男性の乳がんというのはあまり聞きませんが無い訳ではありません。乳がんは男性もかかる病気です。
その乳がんから生還したアメリカ人男性が、乳がん啓発の基金を始めたというニュースを読みました。
He 86’ed cancer — and is now serving up hope on Long Island.
A chef who miraculously survived lethal male breast cancer is using his “second chance” to organize a fundraising raffle he calls “All Boobs Matter,” which he hopes will help others battle the dread illness.
(Alex Mitchell. Male chef who survived breast cancer holds ‘All Boobs Matter’ fundraiser to aid fellow LI residents. New York Post. October 2, 2025.)
引用記事の冒頭、
He 86’ed cancer
とあります。
数字の86に、-edがついているところから推測するに、これは動詞です。数字が動詞になるというのはとても変わっていますね。
果たして辞書にも86 (eighty-six) という動詞のエントリがあります。
その定義は、
To refuse to serve (an unwelcome customer) at a bar or restaurant.
(American Heritage Dictionary)
というものです。レストランやバーなどで、歓迎されない客の対応をお断りする、という意味で使われるようです。
恐らくその意味から一般化したのだと思いますが、
To throw out; eject.
To throw away; discard.
(ibid.)
という意味合い、つまり、拒絶する、排斥する、といった意味があります。
記事のケースはガンを克服した、ということを"He 86’ed cancer"と言っている訳ですが、ガンから生還して啓発活動を始めたその男性はレストランを経営するシェフということで、"86 (eighty-six)"のそもそもの意味にかけたシャレになっています。
それにしても排除することを何故"86 (eighty-six)"というのでしょうか?
語源欄には同様の意味がある"nix"という単語と韻を踏んだもの(押韻俗語)という説明があります。"six"は分かりますが、"eighty"の方は?と思ってしまいます。
"nix"は以前取り上げた際触れたように、無、無し(nothing, naught)というのが基本にあるのですが、レストランやバーであるメニューが品切れ、提供不可といった場合に"nix"というところ、これが"eighty-six"になったという説があるようです。
歓迎しない客に対してサービスを拒否する際、売り切れ、品切れと言うのは頷けます。
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