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2026年4月2日木曜日

lunar flyby

NASA のアルテミス2計画のロケットが月に向けて打ち上げられたとのニュース速報を今朝のラジオで耳にしました。

4人の宇宙飛行士が搭乗したロケットは米国東部時間午後6時35分にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。


NASA's Artemis II Moon mission successfully launched from Florida's John F. Kennedy Space Center on Wednesday afternoon at 6:35pm ET.

Artemis II's planned crewed lunar flyby is set to mark the closest humanity has come to the Moon since the Apollo days.

It's also a key step towards NASA's grand ambition to return human boots to lunar soil, and the Trump administration's dreams of a permanent Moon base.

(中略)

Artemis II is designed as a "dress rehearsal" before a lunar landing planned for later this decade. (Apollo 8 and 10 served similar roles before Apollo 11 and Neil Armstrong's "one giant leap.")
(Alex Fitzpatrick. Artemis II successfully launches for Moon mission. Axios. April 1, 2026.)


宇宙のことについては疎いのですが、アルテミス計画については度々聞くことがありましたので何となく知ったつもりでおりました。そして引き合いによく出されるのがアポロ計画で、これは人類が初めて月面着陸を果たした歴史的な出来事ですが、今回も月に向けて打ち上げられたということで、また月面に着陸する話か、くらいに思っていたというところです。

ところが記事では、


Artemis II's planned crewed lunar flyby is set to mark the closest humanity has come to the Moon since the Apollo days.


とあります。着陸はしないのか?と自身の不明を恥じたような次第です。

ここで、"flyby"とは、


A flight passing close to a specified target or position, especially a maneuver in which a spacecraft or satellite passes sufficiently close to a body to make detailed observations without orbiting or landing.
(American Heritage Dictionary)


と定義される用語であり、天体接近飛行と訳されます。国内メディアでは"crewed lunar flyby"を「有人月周回」と訳しています。

記事にもありますように、今回のアルテミス2計画は続くアルテミス3、アルテミス4という計画の前段階の「リハーサル」的な位置付けであり、月面着陸は2028年のアルテミス4で予定されているそうです。



2026年4月1日水曜日

steward

トランプ氏肝煎りのホワイトハウスのリノベーションに待ったがかかりました。

4億ドルという巨額の予算が計上されている宴会場の建設に関して議会の承認を得ていないとして、差し止めの司法判断が下されたとあります。


A federal judge on Tuesday blocked President Donald Trump from moving ahead with any further work on a massive new $400 million ballroom on the former site of the White House East Wing.

“The President of the United States is the steward of the White House for future generations of First Families. He is not, however, the owner!” Judge Richard Leon wrote.
(Judge rules that White House ballroom construction ‘has to stop!’. CNN. March 31, 2026.)


司法のコメントが引用されていますが、アメリカ大統領はホワイトハウスのオーナー(owner)なのではなく、"steward"である、としています。ということで、今日の1語は"steward"としました。

「スチュワード」(steward)と聞いてまず思い浮かべるのは(飛行機の)スチュワーデスではないでしょうか。女性客室乗務員を指す言葉ですが、"steward"の女性形であるというのはご存知でしょう。最近はスチュワーデスとはあまり言わず、また男性・女性の区別をしない、もっぱら"flight attendant"や"cabin attendant"と表現する傾向にあるようですが。

さて、"steward"のそもそもの意味は、財産管理人や執事というもので、特に大きな家で複数の使用人を指揮して家事家政を仕切る立場の役割を指します。記事では「オーナー」との対比として"steward"という言葉が持ち出されている訳ですが、"steward"は「オーナー」の命を受けて財産を管理するのが役割であり、勝手に何でも決めて実行することは許されない、と言っていると解釈できます。トランプ氏は宴会場建設のために既にホワイトハウスの東ウィングを解体してしまいましたが、議会の承認を得ていない解体、建設計画は"steward"の裁量を越えている、という訳です。

ところで"steward"の語源に目を向けてみると、古英語stigweard、stiwardという語に遡るとあり、これはsti-と-wardという部分に分けられるとあります。-wardは監督、保護を意味するものですが、sti-に関しては"sty"、つまり家畜小屋と同語源なのだそうです。

家畜小屋の管理人と大邸宅の執事とは随分と落差がありますね。

尤も、Online Etymology Dictionaryによれば、英語辞書の総本山ともいうべきOEDでは、"steward"の原義が家畜小屋の管理人というエビデンスは無い、としているそうです。ランダムハウス英和辞書も語源欄では"sty"に触れていますが、意味的な結び付きについては不明としています。



2026年3月31日火曜日

francophone

先日ニューヨークのラガーディア空港でエア・カナダの航空機が滑走路上で接触事故を起こし、パイロット2名が死亡するという痛ましい事故がありました。

そして、下記に引用する記事ですが、エア・カナダのCEOが辞任すると発表したとあります。事故が背景にある訳ですが、事故の責任を取ってというより、亡くなったパイロットに対するお悔やみの言葉がフランス語でなく英語であった、ということが理由だそうで、興味をひかれたというところです。


The CEO of Air Canada will retire later this year, after being criticised for failing to speak French in a condolence video following last week's fatal collision at LaGuardia Airport in New York, that killed two pilots.

Michael Rousseau informed the airline that he will be stepping down by the end of the company's third quarter, Air Canada said in a statement on Monday.

Rousseau had faced calls to resign after delivering his condolences in English only. One of the pilots who died, Antoine Forest, was from French-speaking Quebec.
(Nadine Yousif. Air Canada CEO to retire after English-only condolence video controversy. BBC News. March 30, 2026.)


ご存知の通り、カナダという国は英語を公用とする地域とフランス語を公用とする地域に分かれます。亡くなったパイロットの1人はフランス語を公用とするケベック州の出身であったといい、CEOがフランス語を用いず、英語のみでしかメッセージを出さなかったことが批判を浴びた、とあります。

ケベック州の首長はその事実を重く見てCEOは辞任すべきと迫ったようです。


Quebec Premier François Legault said he believed Rousseau should step down if he was unable to speak French.

Legault welcomed Air Canada's announcement and said in a post on X Monday that the next CEO should speak French as a "matter of respect for the employees, francophone customers, and all Quebecers".
(ibid.)


そして、後任のCEOはフランス語を話せる人物が相応しいとSNSに投稿したとあります。それが、エア・カナダの従業員、顧客、ケベック住民に対するリスペクトであると。

ここでは"francophone"という表現が使われています。フランス語話者、という意味です。franco-はフランスの、という意味であり、接尾辞-phoneは、(ケータイ電話の"phone"ではなく)特定の言語の話者、という意味です。大文字で始まる"Francophone"が辞書には見えますが、引用記事のように小文字で始まるスペルも使われます。

"Francophone"はフランス語話者で、これと同じ成り立ちの単語で英語話者を意味するのが"Anglophone"です。


Rousseau, who lives in Montreal but is an anglophone, had come under fire for his French language skills in the past, including shortly after he was appointed as CEO of Air Canada in 2021.
(ibid.)


辞任するCEOのRousseau氏はフランス語を勉強していたそうですが、なかなか上手く話せないということを自覚していたようです。名前からフランス人なのかと思われたのですが、英語話者のようです。

言語というのはやっぱり重要なんだなぁと思わされる一件です。

2026年3月30日月曜日

take the fifth

ニューヨークの地下鉄ではかねてより無賃乗車が横行していることが問題になっています。運賃を払わず、改札のゲートをくぐったり、乗り越えて通過する乗客が後を絶たないからです。地下鉄を運営するMTAは改札ゲートに巨大なガラス製のパネルを設置して簡単にはすり抜けることが出来ないような対策を施しました。

11億ドルという巨費を投じたものですが、果たしてその効果の程は?疑問の目が注がれているようです。


The MTA boasted that its “modern” fare gate pilot was a success on Wednesday — touting drops in fare evasion using limited data while ducking questions about how much the $1.1 billion system will actually cut down on the problem.

At a board meeting, officials flashed a chart claiming the towering glass paddles have cut fare beating by anywhere from 19% to 70%, depending on the station. But those numbers came from a single week of data on a pilot that has been running for more than three months.

(中略)

“We’ll have more data shortly,” Torres-Springer added.

When one board member asked Deputy Chief of Staff Cathy Li how much the new gates would shave off the MTA’s about $350 million a year in subway fare evasion, Chair Janno Lieber jumped in before she could answer.

“I’m going to interrupt and take the fifth on that one,” Lieber said. “We have to see more data before we can have confidence.”
(Haley Brown. MTA calls $1.1B ‘modern’ fare gates a success, but official ducks question on numbers: ‘Take the fifth’. New York Post. March 25, 2026.)


MTAの役員会では対策の効果が数字で示されたそうですが、短期間のデータに留まり、またバラツキのあるものだったようです。

無賃乗車によるMTAの損失は3億5千万ドルにのぼるとされていますが、対策がこの損失をどのくらい削減するのかという質問に対しては明確な回答が無かったようです。

質問を受けた役員は、


I’m going to interrupt and take the fifth on that one


と答えた、とあります。

ここで、"the fifth"というのは"5th Amendment"のことで、合衆国憲法修正第5条、いわゆる黙秘権のことを指します。

よって、"I’m going to... take the fifth "とは、黙秘権を行使します、ということになるのですが、裁判や議会の喚問などの場でもないところでのこの表現はやや大袈裟というか、少しふざけたようにも響きます。

"take the fifth"は、要は自身に不利になるような発言は控えておきたいということで、ここでは「ノーコメント」くらいの意味合いと思われます。

実際、"take the fifth"は質問に答えたくない時に、おどけた感じで使われるようです。質問攻めにあって困ったらこれを使ってみましょう?!

2026年3月27日金曜日

hot as a pistol

日本はハンコ(印鑑)文化、欧米はサイン(署名)の文化とよく言われますが、アメリカ大統領が執務室のデスクで大統領令にささっと署名して見せる様子をメディアが撮影しているのをよく見ますね。バイデン前大統領は手書き署名ではなく、オートペン(autopen)という自動署名機械を使っていたということで、トランプ氏からは随分と貶められましたが。

トランプ氏は署名の際に使うペンとして、Sharpieというブランドの油性マーカーがいたくお気に入りのようです。

トランプ氏は最近の閣僚会議でこのSharpieにまつわる話を持ち出したそうですが、イラン情勢やら政府機能が停止していることに伴う混乱など大変な時に何をくだらない話を、とメディアや関係者は半ば呆れているという記事から引用です。


President Donald Trump may believe the adage that the pen is mightier than the sword — as long as it’s a Sharpie.

During a Cabinet meeting Thursday that discussed the war in Iran, record-long security lines at many of the nation’s top airports, rising oil prices and skittish stock markets, the president interjected by holding up a custom-made black and gold Sharpie and offering a long story about how his preferred marker came to be a White House fixture.

(中略)

Trump summed it up as “a business story.”

“For $5, I get a much better pen than for $1,000, and I can hand them out,” he said. “And, honestly, they’ve become hot as a pistol, so what can I tell you?”
(Will Weissert. Trump interrupts a Cabinet meeting dealing with the Iran war and rising prices to talk Sharpies. The Associated Press. March 24, 2026.)


トランプ氏はこれまで1本が1,000ドル(!)もするボールペンを使って署名していたそうですが、インク不良で掠れることが多く書きにくいため、1本5ドルのSharpieに切り替えたのだそうです。ホワイトハウスに納入されるSharpieは本体に金色のホワイトハウスロゴが入った特別仕様らしいですが、5ドルという市販価格で納入されているんだそうです。大統領は署名に使ったペンをゲストにプレゼントしてきたといい、1,000ドルだったものが200分の1の5ドルになった訳で、トランプ氏はそのことを自慢しているということなのです。

で、随分と前置きが長くなりましたが、トランプ氏がお気に入りのSharpieを、


And, honestly, they’ve become hot as a pistol


と言っているのが引用されています。この"hot as a pistol"という表現を知らなかったので取り上げました。「ピストルのようにホット」とは一体?

英和、英語辞書には載っていないようですのでネットで検索してみますと、


Performing extremely well.
Very popular or successful.
(The Free Dictionary)


また、"hotter than pistol"というフレーズとして、


Exceptionally popular, productive, or marketable.
(Wiktionary)


という定義が見られます。とても流行っている、イカしている、良い!といった感じでしょうか。形容詞の"hot"にもそういう意味がありますね。よって、「ピストルのように」という喩えは何なのか?ということに関心は移ります。

このフレーズは恐らく口語やスラングの類いと思われますが、明確な説明をしているものは見当たりません。調べていますと、


hotter than a three-dollar pistol


というフレーズもあるようです。(two-dollar pistolというものもあります。)

この表現は、とにかく暑い(!)と言いたい時に使うようです。"three-dollar pistol"とは安価なピストルのことで、造りの悪いピストルが、恐らくは1発か2発撃ったところで本体が熱を持ち過ぎて握れないくらいになる、ということを言ったもののようです。

こういった表現は銃社会アメリカならでは、でしょうか。