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2026年9月16日水曜日

digs

世紀のカップルとでも言うべき、テイラー・スイフトさんとアメフト選手の結婚式がニューヨークのど真ん中マジソンスクエアガーデンで行われたことを先日取り上げました。新居はオハイオ州、エリー湖を望む2万1,000平方メートルという広大な敷地に建てられたマンションだそうです。二人の意向でセキュリティとプライバシーは非常に厳重になっているとの話しです。


Taylor Swift and Travis Kelce aren’t taking any chances when it comes to feeling safe in their new Ohio mansion.

Page Six has exclusively learned that the couple have set up a warning alarm surrounding their new digs.

“A neighbor approached the house and got a voice warning about not passing onto the property after getting too close to the house,” a nearby neighbor shared.
(Lanae Brody. Taylor Swift and Travis Kelce go to extreme measures to keep nosy neighbors away from new Ohio mansion. Page Six. September 15, 2026.)


引用した記事では新居のことを、


their new digs


と表現しています。

"digs"という単語に住む処という意味があることを知りませんでした。しばしば"new digs"というフレーズで新居、新しい居場所というような意味合いでカジュアルに使われるようです。因みに、この意味で用いる場合にはdigs"というように複数形で使われるものとなっています。

このような"digs"の意味合いは、"diggings"という言葉からきており、イギリス英語なんだそうです。英和辞書には下宿という日本語が載っています。つまり借りて住む場所を指すのですが、世紀のカップルの新居は贅を尽くした豪華なマンションですから、借家を指す"digs"というのはちょっと違うようにも思われます。

さて、動詞の"dig"には掘るという意味がありますが、土を掘って作った洞穴住居のイメージなんでしょうか。洞穴を住居としていたのは原始時代と考えると、随分古い歴史でもあるのかと思わされますが、いくつかの辞書を見てみましたが、詳しい語源に触れているものは見当たりませんでした。

インターネットを検索してみますと、"digs"、"diggings"の由来について触れた興味深いサイトがありました。それによると、19世紀半ばのゴールドラッシュの時代に期限があるという説があるそうで、掘る(dig)という行為と住処の関連が見て取れます。しかしながら、住処という意味での"digs"の初出はそれ以前、18世紀始め頃にディケンズの小説でも確認されており、ゴールドラッシュとの関連は眉唾のようです。

"dig"という単語ですが、このほかには、皮肉、当てこすり、という意味もあります。



2026年9月15日火曜日

kill switch

昨日の投稿ではAIが人間を超えて自律的に働くことで抑制が効かなくなるというリスクが現実のものとして議論されているという話題を取り上げました。

今日も同じ話題で恐縮ですが、議論はアメリカのみならず世界各国で行われているようで、以下に引用するのはイギリスでの話です。

イギリスの国会ではAIに"kill switch"を導入すべきとの議論が行われたそうで、この"kill switch"という言葉がトレンドのようになっています。


The UK government has rejected the idea of creating a so-called "kill switch" to stop a dangerous attack from rogue AI.

The proposal to create a legal mechanism for the UK to switch off an AI model in an emergency has been brought to Parliament by lords and MPs in recent weeks as fears grow about the threat the tech poses.

But the Cabinet Office - the part of government which leads on AI safety - said the UK "cannot simply turn AI off".
(Joe Tidy. UK government rejects 'kill switch' idea for dangerous AI. BBC News. September 11, 2026.)


"kill switch"はカタカナでも「キルスイッチ」として使われていますが、強制停止装置などと訳され、非常時に機械やシステムなどを停止させる仕組みのことを言い、Merriam-Webster Dictionaryでは、


a mechanism or feature on a mechanical or electronic device that allows one or more functions to be turned off or made unavailable


と定義されています。

さて、イギリスではAIに"kill switch"を義務化するという法案が議会に提案されましたが、否決されたとあります。

理由はイギリスだけで出来るものでは無い、ということのようですが、国境の無いインターネット環境において、ある国だけが"kill switch"を設けたとしても、それが果たして機能するのか分からないということのようです。

トランプ米大統領はAI開発を抑制することは愚行であり、ロシアによる"hoax"だとし、そんなことをすれば喜ぶのは中国だとまで言っています。


2026年9月14日月曜日

cataclysmic

AI(人工知能)が自律的に発達を遂げた結果、人間の能力を遥かに超えてもはや抑制の効かない状況が生ずるという、SF小説か映画のようなストーリーがまことしやかに語られています。

しかし、現実にそのような状況が起きつつあると、AI開発の先進企業のトップや幹部社員が警告したと、昨夕、ラジオのニュースで聞きました。

以下はCNNの記事からの引用です。


The latest warnings about AI seem intended to boggle minds and shock everyone into action.

Anthropic CEO Dario Amodei, a leader in the AI race, on Saturday called for a conscious slowdown in AI development in an essay posted to his website. AI is developing faster and faster and could outrun humans’ ability to manage it, he wrote.

“Left unchecked, it could outrun our ability to understand and control these systems, and so must be pursued very carefully, if at all,” Amodei wrote.
(Zachary B Wolf. AI and the end of humanity? OK, ‘doomer’ says one Trump official. CNN. September 13, 2026.)


記事によれば、この10年くらいでAIが人智を遥かに凌ぐことになるので、AIの開発を遅らせなければ、人類が終焉する可能性があるとまで言われているそうです。

このようなAI企業幹部の発言を受けて、サンダース上院議員のコメントです。


Among those calling for government action is Sen. Bernie Sanders, who takes the warnings seriously.

“Nearly every day, there is a frightening new story about how Big Tech companies are losing control of the technology they are developing, with potentially cataclysmic results,” Sanders said in announcing proposed legislation to ban artificial superintelligence. “It is irresponsible for society to allow them to move forward and make these products even more advanced.”
(ibid.)


人智を超えて自律的に振る舞うAIが、


cataclysmic


な結末をもたらす恐れがある、と。

"cataclysm"は激変とか大変革と訳されていますが、ギリシャ語kataklusmosは大洪水の意味で、洗い流すという意味のギリシャ語動詞kluzeinに由来します。

接頭辞cata-は、下方へ(down)、〜に反して(against)という意味合いで、過去には"cataract"や"catafalque"という単語を取り上げました。

余談ですが、"cataclysm"と意味合いも似た単語に"catastrophe"があり、大惨事、悲劇的な終末、カタカナでも「カタストロフ」と用いられます。こちらも同様に接頭辞cata-とギリシャ語動詞strephein(to
turn)の組み合わせによる語ですが、原義としてはギリシャ劇、特に悲劇における結末、大団円を指す言葉で、いわゆる破滅的、悲劇的な結末という意味合いは後になって生じたものだそうです。




2026年9月11日金曜日

bread and circuses

11月の米中間選挙を控え、トランプ大統領は共和党が勝利するならば全ての成人の米国民に一人当たり5,000ドル(約77万円)を支給すると発言したと報じられました。

もの凄い大盤振る舞い(!?)、または「バラマキ政策」と言えます。


Facing an uphill battle in the final weeks of an affordability-focused midterm election, President Donald Trump on Wednesday night made an audacious promise: Every adult American citizen will receive a $5,000 "dividend," but only if Republicans are victorious in November.

While extremely light on details, the proposal quickly drew heat from critics on both sides of the aisle, including some of Trump's own supporters. And it spurred questions of whether it would be illegal as a payment incentive to influence votes.

"I am hugely in favor of winning the midterms, and love much about this admin, but am strongly against bread and circus bribes," Palantir co-founder and Republican donor Joe Lonsdale said on X.
(Trump's $1 trillion-plus 'dividend' plan meets immediate bipartisan pushback. CNBC. September 10, 2026.)


有権者を買収するような発言に対し、民主党はもとより、共和党内からも反対意見が噴出しているそうです。

共和党を支持する大手企業トップによる批判が引用されており、


am strongly against bread and circus bribes…


とあります。"bread and circus"という表現に注目です。「パンとサーカス」というのが字句通りの訳になりますが、


Offerings, such as benefits or entertainments, intended to placate discontent or distract attention from a policy or situation.
(American Heritage Dictionary)


という意味で用いられるフレーズです。「パン」は食料、「サーカス」は娯楽の象徴で、これら二つを民衆に与えることで宥める、不満を解消する、ということなんですね。

このフレーズはラテン語panem et circensesを英語に置き換えたものとの説明が辞書に載っています。ローマの風刺詩人ユウェナーリスが用いた言葉だそうです。

なお、ラテン語panem et circensesのpanem、またcircensesは名詞の複数形・目的格となっています。(英語の一般名詞に格変化はありませんが、)英語へ置き換えたものは、"bread and circuses"となり、辞書にもこの複数形で載っています。


2026年9月10日木曜日

sizable

トランプ大統領がホワイトハウスの側近職員に現金を贈ったというニュース記事を読みました。

その額、45,000ドル。現ナマです。(わたしも欲しい・・・)


Donald Trump gave sizable holiday gifts to four White House aides, according to new financial disclosures released by the administration, including $45,000 to executive assistant Natalie Harp.

Communications adviser Margo Martin and deputy director of Oval Office operations Chamberlain Harris also received $45,000, while director of Oval Office operations Walt Nauta received a $20,000 gift.
(Trump gave $45,000 to Natalie Harp and other White House aides as holiday gifts. The Guardian. September 9, 2026.)


現金の名目は"holiday gift"だそうです。その形容に、


sizable


とあります。"size"に接尾辞-ableが付いたものですが、相当の大きさの、かなり大きい、という意味です。かつては、手頃な大きさの、という意味でも使われたようです。45,000ドルは手頃な額では決してありません。

臨時収入の恩恵に預かった職員の中には最近メディアの注目を集めているNatalie Harpという女性が含まれているとあります。イランの暗殺を恐れて大統領専用機ではなく、別の飛行機に隠密に乗り換えた際もトランプ大統領と行動を共にしたことで注目を浴びましたが、トランプ氏に好意的なメディアの記事を印刷して手渡しするのが主な仕事らしく、"Human Printer"と呼ばれているそうな。

さて、サイズ("size")の話しです。

物の大きさ、寸法を意味する"size"という単語は、"assize"という単語の頭音消失形であると辞書にあります。(古フランス語siseから来ているようですが、元はassisseという語であったものが変化したようです。l’assisseが誤って、la siseと解釈されたらしいという説は"apron"など、異分析により生じた単語の語源に似ています。)

その"assize"ですが、英単語としては残っており、辞書には巡回裁判という意味などが載っています。裁判と、寸法を意味する「サイズ」・・・。随分と意味合いが違います。

上述した古フランス語assisseですが、もう少し語源を遡ると動詞asseoir、ラテン語adsedereとなり、これは接頭辞ad-とsedere(to sit)からなる動詞なんですね。つまり、座るという意味合いなんですが、裁判という意味は審理のために関係者が集う(一堂に会して座る)ということから生じたようです。

そして、大きさを言う「サイズ」ですが、古くは物の大きさ、量、そしてその価格を法定価格として定めていたのですが、"assize"という単語にその意味合いを認めることができます。