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2026年3月27日金曜日

hot as a pistol

日本はハンコ(印鑑)文化、欧米はサイン(署名)の文化とよく言われますが、アメリカ大統領が執務室のデスクで大統領令にささっと署名して見せる様子をメディアが撮影しているのをよく見ますね。バイデン前大統領は手書き署名ではなく、オートペン(autopen)という自動署名機械を使っていたということで、トランプ氏からは随分と貶められましたが。

トランプ氏は署名の際に使うペンとして、Sharpieというブランドの油性マーカーがいたくお気に入りのようです。

トランプ氏は最近の閣僚会議でこのSharpieにまつわる話を持ち出したそうですが、イラン情勢やら政府機能が停止していることに伴う混乱など大変な時に何をくだらない話を、とメディアや関係者は半ば呆れているという記事から引用です。


President Donald Trump may believe the adage that the pen is mightier than the sword — as long as it’s a Sharpie.

During a Cabinet meeting Thursday that discussed the war in Iran, record-long security lines at many of the nation’s top airports, rising oil prices and skittish stock markets, the president interjected by holding up a custom-made black and gold Sharpie and offering a long story about how his preferred marker came to be a White House fixture.

(中略)

Trump summed it up as “a business story.”

“For $5, I get a much better pen than for $1,000, and I can hand them out,” he said. “And, honestly, they’ve become hot as a pistol, so what can I tell you?”
(Will Weissert. Trump interrupts a Cabinet meeting dealing with the Iran war and rising prices to talk Sharpies. The Associated Press. March 24, 2026.)


トランプ氏はこれまで1本が1,000ドル(!)もするボールペンを使って署名していたそうですが、インク不良で掠れることが多く書きにくいため、1本5ドルのSharpieに切り替えたのだそうです。ホワイトハウスに納入されるSharpieは本体に金色のホワイトハウスロゴが入った特別仕様らしいですが、5ドルという市販価格で納入されているんだそうです。大統領は署名に使ったペンをゲストにプレゼントしてきたといい、1,000ドルだったものが200分の1の5ドルになった訳で、トランプ氏はそのことを自慢しているということなのです。

で、随分と前置きが長くなりましたが、トランプ氏がお気に入りのSharpieを、


And, honestly, they’ve become hot as a pistol


と言っているのが引用されています。この"hot as a pistol"という表現を知らなかったので取り上げました。「ピストルのようにホット」とは一体?

英和、英語辞書には載っていないようですのでネットで検索してみますと、


Performing extremely well.
Very popular or successful.
(The Free Dictionary)


また、"hotter than pistol"というフレーズとして、


Exceptionally popular, productive, or marketable.
(Wiktionary)


という定義が見られます。とても流行っている、イカしている、良い!といった感じでしょうか。形容詞の"hot"にもそういう意味がありますね。よって、「ピストルのように」という喩えは何なのか?ということに関心は移ります。

このフレーズは恐らく口語やスラングの類いと思われますが、明確な説明をしているものは見当たりません。調べていますと、


hotter than a three-dollar pistol


というフレーズもあるようです。(two-dollar pistolというものもあります。)

この表現は、とにかく暑い(!)と言いたい時に使うようです。"three-dollar pistol"とは安価なピストルのことで、造りの悪いピストルが、恐らくは1発か2発撃ったところで本体が熱を持ち過ぎて握れないくらいになる、ということを言ったもののようです。

こういった表現は銃社会アメリカならでは、でしょうか。


2026年3月26日木曜日

seedy

本日もお読み下さりありがとうございます。

今日の1語は、


seedy


です。

用例をどうぞ。


San Francisco had the most deserted downtown in the country after the pandemic — as office workers worked remotely, avoiding seedy street conditions — though demand has picked up thanks to frenzied AI investment.
(Annie Gaus. San Francisco gets luxe ‘office resort’ — complete with spa, golf to beg workers back downtown. New York Post. March 25, 2026.)


"seedy"の意味ですが、みすぼらしい、とか、寂れた、という意味があります。いかがわしい、評判の悪い、というような意味合いもあるようです。

言うまでもなく、"seedy"はタネ(種子)を指す"seed"から派生した形容詞ですが、それがみすぼらしいという意味になるというのは少し不思議に思われました。

"seedy"にはタネが多い、(魚などが)子持ちの、という意味もありますが、タネが豊富なことがみすぼらしさに繋がるというのが分からなかったのです。

"seed"には実を結ぶ、タネを生じるという意味もありますが、


go (run) to seed


というフレーズは植物が種子をつけるステージに入る、という意味の他、慣用表現で、


To become weak or devitalized; deteriorate
(American Heritage Dictionary)


という意味があります。

この意味の発展は、植物が種子をつける頃というのは既に成長の盛りを過ぎているということであり、花は萎れ、草臥れた状況に差し掛かっているということから来ているものなのだそうです。

よって、"seedy"な植物というものは盛りを過ぎて朽ちかけている(やがて朽ちる)もののたとえとなり、みすぼらしいという意味合いで使われるようになったそうです。

以前取り上げた、カタカナの「シード」(seed)についての記事もご覧ください。


2026年3月25日水曜日

mukbang

唐突ですが、"mukbang"という単語をご存知でしょうか?

小生は聞くのも見るのも初めてです。きっかけは以下引用するニューヨークポスト紙の記事でした。


Mayor Zohran Mamdani did a “mukbang”-style livestream video — munching on Taco Bell and Dunkin’ — to announce an $1.5 million settlement against franchises of the fast food giants Tuesday.

The democratic socialist mayor and his Department of Consumer and Worker Protections Commissioner Sam Levine detailed the deal while scarfing down Crunchwrap Supremes, Baja Blasts, Munchkins and a Mexican-style pizza during a YouTube livestream.

Mukbang is a popular YouTube format where hosts eat large amounts of food while discussing topics.
(Mamdani does ‘mukbang’-style video munching on Taco Bell, Dunkin’ to announce $1.5M fast food settlement. New York Post. March 24, 2026.)


記事に解説がありますが、"mukbang"というのは食べ物をテーマにした動画配信を指す言葉だそうです。

YouTubeなどを見ていると、食べ物をテーマにlした動画が多いですね。ラーメン屋とか爆盛りのお店とかの動画が流れてきますが、料理を作って食べるだけの動画なんかもあり、どれも食欲がそそられるものがあります。(いわゆる"food porn"ですね。)

Merriam-Webster Dictionary(オンライン版)ではこの"mukbang"という単語を載せており、以下のように解説しています。


Mukbang refers to a video shared on social media in which the creator films themselves eating large quantities of food, and often provides a review of the food as well. Mukbang can also refer to the genre of such videos.


また、"mukbang"は韓国語であり、食べるという意味のmeokと放映を意味するbangのかばん語だそうです。


The word comes from the Korean meokbang, which is a portmanteau of that language's words for “eating” (meok) and “broadcasting” (bang-song).


スペルは"meokbang"とする場合もあるようです。

2026年3月24日火曜日

little hearts out

このところ、トップニュースは国内も海外もイラン情勢に関するものですが、今朝はラジオのニュースを聞いていたら、トランプ大統領がイランに対する攻撃を5日間延期すると発表したといっていました。何でも、イランと交渉が進んでおり、その交渉内容が生産的なものなので攻撃の延期をするという判断に至ったということだそうで、あれ?そんな状況なの?という気になりましたね。

週末の時点では48時間以内にホルムズ海峡の封鎖を止めないとイランの電力施設などのインフラを破壊すると豪語していたはずです。その48時間の期限が切れるギリギリのところで攻撃は止めにすると発表したものですから関係者が困惑するのも無理はありません。

また、トランプ氏が言う「イランとの交渉」について、イラン側は否定しており、益々混乱を増しているという状況です。


Trump’s comments, made to reporters before he left Palm Beach on Monday morning, added confusion to what has already been a war underpinned by mixed messages, contradicting statements, and wild claims from both sides.

On Saturday, for instance, the president sent the markets into a frenzy by announcing he would destroy Iran’s power plants if they didn’t fully open the Strait of Hormuz within 48 hours.

But on Monday morning, merely hours ahead of his deadline and after threats of retaliation from Iran, Trump announced he had given orders to postpone ​any military strikes against Iranian power plants for five days because the two countries had “very good and productive conversations.”

“If it goes well, we’re going to end up settling this. Otherwise, we just keep bombing our little hearts out,” he told reporters.
(Farrah Tomazin. Trump Unleashes Bonkers Rant Contradicting Himself Over War. Daily Beast. March 23, 2026.)


引用記事は猫の目のようにコロコロと変わるトランプ氏の発言を追ったものです。

直近の発言としては上述したように、イランとの交渉が良い感じで進んでいるというものですが、イラン側は否定しており果たして事実なのかが問われるところです。また、交渉が決裂した際には原油供給の混乱は引き続き世界経済や中東情勢を不安定なものにすると思われ・・・。

さて、トランプ氏の発言の中で、(交渉が決裂した際に言及して)


Otherwise, we just keep bombing our little hearts out


というくだりがあります。

この部分の意味がつかみあぐねたので今日取り上げる次第です。最初見た時、構文としてどう解釈するのかで躓きました。"bombing"は爆撃のことを指しているのは明らかですが、"our little hearts"は動詞bombの目的語なのか、つまり"bombing ~ out"という動詞句として捉えるべきなのか、あるいは"our little hearts out"という一連のフレーズを動詞bombを修飾する副詞句のように捉えるのか?

結論から言うと正解は後者になるのですが、はてさて"little hearts out"は何を言わんとしているのかがよく分かりません。英和辞書を引きましたがそのようなフレーズを取り上げているものは無く、ここでの"heart"が意味するところもつかみあぐねました。

Merriam-Webster Dictionaryを検索しますと似たようなフレーズとして、


one's heart out


というエントリがあり、その意味は、


with great effort, energy, and enthusiasm : very hard


とあります。恐らくこれであろうと結論した次第ですが、改めて英和辞書を引いてみると、"heart"には関心や熱意、元気という意味があると確認できます。"little hearts out"の"out"は、完全に、とか、すっかり、十分に、といった意味合いなのだろうと思われます。

つまり、"little hearts out"は先立つ動詞を副詞的に修飾するフレーズで、一生懸命に、とか徹底的に、強い意志を以て、というような意味合いで用いられるものと思われます。

コーパスでは"little hearts out"の用例を多数見ることができます。いくつか拾ってみました。


I remember Whitney when she was Americas sweetheart, just singing her little heart out.
(CNN, 2006)

Unbelievable, those boys dancing their little hearts out.
(CBS, 2012)


トランプ氏の発言、"we just keep bombing our little hearts out"は、交渉決裂なら攻撃継続、それも徹底的にやる、という意思表示と解釈されます。

"our hearts out"と"our little hearts out"の違いは意思、熱意を意味する"heart(s)"を修飾する"little"があるか無いかの違いですが、この"little"に込められた意味合いには、ささやかながら、非力ながら、というものがあるようです。

米軍の圧倒的な軍事力を前提とするならば、この"little"は反語的に響きます。

2026年3月23日月曜日

been there, done that

対イラン戦争でホルムズ海峡は事実上の封鎖、原油供給に混乱が生じていますが、海峡を通過するタンカーを護衛するというオプションが提案されていると報じられます。

先日訪米した高市首相は国内法下では日本が戦艦を派遣することは困難であるとトランプ氏に伝達したそうです。アメリカは海軍を派遣して、海峡を通過するタンカーを護衛する用意があるようです。

CNN記事は現状を、"been there, done that"の感があるといいます。

"been there, done that" — (かつて)その場所にいた、それを経験した、という意味です。

記事のタイトルには、「歴史は繰り返す」(history is repeating itself)ともあります。原油の輸出の最重要ルートであるホルムズ海峡が焦点になるのはこれが初めてではありません。1980年に発生したイラン・イラク戦争では、両国がペルシア湾、ホルムズ海峡の海上封鎖を行い、付近を航行する船舶への攻撃が問題となったということがあります。現在の状況と酷似している訳で、関係者(関係国)にとっては既視感があるということでしょう。

"been there, done that"は定着している言い回しのようです。英和辞書にも、"have been there (before)"は慣用表現として、体験して知っている、十分心得ている、といった意味合いであると載っています。

既に経験済みだ、という意味ですが、この記事のコンテクストでは、いつか来た道、と訳しても良いかもしれません。


As President Donald Trump looks at ordering US Navy ships to escort oil tankers through the Strait of Hormuz, for naval analysts and historians, there’s a distinct feeling of “been there, done that.”

Almost 40 years ago, US Navy warships were facing the same enemy they’d be facing now, the navy and the sea forces of the Islamic Revolutionary Guard Corps (IRGC).

The so-called Tanker War of the late 1980s saw some of the same weapons and problems a US escort force would face today, and provides lessons on how, in war, things can go wrong quickly in unexpected ways – with deadly consequences.
(Brad Lendon. The Tanker War: How history is repeating itself on the Strait of Hormuz. CNN. March 21, 2026.)