee,' company says. CNN. October 10, 2018.)
記事の現場周辺地図によるとちょうどT字路のようになっている交差点が事故現場のようですが、
the limo plowed through a stop sign and crashed into a parked SUV
と表現されており、一時停止標識を無視したのかは分かりませんが、交差点の先にある停車中のSUVにそのまま突っ込んだようです。
ここで使われている動詞"plow (through)"なのですが、"plow"は鋤のことで、農耕の道具です。
雪かきをするという意味で使われることもありますが、交通事故記事でのこの"plow"には、
to move forcefully into or through something
(Merriam-Webster Dictionary)
という意味があり、障害物に突っ込んで行くというような意味があります。
さらに、Oxford Dictionaryのオンライン版では、
(especially of a vehicle) move in a fast and uncontrolled manner
という意味が記載されており、そもそも農耕具としての鋤は土をかき分けるためのものですが、まさしく今回の事故のイメージを彷彿とさせます。
2018年10月10日水曜日
chug
先日も取り上げた、セクハラ疑惑に揺れる米国最高裁判事の指名騒動ですが、まだまだ収まる気配がありません。
これを書いている今日現在では既にKavanaugh氏が最高裁判事へ任命されてしまいましたが、指名の是非を決める採決前には共和党関係者の自宅前などでデモが行われました。
A group of protesters brought beer to Senate Majority Leader Mitch McConnell’s (R-Ky.) house in Washington hours before a vote to advance the nomination of Supreme Court nominee Brett Kavanaugh to the Senate floor on Friday.
Footage of the demonstration showed protesters waving beer cans and red cups as they marched towards the Kentucky Republican’s home, chanting and yelling phrases like, “chug, chug, chug” and "What do we do with a drunken justice?"
(Aris Folley. Kavanaugh protesters bring beer, chant ‘chug’ outside McConnell’s home. The Hill. October 5, 2018.)
記事中のビデオクリップでデモの様子が分かるのですが、本文中にもあるように、抗議する人たちがビールの缶を片手に持って、
chug
という言葉を連発しながら、抗議の行進をしています。
この"chug"という単語を知りませんでしたが、辞書を引くと、ごくごくと飲む、一気飲みする、という俗語表現だそうです。
"chug-a-lug"という表現(こちらも一気飲みの意)から来ているそうですが、どちらも擬声語ということで、大量の飲料を飲む際の音の認識は日本語の「ごくり」や「ごくごく」、また「ぐびぐび」とは大分違う印象ですね。
学生時代に大酒飲みで羽目を外して女性へセクハラを行ったという誹りで資質が問われている同氏への当て付けであることは言うまでもありません。
これを書いている今日現在では既にKavanaugh氏が最高裁判事へ任命されてしまいましたが、指名の是非を決める採決前には共和党関係者の自宅前などでデモが行われました。
A group of protesters brought beer to Senate Majority Leader Mitch McConnell’s (R-Ky.) house in Washington hours before a vote to advance the nomination of Supreme Court nominee Brett Kavanaugh to the Senate floor on Friday.
Footage of the demonstration showed protesters waving beer cans and red cups as they marched towards the Kentucky Republican’s home, chanting and yelling phrases like, “chug, chug, chug” and "What do we do with a drunken justice?"
(Aris Folley. Kavanaugh protesters bring beer, chant ‘chug’ outside McConnell’s home. The Hill. October 5, 2018.)
記事中のビデオクリップでデモの様子が分かるのですが、本文中にもあるように、抗議する人たちがビールの缶を片手に持って、
chug
という言葉を連発しながら、抗議の行進をしています。
この"chug"という単語を知りませんでしたが、辞書を引くと、ごくごくと飲む、一気飲みする、という俗語表現だそうです。
"chug-a-lug"という表現(こちらも一気飲みの意)から来ているそうですが、どちらも擬声語ということで、大量の飲料を飲む際の音の認識は日本語の「ごくり」や「ごくごく」、また「ぐびぐび」とは大分違う印象ですね。
学生時代に大酒飲みで羽目を外して女性へセクハラを行ったという誹りで資質が問われている同氏への当て付けであることは言うまでもありません。
2018年10月9日火曜日
lemon on the wounds
破産が取りざたされる大手玩具チェーンのトイザラスに関するニュース記事からの引用です。
全米で数百の店舗を閉鎖し、数千人規模のリストラが行われているところ、同社のマスコットキャラクターの「復職」が大きく取り上げられました。
Thousands of former Toys R Us employees face an uncertain future after hundreds of stores were closed. But Geoffrey the Giraffe is back to work.
The mascot made a surprise appearance last week at one of the largest wholesale events in the toy industry. That was just days after court filings showed that the owners of Toys R Us might be pursuing a comeback, with the hedge fund that owns the company opting to hold onto the Toys R Us and Babies R Us brand names, Web domains and other assets — including Geoffrey.
(中略)
To thousands of workers waiting for severance pay and even the chance to get their jobs back, Geoffrey’s fun-filled return felt more like “lemon on the wounds,” said Carrie Gleason, campaign manager for the worker advocacy group Rise Up Retail. Gleason called Geoffrey’s reemergence a “PR stunt” meant to boost the tarnished brand name should Toys R Us try to reopen stores as the holiday season gets underway.
(Geoffrey’s return infuriates laid off Toys R Us workers. The Mercury News. October 8, 2018.)
一方では容赦無いリストラ、他方ではブランドイメージ復活のためのキャラクター戦略、という同社のやり方に、従業員は無神経さを感じているようです。
記事中に関係者のコメントが引用されており、
lemon on the wounds
という表現が出てきます。初めて見る表現です。
傷口に酸っぱいレモンを当てたらとても痛いのではないかと思います。(やったことはありませんが。)
日本語だと傷口に塩を擦り込むと言います。既に痛い思いをしているところに更に追い討ちをかけて苦痛を感じさせるというような意味で用いられる成句ですが、英語では果たして「傷にレモンを当てる(!?)」なのでしょうか。
ご存知の方には釈迦に説法となりますが、英語でも”rub salt into wounds”であり、”lemon~”という表現は色々な辞書を見てみましたが確認出来ていません。
全米で数百の店舗を閉鎖し、数千人規模のリストラが行われているところ、同社のマスコットキャラクターの「復職」が大きく取り上げられました。
Thousands of former Toys R Us employees face an uncertain future after hundreds of stores were closed. But Geoffrey the Giraffe is back to work.
The mascot made a surprise appearance last week at one of the largest wholesale events in the toy industry. That was just days after court filings showed that the owners of Toys R Us might be pursuing a comeback, with the hedge fund that owns the company opting to hold onto the Toys R Us and Babies R Us brand names, Web domains and other assets — including Geoffrey.
(中略)
To thousands of workers waiting for severance pay and even the chance to get their jobs back, Geoffrey’s fun-filled return felt more like “lemon on the wounds,” said Carrie Gleason, campaign manager for the worker advocacy group Rise Up Retail. Gleason called Geoffrey’s reemergence a “PR stunt” meant to boost the tarnished brand name should Toys R Us try to reopen stores as the holiday season gets underway.
(Geoffrey’s return infuriates laid off Toys R Us workers. The Mercury News. October 8, 2018.)
一方では容赦無いリストラ、他方ではブランドイメージ復活のためのキャラクター戦略、という同社のやり方に、従業員は無神経さを感じているようです。
記事中に関係者のコメントが引用されており、
lemon on the wounds
という表現が出てきます。初めて見る表現です。
傷口に酸っぱいレモンを当てたらとても痛いのではないかと思います。(やったことはありませんが。)
日本語だと傷口に塩を擦り込むと言います。既に痛い思いをしているところに更に追い討ちをかけて苦痛を感じさせるというような意味で用いられる成句ですが、英語では果たして「傷にレモンを当てる(!?)」なのでしょうか。
ご存知の方には釈迦に説法となりますが、英語でも”rub salt into wounds”であり、”lemon~”という表現は色々な辞書を見てみましたが確認出来ていません。
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