ニューヨークのマンハッタン地区の一部で"Legionnaires’ disease"の症例が急増しているというニュースを読みました。
「レジオネラ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。宿泊施設の大浴場や銭湯、プールなどで発生してニュースになることがあります。"Legionnaires’ disease"は、日本語ではレジオネラ症(厚生労働省の感染症情報)と呼ばれています。感染すると肺炎に似た症状が見られ、放置すると命に関わる病気です。
The number of Legionnaires’ disease cases in an outbreak on the Upper East Side has risen to 14 — as local health officials are still racing to find the source.
Fourteen people have been diagnosed with the potentially fatal pneumonia-like illness in the neighborhoods of Carnegie Hall and Yorkville as of Sunday, according to the New York City Health Department.
(Zoe Hussain. Mysterious Legionnaires’ disease outbreak skyrockets to 14 cases across 2 NYC neighborhoods. New York Post. July 5, 2026.)
そのレジオネラ症ですが、レジオネラ属菌による細菌感染症であると厚生労働省の説明にあります。英語の"Legionnaires’ disease"という名称ですが、辞書には、
1976年のPhiladelphiaにおけるthe American Legionの総会で初めての発病者がでたことから
(ランダムハウス英和辞書)
という興味深い語源説明がされています。
"Legionnaire"というのは米国在郷軍人会の会員を指す言葉で、"legion"の一員を指すフランス語から来ています。
つまり、"Legionnaires’ disease"とは軍人会の会員らが罹患した病気ということになります。(Legionnairesと複数形になっていますね。)
ちなみに随分と昔のことになりますが、"legion"という単語を取り上げました。その際、発音についても触れましたが、英語での発音は「リージャン」のようになり、"Legionnaires’ disease"も同様に「リージャネア」のようになります。つまり、「レジオネラ」ではないのです。敢えて言えば、フランス語式の発音「レギオン」(レギオネア?)に近いでしょうか?
ところで、"Legionnaires’ disease"とは感染症の病名ですが、この病いを引き起こすレジオネラ属菌のことは、
legionella
という表記であることを初めて知りました。
The City Council last fall approved a bill requiring building owners to test for Legionella microbes at least every month during warmer months when cooling towers are in use in response to the deadly outbreak.
(ibid.)
つまり、ややこしいのですが、レジオネラ症は"Legionnaires’ disease"、レジオネラ属菌は"legionella"と、いずれもカタカナ表記は同じですが、英単語としてはスペルが違うんですね。
この細菌の名称"legionella"は"Legionnaires’ disease"から来ているそうで、やはり"legion"という単語が元にある訳ですが、バクテリアの属名につける分類学上の接尾辞-ellaが付いたものです。卑近な例ではサルモネラ菌を指す"salmonella"があります。(アメリカの病理学者Daniel Elmer Salmon氏の名前に因むものです。)