飛行機を利用すると必ずと言って良いほどお目にかかる光景に、搭乗ゲートの人だかり、降機時の機内での行列があります。
飛行機の出入口は一つ、これに乗客全員が集中するのですから仕方ありません。降りる際は出口に近い座席の乗客から順序良く降りるのが最も効率的なのですが、着陸してシートベルトの着用サインが消えるか消えないかのタイミングで座席から立ち上がって通路に並ぼうとする人は絶えません。少しでも早く降りたいのは皆同じなのですが・・・。
アテンダントはベルト着用サインが消えるまでは立たないよう呼び掛けるものですが、マナーに訴えるのも限界ということでしょうか、トルコでは我れ先にと通路に出ようとする乗客に罰金を科すことを決めたようです。
Turkish aviation authorities will fine passengers who stand up early and crowd aircraft aisles while waiting to deplane, with penalties for that and other annoying antics reaching nearly $70.
(中略)
Aisle crowders — known in circles online as “aisle lice” — have long faced the ire of irritated travelers who say the behavior is rude and delays everybody’s deplaning process.
Etiquette experts told the Washington Post that the most polite way to deplane is to wait until nearby rows ahead are emptied before entering the aisle, with exceptions for people rushing to catch connections.
(Alex Oliveira. New airline fines will penalize ‘aisle lice’ who stand up and crowd other passengers after landing: ‘Strictly forbidden’. New York Post. May 27, 2025.)
降りる順番にならないのに立ち上がり、荷物を取り出す、また通路に並ぼうとする乗客らは、
aisle lice
と呼ばれ、忌み嫌われています。
ん、どこかで聞いたことがありますね?
搭乗の時も自分の番にならないのに搭乗口付近に押し寄せる客が後を断ちませんが、そうした人達のことを"gate lice"と呼ぶのでした。
さて、今日の1語、"aisle"です。
当ブログの読者の皆さんに対して、この単語は「アイル」と発音します、というのは釈迦に説法というものですね。
しかし、"aisle"とはトリッキーなスペルではありませんか。学校英語の単語テストでは常連かも知れませんね。
この"aisle"という単語は、中英語ではeleというスペルの語だったそうです。語源はラテン語のalaで、肩とか翼という意味です。
中英語ele、"aisle"は教会の堂の真ん中に位置する身廊と呼ばれるスペースの両脇にあり、柱で区切られる細長いスペースを指す言葉だったんですね。これが通路を意味するようにもなったのです。
シンプルだったスペルに発音しないsが加わったのは"isle"(島)という単語の影響を受けたとされています。("isle"という単語もsを発音しませんが、ラテン語で島を意味するinsulaから来ています。)
余談ですが、ラテン語のinsulaは、in saloというフレーズ(salumは海のことで、塩を意味するsalとも関連)から来ているという話があります。海水の海に浮かぶのが島(isle)という訳ですが、言語学者の中ではちょっと眉唾ものの扱いらしいです。
以上はいつもお世話になっているOnline Etymology Dictionaryから引きました。