アメリカの厚生当局のトップであるロバート・F・ケネディ氏はワクチン懐疑論者として知られます。
トランプ政権で保健省のトップに任命されるにあたっては資質の是非が問われました。
そのケネディ氏の信条の程は詳しく知りませんが、今日読んだ記事によりますと、氏が信奉するのは、
miasma theory
というものだそうです。
Health Secretary Robert F. Kennedy Jr. has upended medical research and public health in the U.S. in many ways. One of the ideas that could be influencing his overhaul of federal health agencies dates back to ancient Greece.
The miasma theory is one of the first ideas that civilization hatched to try to explain why people get sick.
(中略)
This idea that, in essence, bad air caused illness was later championed by many others, including Florence Nightingale. It also led to some things that did help fight diseases, like cleaning up sewage.
(Rob Stein. Ancient miasma theory may help explain Health Secretary Robert F. Kennedy Jr.'s vaccine moves. NPR. June 14, 2025.)
"miasma"というのは汚す、汚染するという意味のギリシャ語の動詞から来ており、日本語では「瘴気」と訳されています。
日本人でもこの「瘴気」という言葉には馴染みがないのではないでしょうか?
病だれに章と書く「瘴」とは、山川に生じる悪い空気、毒気のことを言うそうですが、現代のように医学が発達していなかった時代には、ある種の病気というものは悪い空気によってもたらされると信じられており、"miasma theory"というのはそうした考え方を指します。
小生もこの「瘴気」という言葉に馴染みは無かったのですが、最近読んだ小説の中で使われているのを目にしました。
その小説というのが、大岡昇平「俘虜記」なのですが、フィリピンの戦線において主人公始め、多くの日本軍兵士がマラリアに感染して「1日3人ずつ死んで行った」とあります。
マラリアは蚊によって媒介される感染症ですが、当時は沼沢地などの空気が悪い場所により罹ると信じられていたそうです。
因みにマラリア(malaria)の語源は悪い空気(mal aria)だそうです。
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