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2025年9月26日金曜日

troll

第2次トランプ政権下、トランプ氏はホワイトハウスのリノベーションを進めているそうで、大統領執務室に金ピカの装飾を施したり、アメリカ国旗掲揚のポールの新規追加、宴会場の建設などが計画されています。

その一環で、歴代大統領の肖像を掲げる回廊、"Presidential Walk of Fame"がこのほど公開されたそうですが、バイデン前大統領の写真は肖像ではなく、オートペン(autopen)の写真が掲示されているそうです。


The White House unveiled a new "Presidential Walk of Fame" Wednesday that shows an autopen machine instead of former President Biden's portrait.
(Jason Lalljee. Trump "Walk of Fame" trolls Biden with autopen signature in place of portrait. Axios. September 24, 2025.)


オートペン(autopen)とは手書き署名の代わりに機械が本物そっくりの署名をしてくれるというもので、バイデン氏が自署せず、オートペンが多用されているということが取り沙汰され、大統領の署名が量産されていると揶揄されたものです。

高尚であるはずの肖像を機械の写真にすげ替えるとは相当の皮肉を込めた仕打ちです。

引用した記事のタイトルでは、


Trump "Walk of Fame" trolls Biden with autopen signature in place of portrait


とありますが、ここで使われている"troll"という単語を改めて取り上げたいと思います。

「改めて」というのは以前取り上げたからですが、14年前の投稿で取り上げた時の"troll"の意味合いは、主にインターネット空間における「荒らし」の行為を指すというものでした。

この"troll"の意味合いは、疑似餌で流し釣りをするという元の意味から生まれたものと言われており、ネット掲示板などにおいて、敢えて刺激的な内容の投稿をすることで他人を挑発、議論に食い付かせるという行為を"troll"というようになったものです。

しかし、上記の記事タイトルの用法は、ネット上の「荒らし」行為というのとは違っているように思われましたので、改めて取り上げたという次第です。

そもそも、ネット上の「荒らし」行為という意味自体、古い辞書の"troll"のエントリには載っていないのですが、14年前は新語的な扱いがされていたと記憶します。

時代は流れ、ネット掲示板の全盛時代も過ぎ去り、今やSNS全盛の時代で"troll"という表現もあまり聞かなくなったようにも思います。

Merriam-Webster Dictionary(オンライン)では、"troll"の意味として、


to harass, criticize, or antagonize (someone) especially by provocatively disparaging or mocking public statements, postings, or acts


という定義を載せていますが、これはネット空間での挑発という行為を指す"troll"の意味をより一般化したものではないかと思われます。

言葉の意味というものは時代の変遷とともに変化していくものですが、"troll"に関してはネット空間、特にネット掲示板で煽るような投稿をする行為を意味していたところが、ネットに限らず他人を中傷する行為を指す意味に一般化されたように思われます。


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