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2026年7月28日火曜日

deplete

停戦合意も無し崩しに再び攻撃の応酬となっているアメリカとイランです。トランプ大統領は大規模軍事攻撃も示唆していましたが、直前になって命令を取り下げたと報じられました。理由はミサイルが枯渇する恐れがあるためだと邦紙朝刊で読んだところです。

以下の引用はBBCニュースの記事からです。


This has been a touchy subject for some time within the US administration. Last month, when pressed on the subject, Hegseth denied that supplies were thinning out.

His position seems to have changed since. Last week, he told the Senate Appropriations Committee that the Pentagon needed another $87bn (£68bn) to address "critical shortfalls", including equipment.

Exact ammunition expenditures and remaining stockpiles remain classified. But publicly available data compiled by the Washington DC-based Center for Strategic and International Studies (CSIS) paints a stark picture of depleted stockpiles that, in the short-term, are difficult to replace.
(Bernd Debusmann Jr. As the US pauses the war with Iran, is Trump really running out of weapons? BBC News. July 27, 2026.)


ミサイルは実際に枯渇しつつあるのか、そうでないのか?

政権幹部の説明はやや混乱しているようです。表向きには十分な蓄えがあるというのは軍事力の誇示でしょうか。現実にはミサイルの数はこのペースで使い続けると確実に減ってくるとされ、対イラン戦争はともかく、将来的に発生するかもしれない紛争に対応できなくなる恐れが指摘されているといいます。

さて、今日の1語、"deplete"は、蓄えが少しずつ減ってしまうことを指す動詞です。

満たすという意味のラテン語plereに、欠如を意味する接頭辞de-が付いたもので、満たす(こと)の逆となり、枯渇を意味します。

同じくラテン語plereを語源とする"complete"については説明は不要ですね。

2026年7月27日月曜日

singularity

人工知能(AI)のコンテクストで使われる言葉に、


singularity 


というものがあります。技術的特異点などと訳され、AIが人間の知能を超えて自律的に機能し始め、もはや人間がコントロール出来なくなる状況に至るというような意味合いで使われます。

人工知能分野の草分け的スタートアップ企業であるOpenAI社のアルトマンCEOが、現代の AIが既に"singularity"に達したとの発言をしたと報じられています。


OpenAI's CEO says we've reached a point in the AI race that is the stuff of science fiction novels.

"We are now, like, in the singularity," Sam Altman said on Saturday's episode of the "Relentless" podcast.

The singularity is often regarded as the point at which artificial intelligence surpasses human intelligence and begins advancing at a pace that's difficult for people to predict or control.
(Lakshmi Varanasi.Sam Altman says we are in the singularity: 'This is the moment'. Business Insider. July 27, 2026.)


"singularity"という概念はこれまでサイエンスフィクションや映画の世界のはなし、つまり非現実でしかなかった訳ですが、つい先日、Open AI社が開発中の AIモデルがテスト環境を逸脱して他社の情報システムを攻撃するという「事件」が発生しました。開発中の AIが自律的に制限を乗り越えたと見られており、"singularity"を超える事象として見られているようです。

"singularity"という用語自体は数学や物理学の概念を表す用語として使われてきたのですが、 AIにおける定義はさすがに古くからある紙の辞書には見あたりません。American Heritage Dictionary(ネット版)では時代を反映してこれを載せています。


A hypothetical future point in time when artificial intelligence will surpass human intelligence and be able to self-replicate and improve itself autonomously.


2026年7月24日金曜日

ALPR

最近のスーパーマーケットの駐車場は料金徴収のゲートが設置されていないところが増えています。精算機では自分のクルマのナンバーを入力し、入場時に撮影された画像を自車と確認した上で、画面に表示される料金を支払うというものです。入場と退場の時刻、自動車のナンバーという3つの要素により、料金を負担すべき個人が特定される訳で、これを人手を介さずに自動で行うというところにイノベーションがあります。

入り口にはナンバープレートを読み取るカメラが設置されていますが、このカメラが特に優れ物でしょう。

こういった自動ナンバー読み取り装置のことをALPRと呼ぶそうです。ALPRとは、


Automatic License Plate Reader


の略称です。

今、アメリカ国内では、ALPRがもたらすプライバシーの問題が取り沙汰されているという記事を読みました。


Flock cameras are automatic license plate readers, or ALPRs. There are other ALPRs in the market, but Flock cameras are some of the most well-known ALPRs.

The cameras, however, capture more than just license plate information.

Flock Safety defines their cameras as: "a license plate reader camera built to identify vehicle details that may help generate investigative leads. That includes the license plate, along with attributes like make, model, color, and other visible characteristics. Flock cameras are not general-purpose surveillance systems designed to identify people," according to Flock Safety's website.
(Ernesto Centeno Araujo. What are Flock cameras? Why have they caused a stir in California? Desert Sun. July 22, 2026.)


カリフォルニア州で、Flockという新興の会社が提供するALPRであるFlock Cameraは、警察当局などに提供され、犯罪捜査やスピード違反の取り締まりにも使われているということです。

しかしながら収集されたナンバープレートの情報や画像が正当な捜査活動以外にも使われているのではないかとの疑惑が拡がり、Flock Cameraの設置に対する不安の声や装置を破壊する活動まで起きているそうです。

Flock Cameraはナンバープレートのみならず、車種や車体の特徴なども判別できるそうで、こうしたディテールの蓄積により、どこまでが正当な使用範囲なのか、プライバシーが侵害されているとの指摘があるようです。

2026年7月23日木曜日

millstone around your neck

アリゾナ州知事選の候補らを選出する共和党の予備選挙で、トランプ氏が推す候補が選出されたとのニュース記事を読みました。

アリゾナ州は長く共和党の地盤として知られますが、2020年の大統領選では民主党のバイデン前大統領が勝利し、敗れたトランプ氏が選挙不正を訴えるという事態になった経緯があります。以降民主と共和が激しく争うスイングステートになったものです。

今回選出された候補者らはトランプ氏に忠実で、2020年の選挙不正を主張している議員であり、多分こういう人のことをMAGA急進派というのだろうと思います。


Election deniers who played prominent roles in efforts to overturn the 2020 results triumphed in statewide Republican primaries Tuesday: Rep. Andy Biggs for governor, state Rep. Alexander Kolodin for secretary of state, and state Senate President Warren Petersen for attorney general.

(中略)

Their victories show GOP primary voters continue to prefer candidates who have pushed false narratives about elections or worked to overturn them. But that can prove toxic in November — and Democrats plan to make their rivals pay for those positions in the fall.

“It’s one of those things that just won’t go away,” said former Rep. Matt Salmon (R-Ariz.). “In the Republican Party in Arizona, in the primary, carrying the Trump line on virtually everything — and that includes election denialism — is still something that benefits you.”

But in the general election, “it’s a stone around your neck,” Salmon said. “Among independents and moderate Republicans who vote in the general election, election denialism is not an asset.”
(‘It’s a stone around your neck’: Arizona Republicans once again nominate 2020 election deniers. Politico. July 22, 2026.)


選挙不正があったのか、無かったのか、小生にはよく分かりませんけれども、トランプ氏が未だに2020年の選挙結果を受け入れておらず不正を訴えていることについては、トランプ氏特有の言いがかりみたいな感じもします。当然ながら民主党はそのような不正は存在しないと主張し、ここに米国を二分するような分断が生じているものです。

今回の予備選挙の結果はある意味、共和党の体質のようなものを体現したものとも言えなくもありません。対する民主党はそこを突いて行く訳です。

共和党内にもトランプ氏とはやや距離を置く立場の党員からは今回の結果が11月の本選挙では裏目に出る恐れもあると発言しているようです。

その発言の中に、


it’s a stone around your neck


というくだりがあるのですが、"a stone around your neck"という表現を知りませんでした。

知っているのは、




の方なんですが、コンテクストから大体同じような意味合いのようにも思われました。

この"a stone around your neck"という表現ですが、辞書を引いてみると、


millstone around one's neck


というものがあり、(心の)重荷というような意味合いで使われると載っています。

また、この表現が聖書のマタイ伝に由来するとの説明も見えます。


「しかし、わたしを信じるこれらの小さな者の一人をつまずかせる者は、大きな石臼を首に懸けられて、深い海に沈められる方がましである。」
(マタイによる福音書 18:6 新共同訳)


"millstone"とは粉挽きに使う石臼ですが、あんな物を首に懸けられて海に落とされたら溺れ死んでしまいます。精神的な重荷どころでは無いように思うのですが・・・。

選挙不正があったとの立場を崩さずトランプ氏と歩調を合わせる候補者らは、11月の本選ではどうなるのか、見ものです。

2026年7月22日水曜日

chancellor

昨日の投稿でも取り上げましたが、イギリスではバーナム新政権が誕生しました。新しい内閣の人事では、スターマー前首相に近かった人たちは遠ざけられたとの報道です。

主要閣僚の中で、"chancellor"というポジションが出てきます。

"chancellor"の指すポジションには様々あるようですが、例えばドイツでは首相を指すのに使われるということは知っていました。イギリスでは?

知らなかったのですが、イギリスで"chancellor"は大蔵大臣、財務大臣のことなんだそうです。


Andy Burnham pledged to "bring back hope" to Britain, as he began his tenure as prime minister by appointing Labour stalwart John Healey as chancellor.

(中略)

Speaking to broadcasters, Healey said the pair will "work in lockstep to meet the fiscal rules with a buffer against uncertainty" and on how they will "make life more affordable for working people right across the UK".
(Burnham pledges to 'bring back hope' as he makes Healey chancellor. BBC News. July 21, 2026.)


バーナム首相は財務相("chancellor")にヒーリー氏を指名、英国民の生活を豊かにすることを誓っています。税負担の軽減などの施策は財務大臣の職務範囲でしょう。

辞書を引いてみますと、


Chancellor of the Exchequer


というのが正式な名称のようです。


The senior finance minister in the British government and a member of the prime minister's cabinet.
(American Heritage Dictionary)


この"Exchequer"というのは何かと言うと、"checker"、つまりチェス盤などに見られる、四角の格子で構成される市松模様のことを指します。ノルマンディー公国の時代、テーブルに拡げた市松模様の布の上にカウンターを配置して収支の計算を行ったことに由来するんだとか。

"Exchequer"というスペルについては、元々はアングロフランス語eschekerだったものが、語頭のes-がラテン語の接頭辞ex-に誤解されたものだとの語源解説を辞書に認めることができます。ちなみに、"check"という単語の語源については以前取り上げました。

この"Chancellor of the Exchequer"が"chancellor"と省略されたものだと解釈されますが、"chancellor"という単語についても興味深い語源があるようです。

"chancellor"というのは元は玄関番を指す言葉で、柵(の棒の1本)を意味する"cancellus"という単語(ラテン語で格子を意味するcancer)と関連があるそうです。柵によって中(内)と外を隔てたんですね。"chancellor"は色々なポジションを指すと書きましたが、そのひとつには大法官(Lord Chancellor)というものがあり、これは法官が柵によって隔てられた場所に位置しているからだそうなんですね。身分が違う、ということですね。

また、"chancellor"と関連する"cancellus"にはそのスペルに"cancel"(キャンセル)という単語を認めることができますが、取り消す、やめる、という現代の意味は文字に棒線を引いて消す、すなわち取り消すということから来ているんだそうです。