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2026年7月17日金曜日

schlep

飛行機で緊急脱出の際には手荷物は機内に残して身一つで逃げること、というのが常識であります。幸いなことにそのような状況に遭ったことはありませんが、飛行機に乗ると必ず緊急脱出時のインストラクションとして聞かされる内容です。

アメリカ連邦航空局(FAA)がこのルールの啓発動画をSNSで公開したところ10万回以上再生されており、注目を集めているようです。


With the friendly skies increasingly becoming an inflight free-for-all, the Federal Aviation Administration is warning passengers against one dumb and dangerous evacuation habit — trying to leave with one’s bags.

“Save a life not a bag,” the organization cautioned in a video PSA with over 100,000 views on X.

(中略)

he video was part of the “Save a Life, Not a Bag” campaign launched by the International Air Transport Association, or IATA, in June to help combat the uptick in people schlepping their suitcases during impromptu deplanings.
(Ben Cost. FAA warns that passengers are making life-threatening mistakes. New York Post. July 16, 2026.)


啓発動画作成の背景には、緊急脱出時に手荷物を持って逃げようとする乗客が増加傾向にあるということがあるようです。

記事中、


schlepping


という表現が使われていますね。

動詞の"schlep"(あるいはschlepp)はイディッシユ語からの借用語で、重い荷物を引き摺るという意味です。また、自動詞として、引き摺るようにノロノロと歩く、という意味もあります。


2026年7月16日木曜日

cilantro

アメリカ・ミシガン州で、酷い下痢の症状を呈する患者が急増しているとのニュースをここ数日目にしています。

寄生虫を原因とするサイクロスポーラ症(cyclosporiasis)と呼ばれるものだそうですが、厚生当局も本格的な調査に乗り出した模様です。

感染源は生野菜が疑われているようですが、患者への聞き取り調査ではファーストフードレストランのタコ・ベルで食事をしたと言っている人が多いということから、タコ・ベルの食材に問題があった可能性も報じられています。

タコ・ベルは原因究明への協力姿勢を示し、生野菜の取り扱いを休止すると発表しています。


Amid an outbreak of cyclosporiasis, a parasitic gastrointestinal illness that has infected 3,309 people in Michigan as of July 14, at least some Taco Bell restaurants stopped serving lettuce and cilantro, the Detroit Free Press learned after visiting six metro Detroit locations July 8-9.

Employees at Taco Bell restaurants in Trenton, Woodhaven, Wyandotte, Taylor, Riverview and Southgate all said those fresh produce items are no longer being served. No officials from the government or Taco Bell have publicly linked the fresh produce from the restaurant chain to the outbreak.
(Several Taco Bells stop serving lettuce as cyclosporiasis cases rise. Detroit Free Press. July 14, 2026.)


ファーストフードのメニューに使われる生野菜といえばまずはレタス、それにトマトやキュウリ、タマネギ(のスライス)などが思い浮かびます。

レタスは今回の一件でも感染源として濃厚と見られているらしく、別記事でもレタスはよく洗ってから食べるようにとのアドバイスを見かけます。

タコ・ベルが取り扱いを中止した野菜に、


cilantro


というものが含まれています。これは何?

辞書を引くと、コリアンダーと載っています。なるほど。

でも、コリアンダーを指す英単語としては"coriander"もあるんですね。記事でも、"coriander"と書いてあれば、カタカナの「コリアンダー」を知っている日本人にもすぐ分かるところですが、"cilantro"は辞書を引くことになります。

実のところ、"coriander"も"cilantro"もラテン語coriandrumから来ているんですね。このラテン語がcoliandrum(何故かrがlに変化?)となり、スペイン語ではcilantro となったものが英語に輸入されたようです。

ラテン語のcoriandrumはギリシャ語koriannonから来ており、ギリシャ語のkorisとは何とカメムシを指すのだそうです。この野菜の独特の臭いがカメムシを想起させたからだそうです。

お好きな方はご存知でしょうが、コリアンダーは最近流行りのパクチーと同じものを指します。癖のある香りですが、カメムシとは思いませんでしたね。

セリ科コエンドロ属に分類される植物との説明がありますが、「コエンドロ」というのも"coriander"がどう変化したものか、不思議ですね。


2026年7月15日水曜日

grease one’s way

社会的な地位のある人は交通違反も免れる、という事例のひとつでしょうか。


Nevada Gov. Joe Lombardo greased his way out of a ticket after allegedly failing to stop at a red light, simply by revealing his identity to a Las Vegas patrolman.

Bodycam footage captures the moment the officer approached the window of Lombardo’s light-gray Ford F-150, offering a polite, “Hello, how are you doing, sir?”

The highfaluting governor immediately cut him off, stating: “I’m Joe Lombardo.”
(Daniel Cody. Nevada governor pulled over, immediately flexes status and avoids red light ticket: ‘I’m Joe Lombardo’. New York Post. July 14, 2026.)


赤信号を無視したフォード車を停止させた警察官はドライバーがネバダ州知事と分かると無罪放免にしたそうですが、どういうわけかその一部始終を録画したボディカムが暴露されています。

記事は、知事が自身の名を名乗ることによって交通違反摘発を免れたとして、


greased his way out of a ticket


と表現しています。

"grease"とは潤滑油のグリスのことですが、動詞には、


(物事の)進行・開始を容易にする、促進する、早める


という意味があります。つまりは機械にグリスを塗って動きを良くすることから生まれた比喩的な意味合いです。

ここでは"grease one's way (out)"ということなのですが、要は自分自身の都合の良いように働きかけ、要求を通したり、義務を免れたりするということです。

"grease"の動詞の意味には、賄賂を使う、というものもあり、"grease one's way"に関しても多少後ろ暗いところがあるというか、批判的なニュアンスも込められた表現だと言えます。


2026年7月14日火曜日

high-tail it

昨日の記事でニューヨークの露天商とその取締りのいたちごっこという話題を取り上げましたが、その記事でもうひとつ目に留まった表現がありましたので、今日はそれを取り上げます。その表現は、


high-tail it


というフレーズです。


Stores along the busy stretch of Chinatown have been here before. Occasional police raids force illicit merchants to high-tail it when the cops show up to confiscate their ill-gotten goods — only for the unscrupulous sidewalk peddlers to set up shop again when the coast is clear.
(NYPD raids illegal NYC vendors again — but Canal Street businesses say it won’t change a thing. New York Post. July 12, 2026.)


この"high-tail it"という表現は、急いで逃げる、一目散に逃げる、という意味なのですが、"high-tail"とは畜牛の群れが急走する時尾を上げること(研究社新英和大辞典)を指すということです。(「群れ」ということは、急いで逃げるのはひとりではなくて複数というこちですかね。)

尻尾を巻いて逃げるという日本語表現にも見られるように、"tail"には敗走や脱落、落伍の意味合いがあります。"high-tail it"は尻尾を跳ね上げるくらい慌ててその場を後にする様子がリアルに感じられますね。


2026年7月13日月曜日

いたちごっこ - cat-and-mouse

記事の引用からどうぞ。


It’s an endless game of cat-and-mouse.

NYPD cops on Sunday launched their latest raid on the illegal open-air marketplace of counterfeits that has long turned Canal Street into an unsightly nightmare — but skeptical brick-and-mortar businesses say it won’t change a thing.

“They’re going to go wherever they get their stuff and set it right back up in five minutes,” the manager of a neighborhood beauty salon told The Post.
(NYPD raids illegal NYC vendors again — but Canal Street businesses say it won’t change a thing. New York Post. July 12, 2026.)


ニューヨークはチャイナタウンの近く、盗品や偽ブランド品を売る露天商で賑わう界隈があるそうですが、警察当局が取締りに本腰を入れているとの内容です。しかしながら、売る方も生活がかかっていると見え、摘発が入れば逃げ、ほとぼりが冷めた頃にまた戻ってくる・・・。そういう事が繰り返されているというものです。

いわゆる、「いたちごっこ」の状況です。

英語では、


cat-and-mouse


と表現されています。引用記事の冒頭で使われていますが、この箇所をいたちごっこと訳すのが適当でしょう。

辞書で"cat-and-mouse"を引いてみると、以下のような定義が見えます。


1. Playfully or teasingly cruel, as in prolonging the pain or torment of another: the cat-and-mouse tactics of the interrogators.

2. Of or involving a suspenseful and sometimes alternating relation between hunter and hunted: "another cat-and-mouse thriller" (New York Times).
(American Heritage Dictionary)


behavior like that of a cat with a mouse: such as
a: the act of toying with or tormenting something before destroying it
b: a contrived action involving constant pursuit, near captures, and repeated escapes
(Merriam-Webster Dictionary)


いずれの辞書も、1番目の定義には猫がネズミをなぶりものにする習性に関連する意味合いを置いていますが、2番目の意味として、猫がネズミを追い、ネズミは逃げる、その繰り返し、という意味を挙げており、これが日本語の「いたちごっこ」に当たると考えられます。

このような猫とネズミの関係は日本と海外とで変わるものではないと思いますが、日本語の「いたちごっこ」は何故イタチなのでしょうか?

手元にある広辞苑を引いてみると、この表現は江戸時代の子供の遊びに由来するものだそうです。

「いたちごっこ、ねずみごっこ」と言いながら、手の甲をつねり、左右の手を重ねていくという遊びだとの説明があります。同じような動作を繰り返しながら、終わりが無い、ということから現在我々が言う「いたちごっこ」の意味になったそうです。

英語と日本語、ネズミは同じで、猫とイタチだけの違いですね。

ネズミもイタチも家屋に棲みついて天井裏などを荒らす害獣とされるようです。「いたちごっこ、ねずみごっこ」は害獣としてのイタチ、ネズミの被害が繰り返されて果てしないことを言ったものでしょうか。

一方で、英語の"cat-and-mouse"は追うもの(cat)と追われるもの(mouse)の対比です。

果てしのない繰り返しはむしろ、ネズミのしぶとさにあるかも知れません。

ネコにネズミが噛み付いた・・・、あべこべだ、ネコ叩き

ネズミだって生き物さ、ネコだって生き物さ・・・