"verse"という単語はキホン500単語とか1,000単語の1つでしょうか、中学か高校で暗記したような記憶があります。意味は、”詩、韻文”です。"verse"イコール”詩、韻文”・・・というように呪文のように唱えたりノートに書きつけて暗記するのですが、元々詩とか韻文などに親しみもなく、また日常生活で実際使うこともないのでそれきりです。それでも今現在、"verse"というスペルを見て、”詩、韻文”という訳を思い起こすことができるのは、一所懸命の暗記の努力のお陰なのでしょうか?
さて、今日取り上げる単語は、"well-versed"なのですが、"-versed"の部分を見て”詩、韻文”を思い出してしまうのは、上記の暗記的学習法の弊害かも知れません。
"well-versed"は詩とも韻文とも全く関係はなく、”熟知した、熟達した”といった意味で用いられる表現だからです。
SINGAPORE: The number of cases of the public making tough demands on frontline staff in government departments has been on the rise in the past few months.
Prime Minister Lee Hsien Loong spoke of this trend in his National Day Rally on Sunday.
Channel NewsAsia finds out how North West Community Council deals with such problems.
"The new generation is very well-versed with all the media and everything, so they know all the assistance that's available. They want immediate assistance, like on the same day," said Jeyanthi Jayabala, senior manager of North West CDC.
To protect officers from abusive members of the public, cameras have been installed in meetings rooms. A "panic button" can also activate security officers when there's violence.
(Wayne Chan. Govt frontline staff face more demanding customers. Channel New Asia. August 16, 2011.)
”熟達している、熟知している”という意味だと書きましたが、続く前置詞はコーパス(Corpus of Contemporary American English)で調べてみますと、
well-versed in
well-versed on
well-versed with
の順に多い事が分かりました。中でも"well-versed in"が217件とずば抜けて多く、"...on"や"...with"はそれぞれ15件、2件と少なくなっています。
上記の記事引用例では"well-versed with"ですので少ない方の用例ということになりますが、最近のニュース記事などで見ると"...with"がもっぱらのように思われます。
"...in"の場合は、
be well-versed in American history
のように、専門分野などについて言う場合に使われることが多く、"...on"の場合は、
be well-versed on the technical issue
のように、特定のテーマや主題について言う場合があてはまるようです。これは一般的な前置詞の用法と同じかと思われます。
では、"...with"の場合はどうなのかということですが、こちらは"with computer"や"with weapons"など、道具や技術に関するものが多く、内容的にも専門分野などというよりは、よりくだけた話が多いように思われます。その意味では、”よく通じている”というような訳語の方が、”熟知している”とか”精通している”というような表現よりも漠然としていてよいのかもしれません。
ところで冒頭で、"well-versed"は詩や韻文とは何の関係もないと書きましたが、語源的には、"verse"(詩、韻文)と同じです。
"verse"、"well-versed"共に、ラテン語のvertere(to turn)から派生したものです。多芸多才を意味する、"versatile"という単語も同様です。
古来、詩や韻文を作るのは言葉の技術に秀でた人に許された技術で、教養があることの象徴でもあったかと思います。現代では多くの専門分野や専門技術、領域が発達を遂げましたが、言葉に見る多芸多才はやはり詩と韻文に通じるようです。
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