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2026年7月15日水曜日

grease one’s way

社会的な地位のある人は交通違反も免れる、という事例のひとつでしょうか。


Nevada Gov. Joe Lombardo greased his way out of a ticket after allegedly failing to stop at a red light, simply by revealing his identity to a Las Vegas patrolman.

Bodycam footage captures the moment the officer approached the window of Lombardo’s light-gray Ford F-150, offering a polite, “Hello, how are you doing, sir?”

The highfaluting governor immediately cut him off, stating: “I’m Joe Lombardo.”
(Daniel Cody. Nevada governor pulled over, immediately flexes status and avoids red light ticket: ‘I’m Joe Lombardo’. New York Post. July 14, 2026.)


赤信号を無視したフォード車を停止させた警察官はドライバーがネバダ州知事と分かると無罪放免にしたそうですが、どういうわけかその一部始終を録画したボディカムが暴露されています。

記事は、知事が自身の名を名乗ることによって交通違反摘発を免れたとして、


greased his way out of a ticket


と表現しています。

"grease"とは潤滑油のグリスのことですが、動詞には、


(物事の)進行・開始を容易にする、促進する、早める


という意味があります。つまりは機械にグリスを塗って動きを良くすることから生まれた比喩的な意味合いです。

ここでは"grease one's way (out)"ということなのですが、要は自分自身の都合の良いように働きかけ、要求を通したり、義務を免れたりするということです。

"grease"の動詞の意味には、賄賂を使う、というものもあり、"grease one's way"に関しても多少後ろ暗いところがあるというか、批判的なニュアンスも込められた表現だと言えます。


2026年7月14日火曜日

high-tail it

昨日の記事でニューヨークの露天商とその取締りのいたちごっこという話題を取り上げましたが、その記事でもうひとつ目に留まった表現がありましたので、今日はそれを取り上げます。その表現は、


high-tail it


というフレーズです。


Stores along the busy stretch of Chinatown have been here before. Occasional police raids force illicit merchants to high-tail it when the cops show up to confiscate their ill-gotten goods — only for the unscrupulous sidewalk peddlers to set up shop again when the coast is clear.
(NYPD raids illegal NYC vendors again — but Canal Street businesses say it won’t change a thing. New York Post. July 12, 2026.)


この"high-tail it"という表現は、急いで逃げる、一目散に逃げる、という意味なのですが、"high-tail"とは畜牛の群れが急走する時尾を上げること(研究社新英和大辞典)を指すということです。(「群れ」ということは、急いで逃げるのはひとりではなくて複数というこちですかね。)

尻尾を巻いて逃げるという日本語表現にも見られるように、"tail"には敗走や脱落、落伍の意味合いがあります。"high-tail it"は尻尾を跳ね上げるくらい慌ててその場を後にする様子がリアルに感じられますね。


2026年7月13日月曜日

いたちごっこ - cat-and-mouse

記事の引用からどうぞ。


It’s an endless game of cat-and-mouse.

NYPD cops on Sunday launched their latest raid on the illegal open-air marketplace of counterfeits that has long turned Canal Street into an unsightly nightmare — but skeptical brick-and-mortar businesses say it won’t change a thing.

“They’re going to go wherever they get their stuff and set it right back up in five minutes,” the manager of a neighborhood beauty salon told The Post.
(NYPD raids illegal NYC vendors again — but Canal Street businesses say it won’t change a thing. New York Post. July 12, 2026.)


ニューヨークはチャイナタウンの近く、盗品や偽ブランド品を売る露天商で賑わう界隈があるそうですが、警察当局が取締りに本腰を入れているとの内容です。しかしながら、売る方も生活がかかっていると見え、摘発が入れば逃げ、ほとぼりが冷めた頃にまた戻ってくる・・・。そういう事が繰り返されているというものです。

いわゆる、「いたちごっこ」の状況です。

英語では、


cat-and-mouse


と表現されています。引用記事の冒頭で使われていますが、この箇所をいたちごっこと訳すのが適当でしょう。

辞書で"cat-and-mouse"を引いてみると、以下のような定義が見えます。


1. Playfully or teasingly cruel, as in prolonging the pain or torment of another: the cat-and-mouse tactics of the interrogators.

2. Of or involving a suspenseful and sometimes alternating relation between hunter and hunted: "another cat-and-mouse thriller" (New York Times).
(American Heritage Dictionary)


behavior like that of a cat with a mouse: such as
a: the act of toying with or tormenting something before destroying it
b: a contrived action involving constant pursuit, near captures, and repeated escapes
(Merriam-Webster Dictionary)


いずれの辞書も、1番目の定義には猫がネズミをなぶりものにする習性に関連する意味合いを置いていますが、2番目の意味として、猫がネズミを追い、ネズミは逃げる、その繰り返し、という意味を挙げており、これが日本語の「いたちごっこ」に当たると考えられます。

このような猫とネズミの関係は日本と海外とで変わるものではないと思いますが、日本語の「いたちごっこ」は何故イタチなのでしょうか?

手元にある広辞苑を引いてみると、この表現は江戸時代の子供の遊びに由来するものだそうです。

「いたちごっこ、ねずみごっこ」と言いながら、手の甲をつねり、左右の手を重ねていくという遊びだとの説明があります。同じような動作を繰り返しながら、終わりが無い、ということから現在我々が言う「いたちごっこ」の意味になったそうです。

英語と日本語、ネズミは同じで、猫とイタチだけの違いですね。

ネズミもイタチも家屋に棲みついて天井裏などを荒らす害獣とされるようです。「いたちごっこ、ねずみごっこ」は害獣としてのイタチ、ネズミの被害が繰り返されて果てしないことを言ったものでしょうか。

一方で、英語の"cat-and-mouse"は追うもの(cat)と追われるもの(mouse)の対比です。

果てしのない繰り返しはむしろ、ネズミのしぶとさにあるかも知れません。

ネコにネズミが噛み付いた・・・、あべこべだ、ネコ叩き

ネズミだって生き物さ、ネコだって生き物さ・・・


2026年7月10日金曜日

embargo

NATOサミットが開催されていますが、米・トランプ大統領はスペインとの貿易をやめると発表しました。

スペインがイランとの戦争に協力的でなかったことや、防衛費増強に反対姿勢を示していることに対しての措置であるとされます。


The Trump administration is preparing a list of Spanish goods to potentially embargo, after President Donald Trump ordered officials to cut off trade with the European nation Thursday morning.

The Treasury Department will be working with the U.S. trade representative and Commerce Department to provide Trump “a menu of Spanish products that may be embargoed in the coming days,” a U.S.official said via email.
(US officials compiling 'menu' of Spanish goods, as Trump weighs embargo. Politico. July 8, 2026.)


さて、今日の1語、"embargo"です。

商業、貿易のコンテクストで使われる専門用語の"embargo"は商船の入港禁止とか、特定の商品に関する通商停止といった意味の単語です。

スペルからラテン語系の単語だと想像が付くと思いますが、"embargo"という単語は奇しくもスペイン語embargarから来ているものなんですね。

スペインから"embargo"という単語を輸入した英語国民のアメリカが、スペインに"embargo"を課す。皮肉というか、何というか・・・。


2026年7月9日木曜日

shore

ニューヨーク・マンハッタン。そに都心も都心、ミッドタウンに建つ高層ビルの柱が折れ曲がっているのが発見され、倒壊する危険性もあるとして騒動になっています。

問題の高層ビルは1970年代に建てられたもので、大手製薬会社の本社ビルだったそうですが、一般市民の居住するアパートにリノベーションする工事が進行中であったということです。その工事中、中層階の柱がくの字に折れ曲がっているのが発見され今回の騒動に。

この騒動で、周辺道路は一時封鎖され、近隣のビル居住者にも退避勧告が出される始末となりましたが、折れ曲がった柱に支えを施す緊急工事が行われ、当座の危機を凌いだとのことです。


MIDTOWN EAST, Manhattan (WABC) -- Evacuation and frozen zones have shrunk as efforts to stabilize an under-construction high-rise in Midtown Manhattan continued on Tuesday night.

The installation of temporary shoring has begun at a high-rise at 235 E. 42nd St. after a structural column buckled on the 21st floor, said Department of Buildings Commissioner Ahmed Tigani in a Tuesday evening update.
(Midtown Manhattan buildings evacuated after columns found buckling at high-rise construction site. ABC7 New York. July 8, 2026.)


さて、今日取り上げる1語ですが、


temporary shoring 


とある部分の"shore"という動詞です。柱で支える、つっかい棒で支持する、という意味ですが、"shore"という単語からは海岸、岸の意味が最初に思い浮かぶのではないでしょうか。

海岸の"shore"とつっかい棒の"shore"は辞書では別々の見出し語となっており、語源も別語源となっています。どちらもゲルマン語系ではあるのですが、海岸の"shore"は印欧祖語で切り取る(cut)ことを意味するsker-に遡るようです。陸と海を隔てる、すなわち「カットする」部分が海岸(shore )である、という訳です。

一方の、つっかい棒の"shore"は中期オランダ語の語源までしか辞書には見えません。支えるという意味のオランダ語がそのまま引き継がれてきたもののようです。

印欧祖語sker-(つまり、cutの意)は、切るという意味の動詞"shear"の語源でもあります。この動詞"shear"の過去形はご存じのように"shore"であり、少々ややこしいですね。