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2026年5月26日火曜日

drip-feed

フェラーリの電気自動車(EV)モデルがお目見えしたとのニュース記事を読みました。

フェラーリといえば誰もが憧れるスーパーカー、ではないでしょうか。うなりをあげるエンジン音、他を圧倒する排気量と馬力、そんなイメージがありますが、そのフェラーリがEVとは時代の流れなのかとも思います。


Well, Ferrari has not been the first. But it has certainly taken the award for most anticipated EV launch ever, what with the drip-feed strategy of an initial model “nickname” of Elettrica, then last October's powertrain reveal, then, in February, the Apple-esque LoveFrom-designed interior spearheaded by Jony Ive and Marc Newson.

Today’s reveal of the exterior in Rome by Ferrari ends the secrecy and completes the process. This is the Luce (Italian for “light”), the most consequential thing Maranello has made in decades.
(Jeremy White. The Electric Ferrari Luce Is Finally Here, and It’s Unlike Anything Before It. Wired. May 25, 2026.)


記事中、"drip-feed strategy"という言葉が出てきます。この"drip-feed"を辞書で引くと、点滴と載っていますが、"drip-feed strategy"とは点滴が少しづつ栄養や薬液を体内に送りこむように、情報を少しずつ、小出しにするやり方を指しています。一度に全てを公開するのではなく、相手の興味を惹く情報を限定的に発信することでより注目を集めるという戦略ということです。その意味では"teaser"に近いものがあると言えます。

"drip-feed strategy"は投資やファイナンスのコンテクストでも使われるようです。また、マーケティング手法としては"drip marketing"という言葉もあるようです。

2026年5月25日月曜日

bandy

今日の1語は"bandy"という単語です。名詞のように見えますが、動詞です。

意味は、やり合うとか意見交換する、というような意味です。以下の引用では後者の意味合いで使われています。


With the deadlocked war in Iran about to enter its fourth month, loose comparisons with previous US quagmires in Iraq, Afghanistan and Vietnam are bandied about. When the conflict began, warnings of another “forever war” seemed exaggerated.
(Simon Tisdall. An ever-expanding catastrophe over Iran is not inevitable. Trump can and must be stopped. The Guardian. May 23, 2026.)


この"bandy"という動詞は元々、テニスでボールを打ち合うという意味があり、そこから議論ややり取りで意見を交換する、やり合う、言い合うというような意味に発展したようです。

スペルから想像がつくように、"band"という単語と語源的に関係があります。しかし、ご存知のように"band"という単語には、縛るものとしてのバンド、という意味の単語と、グループ、隊を意味する単語の2つがあり、辞書では別の単語という扱いです。

興味深いことに、"bandy"のエントリで語源欄をチェックすると、


American Heritage Dictionaryによれば、グループ、隊を意味する"band"に由来、

Merriam-Webster Dictionaryでは、束縛を意味する"band"に由来、

研究社新英和大辞典では、束縛を意味する"band"に由来、

ランダムハウス英和辞典では、グループ、隊を意味する"band"に由来、


というように、説明が分かれています。これはどういうことなんでしょうね?

結論から言うと、束縛の"band"も、グループの"band"もゲルマン語系であり同じ語源に辿り着くんですけどね。

ひとつ勉強になったのは、グループを意味する"band"は、縛るための縄や紐を指す"band"が識別のための帯(バンド)の意味になり、目的を同じくする仲間内で同じ帯("band")を身に付けることから生じたということです。

今日の1語に戻りますと、やり合う、応酬するという"bandy"の意味合いは、相対するグループ(即ち、band)のやり取りから生じたということで、語源的な説明としてはAmerican Heritage Dictionary、ランダムハウス英和辞典の説明が筋が通っているように思われます。


2026年5月22日金曜日

look over one’s shoulder

米IT大手のリストラが報じられています。メタ社は8000名規模の解雇を発表しました。

AI(人工知能)分野へのリソース集中を標榜しているそうです。いつぞやのメタバース事業(metaverse)とやらには見切りをつけたようです。

リストラは社員にとっては歓迎されるものではありません。CEOのザッカーバーグ氏は社員向けのアナウンスでは配慮も滲ませているそうです。


Mark Zuckerberg is signaling that Meta employees can stop looking over their shoulders.

After long emphasizing cost-cutting, management flattening, and "Year of Efficiency" rhetoric, the Meta chief struck an empathetic tone in his post-layoff email to employees on Wednesday — emphasizing stability, conceding communication failures, and promising to "do right by people along the way."

In his internal email to staffers, he thanked the roughly 8,000 workers who were being let go and emphasized his desire to provide "as much stability as possible" to those who remained.
(The strategy behind Zuckerberg's softer tone — and layoff reassurance. Business Insider. May 22, 2026.)


引用記事の冒頭部分で、


look(ing) over their shoulder


という表現が出てきます。

主語は"Meta employee"、即ちメタ社の社員です。社員らが自らの肩越しを見る、というのが字義通りの訳となります。

この表現は慣用句です。Merriam-Webster Dictionaryでは、


to worry or think about the possibility that something bad might happen, that someone will try to cause harm, etc.


という意味であると定義されています。

つまり、将来、行く末を不安に思う、というような意味合いです。大規模リストラの発表に社員は次は自分の番かと不安に苛まれるものです。

肩越しを見る、というのは、振り返って後ろを見る時に視線が肩越しになるというイメージですが、そういう時というのは後ろから何かが迫ってくる時とか、前を向いている時には見えていない後背部に目を向ける訳で、想定外のことに対する本能的な反応とも言えます。


2026年5月21日木曜日

sinew

アメリカの攻撃を受けたイランはホルムズ海峡を封鎖するという対抗措置に出ました。原油の供給に不安が生じ、世界に混乱をもたらしています。軍事力で大国に敵うはずもないところ、海峡封鎖は対抗措置として奏効しているとも言えます。

イランの次なる一手に、同海峡の海底を通る通信ケーブルの遮断があるそうです。報道によれば、イランの高官らが、海底ケーブルを利用する企業から利用料徴収を検討中、とSNSなどで発言しているとか。拒否すればケーブル網を遮断するという脅しでもあり、そうなるとインターネット通信に大変な混乱が生じると見られています。


Could undersea cables – the sinews of the global internet – become the next frontier in the US-Israel war against Iran?

Last week, two Iranian state-linked media channels, Tasnim and Fars, suggested Iran could leverage its power over the strait of Hormuz, the 25-mile (40km) stretch between Iran and Oman, by charging US tech companies to use the internet cables that traverse the strait. Tasnim implied this could be a lucrative proposition, netting Iran hundreds of millions of dollars each year.
(Aisha Down. How realistic is threat of Iran charging to use internet cables under strait of Hormuz? The Guardian. May 18, 2026.)


上記引用で、ホルムズ海峡を通る海底ケーブルはアジア諸国と中東、ヨーロッパを繋いでいるもので、


the sinews of the global internet


と表現されています。

"sinew"とは腱のことで、体の様々な部位において筋肉と骨を結びつける繊維組織のことですが、比喩的に、システムや構造を支える柱となるもの、「大黒柱」というような意味合いがあります。

語源的にはゲルマン語系で、繋ぐという原義の印欧祖語から来ています。以前取り上げましたが、ラテン語nervusは腱と神経の両方の意味がありますが、同じ印欧祖語のようです。


2026年5月20日水曜日

proof

昼休みにニュース記事を斜め読みしていたら、


How to oil-proof your life


というタイトルに目が留まりました。

"oil-proof"とはどういう意味なんでしょうか?つられて記事にアクセスしたという次第です。


How to oil-proof your life

Gasoline prices are up more than 50% since the start of the war in Iran. Can average Americans protect themselves from those higher costs?
(Chris Isidore. How to oil-proof your life. CNN. May 19, 2026.)


中東情勢に伴うガソリン価格の上昇は特にアメリカ国民の懐に打撃を与えていると報じられていますね。自らの財布を守るためにはどうすればいいか、出費を抑えるには?

記事を読むとガソリンをいかに節約するかといったようなことが触れられています。よって、"oil-proof"とは原油(oil)価格の高騰に影響を受けないようにする、という意味合いであるとわかりますね。

"proof"という単語はご存じの通り証明とか証拠、立証という意味がまず思い浮かぶかと思います。動詞"prove"が名詞になったものが"proof"ですが、証明のためにテスト(試験)をするという意味合いから、検査、特に耐久性などの試験というような意味が生じました。

そして、水や火など、外部要因に対して耐久性、抵抗性がある、という形容詞の意味合いが生じたものです。この意味合いは、-proofという形で様々な名詞と結合する接尾辞になっています。

よく知られた-proofの表現として、


fire-proof
bullet-proof
water-proof
tamper-proof


などがありますね。

"oil-proof"はちょっと意外な取り合わせではないでしょうか?ここでは、オイル、油に対する物質的な耐久性という意味ではなくて、原油価格の高騰という事象による悪影響に対する抵抗性という解釈になりますね。また、ここで"oil-proof"は動詞になっています。

コーパスを検索してみると、接尾辞の-proofは実に様々な単語と結合しているのが分かります。動詞として使われているもののうち、面白いと思うものをいくつか拾ってみました。


During inflationary times, home prices often rise as investors seek to inflation-proof their assets.
(Christian Science Monitor, 1998)


"People should learn how to lion-proof their yards," he says. "If you live in predator country, you have to predator-proof your yard. If you jog, don't jog alone - and consider carrying bear spray." 
(Christian Science Monitor, 2004)