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2026年9月28日月曜日

order of magnitude

記事の引用からお読みください。


OpenAI, Anthropic and security researchers are investigating tens of thousands of incidents in which their frontier models took steps that outside evaluators would consider problematic, sources told Axios.

Why it matters: The sheer number of incidents, which occurred in recent months in internal testing and the real world, indicates that the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known.
(Madison Mills. Scoop: Top AI companies probing tens of thousands of security incidents. Axios. September 26, 2026.)


最近世間を騒がせている、制御不能になってしまうAI(人工知能)の危険性に関する話しです。これまでにAIがテスト環境から逸脱して実際のシステム脆弱性をターゲットにしたという事例や、オーストラリアでは本来アクセスが許可されない健康保険データベースへの侵入があったなど、幾つかのインシデントが公になっています。しかしながら、実際には何万件というインシデントが発生しているとの報告があり、暴走するAIの事例は我々が知らないだけで枚挙にいとまが無い状況なのだと思われます。

そして記事では、


the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known


というくだりがあります。

この箇所の文意を最初掴みあぐねたのですが、イタリックにした部分、"orders of magnitude"というフレーズの解釈が問題です。

AIのインシデントが認識されているよりも、より複雑なものであった、というのが文意ですが、"order of magnitude"は後続の"(more) complex"を修飾する副詞のような働きをしていると考えられます。

この"order of magnitude"は慣用的なフレーズで、"order"は等級、"magnitude"は大きさ、程度を意味するものですが、いわゆる数字の「桁」を指すと辞書にあります。それは数字としては10倍、つまりゼロ(0)一つ分、ということなのですが、ここでは"orders of magnitude"と複数形ですから、10倍以上、100、1,000という桁違いである、ということになります。

辞書の例文には、


of the same order of magnitude(同程度の大きさの)
Their estate is larger than ours by two orders of magnitude.(彼らの土地は我々のよりも二桁分大きい。(100倍もある。))


といったものが載っています。(研究社新英和大辞典)

これらの用例は、"of the same order of magnitude"や"by two orders of magnitude"であり、前置詞ofやbyがありますが、記事の用例は前置詞がありません。

このような用法は〜倍を意味するtime(s)という名詞が前置詞を伴わずに後続の形容詞を修飾するように使われるのに似ています。


2026年9月25日金曜日

peace sign

先日、約3ヶ月のブランクを経て公務に復帰したマコネル上院議員の話題を取り上げましたが、今日読んだ記事によるとその後も車椅子で登院し、法案議決の投票を行ったと報じられています。

記事によれば、マコネル議員は報道のカメラに向けて"peace sign"をしてみせ、元気なところをアピールしたとあります。


Sen. Mitch McConnell, R-Kentucky, appeared to acknowledge cameras with a peace sign on Tuesday, Sept. 22, after returning to his Washington home from the U.S. Capitol.

The 84-year-old senator was captured on video being pushed in a wheelchair toward the entrance of his residence after spending time on Capitol Hill. As he was being taken inside, McConnell raised two fingers in what appeared to be a peace sign.

The moment came about a week after McConnell returned to the Senate following a months-long absence from public view.
(Anthony Thompson. Mitch McConnell flashes peace sign after Capitol return. USA TODAY. September 24, 2026.)


そうです、"peace sign"とはあの「ピース」のことです。この「ピース」、あるいは「Vサイン」とも呼ばれる、写真を撮る際にカメラに向けられる二本指を立てて作るハンドサインというのは小生が子供の頃流行っていた(?!)と言いますか、当たり前のようにやっていたので、日本人の文化で和製英語だろうと勝手に思い込んでいたのですが、そうでは無いということを知った次第です。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


a sign made by holding the palm outward and forming a V with the index and middle fingers and used to indicate the desire for peace


と定義されています。

この"peace sign"の起源は諸説あるようですが、Wikipediaによりますと、元は"victory sign"、つまりVサインとして始まったもののようです。

昔、戦争で負けた側の兵士は銃の引き金を引くことが出来ないように人差し指と中指を切り落とされたそうですが、この二本指はまさしく"peace sign"、また"victory sign"を形造るのに使う指です。戦いに勝ち残るということは指を切り落とされなかったということであり、勝利をアピールするのにこの二本指を立てたハンドサインが定着したという説です。

この"victory sign"が"peace sign"へと変わってきたのはベトナム戦争の時代だといいます。アメリカなどで反戦運動が高まった時期です。勝利(victory)を声高に主張するのではなく、平和(peace)を希求する、ということでしょうか。

小生が子供の時、写真に写る際にこぞってやるあの「ピースサイン」は戦後に定着したものとの話もあります。アメリカの進駐軍がやっていたのをを真似たということらしいですが、つまりは和製英語でも無かったということで、小生の不勉強を恥じる次第です。



2026年9月24日木曜日

diesel

トランプ大統領が"diesel"の国外輸出を禁止する可能性について言及したと報じられています。

ニュース記事では単に"diesel"と書かれているのですが、これはディーゼルエンジン用の燃料、すなわち日本語でいう「軽油」のことを指しています。ディーゼルエンジンのことなのかと読み違えそうでしたが、英単語の"diesel"にはディーゼルエンジンの意味と、それを動かす燃料(fuel)という両方の意味が辞書でも確認できます。


The oil industry has warned a diesel export ban will backfire and exacerbate the global fuel crisis as President Donald Trump weighs restrictions.

Trump appeared to back an export ban earlier this week, as he faces mounting political pressure to tackle rising fuel prices ahead of the midterm elections in November.

“I’ve said let’s not send out the diesel. We make a lot of diesel,” Trump told reporters Tuesday on the sidelines of the annual United Nations General Assembly. “I’ve called for it within my people. I’ve been talking about it.”
(Spencer Kimball. Oil industry warns a diesel export ban will raise fuel prices as Trump weighs restrictions. CNBC. September 23, 2026.)


トランプ大統領の発言は2ヶ月後に行われる中間選挙を意識したもので、アメリカ国内のガソリン等燃料価格の高騰への対策を意図したもののようです。記事によればアメリカ国内の"diesel"燃料価格は1ガロン当たり3ドル以上高値で推移しており、農業関係者らの経営に悪影響を及ぼしているといいます。しかしながら、"diesel"を輸出禁止にしたところで、価格高騰に歯止めはかからないと経済の専門家は指摘しているようです。

さて、"diesel"は普通名詞になっていますが、このエンジン(内燃機関)を発明したドイツ人
Rudolph Diesel (1858-1913) の名前に由来します。

一般的なガソリンエンジンはエンジンのシリンダ内に噴射したガソリン燃料にスパークプラグで点火することで得られる爆発によりピストンを動かすというものですが、"diesel"エンジンは圧縮して高温になった空気に"diesel"燃料を噴射、これにより燃料が自然発火して爆発することでパワーを得る仕組みです。この発明は、それまでの蒸気機関のエネルギー損失と比較すると画期的なものであったとされます。

今回の話題、"diesel"燃料、すなわち「軽油」も化石燃料という点ではガソリンと同じです。(もちろん、ディーゼルエンジンにガソリンは使えず、その逆も同じですが。)故に、"diesel"燃料の禁輸は燃料価格高騰には効果が無いのだろうと思います。現にトランプ氏の発言を受けて軽油燃料は高騰しているそうです。

2026年9月23日水曜日

macromastia

怪しからんとのお叱りを受けるかも知れませんが、男性というものは女性の胸というものに対して、大きいのが良いというようなステレオタイプ的な見方があるように思います。

しかしながら、女性にしてみれば大きな胸というのは、それはそれで悩ましいものがあるのだとも聞いたことがあります。

引用する記事ですが、体形に比して大きく発達した胸というのは、肩コリや腰痛などの他、様々な身体症状を引き起こすそうで、異常なケースは"macromastia"と呼ばれるそうです。


Women with larger breasts are all too familiar with the backaches and neck pain that can come with a bigger set of ta-tas.

But a new study published today links having disproportionately big breasts with an unexpected health issue — that, on its surface, isn’t connected to the chest at all.

“Many people think of enlarged breast tissue primarily as a cosmetic issue, but our findings suggest it may be associated with a broader range of women’s health concerns,” lead study author Kristyn Pocock said in a press release.

(中略)

The researchers specifically looked at macromastia, a medical condition involving abnormally large breasts. In this case, “abnormally large” refers to breast size disproportionately larger that the person’s frame. There is no specific cup size.
(Rachel Sacks. Having disproportionately big boobs linked to a surprising health issue: study. September 22, 2026.)


体形に比して異常に大きな胸が引き起こす症状には、偏頭痛や睡眠時の呼吸不全などもあり、深刻な問題であるとされます。

さて、"macromastia"という用語ですが、接頭辞のmacro-は説明不要でしょうが、大きいという意味ですね。mastiaという部分に関しては、乳房を意味するmasto-から来ています。(以前取り上げたmastectomyも参照ください。)

このmasto-というのは木の実を指す古英語mastに由来するそうですが、更に遡って印欧祖語ではmad-という語根で、その意味は湿った(moist, wet)という意味なんだそうです。この印欧祖語は派生するゲルマン語系の言語やラテン語などにおいて、上述した木の実の他、食べ物や食べること、飲むことを表す語に繋がっているそうで、乳を出す器官を意味する語になっているのも頷けます。




2026年9月22日火曜日

splay

今日の1語は"splay"という動詞です。(sprayではありません、念の為。)

用例として記事の引用から以下をどうぞ。


“The helicopter just crashed!” a voice in the crowd yelled, drawing eyes away from the splayed-out wreckage of a bus collision that claimed two lives.
(Dalia Faheid. An SUV slammed into a city bus, then the news helicopters took flight. How one tragedy led to another. CNN. September 20, 2026.)


飲酒運転のSUVが停車中のバスに突っ込み2名が死亡という大事故の現場に、報道のヘリコプターが墜落しさらに3名が死亡という凄惨な事故があったというニュースです。

今日の1語は、


splayed-out wreckage of a bus collision


というくだりで、動詞というよりも過去分詞形での形容詞として用いられています。動詞の"splay"(しつこいようですが、sprayではありません)はあまりお目にかかったことがありませんが、広げる、張る、という意味で使われると辞書にあります。形容詞としては、外へ広がった、という意味のほか、不格好な、ぶざまな、という意味があるようです。

SUVが横腹に突っ込んだ後のバスの車体は文字通り酷く損傷しており、ぶざまな様子です。

"splay"という単語の成り立ちですが、"display"の短縮形であると語源欄に説明があります。"display"とはご存知の通り、陳列する、展示する、という意味の動詞であり、原義は(見せるために)広げるという意味です。接頭辞dis-と、たたむ、巻くという意味のラテン語動詞plicareから成ります。畳むことの反対、故に広げる(display)という意味になる訳です。