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2026年10月2日金曜日

pinky-swear

人間がAI(人工知能)を制御できなくなる危険性に対してトランプ大統領は否定的で、AI開発を遅らせるのはバカげていると言っています。

そのトランプ氏はAIという名称が良くないと言い、SI (Super Intelligence ) と改称すると宣言しましたが、グーグルやメタ、アンソロピックなどAI関連企業のトップをホワイトハウスに招き、AI(SI!?)開発において各社が内部統制を強化するとの内容で合意したと報じられています。

各社のCEOらが合意、署名した共同声明のような文書が公開されています。その文書中、トランプ氏の署名欄では、"President of the United States"が、"President of the Unites States"になっており、スペルミスだとこれまた揶揄されています。

それはさておき、ホワイトハウス主導による今回の合意宣言についての記事から引用です。


ON TUESDAY, EXECUTIVES for Google, Anthropic, Meta, OpenAI, xAI, and Nvidia all signed “The White House Accord on Super Intelligence,” which was announced following a luncheon held by President Donald Trump.

The effort was an act of “tremendous self-regulation,” as Trump put it, but the agreement is not the sweeping AI regulation that people inside the companies themselves have been asking for. And while failing to honor these public commitments could count as illegally lying to consumers, even that wouldn’t be enough to trigger massive reforms.
(Maddy Varner. Trump’s AI Safety ‘Accord’ Is a Fancy Pinky-Swear. Wired. September 30, 2026.)


AIの安全性に関する合意宣言は"AI Safety Accord"とあるのですが、記事のタイトルには、


pinky-swear


と表現されています。

"pinky"については以前取り上げたことがありますが、これは小指のことです。そして"swear"とは宣誓のことで、つまり小指での宣誓ということになります。"pinky promise"とも表現されることがありますが、小指による約束は日本語でいう「指切りげんまん」に当たるものです。

この「指切りげんまん」は日本だけの風習と思いきや、アメリカや諸外国にもあるものなんですね。"pinky-swear"、"pinky promise"いずれも辞書には見当たりませんが、「指切り」は子どものやる事、子どもの間での約束事というイメージがありますね。

AIの安全性に各社が責任を持つという今回の合意宣言を"pinky-swear"だというのは、それが子どもの約束事みたいだ、と揶揄しているように感じられますね。

「指切りげんまん」の「げんまん」とはゲンコツ万回、約束を破ったら拳固で1万回殴るということで、「針千本飲ます」と合わせて約束破りは許さないという、ある意味脅しですが、AIの安全性を担うトップ企業の責任は重大と考えられるところ、ゲンコツ万回や針千本では済まない話だろうと思われます。

2026年10月1日木曜日

badonk

クマの話です。アメリカではFat Bear Weekという毎年のイベントでクマの人気投票が行われているそうです。その人気投票で「89 Backpack」という名前のクマが16頭の候補の中から一番人気に選出されたというニュース記事からの引用です。


A brown bear known as 89 Backpack has won the annual Fat Bear Week competition, after what the US National Parks Service described as a "battle of size, skill, snack acquisition, and strategic loafing".

Backpack's wideness narrowly defeated a bear known only as 910, earning 103,344 votes to 910's 98,253 in the final round of the competition, which is run by the Katmai National Park in Alaska.

The National Parks Service thanked the 16 bears who "involuntarily participated" in the competition, now in its thirteenth year.

Backpack, who was described by one supporter as having both the "chonk and the badonk", will shortly enter hibernation, which can last up to six months.
(Helen Sullivan. 'Backpack' declared Alaska's Fat Bear Week winner. BBC News. September 30, 2026.)


日本ではクマの市街地の出没が相次ぎ、最近は少し収まっているようですが、クマに対して忌避感が拭えないところがあろうかと思います。

一番人気の「89 Backpack」については、


the "chonk and the badonk"


がその人気の理由とあります。"chonk"という単語には丸々と太った体形というよいな意味があります。一方の"badonk"ですが、こちらは辞書に載っておらず、意味の手掛かりがありませんが、"chonk"と"badonk"とが韻を踏んでいるようにも感じられます。

ネットで検索すると"badonk"にはやはり丸々と肥えたお尻を指す意味なのだそうです。特に女性のそれを指すらしく、やや性的な意味合いも帯びているようです。この"badonk"という単語は先述しましたように辞書には載っていないのですが、小生は臀部を意味する"buttock"から来ているのかと思いました。しかし、ネットでのいくつかのソースによると、"badonkadonk"(または、badunkadunk)という俗語に由来するらしく、これはボーリングの球を転がした時の音、つまり擬音語だというのです。なるほど、ボーリングにしばらく行っていませんが、あの重たい玉は丸々と肥えたお尻に見立てられなくもありませんし、床に転がすとそんな音(!?)がしそうです。

クマに愛らしさを感じるのはやはりあの丸々と太った体形にあるのだろうと思いますが、"chonk"も"badonk"もそうした体形についての表現であり、韻を踏んだフレーズとして一体を成すパターンで使われることが多いようです。日本語でいう「ずんぐりむっくり」に近いという説明もあります。


2026年9月30日水曜日

pistol-whip

記事の引用からどうぞ。


A violent pair bashed a man in the head with a gun before swiping his luxury watch and a bundle of cash outside an East Village dive bar early Tuesday, cops said. 

The duo — both strangers — approached the victim around 3:20 a.m. in front of Josie’s Bar on East 6th Street near Avenue A and yanked on his fanny pack, police said. 

One of the muggers then pulled out a gun and hit him over the head multiple times, leaving him bloody, authorities said.
(Amanda Woods. Violent pair pistol-whips man, steals his luxury watch, cash outside NYC bar: cops. New York Post. September 29, 2026.)


強盗の話ですが、記事のタイトルで、


pistol-whip


という表現が使われています。ニューヨーク繁華街のバーで二人組が男性1人を襲って時計や金を奪ったというものですが、"pistol-whip"の意味するところは本文からお分かりのようにピストルで打撃を加えた、ということです。

変わった表現だなぁと思ったのですが、意外にも(?!)この"pistol-whip"という単語は辞書にちゃんと載っているんですね。ランダムハウス英和辞書ではアメリカ英語の表現として、


(特に人の頭部と肩を)ピストルで繰り返し殴る


とあります。映画のワンシーンのようですが、ピストルは弾丸を撃ち込めば殺傷能力もある武器ですが、ピストルをちらつかせて脅すのに使われることもあれば、相手を殴打するのにも使えるという訳です。

ある意味銃社外アメリカを彷彿とさせる表現ではないかと思います。

以前取り上げましたが"hot as a pistol"という表現もご覧下さい。



2026年9月29日火曜日

rogue

人智を超え、制御が効かなくなって暴走するAI — 。そのようなAI(人工知能)に付加される形容に、


rogue


があります。暴走する、手に追えない、(行動などが)予測不能な、凶暴な、などといった意味合いがあります。


Chipmaker Nvidia said Monday it is introducing a new software platform to address concerns about artificial intelligence agents that have “gone rogue” and operated outside human control.

“Today, with over 100 industry partners, we introduced the NVIDIA Open Agent Safety Platform,” Nvidia CEO Jensen Huang wrote in a post on X Monday.

Nvidia (NVDA) says its technology will enable companies to monitor every action undertaken by an AI agent, as well as enforce policies.
(Chris Isidore.Nvidia launches new tool to keep AI agents from going rogue. CNN. September 28, 2026.)


この"rogue"という単語はごろつき、悪漢、詐欺師などの意味もある名詞でもありますが、その語源はよく分かっていないようです。American Heritage Dictionaryでは"Origin unknown."(語源不詳)とあるのみです。

研究社新英和大辞典では、他人を頼る(to ask)という意味のラテン語動詞rogareと関連があり、「OxfordやCambridgeの苦学生を装った」不正直者、浮浪者というのが原義と推測される、との説明を載せています。このほか、よく参考にさせていただくOnline Etymology Dictionaryによれば、フランス語で高慢を意味するrogueやケルト語と関連があるとの説もあるそうですが、いずれの説も確証に欠けるようで、最終的には語源不詳に落ち着いているもののようです。

"rogue"という単語にはかほどにネガティヴな意味が強いのですが、茶目っ気や剽軽という意味合いもあります。また、群れからはぐれて単独行動を取る象のことを"rogue elephant"というそうです。性格が荒いために群れに馴染めない動物を指すともあります。

こうした意味合いから、AIに対する形容として使われる、制御不能な、という意味は最近になって生じたもののようです。


2026年9月28日月曜日

order of magnitude

記事の引用からお読みください。


OpenAI, Anthropic and security researchers are investigating tens of thousands of incidents in which their frontier models took steps that outside evaluators would consider problematic, sources told Axios.

Why it matters: The sheer number of incidents, which occurred in recent months in internal testing and the real world, indicates that the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known.
(Madison Mills. Scoop: Top AI companies probing tens of thousands of security incidents. Axios. September 26, 2026.)


最近世間を騒がせている、制御不能になってしまうAI(人工知能)の危険性に関する話しです。これまでにAIがテスト環境から逸脱して実際のシステム脆弱性をターゲットにしたという事例や、オーストラリアでは本来アクセスが許可されない健康保険データベースへの侵入があったなど、幾つかのインシデントが公になっています。しかしながら、実際には何万件というインシデントが発生しているとの報告があり、暴走するAIの事例は我々が知らないだけで枚挙にいとまが無い状況なのだと思われます。

そして記事では、


the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known


というくだりがあります。

この箇所の文意を最初掴みあぐねたのですが、イタリックにした部分、"orders of magnitude"というフレーズの解釈が問題です。

AIのインシデントが認識されているよりも、より複雑なものであった、というのが文意ですが、"order of magnitude"は後続の"(more) complex"を修飾する副詞のような働きをしていると考えられます。

この"order of magnitude"は慣用的なフレーズで、"order"は等級、"magnitude"は大きさ、程度を意味するものですが、いわゆる数字の「桁」を指すと辞書にあります。それは数字としては10倍、つまりゼロ(0)一つ分、ということなのですが、ここでは"orders of magnitude"と複数形ですから、10倍以上、100、1,000という桁違いである、ということになります。

辞書の例文には、


of the same order of magnitude(同程度の大きさの)
Their estate is larger than ours by two orders of magnitude.(彼らの土地は我々のよりも二桁分大きい。(100倍もある。))


といったものが載っています。(研究社新英和大辞典)

これらの用例は、"of the same order of magnitude"や"by two orders of magnitude"であり、前置詞ofやbyがありますが、記事の用例は前置詞がありません。

このような用法は〜倍を意味するtime(s)という名詞が前置詞を伴わずに後続の形容詞を修飾するように使われるのに似ています。