今日は"lend"という動詞について考えてみたいと思います。
お金や道具、本や自転車など、”貸す”という意味では、基本中のキホン単語でしょう。
日本語で、”手を貸す”、”耳を貸す”はそれぞれ、”助ける”こと、”相手の話を聞く”ことの比喩的な表現ですが、英語でも、
Can you lend me a hand with this package?
lend an ear to the teachings of one's parents
などのように表現されます。
さて、今日"lend"という動詞を取り上げようと思ったのは、下記のような表現に出くわしたのがきっかけです。
“This is the device educators have been eagerly awaiting for generations. This is the stuff of ‘Star Trek’ made real, and not just in terms of cosmetics, but in terms of functionality,” said Thomas White, the school’s iPad integration coordinator. “Tablets are the future of mobile computing, especially in an educational environment. The iPad is the right amount of machine for the pre-college classroom. The laptop is too much machine and does not lend itself to the mobile environment of a high school or a middle school. The smart phone, though powerful, is not enough. The tablet is just right.”
(Julia Clerk. Next Generation Learning. Los Angels Times. August 12, 2011.)
動詞"lend"に再帰代名詞(oneselfやitselfなど)が一緒に用いられる特殊な表現です。上記の引用記事でも使われていますが、"lend itself to"というパターンが多いようです。
この表現の解釈は、”貸す”という日本語を少し忘れる必要があります。多くの辞書では、主語に来る対象(記事で言うとラップトップコンピューター)が、前置詞"to"以下の状況(ここではモバイル環境)に、
役に立つ
向いている
という意味で用いられる、とあります。記事では否定形になっていますので、(iPadに比べて)ラップトップPCはモバイル環境向きではない、という解釈になります。
再帰代名詞として、"myself"や"himself"などと用いられる場合は、
身を入れる
力を貸す
という意味で用いられることもあります。
Basically, I had to put my children away for two years. "I had to put my wife away. I had to put my God away," Howard says of that time. "I had to lend myself to a movie for two years."
(Chicago Sun Times. 2005.)
ですが、コーパスで調べてみると、この種の表現は、再帰代名詞にitself(またはその複数形であるthemselves)を取る前者のタイプが圧倒的に多く、人が主語となって再帰代名詞にmyselfなどを取る後者のタイプは比較的少ないようです。
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