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2025年5月8日木曜日

Alcatraz

トランプ大統領がアルカトラズ刑務所を復活再開させて凶悪犯罪者は全てそこに収容すると発言し、物議を醸しています。

アルカトラズ刑務所は米国西部、カリフォルニア州の沖合に浮かぶ島で、かつて大物マフィアや凶悪犯罪者が収容された刑務所として、その名はアメリカ国外でも有名です。

離れ小島であり、周囲の海流は速く、脱走は極めて困難とされます。この刑務所を舞台にした脱走劇が映画にもなりました。

このアルカトラズ刑務所の地名"Alcatraz"に関しては、スペイン語(また、ポルトガル語)で鳥のペリカンを意味するalcatrazから来ているのだそうです。

英和辞典にも語源解説にありますが、スペインの航海者がこの島を見つけて、


Isla de Alcatraces
(Island of Pelicans)


と名付けたということです。実際のところ、アルカトラズ島には多くのペリカンが生息していたそうです。


"English (language) got the term alcatraz from Spanish and/or Portuguese," says Jess Zafarris, the author of word etymology books including Words from Hell and the upcoming Useless Etymology. The word means pelican or diving bird and is thought to have been introduced from Arabic sometime after the Moors conquered the Iberian peninsula in 711 C.E., she says.

(中略)

"There is a cool folk etymology twist, a linguistic swoop, you might say, in English that is pertinent to this discussion," Zafarris says. When English mariners in the 1600s adopted the Spanish word alcatraz, they believed it to be influenced by the Latin albus, meaning whiteness — thus the word for the white seabird, the albatross, she says.
(Scott Neuman. Trump wants to reopen Alcatraz. Here's a look at how it got its name. NPR. May 7, 2025.)


上記の引用記事ではさらに、"alcatraz"(ペリカン)は"albatross"(アホウドリ)と混同されたという逸話に触れています。この逸話もランダムハウス英和辞典に見ることができるのですが、"albatross"は"alcatruz"が変化したものだという説があるようです。アホウドリ("albatross")は体毛が白いですが、"alcatraz"のalca-という部分が、ラテン語で白を意味するalbusに間違って解釈された、いわゆる異分析に基づくもののようです。

実際にはペリカン(alcatruz)とアホウドリ(albatross)は全く別の鳥です。

以前、"albatross"という単語について取り上げたことがありますが、有名な詩の中で、"albatross"を殺めたためにその後の航海で嵐や様々な苦難を強いられたという船乗りの話があります。この詩作に因み、"albtross"は付き纏う苦痛や悩みの種という意味で用いられます。

アルカトラズ刑務所もある意味、刑務所としては水道や電気などのインフラを欠く、大変にお金のかかる、困った施設であったということで、閉鎖され、今は観光地として残っているものです。

"albatross"と"alcatruz"が語源的にも切っても切れないように、アルカトラズ刑務所はアメリカ(とりわけ加州)にとっては"albatross"みたいなものだった、というオチでした。


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