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2018年12月5日水曜日

今年の単語 ― toxic

昨日新聞を読んでいたら、何某企業主催の新語大賞の発表について報じた記事が目に留まりました。

大賞に選ばれたのは「そだねー」ということでした。どうでもいいような気もしますが、果たしてこれが新語なのだろうかとも突っ込みたくなるところです。尤も、流行語という側面もあるようなのですが。

それで思い出したのですが、師走となり、英語の世界でもWord of the Yearが発表されているはず、とチェックしてみたら、先月のことでした。

Oxfordによる2018年のWord of the Yearは、


toxic


だそうです。

そうです、毒のある、という意味の"toxic"です。


It’s official: 2018 is toxic.

Well, lexicographically speaking, at least. Oxford Dictionaries has chosen “toxic” as its international word of the year, selecting it from a shortlist that included such politically inflected contenders as “gaslighting,” “incel” and “techlash.”

Katherine Connor Martin, the company’s head of U.S. dictionaries, said there had been a marked uptick of interest in the word on its website over the past year. But the word was chosen less for statistical reasons, she said, than for the sheer variety of contexts in which it has proliferated, from conversations about environmental poisons to laments about today’s poisonous political discourse to the #MeToo movement, with its calling out of “toxic masculinity.”
(Jennifer Schuessler. ‘Toxic’ Is Oxford’s Word of the Year. No, We’re Not Gaslighting You. New York Times. November 14, 2018.)


既に定着している"toxic"という単語が今年の1語とは意外な感がありますが、OxfordのWord of the Yearの選出過程は統計に基づいており、「そだねー」を選出した何某企業の方法については詳しく知りませんが、より学術的な雰囲気がします。

上記に引用した部分でも解説されていますが、Oxfordが提供する辞書検索サイトでの統計のみならず、2018年は"toxic"という単語が様々なコンテクストで使われるようになったということが背景にあるようです。

具体例として、"toxic masculinity"という表現が取り上げられています。

訳すならば「毒のある男らしさ」みたいになりますが、別の言い方をすると女性蔑視でしょうか。トランプ米大統領に見られる言動から、#MeTooで過熱する報道などが引き合いに出されています。

ところで、"toxic"という単語の語源を改めて確認してみると、意外な事実に驚きます。

記事でも以下のように解説されています。


“Toxic” derives from the Greek “toxikon pharmakon,” meaning “poison for arrows.” (The part of the phrase meaning arrows, rather than poison, became the basis for the word.) The current entry in the online Oxford English Dictionary dates its earliest known printed occurrence to 1664, in a book about forests.
(ibid.)


つまり、"toxic"はギリシャ語のフレーズtoxikon pharmakon(意味は"poinson for arrows"、つまり「矢の毒」)から来ているのですが、肝心のtoxiconは「矢」を意味するもので、「毒」を意味するのはpharmakonということなのです。

これは知りませんでしたねぇ。


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