最近30日間のアクセス数トップ3記事

2026年10月26日月曜日

their child

記事の引用からどうぞ。


More than 50 middle-school students in Oregon were served pretzels seasoned with crushed oven cleaner, according to a lawsuit.

A family is suing the Tigard-Tualatin School District for $1 million in damages after their child was sickened by the snack snafu during a school-lunch break at Fowler Middle School in October 2025, according to court documents obtained by KPTV.
(Zoe Hussain. Lawsuit with a twist: More than 50 students served pretzels seasoned with oven cleaner. New York Post. October 25, 2026.)


当ブログをご覧になっているみなさまの中には、今日の1語の見出し(タイトル)、"their child"を見て、なんじゃそりゃ?と思われた方もあるかも知れません。

引用した記事は、学校の給食に出されたプレッツェルに洗剤が混入していたという話しでして、


$1 million in damages after their child was sickened by the snack snafu during a school-lunch break


というくだりがあり、とんでもないものを子供に食べさせたと、親が学校を相手取って100万ドルの損害賠償訴訟を起こしている、というものです。

さて、注目したいのは、


their child


という箇所です。なんだかおかしくありませんか?正しくは"their children"なのでは?

複数代名詞theyの所有格である"their"ですから、それに続く(可算)名詞は当然複数形であって然るべき、と思うかと・・・。

では、引用元となるニューヨーク・ポスト紙のライターは文法ミスを犯したのか、また同紙の校閲によるレビューも機能していないのか?

ところが、あながちそうとも言えないようなのです・・・。

まずはコーパスにて"their child"を検索してみたのですが、その実例は新聞記事や雑誌など、多数を確認することができます。全てをつぶさに確認できた訳ではありませんが、例えば以下に引用する例のように、上記の記事と似たようなコンテクストのものが多く見られます。


A Colorado mother is urging parents to carefully monitor their child's Internet use after her 11-year-old son died while participating in the "choking game".
(Fox News, 2018)


親に対しての「子」を指す単語が"child"であり、その複数形が"children"であるということは言うまでもありません。単数形の"child"が複数を指す名詞のように扱われる、といった説明も見当たりません。

となると、代名詞"their"の話しになってくるかと思われるのですが、手元にある文法書に以下のような解説がされています。


They/them/their is often used to refer to a singular indefinite person who has already been mentioned. This structure is common after a person, anybody/one, somebody/one, nobody/one, whoever, each, every, either, neither and no.
(Michael Swan. Practical English Usage. Oxford. 1995.)


また、American Heritage Dictionaryにも同じような解説があり、


The use of the plural pronouns they, them, themselves, or their with a grammatically singular antecedent dates back at least to 1300, and such constructions have been used by many admired writers, including…


こうした用法は一見非合理的に見えるものの現実には昔から使われており、敢えて性別を特定しないという都合の良さから使われてきたきらいがある、としています。(これとはまた別に、現代における性自認の問題を反映した代名詞"they"の新しい用法については以前取り上げました。)

これらの解説は、anyoneなど、先行する名詞が不特定の人を指す場合に、それを後段で受ける代名詞がthey/them/theirとなることがある、というものです。記事での用例はanyoneなどの名詞ではなく、コーパスからの用例も先行する名詞は複数形なのでちょっと違うようにも思われます。しかしながら、文の主語を成している"a family"やコーパスの用例における先行の名詞は不特定の名詞と考えることができると思われ、これらの解説が言うところのケースに当てはまると考えることは出来そうです。


2026年10月23日金曜日

medallion

ニューヨークのセントラル・パークの名物である馬車が見られなくなる、というニュースです。

ニューヨークの市議会は賛成多数により馬車の運行を禁止する法案を可決したということです。

かねてより安全性や時代にそぐわないといった意見により廃止が唱えられていたそうですが、今年6月に観光客が乗っていた馬車から投げ出されて死亡するという事故があり、一層廃止の圧力が強まったようです。


NEW YORK CITY (WABC) -- The New York City Council voted Thursday to ban horse-drawn carriages, a move that will end an industry that has operated in the city since 1858.

The vote for Romanch's Law was 40 to 7 with two exemptions. The bill now heads to the mayor's desk, although it has passed with a veto-proof majority.

The law will phase out the industry by June 1, 2028.
(Kemberly Richardson. New York City Council passes law to phase out horse-drawn carriages by 2028. ABC7 News. October 23, 2026.)


この法案に対して、馬車を運行する業者からは当然ながら強く反発しているということです。可決された法案は馬車の運行を禁じる一方、運行業者やドライバーに対する補償などは一切触れられていないといいます。


Opposition to the measure has been fierce, with critics calling the bill unconstitutional because it would ban a licensed industry. Christina Hansen of TWU Local 100 said the legislation would harm both people and horses.

"This bill is deeply defective, it's offensive, it's a bill that will hurt people and hurt horses..." Hansen said.

The union says there are about 180 horses, roughly 150 active drivers and 68 carriage medallions.
(ibid.)


馬車の運行業者組合によれば、馬180頭、その馬を駆る馭者(ドライバー)は150人、そして、68の"carriage medallions"が影響を受ける、とあります。

この"carriage medallions"とは何を指すのか、一読してよく分からなかったのですが、"carriage medallions"の"medallion"とは恐らくは運行に必要なライセンスのことを指すと思われ、American Heritage Dictionaryには、


An emblem of registration for a taxicab


と定義されています。つまり"medallion"とは許可を与えられていることを示すエンブレム(標章)である、ということです。

"medallion"とスペルの似た単語にメダル(medal)がありますが、「メダル」とは勲功を称えて贈られる円形の記章を指しますね。

"medallion"はそのメダルのより大きいサイズのものを指す単語で、"medal"という単語に、「大きいもの」という意味の接尾辞-oon(あるいは-ion)がついたものです。

この「メダル」(medal)の語源は金属を意味するラテン語metallum、つまり「メタル」(metal)であるとする説と、「半分」という意味のラテン語medialiaから来ているという説があるそうです。「半分」とはデナリウス硬貨(denarius)の半分の価値(があるもの)、ということで、「メダル」の形状と硬貨の円形は共通しているものがありますから、なるほどそのような説ももっともらしく思われますし、一方で素材に着目すれば「メダル」と呼ばれるものは金属が多いでしょうから、そちらも納得です。

許可を得ていることを示す標章としての意味合いは、これを載せていない辞書もありますが、ニューヨークを走るタクシー(イエローキャブ)は運行許可の標章("medallion")を例外なく取り付けているそうで、アメリカ特有の表現なのかなとも思います。




2026年10月22日木曜日

fringe

カナダ・アルバータ州の分離独立の是非を問う住民投票が行われ、集計の結果、約3分の2の反対により同州はカナダに留まることになりました。


The oil-rich province of Alberta has rejected the pathway to secession and will remain part of Canada, landing a definitive blow to a fringe but loud campaign which sought support from the US.

About three quarters of voters chose to stay in Canada, while one quarter opted to hold a second vote on separation later as of early Tuesday local time, with around 86% of polling locations reporting, according to unofficial results posted by the province.

Monday’s result comes amid a rising tide of patriotism and unity in Canada as the country has rallied against US President Donald Trump’s tariffs and annexation threats.
(Alberta rejects secession referendum, chooses to remain part of Canada. CNN. October 21, 2026.)


アルバータ州の分離独立の話がどこから沸いて出たものかよく知りませんが、今年の始めにトランプ米大統領がカナダを米国の51番目の州に編入するとの考えを示したことは記憶に新しいものがあるかと思います。その後もオンタリオ湖をアメリカ湖に名称変更するとか、一方的な主張がなされ、カナダと米国は互いに追加関税措置の応酬を繰り返すなど、ギクシャクした関係が続いていますが、アルバータ州の件に関しても分離独立を主張する団体が米国共和党に擦り寄ったとの報道があります。

結果としてはアルバータ州はカナダに留まるということになった訳ですが、記事に、


a definitive blow to a fringe but loud campaign


とのくだりがあります。ここでの"fringe"という単語が今日の1語です。

興味深いことに他の記事でもこの"fringe"が使われています。


Despite the overwhelming rejection, separatist leaders have said they turned a fringe cause into a movement that won't disappear.
(Alberta voters reject independence from Canada in victory for Carney. PBS News. October 20, 2026.)


"fringe"とは周辺とか縁、外縁といった意味ですが、その語源は植物などに見られる房やギザギザ状のへりを指す"fimbria"というまた別の英単語から来ていると辞書にあります。

そして、よく使われる表現に"fringe benefit"(フリンジベネフィット)があるのではないでしょうか。この言葉はいわゆる労働に対する直接的な対価とは別に、間接的な手当てとして与えられるものを指しますが、"fringe"という単語が主要な部分ではない、追加的、二次的な物事、という意味合いを持つことと関連しています。

引用した記事での"fringe"もそのように解釈することは出来そうではありますが、このコンテクストでは"fringe"の持つまた別の意味で使われています。

その意味とは、


Those members of a group or political party holding extreme views
(American Heritage Dictionary)


というもので、社会や政治における、(メインストリームからは逸脱した)過激な意見、信条を唱えるグループ、つまり過激派、という意味です。

"fringe"にこのような意味があるとは不勉強にして知りませんでした。


2026年10月21日水曜日

back of the envelope

今日取り上げる慣用表現、"back of the envelope"という言い回しをご存知でしょうか?

文字通りには、封筒の裏、ということになります。何かについて話していて、その内容をパッと書き留めるような時、手元にある封筒の裏の空白に書き込んだりするシーンを思い浮かべると分かり易いかと思います。

つまりは思い付きやその場での簡単な計算みたいなものを書き付けるというイメージです。

下記の引用例がそうですが、この表現はしばしば「概算」というような意味合いで用いられます。


A back-of-the-envelope calculation would suggest the taxes would be a roughly $1,000 annual increase per California household, but the tax foundation cautioned that most of the taxes target specific taxpayers and businesses.
(Josh Koehn. Gavin Newsom saddled Californians with $14B in new taxes in final years as governor: report. New York Post. October 20, 2026.)


Merriam-Webster Dictionary では、


done quickly to provide a rough estimate : not exact


と定義されています。

"back of an envelope"という場合もあるようですが、コーパスでは"back of the envelope"が圧倒的に多いです。

概算を意味する表現としては、以前取り上げた、"ballpark"という表現もよく使われます。


2026年10月20日火曜日

hooch

今日の1語、"hooch"はお酒、特に密造酒の類い、品質の劣る酒のことを指すそうです。

以下に引用するのは、アメリカでのウイスキーや蒸留酒の自家醸造を巡る話です。

アメリカでは1868年の法により、酒類を自家醸造することが禁じられており、違反すると1万ドルの罰金、もしくは最高で5年の禁固刑という厳しいものです。

幾つかの判例においても違法、合法は州によってバラついているそうで、愛好家らは 150年以上も前の法律の撤廃を求めているとあります。最終判断は最高裁に委ねられることに。


WASHINGTON — In a boost for those who want to make whiskey in their bathtubs or gin in their kitchens, the Supreme Court announced Monday it will consider whether to strike down a long-standing federal ban on distilling spirits at home.

Although interest in the home distilling of hooch has continued despite the 150-year-old ban, advocates hope the court will remove the threat of criminal sanctions, which can include a fine of up to $10,000 and a maximum sentence of five years in prison.

For decades, people have been able to make wine and beer at home for personal use without any penalties.
(Lawrence Hurley. High spirits: Supreme Court to decide fate of federal ban on home distilling. NBC News. October 19, 2026.)


この"hooch"という単語ですが、アメリカ英語であり、アラスカインディアンの造る地酒を指すHoochinooが短くなったものであると辞書に説明があります。

このHoochinooは種族の名称(Hutsnuwu)から来ているそうで、その地酒は19世紀のゴールドラッシュにおいて鉱夫らに人気であったといいます。

密造酒を指す表現には以前取り上げた"moonshine"があります。