SNSは言うまでもなく、ネットのお見合いサイトやデートアプリは今時の人には常識なのかもしれませんが、実際に利用したことのない私には正直なところイメージはあまり沸きません。
この手のサービスにまつわる利用者の行動には興味深い表現が使われることが多いようです。
その1つに”ghost”というものがありますが、以前取り上げたように親しくしていたところが突然コミュニケーションを絶ってしまうというものです。
以下に引用する記事では、最新のトレンド(!?)として、
paperclipping
という表現が取り上げられています。
Time to head to Staples.
Paperclipping is the newest trend taking over the dating scene.
The baffling new term, courtesy of The Metro UK, describes when an ex contacts you months after ghosting you, sorta like Clippy, the not-so-helpful Microsoft assistant who would appear after you needed help with a task — but had already figured it out yourself.
The term was reportedly inspired by Brooklyn-based artist Samantha Rothenberg’s illustration featuring “damaged, flaky” people “who pop up for no reason at all.”
(Marisa Dellatto. ‘Paperclipping’ and other lousy new dating trends haunting your DMs. New York Post. July 30, 2019.)
敢えて説明も不要かと思いますが、”paperclip”とは針金を巻いたよう形をしたクリップのことです。
ですが、記事の画像を見て懐かしく思い出したという人もいるかもしれません。
私もその1人なのですが、今は昔、マイクロソフト社のオフィス製品のプログラムには、このクリップを擬人化したようなアニメーションが常駐し、ユーザーの操作を手助けするという機能がありました。改めて調べてみると、オフィス97から導入された、「オフィスアシスタント」という機能でした。クリップ以外にも、イルカや女性のアシスタントというパターンもあったようですから、1990年代後半にオフィス製品のお世話になったサラリーマンにはお馴染みではないでしょうか。
残念ながら、記憶する限り恐らくはほとんどのユーザーの不興を買っていました。
取り上げられている”paperclipping”という表現の意味合いは、このマイクロソフトオフィス製品のアニメーションとの連想から生まれたものということです。
お呼びでないのに、突然画面の片隅に現れて、困っていることはないかと聞いてくる、あのクリップのアニメーションを憶えている人は少なくはないでしょう。SNSやデートアプリの世界では、連絡を絶って久しい元カレ(元カノ)から、ある日突然ひょっこりとダイレクトメッセージなどが送られてくることを言うそうです。
2019年7月31日水曜日
2019年7月30日火曜日
暑さをしのぐ ー beat the heat
長かった梅雨が、関東地方でもようやく明けました。週明けから気温が30度を超え、高温注意報が発令中です。
今日のニュースでは全国各地で猛暑日となり、画像の日本列島が真っ赤になっています。列島に避暑地無し、という非情な見出しが。
昼前にかけてジョギングに出かけましたが汗が噴き出し大変難儀しました。
暑さをしのぐ、と言いますが、英語では、
beat the heat
と表現します。韻を踏んでいるのが特徴ですね。
This is certainly one way to beat the heat.
Sony, via its experimental First Flight program, is crowdfunding a wearable "air conditioner" known as the Reon Pocket that people could wear as they deal with high temperatures.
According to a translated version of the website, the device would reside in a pocket of a special t-shirt and would use the Peltier effect to lower or raise a person's body temperature. It could be lowered as much as 23 degrees Fahrenheit or raised as much as 14 degrees, depending upon a person's needs.
(Chris Ciaccia. Sony wants to build a wearable 'air conditioner.' Fox News. July 30, 2019.)
話題になっているのはソニーがクラウドファンディングを募っている、「ウェアラブルエアコン」です。
記事に引用されている動画を見ると一目瞭然ですが、シャツの後背部にスマホ大のエアコンを装着し、これによりアプリで設定した温度に冷却、もしくは加温することができるそうです。
クラウドファンディングでは既に6千万円以上に達しているようですが、残念ながら今夏は商品化される予定はなく、早くて来年となるようです。
今日のニュースでは全国各地で猛暑日となり、画像の日本列島が真っ赤になっています。列島に避暑地無し、という非情な見出しが。
昼前にかけてジョギングに出かけましたが汗が噴き出し大変難儀しました。
暑さをしのぐ、と言いますが、英語では、
beat the heat
と表現します。韻を踏んでいるのが特徴ですね。
This is certainly one way to beat the heat.
Sony, via its experimental First Flight program, is crowdfunding a wearable "air conditioner" known as the Reon Pocket that people could wear as they deal with high temperatures.
According to a translated version of the website, the device would reside in a pocket of a special t-shirt and would use the Peltier effect to lower or raise a person's body temperature. It could be lowered as much as 23 degrees Fahrenheit or raised as much as 14 degrees, depending upon a person's needs.
(Chris Ciaccia. Sony wants to build a wearable 'air conditioner.' Fox News. July 30, 2019.)
話題になっているのはソニーがクラウドファンディングを募っている、「ウェアラブルエアコン」です。
記事に引用されている動画を見ると一目瞭然ですが、シャツの後背部にスマホ大のエアコンを装着し、これによりアプリで設定した温度に冷却、もしくは加温することができるそうです。
クラウドファンディングでは既に6千万円以上に達しているようですが、残念ながら今夏は商品化される予定はなく、早くて来年となるようです。
2019年7月29日月曜日
whisker
記事の引用からお読み下さい。
Presidential candidate Julian Castro is often mistaken for his identical twin brother, Joaquin, but now there’s a whisker of a difference between the two.
The 44-year-old siblings travel together on the campaign trail, where Julian, a former federal housing secretary mayor of San Antonio, Texas, is running for the Democratic nomination with the help of top adviser Joaquin, a US representative.
Reporters were thrown off by the pair at last month’s Democratic presidential debate in Miami, when the brothers entered the media room afterward in similar suits.
And at a candidates’ forum in April, organizers mistakenly used a photo of Joaquin.
(Nikki Schwab. Julian Castro’s twin brother grew a beard to avoid mix-ups. New York Post. July 28, 2019.)
双子のお話ですね。同性の双子の場合、どっちがどっちだか見分けがつかない、ということはよくあることです。
話題になっているのは、アメリカ、テキサス州の民主党員であるJulian Castro氏と、双子の兄弟であるJoaquin Castro氏です。
記事で見る両氏の顔はそっくりですが、Julian氏は民主党の大統領選候補に立候補しているところ、メディアでの写真の取り違えが発生したそうです。
そこで、Joaquin氏の方が髭を伸ばすことで「差別化」を図った、というものです。
記事の冒頭で、
now there’s a whisker of a difference between the two
と出てきますが、これは記事で話題になっている髭(whisker)にかけたしゃれですね。
"whisker"にはもちろん髭の意味がありますが、引用部分のように、"a whisker of..."というフレーズになると、少量の、僅かな差の、という意味で用いられます。
“A whisker”は髭の毛の一本を指すので、このフレーズは強意的に用いられて、紙一重の差、間一髪、といった意味合いで用いられます。
Presidential candidate Julian Castro is often mistaken for his identical twin brother, Joaquin, but now there’s a whisker of a difference between the two.
The 44-year-old siblings travel together on the campaign trail, where Julian, a former federal housing secretary mayor of San Antonio, Texas, is running for the Democratic nomination with the help of top adviser Joaquin, a US representative.
Reporters were thrown off by the pair at last month’s Democratic presidential debate in Miami, when the brothers entered the media room afterward in similar suits.
And at a candidates’ forum in April, organizers mistakenly used a photo of Joaquin.
(Nikki Schwab. Julian Castro’s twin brother grew a beard to avoid mix-ups. New York Post. July 28, 2019.)
双子のお話ですね。同性の双子の場合、どっちがどっちだか見分けがつかない、ということはよくあることです。
話題になっているのは、アメリカ、テキサス州の民主党員であるJulian Castro氏と、双子の兄弟であるJoaquin Castro氏です。
記事で見る両氏の顔はそっくりですが、Julian氏は民主党の大統領選候補に立候補しているところ、メディアでの写真の取り違えが発生したそうです。
そこで、Joaquin氏の方が髭を伸ばすことで「差別化」を図った、というものです。
記事の冒頭で、
now there’s a whisker of a difference between the two
と出てきますが、これは記事で話題になっている髭(whisker)にかけたしゃれですね。
"whisker"にはもちろん髭の意味がありますが、引用部分のように、"a whisker of..."というフレーズになると、少量の、僅かな差の、という意味で用いられます。
“A whisker”は髭の毛の一本を指すので、このフレーズは強意的に用いられて、紙一重の差、間一髪、といった意味合いで用いられます。
2019年7月26日金曜日
zombie eater
小生も良くないと思いながらもついそうなっていることが多いのですが、パソコンやスマホを見ながら食事をしているということがあります。
つまり「ながら食べ」ということです。
かつては、食事中にテレビをつけていて、テレビ番組を見ながら食べるという行為には批判的なものがありましたが、今時はスマホでしょうか。レストランやカフェで一人客がスマホを見ながら食事をしている光景は珍しいものではなくなりました。
その今時の食べ方をする人のことを、
zombie eater
というそうです。
A poll of 2,000 Americans examined their eating and snacking habits, discovering that the majority (88%) are “zombie eaters” – admitting to looking at screens while eating, from their TVs to their phones and laptops.
In fact, the average American studied will look at their phone more than two separate times during a single meal. On top of that, the average American will only have five “screen-free” meals a week.
(The majority of us are considered ‘zombie eaters.’ New York Post. July 23, 2019.)
ところで、ネットで"zombie eater"、"zombie eating habits"などを検索してみると、夜中に暴飲暴食をしてしまう行為のことを指す意味でも用いられているようです。
"zombie"はお化け、死体が悪霊によって復活したものとされますが、語源はアフリカ大陸で話されるバンツー諸語の1つ、キンブンドゥー語らしいです。
「お化け」みたいに見えるからでしょうか、活気がなく、機械的な返答や動作をする人のことを、"zombie"と表現したりすることがあります。
スマホを見ながら食事する人には精気が見えないからでしょうか。
つまり「ながら食べ」ということです。
かつては、食事中にテレビをつけていて、テレビ番組を見ながら食べるという行為には批判的なものがありましたが、今時はスマホでしょうか。レストランやカフェで一人客がスマホを見ながら食事をしている光景は珍しいものではなくなりました。
その今時の食べ方をする人のことを、
zombie eater
というそうです。
A poll of 2,000 Americans examined their eating and snacking habits, discovering that the majority (88%) are “zombie eaters” – admitting to looking at screens while eating, from their TVs to their phones and laptops.
In fact, the average American studied will look at their phone more than two separate times during a single meal. On top of that, the average American will only have five “screen-free” meals a week.
(The majority of us are considered ‘zombie eaters.’ New York Post. July 23, 2019.)
ところで、ネットで"zombie eater"、"zombie eating habits"などを検索してみると、夜中に暴飲暴食をしてしまう行為のことを指す意味でも用いられているようです。
"zombie"はお化け、死体が悪霊によって復活したものとされますが、語源はアフリカ大陸で話されるバンツー諸語の1つ、キンブンドゥー語らしいです。
「お化け」みたいに見えるからでしょうか、活気がなく、機械的な返答や動作をする人のことを、"zombie"と表現したりすることがあります。
スマホを見ながら食事する人には精気が見えないからでしょうか。
2019年7月25日木曜日
dish
記事の引用をどうぞ。
In the outskirts of Nairobi, Kenya, Michael Nganga is watching a Chinese Kung Fu movie.
His small home in Limuru village doesn't have running water and its walls are made from corrugated metal. Yet outside, where chickens roam the yard, the father-of-two, who repairs shoes for a living, has a large Chinese-built satellite dish that connects his old television set to hundreds of channels — many of which are being beamed from Beijing.
(Jenni Marsh. How China is slowly expanding its power in Africa, one TV set at a time. CNN. July 24, 2019.)
太平洋での海洋進出や、アフリカ大陸の途上国における開発援助等を通じて影響力を拡大させようとしている中国の試みの1つに、アフリカ諸国におけるテレビの普及を後押ししているそうです。
"10,000 Village Project"と呼ばれるプロジェクトでは、通常ローカル局の放送しかないような地域に、衛星放送を通じて何百というチャンネル放送を届ける試みだそうです。
記事のコンテクストがはっきりしていますので、
a large Chinese-built satellite dish
という部分の"dish"は直ぐにイメージが湧きました。
衛星放送を受信するための丸い形をしたアンテナのことを"dish"というのは知りませんでしたが、辞書には、
a directional receiver having a concave usually parabolic reflector
especially : one used as a microwave or radar antenna
(Merriam-Webster Dictionary)
と載っています。
確かに中心部は凹んでいて、お皿(dish)というのはぴったりです。
In the outskirts of Nairobi, Kenya, Michael Nganga is watching a Chinese Kung Fu movie.
His small home in Limuru village doesn't have running water and its walls are made from corrugated metal. Yet outside, where chickens roam the yard, the father-of-two, who repairs shoes for a living, has a large Chinese-built satellite dish that connects his old television set to hundreds of channels — many of which are being beamed from Beijing.
(Jenni Marsh. How China is slowly expanding its power in Africa, one TV set at a time. CNN. July 24, 2019.)
太平洋での海洋進出や、アフリカ大陸の途上国における開発援助等を通じて影響力を拡大させようとしている中国の試みの1つに、アフリカ諸国におけるテレビの普及を後押ししているそうです。
"10,000 Village Project"と呼ばれるプロジェクトでは、通常ローカル局の放送しかないような地域に、衛星放送を通じて何百というチャンネル放送を届ける試みだそうです。
記事のコンテクストがはっきりしていますので、
a large Chinese-built satellite dish
という部分の"dish"は直ぐにイメージが湧きました。
衛星放送を受信するための丸い形をしたアンテナのことを"dish"というのは知りませんでしたが、辞書には、
a directional receiver having a concave usually parabolic reflector
especially : one used as a microwave or radar antenna
(Merriam-Webster Dictionary)
と載っています。
確かに中心部は凹んでいて、お皿(dish)というのはぴったりです。
2019年7月24日水曜日
switcheroo
記事の引用からどうぞ。
Intel's getting out of the 5G smartphone modem business, and Apple now may be getting in. The switcheroo could have big implications for future iPhones -- even if that means it's the iPhone 16 or 17.
Apple is close to buying Intel's smartphone modem business, The Wall Street Journal reported Monday. The deal, which would give it access to Intel's work on 5G technology, could be worth $1 billion and include patents and employees, according to the report. Apple's current iPhones -- the iPhone XS, XS Max and XR -- use Intel modems, while older iPhones use 4G chips from Qualcomm.
(Shara Tibken. Why Apple wants Intel's modem business. CNET. July 23, 2019.)
5Gと呼ばれる次世代の通信規格のことを最近よく聞くようになりましたが、CPUメーカーとして有名なインテルのスマートフォン用モデム事業をアップルが買収しようとしていると、ウォールストリートジャーナル紙が報道しました。
言わずと知れたアイフォーンを展開するアップルが、自社製品に組み込むモデムをも自社傘下に収めることで、更に競争力が高まるという観測があります。
引用した記事に、
switcheroo
という単語が使われていますが、初めて見ました。
辞書を引くと、
(態度・性質・地位・行動などの)予期せぬ(突然の)変化、急変
(ランダムハウス英和辞書)
とありました。どうやら交換するという意味の動詞"switch"が基本になっている単語のようです。
この"switch"に、-erooという接尾辞がついたものが"switcheroo"となる訳ですが、-erooという接尾辞は、「名詞について親しさ、こっけいさなどを表す」(ランダムハウス英和辞書)と解説されています。
このように、接尾辞-erooが付く単語には、"switcheroo"以外にも、"flopperoo"や"smackeroo"など色々な単語があるようですが、全く知りませんでした。
Intel's getting out of the 5G smartphone modem business, and Apple now may be getting in. The switcheroo could have big implications for future iPhones -- even if that means it's the iPhone 16 or 17.
Apple is close to buying Intel's smartphone modem business, The Wall Street Journal reported Monday. The deal, which would give it access to Intel's work on 5G technology, could be worth $1 billion and include patents and employees, according to the report. Apple's current iPhones -- the iPhone XS, XS Max and XR -- use Intel modems, while older iPhones use 4G chips from Qualcomm.
(Shara Tibken. Why Apple wants Intel's modem business. CNET. July 23, 2019.)
5Gと呼ばれる次世代の通信規格のことを最近よく聞くようになりましたが、CPUメーカーとして有名なインテルのスマートフォン用モデム事業をアップルが買収しようとしていると、ウォールストリートジャーナル紙が報道しました。
言わずと知れたアイフォーンを展開するアップルが、自社製品に組み込むモデムをも自社傘下に収めることで、更に競争力が高まるという観測があります。
引用した記事に、
switcheroo
という単語が使われていますが、初めて見ました。
辞書を引くと、
(態度・性質・地位・行動などの)予期せぬ(突然の)変化、急変
(ランダムハウス英和辞書)
とありました。どうやら交換するという意味の動詞"switch"が基本になっている単語のようです。
この"switch"に、-erooという接尾辞がついたものが"switcheroo"となる訳ですが、-erooという接尾辞は、「名詞について親しさ、こっけいさなどを表す」(ランダムハウス英和辞書)と解説されています。
このように、接尾辞-erooが付く単語には、"switcheroo"以外にも、"flopperoo"や"smackeroo"など色々な単語があるようですが、全く知りませんでした。
2019年7月23日火曜日
bona fide
“bona fide”という表現はラテン語から来ていますが、「善意からの」、とか「誠実さを以って」という意味合いで覚えていたところ、形容詞的には、
正真正銘の、本物の
という意味で使われることが多いようです。
Job burnout isn’t just an expression — it’s now a bona fide medical disorder.
In May, the World Health Organization classified job burnout as “a syndrome conceptualized as resulting from chronic workplace stress that has not been successfully managed.”
So how can you tell if the symptoms you are experiencing are normal, life-related worries, or if you are spiraling into a pit of stress?
(Vicki Salemi. How to tell if you’re officially burned out. New York Post. July 21, 2019.)
ラテン語の”bona fide”は、bonaが形容詞bonus(「良い」の意味)の奪格、fideが名詞fides(「信頼」の意味)の奪格、でこの奪格というのは英語で言えば前置詞by〜(〜によって)のフレーズです。
従って、”bona fide”は英語では”in good faith”というフレーズに置き換えられたりします。
この”bona fide”の反対の意味で用いられるのが、”mala fide”でこちらはbonusの反対”malus”(悪い)で、「悪意から、不誠実に」という意味です。
正真正銘の、本物の
という意味で使われることが多いようです。
Job burnout isn’t just an expression — it’s now a bona fide medical disorder.
In May, the World Health Organization classified job burnout as “a syndrome conceptualized as resulting from chronic workplace stress that has not been successfully managed.”
So how can you tell if the symptoms you are experiencing are normal, life-related worries, or if you are spiraling into a pit of stress?
(Vicki Salemi. How to tell if you’re officially burned out. New York Post. July 21, 2019.)
ラテン語の”bona fide”は、bonaが形容詞bonus(「良い」の意味)の奪格、fideが名詞fides(「信頼」の意味)の奪格、でこの奪格というのは英語で言えば前置詞by〜(〜によって)のフレーズです。
従って、”bona fide”は英語では”in good faith”というフレーズに置き換えられたりします。
この”bona fide”の反対の意味で用いられるのが、”mala fide”でこちらはbonusの反対”malus”(悪い)で、「悪意から、不誠実に」という意味です。
2019年7月22日月曜日
punch one's ticket
当ブログにも何度か関連する記事を取り上げたことがある、メキシコの麻薬王El Chapo、ことJoaquin Guzman容疑者ですが、先日のニュースでは終身刑を言い渡されたということでした。
現在はNew York州の刑務所に収容されているようですが、劣悪な環境で虐待を受けていると裁判では述べ、待遇改善を要求したそうです。
そのGuzman容疑者にとって「待遇改善」となるのか、同氏の身柄は「ロッキー山脈のアルカトラズ」との異名を持つ、コロラド州の刑務所へ移されることが決まったそうです。
Notorious drug lord Joaquin “El Chapo” Guzmán, unhappy with his treatment at a federal lockup in New York during and after his trial on drug trafficking charges, probably won't find his permanent federal digs at the "Supermax" prison in Colorado much more amenable.
A federal judge in Brooklyn sentenced Guzmán last week to life in prison plus 30 years. He was handed a restitution bill of more than $12 billion.
(中略)
His future is likely to be bleak, but the prison will at least be newer. Guzmán, who has a brutal reputation and a history of escapes, punched his ticket to the Administrative Maximum U.S. Penitentiary, or ADX. He arrived at "Supermax" on Friday.
(John Bacon. El Chapo complained about New York jail. Let's see how Supermax works out. USA Today. July 21, 2019.)
引用した記事で、
(Guzman...) punched his ticket to the Administrative Maximum U.S. Penitentiary
という部分が目に留まりました。
"punch one's ticket"というフレーズですが、何だか特別な言い回しのように見えますね。
ここでの"ticket"とは恐らく電車のキップ(切符、乗車券)や飛行機のチケット(搭乗券)のことでしょうか。
現代でこそ電子チケットや、チケットレスサービスなどが当たり前ですが、その昔は紙の券片を購入し、それに鋏を入れてもらっていたものです。
改札鋏を持った駅員の仕事は自動改札機に取って代わられてしまいましたが、フレーズは残ったようです。
入札鋏を入れてもらって旅行をスタートするように、目的地に向かう、というような意味が適当かと思われます。
ところで、辞書を検索していると、"punch one's ticket"というフレーズにはこの他にも特殊な意味で用いられることがあるようです。
特に、"get one's ticket punched"には、殺されるというスラングの意味があるそうですが、"ticket"(キップ)に示される目的地は普通の目的地というよりも、運命とか宿命のような意味合いを帯びているのではないかと思います。
現在はNew York州の刑務所に収容されているようですが、劣悪な環境で虐待を受けていると裁判では述べ、待遇改善を要求したそうです。
そのGuzman容疑者にとって「待遇改善」となるのか、同氏の身柄は「ロッキー山脈のアルカトラズ」との異名を持つ、コロラド州の刑務所へ移されることが決まったそうです。
Notorious drug lord Joaquin “El Chapo” Guzmán, unhappy with his treatment at a federal lockup in New York during and after his trial on drug trafficking charges, probably won't find his permanent federal digs at the "Supermax" prison in Colorado much more amenable.
A federal judge in Brooklyn sentenced Guzmán last week to life in prison plus 30 years. He was handed a restitution bill of more than $12 billion.
(中略)
His future is likely to be bleak, but the prison will at least be newer. Guzmán, who has a brutal reputation and a history of escapes, punched his ticket to the Administrative Maximum U.S. Penitentiary, or ADX. He arrived at "Supermax" on Friday.
(John Bacon. El Chapo complained about New York jail. Let's see how Supermax works out. USA Today. July 21, 2019.)
引用した記事で、
(Guzman...) punched his ticket to the Administrative Maximum U.S. Penitentiary
という部分が目に留まりました。
"punch one's ticket"というフレーズですが、何だか特別な言い回しのように見えますね。
ここでの"ticket"とは恐らく電車のキップ(切符、乗車券)や飛行機のチケット(搭乗券)のことでしょうか。
現代でこそ電子チケットや、チケットレスサービスなどが当たり前ですが、その昔は紙の券片を購入し、それに鋏を入れてもらっていたものです。
改札鋏を持った駅員の仕事は自動改札機に取って代わられてしまいましたが、フレーズは残ったようです。
入札鋏を入れてもらって旅行をスタートするように、目的地に向かう、というような意味が適当かと思われます。
ところで、辞書を検索していると、"punch one's ticket"というフレーズにはこの他にも特殊な意味で用いられることがあるようです。
特に、"get one's ticket punched"には、殺されるというスラングの意味があるそうですが、"ticket"(キップ)に示される目的地は普通の目的地というよりも、運命とか宿命のような意味合いを帯びているのではないかと思います。
2019年7月19日金曜日
「マンホール」は差別的? ― manhole
米・カリフォルニア州のバークレー市で、市の条例等から男女差別に相当する表現をより適切な表現に置き換えるという議案が審議され、賛成可決されたそうです。
その差別的な表現の中に、「マンホール」(manhole)があると聞き、正直驚きました。
(CNN) — Soon, there will be no more manholes in the city of Berkeley, California. There will also be no chairmen, no manpower, no policemen or policewomen.
No, that doesn't mean a whole city will be without committee leaders and law enforcement. It means that words that imply a gender preference will be removed from the city's codes and replaced with gender-neutral terms, according a recently adopted ordinance.
The city voted Tuesday night to replace gendered terms in its municipal codes, like "manhole" and "manpower," with gender-neutral ones like "maintenance hole" and "human effort."
(Madeline Holcombe. Gendered language like 'manhole' will soon be banned from Berkeley's city codes. CNN. July 18, 2019.)
よく知られているものに、"chairman"ではなく、"chairperson"という代替表現を使うというのはありますが、"manhole"が差別的かと言われると、そんなことは考えたこともなく、正直なところ屁理屈のように聞こえます。
では、"manhole"を何で置き換えるかというと、
maintenance hole
だそうです。
なるほど。
Merriam-Webster Dictionaryの定義によると、
a hole through which one may go especially to gain access to an underground or enclosed structure
です。
"manhole"の"man-"は、マンホールを出入りして下水管等の管理に携わる人(man)ということは明らかですが・・・。
手元にあるiPhoneではウィズダム英和辞典がインストールされているのですが、"manhole"を検索すると、何と!?「sewer (utility) holeを用いる方がよい」などとありました。
差別的であるとは書いている訳ではありませんが・・・。
その差別的な表現の中に、「マンホール」(manhole)があると聞き、正直驚きました。
(CNN) — Soon, there will be no more manholes in the city of Berkeley, California. There will also be no chairmen, no manpower, no policemen or policewomen.
No, that doesn't mean a whole city will be without committee leaders and law enforcement. It means that words that imply a gender preference will be removed from the city's codes and replaced with gender-neutral terms, according a recently adopted ordinance.
The city voted Tuesday night to replace gendered terms in its municipal codes, like "manhole" and "manpower," with gender-neutral ones like "maintenance hole" and "human effort."
(Madeline Holcombe. Gendered language like 'manhole' will soon be banned from Berkeley's city codes. CNN. July 18, 2019.)
よく知られているものに、"chairman"ではなく、"chairperson"という代替表現を使うというのはありますが、"manhole"が差別的かと言われると、そんなことは考えたこともなく、正直なところ屁理屈のように聞こえます。
では、"manhole"を何で置き換えるかというと、
maintenance hole
だそうです。
なるほど。
Merriam-Webster Dictionaryの定義によると、
a hole through which one may go especially to gain access to an underground or enclosed structure
です。
"manhole"の"man-"は、マンホールを出入りして下水管等の管理に携わる人(man)ということは明らかですが・・・。
手元にあるiPhoneではウィズダム英和辞典がインストールされているのですが、"manhole"を検索すると、何と!?「sewer (utility) holeを用いる方がよい」などとありました。
差別的であるとは書いている訳ではありませんが・・・。
2019年7月18日木曜日
leaps and bounds
“leaps and bounds”という一続きのフレーズで、急成長、うなぎ登り、といった意味があります。
通常、”by leaps and bounds”、あるいは”in leaps and bounds”という形を取ることが多いですが、前置詞無しの”leaps and bounds”が副詞的に用いられることもあるようです。
LAKE STEVENS, Wash. – Costco is looking to expand with a new 170,000 square feet big-box store just inside the city limits of Lake Stevens.
It could bring jobs to a community exploding in population, but some neighbors worry that the price could mean losing what’s left of some rural neighborhoods – including a nearly 100-year-old neighborhood market.
(中略)
Lake Stevens is growing by leaps and bounds and so is the rest of the county, officials expect 200,000 more people to move into the area by 2035. So, it’s no wonder Costco wants to build a big-box store along SR 9 and 20th Street.
(Steve Kiggins. Neighbors worry Costco expansion could cost rural community. Q13 Fox. July 17, 2019. )
“leap”にしても、”bound”にしても、跳躍、跳ねる、ことですから意味合い的には納得が行きます。一種の畳語と言えるかと思います。
もう1つ引用します。
When we tested the best true wireless earbuds of 2019, we chose AirPods as the best on the market. We were wowed by their impressive audio quality, which was leaps and bounds better than their wired counterparts. We also loved how lightweight they were, how seamlessly they connected to other Apple products, and their ultra-long battery life.
(Isabelle Kagan. Apple AirPods are on sale for Prime Day—and they WILL sell out. USA Today. July 16, 2019.)
この記事の用例では、”leaps and bounds”は形容詞の”better”を強調する意味合いで使われており、急成長やうなぎ登りという意味とはちょっと違っています。
アップル社のAirPodという製品のレビュー記事なのですが、他社製品との比較というコンテクストですので、(製品の性能が)飛躍的に向上している、というような意味合いになると思われます。
通常、”by leaps and bounds”、あるいは”in leaps and bounds”という形を取ることが多いですが、前置詞無しの”leaps and bounds”が副詞的に用いられることもあるようです。
LAKE STEVENS, Wash. – Costco is looking to expand with a new 170,000 square feet big-box store just inside the city limits of Lake Stevens.
It could bring jobs to a community exploding in population, but some neighbors worry that the price could mean losing what’s left of some rural neighborhoods – including a nearly 100-year-old neighborhood market.
(中略)
Lake Stevens is growing by leaps and bounds and so is the rest of the county, officials expect 200,000 more people to move into the area by 2035. So, it’s no wonder Costco wants to build a big-box store along SR 9 and 20th Street.
(Steve Kiggins. Neighbors worry Costco expansion could cost rural community. Q13 Fox. July 17, 2019. )
“leap”にしても、”bound”にしても、跳躍、跳ねる、ことですから意味合い的には納得が行きます。一種の畳語と言えるかと思います。
もう1つ引用します。
When we tested the best true wireless earbuds of 2019, we chose AirPods as the best on the market. We were wowed by their impressive audio quality, which was leaps and bounds better than their wired counterparts. We also loved how lightweight they were, how seamlessly they connected to other Apple products, and their ultra-long battery life.
(Isabelle Kagan. Apple AirPods are on sale for Prime Day—and they WILL sell out. USA Today. July 16, 2019.)
この記事の用例では、”leaps and bounds”は形容詞の”better”を強調する意味合いで使われており、急成長やうなぎ登りという意味とはちょっと違っています。
アップル社のAirPodという製品のレビュー記事なのですが、他社製品との比較というコンテクストですので、(製品の性能が)飛躍的に向上している、というような意味合いになると思われます。
2019年7月17日水曜日
分かったようでよく分からない単語 ― address
当ブログでアクセス数の多い記事の1つに、「分かったようでよく分からない単語 ― implication」(2013年6月20日木曜日付け)があります。
ブログのトップページに、「最近30日間のアクセス数トップ3記事」というコーナーを設けていますが、いつ頃からかそこに出てくるようになりました。取り上げた内容が関心を引くのが意外でした。
今日の内容もそれに近いものがあります。取り上げたい単語は"address"という動詞です。
多分「キホン中のキホン」みたいな単語の1つなので、何を今さらと思われるかも知れないのですが、まずは記事の引用を読んでみて下さい。
It's been one month since Facebook (and its partners) announced plans to launch Libra cryptocurrency. Already, US lawmakers are calling for Facebook to pause those plans. Now, some legislators want the company to stop altogether.
(中略)
In addition to blocking Facebook's plans for Libra, the "Keep Big Tech Out of Finance Act" would prevent other firms (those mainly offering an online platform service with at least $25 billion in annual revenue) from launching similar cryptocurrencies. Companies that violate the rules could be fined as much as $1 million per day.
(中略)
Tomorrow, Facebook plans to assure US lawmakers that it won't launch Libra until the regulatory concerns are addressed. David Marcus, head of Facebook's digital wallet, released a prepared statement promising that Libra is not being built to compete with sovereign currencies or interfere with monetary policy.
(Christine Fisher. Lawmakers want to block tech giants from offering digital currency. Engadget. July 15, 2019.)
SNS大手のフェースブックがリブラという仮想通貨を導入しようとしていることについては国内でも報じられていますが、プライバシー保護やセキュリティ面での懸念から導入には待ったがかかっているという状態のようです。
昨今、仮想通貨をめぐっては、ハッカーによる攻撃で多額の仮想通貨が流出したり、マネーロンダリングに利用されているという報告が絶えないことから、同様の懸念が呈されるのも不思議ではありません。
米国では、フェースブックなどのネット巨大企業が好き勝手に(?)仮想通貨を立ち上げるのを阻止しようと法制化が提案されているそうです。
記事によれば、フェースブック社は上述したような懸念を受け止め、
it won't launch Libra until the regulatory concerns are addressed
ということなのですが、ここで動詞の"address"の意味するところに引っ掛かりを覚えます。
普段耳にしたり、目にしたりする"address"の用法にはざっと下記のようなものがあると思います。
その1)話しかける、意見を述べる
その2)(手紙などを)(人に)宛てる
その3)(問題などに)取り掛かる、取り組む、検討する
引用した記事で使われている"address"は恐らく(3)の意味でしょうか。
穿った見方かも知れませんが、この表現だとF社は規制当局から示されている懸念に対して、それらを検討したり、取り組んだりはするけれども、(根本的な)解決はしなくてもいい、ということになってしまうようにも思われます。(目的語が"concerns"であることにも注意。)
つまり、"address"は(問題へ)対応する姿勢は意味するけれども、達成についてはコミットしていない、ということになるように思われます。となると、記事で取り沙汰されている状況において、これは果たして望ましいことなのでしょうか!?
"address"と同語源の似た単語に、"redress"というものがありますが、"redress"には(不正などを)正す、直す、といった意味があります。("redress"が取る目的語は不均衡や不平等など、直接的な問題点です。)
いずれの単語も語源をたどると、古フランス語、ラテン語に遡るのですが、基本的な意味合いは、"straighten; set right"ということで、真っ直ぐにする、正しくする、ということなのです。
従って、"address"にも本来的な意味として是正という意味合いを見出したいところですが、残念ながらうまく言い抜けるというか、お茶を濁す類の表現になっている気がします。
F社のコメントが、"it won't launch Libra until the security issues are redressed"だったら、株が上がったことでしょう。
記事ではF社の責任者が米上院で証言するにあたって予め準備した書面(公開)へのリンクが示されています。
その書面中では以下のようなくだりとなっています。
Facebook will not offer the Libra digital currency until we have fully addressed regulatory concerns and received appropriate approvals.
これを読むと、F社が懸念事項に対し、”fully address”し、かつ当局の承認が得られるまでは仮想通貨の提供を行わない、とあり、”address”の意味するところは、(懸念事項への)対処、というのが適当と思われます。「対処」という単語もまた玉虫色の感がありますが、検討や取り組みと比べれば一歩進んでいると言えるでしょうか。
ブログのトップページに、「最近30日間のアクセス数トップ3記事」というコーナーを設けていますが、いつ頃からかそこに出てくるようになりました。取り上げた内容が関心を引くのが意外でした。
今日の内容もそれに近いものがあります。取り上げたい単語は"address"という動詞です。
多分「キホン中のキホン」みたいな単語の1つなので、何を今さらと思われるかも知れないのですが、まずは記事の引用を読んでみて下さい。
It's been one month since Facebook (and its partners) announced plans to launch Libra cryptocurrency. Already, US lawmakers are calling for Facebook to pause those plans. Now, some legislators want the company to stop altogether.
(中略)
In addition to blocking Facebook's plans for Libra, the "Keep Big Tech Out of Finance Act" would prevent other firms (those mainly offering an online platform service with at least $25 billion in annual revenue) from launching similar cryptocurrencies. Companies that violate the rules could be fined as much as $1 million per day.
(中略)
Tomorrow, Facebook plans to assure US lawmakers that it won't launch Libra until the regulatory concerns are addressed. David Marcus, head of Facebook's digital wallet, released a prepared statement promising that Libra is not being built to compete with sovereign currencies or interfere with monetary policy.
(Christine Fisher. Lawmakers want to block tech giants from offering digital currency. Engadget. July 15, 2019.)
SNS大手のフェースブックがリブラという仮想通貨を導入しようとしていることについては国内でも報じられていますが、プライバシー保護やセキュリティ面での懸念から導入には待ったがかかっているという状態のようです。
昨今、仮想通貨をめぐっては、ハッカーによる攻撃で多額の仮想通貨が流出したり、マネーロンダリングに利用されているという報告が絶えないことから、同様の懸念が呈されるのも不思議ではありません。
米国では、フェースブックなどのネット巨大企業が好き勝手に(?)仮想通貨を立ち上げるのを阻止しようと法制化が提案されているそうです。
記事によれば、フェースブック社は上述したような懸念を受け止め、
it won't launch Libra until the regulatory concerns are addressed
ということなのですが、ここで動詞の"address"の意味するところに引っ掛かりを覚えます。
普段耳にしたり、目にしたりする"address"の用法にはざっと下記のようなものがあると思います。
その1)話しかける、意見を述べる
その2)(手紙などを)(人に)宛てる
その3)(問題などに)取り掛かる、取り組む、検討する
引用した記事で使われている"address"は恐らく(3)の意味でしょうか。
穿った見方かも知れませんが、この表現だとF社は規制当局から示されている懸念に対して、それらを検討したり、取り組んだりはするけれども、(根本的な)解決はしなくてもいい、ということになってしまうようにも思われます。(目的語が"concerns"であることにも注意。)
つまり、"address"は(問題へ)対応する姿勢は意味するけれども、達成についてはコミットしていない、ということになるように思われます。となると、記事で取り沙汰されている状況において、これは果たして望ましいことなのでしょうか!?
"address"と同語源の似た単語に、"redress"というものがありますが、"redress"には(不正などを)正す、直す、といった意味があります。("redress"が取る目的語は不均衡や不平等など、直接的な問題点です。)
いずれの単語も語源をたどると、古フランス語、ラテン語に遡るのですが、基本的な意味合いは、"straighten; set right"ということで、真っ直ぐにする、正しくする、ということなのです。
従って、"address"にも本来的な意味として是正という意味合いを見出したいところですが、残念ながらうまく言い抜けるというか、お茶を濁す類の表現になっている気がします。
F社のコメントが、"it won't launch Libra until the security issues are redressed"だったら、株が上がったことでしょう。
記事ではF社の責任者が米上院で証言するにあたって予め準備した書面(公開)へのリンクが示されています。
その書面中では以下のようなくだりとなっています。
Facebook will not offer the Libra digital currency until we have fully addressed regulatory concerns and received appropriate approvals.
これを読むと、F社が懸念事項に対し、”fully address”し、かつ当局の承認が得られるまでは仮想通貨の提供を行わない、とあり、”address”の意味するところは、(懸念事項への)対処、というのが適当と思われます。「対処」という単語もまた玉虫色の感がありますが、検討や取り組みと比べれば一歩進んでいると言えるでしょうか。
2019年7月16日火曜日
count on one's fingers
週末の土曜日の夜、ニューヨークのマンハッタンで大規模な停電があったそうです。
邦紙でも写真付きで報じていましたが、地下鉄は止まり、タイムズスクエアの電飾が消え、交差点では警官が出動して交通整理に当たったということでした。
停電は日付が変わる頃には復旧したようですが、緊急事態の最中に市長であるDe Blasio氏が不在であったことが取り沙汰されています。
New York City Mayor Bill de Blasio dismissed criticism for being away from the city during a five-hour blackout Saturday night.
The 2020 Democratic presidential candidate was in Iowa as the event unfolded, but he stressed on MSNBC's "Morning Joe" Monday that no one was injured and authorities responded as they should have.
“When you are a chief executive it doesn’t matter where you are. You are in charge of your team and making sure people are executing the plan," he responded after Joe Scarborough mentioned the torrent of criticism.
(David Montanaro. De Blasio pressed on being in Iowa during NYC blackout: 'Doesn't matter where you are' when you're a chief executive. Fox News. July 16, 2019.)
De Blasio氏は民主党から大統領選への出馬を表明しており、停電発生時は遊説先のアイオワ州にいたようです。
批判に対して同氏はどこにいようとも必要な指揮は取れると反論していますが・・・。
また、同氏は今回のような大規模停電は13年振りのことだと強調しているようです。
He added that it had been 13 years since there was a serious blackout in New York City, promising to hold power company Con Edison's "feet to the fire."
(ibid.)
しかしながら、De Blasio氏に対する批判は止みそうにありません。
知事のCuomo氏も批判的なコメントを寄せており、その内容が下記のようなものです。
Gov. Andrew Cuomo, who briefed reporters late on Saturday night on the situation, also hit de Blasio for his campaign travel.
“I can count the number of times I leave the state basically on my fingers,” Cuomo told CNN Sunday, responding to a question about the importance of the mayor being present during an emergency.
(ibid.)
発言の引用部分で、"on my fingers"というフレーズが出てくるのですが、これを今日取り上げたのには一読してすぐに分からなかったということがあります。
何度か読み返してみて、これが、
can count ~ on my fingers
というフレーズであることが分かるまでに時間を要しました。
このフレーズで言いたいことは、指折りで数えることができる(くらい、その回数が少ない)ということなのです。
私は、"leave the state~"に続くフレーズとして、"on one's fingers"を捉えてしまったため、意味を掴むことができなかったという訳です。
理解できてしまえば何ということもありませんが・・・。
邦紙でも写真付きで報じていましたが、地下鉄は止まり、タイムズスクエアの電飾が消え、交差点では警官が出動して交通整理に当たったということでした。
停電は日付が変わる頃には復旧したようですが、緊急事態の最中に市長であるDe Blasio氏が不在であったことが取り沙汰されています。
New York City Mayor Bill de Blasio dismissed criticism for being away from the city during a five-hour blackout Saturday night.
The 2020 Democratic presidential candidate was in Iowa as the event unfolded, but he stressed on MSNBC's "Morning Joe" Monday that no one was injured and authorities responded as they should have.
“When you are a chief executive it doesn’t matter where you are. You are in charge of your team and making sure people are executing the plan," he responded after Joe Scarborough mentioned the torrent of criticism.
(David Montanaro. De Blasio pressed on being in Iowa during NYC blackout: 'Doesn't matter where you are' when you're a chief executive. Fox News. July 16, 2019.)
De Blasio氏は民主党から大統領選への出馬を表明しており、停電発生時は遊説先のアイオワ州にいたようです。
批判に対して同氏はどこにいようとも必要な指揮は取れると反論していますが・・・。
また、同氏は今回のような大規模停電は13年振りのことだと強調しているようです。
He added that it had been 13 years since there was a serious blackout in New York City, promising to hold power company Con Edison's "feet to the fire."
(ibid.)
しかしながら、De Blasio氏に対する批判は止みそうにありません。
知事のCuomo氏も批判的なコメントを寄せており、その内容が下記のようなものです。
Gov. Andrew Cuomo, who briefed reporters late on Saturday night on the situation, also hit de Blasio for his campaign travel.
“I can count the number of times I leave the state basically on my fingers,” Cuomo told CNN Sunday, responding to a question about the importance of the mayor being present during an emergency.
(ibid.)
発言の引用部分で、"on my fingers"というフレーズが出てくるのですが、これを今日取り上げたのには一読してすぐに分からなかったということがあります。
何度か読み返してみて、これが、
can count ~ on my fingers
というフレーズであることが分かるまでに時間を要しました。
このフレーズで言いたいことは、指折りで数えることができる(くらい、その回数が少ない)ということなのです。
私は、"leave the state~"に続くフレーズとして、"on one's fingers"を捉えてしまったため、意味を掴むことができなかったという訳です。
理解できてしまえば何ということもありませんが・・・。
2019年7月15日月曜日
tai chi
梅雨がなかなか明けませんね。ここのところ冷温な天気が続いています。
ランニングをする立場から言わせてもらうと、梅雨が明けて猛暑日が連続するのは勘弁してほしいというところで、冷温な気候はむしろ走り易いのです。
ランやジョギングの最中にウォーキングをしている人によく出会います。老化の予防にウォーキングは最適と言われています。私の親世代もそうですが、ウォーキングを日課にしている高齢者は多いでしょう。
高齢者が転倒して寝たきりになってしまうリスクを軽減する為にもウォーキングは効果的なエクササイズですが、ウォーキングよりも”tai chi”が推奨されているそうです。
ところで、“tai chi”って一体何のことでしょうか?
As we age, the risk of falling increases and becomes increasingly perilous. A fall can be a real health setback for a frail, elderly person.
But the risk of falling can be minimized, says Dr. Elizabeth Eckstrom, professor and chief of geriatrics at Oregon Health & Science University. "A lot of older adults and a lot of physicians think that falling is inevitable as you age, but in reality it's not."
(中略)
You can do so many things. First of all, I tell everybody you've got to do some balance training. Tai chi is probably the best exercise to prevent falls, but whatever works for you. And, interestingly, just walking does not reduce your risk for falling. So a lot of doctors will say, "Just get out and walk 20 minutes every day, and that'll keep you safe. That'll help you stay healthy." Walking is great for your heart; it's great for your brain; it's great for lots of it. But in order to really reduce your risk for falls, you've got to do something specific to balance.
Walking is kind of just keeping you in one plane moving forward, and it's not doing any kind of postural training. What tai chi does is it gives you an increased area of postural stability, [which is] kind of your being able to remain upright in space. When you do tai chi, you do stepping moves to the front, to the side; you move your arms out, you reach, you bend. And basically that increases the size of your postural stability so that you can catch yourself and not have the fall. You can be a little bit off kilter and right yourself.
(Simple Ways To Prevent Falls In Older Adults. NPR. July 14, 2019.)
“Tai chi”が何のことか知らなかったのですが、これは太極拳のことです。
正確に言うと、“tai chi”が指すのは「太極拳」の「太極」までです。“tai chi chuan”が「太極拳」という中国語の字音を英語に転写したものになりますが、なぜか“tai chi”で定着しているようです。
太極拳の優れている点はスローモーションで様々なポーズを取ることで身体全体のバランス感覚を維持するところにあるようです。
ランニングをする立場から言わせてもらうと、梅雨が明けて猛暑日が連続するのは勘弁してほしいというところで、冷温な気候はむしろ走り易いのです。
ランやジョギングの最中にウォーキングをしている人によく出会います。老化の予防にウォーキングは最適と言われています。私の親世代もそうですが、ウォーキングを日課にしている高齢者は多いでしょう。
高齢者が転倒して寝たきりになってしまうリスクを軽減する為にもウォーキングは効果的なエクササイズですが、ウォーキングよりも”tai chi”が推奨されているそうです。
ところで、“tai chi”って一体何のことでしょうか?
As we age, the risk of falling increases and becomes increasingly perilous. A fall can be a real health setback for a frail, elderly person.
But the risk of falling can be minimized, says Dr. Elizabeth Eckstrom, professor and chief of geriatrics at Oregon Health & Science University. "A lot of older adults and a lot of physicians think that falling is inevitable as you age, but in reality it's not."
(中略)
You can do so many things. First of all, I tell everybody you've got to do some balance training. Tai chi is probably the best exercise to prevent falls, but whatever works for you. And, interestingly, just walking does not reduce your risk for falling. So a lot of doctors will say, "Just get out and walk 20 minutes every day, and that'll keep you safe. That'll help you stay healthy." Walking is great for your heart; it's great for your brain; it's great for lots of it. But in order to really reduce your risk for falls, you've got to do something specific to balance.
Walking is kind of just keeping you in one plane moving forward, and it's not doing any kind of postural training. What tai chi does is it gives you an increased area of postural stability, [which is] kind of your being able to remain upright in space. When you do tai chi, you do stepping moves to the front, to the side; you move your arms out, you reach, you bend. And basically that increases the size of your postural stability so that you can catch yourself and not have the fall. You can be a little bit off kilter and right yourself.
(Simple Ways To Prevent Falls In Older Adults. NPR. July 14, 2019.)
“Tai chi”が何のことか知らなかったのですが、これは太極拳のことです。
正確に言うと、“tai chi”が指すのは「太極拳」の「太極」までです。“tai chi chuan”が「太極拳」という中国語の字音を英語に転写したものになりますが、なぜか“tai chi”で定着しているようです。
太極拳の優れている点はスローモーションで様々なポーズを取ることで身体全体のバランス感覚を維持するところにあるようです。
2019年7月12日金曜日
shadow
ミシシッピ州知事選に立候補表明している共和党のRobert Foster氏が、同氏の選挙活動について報道するメディア記者が女性であることを理由に取材拒否をしたということで物議を醸しているようです。
WASHINGTON – On Wednesday, state Rep. Robert Foster, a Republican candidate for governor in Mississippi, said he had asked a female reporter to bring a male counterpart along to shadow his campaign to avoid any "opportunities for an awkward situation."
"In our case, it was a female reporter asking to ride along, and my campaign director is in and out and gone sometimes...it's just going to going to be a lot of opportunities for an awkward situation I didn't want to put myself in...we just wanted to keep things professional," Foster said in a radio interview with SuperTalk Mississippi radio host Paul Gallo.
"There's only one person that comes to mind more than anyone and that's my wife. I've always had the same practice in business. I'm not alone with a female employee and put myself in a situation to have a 'he said, she said moment,'" Foster added.
(Nicholas Wu. 'We just wanted to keep things professional': Reporter denied access because she's a woman. USA Today. July 10, 2019.)
Foster氏の主張によれば、プロフェッショナルな状況をキープしたい、というよく分からない言い回しです。言うまでもありませんが、Foster氏は男性、選挙期間中は同氏をサポートするスタッフもいますが、女性記者と二人きりになるシチュエーションを避けたいというのが目的のようです。
なるほど、いわゆる#MeTooの時代において、意図するとしないとに関わらずセクハラで訴えられるリスクというのはこれまでにないくらい高まっているということはあるかもしれません。
女性と二人っきりになることを避けることを信条とする政治家はFoster氏に限らないという擁護論もあるようです。
ところで今日の表現ですが、記事の引用部分を最初一読した際、
asked a female reporter to bring a male counterpart along to shadow his campaign to avoid any "opportunities for an awkward situation
という部分がよく理解できませんでした。
Foster氏は女性記者に男性を伴うように依頼した、と読めますが、続く、
to shadow his campaign
という部分の"shadow"は動詞として使われていることが明らかです。
改めて辞書を引いたのですが、
to follow especially secretly: trail
to accompany and observe especially in a professional setting
(Merriam-Webster Dictionary)
という意味が相当すると思われました。
分かりにくいのは、to~不定詞の形を取るフレーズが2つ連続していることも一因でした。
同じ話題を報じるCNNの記事では下記のようなくだりがあります。
The reporter, Larrison Campbell, wrote in Mississippi Today on Tuesday that the paper had asked to shadow each gubernatorial candidate seeking the GOP nomination "in an attempt to better inform readers." While two of the candidates agreed, state Rep. Robert Foster declined, explaining on a Mississippi talk radio show Wednesday that having a female reporter with him could create "an awkward situation."
(Paul LeBlanc. Mississippi gubernatorial candidate denies female reporter access to campaign trip. CNN. July 10, 2019.)
ここでも動詞の"shadow"が使われていますが、辞書を引いた後だからかも知れませんがすんなり入ってきます。
ちなみに、会社などで新人がベテランの作業を横で観察しながら習得するというようなやり方をシャドーイング(shadowing)などと言いますが、この動詞の意味から来ていると思われます。
WASHINGTON – On Wednesday, state Rep. Robert Foster, a Republican candidate for governor in Mississippi, said he had asked a female reporter to bring a male counterpart along to shadow his campaign to avoid any "opportunities for an awkward situation."
"In our case, it was a female reporter asking to ride along, and my campaign director is in and out and gone sometimes...it's just going to going to be a lot of opportunities for an awkward situation I didn't want to put myself in...we just wanted to keep things professional," Foster said in a radio interview with SuperTalk Mississippi radio host Paul Gallo.
"There's only one person that comes to mind more than anyone and that's my wife. I've always had the same practice in business. I'm not alone with a female employee and put myself in a situation to have a 'he said, she said moment,'" Foster added.
(Nicholas Wu. 'We just wanted to keep things professional': Reporter denied access because she's a woman. USA Today. July 10, 2019.)
Foster氏の主張によれば、プロフェッショナルな状況をキープしたい、というよく分からない言い回しです。言うまでもありませんが、Foster氏は男性、選挙期間中は同氏をサポートするスタッフもいますが、女性記者と二人きりになるシチュエーションを避けたいというのが目的のようです。
なるほど、いわゆる#MeTooの時代において、意図するとしないとに関わらずセクハラで訴えられるリスクというのはこれまでにないくらい高まっているということはあるかもしれません。
女性と二人っきりになることを避けることを信条とする政治家はFoster氏に限らないという擁護論もあるようです。
ところで今日の表現ですが、記事の引用部分を最初一読した際、
asked a female reporter to bring a male counterpart along to shadow his campaign to avoid any "opportunities for an awkward situation
という部分がよく理解できませんでした。
Foster氏は女性記者に男性を伴うように依頼した、と読めますが、続く、
to shadow his campaign
という部分の"shadow"は動詞として使われていることが明らかです。
改めて辞書を引いたのですが、
to follow especially secretly: trail
to accompany and observe especially in a professional setting
(Merriam-Webster Dictionary)
という意味が相当すると思われました。
分かりにくいのは、to~不定詞の形を取るフレーズが2つ連続していることも一因でした。
同じ話題を報じるCNNの記事では下記のようなくだりがあります。
The reporter, Larrison Campbell, wrote in Mississippi Today on Tuesday that the paper had asked to shadow each gubernatorial candidate seeking the GOP nomination "in an attempt to better inform readers." While two of the candidates agreed, state Rep. Robert Foster declined, explaining on a Mississippi talk radio show Wednesday that having a female reporter with him could create "an awkward situation."
(Paul LeBlanc. Mississippi gubernatorial candidate denies female reporter access to campaign trip. CNN. July 10, 2019.)
ここでも動詞の"shadow"が使われていますが、辞書を引いた後だからかも知れませんがすんなり入ってきます。
ちなみに、会社などで新人がベテランの作業を横で観察しながら習得するというようなやり方をシャドーイング(shadowing)などと言いますが、この動詞の意味から来ていると思われます。
2019年7月11日木曜日
moonlight
まずは記事の引用をどうぞ。
He was caught dead handed.
A top MTA cop was busted using his cruiser to get to funeral homes where he had unsanctioned side gigs as a pallbearer — and blowing off his real job for hours at a time, the agency revealed Wednesday.
(中略)
The cop — who earned $240,926 that year, according to the Empire Center — was then busted using his cruiser to make 14 visits in eight weeks to funeral homes on Staten Island, where investigators suspected he was moonlighting.
The Cherubini-McInerney Funeral Home in Elm Park, where Odessa went eight times, told The Post on Wednesday he had worked there as a pallbearer and livery driver for two decades on an as-needed basis.
MTA workers can take side gigs, but they need approval — and can’t use their work cars.
(Top MTA cop busted blowing off work, using cruiser for suspected funeral gig: report. New York Post. July 10, 2019.)
タブロイド紙のNew York Postだけあって、学校では教わらないような表現がバンバン出てきますので、スラスラと読んで内容を理解というのも難しいのですが、話の筋としては、勤務時間中に副業に勤しんでいた警官が摘発された、という内容です。
どうやら葬儀屋のアルバイトとして出棺やドライバーなどに携わっていたようなのですが、警官と言っても相当の稼ぎのある、幹部だったらしく、不思議な話です。
さて、取り上げたい表現は色々あるのですが、
moonlight(ing)
は、夜間のアルバイトをすることを指すというのをご存じでしょうか?
この"moonlight"と対をなすのが、
daylight(ing)
で、こちらは昼間にアルバイトすることを指すんですが、意味合いとしては、夜間の本業がある人が昼間にも副業する、ということです。
すなわち、"moonlight(ing)"は日中に本職に携わりながら、日中の本業を終えて、時間があいている夜間に副業する、ということです。
摘発された警官は葬祭関係のアルバイトということで、夜間には限定されないと思われ、またパトカーで勤務先に移動していたということも分かっているそうですから、昼夜を問わずの警官としての公務中にということになりますが、"moonlight(ing)"にはどこかいかがわしさを漂わせているように思えます。
ところで、以前"moonshine"という表現を取り上げたことがあります。密造酒、またその取引のことを意味しますが、"moonlight"もほぼ同義で用いられます。
冒頭、"He was caught dead handed."とありますが、これは"red-handed"(現行犯逮捕)にかけたしゃれでしょう。
He was caught dead handed.
A top MTA cop was busted using his cruiser to get to funeral homes where he had unsanctioned side gigs as a pallbearer — and blowing off his real job for hours at a time, the agency revealed Wednesday.
(中略)
The cop — who earned $240,926 that year, according to the Empire Center — was then busted using his cruiser to make 14 visits in eight weeks to funeral homes on Staten Island, where investigators suspected he was moonlighting.
The Cherubini-McInerney Funeral Home in Elm Park, where Odessa went eight times, told The Post on Wednesday he had worked there as a pallbearer and livery driver for two decades on an as-needed basis.
MTA workers can take side gigs, but they need approval — and can’t use their work cars.
(Top MTA cop busted blowing off work, using cruiser for suspected funeral gig: report. New York Post. July 10, 2019.)
タブロイド紙のNew York Postだけあって、学校では教わらないような表現がバンバン出てきますので、スラスラと読んで内容を理解というのも難しいのですが、話の筋としては、勤務時間中に副業に勤しんでいた警官が摘発された、という内容です。
どうやら葬儀屋のアルバイトとして出棺やドライバーなどに携わっていたようなのですが、警官と言っても相当の稼ぎのある、幹部だったらしく、不思議な話です。
さて、取り上げたい表現は色々あるのですが、
moonlight(ing)
は、夜間のアルバイトをすることを指すというのをご存じでしょうか?
この"moonlight"と対をなすのが、
daylight(ing)
で、こちらは昼間にアルバイトすることを指すんですが、意味合いとしては、夜間の本業がある人が昼間にも副業する、ということです。
すなわち、"moonlight(ing)"は日中に本職に携わりながら、日中の本業を終えて、時間があいている夜間に副業する、ということです。
摘発された警官は葬祭関係のアルバイトということで、夜間には限定されないと思われ、またパトカーで勤務先に移動していたということも分かっているそうですから、昼夜を問わずの警官としての公務中にということになりますが、"moonlight(ing)"にはどこかいかがわしさを漂わせているように思えます。
ところで、以前"moonshine"という表現を取り上げたことがあります。密造酒、またその取引のことを意味しますが、"moonlight"もほぼ同義で用いられます。
冒頭、"He was caught dead handed."とありますが、これは"red-handed"(現行犯逮捕)にかけたしゃれでしょう。
2019年7月10日水曜日
whiz
今はどこのトイレにも設置しているハンドドライヤー。設置していないのは公園などの古いトイレくらいかと思います。
用を足した後に洗った手を差し込むと温風が吹き出し乾燥してくれるものですが、あの音は結構大きいですよね。
その音の大きさにを実際に計測し、特に(身長が低く、ハンドドライヤーの音の影響を受けやすい)子供の耳にはリスクとなりうる、という13歳の少女の研究成果が話題になっています。その論文は専門誌に掲載され、賞を受賞しました。
A Canadian whiz kid has published a legitimate scientific study proving restroom hand dryers are bad for kids’ ears, according to a report Tuesday.
Nora Keegan, a 13-year-old from Calgary — whose work appeared in the Canadian journal Paediatrics & Child Health — said she first had a hunch the machines were harmful to hearing four years ago, according to NPR.
(中略)
So as a 9-year-old, she began testing dryers in more than 40 public bathrooms in Alberta.
During the study, she used a professional-grade decibel meter to measure sound levels from different heights and distances — and found kids are at risk because they’re short.
The pint-sized scientist also found that Xlerator-brand hand dryers and two types of Dyson Airblade dryers — all of which exceed 100 decibels — pose the greatest hazard to kids’ ears, according to NPR.
(Natalie O'Neill. Teen science whiz publishes study proving hand dryers are bad for kids’ ears. New York Post. July 9, 2019.)
計測によるとハンドドライヤーの中には100デシベルを超えるものがほとんどで、中には121デシベルとなったものもあったそうです。
日常生活における騒音レベルの基準では100デシベルは電車が通過する際のガード下で感じる騒音や車のクラクションが相当するそうですが、これは聴覚障害を引き起こすレベルということです。
さて、13歳の「小さな科学者」とも言うべきNora Keeganさんですが、記事で、
whiz kid
と表現されています。
この"whiz"というのは、辞書では名人とか達人という日本語訳が載っていますが、"wizard"が変化したものとされています。
以前、"gee-whiz"という表現を取り上げたことがありますが、そちらもご覧ください。
少女の研究成果はハンドドライヤーのメーカーにも共有され、今後製品改良のきっかけとなることが期待されています。
用を足した後に洗った手を差し込むと温風が吹き出し乾燥してくれるものですが、あの音は結構大きいですよね。
その音の大きさにを実際に計測し、特に(身長が低く、ハンドドライヤーの音の影響を受けやすい)子供の耳にはリスクとなりうる、という13歳の少女の研究成果が話題になっています。その論文は専門誌に掲載され、賞を受賞しました。
A Canadian whiz kid has published a legitimate scientific study proving restroom hand dryers are bad for kids’ ears, according to a report Tuesday.
Nora Keegan, a 13-year-old from Calgary — whose work appeared in the Canadian journal Paediatrics & Child Health — said she first had a hunch the machines were harmful to hearing four years ago, according to NPR.
(中略)
So as a 9-year-old, she began testing dryers in more than 40 public bathrooms in Alberta.
During the study, she used a professional-grade decibel meter to measure sound levels from different heights and distances — and found kids are at risk because they’re short.
The pint-sized scientist also found that Xlerator-brand hand dryers and two types of Dyson Airblade dryers — all of which exceed 100 decibels — pose the greatest hazard to kids’ ears, according to NPR.
(Natalie O'Neill. Teen science whiz publishes study proving hand dryers are bad for kids’ ears. New York Post. July 9, 2019.)
計測によるとハンドドライヤーの中には100デシベルを超えるものがほとんどで、中には121デシベルとなったものもあったそうです。
日常生活における騒音レベルの基準では100デシベルは電車が通過する際のガード下で感じる騒音や車のクラクションが相当するそうですが、これは聴覚障害を引き起こすレベルということです。
さて、13歳の「小さな科学者」とも言うべきNora Keeganさんですが、記事で、
whiz kid
と表現されています。
この"whiz"というのは、辞書では名人とか達人という日本語訳が載っていますが、"wizard"が変化したものとされています。
以前、"gee-whiz"という表現を取り上げたことがありますが、そちらもご覧ください。
少女の研究成果はハンドドライヤーのメーカーにも共有され、今後製品改良のきっかけとなることが期待されています。
2019年7月9日火曜日
plaudit
米国人建築家のFrank Lloyd Wrightの建築が、ユネスコの世界文化遺産に登録されたというニュースです。
建築のことに詳しくはありませんが、フランク・ロイド・ライトという建築家の名前は聞いたことがあります。よくよく調べてみると、帝国ホテル(の新館)を設計したことでも有名だということで、その関連で耳にしたのかもしれません。
Eight of architect Frank Lloyd Wright's buildings were added to the UNESCO World Heritage List on Sunday, elevating them to the same status as Machu Picchu, the Pyramids of Giza and the Statue of Liberty.
(中略)
After Sunday's announcement, Wright's buildings will be the 24th American site included on the World Heritage List. It marks the United States' first designation since the Trump administration withdrew from UNESCO in 2018 citing an anti-Israel bias.
Plaudits rolled in from across the country following the designation.
(Josh Axelrod. UNESCO Adds 8 Frank Lloyd Wright Buildings To Its List Of World Heritage Sites. NPR. July 7, 2019.)
今回世界文化遺産の登録を受けたのは米国内の8つの建築物のようです。
日本においても、仁徳天皇陵を含む近畿の古墳群が世界文化遺産に登録されニュースになっていますが、登録のために奔走した関係者や地元の人たちにとっては喜びもひとしおでしょう。
ライト氏の建築についてはニューヨークやシカゴをはじめとするアメリカ国内各州にあるようですが、
Plaudits rolled in from across the country following the designation.
ということで、各州知事などから祝意のコメントが寄せられているようです。
この"plaudit(s)"という単語を知らなかったのですが、通例複数形で用いられ、
拍手、喝采、絶賛
などの意味があります。
よく考えてみれば、スペルのよく似た単語、"applaud"に語源を同じくします。
ラテン語の動詞plaudereは称賛するという意味ですが、その命令形がplauditeとなります。(厳密に言うと、ラテン語の命令形には単数、複数が別で、plauditeは命令法二人称複数形ということになります。)
なぜ、命令形なのでしょうか?
語源解説によりますと、ローマ帝国の時代、劇を演じる役者は芝居が終わると観客に拍手喝采を求めるのが普通だったようです。
つまり、観客が自発的に拍手喝采するのではなく、役者が逆に要求していたということなのです。
建築のことに詳しくはありませんが、フランク・ロイド・ライトという建築家の名前は聞いたことがあります。よくよく調べてみると、帝国ホテル(の新館)を設計したことでも有名だということで、その関連で耳にしたのかもしれません。
Eight of architect Frank Lloyd Wright's buildings were added to the UNESCO World Heritage List on Sunday, elevating them to the same status as Machu Picchu, the Pyramids of Giza and the Statue of Liberty.
(中略)
After Sunday's announcement, Wright's buildings will be the 24th American site included on the World Heritage List. It marks the United States' first designation since the Trump administration withdrew from UNESCO in 2018 citing an anti-Israel bias.
Plaudits rolled in from across the country following the designation.
(Josh Axelrod. UNESCO Adds 8 Frank Lloyd Wright Buildings To Its List Of World Heritage Sites. NPR. July 7, 2019.)
今回世界文化遺産の登録を受けたのは米国内の8つの建築物のようです。
日本においても、仁徳天皇陵を含む近畿の古墳群が世界文化遺産に登録されニュースになっていますが、登録のために奔走した関係者や地元の人たちにとっては喜びもひとしおでしょう。
ライト氏の建築についてはニューヨークやシカゴをはじめとするアメリカ国内各州にあるようですが、
Plaudits rolled in from across the country following the designation.
ということで、各州知事などから祝意のコメントが寄せられているようです。
この"plaudit(s)"という単語を知らなかったのですが、通例複数形で用いられ、
拍手、喝采、絶賛
などの意味があります。
よく考えてみれば、スペルのよく似た単語、"applaud"に語源を同じくします。
ラテン語の動詞plaudereは称賛するという意味ですが、その命令形がplauditeとなります。(厳密に言うと、ラテン語の命令形には単数、複数が別で、plauditeは命令法二人称複数形ということになります。)
なぜ、命令形なのでしょうか?
語源解説によりますと、ローマ帝国の時代、劇を演じる役者は芝居が終わると観客に拍手喝采を求めるのが普通だったようです。
つまり、観客が自発的に拍手喝采するのではなく、役者が逆に要求していたということなのです。
2019年7月8日月曜日
lob
このところイランと米国の関係が緊張を増していますが、昨日の朝刊ではイランが核合意を反故にしてウラン濃縮に着手し、核兵器に使えるレベルになる恐れがあるとの観測が記事になっていました。
トランプ政権は経済制裁を含む圧力をさらに強めていくようですが、緊張関係がさらに高まることで武力衝突が懸念されます。
President Trump lobbed a strong warning to Iran on Sunday after the rogue nation announced it had ratcheted up its uranium enrichment beyond the limit allowed by the 2015 nuclear deal with world powers.
“Iran better be careful. … Iran is doing a lot of bad things,” Trump said. “Iran will never have a nuclear weapon.”
Iran has said it was inching its program closer toward weapons-grade levels, while calling for a diplomatic solution to a crisis that has raised tensions with the U.S.
(Frank Miles. Trump: Iran 'better be careful' after backing away further from nuclear deal. Fox News. July 8, 2019.)
以前からトランプ氏や側近のポンペオ国務長官はイランに対して厳しい言動で批判してきたのですが、ウラン濃縮の動きを受けてやはりその舌鋒は鋭いものがあります。
引用した記事の冒頭ですが、
President Trump lobbed a strong warning to Iran
とある部分で、"lob"という動詞が使われていますが、これはテニスでいうロブのことです。
といっても、テニスをやったことがない私はそういう打球の表現があるということを知っているのすぎないのですが、ロブというのは相手側コートに弧を描いて到達させる緩球のことを指すそうです。
緩球ということは、強くはない、または激しくはない、ということになり、続く"strong warning~"とやや矛盾するようにも思われます。
引用した記事にみられるような比喩的な用法の"lob"の意味合いは手元の辞書には載っていなかったのですが、Merriam-Websterのオンライン辞書では、
to direct (something, such as a question or comment) so as to elicit a response
という意味が載っています。
トランプ政権は経済制裁を含む圧力をさらに強めていくようですが、緊張関係がさらに高まることで武力衝突が懸念されます。
President Trump lobbed a strong warning to Iran on Sunday after the rogue nation announced it had ratcheted up its uranium enrichment beyond the limit allowed by the 2015 nuclear deal with world powers.
“Iran better be careful. … Iran is doing a lot of bad things,” Trump said. “Iran will never have a nuclear weapon.”
Iran has said it was inching its program closer toward weapons-grade levels, while calling for a diplomatic solution to a crisis that has raised tensions with the U.S.
(Frank Miles. Trump: Iran 'better be careful' after backing away further from nuclear deal. Fox News. July 8, 2019.)
以前からトランプ氏や側近のポンペオ国務長官はイランに対して厳しい言動で批判してきたのですが、ウラン濃縮の動きを受けてやはりその舌鋒は鋭いものがあります。
引用した記事の冒頭ですが、
President Trump lobbed a strong warning to Iran
とある部分で、"lob"という動詞が使われていますが、これはテニスでいうロブのことです。
といっても、テニスをやったことがない私はそういう打球の表現があるということを知っているのすぎないのですが、ロブというのは相手側コートに弧を描いて到達させる緩球のことを指すそうです。
緩球ということは、強くはない、または激しくはない、ということになり、続く"strong warning~"とやや矛盾するようにも思われます。
引用した記事にみられるような比喩的な用法の"lob"の意味合いは手元の辞書には載っていなかったのですが、Merriam-Websterのオンライン辞書では、
to direct (something, such as a question or comment) so as to elicit a response
という意味が載っています。
2019年7月5日金曜日
en route
記事の引用をどうぞ。
Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria
MADRID — Authorities in Gibraltar said Thursday they intercepted an Iranian supertanker believed to be breaching European Union sanctions by carrying a shipment of Tehran’s crude oil to war-ravaged Syria.
A senior Spanish official said the operation was requested by the United States. Iran’s state-run IRNA news agency described the incident as “an illegal seizure of an Iranian oil tanker.”
(Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria. New York Post. July 4, 2019.)
タイトルで使われている、
en route
という表現はフランス語です。
フランス語をかじったことのある人は、"en"が英語の前置詞"on"に相当するフランス語だとわかるでしょう。
"en route"は英語にすると、"on the way" (to, for~)となりますが、このフレーズはフランス語がそのまま英語に借入されたもののようです。
以前取り上げた、"en masse"によく似ています。
ところで、"route"についてはどうでしょうか。フランス語でもスペルは同じ、"route"です。
日本語でもカタカナで「ルート」と書きます。道や道程の意味であることは今更言うまでもありませんが、語源欄を見ると意外にも知らなかったことがあります。
フランス語を経て英語に入ってきた"route"は、遡るとラテン語のrumpereという動詞に由来するそうです。
このrumpereという動詞は壊すという意味で、英単語では破る、裂くという意味の"rupture"も同語源です。
このrumpereという動詞の過去分詞形がruptaであり、"route"や"rupture"といった英単語につながってくるのですが、壊されたという形容と「道程」の意味の"route"には隔たりがありますよね。
何故、道を意味する"route"になったのでしょうか。
いくつかの辞書の語源解説を総合すると、ラテン語ではrupta viaという表現から来ているらしく、ラテン語動詞のrumpereの意味を考えると、これは壊された道、というような意味になります。
「壊された道」とはどういうことでしょうか。
想像するに、道というものは整備して開通させるものですが、そのためには草地を刈ったり、山を切り拓いたりする必要があります。ある意味、自然の破壊です。
ちなみに、轍(わだち)を意味する"rut"という単語は"route"が変化して生まれたものとされていますが、イメージとして近いものがあります。
研究社の羅和辞典でrumpereを引くと、"viam rumpere"というフレーズは、道を開拓する、開通する、とあります。("via"は道の意味で、"viam"はその対格(目的格)です。)
つまり、道の意味は"via"という単語にあって、ラテン語のrumpereにはないのですから、これは考えてみるとフレーズの一部が、全く関係のない意味の単語に発展したケースであると思われます。(以前取り上げた"toxic"のケースに似ています。)
Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria
MADRID — Authorities in Gibraltar said Thursday they intercepted an Iranian supertanker believed to be breaching European Union sanctions by carrying a shipment of Tehran’s crude oil to war-ravaged Syria.
A senior Spanish official said the operation was requested by the United States. Iran’s state-run IRNA news agency described the incident as “an illegal seizure of an Iranian oil tanker.”
(Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria. New York Post. July 4, 2019.)
タイトルで使われている、
en route
という表現はフランス語です。
フランス語をかじったことのある人は、"en"が英語の前置詞"on"に相当するフランス語だとわかるでしょう。
"en route"は英語にすると、"on the way" (to, for~)となりますが、このフレーズはフランス語がそのまま英語に借入されたもののようです。
以前取り上げた、"en masse"によく似ています。
ところで、"route"についてはどうでしょうか。フランス語でもスペルは同じ、"route"です。
日本語でもカタカナで「ルート」と書きます。道や道程の意味であることは今更言うまでもありませんが、語源欄を見ると意外にも知らなかったことがあります。
フランス語を経て英語に入ってきた"route"は、遡るとラテン語のrumpereという動詞に由来するそうです。
このrumpereという動詞は壊すという意味で、英単語では破る、裂くという意味の"rupture"も同語源です。
このrumpereという動詞の過去分詞形がruptaであり、"route"や"rupture"といった英単語につながってくるのですが、壊されたという形容と「道程」の意味の"route"には隔たりがありますよね。
何故、道を意味する"route"になったのでしょうか。
いくつかの辞書の語源解説を総合すると、ラテン語ではrupta viaという表現から来ているらしく、ラテン語動詞のrumpereの意味を考えると、これは壊された道、というような意味になります。
「壊された道」とはどういうことでしょうか。
想像するに、道というものは整備して開通させるものですが、そのためには草地を刈ったり、山を切り拓いたりする必要があります。ある意味、自然の破壊です。
ちなみに、轍(わだち)を意味する"rut"という単語は"route"が変化して生まれたものとされていますが、イメージとして近いものがあります。
研究社の羅和辞典でrumpereを引くと、"viam rumpere"というフレーズは、道を開拓する、開通する、とあります。("via"は道の意味で、"viam"はその対格(目的格)です。)
つまり、道の意味は"via"という単語にあって、ラテン語のrumpereにはないのですから、これは考えてみるとフレーズの一部が、全く関係のない意味の単語に発展したケースであると思われます。(以前取り上げた"toxic"のケースに似ています。)
2019年7月4日木曜日
Betsy Ross flag
今日、7月4日はアメリカでは独立記念日の祝日です。1776年の7月4日から243年目となります。
この独立記念日とタイミングを同じくして、アメリカ国旗を巡る論争が勃発しているのは皮肉な話です。スポーツアパレルメーカーのナイキ社が発売したシューズが発端になりました。
(CNN) — A veteran-owned company is facing off against Nike again, this time over a Revolutionary War-era flag.
Nine Line Apparel, a Georgia-based company founded by retired Army Capt. Tyler Merritt, is releasing "Betsy Ross" flag t-shirts after Nike decided to recall shoes featuring the same design.
Nike was set to release a USA-themed Air Max 1 this week but, according to The Wall Street Journal, asked stores to return the shoes after complaints from former NFL star and activist Colin Kaepernick.
"Nine Line Apparel, along with relentlessly patriotic Americans everywhere, cannot believe the total ignorance and lack of understanding displayed by both Colin Kaepernick and Nike in relation to our country's Betsy Ross flag, it's symbolism and meaning," Nine Line Apparel says on its website.
(A veteran-owned company releases a Betsy Ross flag shirt after Nike controversy. CNN. July 4, 2019.)
議論になっているのは、ナイキ社のシューズのかかと部分にあしらわれたアメリカ国旗のデザインなのですが、現代の星条旗ではなく、1700年代後半に生まれたと言われる「原初のアメリカ国旗」になっているものです。
これは別名"Betsy Ross flag"と呼ばれているもので、Betsy Rossはフィラデルフィアで当時初めて星条旗を作製したと言われている職人の名前です。当時の13州を反映して、星の数は13、赤白のストライプが13本になっています。(現代の星条旗は州が増えるに従い星の数が増えて50ですが、赤白のストライプはこの原初の国旗の13で固定されています。)
この"Betsy Ross flag"が当時の奴隷制度を彷彿させるなどとして、著名なスポーツ選手を始めとする人たちから批判が沸き起こり、ナイキ社は新製品のシューズを回収することにしました。
ところが、今度はこのナイキの対応に反発を示す愛国主義者が現れ、"Betsy Ross flag"をあしらったTシャツを発売するという行動に出たというのが引用した記事の内容です。
もう10年以上も前ですがちょうど米国出張中に7月4日の独立記念日があったことを思い出しました。Betsy Rossが住んでいたという家は観光スポットにもなっており、記憶はおぼろげですが訪問したと思います。
近年は花火を打ち上げて盛大に祝う都市もある一方、仕事は休みで静かに自宅で休暇を楽しむ人もいます。本来アメリカ人にとっておめでたい日であるはずの7月4日ですが、主張の異なる人たちによる泥仕合の様相を見せているというのは皮肉な話です。
この独立記念日とタイミングを同じくして、アメリカ国旗を巡る論争が勃発しているのは皮肉な話です。スポーツアパレルメーカーのナイキ社が発売したシューズが発端になりました。
(CNN) — A veteran-owned company is facing off against Nike again, this time over a Revolutionary War-era flag.
Nine Line Apparel, a Georgia-based company founded by retired Army Capt. Tyler Merritt, is releasing "Betsy Ross" flag t-shirts after Nike decided to recall shoes featuring the same design.
Nike was set to release a USA-themed Air Max 1 this week but, according to The Wall Street Journal, asked stores to return the shoes after complaints from former NFL star and activist Colin Kaepernick.
"Nine Line Apparel, along with relentlessly patriotic Americans everywhere, cannot believe the total ignorance and lack of understanding displayed by both Colin Kaepernick and Nike in relation to our country's Betsy Ross flag, it's symbolism and meaning," Nine Line Apparel says on its website.
(A veteran-owned company releases a Betsy Ross flag shirt after Nike controversy. CNN. July 4, 2019.)
議論になっているのは、ナイキ社のシューズのかかと部分にあしらわれたアメリカ国旗のデザインなのですが、現代の星条旗ではなく、1700年代後半に生まれたと言われる「原初のアメリカ国旗」になっているものです。
これは別名"Betsy Ross flag"と呼ばれているもので、Betsy Rossはフィラデルフィアで当時初めて星条旗を作製したと言われている職人の名前です。当時の13州を反映して、星の数は13、赤白のストライプが13本になっています。(現代の星条旗は州が増えるに従い星の数が増えて50ですが、赤白のストライプはこの原初の国旗の13で固定されています。)
この"Betsy Ross flag"が当時の奴隷制度を彷彿させるなどとして、著名なスポーツ選手を始めとする人たちから批判が沸き起こり、ナイキ社は新製品のシューズを回収することにしました。
ところが、今度はこのナイキの対応に反発を示す愛国主義者が現れ、"Betsy Ross flag"をあしらったTシャツを発売するという行動に出たというのが引用した記事の内容です。
もう10年以上も前ですがちょうど米国出張中に7月4日の独立記念日があったことを思い出しました。Betsy Rossが住んでいたという家は観光スポットにもなっており、記憶はおぼろげですが訪問したと思います。
近年は花火を打ち上げて盛大に祝う都市もある一方、仕事は休みで静かに自宅で休暇を楽しむ人もいます。本来アメリカ人にとっておめでたい日であるはずの7月4日ですが、主張の異なる人たちによる泥仕合の様相を見せているというのは皮肉な話です。
2019年7月3日水曜日
amicus curiae
昨日の朝刊で、アメリカのニューヨークで行われた、LGBTの人たちによる大規模なデモ行進を伝える記事が目に留まりました。
東京都心でも趣旨を同じくするパレードがあったことは聞いていたのですが、小生の勤務する会社においても、経営幹部がそのパレードに参加したという写真付きの報告が社内広報を通じてあり、企業経営者にとって性的マイノリティの人たちの権利擁護は避けて通ることのできない話題になっています。
米国ではLGBTだということで職場でいやがらせを受けたり、解雇などの不当な扱いを受ける事例が発生しており、裁判沙汰にもなっています。これら性的マイノリティの人たちの権利が法的にどのように擁護されるべきかについては意見が分かれるところらしいのですが、トランプ政権下では合衆国憲法に規定される市民権(Civil Rights)の規定には当たらないとの見解らしく、LGBTの人たちには不利な状況となっています。
このような状況を受けて、グーグルやアマゾンといった大手企業が性的マイノリティの人たちの権利擁護に関して、最高裁に意見書を提出したというニュース記事から引用します。
Many of America's best-known companies joined a letter to the Supreme Court this week to argue that the court should rule in favor of recognizing gender identity and sexual orientation as protected under existing civil rights statutes.
In a court filing more than 200 companies including Amazon, Microsoft, and Coca-Cola argued that only federal protection would serve as an adequate deterrent to discrimination against LGBTQ individuals.
(中略)
The companies were brought together to join the amicus curiae brief by several major organizations working to advance LGBTQ equality, including the Human Rights Campaign and Lambda Legal.
(John Bowden. Leading corporations urge Supreme Court to strengthen LGBTQ protections in workplace. The Hill. July 2, 2019.)
聞きなれない表現ですが、
amicus curiae
というラテン語が出てきます。
辞書を引くと、法廷助言者、という訳が載っているのですが、係争中の問題や事件について当事者でない立場の第三者のことを指します。
別名、"friend of court"とも表現されますが、同じ話題の別記事では"amicus curiae"の代わりにこちらの表現が使われています。
The companies filed a friend-of-the-court brief arguing that bias against LGBT people is a form of unlawful sex discrimination, and said a ruling otherwise would harm businesses and workers.
(Major companies call on U.S. Supreme Court to rule in favor of LGBT workers. Reuters. July 3, 2019.)
トランプ政権下においては、過去に性的マイノリティの権利を巡って争われた裁判ではその権利を認めない判決を下したケースが実際にありますが、今回の動きを受けて最高裁は10月にヒアリングを開催することになっており、今後の裁定が注目されます。
東京都心でも趣旨を同じくするパレードがあったことは聞いていたのですが、小生の勤務する会社においても、経営幹部がそのパレードに参加したという写真付きの報告が社内広報を通じてあり、企業経営者にとって性的マイノリティの人たちの権利擁護は避けて通ることのできない話題になっています。
米国ではLGBTだということで職場でいやがらせを受けたり、解雇などの不当な扱いを受ける事例が発生しており、裁判沙汰にもなっています。これら性的マイノリティの人たちの権利が法的にどのように擁護されるべきかについては意見が分かれるところらしいのですが、トランプ政権下では合衆国憲法に規定される市民権(Civil Rights)の規定には当たらないとの見解らしく、LGBTの人たちには不利な状況となっています。
このような状況を受けて、グーグルやアマゾンといった大手企業が性的マイノリティの人たちの権利擁護に関して、最高裁に意見書を提出したというニュース記事から引用します。
Many of America's best-known companies joined a letter to the Supreme Court this week to argue that the court should rule in favor of recognizing gender identity and sexual orientation as protected under existing civil rights statutes.
In a court filing more than 200 companies including Amazon, Microsoft, and Coca-Cola argued that only federal protection would serve as an adequate deterrent to discrimination against LGBTQ individuals.
(中略)
The companies were brought together to join the amicus curiae brief by several major organizations working to advance LGBTQ equality, including the Human Rights Campaign and Lambda Legal.
(John Bowden. Leading corporations urge Supreme Court to strengthen LGBTQ protections in workplace. The Hill. July 2, 2019.)
聞きなれない表現ですが、
amicus curiae
というラテン語が出てきます。
辞書を引くと、法廷助言者、という訳が載っているのですが、係争中の問題や事件について当事者でない立場の第三者のことを指します。
別名、"friend of court"とも表現されますが、同じ話題の別記事では"amicus curiae"の代わりにこちらの表現が使われています。
The companies filed a friend-of-the-court brief arguing that bias against LGBT people is a form of unlawful sex discrimination, and said a ruling otherwise would harm businesses and workers.
(Major companies call on U.S. Supreme Court to rule in favor of LGBT workers. Reuters. July 3, 2019.)
トランプ政権下においては、過去に性的マイノリティの権利を巡って争われた裁判ではその権利を認めない判決を下したケースが実際にありますが、今回の動きを受けて最高裁は10月にヒアリングを開催することになっており、今後の裁定が注目されます。
2019年7月2日火曜日
Generation Alpha
これまでにも「世代」を表す呼称を取り上げてきました。ご存知の方も多いでしょうが、
Generation X
Generation Y
Generation Z
そして、
millenial(s)
などです。いわゆる「ミレニアル世代」(millennials)はGeneration Yにほぼ一致します。
ところで、最近ではこれらに加えて、
Generation Alpha
という呼称があるようです。
Companies are shifting focus in order to capture and retain talent in an increasingly digital-focused world.
But researchers are already looking ahead to the next wave of workers, tentatively known as Generation Alpha.
This roughly means those born after 2010 and, crucially, those who have never known a world without smartphones or social media. For context, Instagram was founded in 2010.
(Jeff Parsons. Forget millennials and Gen Z, the rise of ‘Generation Alpha’ is on the horizon. Metro News. June 20, 2019.)
"Generation Alpha"は、"Generation Z"に次ぐ世代、具体的には2010年以降に生まれた世代のことを言うようです。年齢的にはまだ10代にもなっていない子供ですが、この世代は生まれた時に既にスマホやSNSなどが当たり前のように存在していたという特異な環境にあるとされます。
しかしながらそうした特異な環境にも関わらず、"Generation Alpha"のデジタル技術との関わり方は、Generation YやGeneration Zなどと比べると、「バランスが取れている」と言われており、デジタル機器を当たり前のように使いながらも、非デジタル的な身体活動、たとえば編み物だとか木登りなどの屋外活動を好む傾向が認められるそうです。
スマホ中毒患者が街中にあふれる中、人類に明るい兆しを見せてくれる報告のように思えます。
Generation X
Generation Y
Generation Z
そして、
millenial(s)
などです。いわゆる「ミレニアル世代」(millennials)はGeneration Yにほぼ一致します。
ところで、最近ではこれらに加えて、
Generation Alpha
という呼称があるようです。
Companies are shifting focus in order to capture and retain talent in an increasingly digital-focused world.
But researchers are already looking ahead to the next wave of workers, tentatively known as Generation Alpha.
This roughly means those born after 2010 and, crucially, those who have never known a world without smartphones or social media. For context, Instagram was founded in 2010.
(Jeff Parsons. Forget millennials and Gen Z, the rise of ‘Generation Alpha’ is on the horizon. Metro News. June 20, 2019.)
"Generation Alpha"は、"Generation Z"に次ぐ世代、具体的には2010年以降に生まれた世代のことを言うようです。年齢的にはまだ10代にもなっていない子供ですが、この世代は生まれた時に既にスマホやSNSなどが当たり前のように存在していたという特異な環境にあるとされます。
しかしながらそうした特異な環境にも関わらず、"Generation Alpha"のデジタル技術との関わり方は、Generation YやGeneration Zなどと比べると、「バランスが取れている」と言われており、デジタル機器を当たり前のように使いながらも、非デジタル的な身体活動、たとえば編み物だとか木登りなどの屋外活動を好む傾向が認められるそうです。
スマホ中毒患者が街中にあふれる中、人類に明るい兆しを見せてくれる報告のように思えます。
2019年7月1日月曜日
否定形による強意表現(番外編) ― whoop
否定形で用いられて強意の意味となる表現を先週取り上げました。全5回で終わりにしたのですが、週末に新幹線の中で読んでいた本で偶々見つけてしまいましたので、本日は番外編として取り上げます。
その表現とは、
whoop
というものなんですが、あまりお目にかかったことのない単語です。
わぁ、とか、わっ、といった叫び声、歓声、あるいは怒りの声を指すのに用いられる単語です。
なぜかこの"whoop"が、
not a whoop
という形で用いられて、全く、ちっとも~ない、という意味になります。
That's how I felt about Russia, that's how I felt about Stalin. I don't care a whoop for socialism, or totalitarianism, or any of their "isms."
(World Affairs, 1991)
Merriam-Websterのエントリには、"minimum amount or degree: the least bit"という意味が載っているのですが、歓声、怒声の意味からは連想しづらいものがあります。
その表現とは、
whoop
というものなんですが、あまりお目にかかったことのない単語です。
わぁ、とか、わっ、といった叫び声、歓声、あるいは怒りの声を指すのに用いられる単語です。
なぜかこの"whoop"が、
not a whoop
という形で用いられて、全く、ちっとも~ない、という意味になります。
That's how I felt about Russia, that's how I felt about Stalin. I don't care a whoop for socialism, or totalitarianism, or any of their "isms."
(World Affairs, 1991)
Merriam-Websterのエントリには、"minimum amount or degree: the least bit"という意味が載っているのですが、歓声、怒声の意味からは連想しづらいものがあります。
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