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2026年2月25日水曜日

red-versus-blue

人工知能(AI)を使ったチャットボットがインターネットを始めとして、教育現場にも浸透しつつあります。

最新の報告によれば、10代の子供の64パーセント以上が普段AIチャットボットを使っていると回答し、3人に1人は毎日利用していると答えたということです。

親が思っている以上にAIは子供の間に浸透している、という危機感を報じた記事からの引用です。


This data release comes amid rising safety concerns with AI chatbots, as teenagers turn to the technology for counseling. Concerning reports about bots encouraging dangerous behavior to teenagers with suicidal ideations have driven AI companies to place safeguards on these services. However, child-safety advocates say there is still more work to be done.  

Clinical psychologist Eileen Kennedy-Moore told The Hill’s “Raising America” last December that further regulations on these chatbots are “not optional.”

“This is not a red-versus-blue issue,” she said. “We all love our children, that’s something that we all have in common. So no, these companies do not get to exploit our children.”
(Sarah Davis. Parents are underestimating their teens’ use of AI chatbots: Survey. The Hill. February 24, 2026.)


AI利用にまつわる懸念という点では、未成年がAIチャットボットとの対話の果てに自殺を選んでしまったという痛ましい事件が思い起こされます。報告書では、10代の子供によるAI利用は、学習の下調べの範囲に留まらず、精神的なカウンセリングを目的とした利用にも及んでいると指摘しています。

AIの開発企業は不適切な利用や自殺企図に繋がるような利用を制限するための仕組みを設けるとしていますが、まだ緒についたばかりというところでしょうか。

児童心理学や精神発達の専門家らは、子供を守るための安全対策はまだ不十分であり(still more work to be done)、AI利用の規制は必須である(not optional)と主張しています。

専門家の言が引用されているくだりに、


This is not a red-versus-blue issue


とあるのが目を引きました。

"red-versus-blue"というのは、赤か、はたまた青か、ということですがどういう意味合いで用いられているのかとしばし考えた次第です。

日本語で白黒はっきりさせる、などと言いますが、白は正しいこと、黒は悪いこと、というイメージから来ている表現です。つまり正しいか正しくないかを、英語だと赤か青か、というのだろうかと最初は思いました。

この後に、“ We all love our children, that’s something that we all have in common.”と続きます。子供を思う気持ちは皆一緒、というところでしょうか。

"red-versus-blue"の用例を検索してみると、赤、青は対立する関係の例えとして使われているようです。よって、(子供を守りたいという思いに)敵も味方も無い、というのが妥当な解釈かと思われます。この記事における対立関係としては、AIの規制強化を望む親と、それに対して防御的な姿勢のAI開発企業といったところでしょうか。

一方、アメリカにおいて、赤は共和党の、青は民主党のカラーです。アメリカ国内における分断は赤と青の色分けで語られることがしばしばです。

2026年2月24日火曜日

coprolalia

週末の22日に英国アカデミー賞の授与式が行われたそうですが、セレモニーの最中に起きたハプニングが波紋を拡げています。

そのハプニングとは、表彰式のゲストが突如として差別的発言をしたというものなのですが、悪意や意図があって行なったものではありませんでした。

トゥレット症候群は神経発達症に分類され、自らの意思で制御できない突発的な運動や発言、「チック」と呼ばれる症状が特徴的に見られる病気です。そのトゥレット症候群を患うゲストが"N-word"を発したということです。黒人の俳優が同席する中でのハプニングでした。


The BBC has apologised for not editing out a racial slur from its Bafta Film Awards coverage after a guest with Tourette's syndrome shouted out when two black actors were on stage. 

John Davidson, whose life story inspired the film I Swear, shouted the N-word as Sinners stars Michael B Jordan and Delroy Lindo presented the first prize of Sunday's ceremony.

(中略)

Tourette's is characterised by sudden, involuntary and repetitive movements or sounds, known as tics.

Between 10% and 30% of people with the condition have tics that produce socially unacceptable words such as swearing - known as coprolalia - according to the Tourette's Action charity.

Davidson, a Tourette's campaigner from Galashiels in Scotland, who was made an MBE in 2019, shouted loudly several times before and during the Bafta ceremony.
(Steven McIntosh. BBC sorry for airing racial slur shouted by guest with Tourette's at Baftas. BBC News. February 23, 2026.)


チック(tic)という言葉を聞いたことがあると思います。フランス語から来ているこの単語は、意図せず体の筋肉が収縮したりする症状を指しますが、身体に限らず言語上の不随意なチックというものがあり、"verbaltic"などと表現されます。同じ症状を指す言葉として、記事にはもうひとつ、


coprolalia


という医学用語が出て来ます。

この"coprolalia"とは汚言と訳されます。copro-という接頭辞は汚物(特に糞便)や猥褻なことを意味するギリシャ語koprosから来ています。また、-laliaという部分は話すという意味のギリシャ語laeinに由来します。

授与式の様子を放映したBBCは発言部分を削除せずそのまま配信、そのことで批判を呼び、最終的に謝罪しました。

2026年2月23日月曜日

squirm

祝日の月曜日をいかがお過ごしでしょうか。週末から気温が上がり今日はかなり暖かくなっています。風が強く、花粉も大量に飛散しているのが難点ですが。

さて、今日の1語は、


squirm


です。記事の引用をどうぞ。


Gavin Newsom squirmed as he was grilled Sunday over the rocketing cost of living crisis battering California.

The governor tried to brush off CNN anchor Dana Bash’s fiery questions, quickly pivoting to growth in the tech and agriculture sectors.

Speaking from Nashville ahead of the launch of his memoir “Young Man In A Hurry,” Newsom was pressed on families who had ditched the Golden State for Tennessee.
(Zain Khan. Gavin Newsom squirms as he’s grilled over soaring cost of CA living: ‘People are struggling… like your mom was’. New York Post. February 22, 2026.)


"squirm"を辞書で引くと、体をくねらせる、身悶えする、などという日本語が見えます。この体を「くねらせる」というのはミミズとか蛇、虫などが細長い体を捩ることです。人が体をくねらせるのは痛みとか不快や苛立ちでそうすることから、"squirm"とはそのような感情を反映した挙動という意味合いがあります。

Merriam-Webster Dictionaryの定義は、


to twist about like a worm


とあるだけで、不快感とか苛立ちといったことには一切触れていません。"fidget"の意味合いであるともありますが、こちらは落ち着かない、そわそわしている、という意味合いです。語源は不詳となっています。

一方、American Heritage Dictionaryも同じく語源不詳となっていますが、その定義は、


1. To twist about in a wriggling, snakelike motion; writhe.
2. To feel or exhibit signs of humiliation or embarrassment.


となっており、2番目の意味には負の感情からくるものであることが見てとれます。

いずれの辞書も語源不詳で一致しているところですが、一説によれば"squirm"という単語は、"worm"あるいは"swarm"という単語に関連付けられるとの見方もあるそうです。

そして興味深いのが研究社新英和大辞典の語源欄の解説で、"squid"(イカ!)と"worm"の混成語(つまりかばん語)かもしれないとの記載があります。それ以上の説明は無いので分からないのですが、(wormはまだ分かるとして)何故イカなのであろうかという気がします。

さて、引用した記事の内容はというと、カリフォルニア州知事のニューソム氏とCNNニュースのアンカーとの対談の内容に触れたものです。

物価高騰や住居問題などでカリフォルニア州ではとても生活出来ないという人々が州外に流出している現状を質されたニューソム氏が"squirm"した、というのがその内容です。

この対談の動画を視聴したのですが、インフレや"affordability"の問題、"housing crisis"などといった指摘を受けた知事は、カリフォルニア州の経済成長、特に人工知能分野や農業での成長を語り、世界でも有数の経済規模を誇る州になったと胸を張っています。元々感情をあまり外に出さないタイプのように思いますが、その際の知事の様子には身悶えるとか体をくねらせるというような様子は全く見られません。多少の不機嫌さみたいなところ、あるいは痛いところを突かれたみたいな部分はあったのかも知れませんが、ほとんど動揺する様子も無かったというのが正直な印象です。

では記事の"squirm"とは何を指しているのか?何と訳すのが適当か?という疑問に至ります。

上述したように"squirm"という単語の定義はいまいち明確でないという印象があるのですが、研究社新英和大辞典では、


ごまかして(罪などを)逃れる


という意味を載せています。

私見ですが、記事の"squirm"という表現が意図するところは、加州の住みにくさを指摘された知事が経済成長という別の次元の話を持ち出して言い逃れをした(話しをすり替えた)という見方なのだろうと解釈します。

ちょうど、掴もうとしたウナギが手からすり抜けていくみたいに。

2026年2月20日金曜日

plogging

小生はランニングが好きなので当ブログでもランニングやマラソンの話題を何度か取り上げてきました。今日の1語もジョギングに関するものです。

走ることを習慣にしてからもう17年くらいになりますが、ランナーが気楽に取り組むことのできるボランティア活動に「ゴミ拾いジョギング」というのものがあるということを知ったのは、小生が走るようになってまだあまり日が経っていない頃のことです。その頃はジョギングやランニングに関する書籍や情報を色々と収集していて、その中で知り、興味を覚えました。

「ゴミ拾いジョギング」と書きましたが、最近ではもっぱら"plogging"と呼ばれるようです。


Runners will take part in plogging for this year's Brighton Marathon.

Plogging, which means running and litter picking, has grown in popularity across the world since it started in Sweden in 2016.

The term combines the Swedish word plocka upp (pick up) with jogging and has already been a success in Brighton, with groups like Leave No Trace running plogging events.
(George Carden. The marathon runners picking up litter as they go. BBC News. February 18, 2026.)


引用記事によれば、"plogging"という単語はスウェーデン語で(ゴミを)拾うという意味のplocka uppと、ジョギング(jogging)を組み合わせたかばん語で、2016年頃から使われるようになったとあります。

来月開催される東京マラソンを前に、都内のコースで"plogging"イベントがあると聞きました。

ランナー、ジョガーが日々走る道には色んなものが落ちているというのはよく経験していることで、いつも走らせてもらっているコースを綺麗にしたい、と思うのは自然な気持ちであると思います。

小生はボランティア活動に特に熱心という訳ではありませんが、近所で開催される花火大会の翌朝に、会場の河川敷や緑道でのゴミ拾いをかねたジョギングを毎年行っています。軍手にゴミ袋を握りひとりで出掛けますが、家庭用のゴミ袋(大、45リットル)に入りきらないくらいのゴミが集まります。ゴミを拾っているとランニングはおろか、ジョギングにもなりません(苦笑)。また、花火大会のある夏は気温が上昇するので、結構身体にこたえます。

個人的には"plogging"という言葉より「ゴミ拾いジョグ」の方がどちらかと言うと性に合っているように感じます。



2026年2月19日木曜日

verklempt

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されている話題については先日も取り上げたところです。

今日引用する記事は、同会議に出席したオカシオ・コルテス議員の失態を取り上げた記事です。

記事によれば、パネル討論会では言葉に詰まったり、事実誤認の発言をしたりで精彩を欠いたものだったようです。


Multiple co-hosts of “The View” agreed that Rep. Alexandria Ocasio-Cortez, D-N.Y., had embarrassing gaffes on the world stage while in Germany for the Munich Security Conference.

One of the leading voices of the Democratic Party and a rumored 2028 presidential contender, Ocasio-Cortez has been ripped over several comments she made over the weekend — ranging from being confused about the location of Venezuela to stalling for nearly 20 seconds before offering that the U.S. should try to avoid reaching a clash with China over Taiwan.

Co-host Whoopi Goldberg introduced the clip of Ocasio-Cortez’s stammering answer, noting that “The right is seizing on how she was a little verklempt coming out of the gate.”
(‘The View’ co-hosts agree that AOC had embarrassing gaffes at Munich Security Conference. New York Post. February 18, 2026.)


オカシオ・コルテス氏は民主党の下院議員で、2028年大統領選への出馬も目される、若手ホープ的な存在です。その彼女が、想定される台湾有事に対する見解を尋ねられ、口ごもって殆ど要領を得ない回答に終始した一件では、外交問題に定見を持たないことが露見したと共和党側から揶揄されました。

テレビ番組のコメンテーターが、


she was a little verklempt 


と評しているくだりの"verklempt"とは変わったスペルの単語ですね。初めて見るように思います。

手元の英和辞書には載っていませんでした。American Heritage Dictionaryによると、("farklempt"という異綴りもあるようです)


Unable to speak because of emotion; choked up.


と定義されています。

感情が昂ってしまって言葉が上手く出てこない、そんな状況を指す表現のようです。

"verklempt"という単語はイディッシュ語に由来するとの説明があります。ゲルマン語系に連なるこの単語は、ver-は強意の接頭辞で、klemmenは押さえつける、締め付けるというような意味だそうです。

感情やプレッシャーなどに圧されてしまうという状況をいうのでしょう。

オカシオ・コルテス議員は今回のような国際的な会議での場数はあまり踏んでいないらしく、慣れないプレッシャーに戸惑ったのかも知れないという見方もあるようですが、台湾問題に関する発言や、ベネズエラを赤道より下に位置する国と発言したの動画を見る限り、単に勉強不足という気がしないでもありません。