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2026年9月17日木曜日

老人虐待 ー elder abuse

マコネル上院議員が約3ヶ月振りに議場に姿を見せたというニュースです。

84歳と高齢のマコネル上院議員ですが、3ヶ月前自宅で転倒し、以降、公の場に姿を見せず、同氏の健康状態は様々な憶測を呼び、死亡説まで出ていました。

この度カムバックを果たした訳ですが、医者の見立ては完全復活ということではなさそうです。


A top doctor has warned that Mitch McConnell appeared as though he wasn’t well enough to return to the Senate and expressed deep concerns about elder abuse.

The 84-year-old senator was seen in public for the first time on Monday evening, after being hospitalized on June 14.

(中略)

“If he had another fall, it could kill him. It could absolutely kill him,” said Dr. Anahita Dua, a vascular surgeon.

(中略)

Dua warned Senate work would absolutely be a distraction from his recovery and add to the strain, and warned the entire situation reeked of “elder abuse.”
(Sarah Ewall-Wice.Doctor Fears McConnell’s Senate Return Could Prove Fatal. The Daily Beast. September 16, 2026.)


マコネル議員は車椅子に乗って議場に姿を現しましたが、議場での投票を終えると早々に退出したようです。移動の車中から親指を立てて報道のカメラに反応する姿も見られたそうですが、医者の見立ては公務を果たしうる状態ではないとのこと。

そして、仮にもまた転倒するようなことがあれば命の危険があり、現在のマコネル氏にとって上院議員の勤めは老人虐待(elder abuse)だとまで言っています。

「老人虐待」とは穏やかでない言葉遣いです。この言葉から受けるイメージは、高齢者の周りにいる家族や介護者が老人に対して身体的、精神的な苦痛を与えるような行為を繰り返すというものに思われます。

果たしてマコネル氏は家族や関係者から無理矢理にワシントンの議場に行かせられたというのでしょうか。そのような報道も憶測と思われる言及もありませんが、マコネル氏が公務に復帰する健康状態に無いということを分かっていながらそれを止めない周囲の判断に問題があるということなのかも知れません。

記事では2023年、92歳で死去したDainne Feinstein上院議員の例が触れられています。同氏は病気治療のため入院、辞職した方が良いと言われながらもそれを拒んで復帰、車椅子で登院しましたが、その後亡くなりました。


2026年9月16日水曜日

digs

世紀のカップルとでも言うべき、テイラー・スイフトさんとアメフト選手の結婚式がニューヨークのど真ん中マジソンスクエアガーデンで行われたことを先日取り上げました。新居はオハイオ州、エリー湖を望む2万1,000平方メートルという広大な敷地に建てられたマンションだそうです。二人の意向でセキュリティとプライバシーは非常に厳重になっているとの話しです。


Taylor Swift and Travis Kelce aren’t taking any chances when it comes to feeling safe in their new Ohio mansion.

Page Six has exclusively learned that the couple have set up a warning alarm surrounding their new digs.

“A neighbor approached the house and got a voice warning about not passing onto the property after getting too close to the house,” a nearby neighbor shared.
(Lanae Brody. Taylor Swift and Travis Kelce go to extreme measures to keep nosy neighbors away from new Ohio mansion. Page Six. September 15, 2026.)


引用した記事では新居のことを、


their new digs


と表現しています。

"digs"という単語に住む処という意味があることを知りませんでした。しばしば"new digs"というフレーズで新居、新しい居場所というような意味合いでカジュアルに使われるようです。因みに、この意味で用いる場合にはdigs"というように複数形で使われるものとなっています。

このような"digs"の意味合いは、"diggings"という言葉からきており、イギリス英語なんだそうです。英和辞書には下宿という日本語が載っています。つまり借りて住む場所を指すのですが、世紀のカップルの新居は贅を尽くした豪華なマンションですから、借家を指す"digs"というのはちょっと違うようにも思われます。

さて、動詞の"dig"には掘るという意味がありますが、土を掘って作った洞穴住居のイメージなんでしょうか。洞穴を住居としていたのは原始時代と考えると、随分古い歴史でもあるのかと思わされますが、いくつかの辞書を見てみましたが、詳しい語源に触れているものは見当たりませんでした。

インターネットを検索してみますと、"digs"、"diggings"の由来について触れた興味深いサイトがありました。それによると、19世紀半ばのゴールドラッシュの時代に期限があるという説があるそうで、掘る(dig)という行為と住処の関連が見て取れます。しかしながら、住処という意味での"digs"の初出はそれ以前、18世紀始め頃にディケンズの小説でも確認されており、ゴールドラッシュとの関連は眉唾のようです。

"dig"という単語ですが、このほかには、皮肉、当てこすり、という意味もあります。



2026年9月15日火曜日

kill switch

昨日の投稿ではAIが人間を超えて自律的に働くことで抑制が効かなくなるというリスクが現実のものとして議論されているという話題を取り上げました。

今日も同じ話題で恐縮ですが、議論はアメリカのみならず世界各国で行われているようで、以下に引用するのはイギリスでの話です。

イギリスの国会ではAIに"kill switch"を導入すべきとの議論が行われたそうで、この"kill switch"という言葉がトレンドのようになっています。


The UK government has rejected the idea of creating a so-called "kill switch" to stop a dangerous attack from rogue AI.

The proposal to create a legal mechanism for the UK to switch off an AI model in an emergency has been brought to Parliament by lords and MPs in recent weeks as fears grow about the threat the tech poses.

But the Cabinet Office - the part of government which leads on AI safety - said the UK "cannot simply turn AI off".
(Joe Tidy. UK government rejects 'kill switch' idea for dangerous AI. BBC News. September 11, 2026.)


"kill switch"はカタカナでも「キルスイッチ」として使われていますが、強制停止装置などと訳され、非常時に機械やシステムなどを停止させる仕組みのことを言い、Merriam-Webster Dictionaryでは、


a mechanism or feature on a mechanical or electronic device that allows one or more functions to be turned off or made unavailable


と定義されています。

さて、イギリスではAIに"kill switch"を義務化するという法案が議会に提案されましたが、否決されたとあります。

理由はイギリスだけで出来るものでは無い、ということのようですが、国境の無いインターネット環境において、ある国だけが"kill switch"を設けたとしても、それが果たして機能するのか分からないということのようです。

トランプ米大統領はAI開発を抑制することは愚行であり、ロシアによる"hoax"だとし、そんなことをすれば喜ぶのは中国だとまで言っています。


2026年9月14日月曜日

cataclysmic

AI(人工知能)が自律的に発達を遂げた結果、人間の能力を遥かに超えてもはや抑制の効かない状況が生ずるという、SF小説か映画のようなストーリーがまことしやかに語られています。

しかし、現実にそのような状況が起きつつあると、AI開発の先進企業のトップや幹部社員が警告したと、昨夕、ラジオのニュースで聞きました。

以下はCNNの記事からの引用です。


The latest warnings about AI seem intended to boggle minds and shock everyone into action.

Anthropic CEO Dario Amodei, a leader in the AI race, on Saturday called for a conscious slowdown in AI development in an essay posted to his website. AI is developing faster and faster and could outrun humans’ ability to manage it, he wrote.

“Left unchecked, it could outrun our ability to understand and control these systems, and so must be pursued very carefully, if at all,” Amodei wrote.
(Zachary B Wolf. AI and the end of humanity? OK, ‘doomer’ says one Trump official. CNN. September 13, 2026.)


記事によれば、この10年くらいでAIが人智を遥かに凌ぐことになるので、AIの開発を遅らせなければ、人類が終焉する可能性があるとまで言われているそうです。

このようなAI企業幹部の発言を受けて、サンダース上院議員のコメントです。


Among those calling for government action is Sen. Bernie Sanders, who takes the warnings seriously.

“Nearly every day, there is a frightening new story about how Big Tech companies are losing control of the technology they are developing, with potentially cataclysmic results,” Sanders said in announcing proposed legislation to ban artificial superintelligence. “It is irresponsible for society to allow them to move forward and make these products even more advanced.”
(ibid.)


人智を超えて自律的に振る舞うAIが、


cataclysmic


な結末をもたらす恐れがある、と。

"cataclysm"は激変とか大変革と訳されていますが、ギリシャ語kataklusmosは大洪水の意味で、洗い流すという意味のギリシャ語動詞kluzeinに由来します。

接頭辞cata-は、下方へ(down)、〜に反して(against)という意味合いで、過去には"cataract"や"catafalque"という単語を取り上げました。

余談ですが、"cataclysm"と意味合いも似た単語に"catastrophe"があり、大惨事、悲劇的な終末、カタカナでも「カタストロフ」と用いられます。こちらも同様に接頭辞cata-とギリシャ語動詞strephein(to
turn)の組み合わせによる語ですが、原義としてはギリシャ劇、特に悲劇における結末、大団円を指す言葉で、いわゆる破滅的、悲劇的な結末という意味合いは後になって生じたものだそうです。




2026年9月11日金曜日

bread and circuses

11月の米中間選挙を控え、トランプ大統領は共和党が勝利するならば全ての成人の米国民に一人当たり5,000ドル(約77万円)を支給すると発言したと報じられました。

もの凄い大盤振る舞い(!?)、または「バラマキ政策」と言えます。


Facing an uphill battle in the final weeks of an affordability-focused midterm election, President Donald Trump on Wednesday night made an audacious promise: Every adult American citizen will receive a $5,000 "dividend," but only if Republicans are victorious in November.

While extremely light on details, the proposal quickly drew heat from critics on both sides of the aisle, including some of Trump's own supporters. And it spurred questions of whether it would be illegal as a payment incentive to influence votes.

"I am hugely in favor of winning the midterms, and love much about this admin, but am strongly against bread and circus bribes," Palantir co-founder and Republican donor Joe Lonsdale said on X.
(Trump's $1 trillion-plus 'dividend' plan meets immediate bipartisan pushback. CNBC. September 10, 2026.)


有権者を買収するような発言に対し、民主党はもとより、共和党内からも反対意見が噴出しているそうです。

共和党を支持する大手企業トップによる批判が引用されており、


am strongly against bread and circus bribes…


とあります。"bread and circus"という表現に注目です。「パンとサーカス」というのが字句通りの訳になりますが、


Offerings, such as benefits or entertainments, intended to placate discontent or distract attention from a policy or situation.
(American Heritage Dictionary)


という意味で用いられるフレーズです。「パン」は食料、「サーカス」は娯楽の象徴で、これら二つを民衆に与えることで宥める、不満を解消する、ということなんですね。

このフレーズはラテン語panem et circensesを英語に置き換えたものとの説明が辞書に載っています。ローマの風刺詩人ユウェナーリスが用いた言葉だそうです。

なお、ラテン語panem et circensesのpanem、またcircensesは名詞の複数形・目的格となっています。(英語の一般名詞に格変化はありませんが、)英語へ置き換えたものは、"bread and circuses"となり、辞書にもこの複数形で載っています。