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2026年2月23日月曜日

squirm

祝日の月曜日をいかがお過ごしでしょうか。週末から気温が上がり今日はかなり暖かくなっています。風が強く、花粉も大量に飛散しているのが難点ですが。

さて、今日の1語は、


squirm


です。記事の引用をどうぞ。


Gavin Newsom squirmed as he was grilled Sunday over the rocketing cost of living crisis battering California.

The governor tried to brush off CNN anchor Dana Bash’s fiery questions, quickly pivoting to growth in the tech and agriculture sectors.

Speaking from Nashville ahead of the launch of his memoir “Young Man In A Hurry,” Newsom was pressed on families who had ditched the Golden State for Tennessee.
(Zain Khan. Gavin Newsom squirms as he’s grilled over soaring cost of CA living: ‘People are struggling… like your mom was’. New York Post. February 22, 2026.)


"squirm"を辞書で引くと、体をくねらせる、身悶えする、などという日本語が見えます。この体を「くねらせる」というのはミミズとか蛇、虫などが細長い体を捩ることです。人が体をくねらせるのは痛みとか不快や苛立ちでそうすることから、"squirm"とはそのような感情を反映した挙動という意味合いがあります。

Merriam-Webster Dictionaryの定義は、


to twist about like a worm


とあるだけで、不快感とか苛立ちといったことには一切触れていません。"fidget"の意味合いであるともありますが、こちらは落ち着かない、そわそわしている、という意味合いです。語源は不詳となっています。

一方、American Heritage Dictionaryも同じく語源不詳となっていますが、その定義は、


1. To twist about in a wriggling, snakelike motion; writhe.
2. To feel or exhibit signs of humiliation or embarrassment.


となっており、2番目の意味には負の感情からくるものであることが見てとれます。

いずれの辞書も語源不詳で一致しているところですが、一説によれば"squirm"という単語は、"worm"あるいは"swarm"という単語に関連付けられるとの見方もあるそうです。

そして興味深いのが研究社新英和大辞典の語源欄の解説で、"squid"(イカ!)と"worm"の混成語(つまりかばん語)かもしれないとの記載があります。それ以上の説明は無いので分からないのですが、(wormはまだ分かるとして)何故イカなのであろうかという気がします。

さて、引用した記事の内容はというと、カリフォルニア州知事のニューソム氏とCNNニュースのアンカーとの対談の内容に触れたものです。

物価高騰や住居問題などでカリフォルニア州ではとても生活出来ないという人々が州外に流出している現状を質されたニューソム氏が"squirm"した、というのがその内容です。

この対談の動画を視聴したのですが、インフレや"affordability"の問題、"housing crisis"などといった指摘を受けた知事は、カリフォルニア州の経済成長、特に人工知能分野や農業での成長を語り、世界でも有数の経済規模を誇る州になったと胸を張っています。元々感情をあまり外に出さないタイプのように思いますが、その際の知事の様子には身悶えるとか体をくねらせるというような様子は全く見られません。多少の不機嫌さみたいなところ、あるいは痛いところを突かれたみたいな部分はあったのかも知れませんが、ほとんど動揺する様子も無かったというのが正直な印象です。

では記事の"squirm"とは何を指しているのか?何と訳すのが適当か?という疑問に至ります。

上述したように"squirm"という単語の定義はいまいち明確でないという印象があるのですが、研究社新英和大辞典では、


ごまかして(罪などを)逃れる


という意味を載せています。

私見ですが、記事の"squirm"という表現が意図するところは、加州の住みにくさを指摘された知事が経済成長という別の次元の話を持ち出して言い逃れをした(話しをすり替えた)という見方なのだろうと解釈します。

ちょうど、掴もうとしたウナギが手からすり抜けていくみたいに。

2026年2月20日金曜日

plogging

小生はランニングが好きなので当ブログでもランニングやマラソンの話題を何度か取り上げてきました。今日の1語もジョギングに関するものです。

走ることを習慣にしてからもう17年くらいになりますが、ランナーが気楽に取り組むことのできるボランティア活動に「ゴミ拾いジョギング」というのものがあるということを知ったのは、小生が走るようになってまだあまり日が経っていない頃のことです。その頃はジョギングやランニングに関する書籍や情報を色々と収集していて、その中で知り、興味を覚えました。

「ゴミ拾いジョギング」と書きましたが、最近ではもっぱら"plogging"と呼ばれるようです。


Runners will take part in plogging for this year's Brighton Marathon.

Plogging, which means running and litter picking, has grown in popularity across the world since it started in Sweden in 2016.

The term combines the Swedish word plocka upp (pick up) with jogging and has already been a success in Brighton, with groups like Leave No Trace running plogging events.
(George Carden. The marathon runners picking up litter as they go. BBC News. February 18, 2026.)


引用記事によれば、"plogging"という単語はスウェーデン語で(ゴミを)拾うという意味のplocka uppと、ジョギング(jogging)を組み合わせたかばん語で、2016年頃から使われるようになったとあります。

来月開催される東京マラソンを前に、都内のコースで"plogging"イベントがあると聞きました。

ランナー、ジョガーが日々走る道には色んなものが落ちているというのはよく経験していることで、いつも走らせてもらっているコースを綺麗にしたい、と思うのは自然な気持ちであると思います。

小生はボランティア活動に特に熱心という訳ではありませんが、近所で開催される花火大会の翌朝に、会場の河川敷や緑道でのゴミ拾いをかねたジョギングを毎年行っています。軍手にゴミ袋を握りひとりで出掛けますが、家庭用のゴミ袋(大、45リットル)に入りきらないくらいのゴミが集まります。ゴミを拾っているとランニングはおろか、ジョギングにもなりません(苦笑)。また、花火大会のある夏は気温が上昇するので、結構身体にこたえます。

個人的には"plogging"という言葉より「ゴミ拾いジョグ」の方がどちらかと言うと性に合っているように感じます。



2026年2月19日木曜日

verklempt

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されている話題については先日も取り上げたところです。

今日引用する記事は、同会議に出席したオカシオ・コルテス議員の失態を取り上げた記事です。

記事によれば、パネル討論会では言葉に詰まったり、事実誤認の発言をしたりで精彩を欠いたものだったようです。


Multiple co-hosts of “The View” agreed that Rep. Alexandria Ocasio-Cortez, D-N.Y., had embarrassing gaffes on the world stage while in Germany for the Munich Security Conference.

One of the leading voices of the Democratic Party and a rumored 2028 presidential contender, Ocasio-Cortez has been ripped over several comments she made over the weekend — ranging from being confused about the location of Venezuela to stalling for nearly 20 seconds before offering that the U.S. should try to avoid reaching a clash with China over Taiwan.

Co-host Whoopi Goldberg introduced the clip of Ocasio-Cortez’s stammering answer, noting that “The right is seizing on how she was a little verklempt coming out of the gate.”
(‘The View’ co-hosts agree that AOC had embarrassing gaffes at Munich Security Conference. New York Post. February 18, 2026.)


オカシオ・コルテス氏は民主党の下院議員で、2028年大統領選への出馬も目される、若手ホープ的な存在です。その彼女が、想定される台湾有事に対する見解を尋ねられ、口ごもって殆ど要領を得ない回答に終始した一件では、外交問題に定見を持たないことが露見したと共和党側から揶揄されました。

テレビ番組のコメンテーターが、


she was a little verklempt 


と評しているくだりの"verklempt"とは変わったスペルの単語ですね。初めて見るように思います。

手元の英和辞書には載っていませんでした。American Heritage Dictionaryによると、("farklempt"という異綴りもあるようです)


Unable to speak because of emotion; choked up.


と定義されています。

感情が昂ってしまって言葉が上手く出てこない、そんな状況を指す表現のようです。

"verklempt"という単語はイディッシュ語に由来するとの説明があります。ゲルマン語系に連なるこの単語は、ver-は強意の接頭辞で、klemmenは押さえつける、締め付けるというような意味だそうです。

感情やプレッシャーなどに圧されてしまうという状況をいうのでしょう。

オカシオ・コルテス議員は今回のような国際的な会議での場数はあまり踏んでいないらしく、慣れないプレッシャーに戸惑ったのかも知れないという見方もあるようですが、台湾問題に関する発言や、ベネズエラを赤道より下に位置する国と発言したの動画を見る限り、単に勉強不足という気がしないでもありません。


2026年2月18日水曜日

infraction

本日もミラノ・コルティナ冬季オリンピックの話題です。

カーリングの試合で相手チームのルール違反の指摘を巡り紛糾、オリンピック委員会も巻き込む騒動となっています。

問題は、カナダ対スウェーデンの試合で、カナダの選手に対して、カーリングのストーンに2度触れたとのルール違反が申し立てられた、というものです。

カーリング競技のルールによると、"hog line"と呼ばれる、ターゲットの6.4メートル前に引かれたラインを超えてからはストーンにタッチすることは違反なのだそうです。

ストーンを狙った位置に如何に近いところで止めるか、カーリング競技の妙味はストーンにどのくらいの推進力を加えるか、微妙な手加減による数センチの正確さが勝敗を分けるところにあるそうです。

ルール違反を指摘したスウェーデンの選手に対し、カナダの選手が口汚い言葉で罵ったという事実もこのスキャンダルを大きなものにしました。


The foul in question is called double-touching. Under World Curling rules, when delivering a stone a player may retouch the handle as many times as they wish — as long as they do so before the hog line, the thick stripe that marks the end of the release zone. Touching the handle after the hog line — double touching — is not allowed.

(中略)

Modern stones have hog-line sensors built into the handles, so they reliably detect late release of the handle. But they don’t detect a brief touch on the granite itself. And without an umpire watching closely — or without video evidence — that kind of infraction can be difficult to spot.
(Kevin Baxter. Olympic curling scandal threatens to forever alter the sport’s culture of trust. Los Angeles Times. February 18, 2026.)


さて今日の1語ですが、「ルール違反」、「反則」を意味する"infraction"です。(紛らわしいのですが、スペルが一部分だけ異なる"infarction"という単語もありますが、こちらは梗塞という病名です。)

関連記事ではストーンがラインを超えてからタッチしたことを、cheat、foul、fault、violationといった単語で表現しています。一方、これらの単語と比べると馴染みが薄いと思われる、"infraction"という表現を使っているものが見られます。"infraction"はルール違反全般、その軽重を問わず使われる一般的な表現です。

その動詞は"infract"となりますが、語源的には"infringe"(他者の権利の侵害)と同じであると辞書の語源欄にはあり、壊すというラテン語の動詞frangereから来ているそうです。(断片を意味する"fraction"も同語源です。)

なお、このラテン語動詞には、約束を破る、という意味もあります。


2026年2月17日火曜日

clinical

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが盛り上がっていますが、スキーのスラローム競技の記事からの引用をどうぞ。


On Monday afternoon in Bormio, the Norwegian Atle Lie McGrath processed his grief in a novel way after the men’s slalom gold medal had slipped away. First, he threw his ski poles as far as he could and then he hid in the woods.

(中略)

Despite skiing in a blizzard, his opening run was smooth and clinical as he stopped the clock on 56.14sec.

That gave him an advantage of 0.59 over the Swiss world champion, Loïc Meillard, into the second leg. Several of his rivals – including Lucas Pinheiro Braathen, who won the giant slalom to give Brazil a first Winter Olympic medal in their history – had crashed out.
(Sean Ingle. ‘I just needed some time for myself’: Norwegian skier hides in woods after slalom gold heartache. The Guardian. February 16, 2026.)


記事はノルウェーのトップ選手が優勝を逃してしまったという話しです。レースの出だしは好調だったようですが・・・。記事のくだりに、


his opening run was smooth and clinical 


という部分があります。

"clinical"という表現が目に留まった次第です。臨床という意味がまずは思い浮かぶのですが、このコンテクストでは当てはまりません。

辞書を引いてみると、


Objective and devoid of emotion; coolly analytical
(American Heritage Dictionary)

Done or performed with excellence and precision 
(Merriam-Webster Dictionary)


などといった意味合いでも用いられると分かりました。こんな意味もあったの?と、またまた不勉強を恥じます。

"clinical"という単語はギリシャ語からラテン語を経ているのですが、遡ること印欧祖語klei-は横たわるという意味で、ギリシャ語klinikosはベッドのことだそうです。病人が横たわるベッドということから、臨床、病の治療に関する意味合いになったものです。

この"clinical"が、恐らくは臨床の現場やプラクティスから想起される、感情を極力排した客観性や分析的な態度を表す表現として使われるようになったのだと思われますが、それは1928年頃からのことらしく(Online Etymology Dictionary)、比較的最近のことのようです。

正確無比、精緻さという意味合いもやはり医学のイメージから想起されるものなのでしょう。

"clinical"という形容詞の用法としては珍しく、あまりお目にかかることは無さそうなので、記録としておきたいと思います。