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2025年1月17日金曜日

fling

記事の引用からどうぞ。


The chance at rekindling this romance flamed out quickly.

A Florida Chipotle worker was arrested Tuesday after he allegedly used a tracking device from Best Buy to keep tabs on an ex-fling from years ago in hopes he could “run into” her, according to authorities.

(中略)

The defendant fessed up to buying the tracker and installing it on his former flame’s car in front of her home “in an attempt to ‘run into’ the victim,” the affidavit states.
(David Propper. Florida Chipotle worker installed tracking device on ex-fling’s car in hopes he would ‘run into’ her: complaint. New York Post. January 16, 2025.)


「元カノ」(!?)のクルマに位置情報追跡のデバイスを取り付けた容疑で22歳の男が逮捕されたというニュースです。

位置情報を追跡するガジェットが安価に入手できるようになった今日、どこにでもあるような話かも知れません。

「元カノ」と書いてしまったのですが、記事では、


ex-fling


という表現が使われています。

動詞の"fling"をご存知と思いますが、放り投げるという意味です。手足などを急に動かすという意味もありますが、この動詞には、あまり後先よく考えずに行動するというような意味合いがあるようです。

そういう訳で、名詞としての意味には、


向こう見ずな挙動
勝手気まま、したい放題
軽い気持ちでやってみること


といったものがあり、さらに、


(一時的な)浮気


ともあります。

American Heritage Dictionaryでは、


A brief, casual sexual or romantic relationship


と定義されています。

記事中には、"(former) flame"という表現も出てきますが、これも恋人の意味です。

引用記事冒頭の、


The chance at rekindling this romance flamed out quickly.


という文では"flame out"という動詞句が出てきますが、恋人の"flame"にかけたシャレになっていますね。


2025年1月16日木曜日

cut both ways

ワシントンポスト紙スタッフらがオーナーのジェフ・ベゾス氏に手紙で直談判、という記事が目に留まりました。

一体何が起きているのか、つられてアクセスしたCNNの記事から引用です。


New York (CNN) — A recent exodus of talent from The Washington Post has prompted more than 400 of its staffers to send an unusual letter to the Post’s owner, Jeff Bezos, expressing alarm over the newspaper’s direction and asking him to intervene.

The employees, including some of the Post’s best-known correspondents, are asking Bezos – who rarely visits the Washington, DC, newsroom – to come and meet with The Post’s leaders.
(Brian Stelter. Hundreds of Washington Post staffers send letter to Jeff Bezos sounding alarm over paper’s direction. CNN. January 15, 2025.)


振り返ってみると、アマゾンCEOであったベゾス氏がワシントンポスト紙を買収したのは2013年でしたので、もう10年以上前ということになります。同紙を黒字転換させたようですが、内部的には色々問題は山積していたのでしょうか、最近は大量の退職者が出ていることが問題のようです。

昨年の大統領選では特定候補を支持しないという表明が物議を醸し、これに落胆したスタッフの退職、また購読者離れを呼んだとされます。

記事では以下のようなくだりがあります。


Bezos, the billionaire Amazon founder, hired Lewis little more than a year ago, charging him with turning around the money-losing publication. Bezos has been a mostly hands-off owner of The Post, and in some ways that has been a blessing, giving the newspaper’s journalists autonomy to write critically about Bezos, Amazon and related topics.

But the owner’s absence has cut both ways, and many staffers have said they wished he would become more involved, particularly on the business side of the institution.
(ibid.)


どうやらオーナーとしてのベゾス氏はポスト紙の運営にあまり口を出す方ではなく、実際の指揮はベゾス氏が雇った社長に任せていたもののようです。

いわゆる放任主義でしょうか。

そして、


But the owner’s absence has cut both ways


とありますが、ここで使われている、"cut the both ways"というのは日本語で言うところの「諸刃の剣」(両刃の剣)という表現に相当する英語です。

剣の刃の両側で切れる(cut both ways)、故に剣を使う自身にも危険が及ぶ(可能性がある)、ということで、効果もある一方でリスクもある、ということの例えの表現です。

リークされたベゾス氏へのレターには、ポスト紙の行く末を案じるスタッフらの声が綴られているとのことです。

ベゾス氏の不介入というマネジメントスタイルが「諸刃の剣」だというのは、スタッフの自主性を尊重することで自由闊達な社風を生み出した(?)という明と、リーダーシップ不在故にポスト紙の大きな方向性が不透明になってしまっているという暗とを指しているものと思われます。


2025年1月15日水曜日

ugg

シューズの商品名を巡る商標権争いで、アメリカの大手シューズメーカーが勝利したというニュース記事です。

Deckers Outdoorという会社はHOKAなどのブランドで有名ですが、アメリカを本拠とするDeckersがオーストラリアのシューズメーカーを商標権侵害で訴えたとのことです。

問題になったのは、"Ugg"という名称。(カタカナで「アグ」)

実のところ、オーストラリアでは商標名というよりも、一般名詞として通っているそうで、"ugg"、あるいは"ugg-boot"と言えば、羊皮を使った、いわゆるムートンのブーツを指すそうです。


An Australian ugg-boot company has changed its brand for foreign customers following a lengthy legal battle with an American rival.

Ugg Since 1974 is owned by Australian Leather and was sued by Deckers Outdoor Corporation for its use of "ugg."

Now, after almost 10 years since the legal battle began, it's been forced to rebrand as Since 1974 for customers outside Australia.
(Lindsay Dodgson. Australian ugg-boot maker forced to rebrand after trademark battle with American rival. MSN. January 14, 2025.)


くるぶしの上辺りまでを覆うような短めのブーツは日本でも見た覚えがあります。(実際、人気のようです。)

このスタイルのブーツの元祖(!?)で、50年以上にわたって製造をしてきたAustralian Leatherは、"ugg"が商標では無く、オーストラリア英語の一般名詞であると主張したようですが、アメリカを含む130か国以上で"Ugg"という名前を商標登録しているDeckersから商標権侵害を訴えられた結果、オーストラリア国外では"ugg"という名称を使えなくなってしまったということです。


2025年1月14日火曜日

luvvie

トランプ次期大統領就任が目前です。かねてより「もしトラ」と懸念された状況が現実となり、軌道修正を余儀無くされる人たちは少なくないようです。

このところよく取り上げられているのはGAFAと呼ばれるIT大手のCEOです。トランプ氏当選後、相次ぐ「トランプ詣で」が報じられました。権力に擦り寄るこれらの企業はトランプ氏に睨まれて事業が立ち行かなくなることを懸念しているようです。

以下に引用する記事はフェースブック、インスタグラムを運営するメタ社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏を取り上げたものです。


Certainly, he seems to be reshaping Meta in the MAGA image. Last week, Zuckerberg announced plans to loosen restrictions on speech on the likes of Facebook and Instagram, recommend more political content on the platforms and abandon independent fact-checking in a bid to, as he put it, “get back to our roots around free expression”.
(Marianka Swain. The transformation of Mark Zuckerberg – from Democrat luvvie to Trump sympathiser. The Telegraph. January 13, 2025.)


かつてフェースブックのアカウントを凍結し、トランプ氏とは敵対関係にあったとも言えるメタ社は、投稿内容のチェックを行う仕組みを事実上無くすことを発表し、180度の方針転換です。

多くのメディアがザッカーバーグ氏を始めとするIT大手CEOらを、トランプ氏に靡いた、膝を屈したと皮肉を込めて報じています。

引用した記事のタイトルでは、


Democrat luvvie to Trump sympathiser


とあります。ここで、"luvvie"とは見慣れない単語ですが、このコンテクストにおいては、やはり皮肉を込めた言い回しであろうと想像がつきます。

手元にある辞書には載っていないのですが、"luvvie"(もしくは、luvvy)は、"lovey"が変化したものだそうで、"love"が元にあります。

ネットで検索してみると、Collins Dictionaryでは以下のように定義されています。


People sometimes refer to actors as luvvies as a humorous way of criticizing their emotional behaviour and their feeling that they are important.


役者についての定義で、記事のコンテクストからはちょっと外れるようですが、この定義自体明らかに侮蔑的なもので、要は「自分に酔っている」みたいな皮肉が込められています。

"luvvie"や"lovey"は親しい間柄、愛するパートナーへの呼び掛けにも使われるそうですが、当事者間には愛情表現であっても、周囲には鼻に付くということもまたよくあるものです。「いちゃいちゃ」しているとか、「べったり」といった日本語はそういう感情を滲ませていますが、それに近いかもしれません。

バイデン大統領の任期中は民主党寄り、リベラルを気取ってきたプラットフォームが、一転して共和党に阿るような態度になったのは誰の目にも明らかで、鼻に付くことこの上ない、という感じでしょうか。

2025年1月13日月曜日

abridgement

アメリカで若者に人気のソーシャルメディアTiktokについて、米国内での利用禁止命令を巡る議論は4年くらい前から起きていると記憶していますが、このところ再び沸騰しています。

というのも、提供元であるByteDance社に対して、アプリを売却するか否かの決断を求めた期限が1月19日に迫っているからですが、トランプ次期大統領が利用禁止措置に対する融和的な態度を示したことなどから、期限の延期ということも視野に入っているようです。


WASHINGTON, Jan 11 (Reuters) - The lawyer for TikTok and its Chinese parent company ByteDance offered a warning during Supreme Court arguments over a law that would compel the sale of the short-video app or ban it in the United States: If Congress could do this to TikTok, it could come after other companies, too.

The law, which was the subject of arguments before the nine justices on Friday, sets a Jan. 19 deadline for ByteDance to sell the popular social media platform or face a ban on national security grounds. The companies have sought, at the very least, a delay in implementation of the law, which they say violates the U.S. Constitution's First Amendment protection against government abridgment of free speech.
(David Shepardson. TikTok warns of broad consequences if Supreme Court allows ban. Reuters. January 11, 2025.)


ByteDance社はここが正念場という感じでしょうか、利用禁止措置がもたらす弊害を広く訴えるやり方にでたようです。

曰く、


the law, which they say violates the U.S. Constitution's First Amendment protection against government abridgment of free speech


ということなのですが、要はアプリの利用禁止措置は言論の自由に反したものであるという主張です。

ここで使われている"abridgement"という単語が今日の1語です。動詞は"abridge"です。

短縮する、要約する、という意味がありますが、ここでは、


(人)から(権利などを)奪う
(研究社新英和大辞典)


という意味で用いられており、動詞"deprive"と同義語です。辞書のエントリには古語とあり、Merriam-Webster DictionaryでもArchaicとあります。(American Heritage Dictionaryでは特に注記はなく、"To limit"、"curtail"と定義されています。)

"abridge"という単語には、"abridged dictionary"といった表記に見覚えがあります。内容を縮約した版というような意味合いですので、やはり"abridgement"には、短くする、という基本的な意味があるようです。

ところで、"abridgement"、"abridge"のスペルから〜bridgeのスペルが目につくところですが、語源欄を見てみますと、"abbreviate"と二重語との説明があります。

"abbreviate"という単語は、接頭辞ab-と、短くするという意味のラテン語breviare(また、短いという意味のラテン語brevis)から来ています。"abridge"も語源を同じくしていますが、両者は異なる音韻変化を経て、"abbreviate"と"abridge"という全く別の単語に派生したのです。