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2025年9月22日月曜日

hangnail

「さかむけ」のことを英語で"hangnail"と言います。

私のお気に入りの英語辞書では以下のように定義されています。


hangnail

A small piece of dead skin at the side or the base of a fingernail that is partly detached from the rest of the skin.
(American Heritage Dictionary)


a bit of skin hanging loose at the side or root of a fingernail
(Merriam-Webster Dictionary)


この"hangnail"という単語ですが、古英語agnail、あるいはangnailという語が変化したものだそうです。

そのスペルにnailという単語を見て取れますが、ag- 、ang-というのは、痛い(painful)という意味だそうです。さかむけをむくと痛いですから、これはある意味納得です。

ところでMerriam-Webster Dictionaryの解説によると、古英語agnail (angnail) のnailは爪のことではなく、釘のことで、しかも「魚の目」を指したものなんだそうです。魚の目が釘の頭(つまり金槌で叩く部分)と似ているからだそうで、そう言われてみればサイズ的にも近いと思わされます。

「魚の目」と「さかむけ」は別物ですが、どちらも痛いものということでは共通でしょうか。さかむけの意味合いはnail (fingernail) と結び付いて後からできたもののようです。

ag-、ang-という部分も"hang"というスペルに変化し、痛いという意味合いとは関係のないものですが、辞書の語源解説では民間語源とされています。

2020年9月8日火曜日

ジョコビッチ選手の代償 ー love

昨日の投稿で、テニスのジョコビッチ選手が全米オープンで失格処分になった記事を取り上げました。

自身の劣勢に腹を立てて怒りに任せて放ったボールは、グランドスラム達成の目標を台無しにしてしまうという高い代償となってしまいました。

今日もこの話題に関する記事から引用します。


Tennis star Novak Djokovic is getting some tough love after an accidental ball flub got him tossed from the U.S. Open.

Fellow tennis great John McEnroe said Sunday that the Serbian pro would "be the bad guy the rest of his career" after he accidentally hit a line judge with a tennis ball Sunday in a stunning turn of events that saw him disqualified from the tournament in just his fourth-round match.

"The pressure just got to him, I think," McEnroe said on ESPN. "I think a lot’s been going on off the court, it’s obviously affected him. And now, whether he likes it or not, he’s going to be the bad guy the rest of his career. It’ll be interesting to see how he handles it."
(Melissa Leon. John McEnroe on Novak Djokovic's US Open disqualification: He'll 'be the bad guy the rest of his career'. Fox News. September 7, 2020.)


記事の冒頭部分ですが、


Tennis star Novak Djokovic is getting some tough love...


という部分の"love"は、愛情の「ラブ」ではなく、テニスのスコアでいう、零点(ゼロ)を意味しています。

なぜ"love"がゼロの意味になるのでしょうか?

これには諸説あるらしく、Merriam-Webster Onlineの解説が参考になります。

まず、テニスがフランスで生まれ、その後英国に渡ったということなんですが、フランスで卵を意味するl'oaefが、イギリス人には発音が似ている"love"と誤って解釈されたというものです。

卵の形状が数字のゼロを想起させる、ということなのですが、どうやらこれはいわゆる民間語源(folk etymology)というやつで、信憑性に欠けるということです。(何より、フランス語で卵が数字のゼロを意味するという根拠は乏しいようです。)

もう1つの説が、"love"はその本来の意味である「愛」のことであり、プレーヤーが得点や勝ち負け、賞のためではなく、テニスというスポーツそのものへの「愛」があればこそプレーする、というそのことから得点ゼロを"love"というようになったというもので、どちらかと言えばこちらの説が支持されているようです。

それにしても、テニスにおけるスコアリングというのは変わっているようで、1点目は"fifteen"(15)、2点目が"thirty"(30)、というそうです。

そして、3点目は「45」かというと、そうではなく、"forty"(40)、と言いますから、不思議なものです。

ジョコビッチ選手は今回の件により今年の全米オープンは4回戦目にして失格となってしまい、つまりは戦績を残すことが出来ず「ゼロ」になってしまいました。

今後のテニス人生を、テニスというスポーツに対する純粋な愛により取り戻すことができるでしょうか。



2020年4月30日木曜日

rule of thumb

昨日は久しぶりに家族の夕食で焼き肉をしました。

といっても、家庭用のホットプレートを食卓に出して、スーパーで買ってきた肉やら野菜やらを焼いて、タレにつけて食べるというだけなんですが。(個人的に、焼肉専門店で食事するのと、このホットプレートでの自宅の焼き肉は別料理だと思っています。)

小生宅では、牛肉の薄切りは勿論ですが、鶏肉(モモ、ムネ肉)なども人気なので一緒に焼きます。

問題は、焼けるのに時間がかかるということ。生焼けだとサルモネラ菌中毒などの危険があります。

昨晩も焼けたか、まだか、というような問答があったところ、結局のところは自己判断で焼けたと思ったら取って食べてしまうのですが。

偶然にも、鶏肉を加熱調理する際に、十分加熱したかどうかをどのように判断するのか、という話題がCNNで記事になっていました。


What's your rule of thumb when you cook chicken? Is it done when the juices run clear? When it's no longer pink? Or do you test the texture of the meat?

None of these methods is foolproof, and even a meat thermometer may have drawbacks, according to a new study that investigated how people in five European countries cooked chicken.
(Katie Hunt. How do you know if your chicken is cooked properly? It's complicated, say researchers. CNN. April 29, 2020.)


焼いているときに滲み出てくる肉汁の色を頼りにしたり、鶏肉の表面の色合いがピンク色だとまだまだ、とか、いろんな判断基準があるようですが、結局のところどれも当てにならない、というのが、科学的に見たときの結論らしいです。

これらの判断基準とされているものは、結局のところ、


rule of thumb


つまり、日本語で言うと「経験則」ということになるようです。

ところで、なぜ"rule of thumb"、つまり親指のルール、が経験則という意味で使われるのかご存知でしょうか?

私も知りませんでしたのでこれを機会に調べてみたところ、いわゆる民間語源(folk etymology)と呼ばれ、語源に諸説があるようなのですが、はっきりとしたものはないそうなんです。

その中の一説としては、興味深いことに、かつての英国においては、夫が妻を叩くことが法律上認められており、その場合の条件というのが、親指よりも太くない程度の棒で叩くことのみ許容された、ということから、この"rule of thumb"という表現に発展した、という説があります。

これはどうやら眉唾物のようですが、読者の皆さんはどう思われるでしょうか。

その他の説としては、親指というものがモノを測る際の目安に使われてきたという側面に着目します。例えば、親指の幅や爪の長さを、長さ1インチのおおよその目安にすることが多いそうですが、そうした用いられ方から発展した表現という訳です。

小生などにはこちらの説の方がしっくりくるように思いますが、小生の親指のサイズは測ってみたら1インチありませんでした(笑)


2018年10月29日月曜日

box office

映画の興行収入を表現するのに、”box office sales”などという表現が使われるのはよくご存知だと思います。

例えば以下のような使われ方です。


NEW YORK – Michael Myers – or is it Jamie Lee Curtis? – can't be stopped. "Halloween" dominated the North American box office for the second straight weekend, carving up an estimated $32 million in ticket sales.
(Jake Coyle. 'Halloween' can't be killed: It's already the biggest film in the franchise's history. USA Today. October 29, 2018.)


ご存知のように、”box office”というのは映画のチケットを購入する券売所のことを指しているのですが、何故”box office”というのでしょうか?

私は漠然と、こういったイベントのチケット販売ブースが小さな仮設小屋のような建物になっているので、それを”box”と見立ててのことかと思っていました。

しかしながら、どうやら勘違いであったようです。

American Heritage Dictionaryの説明によると、


So named because it was originally an office for the booking of boxes in a theater.


ということで、”box”とは劇場などで少人数がまとまって座る区画、いわゆるマス席のようなものを指しています。

一方、”box”というのは来場者から入場料を徴収するために使われた「箱」のことを指していたという説もあるらしいのですが、こちらはいわゆるfolk etymology(民間語源)とされ、信憑性には欠けるようです。


2018年10月17日水曜日

posthumous

稀代の物理学者として知られるStephen Hawking博士が今年初め亡くなりましたが、博士の死後に出版された著書の内容が話題になっています。

私は石原慎太郎前東京都知事が某新聞のコラムでHawking博士の予言についてたびたび言及していたのが印象に残っているのですが、それは地球と人類がいずれ滅んでしまうというものでした。

下記に引用する記事によりますと、話題の著書の内容というのは人工知能(AI)が人類の運命を左右することについても触れているとあり、興味深く思われます。


Stephen Hawking has a final message for humanity: If robots don’t get us, climate change will.

Hawking, who died at age 76 of a degenerative neurological disease earlier this year, offers his parting thoughts in a posthumously published book called Brief Answers To The Big Questions, which comes out Tuesday. It’s a message worth heeding from a man who is probably the most renowned scientist since Einstein, best known for his discovery of how black holes function. Hawking’s book A Brief History of Time sold more than 10 million copies and tackled questions as big as “How did the universe begin?” and “What will happen when it ends?” in language simple enough for the average reader.
(Abigail Higgins. Stephen Hawking’s final warning for humanity: AI is coming for us. VOX. October 16, 2018.)


さて、今日の一語ですが、「死後の~」を意味する単語、


posthumous(ly)


を取り上げたいと思います。

この単語が「死後の~、死後に起きる~」という意味であることを暗記している人は多いでしょう。接頭辞のpost-は、「後の~」を意味しますから意味も推測しやすいかもしれません。

では、後半部分のhumousという部分ですが、私は勘違いしていたのですが、そのスペルから"human"と関連しているのかな、などと漠然と思っていましたがこれが間違いでした。

この"posthumous"という単語はいわゆる勘違い、語源学の用語では民間語源(folk etymology)によって生まれた単語で、元々は単に「後~」を意味するラテン語の形容詞posterusの最上級postumusだったのですが、humousの部分はラテン語で埋葬を意味するhumareという動詞との連想からそのようなスペルになったものだそうです。

私の推測が勝手な勘違いというのと言ってみればおんなじかも知れません。


2018年6月19日火曜日

コーデュロイ ― corduroy

ふとしたきっかけで、服地のコーデュロイは英語では、


corduroy


というスペルになることを知りました。

それで、"corduroy"を辞書で引いてみたのですが、興味深いことに"corduroy"の語源は一説には、


cord du roy


というフランス語に由来する、というものがあるんですね。

このフランス語"cord du roy"を訳すと、「王様の着物」ということになるんですが、実はこの説は正しくないとされているそうです。いわゆる民間語源、というやつでしょうか。

ランダムハウス英和辞書によると、"corduroy"は西部イングランド原産の毛織物をderoyと呼んでいたそうで、そのderoyから来ているそうです。

コーデュロイは厚手の服地で、縦の溝が特徴的ですが、これが"cord"(日本語では畝)です。

コーデュロイを俗に「コール天」などと呼んだりしますが、この「コール」は"cord"のフランス語読みかと思われました。


2016年9月13日火曜日

cesspool

9/11のテロから15年となった週末、ニューヨークで追悼式典が行われました。大統領選の候補者であるヒラリー・クリントン氏が追悼式典で体調不良を訴え、早々に式典会場を後にしたことが大きく報じられています。

大統領候補者の健康不安がクリントン陣営に影を落としています。


Hillary Clinton’s campaign headquarters has been hampered by illness — including respiratory infections — sending senior staffers to doctors and hospitals.

News of the widespread illness comes the day after Clinton suffered a “medical episode” and departed a 9/11 memorial service early. As she was leaving, Clinton was propped up by aides and Secret Service agents and even appeared to collapse as she entered a waiting van, according to video captured by a bystander.
(Daniel Halper. Clinton headquarters is a cesspool of disease. New York Post. September 12, 2016.)


熱中症による脱水症状などと報じられていましたが、クリントン氏はその後、肺炎の診断であったことを公表しました。

選挙活動の激務が祟ったのでしょうか?

肺炎は感染症ですから、感染元が気になるところですが、一方でさらに感染が拡大する懸念もあります。

クリントン陣営は果たして大丈夫なのでしょうか?

記事タイトルに、


a cesspool of disease


とあります。

"cesspool"という単語を初めて見ました。

意味は、汚水溜め、不潔な場所、ということです。

スペルにある"pool"は「プール」の意味かと思ったらそうではないんですね。

"cesspool"の語源には諸説あるようですが、"-pool"というスペルは民間語源(folk etymology)に影響を受けたもので、元は排水管を意味するsuspiralに由来するということです。

そしてこのsuspiralという単語は通風孔を意味するsospiralから来ており、ラテン語で呼吸することを意味するsuspirareまで遡ることができるようです。


2015年11月4日水曜日

isinglass

ベジタリアンというのは菜食主義者のことです。このベジタリアンにも色々な“レベル”があって、単に肉類を食べないという人から、動物由来のものは一切受け付けない、という完全菜食主義者("vegan"と言います)まで様々だそうです。

ベジタリアンでもアルコール類は問題ないのでしょうか?実はビールも厳密に言うと動物由来の成分が含まれるらしいのです。

ビールで有名なギネス社は、完全菜食主義者に配慮した製造へとシフトするということです。


Guinness is set to become vegan friendly for the first time in its 256-year history, as the company announced its plan to stop using fish bladders in its filters.

A spokesman for Guinness told The Times that the firm would now look at using a new filtration plant that would be vegan-friendly, having previously used isinglass - a by-product of the fishing industry used to help the yeast settle faster.

The new system is due to be installed sometime in 2016.

“Whilst isinglass is a very effective means of clarification, and has been used for many years, we expect to stop using it as the new filtration asset is introduced,” the spokesman told The Times.
(Will Grice. Guinness to become vegan-friendly as fish bladder isinglass filtration process ditched after 256 years. The Independent. November 2, 2015.)


ベジタリアンが気にするビールの成分とは何なのでしょうか?

それは、"isinglass"、別名"fish bladder"と呼ばれるものです。"fish bladder"というのは魚の浮き袋のことで、特にチョウザメの浮き袋というのはゼリーの材料として使われたり、飲料の透明度を増すのに使われるのだそうです。(清澄剤と呼ばれるそうです。)

さて、本日の1語となる、"isinglass"ですがカタカナで“アイシングラス”とも言うようです。スペルから"glass"(ガラス)が見て取れますが、実はガラスでも何でもありません。

"isinglass"はオランダ語huysenblaseに由来するもので、浮き袋を意味するblaseが"glass"に置き換えられてしまった、いわゆる民間語源(異分析)により生まれたものです。


2013年8月16日金曜日

民間語源特集(5) ― avocado

今週は、民間語源による単語という特集でお送りしていますが、最終日の今日取り上げるのは、"avocado"(アボカド)です。

今日の食事のサラダでアボカドを食べたという方もいるかもしれませんね。

アボカドが好きな人も、苦味あるいは淡白な感じのする風味が苦手な人も、この単語に興味深い語源の物語があることを知れば、スーパーに並んでいるのを見て手にとってみたくなることでしょう。

メキシコや中央アメリカを原産とするavocadoは語源としても、メキシコのアステカ族が用いていたナワトル語ahuacatlに由来します。

16世紀にアステカ族を征服したスペイン人はナワトル語のahuacatlを発音しにくいと思ったのでしょうか、aguacateという単語を作ったそうですが、後にスペイン語でlawyer(法律家、弁護士)を意味するabogadoに影響されて、avocadoという単語にしてしまったそうです。

スペイン語のavocadoが英語に取り入れられた訳です。

ナワトル語のahuacatlには睾丸の意味もありますが、恐らく形状が似ていることによるものだとされています。また、果皮がワニの表皮のような印象を与えることから、alligator pear(ワニナシ)とも呼ばれます。

今週のテーマ民間語源特集を終わります。


2013年8月15日木曜日

民間語源特集(4) ― penthouse

今週の特集は、民間語源による単語です。

4日目の今日取り上げる単語は、"penthouse"(ペントハウス)です。ホテルの最上階にある超高級スイートルームや、マンション最上階の特別仕様の一角を思い浮かべます。

American Heritage Dictionaryの語源解説によると、"penthouse"という単語は“かなり出世した単語”なのだそうです。

語源的にはラテン語のappendere(今日、英単語のappendixなどにもなっています)に遡ります。

つまり、"penthouse"とは元々はメインの建物に付属した構造物、せいぜい納屋程度のものに過ぎませんでした。古フランス語でapentizという単語がそのような構造物を意味していました。

その後、中期英語の時代になると、語頭のa-が脱落した、pentisという単語が、そのような納屋とか小屋の意味で用いられるようになります。そしてそのような小屋が通常傾斜した屋根を持っていたことから、フランス語で傾斜(スロープ)を意味するpenteという単語と結び付けられるようになったそうです。

ここにきて、傾斜した屋根のある小屋、ということで、penthouseという単語が誕生します。

"penthouse"が現代のようにアパート最上階にある特別室を指すようになったのはごく最近、1921年頃からだそうです。


2013年8月14日水曜日

民間語源特集(3) ― mushroom

今週の特集は、民間語源による単語です。

今日の単語は"mushroom"(マッシュルーム)なんですが、このスペルをみて"room"という単語が見えてくるのは仕方のないことでしょう。

しかしながら、元々は中期英語(15世紀ごろ)ではmuscheron、あるいはmusserounというスペルの単語だったものです。

つまり、"mushroom"の"-room"という語尾部分は、部屋を意味する"room"とは全く関係がありません。


2013年8月13日火曜日

民間語源特集(2) ― kickshaw

今週は民間語源(folk etymology)のテーマでお届けしています。

2日目の今日は、"kickshaw"という単語を取り上げたいと思います。英和辞書を引くと、


(特に前菜として出る一口程度の)凝った料理,珍味
見てくれだけのおもちゃ


という意味が載っています。

以下は用例ですが、この単語の語源についても触れているものです。


In March or April one might have' a dish of Pease', but otherwise potatoes were the sole representative of the vegetable world. May and Rabisha both also included the smaller 'made dishes' in the French style, often referred to as 'kickshaws' from the French quelque chose (literally 'something', meaning a trifle).
(Anita Guerrini. History Today. 2011.)


お分かりのように、quelque choseというフランス語(英語で言えば"something")がその発音に近い形で、"kickshaw"という英単語のスペルに置き換えられたものです。

英語の中には、外国語の発音になるべく近いような形で自国語の単語(スペル)に置き換えたものが多くあります。

例えば、日本語の大根はローマ字スペルで"daikon"になりますが、diconeやdycone、といったスペルが見られるのもそうです。


2013年8月12日月曜日

民間語源特集 ― cockroach

今週は、民間語源による単語を特集したいと思います。以前に異分析というテーマで単語を取り上げたことがありますが、民間語源は異分析に基づいたものが多いと言われています。

異分析を復習しますと、


捉え方や解釈の間違い、誤解から産まれた単語


という説明をさせていただきました。要は元々の単語を見た人や聞いた人が勘違いしたことから生じた単語ということなのです。

民間語源により生まれた単語というものも少なからず誤解や勘違いによるものがあるようですが、民間語源とは誤解、勘違いに限られるというよりも、単語が必然的にたどる変化の道を示しているように思えます。

民間語源のことを英語で"folk etymology"と言いますが、庶民にとって分かりやすい、なじみやすい形で単語が変化してきているというのがその特徴であろうと思います。

講釈はいいから、という方のために具体例を見ていきましょう。今日の単語は、"cockroach"(ゴキブリ!)です。

語源欄を見ると、"cockroach"は元はスペイン語であるcucarachaに由来すると書かれていると思います。

ところでこのスペイン語cucarachaの"cuca-"とは、毛虫(caterpillar)を意味するスペイン語なのだそうです。American Heritage Dictionaryの語源解説によりますと、この"cuca"は、排泄物を意味する"caca"とも解釈され、文献では"cacarootch"という単語も確認されているそうです。

さて、これらのスペイン語が英語に取り入れられた際に、"cuca"(もしくはcaca)の部分がより馴染みのある、"cock"(雄鶏)というスペルに取って代わられたというのがこの単語の成り立ちだそうです。

当然ですが、ゴキブリと雄鶏(cock)には何の関係もありません。