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2020年2月7日金曜日

hitch

先日米議会で行われた大統領による一般教書演説(State of the Union Address)。

トランプ大統領は直前まで弾劾裁判の被告としても審理される立場でしたが、無罪判決は既に視野に入っていたらしく、当日の演説はサプライズの仕掛けも忘れず、文字通り独壇場だったようです。

そうした中、宿敵とも言われる民主党ペロシ議員との確執がクローズアップされる場面もあり、演説後のニュース記事で随分と話題になっています。

当日、演説のため議場入りしたトランプ氏は演台に登壇する際に、下院議長でもあるペロシ氏から握手を求められましたが、これを無視。

大統領の演説中、ペロシ氏の表情は曇る一方でしたが、演説終了後、何とペロシ氏が演説内容を印刷した紙を破り捨てるというパフォーマンスに出ました。

この行為に共和党議員からは批判が殺到、倫理面での責任をペロシ氏に問うべきという声も上がっているようです。

ところで、この件に関する多くの報道記事を読んだのですが、New York Post紙の記事は秀逸で、どうやらペロシ氏は演説終了後に手元のコピーを破り捨てる準備をしていたのではないかとも思われる「証拠」について記事にしています。


House Speaker Nancy Pelosi apparently made tiny tears in her copy of President Trump’s State of the Union address — so that her speech-ripping moment could go off without a hitch.

As Trump introduced cancer-stricken radio host Rush Limbaugh — who received the Medal of Freedom during the speech — Pelosi could be seen grabbing the pages off the table.

Video shows her making what seemed to be a tearing motion and then placing the pages back on the table.
Photos of the sheets of paper show them face down on the table with small slits on the side, near where Pelosi would eventually rip them into pieces.
(Tamar Lapin. Nancy Pelosi ‘pre-ripped’ pages of Trump’s SOTU speech, video shows. New York Post. February 5, 2020.)


その「証拠」というのが、下院議長席に座るペロシ氏の手元の映像で、演説終了後に破り捨てることを最初から考えていたのか、演説内容を印刷した紙の端に少しだけ裂いたような部分があるというものです。

何のために少しだけ裂いてあるのか、について、


so that her speech-ripping moment could go off without a hitch


という説明なんですが、ここで"hitch"という単語が出てきます。

"without a hitch"というフレーズでよく使われるようですが、ここで"hitch"というのは、(想定外の)障害とか困難、支障、躓き、といった意味です。

つまり、演説終了後のまさにその瞬間を狙って破り捨てるというパフォーマンスを考えていたわけですが、そのタイミングでうまく破ることができなかったら格好悪いので、あらかじめ少しだけ裂け目を入れておいた、という訳です。

戻りまして"hitch"という単語ですが、この"hitch"は「ヒッチハイク」という時の"hitch"に同じ単語なのですが、動詞の語義としては引っ掛ける、とかグイっと持ち上げる、といった意味で、今回使われている名詞の意味合いがどうしてヒッチハイクの"hitch"から出てくるのかは実のところよく分かっていないようです。

"hitch"にはこれ以外にもいくつ意味がありますが、語源不詳ともされています。


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