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2025年1月29日水曜日

a shot across the bow

人口知能(AI)における中国の台頭を予感させる出来事がありました。

中国発のAI「ディープシーク」は、米国のOpen AIのチャットGPTに勝るとも劣らない性能をより安価に提供することができるらしいということなのですが、このような市場評価を受けて、AIの高性能チップを供給するNvidiaの株価が急落しました。同社は1日にして時価総額90兆円以上を失ったとされ、米国のハイテク関連株も大打撃を受けたと報道されています。


The release of Chinese AI app DeepSeek has spooked Wall Street as technology investors fear that American companies are falling behind in the race to develop super-intelligent computers.

Those fears have also reached Washington, D.C., where lawmakers of both parties have united around a policy of containing Chinese tech development. Trump administration officials said Monday that the U.S. is failing at that goal.

“DeepSeek R1 shows that the AI race will be very competitive,” wrote David Sacks, the Trump administration’s AI and crypto czar, on X on Monday.
(Why DeepSeek is a Chinese shot across Trump’s bow. Market Watch. January 28, 2025.)


トランプ政権は、TikTokの利用禁止措置に始まり、 AIに使われるチップの中国への輸出禁止、また対中国関税の引き上げなど、中国との対決姿勢を鮮明にさせていますが、今回の「ディープシーク」によるショックは米中のAI戦争を予感させます。

引用した記事のタイトルに着目しましょう。


Why DeepSeek is a Chinese shot across Trump’s bow


とありますが、ここで使われているのは、


a shot across someone's bow(s)


という慣用表現です。

その意味は、


a warning to not do something or to stop doing something
(Merriam-Webster Dictionary)


というもので、


計画の実行を思いとどまらせるための警告
(ランダムハウス英和辞書)


という意味です。

ここで"bow"とは船の舳先のことです。敵対する船舶の舳先に砲撃することは、相手の進行を阻むものであり、戦闘開始の意思表示に他なりません。つまり、警告射撃、ということになります。

「ディープシーク」の一件は、トランプ政権の対中国政策に対する警告射撃、すなわちアメリカがその気なんだったらこっちも考えがあるよ、というような感じでしょうか。


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