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2026年9月10日木曜日

sizable

トランプ大統領がホワイトハウスの側近職員に現金を贈ったというニュース記事を読みました。

その額、45,000ドル。現ナマです。(わたしも欲しい・・・)


Donald Trump gave sizable holiday gifts to four White House aides, according to new financial disclosures released by the administration, including $45,000 to executive assistant Natalie Harp.

Communications adviser Margo Martin and deputy director of Oval Office operations Chamberlain Harris also received $45,000, while director of Oval Office operations Walt Nauta received a $20,000 gift.
(Trump gave $45,000 to Natalie Harp and other White House aides as holiday gifts. The Guardian. September 9, 2026.)


現金の名目は"holiday gift"だそうです。その形容に、


sizable


とあります。"size"に接尾辞-ableが付いたものですが、相当の大きさの、かなり大きい、という意味です。かつては、手頃な大きさの、という意味でも使われたようです。45,000ドルは手頃な額では決してありません。

臨時収入の恩恵に預かった職員の中には最近メディアの注目を集めているNatalie Harpという女性が含まれているとあります。イランの暗殺を恐れて大統領専用機ではなく、別の飛行機に隠密に乗り換えた際もトランプ大統領と行動を共にしたことで注目を浴びましたが、トランプ氏に好意的なメディアの記事を印刷して手渡しするのが主な仕事らしく、"Human Printer"と呼ばれているそうな。

さて、サイズ("size")の話しです。

物の大きさ、寸法を意味する"size"という単語は、"assize"という単語の頭音消失形であると辞書にあります。(古フランス語siseから来ているようですが、元はassisseという語であったものが変化したようです。l’assisseが誤って、la siseと解釈されたらしいという説は"apron"など、異分析により生じた単語の語源に似ています。)

その"assize"ですが、英単語としては残っており、辞書には巡回裁判という意味などが載っています。裁判と、寸法を意味する「サイズ」・・・。随分と意味合いが違います。

上述した古フランス語assisseですが、もう少し語源を遡ると動詞asseoir、ラテン語adsedereとなり、これは接頭辞ad-とsedere(to sit)からなる動詞なんですね。つまり、座るという意味合いなんですが、裁判という意味は審理のために関係者が集う(一堂に会して座る)ということから生じたようです。

そして、大きさを言う「サイズ」ですが、古くは物の大きさ、量、そしてその価格を法定価格として定めていたのですが、"assize"という単語にその意味合いを認めることができます。


2026年8月24日月曜日

grapple

土木作業員が重機の油圧ショベルを同僚の頭部にぶつけて殺害した罪に問われているというニュース記事の引用です。

「油圧ショベル」と書きましたが、記事では、


hydraulic grapple


とあり、日本語でも「グラップル」とカタカナ表記するもののようです。いわゆるショベルカー、パワーショベルのアームの先についている土を掘り返す爪の付いたアレは「バケット」というらしく、「グラップル」というのは鉤爪が対になっていて、モノを掴み持ち上げるためのものを言うようです。今日の学びでした。記事をどうぞ。


A Minnesota man is accused of crushing his co-worker’s head with a hydraulic grapple while the pair were “f------ around” during a tree-trimming job, killing the 26-year-old co-worker.

Christopher Boone Crimmins, 34, is charged with second-degree manslaughter, accused of operating a truck-mounted hydraulic grapple that closed on his co-worker’s head.
(Minnesota man charged in death of co-worker crushed by hydraulic grapple in prank gone wrong. NBC News. August 24, 2026.)


作業員はこの「グラップル」で同僚と悪ふざけをしていたようなのですが、まさか本当に頭に当ててしまうとは思っていなかったようです。

さて、油圧式「グラップル」などというものを知らなかった小生は最初、"grapple"という単語が何を指すのか分からなかったので辞書を引いた訳です。

"grapple"という単語についてはむしろ動詞として、掴み合う、取っ組み合い(の格闘をする)、難問などに取り組む、という意味で暗記していましたが、その原義としては掴むというもので、鉤爪のことや、引っ掛けるという意味があるということを再確認した次第です。

ところで語源欄を見てみると、ランダムハウス英和では"grapnel"という単語からの連想によるとあり、この"grapnel"というのは爪や鉤のついた、掴むための道具や錨として用いられるものを指す言葉なのだそうですが、知りませんでした。

興味深いことに、"grapnel"と"grape"(そうです、グレープ、ぶどうのことです)は関連しているとの解説があります。

ぶどうという時、我々はフルーツとしてのぶどう、あの丸い実を思い浮かべますが、語源的には鉤爪(hook)を意味する言葉に由来するそうです。ランダムハウス英和では印欧祖語krappon、また鉤を指すドイツ語Krapfなどに遡ることが出来ると解説されています。また、"grape"という単語に直接繋がる古フランス語graperはフックを使ってぶどうを取ることを意味したそうで、これが"grape"、即ちぶどうを意味するようになったそうです。



2026年7月22日水曜日

chancellor

昨日の投稿でも取り上げましたが、イギリスではバーナム新政権が誕生しました。新しい内閣の人事では、スターマー前首相に近かった人たちは遠ざけられたとの報道です。

主要閣僚の中で、"chancellor"というポジションが出てきます。

"chancellor"の指すポジションには様々あるようですが、例えばドイツでは首相を指すのに使われるということは知っていました。イギリスでは?

知らなかったのですが、イギリスで"chancellor"は大蔵大臣、財務大臣のことなんだそうです。


Andy Burnham pledged to "bring back hope" to Britain, as he began his tenure as prime minister by appointing Labour stalwart John Healey as chancellor.

(中略)

Speaking to broadcasters, Healey said the pair will "work in lockstep to meet the fiscal rules with a buffer against uncertainty" and on how they will "make life more affordable for working people right across the UK".
(Burnham pledges to 'bring back hope' as he makes Healey chancellor. BBC News. July 21, 2026.)


バーナム首相は財務相("chancellor")にヒーリー氏を指名、英国民の生活を豊かにすることを誓っています。税負担の軽減などの施策は財務大臣の職務範囲でしょう。

辞書を引いてみますと、


Chancellor of the Exchequer


というのが正式な名称のようです。


The senior finance minister in the British government and a member of the prime minister's cabinet.
(American Heritage Dictionary)


この"Exchequer"というのは何かと言うと、"checker"、つまりチェス盤などに見られる、四角の格子で構成される市松模様のことを指します。ノルマンディー公国の時代、テーブルに拡げた市松模様の布の上にカウンターを配置して収支の計算を行ったことに由来するんだとか。

"Exchequer"というスペルについては、元々はアングロフランス語eschekerだったものが、語頭のes-がラテン語の接頭辞ex-に誤解されたものだとの語源解説を辞書に認めることができます。ちなみに、"check"という単語の語源については以前取り上げました。

この"Chancellor of the Exchequer"が"chancellor"と省略されたものだと解釈されますが、"chancellor"という単語についても興味深い語源があるようです。

"chancellor"というのは元は玄関番を指す言葉で、柵(の棒の1本)を意味する"cancellus"という単語(ラテン語で格子を意味するcancer)と関連があるそうです。柵によって中(内)と外を隔てたんですね。"chancellor"は色々なポジションを指すと書きましたが、そのひとつには大法官(Lord Chancellor)というものがあり、これは法官が柵によって隔てられた場所に位置しているからだそうなんですね。身分が違う、ということですね。

また、"chancellor"と関連する"cancellus"にはそのスペルに"cancel"(キャンセル)という単語を認めることができますが、取り消す、やめる、という現代の意味は文字に棒線を引いて消す、すなわち取り消すということから来ているんだそうです。


2026年6月30日火曜日

scuttlebutt

有名シンガーのテイラー・スイフトさんと恋仲にあるアメフト選手がいよいよゴールインするということで、界隈ではこの話題で持ちきりだそうです。

(小生はこの手の話題にほとんど興味は無いのですが、このふたりの名前を芸能関連のニュース記事見出しで何度もみているうちに覚えてしまいました。)

結婚式の会場はなんとニューヨークのど真ん中にあるマジソンスクエアガーデンだと言われているそうですが、警備はどうするのか、ゲストはどうなる、とか様々言われており、そんな目立つ会場にしているのは衆目を欺くのが目的で、本当は別の場所でこっそり式を挙げるのではないか、とか噂されているそうです。いやいや、ふたりは既にもう結婚しているんじゃないかとも言われているともあります。


Amid mysterious preparations and rumors of multiple celebrations, top wedding vendors’ posts have sparked speculation that Taylor Swift and Travis Kelce are already married.

There’s been endless scuttlebutt that the couple will secretly tie the knot before their big day at Madison Square Garden this week.
(Mara Siegler. Top wedding gurus’ posts spark speculation that Taylor Swift and Travis Kelce are already married. New York Post. June 29, 2026.)


これだけの有名人となると噂が絶えないという訳ですが、今日の1語はその「噂」、ゴシップを意味する、


scuttlebutt


という単語です。

"scuttle"には幾つかの意味があって以前も取り上げたことがあります。今日の1語、"scuttlebutt"の"scuttle"は容器を指す名詞から来ています。その容器ですが、石炭を運ぶ容器とか穀物を運ぶ広く浅いカゴとか、色々あるのですが、飲み水を入れておく水差しがここでは相当するらしいです。

"butt"という単語もこれまた幾つかの異なる意味があるのですが、ここでは樽のことで、やはり飲み水を入れたものです。

船舶に設置された"scuttlebutt"は現代でいうオフィスのウォーターサーバーみたいなもので、船員に飲料水を提供する役割を持つものだそうです。

そうした"scuttlebutt"には船員が集う場所となり、同時に噂話やゴシップを交換する場でもあったことからこのよいな意味が生まれたそうです。


2026年6月2日火曜日

upbraid

トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相を厳しく批難、というニュース記事です。

アメリカとイランは停戦中にありますが、その最中、イスラエルがレバノンのヒズボラの勢力へ攻撃をしたことがトランプ氏の怒りを買ったもののようです。イランはイスラエルの軍事攻撃は停戦合意に反すると表明。トランプ氏はネタニヤフ氏に電話し、攻撃を直ちに中止するよう命じたとあります。


President Trump reportedly took Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu to task during a Monday phone call over the latter’s military campaign in Lebanon. 

Axios reported, citing two U.S. officials and a third source briefed on the call, that Trump called Netanyahu “crazy” and accused him of ingratitude. 

At one point, Trump reportedly yelled at Netanyahu, “What the f— are you doing?”
(Max Rego. Report: Trump upbraids Netanyahu over Lebanon, asking, ‘What the f— are you doing?’ The Hill. June 1, 2026.)


さて、今日の1語ですが、記事のタイトルに、


Trump upbraids Netanyahu over Lebanon


とある部分、"upbraid"です。

叱る、小言を言う、厳しく批難する、という意味の動詞ですが、スペルを見て"braid"という、また別の単語が見てとれます。"braid"とはおさげ、髪の毛を編んで三つ編みにしたりすることですが、その"braid"と、批難するという意味の"upbraid"には随分な隔たりがあるように思われます。

しかし、語源では繋がっているようで、いずれも編むという意味の古英語bregdanから来ています。この古英語には編むという意味の他、素早く動かす(動く)、急に引っ張る、振る、揺り動かす、投げるなど、動作に関する様々な意味合いがあるそうです。

相手を批難するという"upbraid"の意味合いはこうした突発的、あるいは素早いアクションの意味合いから発展したもののようです。

一方、髪の毛を編むという方の"braid"ですが、様々ある古英語の意味合いの中で編むという意味だけが残った特殊なもののようです。

"upbraid"と"braid"、意味的には全く繋がりがなさそうで、実は繋がりがあるという話でした。



2026年6月1日月曜日

pancreas

癌の中でも診断が難しく、また特に予後が悪いとされる膵臓がんですが、最新の薬物治療が注目されています。

アメリカで開発が進行中のダラクソンラシブという新薬は分子標的薬と呼ばれるタイプの薬で、がん細胞の増殖に関わるKrasというタンパク質を阻害し、病気の進行を抑えることが分かっています。これにより、膵臓がん患者の余命は倍になるという成果が報告されています。


A daily pill can double survival time in patients with the world’s deadliest cancer, according to the results of a clinical trial that experts are saying is a “gamechanger” and one of the biggest breakthroughs in decades.

Currently, there are few treatments for pancreatic cancer, and most do little or nothing to help. For decades, scientists have worked relentlessly trying to find clever solutions for a form of cancer that is often found late. More than half of patients are only diagnosed after it has spread.

Now experts at the world’s largest cancer conference are hailing the arrival of a smart drug called daraxonrasib, which they say could pave the way for a treatment revolution.
(Andrew Gregory. Daily pill can double survival time for world’s deadliest cancer, trial shows. The Guardian. May 31, 2026.)


さて、膵臓という臓器ですが、英語では、


pancreas


といいますね。語尾の-sは複数形の-sではありません。"pancreas"という単語はギリシャ語から来ており、全て(all)を意味する接頭辞pan-と、"flesh"(つまり、肉)を意味するkrasという言葉から成っていると辞書の語源欄にあります。つまり、全部が肉、という意味のようなのですが、辞書にはそれ以上の説明はありません。

ところで、研究社新英和大辞典では、"sweetbread"という単語が参考として添えられています。この"sweetbread"というのは牛の胸腺や膵臓のことで食用にされるものだとあります。甘いお菓子みたいな呼び名ですが、フランス料理では珍味、ris de veauというメニューで食されるのだそうです。全部が肉、という"pancreas"の原義は普通は食べない膵臓という部位までも肉として食べる貪欲さを言ったものなんでしょうか、勝手な想像をしてしまいました。

膵臓という日本語の「膵」という漢字は国字、つまり日本語として作られた字なんだそうで、漢和辞典を引くと確かにそうなっています。「すい」と音読みする部分、くさかんむりに「卒」という字ですが、こちらは集まる、集める、という意味だとあります。膵臓には食べたものを消化する膵液を分泌する役割と血糖をコントロールするホルモンであるインスリンを分泌する機能があり、こうした複数の役割が「集まった」、重要な臓器なのである、という説明を見かけました。なるほどと思いましたね。

明日に健康診断を控えておりまして、膵機能関連の値が気になるところです。というのも、数年前にアミラーゼ高値が出てしまいまして、その後の精密検査では問題無いということだったのですが、また出たらイヤだなあと。

ちなみに、アップル社のスティーブ・ジョブズ氏が命を落としたのも膵臓がんが原因でした。約15年前の話です。




2026年5月25日月曜日

bandy

今日の1語は"bandy"という単語です。名詞のように見えますが、動詞です。

意味は、やり合うとか意見交換する、というような意味です。以下の引用では後者の意味合いで使われています。


With the deadlocked war in Iran about to enter its fourth month, loose comparisons with previous US quagmires in Iraq, Afghanistan and Vietnam are bandied about. When the conflict began, warnings of another “forever war” seemed exaggerated.
(Simon Tisdall. An ever-expanding catastrophe over Iran is not inevitable. Trump can and must be stopped. The Guardian. May 23, 2026.)


この"bandy"という動詞は元々、テニスでボールを打ち合うという意味があり、そこから議論ややり取りで意見を交換する、やり合う、言い合うというような意味に発展したようです。

スペルから想像がつくように、"band"という単語と語源的に関係があります。しかし、ご存知のように"band"という単語には、縛るものとしてのバンド、という意味の単語と、グループ、隊を意味する単語の2つがあり、辞書では別の単語という扱いです。

興味深いことに、"bandy"のエントリで語源欄をチェックすると、


American Heritage Dictionaryによれば、グループ、隊を意味する"band"に由来、

Merriam-Webster Dictionaryでは、束縛を意味する"band"に由来、

研究社新英和大辞典では、束縛を意味する"band"に由来、

ランダムハウス英和辞典では、グループ、隊を意味する"band"に由来、


というように、説明が分かれています。これはどういうことなんでしょうね?

結論から言うと、束縛の"band"も、グループの"band"もゲルマン語系であり同じ語源に辿り着くんですけどね。

ひとつ勉強になったのは、グループを意味する"band"は、縛るための縄や紐を指す"band"が識別のための帯(バンド)の意味になり、目的を同じくする仲間内で同じ帯("band")を身に付けることから生じたということです。

今日の1語に戻りますと、やり合う、応酬するという"bandy"の意味合いは、相対するグループ(即ち、band)のやり取りから生じたということで、語源的な説明としてはAmerican Heritage Dictionary、ランダムハウス英和辞典の説明が筋が通っているように思われます。


2026年4月1日水曜日

steward

トランプ氏肝煎りのホワイトハウスのリノベーションに待ったがかかりました。

4億ドルという巨額の予算が計上されている宴会場の建設に関して議会の承認を得ていないとして、差し止めの司法判断が下されたとあります。


A federal judge on Tuesday blocked President Donald Trump from moving ahead with any further work on a massive new $400 million ballroom on the former site of the White House East Wing.

“The President of the United States is the steward of the White House for future generations of First Families. He is not, however, the owner!” Judge Richard Leon wrote.
(Judge rules that White House ballroom construction ‘has to stop!’. CNN. March 31, 2026.)


司法のコメントが引用されていますが、アメリカ大統領はホワイトハウスのオーナー(owner)なのではなく、"steward"である、としています。ということで、今日の1語は"steward"としました。

「スチュワード」(steward)と聞いてまず思い浮かべるのは(飛行機の)スチュワーデスではないでしょうか。女性客室乗務員を指す言葉ですが、"steward"の女性形であるというのはご存知でしょう。最近はスチュワーデスとはあまり言わず、また男性・女性の区別をしない、もっぱら"flight attendant"や"cabin attendant"と表現する傾向にあるようですが。

さて、"steward"のそもそもの意味は、財産管理人や執事というもので、特に大きな家で複数の使用人を指揮して家事家政を仕切る立場の役割を指します。記事では「オーナー」との対比として"steward"という言葉が持ち出されている訳ですが、"steward"は「オーナー」の命を受けて財産を管理するのが役割であり、勝手に何でも決めて実行することは許されない、と言っていると解釈できます。トランプ氏は宴会場建設のために既にホワイトハウスの東ウィングを解体してしまいましたが、議会の承認を得ていない解体、建設計画は"steward"の裁量を越えている、という訳です。

ところで"steward"の語源に目を向けてみると、古英語stigweard、stiwardという語に遡るとあり、これはsti-と-wardという部分に分けられるとあります。-wardは監督、保護を意味するものですが、sti-に関しては"sty"、つまり家畜小屋と同語源なのだそうです。

家畜小屋の管理人と大邸宅の執事とは随分と落差がありますね。

尤も、Online Etymology Dictionaryによれば、英語辞書の総本山ともいうべきOEDでは、"steward"の原義が家畜小屋の管理人というエビデンスは無い、としているそうです。ランダムハウス英和辞書も語源欄では"sty"に触れていますが、意味的な結び付きについては不明としています。



2026年2月12日木曜日

ポーズ? ー pose

先週からアメリカ国内ニュースではトップで報じられている、女性ニュースキャスターの母親誘拐事件の行方が非常に気掛かりです。ほぼ毎日、何らかの更新がありますが、動機や犯人像、誘拐された母親の安否など、分からないことだらけです。。

アリゾナ州で発生したこの誘拐事件では、身代金の要求がなされたようですが、防犯カメラ映像に映った覆面の犯人映像が公開されたものの、特定には至っておらず、捜査する側も手こずっているようです。


Investigators trying to find Nancy Guthrie are posed with a daunting but familiar challenge in law enforcement: how to identify a masked person.
(Richard Winton. 'This kidnapping violates all the rules': Why cracking the Nancy Guthrie case has been so hard. Yahoo! News. February 12, 2026.)


詳細は記事をお読みいただくとして、最小限の引用をしました。"pose"という動詞が使われています。

ここでの"pose"は、


(難問・難題で)まごつかせる、困惑させる
(ランダムハウス英和辞典)


という意味です。正直を言いますと、改めて辞書を引いてそんな意味もあったんだと不勉強を恥じました。"pose"という単語は、写真を撮る時の「ポーズ」、ある姿勢を取る、という意味、また問題などを提示(提出、提起)する、置く、という意味だと暗記していましたが、その"pose"とはまた別のエントリ(単語)として載っているものです。

ところで先日、英単語を推測するワードゲームで、ヒントとして"Prepares to be captured in a photo"が与えられ、これは写真の時の「ポーズ」だとすぐに分かったんですが、"pause"というスペルの単語も浮かんできて、はて、"pose"だったか、あるいは"pause"だったか、と一瞬迷ったことを思い出しました。

"pause"は休止、一時停止、中断を意味する単語です。(ゲームの答えは"pose"ということになります。)

したがって、カタカナの「ポーズ」にあたる英単語は、


休止を意味する"pause"
姿勢を取る、置くという意味の"pose"
困らせるという意味の"pose"


の3つがあるということになります。

さて、本題はここからです。休止を意味する"pause"は同じ意味合いのラテン語pausaに由来し、それはさらに、休むという意味の後期ラテン語動詞pausareから来ていると語源欄にあります。意味も同じ、スペルも引き継いでいるので特に疑問ではありませんね。

一方、置くという意味の"pose"ですが、こちらも語源欄には、中期フランス語poser、もうひとつ遡るとラテン語動詞pausareから来ているとあるのです。そして補足説明として、「中期フランス語poserはラテン語ponere「置く、据える」の基本的語義を引き継ぎ」とあり、これは「おそらくposerがponereの過去分詞positumにたまたま似ていたことから」である、とあるのです。

これには少しびっくりしました。

フランス語やラテン語をある程度齧ったという人にはお分かりいただけると思いますが、置くという動詞の"pose"は、やはりラテン語で置くという意味の動詞であるponereから来ていると思っていたからです。上述の語源解説(ランダムハウス英和辞典)は、そうではない、と言っているのです。

同じようなスペルの単語、例えば、disposeやsuppose、proposeなど、これらの単語は一般的な接頭辞dis-やsup-、pro-などと、置くという意味のラテン語動詞ponereの組み合わせであると、知ったつもり、分かったつもりでいました。

ところが、これらの派生単語の語源欄を改めて確認してみると、接頭辞プラス、中期フランス語poserとはありますが、そこからラテン語ponereとの直接的な結び付きは無く、たまたま語義的に近しいラテン語disponereやsupponereにスペルが影響されたということなのです。

要するに、英単語の"pose"とラテン語ponereは直接のリンクは無いということになります。繰り返しになりますが、フランス語poserが、ラテン語ponere(またその過去分詞positum)に似通っていたことから、ラテン語ponereの「置く」という意味を持つようになったということなのです。(このあたり、当ブログがよく参考にさせていただいているOnline Etymology Dictionaryにも同様の解説があります。)

最後になりましたが、今日の1語、困らせるという意味の"pose"は"appose"という単語の頭音消失形であるとあります。そして、この"appose"は"oppose"(対置させる、妨害物として置く)の異形であるということです。


2025年12月31日水曜日

letter

デンマークで郵便が終了、というショッキングなニュース記事を読みました。

2025年12月30日の郵便配達を以て、サービスを終了する、というのです。(これを書いている時点では既に終了した、ということになります。)


Denmark’s state-run postal service, PostNord, will deliver its last ever letter on Tuesday, as the digital age brings its 400-year-run to an end. This makes Denmark the first country in the world to decide that physical mail is no longer either essential or economically viable.
(Issy Ronald. Digital age brings Denmark’s postal service to a historic end. CNN. December 30, 2025.)


記事によると、デンマークという国は世界の中でもデジタル化が進んだ国であり、国民の大部分はデジタルデバイスやネット接続の恩恵を受けることができているのだそうです。そうした環境下におおて、もはや紙媒体による郵便サービスは必要が無い、ということだというのですが、とてもショッキングな話です。

今日の1語に、


letter


を選びました。実のところ、2025年最後の投稿に際し、その1語を選ぶのに難儀したのです。(ネタが見つかりませんでした・・・。)

「手紙」(letter)とは何でしょうか?

American Heritage Dictionaryでは、


A written or printed communication directed to a person or organization.


と定義しており、手書きされた、もしくは印刷されたコミュニケーション(通信文)としています。

興味深いことに語源欄を見ると"letter"という単語は多くの英単語と同じく、ラテン語(littera)からフランス語(littre)を経由しているのですが、遡るとギリシャ語diphterāから来ているとの説があるそうで、このギリシャ語は昔の人が文字を書き付けた羊皮紙、タブレット(デジタル端末ではありません、古代人が文字を刻んだ粘土板などを指す言葉です)を意味したそうです。

記事中、"letter"はその形式を時代と共に、パピルス、粘土板、紙、羊皮紙、などと変遷させてきたもので、デジタル化もその変遷過程の一つに過ぎない、という専門家の見解が紹介されています。妙に納得というか、納得行かないというか。

日本では年賀状の発行数も減少の一途を辿り、多くの人が「年賀状仕舞い」と言い、葉書、手紙文化は風前の燈とも言われます。明日朝届く年賀状は何枚かな?



2025年11月5日水曜日

bubble

最近は猫も杓子もエーアイ、エーアイと大騒ぎのきらいがあります。エーアイ、つまり人工知能(AI)の話です。

テレビやラジオのニュースでAIの話題を聞かない日はありませんし、SNSではAIによって生成された画像や動画であふれています。勤務先でも業務効率化のためにAIを活用するだの、毎日のように聞かされている身には少々食傷気味です。

株式市場はAI関連銘柄が活況を呈しています。米国のハイテク株は空前のブームですが、ここに至って株価を下げているところもあると報じられています。専門家の見立てでは昨今のAI関連銘柄の株価は高過ぎるというのです。

そして、最近のニュースで目にするのは、"AI bubble"という言葉です。AIのバブルがはじけたらどうなるか?警告とも取れる報道も目立つようになってきました。


3. What is a bubble?
It’s what happens when the price people are willing to pay for a thing exceeds the value of the thing by some drastically untenable amount. It’s hard to give a more technical definition, because determining the correct value of anything is weirdly tricky beyond a certain point. Markets, for all that people pretend otherwise, are extremely susceptible to vibes.

Past bubbles have inflated around everything from tulips to Japanese real estate to the original wave of dot-com stocks in the early 2000s, but let’s run with a simpler example.
(Brian Phillips. How Catastrophic Is It If the AI Bubble Bursts? An FAQ. The Ringer. November 4, 2025.)


「バブル経済」、「バブルがはじけた」という言葉を聞いて真っ先に思い出すのは、平成の不動産バブルではないでしょうか?

経済用語としての"bubble"はAmerican Heritage Dictionaryでは以下のように定義されています。


Economics 
An increase in the price of a commodity, investment, or market that is not warranted by economic fundamentals and is usually caused by ongoing investment or speculation in the expectation that the price will increase further.
(American Heritage Dictionary)


日本人にとって不動産バブルはバブル経済という用語が一般に浸透するきっかけともなったと思いますが、意外にも経済用語としての"bubble"はもっと古くにその由来があるそうです。

その由来とは18世紀初頭に遡るのですが、イギリスで起きた、South Seaという会社の株価が大暴落した事件だそうです。

"South Sea Bubble"、南海泡沫事件と呼ばれるこの出来事は世界史の教科書に載っていますし、英和辞典でもエントリがあります。

アメリカでは特にAI bubbleへの懸念が高まっており、日経平均株価もその影響を受け大幅下落しました。


2025年8月27日水曜日

host

今日の1語は、"host"です。

カタカナでも「ホスト」、主人、客をもてなす主人役、という意味で用いられます。女性系は"hostess"(ホステス)というのも説明の必要はないでしょうか。

下記の用例の"host"はいかがでしょうか。


As AI services grow in popularity, a host of concerns are arising around their use for therapy, companionship and other emotional needs.
(OpenAI says it plans ChatGPT changes after lawsuit blamed chatbot for teen’s suicide. CNBC. August 26, 2025.)


この引用は今日読んだニュース記事からのものですが、若者が人口知能(AI)とのやり取りの末に自殺したという件で、遺族がOpenAI社を訴えているというものです。

記事は別途お読みいただくとして、ここでの"host"は主人という意味とは異なりますね。ここでの意味は、多数の・・・、多くの・・・、というもので、


a host of ~


という形で用いられることが多いものです。

この"host"はカタカナの「ホスト」とは由来を異にする単語なのか。これがきっかけで"host"という単語の語源を調べることになったんですが、上記の"host"、つまり、多数の・・・、という意味の"host"はラテン語で敵の軍勢を意味する名詞hostisから来ているそうです。

敵がたくさんいる、というところから、多数の・・・、となるのは合点が行きます。「敵」というところから、"a host of ~"の用例は以下のように、前置詞of以下がネガティヴな内容のものが多く見られます。


host of issues
host of problems
host of questions
host of health problems


尤も、"a host of ~"の対象はネガティヴなものに限定される訳では無く、ポジティヴなものもあります。

ところで、主人、もてなし役のホストを意味する"host"ですが、こちらはまた異なるラテン語hospesから来ているのだそうです。

そしてそのラテン語hospesの意味ですが、主人という意味と来客、つまりゲストの意味の両方があります。矛盾するようですが、ラテン語hospesは主人と来客の両方を指しうる単語です。

さらに興味深いことに、英語で客を意味する"guest"は、ラテン語hostisから来ているという解説を語源欄に見ることができます。ラテン語hostisには敵という意味の他、他人(stranger)、外国人(foreigner)の意味があります。


2025年8月5日火曜日

potassium

毎日暑いですね!

暑いと汗をかきますから、喉が渇きます。テレビやラジオのニュースなどでは冷房の使用と共に積極的な水分補給が重要だと、いささかしつこいくらいに繰り返されているのを耳にします。

水分補給と共に塩分を補うことがポイントとも言われます。また、汗と共に失われるのは塩分もありますが、電解質(electrolyte)もそうですので、これらを補うために、スポーツドリンクなども推奨されています。


It's true that you lose electrolytes in your sweat.

Sweat is mostly water and salt, with additional minerals like potassium and magnesium, and small quantities of glucose, ethanol, hormones and other bodily compounds.

These minerals are electrolytes, which help your cells maintain equilibrium and communicate with one another.
(Pien Huang. What's the deal with electrolyte drinks — do you need them to stay hydrated? NPR. August 4, 2025)


引用した記事にもありますように、電解質の代表的なものはカリウムやマグネシウムです。

カリウムのことを英語では、


potassium


と言いますね。でも、何で?

マグネシウムは"magnesium"、カルシウムも"calcium"ですが、カリウムだけ"potassium"というのは、以前より漠然とした疑問でした。

ということで改めて語源を調べてみたという次第です。

よくよく調べてみるとカリウムを指す"Kalium"はドイツ語のスペルだそうで、ラテン語でもあります。それを英語で"potassium"というのは、19世紀イギリスの化学者Humphry Davyによる造語なんだそうです。

その語源は、


potash


という言葉だそうですが、これは壺(pot)に入れた灰(ash)のことで、これに加水、加熱して取り出した元素を(他の元素の名称に倣ってラテン語風に)"potassium"と命名したということです。

ちなみに、和名では「カリ」と言い、元素記号のKは"Kalium"のKですが、「アルカリ」から来ています。

この「アルカリ」(alkali)という英語はアラビア語al-qaliyから来ていますが、qaliyというのはやはり灰のことなんだそうです。(al-はアラビア語の定冠詞です。)


2025年6月18日水曜日

comptroller

ニューヨーク市の会計監査官が逮捕されたというニュースです。

ニューヨーク市長選の民主党候補者でもあるBrad Lander氏は、移民に関する裁判に出廷後、裁判所を出たところでICE(移民関税執行局)のスタッフに暴行を働いたとの名目で逮捕されたとのことです。


New York City Comptroller and mayoral candidate Brad Lander was arrested by federal agents for allegedly assaulting law enforcement and impeding a federal officer while escorting a defendant out of immigration court Tuesday, according to his campaign and the Department of Homeland Security.
(Avery Lotz. NYC comptroller, mayoral candidate arrested by ICE for allegedly assaulting officers. Axios. June 17, 2025.)


トランプ政権下、ICEによる移民取り締まりが厳しくなっていますが、移民の権利擁護を主張したLander氏の逮捕は物議を醸しています。

さて、話が変わるようですが、会計監査官を意味する、


comptroller


という単語についてです。

ちょっと変わったスペルの単語だとは思っていましたが、誤解により生じたスペルだとは知りませんでした。

多くの方が、"controller"と"comptroller"、どちらが正しいのか、両者は別物なのか?などと思うことでしょう。

どちらも会計監査官の意味がありますが、"comptroller"というスペルは、"controller"という単語のcont-を"count-"と解釈し、古い英語(中英語)のcompte(フランス語もcompte、語源はラテン語comptus、computare)に置き換え、"comptroller"というスペルの単語を作ってしまったものなのです。

"controller"の発音はもちろん「コントローラー」ですが、"comptroller"の発音は「コントローラー」と「コンプトローラー」(コンプという部分に強勢)の両方が存在します。

"comptroller"の方が何となく威厳のあるような(!?)スペルに感じられますが、誤解によって生じた単語にも関わらずれっきとした英単語として辞書に載っているのは、そんな理由なんでしょうか。

ちなみに「コントローラー」(controller)はフランス語ではcontroleurで、ひとつ遡るとアングロフランス語contrerollerです。

語源的にはcontre-(contra、つまりagainstの意)と"roll"という部分から成ります。会計、計算のチェックをダブルの記録簿(roll)により行なっていたことに由来します。


2025年5月30日金曜日

aisle

飛行機を利用すると必ずと言って良いほどお目にかかる光景に、搭乗ゲートの人だかり、降機時の機内での行列があります。

飛行機の出入口は一つ、これに乗客全員が集中するのですから仕方ありません。降りる際は出口に近い座席の乗客から順序良く降りるのが最も効率的なのですが、着陸してシートベルトの着用サインが消えるか消えないかのタイミングで座席から立ち上がって通路に並ぼうとする人は絶えません。少しでも早く降りたいのは皆同じなのですが・・・。

アテンダントはベルト着用サインが消えるまでは立たないよう呼び掛けるものですが、マナーに訴えるのも限界ということでしょうか、トルコでは我れ先にと通路に出ようとする乗客に罰金を科すことを決めたようです。


Turkish aviation authorities will fine passengers who stand up early and crowd aircraft aisles while waiting to deplane, with penalties for that and other annoying antics reaching nearly $70.

(中略)

Aisle crowders — known in circles online as “aisle lice” — have long faced the ire of irritated travelers who say the behavior is rude and delays everybody’s deplaning process.

Etiquette experts told the Washington Post that the most polite way to deplane is to wait until nearby rows ahead are emptied before entering the aisle, with exceptions for people rushing to catch connections.
(Alex Oliveira. New airline fines will penalize ‘aisle lice’ who stand up and crowd other passengers after landing: ‘Strictly forbidden’. New York Post. May 27, 2025.)


降りる順番にならないのに立ち上がり、荷物を取り出す、また通路に並ぼうとする乗客らは、


aisle lice


と呼ばれ、忌み嫌われています。

ん、どこかで聞いたことがありますね?

搭乗の時も自分の番にならないのに搭乗口付近に押し寄せる客が後を断ちませんが、そうした人達のことを"gate lice"と呼ぶのでした。

さて、今日の1語、"aisle"です。

当ブログの読者の皆さんに対して、この単語は「アイル」と発音します、というのは釈迦に説法というものですね。

しかし、"aisle"とはトリッキーなスペルではありませんか。学校英語の単語テストでは常連かも知れませんね。

この"aisle"という単語は、中英語ではeleというスペルの語だったそうです。語源はラテン語のalaで、肩とか翼という意味です。

中英語ele、"aisle"は教会の堂の真ん中に位置する身廊と呼ばれるスペースの両脇にあり、柱で区切られる細長いスペースを指す言葉だったんですね。これが通路を意味するようにもなったのです。

シンプルだったスペルに発音しないsが加わったのは"isle"(島)という単語の影響を受けたとされています。("isle"という単語もsを発音しませんが、ラテン語で島を意味するinsulaから来ています。)

余談ですが、ラテン語のinsulaは、in saloというフレーズ(salumは海のことで、塩を意味するsalとも関連)から来ているという話があります。海水の海に浮かぶのが島(isle)という訳ですが、言語学者の中ではちょっと眉唾ものの扱いらしいです。

以上はいつもお世話になっているOnline Etymology Dictionaryから引きました。


2025年4月10日木曜日

smart

今日の1語は"smart"です。そう、「スマート」。

「スマート」フォンばかりいじっている皆さんに、今日は"smart"という単語を改めて知っていただければと思います。

それでは記事の引用をどうぞ。


Rather than stay silent, the gate agent walked into the terminal and addressed the irritated passengers head-on.

“When you get on that aircraft, let me tell y’all something,” she said. “Don’t get smart with my flight attendants.”

“Be nice to them,” she continued. “They have a hard day just like we do. The same aircraft that’s coming out, the same people that are on that aircraft, it’s the same people that have been waiting as long as you wait, or maybe longer. So, please, y’all, please, I’m asking, do it for me, be nice to them.”
(Marissa Matozzo. Passengers receive epic pep talk delivered by gate agent after brutal flight delay: ‘Don’t get smart with my flight attendants’. New York Post. April 9, 2025.)


途中からの引用なので少し背景の補足が必要かも知れません。

飛行機が遅延したために空港で足留めを食った乗客に空港職員が話し掛けているものです。乗り継ぎ便が8時間も遅れたとなれば、イライラも頂点に達しようかというものです。職員は、


“Don’t get smart with my flight attendants.”


と呼び掛けたとあります。

ここでの"smart"はカタカナの「スマート」が意味するところではありません。賢い、お洒落な、優雅な、という意味ではありません。

"smart"という単語を辞書で引くと実に様々な意味があることに気がつきます。上記の引用における"smart"の意味は、横柄な、生意気な、傲慢な、といった意味です。つまり、イライラしているからと言ってフライトアテンダントに八つ当たりしないでほしい、ということです。

意外に思われるでしょうが、"smart"という単語は元々は動詞で、(傷などが)痛む、ヒリヒリする、疼く、といった意味があります。ゲルマン語系の語源であり、ドイツ語のSchmerz(痛み)とも関連があるようです。

傷が痛むというところから、鋭い、きつい、強烈な、といった意味が加わりました。

さらに、鋭さ(鋭敏)は、機敏さや手際の良さといった意味に発展し、賢い、頭が切れる、つまり現在の「スマート」の意味合いに発展したのです。



2025年4月7日月曜日

rout

トランプ政権がアメリカへの輸入品に課す輸入関税措置が先週発効したことを受けて、世界各国の株式市場で大幅な株価の下落となりました。

週明け月曜日の今日、日経平均株価は8パーセントも下げ、3万3千円を割り込んだと報じられいます。


Hong Kong (CNN) — Asian markets plunged on Monday, deepening a global stocks rout triggered by US President Donald Trump’s trade war.

Japan’s benchmark Nikkei fell by more than 8% shortly after opening. The share average, which tracks 225 of the country’s most valuable companies, has fallen below the 33,000 level for the first time since August 2024, according to Reuters. The broader Topix index last traded more than 7.5% lower, recovering from its steepest losses.
(Asian markets plunge as Trump’s global tariff turmoil deepens. CNN. April 6, 2025.)


世界各国の株式市場で株価が下落している模様ですが、記事にありますように、


a global stocks rout 
stock market rout


といった表現が使われています。

"rout"という単語ですが、敗走とか壊滅といった意味が辞書に見えます。ここでは株価の「暴落」という意味合いになるようです。

語源を辿ると破裂する、潰れるという意味のラテン語rumpereに由来するようです。

トランプ氏による「関税砲」に恐れをなした投資家らが一斉に売りに転じた感があります。

余談ですが、"rout"という単語は"route"(ルート)という単語によく似ていますね。

道、道程を意味する"route"という単語もこの"rout"と語源を同じくすると言ったら意外に思われるのではないでしょうか?

実のところ、"rout"も"route"も同じく、ラテン語rumpere(to break)から来ているのです。

"route"という英単語はラテン語の via rupta(ruptaは動詞rumpereの過去分詞形)から来ているとの語源解説は、大きめの辞書に載っているのではないかと思います。

この"via rupta"とはviaが道のことで、ruptaは切り拓いた、というような意味合いなのです。つまり、森や草原など自然を切り拓いて道を通したのでそう言った訳なんですね。(ラテン語でviam rumpereとは道を開拓する、開通させる、の意であると、研究社羅和辞典にもあります。)


2025年2月18日火曜日

thrifting

告白しますと、小生は大変なけちん坊です。お金を使う時、勿体無い、といつも考えてしまいます。使わないで済む方法が無いか、安く済ませられないか、と考えてしまいます。

移動の際、駅一駅分くらいの距離であれば歩きます。自動販売機で飲み物は買いません。必要なら自宅から水筒を持参します。

ということで、以下の引用記事に出てくる倹約家のお話には大いに共感する部分があります。


A mom says she has saved $5,000 thrifting her son’s birthday and Christmas presents every year.

Natalie Joy Miller, 38, has always loved scouring second hand stores and even started collecting clothes for her son, Artie Allen, 5, when she was aged 16 — years before he was even born.

The mom-of-one says “pretty much all of his stuff” is second hand and she loves to find gems in thrift stores and occasionally online on Facebook Marketplace.
(I saved $5K on my son’s gifts by thrifting — he doesn’t need anything new. New York Post. February 17, 2025.)


記事の登場人物は、"thrifting"により年間5,000ドルあまりを節約したとあります。

"thrift"という単語はご存知でしょう。倹約、節約という意味ですが、どちらかというと良い意味でお金につましいことを指します。ケチ、吝嗇という日本語にはネガティブな意味合いがありますが、英語だと"stingy"が相当します。(小生の場合はこちらかもしれません。)なお、倹約、節約志向を表現するのに"frugal"という単語もあります。

上記引用記事の用例に見られるように、"thrift"には動詞としての意味もあって、


To shop in thrift stores, especially for clothing
(American Heritage Dictionary)


と定義されています。中古品、特に古着などを売っているお店は"thrift shop"、"thrift store"などと呼ばれます。新品ではなく、ユーズドで済ます、という発想ですね。

ところで、"thrift"の語源を紐解くと実に興味深い事実に行き当たります。

遡ること古ノルド語thrifaskという語から中期英語thrivenを経ているのですが、同語源の単語に"thrive"があるのです。

"thrift"と"thrive"、スペルも似ていますが、倹約と繁栄が同じルーツとは示唆に富む話ではありませんか!

"frugal"が果実(fruit)と関連があるように、"thrift"とは倹約により得た蓄えという意味があり、浪費を意味する"spendthrift"とは蓄えを使ってしまうということです。

2024年11月13日水曜日

guinea pig

ニューヨークの美食家らが舌鼓をうつ(!?)というある食べ物が話題です。

南米エクアドルの名物料理らしいですが、何とモルモットの丸焼きだそうです。記事の写真からはいささかグロテスクに見えますが・・・。


New York City epicures are devouring a “special” Ecuadorian delicacy, guinea pigs — better known stateside as a potential pet for kids — and hailing them as a “very delicious” feast.

At least that is the experience at the restaurant La Casa Del Cuy — literally “the house of guinea pig” — a culinary go-to in Corona, Queens, that grills and serves the rodent (cuy) whole, essentially every part but the “squeak.”
(Ben Cost. Grilled guinea pigs are this NYC restaurant’s shocking specialty — and the head is the ‘best part’. New York Post. November 12, 2024.)


ペットとしてもお馴染みのモルモットは英語で、


guinea pig


と言います。実験動物としても繁殖される小動物ですが、"guinea pig"という名称は謎だらけとされています。

辞書の語源欄にも説明を見つけることが出来ますが、まず"Guinea"とはアフリカの国(ギニア共和国)のことですが、モルモットがギニアを原産地とする訳でもなく、何故「ギニア」なのか、よく分かっていないそうです。

また、"guinea pig"は豚(pig)でもありません。和名は「テンジクネズミ」であり、齧歯類、すなわちネズミの仲間に分類されています。一方、学名(ラテン名)はCavia porcellusとなっており、porcellusは小豚のことなので、外観としては似てなくもないことから、混同された結果の命名とも言われているそうです。

話をさらにややこしくさせているのが、この小動物が南米を原産地とするらしいということです。

南米にガイアナ(Guyana/Guiana)という国がありますが、これが"Guinea"に転訛したという説があるそうですが、これも眉唾物だとか。

1500年代初め、スペインやオランダ、イギリスなどが南米からこの"guinea pig"を持ち帰り、ペットにしたそうです。(ウィキペディア)

異国から持ち帰ったこの小動物がちょっとしたペットブームにでもなったのでしょうか、当時の英国人などにとっての「異国」はアフリカ大陸というイメージがあったから、"guinea pig"という名前が定着したという説もあるようです。


2024年10月10日木曜日

teem


今日見かけた記事はそれと似たような話なのですが、家庭内で最もウィルスにまみれているのはシャワーヘッドと歯ブラシであるという研究成果がこのほど公表されたようです。理由はこれらの場所というのが常に水分と湿気という、微生物の生育条件を満たす環境だからだそうです。


The warm, damp environments of your showerhead and toothbrush are the perfect breeding ground for microbes, and a new study has identified hundreds of viruses that live there, showing the vast biodiversity to be found in the average home.

These viruses, however, are not the kind that will give you the common cold or flu (or worse). Called bacteriophages, or phages for short, they are the natural enemy of bacteria. Each tiny, tripod-looking phage has evolved to hunt, attack and gobble up a specific bacterial species.
(Issy Ronald. Your showerhead and toothbrush are teeming with viruses. But don’t panic – these microbes could save lives. CNN. October 9, 2024.)


引用したCNNの記事のタイトル、


Your showerhead and toothbrush are teeming with viruses


にある、"teem"という単語を取り上げたいと思います。

ある場所などが、"teem with"以下に示されるモノで満ちている、富んでいる、沢山である、という意味の動詞です。

ところで、この"teem"と同じ発音をする単語に"team"があり、これは我々もよく言う「チーム」、すなわち同じ目的を持って行動するグループのことですが、これら2つの単語はいずれも古英語に遡るとその原義に、子孫、子をもうける、という意味があり、語源的には類縁関係にあるものです。

"team"という名詞には元々、子孫、種族という意味がありましたが、現在はその意味で使われることはなく、廃語としtw辞書には載っています。

"teem"という動詞が沢山あるという意味なのは、子孫を残すという原義から派生しているものですね。