海外のレストランなどで食事するとチップを払うことがあります。特にアメリカでのチップの習慣についてはこれまでも何度か話題にしてきたところですが、チップが義務のようになっていることなどが顧客の不満につながっている現実があります。
ファーストフード店やカフェなど、特別なサービスを受けないところでもチップを払うのが当たり前のようになっていたりします。最近ではレジの端末で支払いと併せてチップの額を選択させるようなものもあったりします。
つまりは、チップを払うように仕向けられているというのが顧客の感じるところとなっています。
引用する記事によれば、こうした現実に6割以上のアメリカ人がやるかたない不満やストレスを感じているということです。
We’re guilt-tripping over guilt-tipping.
Two-thirds (65%) of American consumers are experiencing tipping fatigue — up from 60% last year and 53% in 2023, according to an annual study by Popmenu, a tech company serving more than 10,000 restaurants.
Over the last year, people have paid around $150 in tips on average, which they didn’t feel were necessary, with 44% saying they tip at places where they don’t think it’s customary.
(Brooke Steinberg. Average consumer spends $150 per week on ‘unnecessary’ tips: survey. New York Post. October 8, 2025.)
引用した記事の冒頭部分、"guilt-tripping"という単語はよく注意して見ないと、続く"guilt-tipping"と同じかと見間違えてしまいます。
ニューヨークポスト紙お得意のシャレですが、"guilt-trip"という単語がちゃんとあるというのを知りました。
Merriam-Webster Dictionaryでは、
to cause feelings of guilt in (someone) : to try to manipulate the behavior of (someone) by causing feelings of guilt
と定義されており、罪悪感をもたらす(感じさせる)、という意味であることが分かります。
一方、"guilt-tipping"ですが、こちらは辞書に載っているような単語ではありませんが、罪悪感に駆られてする(嫌々ながらの)チップの支払い、という概念を指すものと思われます。
上記の定義にもありますように、"guilt-trip"とは罪悪感を感じさせるという意味の他、相手に罪悪感を覚えさせることでその行動をコントロール(manipulate)しようとする、という意味合いもあるようです。
つまり、動詞"guilt-trip"は、
(自身が)罪悪感を感じる
という自動詞的な意味と、
(相手に)罪悪感を感じさせてある行動を取らせる
という他動詞的な意味のふたつがあると言えます。
後者の用法については、
guilt-trip a person into doing 〜
のようなパターンを取ることが多いようです。
後者は以前取り上げた、動詞としての"guilt"の用法とほぼ同じです。
この"guilt"に"trip"という単語が結び付いたものですが、名詞の"trip"には感情や気持ちがある傾向に傾いたり、とらわれたりすることを指す意味合いがあります。
日々の人間関係の中で、"guilt-trip"を感じることは少なくないのではないでしょうか?
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