トランプ大統領はワシントンD.C.で開催されたマクドナルド主催の会合でスピーチを行い、米国内経済の再生における成果を強調したそうです。
第二次トランプ政権では関税政策により米国内経済を潤すと目論むも、現実はインフレ、物価高による"affordability"の問題が声高に言われています。
President Donald Trump proclaimed an economic golden age under the Golden Arches. But while he may have a regular guy’s taste in fast food, he’s looking oblivious to the wrenching price pressure haunting millions of Americans.
“There’s never been a time like this,” he declared Monday at a summit of McDonald’s franchise owners in Washington. The president waxed lyrical about his favorite Filet-O-Fish sandwiches and fondly recalled his turn working the fry station at one of the fast-food giant’s Pennsylvania restaurants last year.
(Stephen Collinson. Trump’s drive-thru affordability speech won’t fix his political woes over the economy. CNN. November 18, 2025.)
ハンバーガー好きで知られるトランプ氏ですが、スピーチの中では、自身がマクドナルド店舗でフライドポテトを揚げた大統領選挙期間中のパフォーマンスや、特にフィレオフィッシュが好物だなどといった逸話を交えながら経済政策の成果を強調した模様です。
引用した記事のくだりに、
The president waxed lyrical about his favorite…
とあるのですが、ここで使われている動詞"wax"の用法が気になりましたので取り上げました。
ご存知のように"wax"とはカタカナで「ワックス」、艶や光沢を出すために塗る蝋のことです。また、別語源の動詞"wax"には月が満ちる、(大きさなどが)増大するという意味があります。記事で使われている"wax"はこれらいずれの意味合いとも合わないようです。
知らなかったのですが、動詞の"wax"の意味合いには以下のようなものがあるのです。
To speak or write as specified
(American Heritage Dictionary)
to assume a (specified) characteristic, quality, or state : BECOME
wax indignant
wax poetic
(Merriam-Webster Dictionary)
ランダムハウス英和では、古語として、しだいに(・・・に)なる、という意味が載っています。
記事の用例では、
wax lyrical
とありますが、"lyrical"は形容詞であり、文法的な解釈では、"wax"は自動詞、"lyrical"は補語ということになるかと思います。
"lyric"とは叙情詩という意味ですが、"wax lyrical"の言わんとするところはつまりスピーチの内容が詩的なトーン(調子)を帯びた、ということかと思います。(話の内容が詩的なトーンを帯びる、とは分かったような分からないような感じもしますが、ランダムハウス英和では「非常に熱心な」という訳語をあてています。)
このような"wax"の用法を見るのは初めてだったのですが、コーパスで検索すると、"wax lyrical"を始め、
wax poetic
wax nostalgic
wax eloquent
wax philosophic
など、多数の用例が見られます。
ちなみに、American Heritage Dictionaryの解説によると、動詞"wax"に続くのは形容詞であり、例えば"wax lyrically"のように副詞を続けるのは非標準的な用法であると解説されています。
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