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2020年5月6日水曜日

boogeyman

欧米で原因不明の炎症の症例が2歳から15歳の子供らに見られるという報告が相次いでいるそうです。新型コロナウィルス感染症と思われる一方で、川崎病の患者に特徴的に見られる症状でもあることから、にわかに注目が集まっているようです。

新型コロナウィルス陽性でもなく、また同感染症に特徴的な呼吸器症状も見られない患者もいるということから、新型コロナウィルスと川崎病との関連が取り沙汰されています。

USA Today紙の記事からの引用です。


Symptoms of a rare inflammatory condition have been identified in at least 15 children in New York City hospitals, alarming pediatricians across the country and raising concerns about a possible link to the coronavirus.

The patients exhibited symptoms typically seen in Kawasaki disease or toxic shock syndrome, including a persistent fever, according to the city’s health department.

The children were between 2 and 15 years old and were identified between April 29 and May 3. While all the patients had a fever, more than half of them reported a rash, abdominal pain, vomiting or diarrhea.

In an alert issued to doctors, the NYC health department said less than half of the patients exhibited respiratory symptoms. Four of the cases tested positive for COVID-19, while 11 tested negative.
(Adrianna Rodriguez. The 'boogeyman' of pediatrics: What is Kawasaki disease and is it linked to the coronavirus? USA Today. May 5, 2020.)


川崎病という病気は乳幼児に好発するとされる、主に血管の炎症を引き起こす病気ですが、遺伝的素因によるものという説もあるものの、詳しい原因が分かっておらず、その発症過程は謎に包まれています。

病名は小児科医の川崎富作博士がこの病気を最初に発見したことに因むそうです。

さて、USA Today紙の記事では以下のように解説されています。


“Kawasaki disease is one of the great mysteries in pediatrics,” said Dr. Frank Esper, a physician at the Cleveland Clinic’s Center for Pediatric Infectious Diseases. “It’s something we’ve been dealing with for decades.”

(中略)

While doctors know how to treat Kawasaki disease, they still don’t know what causes it or why some people get it. Esper says "a cemetery of different reports" have hypothesized the disease is caused by viruses while others say people may be genetically predisposed.

“Kawasaki disease is the boogeyman to pediatricians,” he said. “It’s extremely difficult to diagnose. Even with the most astute clinicians, we have a hard time figuring out who has it and who doesn’t.”
(ibid.)


引用されている、医師のコメントに、


“Kawasaki disease is the boogeyman to pediatricians,”


というものがありますが、この”boogeyman”という単語を取り上げます。

この単語を知りませんでしたが、辞書を引くと、悪霊、子とり鬼、などと載っていました。(小学館プログレッシブ英和中辞典)

カタカナで書くと「ブギーマン」となるようですが、Wikipediaによれば、伝説や伝承による、言わば妖怪のような存在で、起源は恐らくスコットランドにあるということです。

言うことを聞かない子供やいたずら好きな子供に対して、親などが「ブギーマンがやってきてさらって行く」と脅しつけるのだそうです。

世界各国に似たような伝承があるとされています。

日本ではどうでしょうか。小生の場合は、昔、夜更かししていると、「ホイトにさらわれるよ」と脅されましたが。

さて、川崎病は小児科医にとっての”boogeyman”である、というコメントは、恐らくはこの病気の原因や発症過程が謎に包まれているということと、乳幼児の命を奪ってしまう危険性があることにかけて、そのような表現を使ったものと思われます。

この単語のスペルは”boogieman”、”boogyman”、”bogeyman“、など複数あり、辞書によって見出し語の扱いは様々のようです。

boogieやbogeyなどのスペルは、中期英語に起源があり、幽霊を意味するものですが、”bug”(虫)とも関連しているそうです。


1 件のコメント:

  1. 蘭です。
    この事件についての記事は私も読みました。病症が出た児童はいずれもコロナの患者もしくはコロナをかかったことのある患者だそうです。病症とコロナとの関連性を記事は示しています。もし本当にそうだとしたら、コロナウイルスがより危険なウイルスへ進化・変異しているのではと思います。
    実際のところ、世界で大流行しているコロナウイルスは三種類に分けられるという一説があります。アメリカで発見されたAタイプとAから変異してきたBタイプ(これは主に中国とアジア地域で)とダメージが一番恐ろしいCタイプ(イタリアなど欧州が中心ですが、アメリカに逆輸入したそうです。)があります。今回の記事はまさかDの現れを物語っているのでしょうか。不安です。

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