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2024年7月31日水曜日

touchy-feely

今日の1語、"touchy-feely"ですが、日本語で分かりやすく言うと、いちゃいちゃしている、という意味です。

では引用をどうぞ。


The internet is buzzing about awkward photos showing French President Emmanuel Macron sharing a touchy-feely moment with his sports minister during the 2024 Paris Olympics opening ceremony — with some comparing the affectionate display to a lover’s embrace.

The photo shows Macron, 46, tightly gripping the arm of Amélie Oudéa-Castéra, 46, a former professional tennis player who is the country’s minister of sports and, as one X user pointed out, his subordinate.
(Chris Nesi. French President Macron’s steamy embrace — and kiss — with sports minister at Olympics raises eyebrows: ‘Indecent’. New York Post. July 30, 2024.)


ちゃんとした辞書の定義も一応載せておきますと、


characterized by or encouraging interpersonal touching especially in the free expression of emotions;
openly or excessively emotional and personal
(Merriam-Webster Dictionary)


とあり、傍目には過剰にも感じられるくらいの親密さ、というところかと思われます。

英語表現の引き出しがまたひとつ増えました(笑)

2024年7月30日火曜日

glow up

唐突ですが、"glow up"(glow-up)という表現をご存知でしょうか?

まずは以下の引用をお読みください。多分意味するところは想像が付くかと思います。


The summer travel season means people are scrambling to renew their passports with many embellishing their photos so they look more flattering. However, experts have warned against these photo “glow-ups” on the grounds that they could make it more difficult for flyers to navigate immigration checkpoints.

“If you overly-enhance your look when taking your photo, you can actually slow down the process of verification checks at the airport,” warned Gemma Brown, the Head of Product at the UK travel site Travel Republic.
(Ben Cost. Your ‘glow up’ could cause you trouble at the airport, experts warn. New York Post. July 29, 2024.)


顔写真の話ですが、"embellish(ing)"や"look more flattering"といった表現か使われていることからもお分かりのように、"glow up"とは見た目を良くする、といったような意味合いで使われていると考えられます。

"glow"という動詞には輝くという意味がありますから、"glow up"という表現もこのような動詞の意味に根ざしているのかなと思ったのですが、実のところSNSで若い人達が使う俗語表現なんだそうです。

正統派(?!)の辞書には載っていないのですが、ネットで検索するとZ世代のスラングという紹介がされているものが目に付きます。

いくつか拾い読みした中で、分かりやすい定義としては以下のようなものがありました。


Glow up is an informal term for a positive personal transformation, typically one involving significant changes in appearance and style and often also growth in confidence and maturity (and sometimes aspects of personal or professional life).
Dictionary.comのサイトより引用)


SNSのプロフィール写真を始め、若い人達が如何に自身を映えるように見せるか腐心しているというのは想像されるところです。

若い人に限らず、見た目の印象を「盛る」というのは現代人の本能かも知れません。

この"glow up"という表現は"grow (up)"(成長する)という言葉にも掛けられており、上記引用の定義にもありますように、外面だけでなく、内面の成熟といったことも含む概念だということです。

"glo up"というスペルもあるそうです。


2024年7月29日月曜日

cat lady

アメリカ大統領選はバイデン大統領が撤退表明、代わってカマラ・ハリス副大統領が指名候補となりましたが、本選まで残り100日を切る中、支持率はハリス氏とトランプ氏で拮抗しているとの報道もあり、共和党側はハリス氏への対決姿勢を強めています。

そのような中で、共和党の副大統領候補バンス氏が過去の発言の中で、ハリス氏を念頭に放った、


cat lady


という一言が取り沙汰されています。


While running in Ohio for his Senate seat in 2021, Vance said on Fox News that the U.S. was being run by "a bunch of childless cat ladies who are miserable at their own lives and the choices that they've made and so they want to make the rest of the country miserable, too." 
(Kaia Hubbard. Sen. Lindsey Graham says politicians "should never say anything to hurt anybody's feelings" after Vance's "cat ladies" comments. CBS News. July 28, 2024.)


この表現を知らなかったのですが、手元にある英和辞典にも載っていません。検索してみると、


a woman who has a lot of cats, especially a woman who lives alone and is considered to be slightly strange
(Cambridge Dictionary)


という定義がされています。

要は子を持たない年増の女性、ということになるかと思いますが、"cat lady"の"cat"は文字通り猫を指し、猫以外には家族もおらず、独り暮らしのやや奇矯なところのある女性というプロファイルを言ったもので、これはかなり侮蔑的な表現だと言えます。

ハリス氏は夫であるDoug Emhoff氏が前妻との間にもうけた2人の子の母親ですので、"cat lady"は当たらないのではという意見もあるかも知れませんが、もはや正しいとか正しくないといった話ではなく、このような表現が世の中の未婚女性や子のいない女性にどのように受け止められるか、という話になっています。

バンス氏は子を持たない民主党女性幹部らがアメリカを駄目にしているとの持論を皮肉を込めた表現で表したと釈明しているようですが、この発言は一部の有権者層を敵に回した可能性があるかと思われます。


2024年7月26日金曜日

jabberwocky

「骨なし」チキン(boneless chicken wings)を食べた男性が骨を喉に詰まらせ治療が必要になった、とレストランを訴えた裁判の判決に関するニュースを読みました。

訴訟社会と言われるアメリカでは時々びっくりするような訴えが起こされますが、今回の件はリーズナブルな訴えのように個人的には思われます。訴えた男性は「骨なし」チキンに含まれていた5センチの骨が喉に刺さったというのですから。

ところが判決は男性の訴えを退けたというのです。


“A diner reading ‘boneless wings’ on a menu would no more believe that the restaurant was warranting the absence of bones in the items than believe that the items were made from chicken wings, just as a person eating ‘chicken fingers’ would know that he had not been served fingers,” Justice Joseph T. Deters wrote for the majority.

The dissenting justices called Deters’ reasoning “utter jabberwocky,” and said a jury should’ve been allowed to decide whether the restaurant was negligent in serving Berkheimer a piece of chicken that was advertised as boneless.

“The question must be asked: Does anyone really believe that the parents in this country who feed their young children boneless wings or chicken tenders or chicken nuggets or chicken fingers expect bones to be in the chicken? Of course they don’t,” Justice Michael P. Donnelly wrote in dissent. “When they read the word ‘boneless,’ they think that it means ‘without bones,’ as do all sensible people.”
(Michael Rubinkam. Chicken wings advertised as ‘boneless’ can have bones, Ohio Supreme Court decides. The Associated Press. July 26, 2024.)


判決要旨と思われる箇所を引用しました。曰く、「骨なし」とメニューにあっても骨が含まれているかも知れないと予想するのが普通、ということのようです。つまり、「骨なし」というメニュー表記は100パーセント骨が無いということを保証するものではない、ということです。

この判決に対して、


utter jabberwocky


という批判があると中段にありますが、"jabberwocky"という一風変わった単語を取り上げましょう。

"jabberwocky"とは、訳がわからない、ちんぷんかんぷん、意味不明、という意味です。

ルイス・キャロルによる造語と辞書にありますが、「鏡の国のアリス」中の詩の題名ということです。

この詩では"jabberwock"という架空の怪物が出てきます。

訳の分からないことを早口に喋るという意味の"jabber"に関連するようですが、名付けたルイス・キャロルの真意はよく分かっていないということです。


2024年7月25日木曜日

hand-wringing

バイデン大統領の大統領選の撤退を受け、カマラ・ハリス副大統領が民主党の指名候補となりました。これを受け、ヒラリー・クリントン氏が談話をニューヨークタイムズ紙に寄稿したそうです。

ヒラリー・クリントン氏と言えば、2016年の大統領選で女性初の大統領候補として民主党から立候補したものの、トランプ氏と争い敗れた人物ですが、同じく女性として、再びトランプ氏に対峙することになるハリス氏に対する支持を表明しています。

寄稿ではバイデン氏が撤退に至った経緯にも触れ、その決断を賞賛しています。

以下、引用します。


"Mr. Biden has done a hard and rare thing. Serving as president was a lifelong dream. And when he finally got there, he was exceptionally good at it. To give that up, to accept that finishing the job meant passing the baton, took real moral clarity. The country mattered more. As one who shared that dream and has had to make peace with letting it go, I know this wasn’t easy. But it was the right thing to do," Clinton wrote.

She concluded the piece by writing, "The time for hand-wringing is over. Now it’s time to organize, mobilize and win."
(Lindsay Kornick. Hillary Clinton pushes Kamala Harris for president in NY Times: 'The time for hand-wringing is over'. Fox News. July 24, 2024.)


締めくくりの段で、


The time for hand-wringing is over.


という箇所があります。

ここで使われている、


hand-wringing


とはどういった意味合いなのでしょうか?

"wring"という動詞は、絞る、ひねる、固く握る、握り締めるといった動作を表し、また苦しめる、悩ます、といった意味もあります。そして、"wring hands"は手を揉み合わせる、というような動作を指します。

つまり、"hand-wringing"は手を揉み合わせるような〜、というような修飾語ということになります。

手を揉み合せるジェスチャーは一般的に不安な時、悲しい時、ストレスに晒されて苛立ちにある時、など、幅はありますが少なくとも心地の良い気分ではないことは確かです。

そのような時が終わった、と言っている訳ですが、続けて、


Now it’s time to organize, mobilize and win.


と書いているのは、バイデン氏からハリス氏にバトンが渡った今、民主党一丸となって選挙戦を戦い、打倒トランプに邁進しなければならない、というクリントン氏の思いを現したものだと思われます。

ところで、"hand-wringing"という表現をエントリとして載せて解説している辞書も多いのですが、手元にあるCollins-Cobuild Dictionary of Idiomsでは"wring your hands"という慣用句を下記のように説明しています。


If you say that someone is wringing their hands, you mean that they are expressing sadness or regret about a bad situation, but are not taking any action to deal with it. You usually use this expression to show your disapproval of them for behaving like this.


ここでも"hand-wringing"は、苦境や不遇を嘆く、という意味合い(のジェスチャー)であると分かりますが、この表現のポイントは上記の解説にもありますように、嘆くだけで何も行動しないことへの批判が込められているという点にあるようです。


寄稿では、クリントン氏はバイデン氏の選挙戦撤退を嘆きつつ、新しいリーダーの登場への期待を滲ませる内容となっています。バイデン氏が撤退を決めたことは残念で悲しいが、感傷に浸っている(hand-wringing)場合ではない、というように読むべきでしょう。

または、これまで常に付き纏ってきたバイデン氏の高齢不安は、バイデン氏自身の撤退表明により、選挙戦のイシューではなくなった、新しいハリス候補の当選を目指して頑張ろう、といったところでしょうか。

2024年7月24日水曜日

breach

記事の引用からどうぞ。


Shocking video showed a whale breaching out of the water in Portsmouth Harbor in New Hampshire Tuesday morning and overturning a boat after it landed on the vessel. 
(Brie Stimson. Breaching whale capsizes boat after landing on top of it off New Hampshire, shocking video shows. Fox News. July 23, 2024.)


"breach"という単語を見てまず頭に浮かぶのが、仕事柄(?!)、契約違反(breach of contract)という表現なのですが、皆さんはいかがでしょうか?

"breach"を辞書で引いて最初に出て来るのは、


(約束、規則などの)違反、不履行


という意味ですね。

という訳で、小生には"breach(ing)"という単語とクジラはすぐに結び付かなかったのですが、辞書にはちゃんと、


(クジラの)ジャンプ


という意味が載っていることを再確認したという次第です。

"breach"という単語はゲルマン語系で、"break"という単語と関連があります。

つまり、壊す、壊れる、という概念なのですが、亀裂、裂け目(割れ目)といった意味が元となっており、そこから違反、不履行といった比喩的な意味合いが生じたようです。

クジラのジャンプという意味に関しては、海面を突き破って飛び上がる、つまり海面に裂け目を生じるということからの連想ということになります。


2024年7月23日火曜日

heaven and earth

トランプ元大統領が選挙演説中に銃撃を受けた事件では、容疑者を事前に把握していながら銃撃を未然に防げなかった警備体制の不備が取り沙汰されています。

シークレットサービスの長官が議会に召喚され、尋問されているという記事を読みました。

体制の不備が今回の事件を招いたことを認め謝罪しているもようです。


WASHINGTON (AP) — Secret Service Director Kimberly Cheatle said Monday that her agency failed in its mission to protect former President Donald Trump, as lawmakers of both major political parties demanded during a highly contentious congressional hearing that she resign over security failures that allowed a gunman to scale a roof and open fire at a campaign rally.

Cheatle was berated for hours by Republicans and Democrats, repeatedly angering lawmakers by evading questions about the investigation during the first hearing over the July 13 assassination attempt. Cheatle called the attempt on Trump’s life the Secret Service’s “most significant operational failure” in decades, and vowed to “move heaven and earth” to get to the bottom of what went wrong and make sure there’s no repeat of it.
(Secret Service director, grilled by lawmakers on the Trump assassination attempt, says ‘we failed’. The Associated Press. July 23, 2024.)


釈明する長官の言葉が引用されていますが、その中に引用符付きで、


move heaven and earth


という箇所があります。

この"heaven and earth"といい表現を知らなかったのですが、


全力を尽くして(・・・する)


という意味の慣用表現です。

目的(目標)を達成するために、可能なあらゆる手立て(everything possible)を尽くす、というのがこの表現のポイントです。

天(heaven)や地(earth)を動かせるものではありませんが、それらを動かしてでも、というのはある意味誇張表現の一種と言えるかも知れません。

ところでフランス語には同様の慣用句で、


remuer ciel et terre


というものがあります。cielは空(天)、terreは地ですから、英語の逐語訳(どちらが先に使われるようになったものか分かりませんが)になっていますね。


2024年7月22日月曜日

mass tourism

スペインで"mass tourism"に反対する大規模な市民デモが行われたとの記事を読みました。

日本でも京都や鎌倉、富士山など、有名観光地で「観光公害」が問題になっています。

スペインでの話は初めて聞くものでしたので、外国の観光地でも観光公害が社会問題化しているのだろう、などと思いながら記事にアクセスしたという次第です。


Thousands of anti-tourism activists protested in Spain's Palma de Mallorca on Sunday in the latest demonstration against a key industry for the Iberian nation.

Carrying makeshift models of planes and cruise ships, protesters walked through the streets of the capital of Mallorca with posters reading 'no to mass tourism' and 'stop private jets'.

Anti-tourism activists have staged a series of protests this year in Barcelona, and other popular holiday destinations like Palma de Mallorca, Malaga and the Canary Islands, saying visitors drive up housing costs and lead to residents being unable to afford to live in city centres.
(Horaci Garcia. Thousands protest in Spain's Mallorca against mass tourism. Reuters. July 22, 2024.)


さて、日本語の「観光公害」に相当する英語としては、


overtourism


という言葉があります。

記事では、"mass tourism"ですが、"overtourism"と"mass tourism"は別物でしょうか?

小生は同じようなものだろうと早とちりしたのですが、答えは、イエス、別物です。

この記事をきっかけに色々調べてみることとなった訳ですが、"overtourism"(オーバーツーリズム)という言葉は比較的最近になって(ここ数年)よく使われるようになった言葉であるのに対し、"mass tourism"という言葉は1950年代くらいからある言葉で、観光旅行が大衆(mass)の間に広まったということを指すものです。

よって、"mass tourism"自体は、良い悪いは別として、観光旅行を誰もがするようになったという現象を言うものであり、その悪い側面として"overtourism"という概念がある、ということなのです。


2024年7月19日金曜日

heir apparent

クルマを運転しながら正午のNHKニュースに耳を傾けていると、ウィスコンシン州で共和党の党大会が開催され、トランプ元大統領が党の大統領選挙候補者の正式指名を受けたと伝えていました。先週の発生した銃撃事件の衝撃冷めやらぬ中、トランプ候補の勢いは増す一方のようです。

一方のバイデン大統領と言えば、6月末の討論会での衰えぶりから撤退を要求する声が民主党内からも噴出するなど、苦しい状況に置かれています。そして、追い打ちをかけるように、新型コロナに感染・・・。頑なに続投を表明していたバイデン氏ですが、ここ数日は言動に変化が見られるとの報道も見られます。

夕方、ニュースを斜め読みしていますと、バイデン氏が撤退表明をするのは時間の問題と見られているようです。


Well-connected Democratic Party insiders say they expect President Biden to make a major announcement about his future soon after the Republican National Convention concludes in Milwaukee and that congressional leaders expect that Vice President Harris will become their nominee for president if Biden drops his reelection bid.
(Biden decision on future expected in coming days, and Harris is considered heir apparent. The Hill. July 18, 2024.)


バイデン氏が撤退したとしたら、民主党の候補者はどうなるのか?誰もが思うところでしょう。

引用した記事によれば、バイデン氏の後を継ぐのは副大統領のカマラ・ハリス氏との見方が有力のようです。

記事のタイトルでは


Harris is considered heir apparent


とあります。

"heir apparent"とは、法定(推定)相続人、という訳語がついていますが、被相続人が死亡した場合に当然法定相続人となる人、という説明がされています。(研究社新英和大辞典)

法定相続人という言葉は難解な法律用語の響きがありますが、"heir apparent"には、


(地位・役割などを)継ぐことが確定的な人


という意味があり、引用した記事で使われている意味合いはこちらの方かと思われます。

この"heir apparent"に対して、"heir presumptive"という言葉もあるのですが、こちらは推定相続人という訳語になっており、その人より先順位の人が被相続人の死亡の前に出現すれば相続権はない、との解説があります。

アメリカにおける副大統領は、大統領にもしものことがあった場合には直ちに大統領職を執行する立場にあると聞きます。副大統領に優先する立場の人はいない訳で、そういうことからバイデン氏が大統領選から撤退するということになれば、当然ながら副大統領が代わって候補者となる、ということなのでしょう。


2024年7月18日木曜日

impale

記事の引用からどうぞ。


The near-fatal freak accident happened onboard the Jubilee as part of the Fairhope Fishing Company’s expedition on Monday, where the crew confronted a massive blue marlin that shot out of the water and launched towards the fisherman’s neck.

The short clip shows one of the seven men on board the vessel reeling in the catch while the marlin flails up and out of the water, attempting to break free of the fishing line.

In the blink of an eye, the massive fish hops onto the boat and nearly pierces another man standing off to the side.
(Richard Pollina. Terrifying moment fisherman is nearly impaled by flying Marlin in front of crew: ‘Close call’. New York Post. July 17, 2024.)


記事のテキストを読むより動画を見る方が早い、百聞は一見に如かず、かも知れません。

釣り上げたマカジキがボートの釣り人に向かって突進、あわや首を突き刺すかと戦慄の一瞬が捉えられています。

記事のタイトルで、


fisherman is nearly impaled by flying Marlin


とありますが、"impale"という単語の訳が直ぐに思い浮かびませんでした。本文中では、


the massive fish hops onto the boat and nearly pierces another man…


というくだりがありますので何が起きたのか状況が分かるというところです。("impale"はここで、"pierce"と同義ということになります。)

つまり、"impale"は突き刺す、刺し貫く、という意味なのですが、この単語は接頭辞im-と、paleという部分から成り、paleの部分はラテン語palus(杭)から来ています。

杭を意味する"pale"という単語も存在しますが同語源です。ちなみに、この"pale"と"pole"(ポール)は二重語(語源を同じくしながら、異なるスペルの別の単語に派生したもの)という関係になっています。





2024年7月17日水曜日

shambles

トランプ元大統領の暗殺未遂事件では、演説会場の警備、セキュリティ体制に問題が無かったのか、当然のことながら事件後の検証か進んでいます。

この件に関する記事のタイムラインを斜め読みしていますと、銃撃を未然に防げなかったシークレットサービスに対する批判は日増しに高まっているようで、もしかしたらトップの辞任に発展するのではないかとも思われます。


In the aftermath of the attempted assassination of Donald Trump, we've heard that the once and likely future president was being protected by a mix of Secret Service agents and state and local police. And as it has become more obvious that the Saturday attack was a catastrophic security failure, the finger-pointing and ass covering has begun.

According to Secret Service spokesman Anthony Guglielmi, the federal agency was only responsible for the actual grounds where Trump spoke, not the surrounding area, which he claims was the responsibility of the local police. This is abject nonsense.
(David Marcus. The Secret Service in shambles reveals a White House where the buck stops nowhere. Fox News. July 16, 2024.)


引用したFox Newsの記事もやはりシークレットサービスのお粗末さを批判的に取り上げたものです。

記事のタイトルに、


The Secret Service in shambles 


とあります。

この"shambles"という単語ですが、混乱状態、無秩序、といった意味です。なってない、ちゃんと機能していない、メチャクチャだ、という時に、"in shambles"というフレーズで使います。

辞書には"shamble"というスペルで載せているものもありますが、単複同形、つまり語尾にsが付いていても単数扱いする単語として、"shambles"というエントリとして載せている辞書が多いようです。

語源は、テーブルやベンチ、台、腰掛け椅子を意味するラテン語scamnumから来ているそうですが、"shambles"とは魚とか肉などの売り物を並べる場所を指したそうです。

そういう場所ということでは、魚や肉をさばくところ、屠殺場(slaughterhouse)の意味で用いられるようになったというのは分かりやすい話ではあります。

そしてさらに時を経て、屠殺場の持つイメージから、破壊や殺戮の場、修羅場、散乱と混乱の場面、というように意味が変容し、「メチャクチャ」の意味で使われるようになったということになりました。

2024年7月16日火曜日

Oxford

世界中で衝撃が走ったトランプ元大統領暗殺未遂事件。容疑者は現場でシークレットサービスに射殺され、身元も明らかになりましたが、動機など不明な点が残るとの報道や、FBIは銃撃を何故防げなかったのかなどといった報道がタイムラインを席巻しています。

そんな中、トランプ氏の靴を取り上げた記事を興味深く読みました。

銃撃を受けて咄嗟にうつ伏せとなり、四方から覆い被さるSPらに揉みくちゃにされる中で、トランプ氏の片方の靴が脱げてしまったそうです。


Sometimes a shoe is more than a shoe.

In the mayhem of the assassination attempt on former president Donald Trump at his rally in Butler, Pennsylvania, a single black Oxford shoe was left behind, abandoned on the platform where the former president was wounded by a sniper’s bullet and smothered in a Secret Service protective scrum.

Trump, it seems, lost one shoe in the melee on stage. That shoe – a sole survivor – reveals a lot about Trump as a consummate performer who cannily thinks first about himself and then about his audience. Under fire and on camera, the events in Butler offer a remarkable window into Trump’s primal instincts and mastery of political theater.

(中略)

For Trump, one shoe is a reminder of his moment in crisis. His first impulse was that he needed his Oxfords and didn’t want to leave them behind. But then his second instinct took over, making an even more indelible mark. At this moment in American politics, it seems this enduring image of a raised fist in the midst of chaos and confusion may be winning over stability and comfort.
(Ben Sherwood. What Donald Trump’s Abandoned Shoe Reveals About Him and America. The Daily Beast. July 15, 2024.)


演説会場ステージの赤絨毯の上にポツンと残された、片方だけの黒いシューズの写真が印象的です。イメージ画像かと思いましたが、紛れもなく、世界史に残るであろう銃撃事件の騒動の中で脱げた靴を撮影したもののようです。

記事では、"Oxford(s)"と出てきます。"Oxford(s)"とは、


Oxford shoes


のことで、踵の低い、甲の上部を紐で結んで締め付ける短靴とされ、フォーマルな紳士靴の代名詞にもなっているものです。

オックスフォードはもちろんイギリスの地名です。オックスフォード大の学生がこのタイプの靴を好んで履いたことにちなむそうです。元々はハーフブーツのようなスタイルの靴(Oxonianと呼ばれた)だったそうですが、(何故かは知りませんが)これを嫌ったオックスフォード大の学生はくるぶしが見えるような短靴を好み、これが"Oxford"として定着したとか。

一般名詞化しており、小文字始まりで"oxford"というスペルのエントリで載せている辞書もあります。

トランプ氏はSPらに揉みくちゃにされ、安全な場所への移動を促されながらも、脱げた靴を取らせてくれと何度か主張したそうです。

結局のところ脱げた靴はそのまま残されたということなのですが・・・。

右耳に銃撃を受け流血しながらも、右手拳を高く突き上げ、力強さを主張したトランプ氏の写真は、星条旗の背景と共に世界中に配信され、大統領選はやはり、というべきか、あるいはさらに、というべきか、トランプ氏優位と目されます。

記事によれば、脱げた靴を何度か回収しようとしたものの、最終的にはその場に残したのは、残された片方の靴のイメージの効果を狙った、トランプ氏の役者的本能だという分析がされています。

ポツンと残された片方だけの靴から何を感じ取るかは人それぞれでしょう。

もうひとつ興味深い事実として、トランプ氏の靴がフォーマルな"Oxford"であったのに対し、バイデン氏の靴はゴム底の履き心地の良いスニーカータイプらしく、たかが靴、されど靴、両者の対比としては面白いと思いました。


2024年7月15日月曜日

ballot

トランプ元大統領、演説中に銃撃される —— 日曜日の朝、起き抜けの目に飛び込んできたニュースは衝撃でした。

弾丸はトランプ氏の右耳を掠めましたが、数センチずれていたら命は無かったかも知れません。絶妙なタイミングというべきか、演説中に移民問題を説明するチャートを指すべく右を向いたのが幸いだったようです。

この暗殺未遂事件を受け、バイデン大統領は声明を発表し、トランプ氏へのお見舞いと犠牲になった被害者にお悔やみの言葉を述べました。

また、バイデン大統領は暴力に訴えることは決して許されないと主張、アメリカの分断を食い止めなければならないとの危機感もあらわにしました。

アメリカが抱える数々の問題は、銃弾(bullet)ではなく、投票(ballot box)で解決しなければ、ならない、とも。


President Biden says Americans needs to address issues 'at the ballot box, not with bullets'

President Joe Biden called for unity across the country following the assassination attempt of former President Donald Trump.
(USA Today. July 14, 2024.)


ここでの大統領の単語のチョイス、"ballot"と"bullet"は、2つの単語が韻を踏んでおり、センスを感じさせます。

"ballot"という単語はイタリア語ballotta(小さなボール)から来ており、投票やくじ引きで使われた色の付いた玉に由来するそうです。さらに遡ると、古代ギリシャでは投票は壺に小石を投入するものだったらしく、これが原型になっているそうです。(Merriam-Webster Dictionary)

ちなみに"bullet"ですが、こちらも小さな球、ボールを意味するラテン語bullaから来ています。

ところで、大統領の単語のチョイスにセンスを感じたなどと書きましたが、実際のところバイデン氏は"ballot box"というところを、"battle box"と言い間違えたという報道があり、拍子抜けしました。


In his seven-minute address tonight, Biden had a series of gaffes

(中略)

Biden also said “battle box” instead of “ballot box” three times. A curious choice of words for a speech meant to condemn violence.
(George Caldwell. Biden’s call for peace was full of awkward gaffes. New York Post. July 14, 2024.)


"battle box"とは意味不明な表現です。選挙戦が意見の対立する双方の戦争のようになっている現状を憂い、これではいけない、冷静になろうと呼び掛けている本人が、"battle"とは如何にも相応しくありません。

この言い間違いを巡って、"battle box"が一時SNSでトレンド入りしたそうです。

2024年7月12日金曜日

big boy

6月末の討論会で醜態を晒し、身内からも大統領選からの撤退の声が上がっているバイデン大統領ですが、ワシントンD.C.で開催されたNATO首脳会議後、バイデン氏単独の記者会見が行われました。

メディア各社、この記者会見のことを、


big boy press conference


と表現しています。


What the media are calling Biden's "big boy press conference" Thursday evening is setting up high expectations for his Democratic base. It comes as at least nine elected Democrat lawmakers have called on Biden to drop out of the race and 23 Democrats, including former Speaker Nancy Pelosi, have hinted that his doing so could be in the best interests of defeating Donald Trump in November.
(Jamie Joseph. Flashback: The last time Biden had a solo 'big boy press conference' was eight months ago. Fox News. July 11, 2024.) 


この投稿を書いている現在、記者会見は既に終了していますが、上記に引用したのはその前に配信されたFox Newsの記事です。

記事の流れは概ね以下のような内容です。

バイデン大統領が単独(solo)での会見を行うは8か月ぶりであり、41か月に渡る大統領在任期間においても、会見を単独で行うことはほとんどなかった、また多くの会見では事前質問に答える形式の内容であり、つまりお膳立てされた会見がほとんどであった。

バイデン氏がこの度単独会見に臨んだのは、大統領職務を果たし得ないのではないかとの懸念を払拭するためです。

バイデン氏はあくまでも大統領選を戦い抜くと主張していますが、撤退すべきだとの意見表明は増える一方と報じられています。これまで避けてきた単独会見を敢えて今行うということは、伸るか反るか(make-or-break)の賭けとも見られています。

このような状況の中、記者会見が"big boy press conference"と表現されているのですが、果たしてその心は?

英和辞書を引くと、大人という意味がありますが、他にも、大物、お偉方、といった日本語が見られます。

文字通りには、大きな(成長した)少年、つまり独り立ちした、周りの支援が無くとも判断が出来る、というような意味合いがあると考えられます。

Oxford Dictionary(オンライン版)の定義では以下のようにあります。


A boy who is relatively old or mature; (also) a boy who is old enough to look after himself or to cope with adult experiences (also (colloquial) used ironically, of a man).
(Oxford Dictionary)


"ironically"と補足されていますね。「お偉方」といった日本語表現もそうですが、こうした表現は得てして皮肉を込めて用いられるものです。

Fox Newsの記事を読んだ際も、バイデン氏が言い間違いやメディアの揚げ足取りを嫌ってこれまで避けてきた単独の記者会見を、自身に対する懸念の払拭のためにいよいよ行うことになったというコンテクストにおいて、"big boy"と半ば揶揄しているものと解釈しました。

つまり、お膳立てされ、取り巻きが配慮して事前質問で固められたこれまでの会見ではなく、独力で対応する、ということです。大統領は周りの支援が無くとも立派に対応出来るんだ、もう4年、まだまだ大丈夫・・・!?

Fox Newsの記事の論調はそういうところかと思いました。

ところが、この"big boy press conference"なる表現は実のところホワイトハウスが使っているという表現だということなのです。


White House press secretary Karine Jean-Pierre has repeatedly referred to the event as a “big boy” press conference where many reporters will be called upon — with the phrase irking some fellow West Wing staffers, who view it as infantilizing the commander-in-chief.
(Steven Nelson. Biden’s high-stakes ‘big boy’ press conference delayed — so it might miss evening news broadcasts. New York Post. July 11, 2024.)


上記の引用にあるようにホワイトハウス報道官自らが今回の記者会見を"big boy"と形容しています。

そうしますとこの表現は皮肉のニュアンスが込められたものなどではなく、文字通りに「大物」といった意味で使われているとも考えられます。しかし、大統領は敢えて表現するまでもなく「大物」であり、また敢えて「大人」扱いするというのも失礼な話です。現に上記引用記事ではこの表現が、"infantilizing the commander-in-chief"、つまり大統領を子ども扱いしているようだと、スタッフを困惑させているとあります。

残念ながら"big boy"記者会見では、バイデン氏はカマラ・ハリス副大統領を「トランプ大統領」と言い間違えるなど、懸念を払拭するどころか、関係者を一層困惑させるようなさんざんな内容だったということです。


2024年7月11日木曜日

on the sly

今日取り上げる表現は、"on the sly"という慣用表現です。意味は、


こそこそと、内証で、秘密に(secretly)


というものです。

記事のタイトル、


Is your partner doing DIY on the sly?


という部分が目に留まりました。

それでは引用をどうぞ。


Whether it’s a kitchen backsplash, new flooring, crown molding or a sex swing installation, many of us are called to improve our homes using our two hands. Driven by impatience or ire, some do so without consulting or getting the consent of their partners.

Magnet Trade’s new study of US homeowners found that nearly one in three (26%) had undertaken a home renovation project without their partner’s consent. Researchers further analyzed the zodiac signs of these homeowners, finding that Taurus, Gemini, and Scorpio were the top offenders for hiding a renovation project from their partners.  
(Reda Wigle. Is your partner doing DIY on the sly? These sneaky zodiac signs are the most likely to renovate behind your back. New York Post. July 10, 2024.)


アメリカ人は概してDIYが好きなようです。小生の友人も、昨年自宅を訪問した折、室内の壁を自分で塗ったとか、半地下の物置き部屋を改装したとか言っておりました。

ところで小生がこの記事に関心を覚えたのは、DIYを相方に相談せず、「こっそり」(on the sly)やろうとする、という話に覚えがあるからです。

郊外に自宅を新築して17年というところですが、小生の知らぬうちに家屋内、庭、ガレージ、等々、様々な改変が施されてきました。

アメリカ人のそれとはスケールは違いますが、結構なコストがかかっており、何故相談も無く?と正直なところ思います。

記事によれば、同意無くDIYを進める人というのは特定の星座(zodiac signs)が関係しているということなのですが、これが的中しています(!?)

みなさんの場合ではどうでしょうか?


2024年7月10日水曜日

delinquency

認知機能の低下はまずお金の管理の問題として現れる —— アメリカで医療保険データと信用調査報告を用いた研究成果が公表されました。

報告によると、痴呆と診断される人は、その5年前くらいから信用評価(クレジットスコア)の低下が見られ、痴呆と金銭管理の問題に相関関係があることが示唆されるということのようです。

金銭管理の問題とは、要は「滞納」ということです。


Credit scores — used to gauge a person's ability to fulfill their financial commitments — can also be an early warning sign of cognitive decline, according to research from the New York Federal Reserve and Georgetown University. 

A person's credit score, on average, starts to weaken in the five years ahead of a dementia diagnosis, while mortgage delinquencies start increasing three years prior, researchers found in an analysis of a nationally representative sample of credit reports and Medicare data on more than 2.4 million people spanning 2000-2017.

While not everyone in the early stage of Alzheimer's disease and related disorders (ADRD) will fall behind on bills, for those that do, the scale of the change in delinquency is substantial. One year before diagnosis, average credit card balances in delinquency increase by more than 50% and average mortgage balances in delinquency are 11% higher, the researchers found. 
(Kate Gibson. Credit score decline can be an early warning for dementia, study finds. CBS News. July 9, 2024.)


「滞納」とは支払い義務があるものを期限までに支払っていない、ということですが、記事では、


delinquency


と表現されています。

"delinquency"という単語は、(主に未成年などの)非行という意味で用いられますが、基本的な意味は、


(義務や職務の)不履行、怠慢


というものです。

接頭辞de-(ここでは強意)とラテン語linquere(残す、去る、置き去る)から成る単語です。

返済義務を果たさないことを意味する訳ですね。

報告によれば痴呆の診断に至るに従い滞納額も増加する傾向が見られるということです。


2024年7月9日火曜日

block party

とりあえず記事の引用をお読みください。


A Detroit block party took a horrific turn when gunfire broke out on Sunday, killing two and leaving 19 young people injured as part of "a level of violence that we rarely see anymore," Mayor Mike Duggan said at a Monday press conference.

Three people were killed and 24 were injured at unsanctioned street parties over the holiday weekend, officials said, including Sunday's violence.

In that incident, revelers ranging in age from 17 to 27 were hit by bullets around 2:25 a.m. in the Mohican Regent neighborhood on the 13000 block of Rossini near Gratiot Avenue, police told Fox 2 Detroit. 
(Christina Coulter. Michigan block party shooting kills 2, injures 19 over July 4th weekend. Fox News. July 8, 2024.)


デトロイトの"block party"で発砲、2名が死亡、19名が負傷、というニュース記事です。

銃社会アメリカですからこのようなニュースは珍しいものでもありませんが、"block party"というのが具体的に何なのか、気になったという次第です。

"block party"に関する詳しい説明は記事には見当たりませんが、多くの人が参加したお祭り騒ぎのようなものだというイメージはつきます。

また、"street party"と言い換えたくだりからは、屋内ではなく、野外、街の通りに人々が集っているというイメージも湧いてきます。

記事を最後までざっと読んでみましたが、"block party"が具体的にどういうものかよく分からないのでもう少し調べてみることに。

手元にあるランダムハウス英和辞書ではエントリがあって、


街区住民のパーティー


とあります。「ふつう交通が遮断された街路上で、しばしば地域の団体や街区の町内会(block association)の募金のために行われる」という解説があり、"block"とは町の一区画(街区)のことだと分かります。

「町内会」ともありますが、アメリカですから日本の町内会とはスケールが違うと思いますが、近隣住民が集うイベントとの位置付けなのだろうと思われます。

記事では、


unsanctioned block parties
illegal block parties
un-permitted block party


などと出てくることから、"block party"は社会問題にもなっていることが窺えます。

こうした"block party"は祝祭日などに合わせて挙行されることが多いようですが、今回の発砲事件も7月4日の独立記念日の週末に発生したものでした。

こうした"block party"はアメリカに限らずイギリスや諸外国にも見られるものだそうです。

米国内では大規模な"block party"はトラブルの発生源にもなっているそうで、社会問題化しており、警察当局も事前許可制にするなど対策に乗り出しているようです。


2024年7月8日月曜日

toast

先月イギリスを訪問した天皇皇后両陛下のニュース記事を読んだという娘が、乾杯を"toast"というのは何故か?と質問してきました。

BBC Newsの記事を読んだ、と言っていましたので恐らくは以下に引用するものかと思います。


King Charles greeted his guests in Japanese as the emperor and empress of Japan were given the full splendour of a Buckingham Palace state banquet.

He toasted the Emperor Naruhito and Empress Masako with a message that translated as “Welcome back to Britain”.
(Sean Coughlan. What was on the banquet menu for Japan's emperor? BBC News. June 25, 2024.)


"toast"はここで動詞として使われており、祝杯をあげる、という意味です。

中辞典以上の英和辞書には載っていると思いますが、風味を増すために祝杯に焼きパンの一片を入れる、ということから生じた表現であるという説明が見られます。(研究社新英和大辞典)

娘は食パンの「トースト」と祝杯が結びつかなかったようです。語源解説を読んでなるほどとは思うものの、お酒に焼いたパンの一片を入れるというのは奇妙な感じもします。そもそも、トーストを浸したような飲み物を飲んだこともありません。

Merriam-Websterの解説によると、"toast"と料理のタパス(tapas)には関連があるといいます。

タパスというのはスペイン料理のオードブルを指す名称ですが、スペイン語tapaはフタ(lid)を意味するそうで、これは料理と共に供されるドリンクのグラスに載せられたパンのスライスを指すということです。飲み物にホコリや虫が混入しないように添えられるものだそうですが、そういえば昔、小洒落たレストランでそんな饗応を受けたような記憶があります。

"toast"の話に戻りますが、お酒にトーストを浸すのはそれによりお酒の苦味やエグ味、濁りなどを取って飲み易くするという効果もあるそうで、浸した後のトーストは食べずにそのまま捨てるというものだとか。風味をつけるというのとは逆のように思えますが、こちらの方がありそうな話にも思えます。

Merriam-Websterによる語源解説は興味深いのですが、もう一つ、"toast"の意味として、祝杯の対象となるものや人、特に「評判の美人」という意味にまつわるものがあります。

その説というのは、誰もが憧れるような美人が入った風呂の湯をグラスに掬って飲んだことに因む、というもので、かなりグロテスクな話ではあります。恐らく俗説でしょう。

最後に、酒は百薬の長とは呑兵衛の言い訳ですが、適量であってもアルコールというものはやはり身体に良くないという記事を見つけてしまいました。小生も気をつけたいと思います。


The debate around alcohol consumption is neverending as there are advocates of a complete ban, while several reports continue to suggest health benefits of moderate drinking. Amid the age-old debate over consuming alcoholic beverages, one must think before raising the second glass of wine or whisky for a toast.
(Do alcoholic beverages have health benefits if consumed moderately? All you need to know. CNBC. July 6, 2024.)


2024年7月5日金曜日

supplant

記事の引用からどうぞ。


It’s 5:30 p.m. on a Wednesday. Dinner isn’t ready, your partner isn’t home yet and two needy little kids won’t let you chop an onion. What’s a parent to do? 

Consider the TV, potentially the most helpful (and most controversial) parenting tool available in 2024. When it comes to screens, a hundred different opinions are competing for space in stressed-out-parents' minds. The pediatrician says one thing, Grandma says another, and social media makes you feel as if you’re a bad parent no matter what choice you make. 
(Kelly Lawler. How much TV is OK for little kids? Making screen time work for your family. USA Today. July 3, 2024.)


情景が目に浮かんでくるようですね。

テレビと書かれていますが、今時ではスマホやタブレット端末の動画でしょうか。

ぐずる幼な子に情報端末を持たせてその場を凌いでいる光景というのはよく目にするところです。昔はテレビを見過ぎるとバカになるとよく怒られたものですが、それがスマホ動画になっても変わるところはありません。

一方、子育てしている当事者、親御さんにしてみれば、外野に色々と批判されるのも心外でしょう。

そこで専門家の見解ということになる訳ですが、米国小児学会(AAP)によれば1歳半未満の子のスクリーンタイムはやはり制限されるべきだとのことです。


Recommendations from experts, like those from the AAP, are often presented without a “why” attached to them. For babies under 18 months, the concern is that time in front of a screen can supplant time moving and interacting with the real world, thus limiting opportunities for the child to develop cognitive and motor skills. For older toddlers and preschoolers, the AAP says studies show “associations between excessive television viewing in early childhood and cognitive language and social/emotional delays.”
(ibid.)


その根拠は上記引用にある通りなのですが、そこに出てくる、


time in front of a screen can supplant time moving and interacting with the real world


というくだりの"supplant"という動詞に注目したいと思います。取って代わる、という意味です。

よく似たスペルの単語に"supple"(補う、の意)がありますが、別の単語であり、またこの記事のコンテクストでは全く逆の意味合いとなります。

"supplant"の語源を見てみましょう。

接頭辞となる部分、sup-はsub-が、その後に続く-plantのpに引っ張られてsup-となったものです。

そして-plantの部分ですが、これはラテン語plantaから来ており、足の裏を意味します。

つまり足の裏(足元)から引っくり返す、というのが原義で、単に取って代わるというよりも、(相手を)押しのけてその地位を占める、場所を奪い取る、という意味合いが強い表現です。

なお、ラテン語plantaには若芽、苗という意味もありますが、植物を意味する"plant"の語源にもなっています。


2024年7月4日木曜日

pep talk

先日行われた米大統領選のディベートに関する話題を連日目にします。

衰えぶりが目立ったバイデン大統領に対しては身内である民主党からも撤退を求める声があがるなどしていますが、バイデン氏はこれを明確に否定。

自身が民主党候補であり、最後まで戦うと明言しました。


Biden and Harris delivered the pep talk to their battered campaign as calls have intensified following Biden's debate with presumptive GOP nominee Donald Trump, in which the Democratic president struggled to finish sentences and express coherent thoughts.
(Joey Garrison. 'No one's pushing me out': President Biden tells campaign he won't withdraw from race. USA Today. July 3, 2024.)


引用した記事では、バイデン大統領がカマラ・ハリス副大統領と共に演説したとありますが、


delivered pep talk 


とあります。

"pep talk"とは叱咤激励、威勢の良いコトバのことで、"pep"とは"pepper"、つまり胡椒のことです。

香辛料の胡椒は刺激物ということで、相手を刺激(して元気付ける)ということになるようです。

"pepper"を略した"pep"が、元気や活力、精力という意味で使われるようになったのは1912年とあり(研究社新英和大辞典)、さほど古いものではないようです。

先日のディベートの結果に落胆しているのはバイデン氏自身ではなく、支持者らということになります。如何に威勢の良いコトバで鼓舞したとして、果たしてバイデン氏撤退論は収まるでしょうか。


2024年7月3日水曜日

shitless

大統領選の討論会で老醜を晒したバイデン大統領ですが、身内からも撤退を勧める声があがるなど、ざわつきが拡がっています。

こうなるとある事ない事、色んな醜聞が出てくるものですが、以下に引用するのもその類いかも知れません。

大統領のサポートスタッフはバイデン氏の扱いに難渋しているというような話です。


Some White House staffers have been forced to tiptoe around President Biden when briefing him on certain topics because they want to avoid eliciting his wrath and are “scared s–tless” of him, a new report says.

“It’s like, ‘You can’t include that, that will set him off,’ or ‘Put that in, he likes that,’”a senior administration official told Politico, referring to how some of the 81-year-old president’s aides feel they have to walk through a minefield before briefings to avoid him getting angry with them.
(Ryan King. WH staffers reportedly ‘scared s–tless’ of erratic Biden, tiptoe around ‘isolated’ president during briefings: ‘Not a pleasant person to be around’. New York Post. July 2, 2024.)


スタッフらはバイデン氏の怒りを買わないよう、おっかなびっくりの態だということですが、記事中、


scared s–tless


という表現が使われています。

ここで"s–tless"は伏せ字になっていますが、それが、


shitless


であるというのは想像がつくところでしょう。

ここでの"shitless"は強意表現として使われています。

以下、American Heritage Dictionaryの定義を引用しますが、卑俗語とされます。



Vulgar Slang
Used to intensify a verb with a personal object or a past participle modifying a personal noun or pronoun: scared him shitless; was bored shitless.


"scared s–tless"とは単に恐れている(scared)というよりも、物凄く恐れている、ということです。

"shitless"がこのような意味になるのは、びっくりして、或いは恐怖のあまり失禁してしまい、すっかり「出てしまって、もはや出すものが残っていない」ということなのだそうです。


From the reflex of involuntary defecation that can result from extreme terror.
(American Heritage Dictionary)


強烈な表現です・・・。




2024年7月2日火曜日

muck up

先週金曜日、大統領選挙の民主党候補であるバイデン大統領と共和党候補のトランプ氏が初めての討論に臨みました。

米国内のみならず、恐らくは世界中がその行方に関心を寄せたのではないかと思います。

小生も関心があって録画を視聴しました。印象としては、バイデン氏は声が掠れ、所々で言い淀むところが見られるなど、大方の想定通りというか、衰えが目立つという感ば否めませんでした。

報道を眺めてみますと、事実上のバイデン氏敗北としているものが見られます。

バイデン大統領は再選はおろか、再選されたとしても任期を耐えることができないのではないかとの恐れがいよいよ高まり、新たな候補者探しが必要との声も上がっているとか。

バイデン氏を支える家族、また側近らは今回の討論会に至るチーム・バイデンの準備に問題があったとの見方をしているようですが、以下引用する記事は準備云々の問題では無いという話です。


Ex-White House press secretary Jen Psaki said Monday that President Biden’s “bad” debate performance last week was not because of the debate prep — despite reported swipes by first family members that top aides worked him too hard.

Psaki, who left the White House in May 2022 to host her own show on MSNBC, said it was “absurd” for detractors to blame former chief of staff Ron Klain and senior adviser Anita Dunn for mucking things up during the 81-year-old’s week-long rehearsal at Camp David.
(Josh Christenson. Ex-White House press secretary Jen Psaki says Biden’s ‘bad’ debate performance was not because aides prepped him too hard. New York Post. July 1, 2024.)


準備(prep)の問題が取り沙汰されていると聞いて、準備不足だったのかとの思いを抱いたのですが、事実はその逆で、詰め込み過ぎた、ということのようです。

不足にしろ過剰にしろ、81才の高齢者のキャパシティを超えたイベントだったのだろうと思います。

ということで、チーム・バイデンは、


muck things up


してしまったという批判があるということなんですが、"muck"とは肥やしのこと、"muck up"とは物事を無茶苦茶にする、台無しにする、というような意味です。

以前取り上げた、"muckraker"もご覧ください。

2024年7月1日月曜日

rainbow washing

6月が終わり、1年の半分がちょうど過ぎ去ったということになります。

近年6月はPride monthと称し、性的マイノリティの人達を擁護するアクティビティが世界各地で活発です。

特に意識していなかったのですが、そんなPride monthの活動が今年は下火の傾向だとか。


Pride month is winding down — and this year, the corporate world took a more cautious approach.

(中略)

As the presidential election approaches, however, some companies have grown quieter about diversity, equity and inclusion efforts to avoid stepping into the culture wars or facing the blowback from conservative customers that Target and Bud Light did a year ago.
(Melissa Repko. More companies are staying quiet during Pride, but money is still flowing to LGBTQ+ causes. CNBC. June 30, 2024.)


引用したのは米CNBCニュースですが、下火になっているのには大統領選の影響もあるそうです。「もしトラ」がいよいよ現実味を帯びてきていますが、保守が政権を取ったら・・・、という想定が企業のダイバーシティ活動を躊躇させるのでしょうか。

そもそも企業や団体によるLGBTQ+へのサポートは見せかけだけ、という指摘する人もあり、


rainbow washing


という表現でかねてより批判的に取り上げられています。


Green, blue, pink – there is hardly a colour left that corporate marketers haven’t tried to wash their dirty laundry.

Veteran activists may recall the birth of ‘greenwashing’ as a phrase in the late 1980s. Around the same time, ‘pinkwashing’ entered the lexicon, first in relation to insincere advocacy for breast cancer awareness, and later referring to hollow support for the LGBTQ+ community. The latter is now commonly differentiated as “rainbow washing”.

All were originally conceived from ‘whitewashing’, a practice by which imperfections in a surface could be smothered under a layer of lime paint. For companies, it means drawing attention away from poor behaviour by loudly proclaiming what is in reality superficial support for various social and environmental causes.
(Matt Symonds. How To Detect Rainbow Washing Versus Genuine LGBTQ+ Support. Forbes. Jun 27, 2024.)


"rainbow"とはご存知の通り、Pride monthになるとあちこちで見かける、七色を使ったデザインです。LGBTQ +へのサポートを標榜する企業はPride monthになると自社製品や宣伝広告に七色をあしらったデザインを取り入れ、自社の取り組みを喧伝しますが、単なるマーケティング活動の一環、コーポレートイメージ戦略に過ぎないという指摘があります。

引用記事にて説明されていますように、〜washingという表現は上辺を取り繕うという意味の"whitewash"という動詞を元にして、"green〜"は環境保護活動を、"pink〜"は乳癌啓発活動を、それぞれ表面的にはサポートと言いながらその実、単なる企業のイメージ戦略でしかなかったり、他社の物真似にすぎなかったりすることを批判的に言う表現として生まれました。

あなたのお勤め先の会社、団体組織も恐らくはダイバーシティ活動に勤しんでいるでしょうが、その本気度や如何に。