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2023年10月31日火曜日

coup de grace

約6600万年前に絶滅した恐竜ですが、地球に落ちた隕石がその原因になったと言われているのは聞いたことがある話だと思います。

今日読んだ記事によれば、隕石の落下の後に引き起こされた諸環境の変化が恐竜の生存を脅かしたという最新の研究があるそうです。

具体的には隕石が粉々になって大気に散らばり、太陽の光が届きにくくなったりしたことで、多くの生物が生存することができない状況になったということです。


It was, to put it mildly, a bad day on Earth when an asteroid smacked Mexico's Yucatan Peninsula 66 million years ago, causing a global calamity that erased three-quarters of the world's species and ended the age of dinosaurs.

The immediate effects included wildfires, quakes, a massive shockwave in the air and huge standing waves in the seas. But the coup de grâce for many species may have been the climate catastrophe that unfolded in the following years as the skies were darkened by clouds of debris and temperatures plunged.
(Will Dunham. Dinosaur-killing asteroid impact fouled Earth's atmosphere with dust. Reuters. October 31, 2023.)


記事では隕石落下がもたらした気候変動が、


coup de grâce


となった、とあります。

"coup de grâce"はフランス語です。英訳すると、blow of mercyとなります。"coup"はクーデター(coup d’état)という語に使われる"coup"に同じです。

慈悲の一撃、情けの一撃、とでもなりますが、致命傷を負った相手がこれ以上苦しむことがないようお見舞いする「トドメの一撃」ということです。

そこから、ある物や人の終焉をもたらすことになった原因や出来事、という意味で使われるようになったということです。


2023年10月30日月曜日

Utahn

週明けの朝、いつものようにネット上のニュースを斜め読みしていましたら、目に入ってきたのが以下の見出し。


Gazans break into aid centres, taking flour and supplies, UN says
(Reuters. October 29, 2023.)


イスラエルがハマス掃討のため、パレスチナ自治区ガザに攻撃を開始しましたが、ガザ地区に住む人のことを、


Gazan


というのだと知りました。

ところで、さらにスクロールしてニュース一覧を読んでいると、今度は、


Here’s how many Utahns have gotten the new COVID-19 shot


という見出しが目に留まりました。


Fewer than 5% of all Utahns have received the latest COVID-19 shot since it was released in mid-September, a rate that lags behind nationwide numbers that are being described as “absymal.”
(Deseret News. October 28, 2023.)


米国・ユタ州に住む人のことは、


Utahn


というのだと知った次第です。

"Gazan"も"Utahn"も、地名に接尾辞-anが付いたもので、アメリカ(America)に住む人をAmericanというように、取り立てて変わっている話でもないと思いました。

しかし、敢えて言うならば、ユタ州は"Utah"ですから、"Utahan"でなく、"Utahn"というのはどうなのか?音韻上の例外ということなのか?という疑問はありました。

興味があって少し検索してみると、実のところ、"Utahan"と"Utahn"のどちらが正しいのか議論がある、というのです。


Is it Utahn or Utahan?

What about Utaan? Utahnian? Utonian? There seem to be myriad demonyms for those who call the Beehive State home, but can there be more than one right answer?

(中略)

A Dec. 31, 1980, Associated Press article published in the Beaver County Times highlighted the discrepancy between local and national terminology:

"The U.S. Government and Printing Office is trying to give state residents a lesson on how to spell Utahan, but Utahns just won't listen," it said. "According to the printing office, residents of the Beehive State are Utahans, not Utahns. That's also the opinion of Webster's New World Dictionary, which doesn't even list Utahn as an alternative form."
(Stephanie Grimes. Is it Utahn or Utahan? KSL.com. March 5, 2013.)


記事の解説するところによれば、アメリカ政府印刷局は"Utahan"が正しいとしてきましたが、当のユタ州民は"Utahn"が正しいと主張してきたという歴史があるそうです。

また、多くの辞書では"Utahan"というスペルを掲載し、"Utahn"を別スペルとして併記する辞書もあるものの、少数派のようです。

始めの方に引用したニュース記事のソースであるDeseret Newsは、ユタ州ソルトレークシティに本拠を置くDeseret Management Corporationの子会社であり、170年の歴史があるローカルメディアです。なるほど、"Utahan"とせず、"Utahn"を貫いているのだなと思いました。

なかなか一筋縄ではいかない、「〜人」、「〜に住む人」、を現す英単語については、以前取り上げた、TokyoiteSydneysiderMichiganderもご覧ください。


2023年10月27日金曜日

強意表現としての"precious" ー precious

小生は金魚と猫を飼っています。ふと、金魚は水槽のガラスに映っている自分自身をそれと認識しているのだろうか、思ったりします。また、鏡台の前を通り過ぎる猫は鏡に映る自分自身を見てそれが自分自身であると分かっているのか、と時々思います。

今日読んだニュース記事によると、動物が自分自身を認識しているかどうかを試す実験があるそうです。

古典的な実験の方法としては鏡を使ったものがあり、実験対象の動物にマークを付け、鏡に映るそのマークに反応するか否かで判断するというものだそうです。


Roosters act differently when faced with another chicken versus just their own reflection. This may mean that the birds can recognise themselves in a mirror, a key test of self-awareness in animals. The way researchers tailored this mirror test to roosters may open up new methods of determining self-recognition in a diversity of animal species.

In the traditional mirror self-recognition test, developed in 1970, researchers place a mark on an animal’s body in a spot that it could only see reflected in a mirror. They note if the animal inspects or touches the mark while examining its reflection, suggesting it understands the reflection represents its own body. Precious few non-human species have passed this test, but those that have include some great apes, dolphins, elephants and magpies. In recent years, a few researchers have claimed other species – such as penguins, horses, cleaner wrasse fish and manta rays – have passed the test, but not without controversy.
(Jake Buehler. Roosters may be able to recognise themselves in a mirror. New Scientist. October 25, 2023.)


この鏡を使う実験は色々と議論もあるそうですが、自分の体に付けられたマークに反応を示す動物、即ち鏡に映っているのが他者ではなく自分自身と認識できるのはサルやイルカなど、動物のなかでも高い知能を持つとされる種に限られるそうです。

前置きが長くなりました。

引用の中で、


Precious few non-human species have passed this test


と出てくるのですが、ここでの"precious"という単語の用法についてです。

"precious"という単語は、貴重な、大切な、といった意味の形容詞ですが、ここでは続く"few"を修飾する副詞となっています。

辞書を引くと、ここでの"precious"は非常に、ごく・・・、といった強調のために置かれているもので、口語表現とあります。

あまりお目にかからない用法ではないでしょうか。小生も初めて見ました。

2023年10月26日木曜日

piping hot

ドライブスルーで購入したコーヒーで大やけどをした女性に対して、3億ドルという巨額の賠償金の支払いを命じる判決が出たと報じられてきます。

店員が手渡したホットコーヒーのフタが外れたことが原因で下腹部などに大やけどを負い、歩行にも支障を来たすことになったとあります。


A Georgia woman has been awarded $3 million in a lawsuit settlement after allegedly being severely burned by a piping-hot cup of coffee served to her at a Dunkin’ drive-thru.

Morgan & Morgan attorney Benjamin Welch said in a release that the 70-year-old woman had to relearn how to walk and still struggles with day-to-day activities, after she was served a scalding cup of Joe in February 2021.
(Georgia woman wins $3M settlement for hot coffee spill at Dunkin’ in 2021. New York Post. October 25, 2023.)


引用した部分に、


piping-hot cup of coffee


と出てきます。

"piping-hot"とはどういう意味なのでしょう?

そのあとには"scalding hot"と出てきますが、こちらは、やけどするようなくらい熱い、という意味です。

"piping-hot"も同じで、非常に熱い、という意味なんですが、「熱い」(hot)という形容詞を修飾する"piping"という副詞、強意表現はあまり馴染みの無いものではないでしょうか。

ここでの"piping"とは、ジュージューとかシューシューといった、ものが焼けたり焦げたりしている時の音を意味しており、敢えて訳すならば、アツアツ、激アツ、といった感じかと思います。

"pipe"とはパイプ(管)のことですが、動詞の意味に、甲高い音をたてる、というものがあります。"pipe"が指すのは管楽器であったり、ホイッスル(笛)であったりすることから、この動詞の意味は納得です。(pipe downもご覧下さい。)

パイプ(管)を通る空気が出す音は管の太さによって変わりますが、物が焼けたり焦げたりする時にたてる音をパイプの音になぞらえるというのはちょっと変わった発想というか、"piping hot"という表現を最初見た時にはなかなかピンと来なかったというのが正直なところです。


2023年10月25日水曜日

nanner

毎朝、バナナを1本、ヨーグルトと一緒に食べます。その後、シリアル。こんなルーティンを始めたのはランニングをするようになってからです。

バナナが食べられなくなるかも知れない、という記事が目に留まりました。


Enjoy your nanners while you can: Scientists warn that the most popular type of banana could be on the brink of extinction due to a disease outbreak that’s ravaging the potassium-filled fruit.
(Ben Cost. Bananas could go extinct due to fungus outbreak, scientists say. New York Post. October 24, 2023.)


なんでも、バナナを朽ちさせてしまう菌があってそれが原因になるようですが、興味のある方は記事をお読み下さい。

引用した箇所の最初に、


nanner(s)


と出てきます。

これなんだ?と思ったのですが、バナナ(banana)のことなんですね。

"banana"は第二音節に発音のストレスがありますから、それで頭の部分が脱落して、"nanner"となるという訳です。

スペルにはバリエーションがあって、


nana
narna
narner


というのもあるそうです。

このような現象を「頭音消失」と言いますが、当ブログで2010年に特集した頭音消失形の単語を改めてご覧下さい。



2023年10月24日火曜日

bowser

歴史なインフレ、物価高と言われています。

オーストラリアでは日常生活に必要なコストが家計を圧迫しており、スーパーマーケット等では窃盗が増加しているという報告があります。


The survey found that five per cent of Australians had stolen items at the supermarket self-checkout, while four per cent had lied about what they had scanned - telling the computer it was weighing onions rather than avocados, for example.

The average Australian spends $740 a month on groceries – increasing by seven per cent in the past 12 months, according to Finder's Consumer Sentiment Tracker.

Finder's research showed four per cent of Aussies had driven away from the bowser without paying for fuel in the past year, while two per cent had left a cafe or restaurant without paying.
(Adam Vidler. Aussies stealing from supermarkets, servos, new research shows. 9news.com.au. October 23, 2023.)


具体例としてはスーパーマーケットのセルフレジで一部商品をチェックアウトせず、料金を逃れたり、レストランやカフェで支払いをせず、食い逃げをする、というようなものだそうです。

ところで引用した部分で、


four per cent of Aussies had driven away from the bowser without paying for fuel


という箇所があります。

"bowser"という単語を知りませんでしたが、これはガソリンスタンドの給油ポンプのことを指すオーストラリア、ニュージーランド特有の表現だそうです。


a pump usually at a service station for dispensing liquid fuels, especially gasoline
(Merriam-Webster Dictionary)


そして、一般名詞化したこの単語は、ガソリンとオイルの貯蔵システムを製造するS.F. Bowser社の名前にちなむ(ランダムハウス英和辞書)のだそうです。

さらに、この社名ですが、検索してみると、S.F. Bowserは人の名前です。

Sylvanus Freelove Bowser(1854 - 1938)は、アメリカの発明家で、自動車の燃料ポンプを発明した人物だそうです。

2023年10月23日月曜日

反ユダヤ主義のメタファー ー octopus

環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんがパレスチナへの連帯を示すメッセージをSNSに投稿しましたが、投稿された写真にタコ(蛸)の人形が写っていたことが物議を醸しています。

英紙デーリー・メールの20日付の記事


Greta Thunberg deletes 'I stand with Gaza' social media post after critics claimed stuffed octopus in photo could be viewed as an 'anti-Semitic' symbol - as she says the toy helps with her autism


を興味深く読みました。

問題の写真では、ハマスとイスラエルの戦闘に翻弄されるガザ地区の人々への連帯を示して、グレタさんを含む4人が各々メッセージを書いたプラカードを手にしている様子が写っています。グレタさんのちょうど左肩あたりに、ぬいぐるみのようなタコの人形が置かれているのですが、投稿を目にした人は見逃しませんでした。

タコ(octopus)には反ユダヤ主義のメタファーがあるのです。

グレタさんはこのことを知らなかったと釈明し、タコの人形の部分だけを削除した写真に差し替えたそうです。

タコが反ユダヤ主義のメタファーとなった経緯については、以下に引用するTimes of Indiaの記事が参考になります。


Symbols and imagery used in anti-Semitic propaganda and rhetoric during the late 19th and early 20th century often used octopus imagery as a part of broader conspiracy theories. 

Such propaganda used an octopus to represent perceived Jewish influence, suggesting that Jewish people are controlling or manipulating various aspects of society or politics. Many posters depicted the tentacles of an octopus, wearing a Star of David over its head, encompassing a globe.

This trope often manifested itself as both writings and graphic imagery that sought to accuse Jews of trying to control the world for nefarious means. 

One of the most infamous examples of the octopus as an anti-Semitic symbol can be found in the political cartoons of the early 20th century. 
(How the 'octopus' became a symbol of anti-semitism and landed Greta Thunberg in trouble. Times of India. October 21, 2023.)


ネットの画像検索で多くの実例を目にすることができますが、デーリー・メールの記事にも引用されている1例では、タコがその長い手足を伸ばして地球儀に絡めている、第二次大戦時に描かれた図柄があります。このような画はユダヤ人が社会や政治などの様々な分野で影響力を及ぼし、世界を支配しようとしていると印象づけるための、いわゆる陰謀論に基づいたもので、ナチスのプロパガンダにも使われてきた歴史があります。

ところで、日本人にとってタコ(蛸)は特別悪いイメージなどない動物ですが(むしろ、タコ焼きやタコ飯、お刺身など食用としてのイメージ!?)、英語の"octopus"には狡猾さやずる賢さといったネガティブなイメージが強いようです。

反ユダヤ主義のメタファーとして用いられる以前より、"octopus"にはその8本の触手を自在に動かして獲物を得るが如く、「広範囲に勢力を張った組織」(ランダムハウス英和辞書)を指す表現でもあるようです。

American Heritage Dictionaryにも下記のように定義されています。


Something, such as a multinational corporation, that has many powerful, centrally controlled branches.


何かとお騒がせなグレタさんですが、今回の件でも批判の声が高まっているようです。


2023年10月20日金曜日

step up to the plate

イスラエルを訪問してハマス壊滅を掲げる同国への連帯を表明したバイデン大統領ですが、やはりと言うべきか、米国内では反発の声が上がっています。

バイデン氏はパレスチナ・ガザ地区に1億ドルを拠出すると約束しましたが、これに対しては次期大統領選の共和党候補指名に名乗りをあげているデサンティス・フロリダ州知事がX(旧ツイッター)上で痛烈に非難、共和党員に反対を呼びかけました。資金がハマスに渡り、人道支援に回らない恐れがある、という理由によるものです。


GOP presidential candidates largely condemned President Biden’s pledge to give $100 million to Palestinians amid the Israel-Hamas war, arguing the money will likely fall into the hands of terrorists.

DeSantis was the first to issue a statement against Biden’s “gift,” pointing out that Hamas is holding Americans hostage and calling on the other 2024 candidates to come out in opposition.

“No U.S. tax dollars to the Gaza Strip. Hamas is holding American hostages and Biden wants to fund them? I challenge every Republican running to step up to the plate and oppose Biden’s $100 million gift to Hamas,” DeSantis said in a video posted on X.
(Diana Glebova. 2024 GOP candidates condemn Biden’s $100M pledge to Palestinians. New York Post. October 19, 2023.)


デサンティス氏の投稿が引用されていますが、


I challenge every Republican running to step up to the plate and oppose Biden’s $100 million gift to Hamas


というくだりがあります。

ここで使われている、


step up to the plate


という表現ですが、物事に進んで取り組む、というような意味合いで使われる慣用句です。

字義通りには、プレート(plate)に歩み出る(step up)、という意味になりますが、ここでの"plate"とは野球のホームプレート(ホームベース)のことで、つまり打撃のためにバッターボックスに入ることを意味します。

Merriam-Webster Dictionaryは、


often used figuratively in U.S. English to refer to showing readiness to meet a challenge (as by increased effort or improved performance)


と解説しています。

また、以下は添えられている例文です。


If you want this promotion, you're going to have to step up to the plate.


何か事を成そうとする時、少し重い腰をあげなければならないような時に、相手をけしかけるためのフレーズと言えそうです。

2023年10月19日木曜日

have skin in the game

パレスチナ自治区を実質支配するハマスとイスラエルの対立において、アメリカはイスラエルを支持する立場ですが、バイデン大統領はエルサレムを訪問、ネタニヤフ首相と面会し、改めて同国への支援とハマスに対する批難の姿勢を明確に示しました。

下記に引用するのはCNNのオピニオン記事からです。

長くなるため、前後を省略していますが、文中の"he"とはバイデン大統領を指します。今回の訪問がイスラエルのハマス撲滅という目標達成を支援するものであるという前段があって、以下の記載となります。


In doing so, he’s taken on considerable risk. He committed himself and the US to a certain cause, and now he has skin in the game.
(Shmuel Rosner. Opinion: The price tag that comes with Biden’s trip to Israel. CNN. October 18, 2023.)


イスラエルを訪問したバイデン氏は


has skin in the game


ということなのですが、この表現を知らず、辞書を引くのですが、載っていません。

前段には"considerable risk"という記載や、記事を読み進めると、


In an election season, what this means is that Biden took a huge gamble.
(ibid.)


といったくだりもあり、

"have skin in the game"とはリスクを犯すとか、賭けに出る、というような意味があるのかと思われました。

ネットで検索しますと、"skin in the game"とは成果を得るための投資というような意味があるらしく、"have skin in the game"には起業家などがある程度のリスクを覚悟しながらも自己資金を事業に投じる(投じている)というような意味合いがあるようです。つまり結果責任を負っている、ということですね。

このオピニオン記事の論調として、イスラエルの同盟国としての米国、その大統領が戦時のイスラエルを訪問し、支援姿勢を見せることに伴うリスク、その代償といったことに焦点を当てているということがあります。記事中、アフガニスタンからの米軍撤退という過去についても触れられていますが、中東紛争の泥沼に巻き込まれた挙句・・・、というような論調です。

さて、"have skin in the game"という表現に話を戻します。

"skin"は皮膚、肌の意味ですが、この表現においては先程も触れたように、投資(intestment)、また利害関係(stake)の意味合いがあるようです。

しかしながら、色々な辞書を当たってみましたが、"skin"のエントリにこの表現を載せているものは無く、また投資や利害関係といった意味合いも見当たりません。"have skin in the game"という表現がしっくりこないのは、"skin"の解釈にあるように思います。つまり、肌とか皮膚には全く関係が無いのです。

この表現の由来、とりわけ"skin"の解釈についてはゴルフに由来しているという説明が見られます。


Skins is a game in golf where players compete for a prize – usually money – on every hole. The prize at stake is called the ‘skin’.


ゴルフで"Skins"と呼ばれるものがあるそうなのですが、つまりは賭けゴルフのことで、ホール毎にプレーヤーがお金を賭け、そのホールで勝ったプレーヤーが賭け金を得る、というものだそうです。

"Skins"に参加するプレーヤーはお金を張る訳で、負ければお金を取られてしまいます。

つまり損失を被るかも知れないゲームに参画している、というのが"have skin in the game"の言わんとするところであり、「ゲーム」とはイベント、活動、目下課題になっていることの比喩です。

バイデン大統領はイスラエル訪問によって、またイスラエルが必要とする具体的な支援の提供を約束したことで、新たな中東問題に「首を突っ込む」ことになった、それはもしかしたら高い代償を払う結果になるかもしれない、ということでしょう。

ちなみにゴルフの"Skins"では勝者が決まらない場合は賭け金は次のホールの勝負に持ち越され、次のホールでも勝者がいなければ更にその次、というように続くそうです。勝者は積み上がった賭け金を総取りすることになるそうですが、一旦ゲームに参加したら途中でやめるわけにも行かず、負けた時の損失は大きなものになりそうです。

長期化しかねない中東問題に首を突っ込むのは、次期大統領選に名乗りを上げているバイデン氏にとっては確かに大きなリスクになる可能性がありそうです。


2023年10月18日水曜日

shiitake

シイタケを生で食べるのは危険だそうです。知りませんでした。

とある72歳男性はシイタケを生、もしくは十分な加熱調理をしないままで食べたところ、背中にムチ打ちのような皮膚炎症状を発し、病院で治療を受けることになったそうです。

シイタケ(椎茸)はご存知の通り、キノコの一種類ですが、英語でも、


shiitake


で通じるとは、これまた知りませんでした。


A man had to be hospitalized after an adverse reaction to eating undercooked mushrooms caused him to contract a painful-looking skin condition.

His fungus-induced affliction was detailed recently in “The New England Journal Of Medicine.”

According to the case study, the unnamed 72-year-old patient had reportedly “prepared and eaten a meal containing shiitake mushrooms,” earthy, meaty fungi that’s a signature ingredient in many East Asian cuisines.

The fungi-loving gourmand didn’t think anything of it until two days later, when he developed an “itchy, linear rash across his back,” which was so painful that it impeded his sleep, LiveScience reported.

(中略)

Alarmed, the poor soul reported to the doctor, who diagnosed him with “shiitake dermatitis,” which occurs when someone eats raw or undercooked mushrooms.
(Ben Cost. Man suffers rare ‘shiitake rash’ from undercooked mushroom. New York Post. October 17, 2023.)


"shiitake"は英和辞書、英語辞書にもちゃんとエントリがあります。

手元にあるランダムハウス英和辞書では、Oxford English Dictionaryに1877年初出として載っているという出典の記載があります。

スペルとしては"shitake"とするものもあるようですが、"shiitake"が一般的で、"shiitake mushroom"と記載されることもあります。

男性が発症した症状は、


shiitake dermatitis


という病名が付けられており、"dermatitis"は皮膚炎のことですから、「シイタケ皮膚炎」とでも訳すのかなと思います。

シイタケの学名はラテン語でLentinula edodes(edodesは食用の意)といいますが、シイタケ属を指すLentinulaにちなむ、lentinanという化学物質がこのような炎症症状を引き起こすのだそうです。lentinanは熱を加えることで分解されるため、生食ではなく、加熱調理がふさわしいということなのです。


2023年10月17日火曜日

My heart missed a beat.

電気自動車(EV)で世界を席巻しつつあるテスラですが、バッテリー交換に伴う法外な(!?)コストがまたもや取り上げられています。

スコットランド地方のテスラオーナーは突然の故障で始動できなくなった車を修理に出したところ、バッテリー不具合の修理費用に驚愕します。その額なんと、17,374ポンド(21,000USドル)、日本円にして約315万円!


A Tesla owner said he was "flabbergasted" when he and his partner were hit with a hefty bill to fix their electric vehicle. 

Johnny Bacigalupo and Rob Hussey told the Scottish news outlet Edinburgh Live they were billed £17,374, or about $21,000, to fix their Tesla after its battery was damaged by rain last week. 

"I honestly can't believe that this has happened. When I first got the call, I thought we would get a bill for £500 or £1,000," Bacigalupo told Edinburgh Live. "When they said over 17 grand — it's absolutely obscene. My heart missed a beat, honestly."
(Jyoti Mann. A Tesla owner says his 'heart missed a beat' when he received a $21,000 bill after the battery was damaged by rain. Business Insider. October 16, 2023.)


見積書を見たオーナーのコメントが引用されています。


My heart missed a beat, honestly.


心臓の鼓動が一瞬止まった、という意味ですが、びっくり仰天、驚きの余り心臓が止まったかと思った、というような意味合いで用いられる慣用句で、ある意味、強意表現です。

"miss"という動詞の代わりに"skip"が使われることもあります。

また、この慣用句は驚愕の感情に留まらず、心臓が止まりそうになるほどの興奮、あるいは緊張を経験した時にも用いられます。


When I learned I was on live television, my heart skipped a beat.
(Merriam-Webster Dictionary)


今回のバッテリー不具合は雨の日続きであったことから、雨水がバッテリーに浸水したことが原因らしいのですが、クルマが水没したという訳でもなさそうです。

テスラは保証対象外として修理見積費用を算出したようですが、300万円以上とは、新車が買える価格です・・・。

2023年10月16日月曜日

take one’s eye off the ball

パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスがイスラエルを奇襲、イスラエルはガザへの地上攻撃に踏み切ろうとしています。

周辺諸国も巻き込んだ複雑な地政学上の均衡が崩れようとするのを見るようですが、イスラエルと友好関係にあるアメリカ国内ではハマスの動きを事前に察知できていなかったのかという疑問の声が上がっているようです。


Eight days before Hamas launched the deadliest terrorist attack in Israel's history, White House national security adviser Jake Sullivan proclaimed that "the Middle East region is quieter today than it has been in two decades."

(中略)

"I made those comments in the context of developments in the wider Middle East region over the last few years," Sullivan told NBC's "Meet the Press," pointing to conflicts in Syria, Yemen, Libya, Iraq, Iranian-backed attacks on Gulf states, and the rise of ISIS.

"At no point did the Biden administration take its eye off the ball of the threats to Israel," Sullivan stressed.
(Zachary Basu. Sullivan denies White House took "eye off the ball" before Hamas attack. Axios. October 15, 2023.)


引用した記事では、ホワイトハウスの国家安全保障問題担当大統領補佐官であるJake Sullivan氏が中東情勢に関して、ハマスによる攻撃前にコメントした内容が取り上げられています。

コメントは中東情勢全般について述べたものだとされていますが、ある意味楽観的な情勢分析がハマスの攻撃をもたらしたのではないかと批判されているようです。

批判に対して、Sullivan氏は、


At no point did the Biden administration take its eye off the ball of the threats to Israel


と反論しています。

ここで、"take one’s eye off the ball"という表現が使われています。

この表明の意味は、


to stop paying attention for a moment, with the result that things go wrong for you. 
(Collins Dictionary)


と定義されており、つまり目の前の問題や重要事項に注意を払わず、結果望ましくない状況をもたらすこと、と解釈できるでしょう。

ここでの「ボール」(ball)とは野球でもサッカーでも、恐らく球技ならば何でも当てはまるのだと思いますが、重要事項の比喩です。ボールから目を離してしまえば、競技で負けてしまいますから、選手たちがボールを追うのは当たり前と言えば当たり前ですね。

物事に集中して取り組む、という意味で用いられることもあるようです。そして、ボールから目を離す、ということの反対は「ボールから目を離さない」であり、


keep one’s eye on the ball


となります。


2023年10月13日金曜日

disbursal

パレスチナ自治区でイスラム原理主義組織ハマスが蜂起、イスラエルと交戦状態となっています。

この状況を受けてアメリカとカタール両政府は、イランに対して凍結解除された60億ドルという資金の支払いに待ったを掛けたと報じられています。

アメリカはイランに対する経済制裁として同国資産の凍結措置をしましたが、人質に取られていた米国人の解放と引き換えに凍結を解除していました。


WASHINGTON — The U.S. and Qatar have reached an agreement that the Qataris will not act on any request from Tehran for the time being to access $6 billion in Iranian funds that were unblocked as part of a prisoner swap last month, a U.S. official said Thursday.

The move, which stops short of a full refreezing of Iranian funds in Qatar's banking system, follows the deadly attacks by Hamas on Israel and continued Republican criticism of the Biden administration's deal with Iran, in which $6 billion was unfrozen in exchange for the release of five detained Americans. The official who outlined the understanding between the U.S. and Qatar was not authorized to comment and spoke on condition of anonymity.
(U.S. and Qatar agree to prevent disbursal of recently unfrozen Iranian funds. Associated Press. October 13, 2023.)


イランはハマスを支援しているとされます。イスラエル側に立つ米国にとしては、凍結解除した資金がハマスへの支援に回ることは避けなければなりません。一方、今回のハマスによるテロ行為にイランが関与しているかについて、米側は慎重に分析を進めているとのことです。

さて、今日の1語です。引用した記事のタイトルに、"disbursal"という単語が使われています。これは、支払いという意味の単語で、動詞は"disburse"です。

あまり馴染みのない単語ですが、"reimburse"という単語は見たことがあるのではないでしょうか。"reimburse"は償還するという意味で、こちらもお金に関係があります。

"disburse"や"reimburse"のburseという部分はラテン語で袋、ポケットを意味するbursaから来ており、財布を意味する"purse"の語源にもなっています。

従って、これらの単語がお金を支払ったりすることと関連してくるのは納得ですね。


2023年10月12日木曜日

junk fee

アメリカで"junk fee"と呼ばれる問題が話題になっています。

"junk fee"とは、一言でいうと不当な請求のことです。

"junk fee"を撲滅するため、バイデン政権は法制化を進めていると報じられています。


President Joe Biden announced a new rule his Federal Trade Commission is proposing Wednesday to ban businesses from charging hidden, surprise or misleading fees—commonly known as "junk fees"—and the rule includes a range of businesses from ticket sellers to bank tellers.
(William Skipworth. Biden Wants To Ban 'Junk Fees' — The Hidden Costs Tacked Onto Concert Tickets, Hospital Bills, And More. Forbes. October 11, 2023.)


日本語でも「ジャンク」と言いますが、廃品や屑、値打の無くなったものを指しますね。

"junk fee"には、本来不要、請求する必要性もないのに、請求書に含められているような、不当な請求金額、というニュアンスがあるようです。

具体例として、ホテルの請求で宿泊料金に加えて「リゾート料金」といった名目の請求、レストランでは食事代金にプラスされる「サービス料」などがあると言われています。

また、最近感じたことですが、イベントのチケットや参加料金をオンライン決済した際に請求される「システム利用料」といった追加金額には腑に落ちないものがあります。支払いをするために更にお金を支払うってどういうこと!?って、思いますね。


The most common examples are service fees charged by sports and concert ticket sellers like Ticketmaster or StubHub, but they also include ATM fees, cleaning and service fees for AirBnbs or VRBOs or convenience fees for many online transactions.
(ibid.)


"junk fee"の実態は明示しているもの、そうでないもの、様々のようです。明示しているとしても正当な請求か否かは別問題です。明示していないもの、つまり購入時に明確な説明をせず、請求の段階になって載せてくる追加料金は悪質です。

こうした不当な請求が数十億ドル規模でアメリカの家計を圧迫しているとバイデン政権は法制化の意義を訴えている模様です。

日本政府でも取り組んで欲しいところです。


2023年10月11日水曜日

nuzzle

朝刊のスポーツ面を見ていたら、先日10月8日に開催されたシカゴマラソンで世界記録が更新されたとのことでした。

新記録は2時間0分35秒で、いよいよ人類がマラソンで2時間を切ることも視野に入ってきそうであります。

ところで、同じくシカゴマラソンでの話題ですが、ランナーがレース途中に迷い猫を保護したという記事を読みました。

自己ベスト更新ペースで走っていたSarah Bohanさんは21マイル付近で子猫を見つけ、一旦レースを中断。保護した子猫を観客に託し、レース再開したそうです。一般ランナーとはいえ、練習のジョギング中というならまだしも、記録更新のかかったレースでなかなかできることではありません。


Bohan had a split-second decision to make; should she put the kitten back down on the sidewalk, let it chart its own path, and chase down her personal record, or should she keep hold of the kitten, walk the course, and take the time to find it a safe place to land?

The kitten was in luck. Bohan is an animal lover with two rescue cats of her own back home in Boston. Better yet, she was running Sunday's marathon with TEAM PAWS Chicago — a group representing an animal welfare organization.

How could she not sacrifice her own race time for the benefit of a helpless little creature?

So Bohan nuzzled the kitten, which she estimated weighed less than a pound, into her chest and set off to find a kind bystander who would offer the cat a loving home. Along the way, she crossed paths with fellow animal lover and marathon runner Gia Nigro, who joined Bohan in searching for a kitty caretaker.
(Meredith Cash. A marathon runner gave up a shot at breaking her personal record to veer off course and save a tiny kitten. Insider. 
October 10, 2023.)


記事中で"nuzzle"という単語が使われているのですが、これは知りませんでした。スペルが"nozzle"や"muzzle"に似ていますが、初めて見る単語です。

辞書を引くと、鼻を擦り付ける、という意味が載っています。なるほど、鼻(nose)と関係がある単語のようです。

そのほかの意味として、抱き寄せる、抱いて可愛がる、といった意味があり、選手が道端で弱っていた子猫を胸元に抱き上げている様子がイメージされます。

"nuzzle"は、においを嗅いだりする際に鼻を地面に向けることを元々意味したものですが、"nestle"(体をすり寄せる)や"nurse"(介抱する)といったスペルの似た単語の影響もあってこのような意味を持つに至ったようです。


2023年10月10日火曜日

lightbulb moment

文明的な生活を捨ててテント生活を始めたという女性のを興味深く読みました。

NYCでタクシー運転手をしていた女性は仕事を辞め、高い家賃の住まいも引き払って、電気もガスも使わないテント生活を始めたそうです。

女性のコメントが引用されています。


“One or two weeks in, it was a lightbulb moment about how much I could save doing this,” declared the burgeoning minimalist, who initially decamped in Illinois before settling on a place in upstate New York.
(Ben Cost. I quit my job to live in a tent with my son — I’ve saved $50K and couldn’t be happier. New York Post. October 9, 2023.)


初めはチャレンジのつもりでテント生活をスタートしたそうですが、これなら行ける!という確信めいたものが出てきたそうです。

"lightbulb moment"というのは、


A moment of sudden inspiration, revelation, or recognition
(Collins Dictionary)


という意味で、突然ひらめいた、とか蒙を啓かれた、啓示を受けた、というような時に使うフレーズになっています。


A light bulb went on in my head.


というような表現もあります。

電球がパッと点いた、というイメージですね。

この女性ですが、テント生活のお蔭で高いNYCの家賃や生活費をかなりセーブできたそうです。

一方、テント生活の模様をTikTokでシェアしているそうで、インターネットからは離れられなかったようです。






2023年10月9日月曜日

moonbathing

"Moonbathing"という言葉をご存知でしょうか?

"sunbathing"(日光浴)ならぬ、"moonbathing"は「月光浴」とでも訳すのでしょうが、辞書には載っていません。

字面が表す通り、月の光が輝いている下で、そのエネルギーを全身に受けることを言うのだそうです。


For people who may be looking for an alternative to traditional modalities, the practice of "moonbathing" could be something that could bring inspiration, well-being and "centering," according to experts.  

Moonbathing is the practice of exposing oneself to the light of the moon in an effort to drink in the cooling lunar energy, according to Yogapedia. 

"The practice of moonbathing is believed to be beneficial for hypertension, rashes, hives and various inflammatory conditions," the same source noted.
(Erica Lamberg. Moonbathing may deliver energy, inspiration and overall well-being, astrologer says. Fox News. October 4, 2023.)


"Moonbathing"には高血圧や身体の炎症症状を癒やす効果があると言われているそうです。

中秋の名月は既に終わってしまいましたが、天気の良い月夜に散歩するのも良いかも知れません。


2023年10月6日金曜日

zip on fastball

来年行われるアメリカ大統領選の候補者は民主、共和両党でだいたい出揃ったというところかと思われます。

少し前に共和党の候補者の公開討論会が行われましたが、トランプ元大統領は出席せず、注目が集まったのはやはりフロリダ州知事のデサンティス氏だったと記憶します。

そのデサンティス氏はトランプ氏との確執も取り沙汰されてきたところ、ここに至ってトランプ氏への反撃姿勢に転じたようです。

今日読んだCNNの記事から引用します。


Florida Gov. Ron DeSantis on Thursday delivered some of the sharpest criticism of Donald Trump to date, blaming the former president for his own defeat in 2020 and suggesting his chief rival in the GOP nominating fight lacked the energy to lead the country once again.

(中略)

In an unmistakable shot at Trump’s age and stamina, DeSantis quipped, “We don’t need any more presidents that have lost the zip on their fastball.” He said the party’s nomination shouldn’t be a coronation, especially for “anybody that couldn’t even stop Joe Biden.”
(DeSantis goes off on Trump, says we don’t need ‘any more presidents’ who’ve ‘lost the zip on their fastball’. CNN. October 5, 2023.)


デサンティス氏は前回の大統領選で敗北したトランプ氏にもはや勢いは無く、再び大統領として国を引っ張っていく力も無いと切って捨てたようです。

そして発言が引用されていますが、


“We don’t need any more presidents that have lost the zip on their fastball.”


とあります。

ここでの"zip on fastball"という表現を取り上げたいと思います。

"zip"にはいくつかの意味がありますが、郵便番号(zip code)の"zip"ではなく、また、ジッパー(zipper)のことでもありません。

ここでの"zip"は弾丸などが飛ぶ時の「ピュッ」とか「ビュンッ」という音のことで、擬音語です。また、スピードや勢いを意味し、元気とか活気、勢力という含意もあります。

"fastball"というのは、文字通り速い球、速球のことで、野球において投手が投げることができる最高速度の投球を言います。

デサンティス氏の発言は野球の表現を喩えに使ったものなのですが、"zip on fastball"については、以下の説明が理解を助けてくれます。


What Is The Definition Of Zip In Baseball?

1. This is a term used to describe a pitcher’s fastball in baseball. When a pitcher is said to have some "zip" on his fastball, it’s a positive description usually meaning that it has a high velocity or it is very hard to hit.


ここから分かるのは"zip on fastball"という表現は、投手として速球を投げることのできる能力の評価基準を指しているということかと思います。その"zip"を失えば、投手としての評価にも翳りが見える、ということになります。

よって、デサンティス氏の発言を和訳すると、トランプ氏は往時の勢いをもはや失った、というところかと思われます。

年齢的なところもほのめかしていると思われますが、デサンティス氏にしてみれば、勢いを無くした年寄りは退場、次は若い自分の出番だ、というところでしょうか。

以下の用例も参考になるかと思います。


Right-hander Freddy Garcia is a workhorse, a big-game pitcher without whom the White Sox probably wouldn't have won the 2005 World Series. But at 35, after shoulder surgery that took the zip out of his fastball and has forced him to win more with moxie and experience than with pure stuff, he's living on the edge.
(Chicago Sun-Times, 2010)


2023年10月5日木曜日

atto-

2023年のノーベル物理学賞が欧米の3氏に授与されることが発表されました。

ニュース記事などによりますと、電子(electron)の動きを観測するためにごく短い時間だけ光るレーザー技術を開発したことが評価されたということです。

同じタイミングで発表された医学賞、生理学賞の方は、新型コロナウィルスのワクチン開発につながったメッセンジャーRNA(mRNA)の研究者に授与されましたが、一般人にはこちらの方が馴染みが深いせいか、物理学賞の授賞理由は素人にはピンと来ません。

ニューヨークタイムズ紙から引用です。


The Nobel Prize in Physics was awarded to Pierre Agostini, Ferenc Krausz and Anne L’Huillier on Tuesday for techniques that illuminate the subatomic realm of electrons, providing a new perspective into a previously unexplored domain.

Electrons move at a whopping 43 miles a second. This speed has long made them impossible to study. The new experimental techniques created by the three scientist-laureates use short light pulses to capture an electron’s movement at a single moment in time.
(Nobel Prize in Physics Awarded to 3 Scientists for Illuminating How Electrons Move. New York Times. October 3, 2023.)


電子の動くスピードというにはものすごい速いそうで、何と秒速43マイル(!?)なんだそうです。故に電子の挙動を観測することはこれまで困難とされていました。

電子の挙動を観察するためにはごく短い時間だけ光るフラッシュのような技術が求められていたということなのですが、「ごく短い時間」というのがこれまた常人の理解を超えた世界の話で、


attosecond


という単位なのだそうです。これは10のマイナス18乗秒(one quintillionth)のことで、日本語では「アト秒」と訳されています。


To study the movement of electrons, the scientists had to use pulses of light that last only on the scale of attoseconds; an attosecond is one quintillionth of a second. The number of attoseconds in a single second is the same as the number of all the seconds that have elapsed since the universe burst into existence 13.8 billion years ago, according to the Royal Swedish Academy of Sciences, which awards the Nobel Prizes.
(ibid.)


上述の通り、"attosecond"のatto-は、10のマイナス18乗を表す接頭辞なんですが、国際単位系(SI)で定められているものです。

調べてみると、小生も「マイクロ」、「ナノ」、「ピコ」までは聞いたことがありますが、その次が「フェムト」、次いで「アト」と続きます。

atto-という接頭辞はデンマーク語の数詞で18を表すattenから来ています。

ちなみに、「フェムト」(10のマイナス15乗)もデンマーク語で15を表すfemtenから来ています。



2023年10月4日水曜日

pro tempore

米下院議長を務めるマッカーシー共和党議員が議長を解任されるという、前代未聞の事態が発生したと報じられています。

数日前から解任動議に関する報道を目にしていました。詳しく読んでいませんでしたが、身内であるはずの共和党内からも解任を求める声が一部で高まっていたもようです。

民主党寄りなところがあるマッカーシー氏に対する不満があったようですが、解任決議に対する賛成票は民主党とマッカーシー氏に反発する一部の共和党議員合わせて216票で、反対票をわずか6票上回るものだったということですから、皮肉なものです。


Washington — House Speaker Kevin McCarthy was ousted from his leadership position in a historic vote on Tuesday after a far-right revolt over his reliance on Democrats to pass funding to avert a government shutdown.

The final vote was 216-210, with eight Republicans joining all the Democrats to vote to remove McCarthy. It's the first time a House speaker has been removed in a no-confidence vote.

(中略)

Rep. Patrick McHenry of North Carolina, a top ally of McCarthy's and a member of the Financial Services Committee, was then appointed speaker pro tempore. The rules of the 118th Congress state that "in the case of a vacancy in the office of speaker, the next member" named on a list submitted by McCarthy to the clerk of the House in January will become speaker pro tempore until a speaker is elected. 
(Kevin McCarthy removed as House speaker in historic vote. CBS News. October 3, 2023.)


マッカーシー氏が議長を解任された結果、後任には共和党のマクヘンリー議員が"pro tempore"で就く、と記事にあります。

"pro tempore"というのは臨時の、一時的な、という意味のラテン語です。

ラテン語tempusは"time"の意で、"pro tempore"は英語に置き換えると、


for the time (being)


となります。


2023年10月3日火曜日

flywheel effect

米国独占禁止法(反トラスト法)違反に問われているグーグルの裁判で、マイクロソフトのCEO、Satya Nadella氏が出廷、検索エンジン市場におけるグーグルの独占について証言したそうです。

マイクロソフトの検索エンジンBingは苦戦を強いられており、グーグル一強の市場ではイノベーションが阻害されていると主張したそうです。


When it comes to online search, it's Google's web and everyone else is playing in it, according to rival Microsoft.

That was the essence of Microsoft CEO Satya Nadella's testimony in federal court on Monday as part of the government's antitrust trial against Google.

(中略)

Nadella was questioned by lawyers for the Department of Justice and a coalition of state attorneys general who are suing Google for allegedly violating antitrust laws by illegally maintaining a monopoly in the general search market. The government argues that Google locked up distribution channels for general search engines through exclusive deals with browser and phone makers to be the default choice on various devices.
(Lauren Feiner. It's 'really the Google web': Microsoft CEO testifies about how hard it is to break into search. CNBC. October 2, 2023.)


Nadella氏は今日のネットは事実上「グーグルウェブ」になっているとコメントし、グーグルのビジネスモデルがウェブを席巻している現状を嘆きました。

記事は以下のように続きます。


The government has tried to make the case that Google's dominance, aided by these exclusive deals, creates a flywheel effect, where greater exposure to users leads to more data to make Google's search results better and attracts more advertisers to the product. That, in turn, generates more revenue that can be used to fund these massive distribution deals.
(ibid.)


グーグルの独占に至る要因に関して、


flywheel effect


という言葉が出てきます。

"flywheel"とは日本語では「弾み車(はずみぐるま)」などと訳されるようですが、機械の専門用語としては、一定以上の力をかけると慣性で回り続ける回転体(機構)の事を言うようです。


A flywheel is a mechanical device that uses momentum to store energy: Once the heavy wheel gets moving, its own weight and momentum keep it moving with minimal to no effort.
(Investopedia)


つまり、回転させるための最初のエフォートは必要ですが、一旦弾みがついたならば、以降は惰性で動力が得られるということであり、そうした含みから、経済、経営のコンテクストにおいて、初期の戦術、戦略が功を奏して、継続的な利益や企業の持続的な成長が生まれることを指すようになったものです。

グーグルがまさにそうで、同社の検索エンジンはより多くのユーザーに使用されることによって精度を高め、さらにユーザーを獲得、それによって広告収入増に繋がり・・・、という、"flywheel effect"により今ある独占体制を築いたということなのです。

この"flywheel effect"という言葉ですが、アメリカの経営コンサルタントであるジム・コリンズ氏の著書「Good to Great」(2001年)の中で使われて広まったそうです。(邦題「ビジョナリーカンパニー〜」と聞いて、オフィスの本棚で見かけたのを思い出しました。)


2023年10月2日月曜日

high and dry

自動車の盗難被害に関するニュース記事です。

オーストラリアでは自動車の盗難が急増しているそうで、統計上では11分に1件という頻度で発生しているそうです。


Thousands of Australians every year are left high and dry by this crime committed every 11 minutes.

Devilish criminals have been clocked committing an unlikely crime every 11 minutes in Australia.

More than six times an hour, a car is stolen.

It’s a crime committed almost 40,000 times nationally every year and comes at an enormous cost to road users.

The worst offenders were in Queensland, where more than 11,000 passenger vehicles were stolen in 2021 alone.
(Berooke Rolfe. Unexpected Australian crime committed every 11 minutes. News.com.au. September 28, 2023.)


引用した記事のリード部分ですが、


Australians... are left high and dry by this crime...


とあります。

"high and dry"という表現を知らなかったのですが、


left high and dry


というフレーズで、途方に暮れて、という意味になるようです。

直訳すると、高いところ(high)で、また乾いている(dry)、というようなことになりますが、これは船について言っているものなんだそうです。

つまり、船が岸に打ち上げられてしまって航行できない状態を指しており、そこから、行き詰まってしまった状態、見捨てられてしまった状態を指す慣用表現になったようです。

ランダムハウス英和辞書に以下のような例文が引き合いに出されています。


We missed the last bus and were left high and dry
私たちは終バスに乗り遅れ途方に暮れていた。


クルマは日常生活に必要な足ですから、それが盗まれたとあっては確かに途方に暮れようというものです。

英語にはこのような、船舶に由来する表現というものがよくあります。